石井宏一 Y.T. 第第1414回九谷ジャズファンクラブ ライブ開催 大友義雄(as)(as)+++遠藤律子遠藤律子(p)(p)トリオトリオ

山口 彰彰((((bbb))))、、、井上尚彦井上尚彦(ds)

日時日時日時:日時:::20112011 年年年 101010 月月月 222 日日日( 日(((日日日日)))) 午後午後午後 333 時開場 午後午後午後 333 時時時 303030 分開演 場所場所場所:『場所:『:『:『JJJJ----flowflowflow』』』』墨田区亀沢墨田区亀沢 333- 3---13131313----6666岩崎岩崎岩崎ビル 岩崎ビルビルビル2F ℡℡℡.03℡.03.03.03----645664566456----13551355

第14回KJFCのライブが決定しました。今回はアルトサックスの大友義雄さんと遠藤律子さんのピ

アノトリオの共演となります。

大友義雄プロフィール

1947 年東京、3 人兄弟の末っ子として生まれる。 ライブを聞いて感動しプロとしての活動を決意、後

5 歳頃ピアノを習い、中学校の頃からクラリネット に渡辺貞夫が開いた理論講座に参加、多くの事を学

を独学で習得、ブラスバンドで演奏をする傍ら、高 ぶ。

校に進学と同時にサックスに転向、日大芸術学部音 60 年代半ばに自己のグループを結成。サイドメンに

楽科入学と同時に当時先輩だったクラリネットの花 は常に時代の最先端のミュージシャンを選択、彼の

岡英二氏と知り合い、ジャズの演奏を本格的に開始 グループから育って現在活躍しているミュージシャ

する。後にピアノの板橋文夫の目にとまり彼のクイ ンは実に多い。

ンテットに参加、ジャズ界にデビュー。また、渡辺 自己のバンドでの活動と同時に渡辺文男グループ、

貞夫がバークレー音楽院の留学を終え帰国した際の 古沢良治郎等のバンドにも参加、活躍する。74 年に

1 は良きライバルであった土岐英史と共演した「ラバ に熱く、時に切なく、「泣きのサックス」といわれる

ー・マン」でレコードデビュー、1 年後初リーダー ほどその演奏は感情的で情緒的で艶っぽい。近年、

作「オー・フレンズ」を発表。75 年に「アズ・ア・ 彼が音楽監督を務めた「レフト・アローン」が主題

チャイルド」、76 年には「ムーン・レイ」をリリー 歌になった角川映画「キャバレー」は映画のヒット

ス、アルト奏者として着々とその地位を築いていっ と共に大友のオリジナルによる音楽が話題となり大

た。しかし、何といっても大友の地位を決定づけた ヒットとなった。

のは水橋孝グループでフューチャリングされたスリ 現在も若手の最先端のプレイヤーを率いて自己のグ

ーブラインドマイスのライブ盤「男が女を愛する時」 ループを中心に活躍する一方、遠藤律子 FRV、ジョ

だ。これぞ大友の歴史的名演奏との誉れ高い名盤だ。 ージ川口スーパーバンド等多方面にわたって活躍中

2001 年にもリニューアルされて再発売されている だ。海外の演奏も多く、ニューカレドニア、中国、

のをみても分かるように、大友義雄節が遺憾なく発 マレーシア、フランス、韓国等、国際的な活躍も盛

揮され正に圧巻の演奏だ。その活動が認められて 71 んだ。また、長い間渋谷のヤマハで後進の指導にあ

年後半には新宿ジャズ賞を受賞。サックス・プレイ たりその人柄の良さもあって多くの人材が育ってい

ヤーとしての地位を不動のものとして常にスイン る。常にクリエイティブな姿勢を崩さない大友の音

グ・ジャーナル誌の人気投票も上位を占めるように 楽に対する熱い情熱は特筆ものであり益々期待した

なる。 いミュージシャンだ。

大友のプレイは自身が言うようにソウルフルで、時 (ご本人のホームページより抜粋)

遠藤律子プロフィール

東京都出身。筑波大附属中学高校を経て ICU 中退。 ズエラに渡航、日本大使館主催コンサート出演。

ラテンフュージョンジャズバンド遠藤律子 with 2002 年上海、2003 年北京と続けて、遠藤律子ピアノ

Funky Ritsuco Version!-FRV!では、CD「SUNSHINE」 トリオで、日中国交正常化 30 周年記念中国コンサー

(日本クラウン)、「FRV!」(日本コロムビア)、「家族」 トツアー。

(早稲田大学ラボシリーズ)、「愛にあふれて」(早稲 2003 年、遠藤律子ピアノトリオで、パリユネスコ本

田大学ラボシリーズ)を発売。遠藤律子スローピア 部ユネスコホールコンサート、在パリチェコ文化セ

ノ小曲集 CD「心配しないで」(早稲田大学ラボシリ ンター「ヨーロッパジャズフェスティバル」に出演。

ーズ)、遠藤律子&小笠原千秋ユニットで、母親の介 2009 年、国際交流基金主催事業南米コンサートツア

護経験を歌にしたオリジナル曲に歌詞をつけた CD ーで、ボリビア、ペルー、ベネズエラ、パラグアイ

「SMILE」(早稲田大学ラボシリーズ)を発売。 に渡航、ボリビアとペルーでは、移民 110 周年記念

Toquio Bossa Trio で、ボサノバ「Angel Eyes」を 公演、パラグアイでは修交 90 周年記念公演を成功さ

発売。 せた。

2002 年、国際交流基金主催人物派遣事業中南米ツア 2010 年 9 月には、アメリカモントレージャズフェス

ーで、遠藤律子 with Funky Ritsuco Version!-FRV! ティバルに、FRV!出演が決まっている。

を率いて、コロンビア、ドミニカ、キューバ、ベネ 2010 年 9 月 18 日、アメリカモントレージャズフェ

2 スティバルに出演、会場全員がスタンディングオベ ある。また、ジャズポピュラーピアノ、理論クラス

ーションの大成功をおさめた。2010 年 9 月、ペルー、 を持ち、大人の社会人ミュージシャンの気楽セッシ

リマにて 22 日の日秘会館大ホール、23 日の在ペル ョンを主宰、楽しい音楽生活を演出して、音楽で人

ー日本大使公邸と、FRV!トリオのコンサートを大盛 と人を繋ぐプロデューサーである。(ご本人のホーム

会に導く。STB139 スイートベイジル、サテンドール、 ページより抜粋)

スイング等ライブハウス、高齢者施設、美術館など

様々な場所で、会場一体となって熱く楽しく盛り上

がるライブを開催中。美しい作曲と喜怒哀楽豊かな

演奏で、あたたかい音楽の一時を作るピアニストで

1997年『KJFC活動再開ライブ』より

3 ハービー・ハンコック研究・第 19 回

(“Retrospective of The Music of Herbie Hancock”) 高木信哉 19791979::::““““雨雨雨雨のののの田園田園田園田園コロシアムコロシアムコロシアム::::ライブライブライブ・・・・アンダーアンダーアンダー・・・・ザザザザ・・・・スカイスカイスカイ伝説伝説伝説伝説”””” HERBIE 1979

録音日 /タイトル /演奏者 (レーベル名)

1979 early Mingus / Joni Michell (Asylum) 1979. 5.27 Joni Mitchell, Herbie Hancock, Jaco/ California 1979 1919197919797979.... 777. 7...26262626 LiveLiveLive Under TheTheThe SkySkySky ’’’79 ’797979 /// VVV ...SSS...OOO...PPP... TheTheThe Quintet (CBS///Sony)(282828 作目作目作目)作目))) 19791979.... 777. 7...29292929 FiveFiveFive Stars /// VVV ...SSS...OOO...PPP... TheTheThe Quintet (CBS ///Sony)(292929 作目作目作目)作目))) 1979.10 Butterfly / Kimiko Kasai with Herbie Hancock (CBS/Sony) 1979 MrMrMr ...Hands /// Herbie Hancock (Columbia)( 303030 作作作目作目目目)))) 1979 The Swing Of Delight / Devadip Carlos Santana (CBS) 1979 Michael Colombier (Chrysalis) 1979 Runnin’ To Your Love / Eddie Henderson(Capital) 1979 8 For The 80’s / Webster Lewis(Epic)

1979年は1月に米中が国交を樹立する一方、4月 ォルニア・シャワー』がヒットし、渡米中の日野皓正は『シ には中国がソ連との友好条約を破棄した。 ティ・コネクション』を録音。これはサントリーのTV- 英国では、5月に“鉄の女”サッチャー政権が誕生し、韓 CMに使われ、ヒットした。つまり日本人によるフュージ 国では10月に朴大統領が射殺された。 ョン・ブームが巻き起こったのである(米国の動きより遅 日本では省エネを反映して、ガソリンスタンドが日曜全休 いが)。 になった。明るい話題としては、ソニーから「ウォークマ ン」が 7 月に発売され、売り切れ店が続出し、ブームにな 1979年のハービーは、V.S.O.P.クインテットの2度 る。その後、18 年間で、1 億 6000 万台売れた。一方イン 目の来日公演を敢行。日本のジャズ史に残る伝説のコンサ ベーダーゲームは、前年 6 月に登場したが、1979 年 7 月 ートとなった。 には全国で 28 万台以上設置され、サラリーマンは月平均 1979年始めのハービーは、まずジョニ・ミッチェル 4,900 円使い、小中学生の80%以上が夢中になった。11 のアルバム『ミンガス』に参加した。シンガー・ソングラ 月 18 日には、東京で国際女子マラソンが開かれ、英国の イターのジョニ・ミッチェルは、ハービーより3歳年下で、 J・スミスが 2 時間 37 分で優勝した。これが、国際陸連 1943年11月7日にカナダで生まれた。1960年代 が公認した初の女子マラソンだった。 にトロントで頭角を現し、その後、ニューヨークへ移った。 1979年当時、ジョニの作曲能力は既にボブ・ディラン ジャズ界では、ベースの巨人チャールス・ミンガスが1 やジェイムス・テイラーに肩を並べる程であった。歌詞の 月5日、享年56歳で、メキシコ滞在中に亡くなった。同 内容を音楽に結びつける才能に関していえば、彼らより上 じ日、メキシコの海岸線に、56頭のマッコウクジラが乗 だった。ジョニは、元々ジャズ・ファンで、マイルス・デ り上げた。クジラは、火によって除去されてしまった。ミ イビスの黄金のクインテットの一連のアルバムをずっと ンガスの年と同じ数のクジラが集まってきたのだ。日本の 聴いていた。1967年6月7日に、マイルス・クインテ ジャズ・シーンでは、前年に渡辺貞夫が録音した『カリフ ットによって録音されたウェイン・ショーター作曲の「ネ

