<<

KJFC (九谷ジャズファンクラブ )会報 www.kjfc.info

GROOVY VOL. 47 2008.12.27

CONTENTS

〔ライブレポート〕 紅 我蘭堂 1 YYY'Y'''ssss Room NoNoNo ...22.222222 YYY ジャズ・ギターに感動する Y.S. 3 〔連載〕 ハービー・ハンコック研究・第14回 高木 信哉 4 楽曲解説 遠藤 律子 ハービー・ハンコック研究 第 6 回補足- 唐沢 寧

SOUL TLAIN Vol.9 M.T.10 気まぐれジャズマン気まぐれジャズマン第27回 第27回 水戸守敬一郎 11 例会レポート 12 紅 我蘭堂 K.A. M.S. 他 表紙及び本文中イラスト制作(一部ロゴマーク除く)・・・・・水戸守敬一郎 ※ 無断転載はかたくお断りいたします。 本 PDF 版 GROOVY-47 号は、冊子版を基礎にしていますが、必ず しも内容、レイアウトは同一ではありません。 印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込 111-1---10101010----4444 電話 030303-03 ---394139413941----45084508 ライブレポート 宮之上貴昭(g)SUPER QURTET 2008 年 10 月 5 日 於TOKYO TUC

出演:宮之上貴昭(g) 吉岡秀晃(p) 稲垣 護(b) 太田耕平(ds) 紅 我蘭堂

2008 年 10 月 5 日(日)、東京神田の『TOKYO TUC』で行 だいていた『TOKYO TUC』の田中紳介氏に相談したとこ われた宮之上貴昭(g)SUPER QURTETのライ ろ、快く相談に乗ってくださり、我々が出した出演希望

ブ演奏は KJFC 関連の 40 名、その他一般のお客様約 30 プレイヤーの選定から、開催日時まで親身に応じてくだ 名全員が満足のうちにフィナーレとなりました。今回初 さいました。この話し合いの中で、我々が出した希望プ

めてライブの企画進行を担当した者として、レポートし レイヤーの中から吉岡秀晃(p)トリオの演奏が主眼にな

ます。 り、そこに田中氏のアイディアで宮之上さんにも参加し 〔ライブ開催まで〕 ていただくことになったのです。正直言って、このとき

ご存知のように KJFC の活動の大きな柱のひとつに、 は宮之上さんと吉岡さんの共演が実現するとは思いもし 良質な自主ライブを年1,2回開催しようということが ませんでした。それはギャランティ及びスケジュールの

上げられます。ところが、2006 年 9 月に遠藤律子(p) 都合などの理由で不可能と思えたからです。ところが田

さんを迎えて行ったライブから、しばらく時間が空いて 中氏のご尽力で約半年前の 2008 年 5 月には、この共演 しまいました。2007 年半ば頃からなんとか 2008 年には が実現することが決まりました。

ライブをやろうという気運が盛り上り、確か 2007 年 12 その後も折りあるごとに田中氏と打ち合わせを重ねて、

月の例会で出演希望プレイヤーをそれぞれ出してもらっ ライブ当日を迎えることができました。 た記憶があります。 〔当日について〕 また開催場所も都内でやろうという希望もありました。 今回のライブは、その演奏内容の充実さと観客の満足 そこで、今年に入ってから、かねてから懇意にしていた 度からいって自画自賛ではなく素晴らしいライブをなり

1 ました。 2ステージの冒頭で、宮之上さんから思わぬプレゼン 田中氏や井沢マネージャーを始めとするTOKYO T ト。飛入りというの

UC側の、客と演奏者を大事にしようとする、細部にわ か、ヴォーカルのニ

たる“おもてなし”の姿勢もさることながら、宮之上さ カ さ ん が 予 定 外 で んと吉岡さんたちプレイヤーとの気持ちの交流もできた 出 演 し て く れ ま し

かと思います。 た 。〈 Old Devil

心配していた集客についても、当初KJFC関係で 40 Moon 〉を熱唱、ま 名という最低ラインになかなか達せずにやきもきした時 だ 22 歳だと紹介されたが、なかなか素質のあるヴォー

期もありましたが、皆さんで熱心に呼びかけていただい カリストではないかなと思われた。 たお陰で、40 名を少し超える方々に集まっていただくこ 2 曲目はカール・ とができました。取り分けて、普段例会に来られない会 パ ー キ ン ス の 曲 で

員も多く集まり、開演前や休憩時間のひとときは、あた 〈Groove Yard 〉。宮 かも同窓会のような雰囲気がありました。 之上さんも 18 番と い う の か ウ ェ ス の 〔演奏について〕 雰 囲 気 を 出 し な が

宮之上さんの軽妙なMCに続いて始まった 1 曲目は、ホ らも随所にオリジナルなフレーズいわゆる“宮之上”節

レス・シルバー作曲の〈St. Vitus Dance 〉。 乗りがいい を挿入してアーシーでグルーヴィーな演奏を聴かせてく ご機嫌な曲で、最初からエンジン全開といった感じ。4 れました。

分くらいの宮之上さんの熱演の後、吉岡さんも体をゆす 3 曲目はウェス・モンゴメリー作曲の〈So Do It 〉。こ りながら 2 分以上のアドリブを展開。ベースの稲垣さん れもやはりウェスのモードを出しつつご機嫌なフレーズ も堅実なプレイで、短いながらも乗りがいいソロを聴か を紡いでくれた。吉岡さんのソロもところどころにジャ

せてくれました。 ック・ウィルソンやウイントン・ケリーを彷彿させる乗

2 曲目はウェス・モンゴメリー作曲のブルース〈Blue り乗りのフレーズがあり、思わず体が動いてしまう。 Roz 〉。前半で吉岡がファンキーでグルーヴィーなピア 4 曲目はリー・モーガンでおなじみの〈Sidewinder 〉。 ノ・ソロを披露。早くもメンバーが一体となり“黒い” メンバー全員で疾走するような演奏だった。

世界に突入しました。 5 曲目はボビー・ティモンズの〈Dat Dear 〉。最初は 3 曲目はスタンダード・ナンバーで〈Here's That 宮之上さんと吉岡さんがそれぞれブルージーな演奏を聴

Rainy Day 〉。イントロは宮之上のソロで静かに入ったも かせてくれたが、途中から再びヴォーカルのニカが登場 のの、テーマは結構飛ばし気味に演奏。 して熱唱。

4 曲目は〈Born To Be Blue 〉。しっとりとしたバラー 6 曲目は宮之上さんの最新アルバムからオリジナル曲

ド・プレイを聴かせてくれました。 で〈Sunset Street 〉。しっとりとしたバラード演奏でし 5 曲目はアントニオ・カルロス・ジョビン作曲の〈Once た。

I Love 〉。宮さんのソロも飛ばし気味でよかったが、続く アンコールに応えてくれたのは、スタンダード・ナンバ

吉岡さんのソロも、叩きつけるような左手のブロックコ ーで〈Fly Me To The Moon 〉。これも聴きやすい ードと流れるような右手のフレーズのバランスがよくて、 曲を自己流に消化しつつ、持っているテクニックを全開

心が浮き立ちました。 してくれた素晴らしい演奏でした。

太田耕平も細い体に似合わずに激しいドラミングで盛り 上げる。 繰り返しになりますが、とてもいいライブでした。プ どの曲も 10 分以上の熱演でした。 レイヤーの人柄も良かったですし、お店も最高でした。

次回のライブが待ち遠しいです。 2 「「「YYY’sY’s ROOM No.No.22 222222」」」」 2008.10 Y.S. 「「「Y「Y ジャズ・ギターに感動するジャズ・ギターに感動する」 」」」

10月5日「TUC」、アンコールの「Fly Me To The Moon」が終わったところで、Yは感動に浸っていました。 正直言って、こんなに素晴らしいライブになると想像していませんでした。 宮之上という名前は、多くの日本のジャズギタリストが尊敬するギタリストの名前として知ってはいましたが、ライブ直前 のKJFCの例会で、我蘭堂氏が「宮之上特集」をやる前は、恥ずかしながら一度も宮之上の演奏を聴いた事がありま せんでした。 その例会で、数々のアルバムを聴きその素晴らしさを認識させられましたが、まさか生の演奏にこんなにも感動させら れるとは。 今までYは多くのライブに行きましたが、屈指のライブになりました。 とにかく演奏が良い。ピアノの吉岡との息もピッタリでファンキーなアップテンポも良し、スローなスタンダード・ナンバー 良し、特に「Here’s That Rainy Day」の指使いは、目の前で見ていたのですが、驚きの連続でした。 そして、選曲が渋い。さすがウエスの曲が多かったですが、皆が知っているスタンダードを宮 之上流に料理し、聴かせどころは聴かせるニクイ選曲ばかりでした。

こういう良質なライブをKJFCが開催できた事は、本当に嬉しいです。 今回のライブは、企画から会場設定・交渉まで全て我蘭堂氏に任せっ放しでしたが、ご苦労 様でした。

『メンバー』 宮之上貴昭(g)、吉岡秀晃(p)、稲垣譲(b)、太田耕平(d)、ニカ(vo)、 『演奏曲目』 1ST ステージ 1) St. Vitus Dance / Horace Silver のアルバム「Blowin’ The Blues Away」の収録曲 2) Blue Roz / Wes Montgomery の曲 3) Here’s That Rainy Day / ジミー・バン・ヒューゼン作曲のスタン ダード・ナンバー 4) Born To Be Blue / メル・トーメの曲で、Wesも「Full House」 等で演奏 5) Once I Love / Antonio Carlos Jobim の曲 2nd ステージ 1) Old Devil Moon / ミュージカル「フィニアンの虹」の挿入歌 2) Groove Yard / Wesの「Montgomery Brothers」の収録曲 3) So Do It ! / Wesの「Movin’ Along」の収録曲 4) The Sidewinder / Lee Morgan の代表曲 5) Dat Dear / 作曲 6) Sunset Street / 宮之上の最新アルバムから アンコール 1) Fly Me To The Moon / バート・ハワード作曲のスタンダード・ナンバー

注)写真は演奏者の承諾を得てリハーサル中に撮影したものです。

3 ハービー・ハンコック研究・第 14 回

(“Retrospective of The Music of Herbie Hancock”) 高木信哉

(((1974:“Head(1974:“Head Hunters”の快進撃と待望の初来日! ))) HERBIE 1974 録音日 /タイトル /演奏者 (レーベル名)

1974. 3 Upon The Rock / Joe Farrell ( CTI) 1974. 3 The Jewel In The Lotus / Bennie Maupin (ECM) 1974. 7.29 Dedication /// Herbie Hancock (CBS(CBS/ ///Sony)(Sony)(Sony)(13131313作目) 1974. 888 Thrust(突撃) /// Herbie Hancock (Columbia)((Columbia)(14 141414作目) 1974. 888 Death Wish ~狼よさらば~オリジナル・サウンドトラック/ Herbie Hancock (Intermezzo Media) 1974. 9 Native Dancer / Wayne Shorter(Columbia) 1974 Body Heat / Quincy Jones (A&M) 1974 Steppin’/ The Ponter Sisters(Blue Thumb) 1974 Safety Zone / Boddy Womack(United Artists)

