理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料について Title の一提案( fulltext )

Author(s) 犀川,政稔

Citation 東京学芸大学紀要. 自然科学系, 69: 165-196

Issue Date 2017-09-29

URL http://hdl.handle.net/2309/148233

Publisher 東京学芸大学学術情報委員会

Rights 東京学芸大学紀要 自然科学系 69: 165 - 196,2017

理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

犀 川 政 稔*

環境科学分野

(2017年 5 月29日受理)

SAIKAWA, M.: A proposal on the materials suitable to be used in the science textbooks as representatives for Angiosperm stems. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Div. Nat. Sci., 69: 165-196. (2017) ISSN 1880-4330

Abstract

Two-hundred and fifty figures of transverse sectioned stems of 250 Angiosperm were arranged in 16 pages according to the APG IV classification system, though the calms, -axes and underground stems were also included in the ‘stems.’ In the Basal Angiosperms and , the continuous-, IFS-, and side-by-side-types of vascular bundles were dominated in the figures and the IFC type, such as that of Impatiens balsamina used in the science textbooks used in the primary and junior-high schools for more than 100 years in , was found to be exceptional in the species examined. In the Monocots, on the other hand, the Zea type of vascular bundle was found only in the thick stems, such as those of Pandanus odoratissimus and Trachycarpus fortunei and the somewhat irregular, but one to three layered circle in arrangement of vascular bundles was commonly found in the narrower stem of grasses including those of Zea mays. In the Dioscoreales and Commelinales, the vascular bundles arranged more regularly like IFS type of the Eudicots. Thus, the materials in the science textbooks should not be chosen from the stems showing morphology exceptional to the vascular-bundle types in transverse sections.

Keywords: Alistolochia, IFC-LL type, LLP type, Sachs, Strasburger, .

Department of Environmental Sciences, Tokyo Gakugei University, 4-1-1 Nukuikita-machi, Koganei-shi, Tokyo 184-8501, Japan

要旨: 被子植物250種の茎(稈,花序の軸や地下茎も含まれる)の横断切片の250図をAPG IVの分類体系に従って 16ページの図版にして並べてみた。すると原初被子植物と真正双子葉類では,維管束型はほとんどが連続型とIFS型 と密着型であり,小学校や中学校の理科の教科書で100年以上も使われきたホウセンカの維管束型であるIFC型は例 外的であった。一方,単子葉類ではトウモロコシ型はアダンやシュロのような太い茎に見られ,細い茎ではいくぶん 不規則ではあるが,1-3列の環状に並んだ維管束が一般的であった。これはトウモロコシの細い茎でも同様であった。 また,ヤマノイモ目とツユクサ目の維管束は真正双子葉類のIFS型の維管束のように,より規則的に並んでいた。教 科書には例外的な維管束をもった植物を選んではならない。

* 東京学芸大学(184-8501 小金井市貫井北町 4-1-1)