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フェルティティ」を聴いて、深い感銘を受けた。「ネフェ する。 ルティティ」は、2管が同じフレーズを続け、トニー・ウ さらにハービーは、2007年、ジョニ・ミッチェルへの イリアムスだけが徐々に暴れていく。リスナーは、同じメ トリビュート作『リバー~ジョニ・ミッチェルへのオマー ロディだけで満ちたりてしまう。「ネフェルティティ」は、 ジュ』を制作し、2008年2月、第50回グラミー賞の 新たな時代の到来を告げる曲だった。ジョニは、マイルス 「年間最優秀アルバム」を受賞する。 たちがやろうとしていた音楽を心の底から愛していた。ジ ジャズメンがグラミー賞の「年間最優秀アルバム」を受賞 ョニは、1971年のアルバム『ブルー』(通算4作目) するのは、2度目のこと。1度目は、白人のスタン・ゲッ のタイトル曲のオープニングのボーカル・ラインは、「マ ツで、1965年の『ゲッツ~ジルベルト/スタン・ゲッ イルスのミュート・トランペットに触発された」と公言し ツ&ジョアン・ジルベルト』(あの「イパネマの娘」が収 ている。 録されている)である。黒人のマイルス・デイビスは数々 初めにジョニと接触したのは、ジャコ・パストリアスだ の傑作アルバムを制作したが、ノミネートすらされていな った。ジャコは、ジョニの1976年のアルバム『逃避行 い。 (Hejira)』(9作目)に参加し、超絶テクニックで、彼女 をサポートした。次いでジャコは、ジョニをウェザー・リ さて7月、ハービーは V.S.O.P.クインテットを率いて ポートのレコーディングに招待した。ここでジョニは、初 (通算2度目)、「第三回ライブ・アンダー・ザ・スカイ」 めてウェイン・ショーターに会う。ウェインとジョニの初 出演のため、来日する。「第三回ライブ・アンダー・ザ・ 共演は、1977年の『ドンファンのじゃじゃ馬娘』(1 スカイ」は、7月24日~29日に催され、「ブラジル・ 0作目)で、場所はロンドンだった。ウェインは、「バブ スペシャル」(エリス・レジーナ、渡辺貞夫など)、 リカ・プレインズ」で、リスナーを夢の世界に誘うソプラ 「V.S.O.P.クインテット」、「チック・コリア・グループ」、 ノ・ソロを取っている。そして、次の作品『ミンガス』に 「渡辺貞夫グループ」が出演した。 遂にハービーも誘われたのである。このアルバムは、ベー 7月26日に行われた V.S.O.P.クインテットの演奏は、 スの巨人チャールス・ミンガスとジョニのコラボレーショ 『ライブ・アンダー・ザ・スカイ伝説』と題され、アルバ ン・アルバムになる予定だったが、制作中に残念ながらミ ム化された。 “雨の田園コロシアム” と称され、今も語 ンガスが亡くなってしまう。ジャコ、ウェイン、ハービー、 り継がれる最高のライブだった。そのCDには謎があり、 ピーター・アースキンが参加した素晴らしいアルバムであ 謎解きしたい。当初 V.S.O.P.クインテットの演奏は、7 る。ハービーは、「ア・チェア・イン・ザ・スカイ」、「ス 月26日の夜だけ行われる予定だったが、即刻ソールド・ ウィート・ザ・ポケット」、「グッドバイ・ポーク・パイ・ アウトしたため、急遽「昼の部」も追加された。つまり一 ハット」で、美しいフェンダー・ローズを弾いている。「グ 日で、2回コンサートが行われ、当初は「夜の部」だけが ッドバイ・ポーク・パイ・ハット」は、レスター・ヤング 『ライブ・アンダー・ザ・スカイ伝説』と題され、LP化 のことを歌った綺麗なメロディの曲で、今では多くのジャ された。その日は、夜になってから想像を絶する激しい豪 ズメンがカバーしている。ハービーは、ジョニの歌を聴い 雨となった。会場の田園コロシアムはあっという間にプー て、「ジャズにぴったりの声じゃないか」と感銘した。 ルのような状態になってしまった。収録用のトラックは、 『ミンガス』のレコーディング後、ハービーはジョニ・ トタン屋根に当る雨音でモニター出来ない状態になった。 ミッチェルのコンサートにも参加している。それは、1979 主催者は中止を決め、「中止」のアナウンスをしたが、ハ 年 5 月 27 日のこと、西海岸で行われた“UC バークレー・ ービーたちの演奏が聴きたい超満員の聴衆は誰一人帰ら ジャズ・フェスティバル”に、ジョニ、ハービー、ジャコ・ ない。意を決したハービーたちは、豪雨の中、演奏を決行 パストリアス(b)、トニー・ウイリアムス(ds)、ドン・ し、名演が残されたのである。コンサートから13年後の アライアス(perc)という素晴らしいメンバーだった。当 1992年に2枚組みのCDが「完全版」として、発売さ 初、『ライブ・フレンズ』という海賊盤が発売されている れた。これはMCなどをすべて収めた完全版である。ハー が、やがて『Joni Mitchell, Herbie Hancock, Jaco/ ビーが、「プールみたいだ」、「雨よ、止め!」などたくさ California 1979』というアルバムになった。 ん話しているのが、すべて収録されている。さらに200 4年になって、米国のコロンビアから2枚組みのCDが発 『ミンガス』の録音から19年後の1998年、ハービ 売された。ここには、2回のコンサートが収録されていて、 ーは『ガーシュイン・ワールド』を制作するが、ジョニ・ しかもクレジットを見ると、DISC1 は7月26日、DISC2 ミッチェルが参加し、大変素晴らしいジャズの歌声を披露 は7月27日の録音とある。これは米国のコロンビアの間

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違いである。しかも曲順も間違えている。本当は7月26 する。その理由は、トニー・ウイリアムスのドラムがうる 日だけで、「夜の部」(今までアルバム化された音源)が、 さ過ぎるというものだった。マイルスは、トニーのうるさ DISC1 の①②③④⑤⑥⑦⑧+DISC2 の⑨⑩に収録。今回初 いドラムを愛していて、ハービーたちはトニーの音に慣れ めて披露された「昼の部」がDISC2 の①②③④⑤⑥⑦⑧に ていた。 収録されている(27日と書いてあるのは間違い)。 そして伝説のライブから3日後の7月29日、V.S.O.P. 下記が V.S.O.P.クインテットが残した録音曲のすべて クインテットは、初めてのスタジオ録音『ファイブ・スタ である。合計24曲を演奏したが、大半がメンバーたちの ーズ』(ハービー通算 29 作目のリーダー作に当る)を日本 オリジナルだった。 で行った。この録音を持って、フレディ・ハバードが脱退 V.S.O.P.クインテットクインテットがががが演奏演奏演奏演奏したしたしたした曲曲曲曲リストリスト (((合計 (合計合計合計 242424 曲曲曲)曲))) 曲名 作曲者 録音の回数 録音年 処女航海 Herbie Hancock 2 回 1976 年,1977 年 ① Nefertiti Wayne Shorter 1回 1976 年 ② Eye Of The Hurricane Herbie Hancock 4 回 1976 年,1977 年, ③ 1979 年 One Of A Kind Freddie Hubbard 3 回 1977 年,1979 年 ④ Third Plane Ron Carter 1 回 1977 年 ⑤ Lawra Tony Williams 2 回 1977 年 ⑥ Darts Herbie Hancock 1 回 1977 年 ⑦ Dolores Wayne Shorter 1 回 1977 年 ⑧ Little Waltz Ron Carter 1 回 1977 年 ⑨ Byrdlike Freddie Hubbard 1 回 1977 年 ⑩ Diana Wayne Shorter 1 回 1977 年 ⑪

Eyghty-One Ron Carter 1 回 1977 年 ⑫

Red Clay Freddie Hubbard 1 回 1977 年 ⑬

Tear Drop Ron Carter 2 回 1979 年 ⑭

Domo Herbie Hancock 2 回 1979 年 ⑮ Para Oriente Tony Williams 2 回 1979 年 ⑯

Pee Wee Tony Williams 2 回 1979 年 ⑰ Fragile Ron Carter 2 回 1979 年 ⑱ Stella By Starlight Victor Young 1 回 1979 年 ⑲ On Green Dolphin B.Kapper 1 回 1979 年 ⑳ Street Skagly Freddie Hubbard 1 回 1979 年 21○ Finger Painting Herbie Hancock 1 回 1979 年 22○

Mutants On The Tony Williams 1 回 1979 年 23○ Beach Circe Wayne Shorter 1 回 1979 年 24○

もうひとつ1979年のハービーの重要な出来事は、カ ルロス・サンタナのソロ・アルバム『スイング・オブ・デ

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ライト』の録音に参加したことだ。ここには、ハービー以 のバンドで、ベースを弾いていたのが、デイブ・ホランド 外にも、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ で、そのプレイに一目で気に入ったデイブを自分のバンド ウイリアムスと V.S.O.P.クインテットのフレディを除く に入れるため、米国に呼んだ。この話には続きがある。マ 全員が参加している。 イルスは見ていないが、“ロニー・スコッツ・クラブ”に カルロス・サンタナは、ハービーより7歳年下の1947 1ヶ月も居たジャック・ディジョネットは、毎日、デイブ・ 年7月20日、メキシコ生まれである。14歳のとき、米 ホランド、ジョン・マクラフリン、ロニー・マーシャル、 国サンフランシスコに移住してきた。19歳のとき(19 トニー・オクスレーとジャム・セッションをしていた。ニ 66年)、自身の名を冠した「サンタナ・ブルース・バン ューヨークにジャックが戻ると、トニー・ウイリアムスか ド」を結成し、活動を開始した。1968年、フィルモア・ ら電話が掛かってきて、「ギタリストを探している。イギ ウェストで、デビューする。 リスのギタリストの演奏が聴きたいので、テープを送って 1969年、コロンビア・レコードと契約して、バンド名 くれ」。そこで英国のジャム・セッションでのテープをあ を「サンタナ」に改名した。1969年10月、『サンタ げると、トニーはジョン・マクラフリンがいっぺんで気に ナ』でレコード・デビューした。同年8月に行われた“ウ 入り、ニューヨークへ呼んだ。トニーは自分のバンドを結 ッドストック・フェスティバル”に出演し、躍動する演奏 成しようとしていた。ジョンがニューヨークに着いて2日 が映像に撮られ、映画『ウッドストック』によって全世界 目、トニー・ウイリアムスがマイルス・デイビスの家に行 に届けられた。1970年にリリースされた『天の守護神』 く用があったので、ジョンも一緒に付いて行った。マイル 収録の「ブラック・マジック・ウーマン」が大ヒットして、 スは翌日レコーディングの予定があり、「明日、ギター持 一躍人気者になった。サンタナは、元々ジョン・コルトレ ってスタジオへ来い!」と言った。そこで録音されたアル ーンやマイルス・デイビスが大好きで、彼らの演奏をテー バムが、マイルスの『イン・ア・サイレント・ウェイ』で プに入れて、ツアーに持ち歩いているほどだった。197 ある。マイルスは、ジョンを自分のバンドに入るように誘 3年になると、ジョン・マクラフリンと組んで、『魂の兄 ったが、トニー・ウイリアムスのバンドに入る約束があっ 弟たち(ラブ・デボーション・サレンダー)』を吹き込ん たので、断った。マイルスは大好きなトニー・ウイリアム だ。ここには、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲「至 スがバンドから去って欲しくなかった。ジョン・マクラフ 上の愛」や「ナイーマ」も収録されている。当時、ジョン・ リンも欲しかった。しかしそれは叶わぬ夢で、ジョンはト マクラフリンとサンタナは、インドの導師、スリ・チンモ ニー・ウイリアムスのバンド「ライフタイム」に参加した。 イに注目し、二人とも彼に弟子入りしていた。だから「魂 1977年夏には、ボストンのバークリー・ジャズ・フェ の兄弟たち」なのだ。思えば、1970年代は「個」の時 スティバルにて、ジョン・マクラフリン、サンタナ、ハー 代だった。1960年代は、「社会運動」が盛んだったが、 ビー・ハンコックの共演が実現した。サンタナにとっては、 1970年代は、文化全体が“スピリチャル”なものに敏 ハービーは憧れの人である。ずっと尊敬していた。そんな 感に反応していた。ビートルズもそうだった。 サンタナとハービーは、すっかり意気投合し、「今度一緒 ジョン・マクラフリンは、ハービーより2歳年下の194 にやろう!」という約束が、1979年のカルロス・サン 2年1月4日、英国生まれである。ジャズ・ファンにその タナのソロ・アルバム『スイング・オブ・デライト』の吹 名が一躍知られることになったのは、マイルス・デイビス き込みで実現した。ここには、ジョン・マクラフリンの元 の『イン・ア・サイレント・ウェイ』への参加である。こ バンマス、トニー・ウイリアムスも参加している。ハービ のセッションに参加する経緯は、偶然の賜物である。19 ーは、全編に参加しており、抜群の演奏でアルバムに輝き 68年の夏休みのこと、マイルス・デイビスは、ロンドン を与えている。ハービーとのサンタナとのコラボレーショ の“ロニー・スコッツ・クラブ”に出演しているかつての ンは、2年後の1981年に意外な形で実現する。それは、 バンド・メンバーであるビル・エバンスのトリオ(ベース 「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」の舞台であり、注目の はエディ・ゴメス、ドラムはジャック・ディジョネット) 新人、ウイントン・マルサリスの衝撃の本邦デビューでも を聴きに行った。エバンスのトリオは、同年6月15日、 あった。ウイントンは、1961 年 10 月 18 日、ニューオリ スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演し、 ンズ生まれ。1979 年(17 歳~18 歳)にニューヨークへ上 アルバム『モントルー・ジャズ・フェスティバルのビル・ 京した。 エバンス』を録音したあとで、乗っていた。 “ロニー・スコッツ・クラブ”には、1ヶ月も出演し、英 国のバンドがダブル・ビルとして出演していた。その英国