1974年もフュージョン旋風は高まる一方であった。ウェ ェット・ベイカーが復帰し、人気の CTI レーベルと契約した。

ザー・リポート、リターン・トゥ・フォーエバー、ヘッドハンター そして7月から11月にかけて、4年ぶりにアルバム『枯葉』を

ズの成功は、ジャズ・ファンの枠を越え、広く一般の音楽ファ 吹き込んだ。

ンにまで及んだ。

チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーは、前年に続き ハービー・ハンコックは、前年に吹き込んだ『ヘッドハンタ

2度目の来日(2月)を果たした。CTI オールスターズ(ロン・ ーズ』が大人気となり、世界中から招聘依頼が殺到した。日

カーター含む)も、前年に続き2度目の来日(8月)を果たし 本には、7月に自分のバンド(ヘッドハンターズ)で初来日し

た。日比谷野外音楽堂で行われたコンサートでは、ジョー た。この招聘は、神原音楽事務所の西蔭嘉樹が行った。19

ジ・ベンソンが「サマータイム」を弾き語りし、その素晴らしい 73年、西蔭は九州の小倉でジャズ・クラブを営む土屋と話し

ライブに聴衆の目は釘付けとなった。ジョージ・ベンソンが ているとき、彼が「そろそろハービーあたりがジャズ界の一

『ブリージン』で大ヒットを放つ2年前の出来事であった。 線に出てくるべきだね」と話すのを聞いて、ハービーの招聘

一方キース・ジャレットは、1974年正月に、自身のカルテッ を決めた。ところがまだ『ヘッドハンターズ』は世に出てなか

ト(デューイ・レッドマン、チャーリー・ヘイデン、ポール・モチ ったので、集客を心配し、まずは小さなホールを中心に2週

アン)で、初の来日公演を果たす。また同年10月、傑作『生 間滞在の10日間コンサートという地味なスケジュールを立

と死の幻想』を吹き込む。 てた。来日の半年前(1974年1月)、『ヘッドハンターズ』が

また残念だったのは、22年も活動を続けて来た名門ジャ 発売され、ハービーのコンサートは飛ぶように売れた。来日

ズ・グループ“モダン・ジャズ・カルテット”(通称 MJQ)が、19 前に大騒ぎになったのである! 西蔭の元には、レコード会

74年11月15日、最後のコンサートを行って解散した。 社の幹部、大手チケット販売会社、「コンサートそのものを売

また麻薬療養のため、ジャズ・シーンから遠のいていたチ ってくれ」などなどあらゆる人が現われ、混乱と狂騒が勃発

4 した。急遽、東京は、新宿の厚生年金ホールを3日間押えた 完成度の高さに感心させられる。

が、もちろん即刻超満員札止め。ダフ屋が喜んで出没した。 それから1974年のハービーは、3作目の映画音楽の作

メンバーは、ハービー、ベニー・モウピン(sax)、ポール・ジャ 曲を担当する。『スラスト』と同時期にサントラ盤を吹き込ん

クソン(b)、マイク・クラーク(ds)、ビル・サマーズ(perc)で、来 でいる。主演は、人気俳優のチャールズ・ブロンソンである。

日時は、西蔭がハービー・ハンコック・クインテットという名に 犯罪の温床と化したニューヨークを舞台に、妻子を殺された

していた。ドラムは、ハービー・メイソンからマイク・クラークに ビジネスマン(チャールズ・ブロンソン)の復讐を描いた映画

代わっていた。 である。サントラ盤の2曲目に収録された「ジョアンナのテー

7月16日に新宿の厚生年金ホールでコンサートが行わ マ」は、23年後の1997年に、ハービーとウェイン・ショータ

れ、全国ツアーに出て、7月29日ハービーは再び新宿の厚 ーとのデュオ・アルバム『1+1』で再演された。

生年金ホールに戻ってきた。ここでコンサートの前の昼間、 また翌9月には、ウェザー・リポートで活躍中のウェイン・

ハービー初のソロ・アルバム『デディケイション』(通算13作 ショーターが久々にバンドを離れ、ソロ・アルバム『ネイティ

目)が録音された。生ピアノ、ローズ、シンセなどを駆使した ブ・ダンサー』を吹き込んだ。ここにハービーが参加している。

ソロである。録音は、午後1時から始まり午後5時には終了 『ネイティブ・ダンサー』は、ブラジルのシンガー・ソングライタ

したというから凄く速い。いかにハービーの創作意欲が高か ー、ミルトン・ナシメントとウェイン・ショーターとのコラボレー

ったということの現われであろう。またたくさんあるキーボー ションによって生まれた実に美しい作品である。ところがア

ドをいかに弾きこなすかがよく理解できる貴重なアルバムで ルバム発売時、ウェインの従来のサックス演奏を期待してい

ある。ハービーがこのようなソロ・アルバムの録音を企画す たジャズ・ファンの誰もが驚かされた。自分たちが知るブラジ

るはずはないので、日本のレコード会社 CBS ソニーに頼ま ル音楽とはまったく違うものだったからである。

れ、急遽実現したものであろう。 アルバムは、ミルトン・ナシメントの歌声で幕を開ける。ミ

ルトンの強烈な個性に、リスナーの反応は好き・嫌いの賛否

ハービーが「一般大衆が気軽にレコード・プレーヤーにか 両論に分かれた。“天使の美声”と取るか“気色悪い変な声”

けてくれるような音楽を目指した。それまでの音楽とまったく のいずれかであった。この音楽は、1970 年代当時の人々に

違う演奏をすれば、今までのファンは離れるかもしれない。 は、まだ早すぎたのだろう。世間の厳しい反応にすっかり気

でも新しいファンも生まれる」と語っていた通りのことが起こ 分を害したウェインは、リーダー作を作る意欲を失くし、次回

っていた。新宿の厚生年金ホールでライブを見ていると、ヘ 作『アトランティス』まで 11 年間の月日を必要とした。

ッドハンターズが演奏を始めるやいなや、会場にいた数組の 『ネイティブ・ダンサー』の最後の曲「ジョアンナのテーマ」

男女が“ヴァンプ”を踊り出した。“ヴァンプ”とは、男女がヒッ (ハービーのオリジナル)は、前述したチャールズ・ブロンソン

プをぶつけながら踊るダンスで、当時流行っていたが、ヘッ 主演の映画『狼よさらば』からの 1 曲。ウェインのソプラノ、ハ

ドハンターズのサウンドは、“ヴァンプ”に最もフィットするサ ービーの芳醇な香りが匂い立つような美しいピアノは絶品で

ウンドを有していた。この出来事こそ、ハービーを聴いてい ある。

るのは、古いジャズ・ファンだけでなく、新しいファンを獲得し

た証である。 こうして1974年のハービーは、充実のときを過ごし、スタ

ー街道を着実に歩み始めた。

米国へ帰国後すぐの8月、ハービーは通算14作目(ヘッ

ドハンターズの2作目)となる『スラスト(突撃)』を録音した。

ここには、大ヒット曲「アクチャル・プルーフ」、「バタフライ」が

収録されている。「アクチャル・プルーフ」は、今でも時々演

奏される重要レパートリーだ。また『スラスト』のアルバムの

5 【「【「【「DOLPHIN【「 DOLPHIN DANCEDANCE」楽曲解説」楽曲解説 by 遠藤律子】 * *1965年発売の「Maiden Voyage」と1974年来日時に スケールになっている。特に、E♭7のところは本来はリ

録音された「DEDICATION」に収録された2つのヴァ−ジョ ディアン7th スケールが使われるのだが、ここにコンビネ

ンを聴き比べる。 ーションディミニッシュスケールを使ってアウト感を出して

クインテットの演奏は、オーソドックスなジャズコンボのア いる。

レンジで、憂いを含んだ美しいメロディをスタイリッシュに

提示して、2管とピアノが2コーラスずつ端正なアドリブソ * 曲コード進行

ロを続けてまたテーマに戻る。 「DOLPHN DANCE」(アルバム『Maiden Voyage(処女航海)』

イントロはなしで、エンディングもあっさりしてサラッと終わ 収録から)クインテット演奏:

る。 イントロなし

いわゆるハンコックサウンド、クールでモダンなジャズ演 1コ−ラス:テーマ 2管メロディ、ピアノ端正な 3 度、7度、テ

奏だ。 ンション構成のバッキング

メロディはコードの根音に対して11度、♯11度に置かれ 2、3コ−ラス:Tp アドリブソロ

ている事が多く、 4、5コーラス:Ts アドリブソロ

この時代の新しいサウンドの特長の一つだ。 6、7コーラス:P アドリブソロ

コードとメロディの考え抜かれた関係で出来上がるサウ 8コーラス:テーマ

ンドに添ったアドリブが各楽器に引き継がれて行く。 エンディング:最後の4小節を 2 回くり返して、7小節目で止

リズムはかちっとして崩れず、この頃の一連のハンコック まる。

CD の特長である、曲を聴かせる録音となっている。

ピアノソロの演奏は、デューク・エリントンに捧げての吹き 「DOLPHN DANCE」(アルバム『DEDICATION』収録から)ピ

込みと言う事で、年代は9年新しいのだが、年代的録音 アノソロ:

の違いもあるが、古き良き時代の明るいロマンティックな イントロ:Am/B♭m/Bm/Bm/B♭m/B♭m/Bm/Bm/

ピアノサウンドを感じさせる雰囲気を持っている。 テーマ:E♭M7/B♭m7/E♭M7/Dm7(♭5)G7/

その場の即興での演奏の色合い濃く、イントロも出だし //Cm7/A ♭ 7/cCm7/Am7D7/GM7/A ♭ m7D ♭

の4小節が Am/B♭m/Bm/Bm/なのに、次には B♭m/B 7/Fm7/B♭7//

♭m/Bm/Bm/と、その場で思いついたような軽いラフな Cm7/Cm7(onB♭)/Am7/D7//

コード進行だ。

テーマも大体インテンポだが、C♯m7/F♯7/m は、ぐっと GM7/G7sus4/A(onG)/G7sus4/F7sus4/G(onF)/F7sus4/Em

ためて弾いて聴かせどころとしている。これは、アドリブ2 7A7//

コーラス目の同じところでも、少し音を切ってニュアンスを E♭7/Am7D7/Bm7/E7Dm7/C♯m7/F♯7/

つけている。2コーラス目で終わりにしようとしたのではな Bm7(onE)/Am7(onE)/Bm7(onE)/Am7(onE)/

いかと思われるが、気を取り直したかのようにまた3、4、 B♭m7(onE♭)/B♭7(♭9,♯11)(onE♭)/B♭

5とアドリブを続けていて、2コーラスまでのテーマのコー 7sus4(♭9)(0nE♭)/

ド進行の枠にはまったソロから大きく踏み出して、発展さ Dm7(♭5)G7//

せている。 アドリブソロ://:Cm7/A♭7/cCm7/Am7D7/GM7/A♭m7D♭

エンディングも名残り惜しむかのように C♯m に移行して 7/Fm7/B♭7//

いる。 Cm7/Cm7(onB♭)/Am7/D7//

一人ならではの、どこへでも行ける自由だ。

一人で揺れて奏でるメロディが、魅力に溢れる。 GM7/G7sus4/A(onG)/G7sus4/F7sus4/G(onF)/F7sus4/Em

7th のサウンドが全体的にコンビネーションディミニッシュ 7A7// 6 E♭7/Am7D7/Bm7/E7Dm7/C♯m7/F♯7/ 音の波の後、ラストの B♭m7(onE♭)/B♭7(♭9,♯11)(onE