- 165 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

1. はじめに 束の形態が他種のものとどの程度違っているのかを認 識するために,両種を含む被子植物250種の茎の横断 中学校理科の教科書で維管束の学習に用いる被子植 切片像250図をAPG IVの分類体系に従って並べてみ 物は,双子葉植物ではホウセンカが,単子葉植物では たのである。250種の内訳は,原初被子植物が19種, トウモロコシが主に用いられている(有馬ら,2016; 単子葉類が70種,真正双子葉類が161種である。なお 細矢ら,2016; 岡村ら,2016; 霜田ら,2016; 塚田ら, 犀川(2014)が採用した双子葉類の維管束型のうち, 2016)。ホウセンカの茎の横断切片を観察すると,維 LLP(lignified layer of parenchyma)型とIFC-LL(lignified 管束は適当な間隔をおいて離れており,茎中央の髄を layer produced by interfascicular cambium)型は本論文 囲んで環状に配列していることがわかる。その維管束 ではまとめてIFS(interfascicular schlerenchyma)型と と維管束の間には維管束内の形成層(cambium)と連 した。前者は維管束間の柔組織(parenchyma)の細胞 続した維管束間形成層(IFC = interfascicular cambium) 群が木化して層状となったものであり,後者は維管束 が認められ,維管束は維管束間形成層によって結ばれ 間の形成層が形成した木部要素になっているという点 た形態を示す。この形態はIFC型と呼ばれ(犀川, で本質的な違いがあるが,どちらも厚壁細胞群 2014),100年以上も前から(Sachs, 1868)双子葉植物 (schlerenchyma)であり,区別困難な例もあって統一 を代表する維管束型とされてきた。しかし,この型は した。単子葉類の維管束型については,外側に小維管 ウリ科に見られる分離型(IFC型に似ているが維管束 束,内側に大維管束が交互に 2 列に並んだヤマノイモ 間形成層がない)とともに一般的には茎の先端部の冬 型と,茎に内皮があり,おもな維管束が内皮の内側に 芽の中など頂端分裂組織のすぐ下のところで見られる 接して環状に配列するツユクサ型以外は何々型とする もので(Evert, 2006),伸長した茎の中ではウマノス 分類が困難であるため,それぞれの植物について「特 ズクサ類や(Strasburger et al., 1908)ホウセンカの類 筆所見」として表 1 の中に記した。 などを除けばめったに見られるものではない(犀川, 2014)。双子葉植物一般の茎の維管束は維管束内形成 2.材料と方法 層の部分を挟んで髄側に木部が,皮層側に師部がある という並立型であるが,ホウセンカの場合は,その師 2016年 7 月から2017年 4 月までの間に250種を超 部がほとんど認められない(犀川, 2014)点も問題で える被子植物の茎(稈,花序の軸や地下茎も含まれ ある。 る)の横断,および縦断切片をプラントミクロトーム 単子葉植物については内外を問わずトウモロコシの (MTH-1型; 日本医化器械製作所,大阪)と滑走式ミ 太い茎だけが主に用いられてきた(Sachs, 1868)。そ クロトーム(LS-113型; 大和光機,東京)を用いて作 の横断切片を見ると散在維管束と呼ばれるように維管 製した。ミクロトームにはS35型ミクロトーム用替刃 束が茎の中全体にわたって広がっているが,単子葉植 (フェザー安全剃刀,大阪)を装着した。切片はサフ 物の全部(植田,1958)がこのタイプであるように誤 ラニン(Safranin O; 関東化学,東京)とファストグ 解されていることは問題である。たとえば,ヤマノイ リーン(Fastgreen FCF; Chroma社,Stuttgart)で二重 モ目やツユクサ目の維管束は茎の中で散在しておら 染色し(木島,1962),エポキシ樹脂(日新EM,東 ず,双子葉植物のホウセンカの維管束のように環状に 京)を用いて封入した。封入剤はQuetol 812とMNA 配列しているし,トウモロコシと同じイネ科でさえも とDDSAの3種類のモノマーの樹脂をそれぞれ等量ポ 細い茎の場合,維管束は表皮の近くで 1-3 列の環状に リエチレン製の100 ml角瓶に入れて混ぜたあと撹拌 なっているのである。このことはすでに知られた事実 機でよく撹拌し,冷蔵庫に保存した。使用にあたって であったが(Schwendener, 1874; de Bary, 1877; Queva, はその 1-2 mlを口の部分を切ったポリエチレン製の 1894; Tomlinson, 1969; Ayensu, 1972),教科書が今日ま たれ瓶に流し込み,加速剤DMP-30を爪楊枝で滴下し で取り上げてこなかったのである(犀川,2016)。また, て撹拌した。染色が終わった切片は,ほぼ田中・浜 書名に‘植物形態学’という文字の入った専門書にお (1970)の方法に従って100%エタノールに移し,ス いて(小倉, 1948, p.194; 植田, 1958, p.61; 小林, 1975, ライドグラス上の1滴の樹脂に載せ,カバーグラスで p.34; 原, 2011, p.57),単子葉植物の茎に散在する個々 封入した。樹脂はミニプレートグリル鍋(APN170G- の維管束の模式図が双子葉植物のものと同じ並立型の ST; 吉井電気,高崎)を用い,約10時間60℃に保っ 維管束となっている点も問題である。 て重合させた。永久プレパラートとなった切片は顕微 そこで本研究ではホウセンカとトウモロコシの維管 鏡(Zeiss社製Axioplan型; Oberkochen)に同社製の対