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<アルバム解説 by 高木信哉> 『Live Under The Sky ‘79 (完全版)/ V.S.O.P. The Quintet』 1. Eye Of The Hurricane(Herbie Hancock) 2. Teardrop(Ron Carter) 3. Domo(Herbie Hancock) 4. Para Oriente(Tony Williams) 5. Pee Wee (Tony Williams) 6. One Of Another Kind (Freddie Hubbard) 7. Fragile(Ron Carter) 8. Stella By Starlight~ On Green Dolphin Street Freddie Hubbard(tp&fh),Wayne Shorter(ts&ss),Herbie Hancock(p),Ron Carter(b), Tony Williams(ds) ハービー・ハンコックの通算 28 作目のリーダー作。 しまい、約5 分間の中断があった。ここでハービーがうま V.S.O.P.クインテットの 2 度目の来日を記録したライブ くMCでつなぎを果たしている。(完全版)では、その模 盤。“雨の田園コロシアム”と称され、今も語り継がられ 様もすべて聴けるから嬉しい。やっと演奏再開で、トニー る伝説のライブである。 の「パラ・オリエンテ」。変拍子の展開が飽きさせないと 1979 年 7 月 26 日、田園コロシアムは夜になってから、 いうかワクワクさせる。 想像を絶する激しい雨となった。会場の田園コロシアムは、 そして最後の曲「ワン・オブ・アナザー・マインド」は、 あっという間にプールのような状態になってしまい、主催 フレディ・ハバードの書いた曲。20 分を越える力演であ 者は「中止」を決め、アナウンスをしたが、誰一人として る。ハービーのイントロ、ロンのテンポの提示。そして 2 帰らない。覚悟を決めたハービーたち「V.S.O.P.クインテ 管によるテーマの提示。フレディの奔放なアドリブ、思い ット」のメンバーは、異常な興奮状態の中、覚悟を決め演 切り煽るトニー。ウエイン~ハービーと一丸となって燃え 奏を行った。「ずぶ濡れでも構わないから精一杯聴いてや あがる。 る」という覚悟の聴衆に、奇跡は起こった。最高の演奏が ロン・カーターの「フラジャイル」は、アンコール曲だ 繰り広げられたのである。 った。しかし聴衆は帰らない。田園コロシアム側からは、 1 曲目の「アイ・オブ・ザ・ハリケーン」は、LPの時 「雨の中を大変ありがとうございました」と場内アナウン は時間の関係で削除されていたが、CD 化(完全版)で復 スが流れた。アンコールの嵐の拍手に応えた演奏は、ハー 元した。ハービーの「雨を止め!」という挨拶のあと演奏 ビーとウェインによるデュオ「ステラ・バイ・スターライ されたが、この曲が演奏されている間だけ、不思議に雨が ト~オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」だった。 降りやんだ。物凄い歓声の中、ハービーたちが燃える。い 忘れられない感動の最後の瞬間だった。 ハービーはこう きなりフレディの絶好調のソロをトニーが煽りまくる。ウ 語っている。「あの夜のことは鮮明に覚えているよ。あん エイン~ハービーと続く。「ティアドロップ」はロン・カ な素晴らしい観客は、後にも先にも見たことがない。人生 ーターのブルージーな曲で雰囲気が素晴らしい。「ドー に偶然ということはないのだとすれば、あの夜は、まさに モ」(日本語の「どーも」のこと)は、ハービーのオリジ 神の恵みの大雨だったんだね。自然のインプロビヴィゼー ナル。格好いい曲だ。快調な「ドーモ」の間、大雨になり、 ションに触発されて、僕らのインプロビヴィゼーションも ミュージシャンもエンジニアも聴衆もずぶ濡れとなって 光を放った」。

『Five Stars / V.S.O.P. The Quintet』 1. Skagly (Freddie Hubbard) 2. Finger Painting(Herbie Hancock) 3. Mutants On The Beach(Tony Wiliiams) 4. Circe(Wayne Shorter) Freddie Hubbard(tp&fh),Wayne Shorter(ts&ss),Herbie Hancock(p),Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

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ハービー・ハンコックの通算 29 作目のリーダー作。前 その後ろには、どっしりとした無類の安定感があるトニー 作の“雨の田園コロシアム”こと、『ライブ・アンダー・ のドラムがある。ときおり「ブーン」とロンのベースがア ザ・スカイ伝説』のわずか 3 日後の録音である。そして タックを入れる。次いでハービーの電光石火のソロ。“雨 V.S.O.P.クインテットの唯一のスタジオ録音盤である。し の田園コロシアム”の3 日後のせいかハービーのテンショ かも収録曲は、すべて新録という実に魅力のある内容であ ンは高く、絶好調のソロが続く。V.S.O.P.クインテットは、 る。しいて欠点を上げるとすれば、トータルの収録時間が 最良の状態の音、旬の音を、最後に日本の聴衆に聴かせた 32 分 40 秒と少ないこと。あと 2 曲ぐらい入っていれば、 かったのかもしれない。続くウェインの感情のこもったテ 最高だったのにと思う。1976 年 6 月に発足した V.S.O.P. ナー・ソロも素晴らしい。テーマの戻り方~曲の終わり方 クインテットは、本作で終了する。 も実に格好いい。この 1 曲だけで、このアルバムを買った わずか 3 年 1 ヶ月の活動だったが、日米のジャズ史に燦然 価値があるだろう。2 曲目の「フィンガー・ペインティン と輝く栄光の足跡を残した。 グ」は、ハービーのオリジナル。抒情的なテーマ・メロデ 従来のジャズ、フュージョンやフリー・ジャズにない ィを全員でうまく作っていく。ロンのベース・ラインが印 V.S.O.P.クインテットの爽快感と疾走感の正体は、一体何 象的で、そこへハービーの美しいピアノ・ソロが入る。次 だったのだろうか?それは、現代が求めている音楽だった いでフレディのフリューゲル・ホーンも綺麗だ。3 曲目の からだ。マイルス・デイビスの音楽とは違う似て非なるも 「ムータンツ・オン・ザ・ビーチ」は、トニー・ウイリア の。まさに今の音(ジャズ)だったのだ。トニーのドラム ムスのオリジナル。ドラマチックな展開をみせるテーマを は、ロック少年をも唸らせた。フレディの力強い突破力は、 持つ。フレディ→ハービー→ウェイン→トニーのドラム・ マイルスにはないもの。ウェイン、ハービーの音、演奏は ソロと息もつかせない。4 曲目の「サーシ」は、ウェイン 次元が違う。そしてバンドの一体感は、まるでテレパシー のオリジナル。ウェインのブルージーな響きが印象的だ。 を使っているようだった。 そしてジャズの新たな地平を切り開いた V.S.O.P.クイン さて 1 曲目の「スケイグリー」は、フレディ・ハバード テットは、こうして終わりを告げたのだ。 の書いた曲。ハービー・ハンコックの傑作「カンタロープ・ アイランド」を彷彿とさせるスカッとしたジャズ・ロック である。まずフレディのトランペットがいきなり飛翔する。

『 Mr.Hands / Herbie Hancock 』 1. Spiraling Prism(Herbie Hancock) 2. Calypso(Herbie Hancock) 3. Just Around The Corner(Herbie Hancock-M.Ragin-F.Washington) 4. 4 AM(Herbie Hancock) 5.Shiftless Shuffle (Herbie Hancock-Bennie Maupin- Paul Jackson- Harvey Mason- Bill Summers) 6.Textures(Herbie Hancock) 1. Herbie Hancock(keyboards), Byron Miller(b), Leon “Ndugu”Chancler(ds), Bill Summers(perc) 2. Herbie Hancock(keyboards), ,Ron Carter(b), Tony Williams(ds), Sheila E(perc) 3. Herbie Hancock(keyboards), Freddie Washington(b) ,Alphonse Mouzon(ds), Wah Wah Watson(g), Sheila E(perc) 4. Herbie Hancock(keyboards), Jaco Pastorius(b), Harvey Mason(ds), Bill Summers(perc) 5. Herbie Hancock(keyboards), Bennie Maupin(ts), Paul Jackson(b), Harvey Mason(ds), Bill Summers(perc) 6. Herbie Hancock(すべての楽器) 9