Bm7(onE)/Am7(onE)/Bm7(onE)/Am7(onE)/ ♭)/B♭7sus4(♭9)(0nE♭)/Dm7(♭5)G7 の部分からテンポ

B♭m7(onE♭)/B♭7(♭9,♯11)(onE♭)/B♭ ルバートになる。

7sus4(♭9)(0nE♭)/ ラストテーマ:テーマを通してテンポルバートで熱をさますよ

Dm7(♭5)G7:// うな穏やかにメロディを味わう奏法で曲を振り返る。

1コーラス:端正にコードを追ってソロ。 エンディング: C♯m7/F♯7/Em7/Em6/Em(♯5)/Em/C♯

2コーラス:13小節目からテーマに戻る。 m7/ C♯m7/ C♯m7/

3コーラス:思い直した様にソロを発展させて、後半小節 C♯m7//段々ゆっくりになって静かに終わる。

を超えて長いパッセージのアドリブを4コーラスにつなぐ。

4コーラス:アドリブ続き。

5コーラス:段々メロディのアイデアが薄くなって、分散和

【「【「【「Actual【「 Actual ProofProof」楽曲解説」楽曲解説 by 遠藤律子】 * リズム〜アンサンブル構成 ラムス、エレピ。

1974年発表のこのアルバムの中でも白眉のスリリングな Theme(A)アルトフルートが主メロディ、エレピがオブリガ

演奏の「Actual Proof」。この曲は、1973年発売の「ヘッドハ ート。

ンターズ」で示された「ファンクリズムに乗ったジャズ」の流れ //:Cm7/Cm7/Cm7/Cm7/G ♭ MA7( ♯ 1 1 )onB ♭

にある作品だが、単なるファンクリズムの上にジャジーなア /A7/A7/A7/E♭m7(♭5)

ドリブが軽く乗っかっているという演奏ではない。 /E ♭ m7 ・ B7sus4 ・ C ♯ 7sus4onB ♭ ・ Dm7 ・

基本のリズムは16ビートファンクだが、ピアノ、ベース、ドラ Em7/AM7/AMA7・・E♭M7(♯11)onD//

ムスのトリオがお互いに食い込むハードなアドリブ演奏がア 5/4N.C//4/4F7//3/4F7://

ップテンポのゴリゴリ4ビートにも聴こえて来るリアルジャズ (B)エレピアドリブソロ ピアノトリオ

に仕上がっている。ピアノソロの部分、ベースもドラムスも //:Cm7/Cm7/Cm7/Cm7/G ♭ MA7( ♯ 1 1 )onB ♭

段々白熱するに従って全員がソロ状態になってからみ合い /A7/A7/A7/E♭m7(♭5)

すき間のない音が溢れてテンション感溢れる展開を見せる。 /E ♭ m7 ・ B7sus4 ・ C ♯ 7sus4onB ♭ ・ Dm7 ・

「ヘッドハンターズ」では、ドラマーのハービー・メイソンはリ Em7/AM7/AMA7・・E♭M7(♯11)onD//

ズムはファンクだが、ドラムセットの音色と少しバタバタした 5/4N.C//4/4F7//3/4F7://×14times

シェイクの乗りは、スタンダードナンバーを4ビートで叩くドラ (B)Theme アルトフルートが主メロディ、エレピがオブリガー

マーが16ビートに挑戦した、という風に、2006年の耳から ト

は聴こえる。それに対して、このアルバムのドラマー、マイク 4/4 //: Cm7/Cm7://×3times

=クラークは、ドラムセット全体を組み合わせて複雑なビート //Cm7/Cm7/Cm7/Cm7/G ♭ MA7( ♯ 1 1 )onB ♭

の形を作っている。のんびりしたたわみがない音数の多い /A7/A7/A7/E♭m7(♭5)

演奏は、これ以降、現在のドラマーがほとんどこのスタイル /E ♭ m7 ・ B7sus4 ・ C ♯ 7sus4onB ♭ ・ Dm7 ・

で4ビートとも16ビートとも、どちらとも言えない複合リズム Em7/AM7/AMA7・・E♭M7(♯11)onD//

を叩き出している、その先駆けとなる、今考えると画期的な 5/4N.C//4/4F7//3/4F7//

ものになっている。 (C) アルトフル−トアドリブソロ //: Cm7/Cm7://×16times

* コード進行 (D)エンディング

Intro B9sus4・AM9・FM7onE・GM7onD/N.C/ N.C/ E♭M7(♯

4/4 //: Cm7/Cm7://×8times ベース2小節パターン、ド 11)onD// 7 N.C(コードがない)の部分はドラム fill in。 様のジャジ−な展開を見せる。

Cm74小節:マイナースケール何でもありで、自由に動ける

* ボイシング シカケのない部分なので、ファンクのリズムを 3 名全員で楽

全体的にコードはあるが、従来の和音進行ではない。 しむような演奏になっている。

絵の具の色が変わると、それを見て緊張感が増したり不 左手ハーモニーは最初の方のコーラスではほとんど使わ

安定になったり、ほっとしたりする、形は抽象的ではあるが れずシンプルなメロディのみだ。

確固とした音楽が与える感情的要素を持った新しい和声進 4小節目の最後の8分音符に G♭MA7(♯11)onB♭のリズ

行だ。そのコード一つ一つにはキーが感じられる。 ムシカケが入る。

従来のⅡ—Ⅴ進行のコード理論に変わる、キーチェンジ G♭MA7(♯11)onB♭:ここから曲がモダンなサウンド聞かせ

で中心となるキーから遠ざかったり戻って来たりする距離感 に入る。D フラットのトーナリティで G♭MA7(♯11)はリディア

を出している。 ンなのだが、ベース音が B♭なために、マイナーの感じもあ

イントロではエレクトリックベースのファンク 2 小節パターンの る。左手は、普通のジャズの 3、7度を押さえる。

リピートに最初から多彩なドラミングがからみ、エレピがシン A73小節:A コンビネーションディミニッシュ主体のフレーズ。

プルな単音で音色で景色を作るような fill in をしている。 ここでも毎コーラス必ず、7、3、13度というジャズのレフトハ

テーマでは、アルトフルートの主旋律に、ユニゾンや5度ハ ンドボイシングを用いている。

モりでメロディに影をつけるようなハモりをしている。/E♭ 3小節目の最後の8分音符に E♭m7(♭5)のリズムシカケが m7・B7sus4・C♯7sus4onB♭・Dm7・Em7/の部分は4度と3— 入る。

