群馬県立自然史博物館研究報告(24): 87-102,2020 87 Bull.Gunma Mus.Natu.Hist.(24): 87-102,2020 資 料 群馬県立自然史博物館所蔵の布施コレクション蛾類標本目録(1) 小林栄一1・金杉隆雄2 1〒376-0013 群馬県桐生市広沢町5-1688-1 (
[email protected]) 2群馬県立ぐんま昆虫の森:〒376-0132 群馬県桐生市新里町鶴ヶ谷460-1 (
[email protected]) キーワード:群馬県立自然史博物館,布施コレクション,蛾類標本,目録 A List of Moth specimens of Fuse’s Collection in the Gunma Museum of Natural History (1) 1 2 KOBAYASHI Eiichi and KANASUGI Takao 15-1688-1, Hirosawa cho, Kiryu, Gunma 376-0013, Japan (
[email protected]) 2Gunma Insect World:460-1 Tsurugaya, Niisato cho, Kiryu, Gunma 376-0132, Japan (
[email protected]) Key words: Gunma Museum of Natural History, Fuse's Collection, Moth specimens, Noctuidae を目的に設立された群馬県自然環境調査研究会に参加さ はじめに れ,険しさで入山が困難であった奥利根山岳地域に山岳会 群馬県立自然史博物館に収蔵されている布施コレクショ の支援のもと地質・植物・動物部門の研究者とともに入り, ンは,チョウ目を中心とした昆虫標本コレクションであり, チョウ目の生息状況を調査された.対象となった標本の採 故布施英明氏から寄贈されたものである. 集地は布施英明氏の足跡をまさに反映したものと言える. 布施英明氏は,群馬大学学芸学部卒業後,群馬県の小中 筆者らは布施コレクションの蛾類標本を借用して同定・ 学校教員として勤務する傍ら,神流川流域のチョウおよび 調査する機会を得たことから,蛾類についての目録作成を 蛾のファウナを把握しようと活動され,1950年から1953年 進行中である.今回,第1報としてヤガ科テンクロアツバ に多野蝶類同好会においてチョウ類をまとめ,1953年に群 亜科からキノコヨトウ亜科までをリストとして報告する. 馬蝶類同好会の木暮翠氏と共著で「群馬県産蝶類誌」とし 報告に先立ち,布施コレクションの借用等でお世話に て報告した.1958年には蛾類について矢野重明氏との共著 なった群馬県立自然史博物館の高橋克之氏に厚く御礼申し 「神流川流域の蛾類」を刊行した.1960年以降,群馬昆虫 上げる. 同好会で活動するとともに,赤城昆虫同好会の七五三木伸 二氏や中村亮二氏などと交流しながら,群馬県のチョウお 引用文献 よび蛾のファウナを把握する活動へ大きく発展していき, 1974年に「群馬県の蛾 仮目録Ⅰ」,1975年に「群馬県の 赤城昆虫同好会(1967):群馬県の蝶・蛾特集号.赤城, 8(1):1-135. 蛾 仮目録Ⅱ」を刊行した.この間,七五三木伸二氏はシ 岸田泰則 編( 2011):日本産蛾類標準図鑑Ⅱ.416pp.学研出版. 布施英明(1974):群馬県の蛾 仮目録Ⅰ.80pp. 自刊. メキクロコブガ,キボシミスジトガリバ,布施英明氏はミ 布施英明(1975):群馬県の蛾