ハービー・ハンコックの通算 30 作目のリーダー作。間 セッション。切れのいいファンクのリズムに乗って、ハー に V.S.O.P.クインテットの作品が 2 枚入っているが、前 ビーのシンセが楽しそうに駆け巡る。次いでクールなハー 年の『フィーツ』(27 作目)が全編ディスコ・ミュージッ ビーのエレピ・ソロも格好いい。そして「4AM」は、遂 クでガックリしたハービー・ファンには本作を聴いて胸の にジャコ・パストリアス(b)とハービー・メイソン(ds) すく思いがするはずだ。「やはりハービーは、こうでない が登場する。これは、『サンライト』(1977 年~78 年)の といけない」と。 セッションだろう。珍しくジャコは、バックに回って派手 本作は今までの様々な未発表テイクにハービーが手を な動きをしない。まるでアンソニー・ジャクソンのようだ。 加え、少し新録も入れたアルバムで、意外と人気の高い云 静かに盛り立てながら、要所でクライマックスのおぜん立 わばハービーの「裏名盤」である。なんといっても嬉しい てをする。これぞプロの仕事である。淡々とハービーを乗 のは、全編インストゥルメンタル・アルバムで、ハービー らせる職人芸は流石である。「シフトレス・シフトレス」 がキーボードを弾きまくっていること。 は、ハービー曰く「『ヘッドハンターズ』の未発表テイク」 1 曲目の「スパイラリング・プリズム」は、バイロン・ とのこと。しかし日本で録音した『ダイレクト・ステップ』 ミラー(b)、レオン・チャンクラー(ds)などのメンバー に収録されていた曲なので、我々日本人は既に知っていた。 から推定すると、『サンライト』(1977 年~78 年)のセッ どんどん盛り上がっていく曲だが、ハービーのエレピの暴 ション。ゆったりしたビートにハービーのシンセが乗って、 れ方、爆発力が実に気持ちいい。ラストの「テクスチャー 心地好い。やがてエレピが絡み、シンセが躍動し、リズム ズ」は、このアルバムのために新たに録音された唯一の曲。 も動きが活発になる。「カリプソ」は、ロン・カーター(b) ハービーがすべての楽器を演奏している。ドラムは、「リ とトニー・ウイリアムス(ds)に、シーラEが加わった演 ン・ドラム」を使用。ジャケットにも「すべてのブラス・ 奏だ。おそらく『ハービー・ハンコック・トリオ』(1977 パート、ストリング・パート、リード・ギター、スティー 年)の演奏に、ハービーのシンセとシーラEのパーカッシ ル・ドラムなどは、ハービーがシンセサイザーでプレイし ョンを追加したもの。トニーのエネルギッシュなドラムに ている」と書いてある。「テクスチャーズ」は、とても一 乗って、ハービーが縦横に疾走する。そうそう。こういう 人とは思えぬ見事な演奏。シンセに生ピアノが絡み、美し ハービーが聴きたかったのだ。「ジャスト・アラウンド・ いサウンドになっている。 コーナー」は、『モンスター』(1979 年~80 年)のときの

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【One of Another Kind / 楽曲解説】 解説 by 田中 裕士(Pianist)

■録音データ

収録 CD : Live under the Sky / V.S.O.P. The Quintet

1979 年 7 月 26 日 Recorded Live : 田園コロシアム / 東京 Herbie Hancock(pf), Ron Carter(b), Tony Williams(ds) Freddie Hubbard(tp), Wayne Shorter(ts) ■V.S.O.P. The Quintet について

このグループは、ハービー・ハンコック氏の元マネジャー兼プロデューサーであった、デヴィッド・ルービソン氏が提案し

たアイデアで、その意図は 1976 年にハービーのグループが Newport Festival に出演した際に、ハービーの持つ音楽的多

彩さを聴衆にアピールする為に、Head Hunters や VSOP といった多様な音楽スタイルをプレゼンテーションしようといった企

画がその始まりであったと聞いている。

“Very Special Onenight Performance” というグループ名の如く、たった一夜のスペシャルセッションのはずであったが、

この時の演奏内容があまりにも素晴らしく、多くのファンの要望もあって、その後パーマネントグループとしての

『V.S.O.P.Quintet』 が結成され、1976 年〜1979 年迄の4年間に渡り世界各国で活動することになったそうである。演奏形態、

その音楽的主眼は、1965〜1969 年の Miles Davis Quintet にとても近いものがある。当時のマイルスクインテットからマイル

スが抜けて、フレディ・ハバードが入団したという形が、この 『V.S.O.P.Quintet』なるグループとなるわけである。 ■豪雨の中の Live Under the Sky 1979

使用音源は 1979 年の豪雨の中の田園コロシアム(現在は閉鎖)での壮絶なライヴパフォーマンスの記録で、この公演を目の当

たりにした愛好家ファン達の中では、“生涯忘れることのできない伝説のライヴ“として個々の命に刻み込まれ語り継がれている。

この演奏が行われた当時、ハービーが39歳、ウェインが46歳、フレディが 41 歳、 ロンが42歳、トニーが34歳であった

と記憶するが、会場の田園コロシアムでは豪雨にも関わらず、観客は傘をさし、雨合羽を着用し、この凄まじい5人のパフォーマ

ンスに歓喜絶叫していた様子は、その記録音源(CD)からも十分に毛穴で感じ取ることができよう。仮にこの状況下で、キース・ジ

ャレット・トリオがバラード曲から演奏を始めていたなら(?)などと意地悪な仮定をしてしまうと、このような伝説になるような

感動的な野外ライブにはならなかったのではなかろうかと私はほぼ推測する。

(苦笑)--1979 年当時弱冠16歳であった私は、関西在住であったので、この公演を生で拝聴拝見することは叶わなかったが、

ほぼリアルタイムの 2 週間後に FM のオンエアで拝聴し、あまりの衝撃に感性を鷲掴みにされ、痛くショックを受けたことは一生

忘れることのできない貴重なジャズの原体験の1つでもある。 ■楽曲構造、ハーモニーチェンジについて

フレディ・ハバードの作曲による壮大なスケールの楽曲である。同じく、フレディが書いたオリジナル曲に“One of a

Kind”という曲が存在する。(タイトルが似通っているが)この2曲は全く異なる楽曲である。今回取り上げたこの曲“One

of Another Kind”は、私自身も東原力哉(drums)Group に在籍していた25歳〜29歳の頃、好んで演奏した懐かしい想

い出がある。

まず、主題は25小節からできている、ハーモニーチェンジは以下の通りである。

11 【Chord Changes of Theme】 ┃ FM7(♭5) ┃ ┃ Am7 ┃ ┃ ┃ Dm7 ┃ ┃ B♭M7(♭5) ┃ ┃ ┃ G♭M7(♭5) ┃ ┃3/4 ┃ G7 sus4 ┃3/4 ┃ ┃ A7 sus4 ┃ ┃ B♭7 sus4 ┃ G7 ┃ ┃ Fm7 ┃ ┃ Fm7 ┃ ┃ ┃ Fm7 ┃ ┃ E♭M7(#5) ┃ ┃ (25 bars) 【Chord Changes for Improvisation】 ┃ FM7(♭5) ┃ ┃ Am7 ┃ ┃ ┃ Dm7 ┃ ┃ B♭7 sus4 ┃ ┃ ┃ G♭M7(♭5) ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ Gm7 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ Gm7 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ Fm7 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ Fm7 ┃ ┃ E♭M7(#5) ┃ ┃ (28 bars) ハービーによるアブストラクトなピアノイントロダクション、次いでロンがオスティナ—ト(反復ベースラインパターン)を

奏でる。A-Aeorian(エオリアン)モードによるどこかオリエンタルな趣きのラインが印象的である。トニーが、リズムにより

生命力を与え、主題提示を迎え入れる準備が整う。ウェインとフレディがユニゾンで荘厳な主題を奏でる。瞬間、聴衆の多く

は鳥肌と伴に歓喜の絶叫を上げる。このクインテットだけがなし得るエクスタシーの瞬間である。主題は2回反復され、いよ

いよ個々のインプロヴィゼイションへと突入してゆく。個々が繰り広げる宇宙大スケールのインプロヴィゼイション観は壮大

で、自由で、あまりにも素晴らしい。 ■ハンコックのインプロヴィゼイションパートについて

ジャズコンボにおけるアートフォームである「各奏者に受け継いでゆかれる個々のインプロヴィゼイション」は、各奏

者が燃焼しきるマラソン的なものよりも、より「駅伝的なチームワーク」が望ましいと私は考える。(60年代の Miles

Davis Quintet がそうであったように、、、) The V.S.O.P. Quintet(特にこの演奏)では20分にも及ぶパフォーマンス

の中で、フレディ(trumpet)のインプロヴィゼイション部分に重心があり、その後のウェイン(s.sax)は自身のインプロヴ

ィゼイションで完結しようとはせずに(Interlude も挟まず)、ハービーにそのバトンを渡すが、どうやらその『連携プ

レー』の想いは100%反映されてはいない音楽的内容でハービー自身は終結してしまい、トニー(drums)に繋いでしま

います。結果として、trumpet 50%、s.sax 30%、piano 20% -- というような熱の配分でドラムソロに突入となってしま

っています。勿論、野外豪雨の中の Jazz Fes.という現況を考えると、このワイルドさも Jazz の魅力なのさ –と言って

しまえばそれもよし。しかし、60 年代の Miles Davis Quintet に見られたその(個々のインプロヴィゼイションがセパ

レートに完結をなさないという)連携プレーに、ある意味タイムレス(永遠)な音楽美を感じる聴衆にとっては、いささ

か不満足な内容といえるかもしれない。私的所感としては、フレディ(trumpet)はご自身の作曲による楽曲をオールスタ

ーメンバーで演奏できると張り切ってしまい、ついついオーバーブロー気味なインプロヴィゼイションをとってしまい、

ウェイン(s.sax)は、ハービー(piano)との連携での音楽構築完結を目指したが、その意思も100%は継承されず不完全

燃焼でドラムソロへと、トニー(drums)は持ち前の精神的タフネスとそのタレント性を存分に生かし野外聴衆を歓喜させ、

12 最終主題提示に戻ったという構築のライブパフォーマンスであったように私には聴こえる。蛇足事項だが、この楽曲は私

自身も大好きな題材で、27 歳〜32 歳の頃、東原力哉(drums)Quintet に在籍していた当時、頻繁に演奏していたので、た

っぷりの愛着感と親近感を今もなお感じている。 ■Herbie Hancock ががが語 が語語語るるるる““““MilesMiles Davis QuintetQuintet””””

〜〜〜 V.S.O.P. the Quintet ののの音楽的類似性の音楽的類似性

以前、ハービー自身がマイルスクインテットの全盛時代について、臨場感溢れる体験談をインタヴューで話してくれたこと

があり、これはかなり興味深い話の内容であった。この V.S.O.P. The Quintet のバンドスタンド(舞台上)で瞬間瞬間に起

こっている音楽的マジック(魔法)が、いったいどのような体感なのか?ということについて、1967 年の原体験が、その 12

年後の 1979 年に再び体験!--という視点から読むと、V.S.O.P. The Quintet の魅力を垣間見れることにもなると確信するの

で、そのインタヴュー内容を一部抜粋引用させていただくことにより、2グループの類似性を感じ取っていただければ幸いで

ある。 Aug.2011 田中 裕士(Pianist)