7度組み合わせで和音をつけているが、他の箇所には厚い E♭m7(♭5)2小節:E♭オルタードドリアン(ロクリアンナチュ

ハーモニーは聴かれない。 ラル9)スケール。

楽器がエレクトリックピアノだということがあり、あまり音数の AM72 小節:普通の A イオニアン。

多いハーモニーは濁って効果が出ない事と、ベースとドラム E♭M7(♯11)onD:AM7の2小節目の最後の16分音符に食

スの音数が多いために全体のバランスでピアノの和音がシ い込んでいて、その後の5/4拍子1小節内も D から数える

ンプルになっている事も考えられる。 とフリジアンになるスケール。

この5拍子の1小節で、アドリブソロの歌を一区切りつけてい

* コンピング る。

この曲では、ピアノトリオの演奏が主体で、アルトフルートは A7 以降は、変拍子が続き、左手は右手と一緒にメロディを

テーマのメロディと、最後のテーマの後のエンディング部分 作り、はっきり右手と左手に分けられるジャズの奏法ではな

でのソロを吹いている。 くなっている。

フルートソロも、発展させるものではなく、Cm7でドリアンスケ F72 小節:F 中心のペンタトニック。この部分のベース主体の

ール主体に音数すくなく音色聴かせでラストのリズムシカケ ファンクパターンで

の部分につなぐ演奏になっている。 仕切り直しをして、また次のコーラスのアドリブソロへ進行す

このバックで、エレピコンピングはジャジーなオープンボイシ る。

ングではなく、ファンク2小節パターンをキープする。音は、4 ソロの10コーラス目くらいから、特にドラムがリズムキープ

度、5度、3 度の2音中心にシンプルでファンキーなメロディ から自分のソロのようにピアノに絡んで来る。ファンクが4ビ

だ。 ートに聞こえるような、何とも名前がつけられないリズムで切

迫感とスリリングな展開をみせる。

* ピアノソロ 最初は腰で聴いていた音が、段々前頭葉で聴くようない

エレピのソロは、テーマのコード進行にそって14コーラスに わゆるジャズサウンドになっていく。

渡り、アルバム録音としては長くディープに、ライブ演奏と同 以上

8 ハービー・ハンコック研究・第 666回補足(回補足(1966 1966 年分) 【「【「【「footprints【「 footprintsfootprints」楽曲解説」楽曲解説 by 唐沢 寧】寧】寧】 ■録音 DATA 白い。 1966年10月24日&25 日 ■ハーモニー・コンピング(バッキング)について 「footprints」(『miles smiles/』の 3 曲目 ) ここでのハービーは終始 4 度構成とその応用のハーモニ この曲はウェインショーターのオリジナルで、彼のリーダー ーに徹している。その特性からか、コード進行の感覚も抽象 作『adam's apple』にも収録されており、ピアニストは両者とも 的になってくる。このバッキングの雰囲気もこの曲の特徴の ハンコックであることから、『adam's apple』ver.とも比較しな 1つと言っても良いと思う。 がら進めてみたい。 管楽器のフレーズの最中はかなり抑え気味であり、むしろ、 フレーズの合間に絶妙なタイミングでバッキングを入れる事 ■コード進行 に力を注いでいる様である。管楽器のフレーズとバッキング |Cm | | の一体感・インタープレイは素晴らしく、会話をしているよう | | でもあり、1 つの続いたメロディのようでもある。プレイヤー同 |Fm | |Cm 士が同じイメージを描いているのが良くわかる。また、何度 | | も同じバッキングパターンが出てくるのも印象的だ。 |F#m-5 F7+11 |E7alt D♭7(Dm G7)|Cm | 一方「adam's apple」ver.では、曲自体のアレンジがある程 | 度決められており、その範囲の中で徐々に盛り上がり、サッ ■構成 クスのフレーズの最中でも積極的に弾いている。コード進行 12 小節からなる6/4 の Cマイナーブルース。ただし、9~10 感も「milessmiles」ver.に比べて明確だ。 小節が一般的なマイナーブルースと異なり、F#から半音ず つ下がり Cm へ解決する。 ■ピアノソロ イントロは Cm のみで、この曲の最大の特徴とも言うべきベ ここでのピアノソロ(3 コーラス)は、バッキングの延長とで ースラインが繰り返される。 も言うべきか、フレーズではなく、ハーモニーのみのソロとな 基本的にはこのベースのパターンが基調となっているが、 っている。 Fm の部分(5~6 小節)では、1 拍めは C で、2 拍目で F とな ただし、「フレーズは無し」といえども、4 度構成の鋭く刺す っている。 ようなサウンドはとてもクールで印象的だ。このようなサウン Fm の部分でも 1 拍目にトニックの Cm を保つ事で、あから ドを耳にすると、ソロも「フレーズを延々と弾けば良いという さまに 4 度上に上がるといったブルース進行感覚が薄らいで 物ではない」という事がよく解る。 いる。 そして、9~10 小節は自由度の高い部分である。毎コーラ ところで、私見ではあるが、このハンコックのソロを聴いて ス、バンド全体で異なったリズムのアプローチ(メトリックモジ 私の頭を過ぎるのは、マイルスのアルバム「」の ュレーションにより 4/4 や 8/4 になる等)で「次はどのような 1 曲目「so what」のビル・エバンスのソロである。そこでのビ 展開になるのか?」といった楽しみがあり、飽きる事が無 ル・エバンスのソロも「ハーモニーのみ」のソロであり、美しく、 い。 クールである。全く違う響きではあるが、コンセプトは同じな 全体的にも、トニー・ウィリアムスのドラムは常にポリリズム のではなかろうか?両者を聴き比べてみるのも面白い。 を意識しており、時に離れ、時に融合し、リズムに疾走感、 立体感と緊張感を与え続けている。 一方、「adam's apple」ver.では、テンションも高く、思う存分 一方、「adam's apple」ver ではもう少し落ち着いたテンポで ソロを展開させている。フレーズの構成や展開などについて 演奏されている。メトリックモジュレーションも部分的に見ら は、むしろ、こちらの方がハンコックならではの魅力に触れる れるものの「milessmiles」ver.の様に頻繁に出てくるわけでは 事が出来る。湧き出るような速いフレーズは圧巻である。 ない。 それぞれの魅力があるので、両者を聴き比べてみると面 以上

9

SOUL TRAI Vol. 999 撮影:次田 誠 10 気まぐれジャズマン 第 27回

水戸守敬一郎

〈皇太子妃雅子さまのジャズ〉

雅子さまがご婚約のとき記者会見で、どんな音楽を聴くのかといういう質問に、キース・ジャ レットのトリオの、キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットの 名を上げられていた。 なぜ、ジャズを聴いていますと言えなかったのか、やはり皇室にジャズというイメージはちょっ と問題があるのか、雅子さまは注意深く、ジャズが好きだとは、おっしゃらなかった。

雅子さまはやはり現代っ子なんだと思う。留学などされたときなどにも大いに本場のジャズに ふれられたのだろう。 そうやってジャズファンになられたのだと思う。

皇太子殿下、皇室との、ご結婚は雅子さまの打算もあったはずだ。 僕には、愛子さまを見ながら雅子さまが手をたたいたりして、笑っている姿をテレビで見るのが、 いちばんつらい。 もう後戻りも、逃れることもしないのですね。 皇室は、うまく病名を付けカモフラージュしているが、雅子さまは、れっきとした精神病だ。 雅子さまが今、救わなくてはならないのは自分自身だ。 ジャズが好きだと、ちゃんと言って、まじめにジャズを学ばなくてはだめだ。 ジャズを必死に聴いて、自分自身にしっかり立ちむかわなくてはだめだ。 ベーシストの伊藤 潮さんの研究している音楽も、そういう人々のための音楽だ。 水戸守敬一郎も、力になります。僕の芸術も雅子さまを助けることができるはずだ。 KJFCの皆で、雅子さまの聴くべきジャズをリストアップしたっていい。 とうていむりな話だが、こっそりKJFCの例会にいらしてもいいじゃないですか。

いそがしい、ご公務の中で、ゆったり好きなジャズを聴くという、ささやかなひとときを大切 にしてくだされば、絶対うまくいきます。というかバランスが保てるはずだ。 KJFCの会報、グルービーに、こんなことを書いても、あまり意味がないのだろうけど、雅 子さまと同じジャズファンとしては、気になっているところです。 雅子さまのご苦労もわかりもせずに、皇室批判のようなことを書いてどうもすみませんでした。 皇太子殿下、皇太子妃雅子さま、水晶婚式おめでとうございます。

11

RECORD CONCERT(例会)REPORT [2008年6月20日「映画館」]

特集:道(STREET,ROAD などにちなんだ曲・アルバム)

1.BASIN STREET BLUES/ミルス・ブラザース '67 年「ティボリガーデン ライブ」 2.ALL THE WAY/サミー・ディビスJr 「THE PAT PACK LIVE AT SANDS」(サンズホテル ライブ) 3.ONE FOR MY BABY,(ONE MORE FOR THE ROAD)ライブ会場は不明 4.ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET/東京ジャズ・ギルド・オーケストラ「'99 年古川市民館」 5.ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET/弘田三枝子 「弘田三枝子スタンダードを唄う」('63 年) 6.ROOT 66/ナット・キング・コール 「AFTER MIDNIGHT」より 7.ON THE STREET WHERE YOU LIVE/メル・トーメ 「SINGS SHURBERT ALLEY」 8.STRODE ROAD/ソニー・ロリンズ 「'81年 1 月 日本青年館ライブ」 9.ON GREEN DOLPHIN STREET/アルバート・アイラー 「MY NAME IS ALBERT AYLER」より 10.BROADWAY/ & TED BROWN 「COMPLETE FREE WHEELING」より 11.DEAR ROAD/ 「TRANSITION」より 12. ON THE STREET WHERE YOU LIVE/MAKOTO OZONE 「SPRING IS HERE」より 13.STREET OF DREAMS/GRANT GREEN (BLUENOTE BLP4253) 14.STAIRWAY TO THE STARS/(BLUENOTE) 15.STRODE ROAD/関根敏行(Disk Union TGCS-3895) 16.鈴懸の径/鈴木章治(BVCJ-37122) 17.WAY OUT WEST/(COMTEMPORALY) B 面 18.BROADWAY BIT/MARTY PAITH(WARNER Bros) B 面 19.ON THE TRAIL/(RIVERSIDE) 20.GREEN STREET/GRANT GREEN(BLUENOTE) 21.GRANT STREET/ SONNY ROLLINS

今回の“もの特集”は、テーマが「道」。アルバム・タイトルでもいいし、ジャケット に道らしいものが入っていればOK。もちろん曲名であればなお結構ということで、本 当に多くの曲数が掛かりました。しかし調子に乗って鈴木章治の“鈴懸の径”まで聴い てしまいました。マスターはさぞ内心では苦虫をかみつぶしていたと思います。

アナログにこだわる、銀座の老舗 「 COUNTRY 」

東京都中央区銀座6-2-6 TEL.03-3572-7684 営業時間:コーヒータイム PM0:00~5:00(土曜日のみPM2:00~) バータイム PM7:00~11:00 休み:日曜祝日(バータイムは土曜日も) 交通:営団銀座線、丸の内線、日比谷線「銀座」駅、JR「有楽町」駅他 メニュー:コーヒータイム 珈琲・紅茶 500 円、ビール 700 円 バータイム ボトル 8000 円(チャージ 3000 円)

12

[2008年6月28日「ジャズカントリー」]

特集:『あなたも今日は一日ジャズ喫茶マスター』Vol.4

紅 我蘭堂 ・A JAZZ MESSAGE/ART BLAKEY (IMPULSE) 1963 年 8 月録音 ART BLAKEY(ds),SONNY STITT(as),McCOY TYNER(p),ART DAVIS(b) ・IN THE VERNAC'ULAR/JOHN HANDY Ⅲ(ROULETTE R-52042) 1958 年録音 JOHN HANDY Ⅲ(as),ROLAND HANNA(p),GEORGE TUCKER(b),RICHARD WILLIAMS(tp), (ds) ・SOUP & ONIONS/ROY MERIWETHER (COLUMBIA CS-9233) ROY MERIWETHER(p),ISSAC SLOAN(b),JOSEPH ARNOLD(ds) ・THE WAY I FEEL/SONNY ROLLINS (MILESTONE M-9074) 1976 年 8 月 10 月録音 SONNY ROLLINS(ts),PATRICE RUSHEN(elp,p),LEE RITENOUR(g),ALEX BLAKE(b), CHARLES MEEKS(elb),BILLY COBHAM(ds),BILL SUMMERS(conga),and HORNS ・HALLELOO-Y'-ALL/RED GARLAND (PRESTIGE PR-7288) 1963 年録音 RED GARLAND(p),(b),ARTHUR TAYLOR(ds) ・NIGHT CAP/MICHEL SARDABY (DEBS HDD-522) 1970 年 10 月録音 MICHEL SARDABY(p),PERCY HEATH(b),CONNIE KAY(ds) ・PREACH BROTHER! /DON WILKERSON(BLUE NOTE BST-84107) DON WILKERSON(ts),GRANT GREEN(g),SONNY CLARK(p),BUTCH WARREN(b) BILLY HIGGINS(ds) ・MOMENT'S NOTICE /CHARLIE ROUSE(JAZZCRAFT 4) 1978 年録音 CHARLIE ROUSE(ts),HUGH LAWSON(p),BOB CRANSHAW(b),(ds) ・TRAMPETA TOCCATA/KENNY DORHAM (BLUE NOTE BST-84181) KENNY DORHAM(tp),JOE HENDERSON(ts),TOMMY FLANAGAN(p),(b) ALBERT HEATH(ds) ・STUDIO JAZZ PARTY/JOHNNY GRIFFIN (RIVERSIDE 9388) 1960 年 9 月 27 日録音 JOHNNY GRIFFIN(ts),DAVE BURNS(tp),NORMAN SIMMONS(p),VIC SPROLES(b), BEN RILEY(ds) ・JAZZ IN U.S.A./SONNY CRISS (IMPERIAL LP-9006) 1955 年録音 SONNY CRISS(as),BARNEY KESSEL(g),KENNY DREW(p),BILL WOODSON(b), CHUCK THOMPSON(ds) ・わたらせ/板橋文夫(コロムビア COCB53311) 板橋文夫(p)