【以下、インタヴュー@ハービー・ハンコック談】 『Live at プラグド・ニッケル』を録音当時(1967 年)、ウェインは34歳、ロンは30歳、トニーは弱冠2 2歳だった。私も若くて25歳だった! エネルギーが一番激しく燃焼する時代だよね。そればかりでなく、 この時のメンバーはみんな最高の人間関係でつき合えたんだ。音楽だけではなく、人間としてみんな気持ち が通じる関係になり合えた。こういう人間同士の出会いはそれぞれの人生で稀にしか起きない。出会った瞬 間から全てがパーフェクトに作用し始めたんだ。バンドの音楽は短期間のうちにみんなが面白がるほど急ピ ッチで飛躍、発展し始めた。(中略)しばらくすると、何でも信じられないぐらいに難しいことが自由自在に やれるバンドになった。不可能はないというようなバンドにいっきに昇りつめてしまったんだ。(中略)あの 当時は、音楽的に相手の意表をつくような冒険的なこともたくさんやった。どんなに大胆なことをやっても、 みんなの創造力があまりにも高かった為に、不思議にそれが自然に融け込んで、かえって音楽に生気が生ま れた。(中略)それほど、あの当時のマイルスクインテットはスペシャルだったんだよ! (インタヴュー協力:ブルーノート東京) 以上

アナログにこだわる、銀座の老舗 「JAZZ COUNTRY」

東京都中央区銀座6-2-6 TEL.03-3572-7684 営業時間:コーヒータイム PM0:00~5:00(土曜日のみPM2:00~) バータイム PM7:00~11:00 休み:日曜祝日(バータイムは土曜日も) 交通:営団銀座線、丸の内線、日比谷線「銀座」駅、JR「有楽町」駅他 メニュー:コーヒータイム 珈琲・紅茶 500 円、ビール 700 円 バータイム ボトル 8000 円(チャージ 3000 円)

13 マイルスマイルス・・・・デイビスデイビスデイビス初来日初来日初来日((((196419641964年年年年))))とととと

「「「第「第第第111 回世界回世界ジャズフェスティバル ジャズフェスティバルジャズフェスティバル」」」」

高木信哉

「第 1 回世界ジャズフェスティバル」の日程表 A グループ(マイルス) B グループ C グループ 7/10(金) 名古屋市公会堂 新宿厚生年金ホール 大阪フェスティバルホール 7/11(土) 大阪フェスティバルホール 名古屋愛知文化講堂 東京日比谷野外音楽堂 7/12(日) 東京日比谷野外音楽堂 大阪フェスティバルホール 名古屋愛知文化講堂 7/13(月) 大阪フェスティバルホール 新宿厚生年金ホール 休み 7/14(火) 東京新宿厚生年金ホール 京都円山音楽堂 休み 7/15(水) 京都円山音楽堂 札幌スポーツセンター 新宿厚生年金ホール 7/16(木) ― ― 札幌スポーツセンター

マイルス・デイビス(当時 38 歳)は、「東京オリンピック」(1964 年 10 月 10 日~24 日)の開催された 1964 年の 7 月 9 日(木)午後 4 時、「第 1 回世界ジャズフェスティバル」の出演者の一員として、待望の初来日を果たした(羽田空港 着)。 バンドのメンバーは、ハービー・ハンコック(24 歳)、ロン・カーター(27 歳)、トニー・ウイリアムス(18 歳)、サム・ リバース(40 歳)という最高の布陣を伴っていた。 7/14(火)の東京新宿厚生年金ホールのライブは、『マイルス・イン・トーキョー』というタイトルで、1969 年 7 月 6 日に 幸いLP化された。 そして今年になって、DOMINO RECORDS というレーベルより『The Unissued Japanese Concerts』というアルバムがリ リースされた。 その中身は、7/12(日) 東京の日比谷野外音楽堂と 7/14(火) 京都の円山音楽堂のライブが 2 枚組で収まられていた。特 に京都の円山音楽堂のライブは、『マイルス・イン・トーキョー』より演奏内容がよく、ファンを歓喜させた。 一体マイルスが登場した「第 1 回世界ジャズフェスティバル」は、どういうものだったのだろうか?検証を試みたい(ち なみに「世界ジャズフェスティバル」は、1 回だけで終わってしまった)。

マイルスは A グループ。A グループは、5つのバンドが参加した。 ① マイルス・デイビス・クインテット ② カーメン・マクレエとトリオ ③ J.J.ジョンソン・オールスターズ:J.J.ジョンソン(40 歳)クラーク・テリー(43 歳) ソニー・ステット(40 歳)秋吉敏子(34 歳)他 ④ ウイントン・ケリー・トリオ:ウイントン・ケリー(32 歳)ポール・チェンバース (29 歳)ジミー・コブ(35 歳) ⑤ 松本英彦カルテット:松本英彦、菅野邦彦、鈴木勲、ジョージ大塚 14

※従って一晩のコンサートに、4 グループが出演したため、マイルス・クインテットの 演奏も 1 時間弱と短かった。しかし演奏は最高だった。

B グループには、3つのバンドが参加した。 ① デュークス・オブ・ディキシーランド ② レッド・ニコルス(59 歳)と5ペニーズ ③ ジーン・クルーパ・オールスターズ:ジーン・クルーパ(55 歳)チャーリー・ベンチュラ(ts)エドモンド・ホー ル(cl)エディ・ディハウス(b)ジーン・バンチ JR(p) ダコタ・スティトン(vo)

C グループには、日米のビッグ・バンドが参加した。 ① トミー・ドーシー・オーケストラ トミー・ドーシー(tb,1905 年 11 月 19 日生まれ)は、1956 年 11 月 26 日、享年 51 歳の若さで亡くなったが、それ でもトミー・ドーシー・オーケストラの人気は全然落ちなかった。長年、トミー・ドーシーの片腕で活躍したサック ス奏者サム・ドナヒュー(46 歳)がオーケストラを引き継いだ。 オーケストラのメンバーは、合計 16 名。 そこに 6 名の歌手が加わる。 ジェニーン・ドナヒュー(女性歌手) フランク・シナトラ JR(男性歌手・シナトラの長男) パイド・パイパース(歌手 4 名のボーカル・グループ) ※戦後、日本に最初に登場したジャズ番組は、NHK の「ニュー・パスフィック・アワー」だった。そのテーマ曲が 「ドリーム」という美しい夢のような曲だったが、それを歌っていたのが、パイド・パイパースだった。 さらにゲストが 2 名加わった。 ルイ・ベルソン(ds,39 歳) チャーリー・シェバース(tp,46 歳) →1953 年 JATP 来日公演に次ぐ 2 度目の来日。 ② 原信夫とシャープス・アンド・フラッツ さて 7 月 14 日に行われた東京新宿厚生年金ホールのマイルス・クインテットの演奏は、ラジオのニッポン放送が中継 した。幸いそのテープがアルバム化され、『マイルス・イン・トーキョー』というタイトルで、1969 年に発売された。そ してマイルスの代表曲「ソー・ホワット」は、シングル盤でも発売され、表・裏で 1 曲が収録されていた。 A グループのコンサートのトリ(最後のステージ)は、最大の人気を誇るマイルス・デイビスが飾ることになっていた が、初日(名古屋)の朝になって、突然トップ・バッターに変更された。これは、サウンド・チェックが終わってから、 楽屋でずっと待っているのをマイルスが「嫌だ」と文句を言ったからだ。だから見に行った人々は、いきなりマイルスが 登場してビックリ仰天した。 ツアーの中で、最も良い演奏となったのは、7 月 15 日の京都円山音楽堂である。マイルスの演奏が始まると雨が降り 始めた。円山音楽堂は、昭和 2 年に出来た野外音楽堂である。

3000 人が収容できる。雨は次第に強まっていったが、素晴らしい演奏に誰も席を立たなかった。京都の聴衆のほとんど は傘もささず、聴きいっていた。マイルスの演奏が終わり、マイルスが花束を受け取ったのち、カーメン・マクレエが「ヒ

アズ・ザット・レイニー・デイ」を歌い始めた途端、なぜか雨はピタリとやんだ。

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RECORD CONCERT(例会)REPORT [[[2010[20102010年年年年5555月月月月22222222日日日日「「「「ジャズジャズジャズ・・・・カントリーカントリーカントリー」]」]」]」] 特集特集特集:特集:::フィリーフィリーフィリー・・・・ジョージョージョー・・・・ジョーンズジョーンズ 担当:フィリー城

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[[[2010[20102010年年年年6666月月月月11111111日日日日「「「「喫茶喫茶喫茶喫茶 茶会記茶会記」]」]」]」] リーダー アルバムタイトル レーベル 録音録音録音 1 John Louis Grand Encounter 1956 2 Sonny Rollins +4 1956 3 Kenny Dorham Monaco Blue 4 Johnny Griffin The Congregation 1957 Note At The Stradford Oscar 5 Shakespearean Verve 1956 Peterson Festibal The Swinging 6 Tal Farlow Verve 1956 Guitar --- 休憩 Blue 7 Hank Mobley And His All Stars 1957 Note Chet Baker & Pacific 8 Play Boys 1956 Art Pepper Jazz 9 Nat King Cole After Midnight Capitol 1956 At The Hickory Blue 10 Jutta Hipp 1956 House Note 11 Miles Davis Relaxin' Prestige 1956 12 Art Farmer Farmer 's Market Prestige 1956 13 John Coltrane Coltrane Prestige 1957 14 Hal McKusick Triple Exposure Prestige 1957 A Night At Village Blue 15 Sonny Rollins 1957 Vangard Note

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[ 20102010年年年年6666月月月月26262626日日日日「「「「ジャズジャズジャズ・・・・カントリーカントリーカントリー」]」]」]」] UKUKUKジャズジャズで でででゴキゲンゴキゲンゴキゲン伺伺伺伺いいいい by 石井宏一 同じ英語圏でもイギリスでは 40 年代中期からディキシーのリバイ バルがあり、アメリカではこの時期にすでにスイングを経て bebop の ムーブメントの最中にあったことを鑑みると、状況はややズレていま した。さらにジャズとロックの境目がアメリカほど明確ではなく、多 くのミュージシャンが両ジャンルで活躍してきました。他のヨーロッ パ諸国と比べて、クラシック音楽の影響が少ないという特徴もありま す。1960 年前後には優れたミュージシャンを輩出するようになりま すが、今回は、UK ジャズの黄金時代とも言うべき 60 年前後を中心 に、それ以降を少々加えてお聞きください。

Stan Tracey(p,vib) フルネームは Stanley William Tracey。1926 年 12 月 30 日ロンドンのトゥーティング生まれ。12 歳 からピアノを習い始め、16 歳のときプロデビュー。アコーディオンとピアノを担当しながら、さ まざまな楽団で経験を積み、モンクやエリントンのスタイルを取り入れて演奏活動を続けるいっぽ うで、作・編曲者としても活躍。 1.Cookin'! Recorded:"'s Club",,England,November 13-15,1961 (tp-1)/Zoot Sims(ts)/Ronnie Scott (ts -1)/StanStan Tracey(p)Tracey(p)/ (b)/Jackie Dougan(ds) Side-A 3. Somebody Loves Me