お得意の「ジャズ喫茶マスターシリーズ」でしたが、肝心の私が仕事で遅れ てしまい、散々なことになりました。申し訳ありません。この挽回はいつか必 ずやります。

13

[2008年7月18日「映画館」] 特集:食べ物にちなんだ曲・アルバム特集

1.MY FAVOLITE THINGS/McCOY TYNER TRIO 2.CAKEWALK/OSCAR PETERSON QURTET 3.SUSHI/同上 4.MANTECA/ROY HARGROVE 5.CHOCOLATE CADILLAC/RED MITCHELL 6.BROWN RICE/DON CHERRY 7.HOT DOG/LOU DONALDSON(BLUENOTE) 8.DOUGHNUT/ORNETTE COLEMAN(クロイドン・コンサート) 9.I'M PUTTING ALL MY EGGS IN ONE BASKET/ELLA FITZGERALD & LOUIS ARMSTRONG 10.PEANUT VENDOR/ANITA O'DAY(ANITA O'DAY SINGS THE WINNERS) 11.FINE & DANDY/同上 12.MY FAVORITE THINGS 13.CHERRY/COUNT BASIE & THE MILLS BROTHERS 14.BYE BYE BLACKBIRD 15.SUNDY WALK/JEAN LUC PONTY ※ジャケットにアイスクリームスタンド 16.SUGAR PLUM/ (THE BILL EVANS ALBUM) 17.SUGAR/STRAIGHT SIX HEINZ VON HERMANN(ts),DUSKO GOYKOVIC(tp),ADRIAN MEARS(tb),JOERG REITER(p),MADS VINDING(b),CASTELLUCCI(ds) 18.COOKIN'/ 19.CHEESE CAKE/北村秀人(VENUS) 20.SCRAMBLE EGGS/斉藤真理子(WHAT'S NEW WNCJ-2114) 21.BISCUIT FOR DUNCAN/SELDON POWELL(Roost 2220) 22.HAMBURGERING/松永貴志(Somethin'else TOCJ-68063) 23.SUNDAY LUNCH/DICK MORRISSEY(NORMA NOCD-5611) 24.CANDY/西 直樹(SKIP SKIP-2003) 25.WATERMELON MAN/大井貴司(DENON COCY-78602) 26.MEDIUM RARE/DUSKO GOJKOVIC(Birdland Neuburg BN-004) 27.WATERMELON MAN/大隈寿男(M&I MYCj-30183) 28.MIDNIGHT SUGAR/山本 剛(TBM CD-1828) 今回の“もの特集”のお題は「食 べ物」でした。これもご覧のよう に多くのアルバムや曲が集まりま した。ジャズマン(ウーマン)も食 べ物が好きだし、聴いている会員 も本当によく聴き込んでいます。

14

[2008年7月26日「ジャズカントリー」] 特集:ドラマー特集 KKK.A.K.A.

今回初めて特集を担当します。いろいろ不手際もあろうかと思いま すが宜しくお願いします。 ドラマー特集と一口に言ってもどういう角度からスポットライトをあてれ ば楽しく聴けるのか。(1)モダン期以降でフリー系はカット(2)リーダー 作よリサイドマンとして参加しているものを主体にする(3)長尺ドラムソ ロは極力なくし、パッキングの技が際立つものを重視(4)スタンダード・ ナンパーを多く取り入れる。以上 4 点を基本方針にしました。 今日お届けするのは(1)マックス・ローチ(2)ア−ト・プレイキー(3)チコ・ ハミルトン(4)ロイ・ヘインズ(5)シェリ一・マン(6)ビリー・ヒギンズ(7)工 ルヴィン・ジョーンズ(8)ト二一・ウィリアムス(9)ジャック・デジョネット (10)ピート・ラロッカ(11)スティーヴ・ガッド(12)フィリー・ジョー・ジョーンズ(13)富樫雅彦(14)森山威男(15)日野元彦です。 ご承知の通りモダン・ドラミングの父はケ二一・クラ−クと言われています。片足で 2 拍 4 拍にハイハットを踏み、シンパル・レガート を保ちながら残りの手足でアクセントを付け、バス・ドラムによるオフビート・アクセント奏法は、マックス・ローチによって確立され、 アート・フレイキーヘと引き継がれることになります。

1.マックス・ローチ MAX ROACH WORKTIME/SONNY ROLLINS(prestige) “There's No Business Like Show Business” Sonny Rollins (ts),Ray Bryant(p),George Morrow (b),Max Roach (ds) 1925 年、ノース・カロライナ生まれ。ミントンズ・プレイハウスでケニ−・クラークを研究し、パーカーと の共演によってモダン・ドラミングを完成させました。プラウン・ローチ・クインテットを始めとして、政治 色の強いもの、全編ワルツで通したものまで多数のり一ダー作を残していますが、今日はロリンズの快作から一曲お聴き下さい。 ここではテナー、ビアノがそれぞれソロに入ると少し速度を上げてプッシュしています。ローチはピアノをパックにワン・コーラス。

2.アート・プレイキー ART BLAKEY (1)Art Blakey Keystone 3/Art Blakey & The Jazz Messengers(Concord) “In Walked Bud” Art Blakey (drums), Branford Marsalis (as),Bill pierce(ts),Wynton Marsalis (tp),Donald Brown (p),Charles Fambrough (b).1982.1 (2)All Star Jam Session at Aurex Jazz Festival (Somethin' Else) “Bag's Groove” Freddie Hubbard (tp),Stan Getz (ts) ,Gerry Mulligan (bs),Bob Brookmeyer (tb),Milt Jackson(vib),Roland Hanna (p),Ray Brown(b),Art Blakey(ds)1981.9.3 1919 年ペンシルヴァニア州、ビッツパーク生まれ。最初ピア二ストを志すも代役でドラムを叩き転向、 ビリー・工クスタイン楽団でモダンに開眼しました。ジャズ・メッセンジャーズを率いて多くの新人を育て たことは良く知られていますが、大口径のシズル・シンバルでソリストを鼓舞するドラミングは魅力的で す。彼の特長は「ナイアガラ瀑布」と呼ばれるロール奏法と、叩きつけるようなシンパル・レガート、躍 動的なハイハットなど沢山ありますが、奏者に応じて微妙にバッキングを変化させる繊細なドラマーでもあります。 (1)後期黄金時代ジャズ・メッセンジヤーズから一曲。若きウィントン、ブランフォードのマルサリス兄弟に触発されたのか、御大の ハイテンション振りが印象的で、ここでも変幻自在のパッキングは健在です。(2)もう一曲オーレックスのセッションから。時々バス ドラの 4 つ打ちが聴かれます。ソロ・オーダーはジャクソン→マリガン→ゲッツ→プルックマイヤー→ハパードです。

3.チコ・ハミルトン CHICO HAMILTON GERRY MULLIGAN QUARTET(PACIFIC JAZZ)

15

Gerry Mulligan(bs), Chet Baker(tp), Bob Whitlock(b), Chico Hamilton(ds). a.Freeway b.Nights At The Turntable 1952.10.15 1921 年ロサンゼルス生まれ。兵役時代にジョー・ジョーンズに師事。除隊後、カウント・ベイシー、リ ナ・ホーン などのもとで演奏後、52 年ジェリー・マりガンのビアノレス・カルテットに参加。その後、バデ イ・コレット、ジム・ホールらとチェロ入リクインテットを結成。映画「真夏の夜のジャズ」では工リック・ド ルフィー在籍時の映像を観ることができます。オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテットでのプラッシ ュ・ワークが素晴らしいので 2 由選んでみました。

4.ロイ・ヘインズ ROY HAYNES (1)TRIO MUSIC, LIVE IN EUROPE,CHICK COREA(ECM) “I HEAR A RHAPSODY” CHICK COREA(p),MIROSLAV VITOUS(b),ROY HAYNES(ds).1984.9 (2)Wanton Spirit/Kenny Barron(VERVE) “Take The Coltrane” Kenny Barron(p),Charlie Haden(b),Roy Haynes(ds)1994.2 1926 年マサチューセッッ州ロクスベリー生まれ。レスター・ヤング、パーカーとの共演時代から今でも現役で活躍を続け、50 年 代はサラ・ヴォーンの伴奏を 4 年以上にわたって勤めました。 「アウト・オプ・ジ・アフタンーン」「ウィー・スリー」などのリーダー作が有名ですが、脇投で光るタイプのドラマーです。(1)チック・コ リアの「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソプス」の再会コンボ、「トリオ・ミュージック」のヨーロッパ・ツア一からと(2)ケニ一・パロン の名作からエリントン・ナンパーを選んでみました。ここではヘイデンのプルースのコード進行を無視したかのようなウネウネベー スも聴きどころです。

5.シェリー・マン SHELLY MANNE Battle Of The Horns/,Aurex Jazz Festival '80(Somethin' Else) Dizzy Gillespie(tp),Illinois Jacquet(ts),Eddie 'LockJaw' Davis(ts),(ts),Cal Tjader(vib),Cedar Walton(p),Eddie Gomez(b),Shelly Manne(ds) 1980.9.7 1920 年ニューヨーク生まれ。スタン・ケントン楽団の活躍で名を挙げ、50 年代初頭西海岸へ居を移 してウエスト・コースト・ジャズの中心的存在となります。リーダー作はコンテンポラリーに多数有り。シ ンパル・レガートは絶対崩さず、2,4 のハイハットもきっちりでした。オーレックスでの来日時、ディジー・ガレスビー・コンポの一員と して参加したセッションから選んでみました。ウォーキング・べ一スに徹するゴメスもなかなかです。

6.ビリー・ヒギンズ BILLY HIGGINS Quartet West/Charlie Haden(Verve) “Passport” Alan Broadbent (p), Billy Higgins (ds) ,Charlie Haden (b) ,Ernie Watts ( as,ts,ss) 1986.12 1936 年ロサンゼルス生まれ。58 年オーネット・コールマンのコンボに参加して有名になりますが、本 来はバップ・スタイルに忠実なドラマーで、60 年代はプルーノートのハウス・ドラマー的存在として活躍。 70〜90 年代はシダー・ウォルトンとコンボを組みました。今回はチャーリー・ヘイデン・カルテット・ウエ スト在籍時のレコーデイングからパーカーのオリジナルをお届けします。

7.工ルヴィン・ジョーンズ Elvin Jones (1)Inner Urge/Joe Henderson (Blue Note) “Night and Day” Bob Cranshaw (b),Elvin Jones (ds),Joe Henderson (ts),McCoy Tyner (p)64.11.30 ②Eclypso/ Tommy Flanagan(Enja) “Comfirmation” Tommy Flanagan(p),George Mraz(b), Elvin Jones(ds).1977.2.4

16

1927 年ミシガン州ポンティアック生まれ。主にデトロイトで演奏後ニューヨークヘ出て J.J ジョンッン、ソ二一・ロリンズのコンボな どで活躍。ローチによって打ち立てられたモダン・ドラミングは工ルヴィン・ジョーンズによって更に改変されることになります。彼の 奏法を語る場合「ポリリズム」と言う言葉が使われますが、サウンド全体がうねって聴こえ、アクセントの位置がめまぐるしく変化す るので大変緊迫感があります。1957 年のトミー・フラナガンの「オーヴァ一・シーズ」やソニ一・ロリンズのヴァンガード・セッションが 50 年代の代表的な作品ですが、コルトレーンの偉業も 60〜66 年にわたる工ルヴィンの参加なくしては為されなかったでしよう。 (1)ジョー・ヘンダーソンのプルー・ノート第四作目と(2)トミフラとの再会セッションからからプラシで選びました。