2.Alice In Jazz Land Recorded:March 8&9,1966 (Columbia SCX6051).CD:Resteamed Records (RSJ102)CD Stan TraceyTracey(comp,arr,p)/Kenny Baker(tp)/Eddie Blair(tp)/(tp)/Les Condon(tp)/(tb)/Chris Smith(tb)/Wally Smith(tb)/Alan Branscombe (as)/Ronnie Baker(as,cl)/Ronnie Scott(ts)/Bobby Wellins(ts)/(bs)/(b)/Ronnie Stephenson(ds)/(ts)/Ken Wheeler(tp) 2.Afro Charlie Meets The White Rabbit/5.Teatime Gavotte

Don Rendell(clt,ss,ts,flt) 1926 年 3 月 4 日、イングランドのプリマスに生まれる。Tubby Hayes と双璧をなすテナー奏者で、 かつマルチ・リード奏者。UK ジャズの不朽の名盤と頌えられる 1966 年の「Dusk Fire」で有名だが、 50 年代から Ronnie Ross (ts)、(ds)などのプレーヤーと共演。Jazz Six、Jazz Committee や との双頭バンドなどを組んで活躍する。

Ian Carr(tp) 1933 年 4 月 21 日スコットランドのダムフリーズに生まれ、 2009 年 2 月 25 日没(75 歳) 兄は Mike Carr。1952 年から 1956 年までキングスカレッ ジで学び、ニューカッスル大学で英文学を専攻した。17 歳 のとき独学でトランペットを始め、1960 年から 1962 年ま で兄とともに EmCee Five として活動。63 年から 69 年ま では と組んで Rendell–Carr quintet として活 動。

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3.Playtime Recorded:London,13,14 March 1958(Decca LK4265, DFE6501, Vocalion 4284) CD Don Rendell Jazz SixSix:DonDon RendellRendell(ts)/Eddie Courtley (tp)/Eddie Harvey(tb,p)/Ronnie Ross (as,bs)/Peter Blannin (b)/Andy White (ds) 2.Packet of Blues/4.It's Playtime

4.Emcee Five 2 Recorded:Morton Sound Studio,Newcastle June,1961/Club A Gogo Newcastle Oct 15 1962 Emcee Five:IanIan CarrCarr(tp)/Gary Cox(ts)/Mike Carr(p)/John Butts(b)/John O'carroll(b)/Ronnie Stephenson(ds) Side-A 3.Blues for Lou

5.Shades of Blue Recorded London, October 1,2,1964. (Columbia 33SX 1733) CD Colin Purbrook(p)/David Green(b)/DonDon RRendellendellendell(clt,ss,ts,flt)/Michael Garrick(p)/ Trevor Tompkins(ds) 1.Blue Mosque/2.Latin Blue

6.Dusk Fire Recorded March.16,17.1966. (Columbia SX 6064) CD Ian CarrCarr(tp)/DonDon RendellRendell(ts,ss)/Michael Garrick(p)/Dave Green(b)/Trevor Tompkins(ds) Side-A 1.Ruth(6:20)

7.Live at the Union Recorded:University College,London Dec12.1966 CD Don RendellRendell(sax,fl)/IanIan CarrCarr(tp,flh)/Michael Garrick(p)/Dave Green(b) Trevor Tompkins (ds) 1.On(6:30)

8.Phaze III Recorded: Feb.23.1967 CD David Green(b)/DonDon RendellRendell(clt, flt,ts, ss)/Michael Garrick(p)/(ds) 1.Crazy Jane

9.Change Is Recorded: London March 20 & April 16,1969(Columbia SCX 6368)CD David Green(b)/DonDon RendellRendell(ts,ss,flt)/IanIan CarrCarr(tp,flh)/Jeff Clyne(b)/Michael Garrick(p,Harpsichord)/Mike Pyne(p)/Stan Robinson(ts,clt)/Trevor Tomkins(ds)/Guy Warren(Bells,Maracas,Talking Drum) 6.Mirage 21

…中入り… Tubby Hayes(ts,vib) フルネームは Edward Brian "Tubby" Hayes。1935 年 1 月 30 日ロンドン、セントパクラス生まれ。73 年 1 月 8 日ロンドンのハマースミスにて没(37 歳)。イギリスを代表するテナー奏者。 10.Couriers Of Jazz! Recorded:London, early January 1958 原盤は「Tubby Hayes And 」 (London LTZ-L15188)) Tubby HayesHayes(ts)/Ronnie Scott(ts)/Terry Shannon (p)/Jeff Clyne(b)/(ds) Side-B 3.MY Funny Valentine

11.Tubby Hayes Return Visit Recorded:New York, June 23, 1962 Tubby HayesHayes(ts,vib)/Jimmy Gloomy(ts,flt)/Roland Kirk (ts,flt, Nose-Flute, Manzello & Stritch)/Walter Bishop Jr.(p)/Sam Jones(b)/Louis Hayes(ds) Side-A 2.I See My Third "I"

12.Tubbs' Tours Recorded:London, April 20 & 24,1964(Fontana TL 5221 | 983 1886)CD Jimmy Deuchar(tp, mellophone)/Ian Hamer, Les Condon(tp)/Keith Christie(tb) Ken Wray(vtb)/Jackie Sharpe (bs, cl)/Ronnie Ross (as, bs, bcl)/Peter King, Bobby Wellins(ts, cl)/TubbyTubby HayesHayes(ts,fl,vib,timp)/Terry Shannon(p)/Freddie Logan(b) (ds)/Benny Goodman(cga, per) 5.Parisian Thoroughfare(Bud Powell)/9. Sasa-Hivi(P.King)

Dick MorrisseyMorrissey(ts,ss) フルネームは Richard Edwin "Dick" Morrissey 。1940 年 5 月 9 日イングランドのホーレー生まれ 2000 年 11 月 8 日イングランドのケントで没(60 歳)。テナーとソプラノサックスの演奏を行う傍 ら作曲もこなした。

13.It's Morrissey, Man! Recorded:April 27th, 1961 London, England(Fontana-Redial-EmArcy CD 558 701-2) Dick MorrisseyMorrissey(ts)/Stan Jones (p)/Malcolm Cecil(b)/Colin Barnes(ds) 8.Happy Feet/11.Willow Weep For Me

14.Here And Now And Sounding Good Recorded:London 196623 and 25 & 29 (Mercury 20093MCL) Dick MorrisseyMorrissey(ts)/(p)/Phil Bates (b), Bill Eyden(d) Side-B 1.Sunday Lunch/2.Little Miss Sadly(Stan Tracy)

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Peter KingKing(as,comp,clnt) フルネームは Peter John King 1940 年 8 月 23 日イーストロンドン生まれ。15 歳の時クラリネットを始めた が、チャーリー・パーカーに触発されてアルト・サックスに転向 58 年のロニー・スコット・クラブのオープ ニングでデビュー、71 年に「ビバップ・プリザベイション・ソサエティ」を結成。その後グループは解散す るが、バッパーとしての方向を突き進む。

15.Bebop Live Recorded:University College Music School in Hampstead England,May 27,1982(Spotlite SPJLP)CD Peter KingKing(as)/Art Themen(ts, ss)/Al Haig(p)/Kenny Baldock(b)/Allan Ganley (d) 1.Ornithology

16.East 34th Street Recorded:January 29th, 1983 (原盤 Spotlite SPJ524)CD Peter KingKing(as)/John Horler(p)/Dave Green (b)/(ds) 1.Reverse Thrust/2.East 34th Street

17.Hi Fly Recorded live at Le Plateau des Quatre Vent,Lorient, Brittany,France 4 March 1984 CD Peter KingKing(as)/Pete Jacobsen (p)/Riccardo del Fra(b)/Philippe Briand(ds)/Jakez Moreau (conga,on 2) 2.Hi Fly/ 5.Seven Steps To Heaven

John Taylor(p) 1942 年 9 月 25 日マンチェスター生まれ。 イギリスを代表するビアニスト。アラン・スキッドモア、ジョン・サーマンとの共演で 69 年に注目され、70 年代にはクレオ・レーン(女優、歌手)の伴奏者として活動、72 年から 73 年にかけて MPS スタジオで録音さ れた Decipher が注目される。77 年にトリオ AZIMUTH を結成した頃からロックでの活動が目立ったが、ヤ ン・ガルバレクやジョン・サーマン、ギル・エヴァンスなどと共演を重ね、ジャズでも活躍し続ける。

18.Decipher Recorded 1972 & 1973 at MPS Studio, Villingen, Germany John TaylorTaylor(p)/Chris Lawrence(b)/Tony Levin(ds) 1. Cipher/Wait for me

19.Whirlpool Recorded:October 21-22,2005,Ludwigsburg (Cam Jazz CAMJ7802)CD John TaylerTayler(p) Palle Danielsson(b)/ Martin Wrance(ds) 5.The Woodcocks/6.I Love You Porgy

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[[[2010[20102010年年年年7777月月月月9999日日日日「「「「喫茶喫茶喫茶喫茶 茶会記茶会記」]」]」]」] 特集特集特集:特集:::レーベルレーベルレーベル『IMPULSE』『IMPULSE』 リーダー アルバムタイトル 録音録音録音 Record No 1 McCoy Tyner Reaching Fourth 1962 A 33 2 Sonny Rollins Alfi 1966 A 9111 3 Clark Terry Spanish Rice 1966 A 9127 4 Oliver Nelson Sound Piece 1966 A 9129 Duke Ellington & A-30, 5 1962 John Coltrane AS-30 6 Diana Krall Love Scenes 1997 Rolf & Joachim Impressions Of 7 1967 A-9158 Kuhn Newyork John Coltrane & 8 1962-63 IMPU 233 Jony Hartman Art Blakey & Jazz 9 1961 A 7 Messengers 10 Lorez Alexandria The Great 1964 A 62 11 Archie Shp Magic JuJU 1967 AS 9154 12 John Coltrane Selflessness 1968 AS-9161 Kai Winding/J.J. 13 The Great 1960 A 1 Johnson

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2010年7月24日「ジャズカントリー」

担当:Y.T. 私の好きな 70 年代 JAZZ

1.THE JUMPIN BLUES/DEXTER GORDON(PRESTIGE PR10020) DEXTER GORDON(ts) WYNTON KELLY(p) SAM JONES(b) RAY BROOKS(ds) A.1)EVERGREENISH 2.BROOKLYN BROTHERS(MUSE MR5015) CECIL PAYNE(bs) DUKE JORDAN(p) SAM JONES(b) AL FOSTER(ds) A.3)JORDU 3.SONNY STITT/12(MUSE MR5006) SONNY STITT(as,ts) BARRY HARRIS(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds) A.4)OUR DELIGHT 4.BARNEY KESSEL/JUST FRIENDS(SONET SNTF685) BARNEY KESSEL(g) STURE NORDIN(b) PELLE HULTER(ds) A.1)JUST FRIENDS 5.BREAKTHROUGH!/CEDAR WALTON/HANK MOBLEY QUINTET (COBBLESTONE YS2783) CEDAR WALTON(p) HANK MOBLEY(ts) CHARLES DAVIS(bs,ss) SAM JONES(b) BILLY HIGGINS(ds) B.2)SUMMERTIME 6.SAM NOTO/ENTRANCE(XANADU103) SAM NOTO(tp) BARRY HARRIS(p) LEROY VINNEGAR(b)LENNY McBROWNE(ds) B.1)NOSTALGIA 7.MILT JACKSON/AT THE KOSEI NENKIN(PABLO MTS8018-9) MILT JACKSON(vib) TEDDY EDWARDS(ts) CEDAR WALTON(p) RAY BROWN(b) BILLY HIGGINS(ds) C.3)STOLEN MOMENTS 8.AL COHN ZOOT SIMS/MOTORING ALONG(SONET SNTF684) AL COHN(ts) ZOOT SIMS(ts) HORACE PARLAN(p) HUGO RASMUSSEN(b) SVENERIK NORREGAARD(ds) B.3)WHAT THE WORLD NEEDS NOW