8.ト二一・ウィリアムス TONNY WILLIAMS (1)Miles Smiles/Miles Davis(COLUMBIA) “Ginger Bread Boy” Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ts), Herbie Hancock(p),(b), Tonny Williams(ds) 1966.10.25

(2)Tokyo Live/Tony Williams(Blue Note) “Blackbird” Wallace Roney(tp), Bill Pierce(ss,ts), Mulgrew Miller(p), Ira Coleman(b) 1992.3 1945 年シカゴ生まれ。1963 年に若干 17 歳でマイルスのニュー・クインテットに参加、一躍モダン・ドラ ムの革命児となりました。63、4 年頃はスネア、タム類をギチギチに締め、18 インチの小型パスドラでシ ャープな音を出すと共に、2、4 拍のハイハットを踏まないという斬新な奏法を始めました。70 年代に入る と大型の黄色いグレッチがトレード・マークになり、大音量でドコドコ煽り立てると共にハイハット毎拍踏みへと変化。ライプで見たト 二一は一曲ごとに神経質そうにシンパルの位置を調整していました。1997 年 51 歳での急逝は残念です。(1)60 年代マイルス・コ ンボ・スタジオ 4 部作はグループ表現を重視したものが多いのですが、この曲でば全員が熱っぽい演奏を繰り広げて鳥肌もので す。ハイハット毎拍踏みはこの頃すでに行なっていますね。ハービー・ハンコックにハーモ二一を一切弾かせなかったという点でも ユニ一クです。(2)トニ一はメロディ・メーカーとしても優れており全編オリジナル曲で固めたプルーノート東京のライプから口ずさめ そうな一曲を選びました。

9.ジャック・デジョネット Jack Dejohnette Keith Jarrett At The Blue Note/Keith Jarrett(ECM) “How about You” Keith Jarrett(p),Gary Peacock (b),Jack Dejohnette(ds)1994.6.5 1942 年シカゴ生まれ。最初ピアニストを志しましたが、ハイ・スクール特代ドラムに転向。1966 年チ ャールス・ロイド・カルテット参加当持からト二一・ウィリアムスと並ぷ新持代の寵児として注目されるよ うになりました。ビル・エヴァンス・トリオ、マイルス・コンポを経て ECM のハウス・ドラマーとなります。白己名義のグループ、「ダイ レクションズ」「スベシヤル・工ディション」の活動もありますが、キース・ジャレット・トリオの演奏で彼のドラミングの特徴をよく聴くこ とができます。 選曲はニユーヨーク・プルーノートに三日間出演した時のライプから最終日の最終セットで、聴衆の熱気がよく伝わってきます。ジ ャックはビアノのバックではおとなしく、バース・チェンジでは派手にやっています。

10.ビート・ラロッカ Pete La Roca Sonny Rollins In Stockholm 1959 Complete(DIW) “St. Thomas” Sonny Rollins (ts),Henry Grimes (b),PEte La Roca (ds)1959.3.2 1938 年ニューヨーク生まれ。リーダー作「パスラ」は名盤の誉れ高く、スティープ・キューン、スティー ブ・スワローとの組み合わせではア一ト・ファーマーの作品に幾つか参加していますが、ここではロリン ズに喧嘩を売っているかのような演奏を聴いてみて下さい。このレコーディング後ロリンズは二度目の 引退生活に入ります。

17

11.スティープ・ガッド Mad Hatter /Chick Corea(Verve) “Humpty DumptY” Chick Corea(p),Joe Farrell(ts),Eddie Gomez(b),Steve Gadd(ds),1978 1945 年二ューヨーク州ロチエスター生まれ。ガッドをジヤズ・ドラマーの範疇に入れることには異論 有りでしようが、4 ビート系ではチック・コりア、佐藤允彦、ステップスなどとの共演があります。これはガ ッドで選んだというよりカッコイイ溝奏があるので入れてしまいました。

12.フィリー・ジョー・ジョーンズ (1)Porgy and Bess /Miles Davis(Columbia) “Gone” Miles Davis(flh), (b),Philly Joe Jones(ds), Gil Evans (arra & conduct).1958.7.22

(2)The Secret Sessions 1966-1975/Bill Evans(Mile Stone) "You and the Night and the Music" Bill Evans (p), Eddie Gomez (b),Philly Joe Jones(d)1967.9.3

(3)The Return Of Howard Mcghee/Howard Mcghee(BETHLEHEM) "I'll Remember April" Howard Mcghee (tp) Sahib Shihiab (bs) Duke Jordan (p) Percy Heath (b) Philly Joe Jones (ds) 1955 1929 年フィラデルフィア生まれ。55 年マイルスのレギュラー・クインテットに参加、賛否両論の中、天才的奏法が開花することに なる。マイルスから「たばこに火をつけるライタ一」と言われたフィリー・ジョーにとってこの 1955年から1958 年が最も安定した時期 でもありました。ブルーノートやプレステッジのセッションに数多く参加、リーダー作では中型コンボでの作品をリヴァ一サイドに幾 つか残しています。1960 年代後半はヨーロッパで活躍し、プラック・ライオン等に作品があり。彼のドラミングはほとんど天性の閃 きと言っても良い感覚に満ちたもので、スビード感、爆発力などどれをとっても魅力的です。(1)見事な演奏ですが、いわゆるキメ が多いためかレコーディングはかなり難航した様子で最後の一打もずれています。オーケストラのテーマからマイルス、チェンパ ース、フィリー・ジョー3 人だけのソロパートは緊迫感満点。(2)は二ュージヤージー在住の医飾が 10 年以上にわたってヴァンガー ドで隠し録りした演奏で、フィリー・ジョーの暴れん坊振りのため、最後は荒れ放題。(3)は端正な演奏でマギー、シハブ、ジョーダ ンが格調高いソロをとっていますが、べ一スがいつものチェンバースではなくパーシー・ヒースが野太い音で唸っているのが新鮮 でした。

13.富樫雅彦 TRANSFORMATION '69/'71/佐藤允彦(東芝音楽工業) “On A Clear Day” 佐藤允彦(1p),荒川康男(b),富樫雅彦(ds)1969.3.20 1940 年東京目黒生まれ。10 代で頭角を現し、穐吉敏子、宮沢昭、渡辺貞夫、ハ木正夫との共演を 経て 1968 年、佐藤允彦の歴史的トリオに参加。また、高柳昌行、高木元輝、吉沢元治と ESSG なるフ リーのグループを結成するも 1970 年下半身不随に。71 年独自のパーカッション奏法で復帰して活躍 を続け海外からも絶賛されましたが 2007 年 8 月没。この人は基本にマックス・ローチがあリ 60 年代前半ではローチそっくりの演 奏が聴かれます。今回は両足健在時代最後期のレコーディングからお聴き下さい。

14.森山威男 In A Sentimental Mood/本田竹曠(CBS SONY) “

18

本田竹曠(p),井野信義(b),森山威男(ds)1985.4 1944 年山梨県勝沼生まれ。1969 年中村誠一とともに山下洋輔トリオに参加、日本のフリージャズ界の寵児となりましたが、 1975 年同トリオを離れ、自身のコンボを持つようになってからはフォービート主体に転向。一時期活動を控えていましたが、現在 は名古屋を中心に新宿ピットインヘの出演も増えています。日本の和太鼓に通ずるドラミングと絶賛する批評も目にしますが、私 は単純に超絶技巧のプレイに爽快さを感じています。他流試合が少ないので本田竹曠との共溝は貴重です。長い間廃盤でした が本田追悼盤として復刻されました。

15.日野元彦 Japanese Trio Live At Blue Note Tokyo 1997 Featuring 日野元彦/穐吉敏子(日本クラウン) “Long Yellow Road” 穐吉敏子(p),鈴木良錐(b),日野元彦(ds). 1946 年東京千駄ヶ谷生まれ。幼少よリタップダンスを習い、原田憲司に師事。西条孝之介、沢田駿 吾のコンボを経て、日野皓正クインテットに参加。白己名義では TBM の「流氷」が名作として有名。ま た、CLUB-TOKO の功績は大きいですね。1999 年 53 歳で没。 オーチャード・ホールで開催された追悼演奏会では MC なしで続々22 のグループが演奏を繰り広げ、途中一度だけ児山紀芳、内 田修両氏がツアー中の渡辺貞夫、菊池雅章、山下洋輔の電報を読み上げました。 さてトリは穐吉御大のお出ましとなりましたが、この盤は録音状態が良くないので最初 CD 化する予定はなかったのかも知れませ ん。鈴木、日野のコンビは穐吉敏子が日本でスモール・コンポで演奏する時のご指名で、特に日野元彦が譜面に強く、初見が利く のに感心したそうです。 以上、本日は長時間お付き合い頂き有り難とうございました。

JAZZCAT-RECORD

インターネット専門店です。

レコード 5,000 枚以上を写真で掲載中。お店の感覚で捜せます。 ・ジャズ中古レコード販売(ボーカルも充実)・YOKOHAMA-JAZZCAT レーベルより CD 発売 ・日本人アーチストの CD・レコード販売(直接アーチストから依頼されています) ・オーディオコーナー(売りたし・買いたし・求む) ・中古 CD 販売 http://www.jazzcat-record.com 〒220-0051 横浜市西区中央 2-1-13 明光中央ビル 202 TEL&FAX 045-312-4238

Email:[email protected]

19

[2008年8月15日「映画館」] 特集:「動物にちなんだ曲・アルバム。 そしてジョニー・グリフィン、越智順子さん緊急追悼」」」

1.「AKAGRA」/HUMAIR JEANNEAU TEXIER(ライオンのジャケット) 2.「THE RION AND WOLF」/村田 浩 BOP BAND (アルバム STRAIGHT AHEAD より) 3.「RABBIT FROM THE HAT」/JOHNNY HODGES(アルバム BLUE PYRAMID より) 4.「BUNNY」/GERRY MULLIGAN MEETS JOHNNY HODGES 5.「18 CARROTS FOR RABBIT」/同上 6.「LITTLE PONY」/COUNT BASIE LIVE AT BIRDLAND WITH STAN GETZ 7.BENNY CARTER ORCHESTRA AT 幕張,JOHNNY GRIFFIN,,DIZZY GUILESPIE 8.「ON THE LION」/JACKIE MCLEAN(ジャケットに猿) 9. ALIGATOR BOGALOO/LOU DONALDSON(BLUE NOTE) 10.SIDE WINDER/LEE MORGAN(BLUE NOTE) 11.THE RAT RACE BLUES/GIGI GRAYCE(PRESTIGE) 12.THE YOUNG LIONS/LEE MORGAN(VEEJAY) 13.RETURN OF THE GRIFFIN 14.KING SIZE/ANDRE PREVIN(CONTEMPORALY) 15.LADY LOVE/BILLY HOLIDAY(ジャケットに犬) 16.EVERYBODY LIKES HANPTON HAWES(CONTEMPORALY)(ジャケットにワニ) 〔追悼特集〕 (越智順子さん) 1.SPAIN 2.CALLING YOU/ 3.AMAGING GRACE/アルバム「EXPOSURE」より 3.DANNY BOY 4.YOU GOTTA BE/アルバム「JESSE」より (JOHNNY GRIFFIN) 1.J G/JOHNNY GRIFFIN 2.'84 BERLIN

20

[2008年8月23日「ジャズカントリー」]

男性ジャズヴォーカルの魅力 そのジャケットとともに MMM.S.M.S..S..S.

テーマは「男性ジャズヴォーカルの魅力」です。 私自身は、特に男性ヴォーカルに固執しているわけではなく、 むしろ、ジャンルを問わず、 幅広く JAZZ を楽しむというスタイルを保っている方です。 10 代後半より JAZZ を聴き始めて、はや 37 年…色々な傾向の JAZZ に触れるという事を 繰り返して行く内、いつのまにか、幅広いジャンルのレコードも 蒐集されるようになり、 それに伴い、男性ヴォーカルのアルバムも数が増えて行きました。 それでも、蒐集数が女性ヴォーカルのそれより圧倒的に少ないの は、ご存知のように、リリースされた男性ヴォーカルのレコード の割合が、女性ヴォーカルよりかなり少ない・・・という理由であるのかもしれません。 JAZZ 愛好家の中でも、「女性ヴォーカルは聴くけど、男性ヴォーカルは、あまり好まない」と 軽い拒絶反応を起こされる方もいらっしゃいます。 男性ヴォーカリストと言われ、世に名を馳せた人たちは、ほんの一握りと言っていいでしょう。 いつしか、私のレコード棚の一角も、それらの一握りの人たちの「名盤」と言われるもので 占められるようになりました。 バッキングのミュージシャンの技にも心踊ります。ヴォーカルのバックを務めているのが 一流のミュージシャン達であり、あえて「表」にでず、ヴォーカルの引き立て役にまわっているのですが、 コラボレーションの妙味を味わうとともに、その演奏者が誰であるか・・・と 推測しながら聴く楽しみも持ち合わせています。

さらに、これらの「名盤」のジャケットの詳細もともに、お伝えしたく、スペースを、多くとらせていただきました。 レコードを聴く上で、ジャケットの放つイメージも切り離せないものです。 この 12 インチの中にこめられたストーリー・・・。中に収められた曲のイメージと重なっていきます。私が尊敬してや まない「阿部克自」氏いわく、 「このジャケットのデザインは 12 インチの世界で初めて成り立つものだ。50 年後、 CD のサイズになることを想定されたデザインではない・・・」 すぐれたデザインのものは CD のサイズにしても、見応えがあるものですが、確かに阿部氏の 意見もなるほどと思わざるを得ません。 これらのデザインをオリジナルサイズ(12 インチ)で味わうのも、レコードを蒐集する醍醐味の一つであります。 今回は、全部のレコード 39 枚を持参しました。オリジナルの持つ重みと深みをジャケットのイメージと合わせながら、 ご堪能いただけたらと思っています。

今回、担当させていただくにあたり、私が特に好きなヴォーカリスト、 メル・トーメ、トニー・ベネット、フランク・シナトラの三人を、「冒頭」、「中間」、「結び」 の柱の部分に、その前後に個性的で魅力的な面々を取り揃え…と、かなり欲張ったプランを作らせていただきました。 傾向も定まらず、解説も拙く、雑多な趣向となっております事を予め、お詫び申し上げます。

皆様とともに、「男性ヴォーカル」の魅力に触れて行けたら幸いです。

21

22

23

24

25

26

[2008年9月19日「映画館」] レーベル特集第1弾:「CONTEMPOLARY」

1.SOMETHING TO LIVE FOR/ART FARMER(C-14029) 2.TOGETHER AGAIN/HOWARD McGHEE & TEDDY EDWARDS(M-3588) 3.THE NEWBORN TOUCH/PHINEAS NEWBORN Jr.(M-3615) 4.LUNCH IN L.A./TETE MONTOLIU,CHICK COREA (OJCCD-1953) 5.EASY LIKE VOL.1/BARNEY KESSEL(C-3511) 6.HEART AND SOUL/TEDDY EDWARDS(M-3606) 7.AT THE BLACKHAWK 1/SHELLY MANNE(M-3577) 8.SOMETHING FOR LESTER/RAY BROWN(S-7641) 9.RELAXIN' AT CAMARILLO/JOE HENDERSON(C-14006) 例会としては初めての試みでしたが、「レーベル特集」を行いました。第 1 弾はウエストコーストを代表する名門コン テンポラリーでした。普段聴けないようなレコードまで飛び出して面白かったと同時に、このレーベルの底深さを勉強し ました。なお、途中でマシュマロ・レーベルの上不三雄氏も飛入りで参加され、面白いお話しを聞かせていただきました。

27

〔2008年9月27日「ジャズカントリー」〕

ライブ直前企画 宮之上貴昭(g) 吉岡秀晃(p)特集

紅 我蘭堂

いよいよ待望のライブが 10 月 5 日に迫ってきました。本日は、出演者である宮之上貴昭さんと吉岡秀晃さんにスポッ トをあてて、少しでもライブをお楽しみいただけるようにしたいと思います。

(ふたりの関係) 吉岡さんが宮之上さんを頼って上京。“スモーキン”というグループに参加して活躍。1983 年には宮之上さんの「黒い瞳 のナタリー」(バップレコード)でレコード・デビュー。その後 2000 年代にそれぞれ活動を行い現在に至る。 [第 1 部 宮之上貴昭]

WHAT'S HAPPENED? MIYA(ALMコジマ録音)1978 年

宮之上貴昭(g)、北島直樹(p)、山口雄三(b)、坂田 稔(ds) Side A 1)Autumn Leaves 2)What 's Happened MAKI Side B 1)4 on 6 2)Geo Blue 3)Borsia Sticks 宮さんのデビュー・アルバムは世界で500枚しかない自費制作盤です。 ジャケットに移っている人物は愛妻という噂があります。

TOUCH OF LOVE(バップレコード)1981 年

宮之上貴昭(g)、Jimmy Smith(org)、Kenny Dixson(ds)、初山 博(vib)、 Q・いしかわ(ts)、山口雄三(b) Side A 1)Fried Cornbread 2)Georgia On My Mind 3)Smorkin' In The Rain 4)Body And Soul Side B 1)Touch Of Love 2)Tokyo Air Shaft 3)Thank You, Jimmy 来日していたオルガンのジミー・スミスとの共演。

L.A.CONNECTION(キングレコード)1997 年

宮之上貴昭(g)、Andy Simpkins(b) 、Sherman Ferguson(ds) 、Frank Collett(p) ※ 1,2,5,9 1)Salt & Pepper 2)2 nd Take Off 3)Bumpin ' On 4)Why I Miss You 5)Repulsion 6)For Bass 7)Waking Or Sleeping 8)K 's Dream 9)Sunday Walk

28

宮之上さんの初海外録音。BLUENOTE などに多くレコードを残した“スリーサウンズ”のベーシストで あるアンディ・シンプキンスの肝いり(プロデュース)により、ロスアンジェルスでのレコーディングとなりま した。

SWEET & LOVELY/熱田修二(ATUTAプランニング)2000 年

熱田修二(tp) 、宮之上貴昭(g)、山口雄三(b)、高橋信之介(ds) 1)Taking A Chance On Love 2)Fascinathing Rhythm 3)Sweet And Lovely 4)One Note Samba 5)Here 's That Rainy day 6)East To West 7)Georgis 8)I Found A New Baby 9)Round About Midnight 10)Cherokee 熱田さんはビッグバンドで活躍していましたが家業を継ぐために島根県に戻られ らそうです。でもジャズへの情熱は醒めることなく、自費制作のような形で数枚の CD を出しています。そのうちの 1 枚に宮之上さんがゲスト出演した形です。

AUTUMN NOCTURNE/伊藤 潮(WOODY CREEK)2001 年

伊藤 潮(b)、宮之上貴昭(g) 1)Blues For M 2)Autumn Nocturne 3)I 've Grown Accustomed To Her Face 4)Waltz For Debby 5)Red Roses For Blue Lady 6)Israel 7)Nuage 8)So Quiet Night 9)It 's Only A Paper Moon 10)Wives And lovers 伊藤 潮との絶妙のデュオ。2005 年に『映画館』で行われたライブも良かったで すが。

LIVE!(SFCレコード)1999年 10月 30日録音

宮之上貴昭(g)、吉岡秀晃(p)、稲垣 護(b)、高橋信之介(ds) 1)Love For Sale 2)Dangerous 3)Caravan 4)Canadian Sunset 5)Love Me Tender 6)S.O.S. 7)Miya No Way このライブ盤が、ある意味では今回のライブの雰囲気を伝えることができるかもし れません。 SPIRITS/宮之上貴昭(SFC RECORD SFC-103)

宮之上貴昭(g)、滝本 博之(p)、稲垣 護(b)、太田耕平(ds)2005 年 12 月 6 日 7 日録音 1)Funk In Deep Freeze 2)Two Bass Hit 3)Sugar Ray 4)You Go To My Head 5)Equanimity 6)On Green Dolphin Street 7)Wives & Lovers 8)How Long Has This Been Going On? 9)Make Me Dream Make Me Roam 宮之上さんのラストはカルテットでの演奏です。ピアノが吉岡さんに代われば 今回のライブと同じメンバーとなります。

宮之上貴昭(よしあき)プロフィール 東京都世田谷区出身。米軍横田基地の『N・C・O』クラブで、ジョー・デイビ ス(org)、ジェリー・エディ(ds)のトリオ「ニュー・グルーブ」で 3 年間演奏。同 時に自己のバンドで都内のライブハウス等に出演し、1977 年に渡米。ニューヨー クで武者修業の後帰国し、コジマ録音から処女アルバム「WHAT'S HAPP ENED? MIYA」を自費制作。79 年には来日中のフィリー・ジョー・ジョ ーンズ(ds)をゲストに「ソング・フォー・ウェス」(キングレコード)をリリース