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9.TOMMY FLANAGAN/MONTREUX(PABLO MTE1806) TOMMY FRANAGAN(p) KETER BETTS(b) BOBBY DURHAM(ds) B.1)MEDLEY 10.PAUL DESMOND(ARTISTHOUSE AH2) PAUL DESMOND(as) ED BIOKERT(g) DON THOMPSON(b) JERRY FULLER(ds) A.1)TOO MARVELOUS FOR WORDS 11.KENNY BURRELL/STORMY MONDAY(FANTASY SMJ6252) KENNY BURRELL(g) RICHARD WYANDS(p) JOHN HEARD(b) RICHIE GOLDBERG(ds) A.1)STORMY MONDAY BLUES 12.SCOTT HAMILTON/2(CONCORD CJ61) SCOTT HAMILTON(ts) NAT PIERCE(p) MONTY BUDWIG(b) JAKE HANNA(ds) CAL COLLINS(g) B.1)EVERYTHING HAPPENS TO ME 13.DEREK SMITH/LOVE FOR SALE(PROGRESSIVE 7002) DEREK SMITH(p) GEORGE DUVIVIER(b) BOBBY ROSENGARDEN(ds) A.1)LOVE FOR SALE 14.IDREES SULIEMAN/NOW IS THE TIME(STEEPLE CHASE SCS1052) IDREES SULIEMAN(tp,tb) CEDAR WALTON(p) SAM JONES(b) BILLY HIGGINS(ds) A.1)MIRROR LAKE 15.JUNIOR MANCE/LIVE AT THE SWEETBASIL(FLYINGDISC VIL6005) JUNIOR MANCE(p) GENE TAYLOR(b) BEN RILEY(ds) B.1)SUMMERTIME 16.CARMEN LEGGIO/TARRY TOWN TENOR(FAMOUS DOOR HL125) CARMEN LEGGIO(ts,as)JOHN BUNCH(p) MILT HINTON(b) BUTCH MILES(ds) A.1)BEGIN THE BEGUINE 17.CURTIS FULLER/FIRE AND FILIGREE(BEE HIVE BH7007) CURTIS FULLER(tb) SAL NISTICO(ts) WALTER BISHOP(p)SAM JONES(b) FREDDIE WAITS(ds) B.2)YESTERDAYS 18.ART PEPPER/LIVING LEGEND(CONTEMPORARY S7633) ART PEPPER(as) HAMPTON HAWES(p) CHARLIE HADEN(b) SHELLY MANNE(ds) A.1)OPHELIA 19.THE GREAT JAZZ TRIO /LOVE FOR SALE(EAST WIND EW8046) HANK JONES(p) BUSTER WILLAMS(b) TONY WILLIAMS(ds) B.1) SECRET LOVE

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[[[2010[20102010年年年年8888月月月月14141414日日日日「「「「喫茶喫茶喫茶喫茶 茶会記茶会記」]」]」]」] テーマテーマ::::20002000 年以降年以降の ののの録音盤録音盤録音盤をををを集集集集めてめてめてめて KJFC は日ごろ、過去の 50 年代・60 年代・70 年代のレコードを中心としたジャズには強いけれど も、最近の新譜レコードは弱いのではないだろうか、という疑問を抱いている人がいました。そこ で今夜は、少し大げさに言うと 21 世紀録音のジャズを集めてみることにしました。 1. The Rosenberg Trio Live/Louis Van Dijk(ICD 2004001) 2003 年録音 2. Bop Boy/Bob Mintzer(EXPLORE EXP0019)2002 年録音 3. Spain/Niels Lan Doky(Keystone VACY-1034)2002 年録音 4. North Bird/寺久保エレナ(Blue In Green KICJ585)2010 年録音 5. New York Lullaby/Francesco Cafiso(Venus TKJV-19166)2005 年録音 6. The Look Of Love/Peter Nordahl Trio(Arietta Discs SOLJ-0011)2002 年録音 7. Easy To Love/Roberta Gambarini(55 Records FNCJ-5511)2004 年録音 8. Waltz Red Side/Steve Kuhn(Venus TKCV-35307)2001 年録音 9. Kiss Of Fire/Harold Mabern trio(Venus TKCV-35301)2001 年録音 10. Stardust/Ron Carter(Somethin’else TOCJ-68053)2001 年録音 11. Maintain!/Fredrik Kronkvist(Connective CTVLP-36511)2004 年録音 12. Reeds and Deeds/Eric Alexander(Criss Cross 1283)2005 年録音 13. Nereness Of You/Mickael Brecker(Verve UCCV-1018)2001 年録音 14. Baroque/大西順子(Verve UCCJ-2081)2010 年録音 15. Braze Up/岡安芳明(King KICJ 452)2003 年録音 16. The Soul & Jazz Of/ Timo Lassy(Kicky Tick COCB-53656)2007 年録音

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[2010年8月26日「ジャズ・カントリー」] 『知られざる ピアニスト達 Vol.4』5人のDON+6 Y.S.

【はじめに】 このシリーズ、第一回目は「JOHN YOUNG 」・「JOHN WRIGHT」 、第二回目は「PAUL SMITH」・ 「FATHER TOM VAUGHN」、第三回目「GEORGES ARVANITAS」・「MICHEL SARDABY」と続けて きましたが、今回は「5人の DON+6」と題して、DON と名前のつくピアニストをまとめて紹介しようという 企画です。当初は5人の予定でしたが、持っているアルバム(LP・CD)の中にあと6人の DON さんが いる事が判明し、急遽追加しました。 最初の5人の中には DON FRIEDMAN のように「知られざる ピアニスト達」に入れるのは失礼な、メ ジャーなピアニストもおりますが、この際一人でも多くのピアニストを紹介したいのでご了承下さい。 今回の特集を組むにあたって、11 人のピアニストのアルバムを一通り聴きましたが、白人あり黒人 あり録音年も多種なので、バラエティに富んだピアニスト達のいろいろな曲を楽しんでいただける事と 思います。 特に解説はいたしませんので、ドリンクを飲みながらくつろいだ雰囲気でお聴き下さい。 ①①① Don Shirley 1927 年 1 月 29 日キングストン(ジャマイカ)で生まれる。2歳でピアノを演奏し始め、その後レニング ラード音楽院で勉強する。45 年にボストン・ポップスでデビュー。54~68 年の間はソリストとして交響 楽団で活躍し、ピアノのための作品も作曲した。ジャズでは彼自身のトリオで演奏し、50 年代と 60 年 代を通して Cadence レーベルで多数のアルバムを発表した。(All Music Guide より)

② Don RaRandindindindi 1937 年 2 月 25 日 NYC 生まれ。父親がショウ・ビジネスの世界にいて、レストランを経営したりしてい たため、小さい頃からクラシック・ピアノを長いこと習っていた。やがて 54 年に 17 歳でロスアンジェル スに移り、ロスアンジェルス音楽院へ入学し2年間勉強、さらに LA 市立大学へ通った。 ジャズ・ピアニストとしてスタートしたのは 57 年に入ってで、ジャズ・スポットとして有名な「ザ・サーフ・ クラブ」に出演、1年半ばかり専属として過ごす。その後も様々なクラブで演奏し、60 年に「FEELIN’ LIKE BLUES」を吹き込む。何作かのアルバムを録音した後、「ベイクド・ポテト」を開店し、フュージョ ン路線で 10 枚弱の録音を残している。(LP 解説より抜粋)

③ Donald (Don) Ernest Friedman 1935 年 5 月 4 日カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。50 年代初頭からデクスター・ゴードン、 ショーティ・ロジャース、バディ・コレット、バディ・デフランコ、チェット・ベイカーらと西海岸で共演。58

28 年にNYにのぼり、ペッパー・アダムス、テディ・コティックらと共演。59 年ディック・ヘイムズの伴奏者 などの活動を経て、61 年ビル・エバンスに続く知性派白人ピアニストとして Riverside からデビュー・ア ルバム「ア・デイ・イン・ザ・シティ」、翌年代表作の「サークル・ワルツ」を発表。 その後は自己のトリオを率いる一方、65 年ハービー・マン、67 年クラーク・テリー楽団などにも参加。 以後地道な活動が続いたが、75 年日本で再評価され、EastWind に約 10 年ぶりのリーダー作「ホー プ・フォー・トゥモロウ」を録音。 以下日本制作の Progressive 盤数作が続いた。70 年代以降はアメリカ及びヨーロッパで主にソロ・ピ アノでの活動を続けている。なお、中山英二とのディオなどで日本ツアー、レコーディングもしている。 (新・世界ジャズ人名辞典より)

④ Don Scaletta 生年月日不明。底抜けの明るさと気安さが売りか。カレッジ・ジャズという言葉を思い出した。キャピト ル盤は白いラムゼイ・ルイスといった感じ。ヴァーヴの「ライブ・アット・トライデント」は場所のせいかデ ニー・ザイトリンの「トライデント」のライブ盤にちょっと雰囲気が似ている。(ピアノ・トリオ1600より)

⑤ Don Gabriel Pullen 1944 年 12 月 25 日バージニア州ロアノーク生まれ。リチャード・エイブラムス、ジュゼッピ・ローガンに ついて音楽を学ぶ。64 年にジュゼッピ・ローガンのグループでレコード・デビュー。自己のグループ、 ミルフォード・グレイブスとのデュオで活動。また多くのR&Bバンドでオルガン奏者としても活躍した。 70~71 年にニーナ・シモン、74 年にアート・ブレイキー、73~75 年にチャーリー・ミンガスと共演。79 年以降はジョージ・アダムスと双頭コンボを率いて活動。ハード・バップからニュー・ジャズまでこなす バーサタイルなピアニスト。代表作は「ファイブ・トゥ・ゴー」(Horo)、「永遠の歌」(Blue Note)。(新・世界 ジャズ人名辞典より)