29

してメジャー・デビュー。これを機に毎年リーダー・アルバムを発表。オルガンの第一人者ジミー・スミスをゲストに迎 えた「タッチ・オブ・ラブ」(バップレコード)や、〈日本のジャズ 100 選〉にもなったライブ録音の「ウェス・モンゴメ リーに捧ぐ」(キングレコード)、ストリングス・オーケストラを加えた「フォクシー・アイズ」(東芝EMI)、アンディ・ シンプキンス(b)のプロデュースによる初の海外録音「L.A.コネクション」(キングレコード)も話題となる。現在は 都内のライブハウスや全国でのコンサート、テレビやラジオの出演をはじめ、海外のジャズ・フェスティバルやコンサー トで演奏活動を続けている。 ピックを一切用いず、親指を中心とする独特の奏法は、ウェス・モンゴメリーの流れの中にあって更に発展させ、着々と 自己のスタイルを確立している。比類のないテクニック、歌心とその音楽性は、全国的に熱狂的な信奉者が多く、わが国 を代表するギターリスト。 《リーダー作品》 WHAT'S HAPPENED? MIYA(ALMコジマ録音)1978 年 SONG FOR WES(キングレコード)1979 年 MELLOW AROUND(キングレコード)1980 年 RIVIERA(日本コロムビア)1981 年 TOUCH OF LOVE(バップレコード)1981 年 NATHALIE(バップレコード)1983 年 DEDICATED TO WES MONTGOMERY(キングレコード)1985 年 FOXY EYES(東芝EMI)1988 年 SMOKIN'(キングレコード)1991 年 BLUESLAND(キングレコード)1993 年 THE THUMB(キングレコード)1995 年 L.A.CONNECTION(キングレコード)1997 年 ME,MYSELF&I(キングレコード)1999 年 LIVE!(SFCレコード)2000 年 LIVE AT THE KITTY KITTY BROWN(SFCレコード)2002 年 JAZZ GUITAR PERFORMANCE〔DVD〕(B-2) SPIRITS(SFCレコード)2006 年 SUNSET STREET(SFCレコード)2007 年 《双頭作品》 EIJI MEETS SMOKIN'/北村英治(イエローキャブ)1996 年 YOSHIAKI/岡安芳明(キングレコード)1996 年 SWEET & LOVELY/熱田修二(ATUTAプランニング)2000 年 DELIVERY/北村英治(JAZZ COOK)2000 年

AUTUMN NOCTURNE/伊藤 潮(WOODY CREEK)2001 年 (以上宮之上さんのホームページより抜粋)

[第2部 吉岡秀晃]

MASATO/今津雅仁(ファンハウス)1989 年

今津雅仁(ts)、吉岡秀晃(p)、沼上 励(b)、藤沢博延(ds)、村田 浩(tp) ※Side 1 1) Side 2 2)3)のみ Side 1 1)Fire Ball 2)Violet Love 3)Zoom Side 2 1)Like Forrest 2)So Long 3)Dear Hank 1980 年代後半に吉岡さんは今津雅仁グループに参加。今津雅仁はいまだに最高の ピアニストは吉岡秀晃だと断言しています。この活躍が認められて、同じファンハウスからリーダー・アル

30

バムを発売する。

HERE WE GO(ファンハウス)1990 年

吉岡秀晃(p)、沼上 励(b)、藤沢博延(ds)、五十嵐一生(tp)、岡 淳(as)、 今津雅仁(ts) 1990年 7月 17、18日録音 1)Here We Go 2)Enfance Finie 3)Fish Tail 4)Time Stream 5)In My Own Way 6)Kingstown 7)Not Changing 8)Where Or When 今津のアルバムで認められ、早くもリーダー・アルバムを制作。ただしメンバー は今津グループのリズム・セクション中心で豪華なゲストが花を添えています。

ALWAYS(ファンハウス)1992 年

吉岡秀晃(p)、坂井紅介(b)、日野元彦(ds)1992 年 6 月 22、23 日録音 1)Aha,Bud 2)Doing 3)Quiet Message 4)A Man Come Back 5)Casually 6)Passionate 7)Strange Dance 8)Always ほぼ 1 年に 1 作でリーダー作を発表し順調な出足でした。この第 3 作目は、2 作 目と同じく全曲オリジナル曲で勝負を掛けています。

DOIN’ IT RIGHT‘LIVE AT BROWNY’

(BROWNY) 1999 年

吉岡秀晃(p)、井島正雄(b)、ヤス岡山(ds)1998 年 12 月 15 日録音 1)Mr.Wonderful 2)Back At The Chicken Shack 3)Thinking Of You 4)Groove yard 5)On Stage 6)Make The man Love Me 7)Milestone 今はなき福岡にあった『BROWNY』でのライブ録音です。やはり吉岡はライブがいい。

THE GROOVY TRIO LIVE AT DOUG

吉岡秀晃(p)、高梨道夫(b)、守 新治(ds)1997年 3月 22日 1)If You Could See Me Now 2)Blues On Purpose 3) 4)Caravan 5)Billy Boy 長崎県波佐見市にある『DOUG』には毎年出演しているそうです。これはオー ナーである立石 聰氏から譲っていただいた貴重な音源で、なんと 40 度近い高熱 を出していたそうです。

MOMENT TO MOMENT(ヴィーナス)2000 年

吉岡秀晃(p)、JAMIL NASSER(b)、JIMMY COBB(ds)2000 年 5 月 31 日録音 1)Wired 2)Don't Take Your Love From me 3)Blowin' The Blues Away 4)Some One To Light Up My Life 5)Harlem Blues 6)Moment To Moment 7)Hudson 2000 年にアメリカ録音が実現。スタジオはルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ だったのですが。

31

ON THE ROAD/大隈寿男(M & I レコード)2005 年

大隈寿男(ds)、吉岡秀晃(p)、古野光昭(b)2005 年 4 月 12、13 日録音 1)Billy Boy 2)Reflection 3)All The Things You Are 4)Falling In Love With Love 5)Waltz For Debby 6)Black Orpheus 7)Bloomdido 8)My Funny Valentine 9)Night In Tunisia 10)On The Road これだけのベテランが揃って、悪いわけがありません。

“THE KITTY KITTY BROWN”

18th ANNIVERSARY LIVE CONSERT

宮之上貴昭(g)、吉岡秀晃(p)、稲垣 護(b)2001年 10 月 22日録音 宮之上さんが経営されていた“KITTY KITTY BROWN”は 国分寺にありました。確か 2002 年 12 月には皆でお邪魔しました。 渋谷さんにいただいた音源ですが、宮さんと吉岡さんの掛け合いも聞けます し、楽しいライブの雰囲気が充分に伝わると思います。 吉岡秀晃(p)プロフィール 1960 年 2 月 1 日宮崎県延岡市出身。8 歳の時にピアノとバイオリンに出会う。 高校在学中、キース・エマーソンに魅せられ、プログレッシブロックの洗礼を 受けると同時にジャズに興味を抱く。1979 年、来日したレッド・ガーランド・ トリオのジャミル・ナッサー、ジミー・コブと共演しレッド・ガーランドに絶 賛される。1981 年 21 歳の時プロを目指し上京。1990 年初リーダー作 「H ERE WE GO」を発表 。1991 年セカンドアルバム「ANYTIME A NYWAY」を発表。スイングジャーナル選定ゴールドディスクを邦人ジャズ メンの新録音作品としては史上初の獲得という快挙を成し遂げる。1992 年日野元彦(ds) 、坂井紅介(b) による最強のリズ ム陣と共にサードアルバム「ALWAYS」を発表 。1994 年初めてのソロ作品集「STRONGMAN」を発表 。1994 年 10 年メキシコで開催された国際親善ジャズ・フェスティバルに出演 。1996 年 2 月ロサンゼルスで開催されたインタ ーナショナル・ジャズ・パーティーでアンドリュー・シンプキンス、ルー-タバキン、シャーマン・ファーガソン、ジェ フ・ハミルトン他多数と共演,親交を深める。1999 年 8 月待望のライブアルバム「DOIN ' IT RIGHT 」を発表 。2000 年 2 月インターナショナル・ジャズ・パーテイ―に出演。ロサンゼルスタイムズでは『日本が生んだファンキージャズの 達人』として評価確定。2000 年 5 月ニューヨークのルデイ・バンゲルダースタジオでジャミル・ナッサー(b)ジミー・ コブ(ds) との共演でトリオの初の海外レコーディング。7 月「MOMENT TO MOMENT」をヴィーナスレコー

ドより発表。(以上ホームページより抜粋) 《リーダー作品》 HERE WE GO(ファンハウス)1990 年 ANYTIME ANYWAY(ファンハウス)1991 年 ALWAYS(ファンハウス)1992 年 STRONG MAN(ファンハウス)1994 年 DOIN’ IT RIGHT(BROWNY)1999 年 MOMENT TO MOMENT(ヴィーナス)2000 年 《主な参加アルバム》 NATHALIE/宮之上貴昭(バップレコード)1983 年 DEDICATED TO WES MONTGOMERY/宮之上貴昭(キングレコード)1985 年 MASATO/今津雅仁(ファンハウス)1989 年 WHAT’S A MELODY?/今津雅仁(ファンハウス)1990 年 “HE SAID...”/今津雅仁(ファンハウス)1990 年 SMOKIN'/宮之上貴昭(キングレコード)1991 年

32

HARD TIMES/今津雅仁(ファンハウス)1991 年 THE RETURN OF MASATO/今津雅仁(SKIP)2000 年 LIVE!/宮之上貴昭(SFCレコード)2000 年 UNAFFECTED/渡辺明日香(WHAT'S NEW レコード WNCJ-2135)2004 年 TIME FOR LOVE/MONK’S TRIO Ⅱ(WHAT'S NEW レコード)2005 年 ON THE ROAD/大隈寿男(M & I レコード)2005 年

33

KJFC例会等の予定

ジャズスポット「映画館」 電話03-3811-8932

2009年1月16日(金)午後7時~午後10時

特集:レーベル特集(5)パシフィック (ひとり2枚の持寄り)

2009年2月20日(金)※ 午後7時~午後10時

特集:レーベル特集(6)アーゴ(カデット含む) (ひとり2枚の持寄り)

2008年3月13日(金)※第 2 金曜日です。ご注意ください。午後7時~午後10時

特集:レーベル特集(7)エマーシー(マーキュリー含む) (ひとり2枚の持寄り)

「JAZZ COUNTRY」電話03-3572-7684

2009年1月24日(土)午後7時~午後10時

特集:「持寄り企画」 お好きなレコードをご持参ください。

2009年2月28日(土)午後7時~午後10時

特集:女性ヴォーカル 担当:T.Y.

2009年3月28日 (土) 午後7時~午後10時

特集:未定

特集は変更になる場合があります。ホームページで確認してください。

編集後記 ・最近、年のせいか一年が短く感じます。ついこの間お正月を祝ったばかりの気がしますが、また年の瀬が近づいてきま した。不景気風にさらされつつ、何となく慌しく過ごしてしまったようです。単純に「正月気分」が抜けないでそのまま過ごしている だけなのですが。・そんな私にひきかえ、例会を担当する会員の方々の熱意はますますヒートアップしているように感じられます。今回 の号は結果的に『例会特集』のようになってしまいました。次号もかなりのページを占めると思います。・私も負けずに 2009 年は充実 したジャズ・ライフを楽しみたいと思います。・さてさて 2009 年はどんな年になるのでしょうか。またよろしくお願いいたします。(紅)

一緒にジャズを楽しみませんか? KJFC会員募集中

KJFCは心からジャズを楽しむ人の集まりです。オタクはいません。むしろみんなで好きなジャズを勉強して、分か ち合っています。みんなジャズについての素人です。一度例会に遊びにきてください。あなたの好きなジャズが、必ず見 つかるでしょう。 《KJFC の主な活動》 ・ 毎月 2 回のレコードコンサートを主体にした例会(会費月額 500 円) ・年1,2 回自主ライブの主催 ・ 会報 GROOVY の発行 ・ホームページの運営など です。 詳しくはホームページのメールか、090-4178-1833(布田幸雄)まで

34