⑥ Don Thompson 1940 年 1 月 18 日カナダ生まれ。65 年モンタレー・ジャズ祭で本格デビュー。60 年代末には 2 年間 ロスで活動。その後カナダに戻りトロントを本拠地としてポール・デスモンド、バーニー・ケッセル、ブ ルー・ミッチェル等と共演。トロントのクラブ「バーボン・ストリート」のハウス・リズム・セクションを務め、7 4年にはジム・ホール3に参加した。80 年代に入ってからはジョージ・シアリングとのデュオでも活躍。 代表作としては「カントリー・プレイス」(PM)、「ビューティフル・フレンドシップ」(Concord)の他、「ライ ブ・アット・ザ・カフェ・カーライル」(Concord)等がある。(新・世界ジャズ人名辞典より)

⑦ Don Ewell (Donald Tyson) 1916 年 11 月 14 日メリーランド州バルチモア生まれ、83 年 8 月 9 日死亡。 ドン・ユールは、アメリカでスライドのスタイルを専門に演奏をしていた数少ないピアニストの一人。カ サ・ロマ楽団のトロンボーン奏者エド・リンチとは兄弟。36~40 年ローカル・ミュージシャンとして活動 し、戦後ニューオリンズでバック・ジョンソン、ジョージ・ルイスらと共演、その後ドック・エバンス、シド ニー・べシェ、マグシー・スパニア他の楽団を経て、52年エディ・ウイギンズ、53 年リー・コリンズ、53 ~55 年キッド・オリー、56 年にジャック・ティーガーデン楽団に参加し、64 年にリーダーが亡くなるま で在団。その後ニューオリンズに戻り、ホテルやクラブに出演、海外ツアーを定例とするなど活動を 続けた。自己の作品に「ミュージック・トゥ・リッスン・トゥ・ドン・ユール・バイ」(Good Time Jazz)。(新・世 界ジャズ人名辞典 他)

29 ⑧ Don Bennett 1941 年 8 月 14 日生まれ。4 歳でピアノのレッスンを始め、50 年代後半にアーマド・ジャマルの影響を 受けた。60 年代にシカゴからロサンゼルスに引越し、フィニアス・ニューボーンと勉強をし、ハロルド・ ランド等と仕事をした。78 年から音楽の仕事から遠ざかっていましたが 88 年に復帰し、90 年代に CANDID でアルバムを発表している。(All Music Guide より)

⑨ Don Grolnick 1948 年 9 月NYロングアイランド生まれ。96 年 6 月死去。8 歳の頃からピアノを始め、中学に入ると ジャズに親しむようになった。タフツ大学在学中にカレッジ・バンドの一員としてノートルダム・ジャズ 祭に出演、注目を浴びる。卒業後NYをベースに活動を開始。 71 年にはフュージョン草分けのスーパーバンド、ドリームスにも加わっている。その後、ロック、ポップ 系のレコーディングにも数多く参加、一方でブレッカー・ブラザーズなどのメンバーとしても活動したり した。また 79 年にステップスの結成にも加わっている。85 年にはヒップ・ポケットよりリーダー作も出し ている。代表作は「ハーツ・アンド・ナンバース」(HipPocket)、「スモーキング・イン・ザ・ピット」(Better Days)。(新・世界ジャズ人名辞典より)

⑩ Don Preston 1932 年 12 月 21 日生まれ。50 年代初期に軍隊生活を送っている時ハービー・マンと演奏し、50 年 代後半にロサンゼルスに引越す。59 年にはチャーリー・ヘイデンと共演。67~74 年はフランク・ザッ パと活動し、71 年にはギル・エバンスのツアーに参加。(All Music Guide より)

⑪ Don Grusin 1941 年 4 月 22 日コロラド州デンバー生まれ。デイブ・グルーシンの弟。兄と同様幼時からピアノを学 び 60 年代からセションマンとして活動。70 年代にはクインシー・ジョーンズのオーケストラなどで演奏 後、78 年から兄が設立したGRPレーベルの一員としてリー・リトナーやGRPオールスターズなどのプ ロジェクトに参加。79 年には日本製作の初リーダー作(JVC)を録音している。80 年代には主に自己の グループを率い、「IOK-LA」(JVC)がある。(新・世界ジャズ人名辞典より)

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① DON SHIRLEY アルバム・リアルバム・リスト ストストスト 曲 順 タイトル レーベル 録音 1 DON SHIRLEY AUDIO FIDELITY 1957 LP 111 ♪SATIN DOLL 3:52 2 PIANO PERSPECITIVES CADENCE ? LP 222 ♪I CAN'T GIVE YOU ANYTHING BUT LOVE 4:15 3 ORPHEUS IN THE UNDERWORLD CADENCE ? LP

4 PIANO ARRANGEMENTS OF FAMOUS SPIRITUALS CADENCE 1960 LP

5 PRESENTS MARTHA FLOWERS CADENCE 1960 LP 333 ♪LOVE WALKED IN 4:00 6 DROWN IN MY OWN TEAES CADENCE 1961 LP

7 WATER BOY COLUMBIA ? LP 444 ♪THE MAN I LOVE 4:23 8 POINT OF VIEW COLLECTARLES 1972? CD 555 ♪ALFIE 3:28

② DON RANDI アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 FEELIN' LIKE BLUES WORLD PACIFIC 1960 LP 666 ♪SUMMERTIME 5:12 2 WHERE DO WE GO FROM HERE ? VERVE 1962 LP 777 ♪AUTUMN LEVES 6:30 3 LAST NIGHT VERVE 1962 CD 888 ♪SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE 4:52 4 LIVE ON THE SUNSET STRIP ! REPRISE 1966 LP 999 ♪CHICAGO 4:40 5 NEW BABY SHEFFIELD LAB 1979? LP 101010 ♪NORWEGIAN WOOD 4:40

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③ DON FRIDMAN アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 A DAY IN THE CITY RIVERSIDE 1961 LP

2 CIRCLE WALTZ RIVERSIDE 1962 LP 111111 ♪SO IN LOVE 3:24 3 FRASH BACK RIVERSIDE 1963 LP 121212 ♪ALONE TOGETHER 4:38 4 METAMORPHOSIS PRESTIGE 1966 LP

5 THE PROGRESSIVE PROGRESSIVE 1978 LP 131313 ♪MOMENTS NOTICE 4:10 6 LATER CIRCLE RCA 1978 LP

7 HALF & HALF INSIGHTS 1979 LP

8 THE DAYS OF WINE AND ROSES SOUL NOTE 1996? CD 141414 ♪IT COULD HAPPEN TO ME 7:02 9 PRISM ABEAT 1997 CD

10 MY FAVORITE THINGS EIGHTY EIGHTS 2003 CD

11 TIMELESS EIGHTY EIGHTS 2003 CD 151515 ♪EMILY 6:20

④ DON SCALETTA アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 ANY TIME .. ANY GROOVE CAPITOL 1964 LP 161616 ♪OLD FOLKS 4:24 2 ALL IN GOOD TIME CAPITOL 1964 CD 171717 ♪SECRET LOVE 6:15 3 SUNDAY AFTERNOON AT THE TRIDENT VERVE 1967 LP 181818 ♪LOVE FOR SALE 8:34

32 ⑤ DON PULLEN アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 WARRIORS BLACK SAINT 1978 LP

2 LIFE LINE TIMELESS 1981 LP

3 BREAK THROUGH BLUE NOTE 1986 LP 191919 ♪SONG FROM THE OLD COUNTRY 8:11

⑥ DON THOMPSON アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 COUNTRY PLACE P.M. 1975 LP 202020 ♪SASHA'S DELIGHT 7:44

⑦ DON EVELL アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 A JAZZ PORTRAIT THE ARTIST OVERSEAS ? LP 212121 ♪DELMAR DRAG 4:04

⑧ DON BENNETT アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 SOLAR CANDID 1994 CD 222222 ♪NIGHT IN TUNISIA 5:47

⑨ DON GROLNICK アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 MEDIANOCHE SWEECA 1995? CD 232323 ♪CAPE VERDEAN BLUES 4:53

⑩ DON PRESTON アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 TRANSFORMATION CRYPTOGRAMOPHONE 2000 CD 242424 ♪THE DONKEY 4:14

⑪ DON GRUSIN アルバム・リスト タイトル レーベル 録音 1 TRAVELING FANCY FLORERIA 2003 CD 252525 ♪SOMEWHERE OVER THE RAINBOW 5:07

33 [[[2010[20102010年年年年9999月月月月10101010日日日日「「「「喫茶喫茶喫茶喫茶 茶会記茶会記」]」]」]」] 特集特集特集:特集:::ヨーロッパヨーロッパヨーロッパ録音録音録音録音をををを集集集集めてめてめてめて 1.『Django』/「Europian Concert」:MJQ より(STOCKHOLM にて録音) 2.『Friends Forever―In Memory Of Kenny Drew』/「Hash-a-Bye」: Niels Henning Orsted Pedersen(STOCKHOLM にて録音) 3.『Opus One』『Caravan』/The Miles Brothers Live! 4.『There Will never Be Another You』/「Paris, 1961」:Bud Powell 5.『All The Things You Are』/「IDENTIFICATION」:Yancy Korossy 6.『All The Things You Are』/「Afternoon In Paris」:John Lewis & Sacha Distel 7.『Full House』/「Live In Paris,1965」:Wes Montgomery 8.『I Should Care』『Sweet Georgia Fame』/「Recordardo A Line」:Tete Montoliu(1972 年 Spain) 9.『Bill Evans Trio & The Guests』(Niece,France 1978 年録音) 10.『Dear Old Stockholm』/「Beauty Of Scandinavia」:Duke Jordan(コペンハーゲン) 11.『Milestone』/「Miles In Berlin」:Miles Davis(1968 年) 12.『Latin Blue』/「Shade Of Blue」:The Don Rendell,Ian Carr Quintet 13.『My Foolish Heart』/「Live At Montreux」:Keith Jarrett(2001 年) 14.『Bouncing With Bud』/「Blakey!!!!!!!!! In Paris」 15.『September’s Song』『Clodi Clodo』/「Ease Does It」:Marc Hemmeler(Paris) 16.『Fly Me To The Moon』『Desafinado』/「Relax With Rita & Pim」(Paris) 17.『How High The Moon』/Abbey Lincoln 18.『Autumn Leaves』『Softry As In A Morning Sunrise』/「Trio Conception」:Jan Huydts(1963 年,Berlin) 19.『My Funny Valentine』/「Duets」:Jimmy Raney,Doug Raney

編集後記 ・久し振りの主催ライブが開催されます。遠藤さんと大友さんの共演は本当に楽しみです。次号はこのライブレポートを 中心に制作させていただきます。また今号はライブ直前特集で、多くの連載を休ませてもらいました。ぜひ次号をお楽しみにしてくだ

さい。・皆様のご意見やご要望、原稿をお待ちしています。(紅)

一緒にジャズを楽しみませんか?

KJFCは心からジャズを楽しむ人の集まりです。オタクはいません。むしろみんなで好きなジャズを勉強して、分か ち合っています。みんなジャズについての素人です。一度例会に遊びにきてください。あなたの好きなジャズが、必ず見 つかるでしょう。 《KJFC の主な活動》 ・毎月 2 回のレコードコンサートを主体にした例会(会費月額 500 円) ・年1,2 回自主ライブの主催 ・会報 GROOVY の発行 ・ホームページの運営など です。

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