- 166 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

物レンズPlan Apochromat 5×,同10×と同20×を装 (Sachs, 1868),現行の中学校理科でもトウモロコシだ 着してデジタルカメラ(EOSM3; キヤノン)で撮影し けが5社が発行するすべての教科書に採用されていた た。撮影用の鏡筒はEOSM用の中間リング(中国製 (表 2)。しかし,70種を比較してみると,トウモロコ Asian Zakka社; 楽天市場取扱)などを組み合わせて自 シと同じように分離型の維管束が茎の横断面全体に広 作した。撮影レンズにはNFK2.5LD(オリンパス光学 がっていて,しかも表皮のところまで及んでいたの 製)を用いた。なお,図252に用いた大きな切片はマ は,トウモロコシ(図89)を含め,オモダカ目サト クロ写真装置(日本光学,川崎)にマクロニッコール イモ科のクワイ(図21),イネ目カヤツリグサ科のカ 65 mmを付けて撮影した。 ンスゲ(図59)とカヤツリグサ(図61),それにイネ 目イネ科のメリケンカルカヤ(図62),チゴカンチク 3.結果 (図66),ジュズダマ(図67),タチカモジグサ(図 72),オギ(図77),ナリヒラダケ(図83),セイバン 2016年 7 月から2017年 4 月までの間に作った被子 モロコシ(図87),シホウチク(図88)の12種だけで 植物の茎の切片を永久プレパラートにして検鏡し,そ あった。ただし,図89のトウモロコシの場合は維管 のうちの横断切片としたプレパラートの250種を撮影 束が茎の周辺部に偏っているが,それは用いた茎が雌 して250枚の図版(図1-250)を作製し,データを一 花序の太いものではなく,細い雄花序のものを用いた 覧表にまとめた(表 1)。図と表における科以上の配 ためである。一般的に細い茎の維管束は茎の周辺部で 列はAPG IVの分類に従っているが,各科における種 1-3列の環状に並ぶ傾向があった(表 1)。残りの58 の配列は学名のアルファベット順とした。なお,表 1 種の茎では表皮近くの皮層と中心柱の境界あたりに発 のうち,原初被子植物と真正双子葉類の各種の維管束 達した厚壁細胞の層(layer of schlerenchyma = Sc層) 型については図251を参照のこと。また,地下茎など が目立っているか,あるいはヤマノイモ目のヤマノイ の例外を除き,植物材料は種子や冬芽などから伸長し モ(図22)とトコロ(図23)のように大小の維管束 て1年目の茎を用いたが,横断面の様子は茎の太さと が表皮の内側に環状に並んでいた。また,ツユクサ目 採取や入手の時期によって多少異なるので,それらの の 6 種(図48-53)の場合には茎の中に頂端分裂組織 データも表1中に示した。以下主に内外の理科教科書 でできた内皮が残っており,維管束はその内側に内皮 に用いられたウマノスズクサとトウモロコシとホウセ と密着して並んでいた。今回観察した単子葉類70種 ンカについて解説したい。 のうち,トウモロコシのような茎全体に広がった散在 維管束型は約17%であった。 3.1 ウマノスズクサの維管束型について ウマノスズクサ類はIFC型の維管束型をもった双子 3.3 ホウセンカの維管束型について 葉植物を代表する植物として数十年間外国の植物学教 真正双子葉類に含まれる植物は図90-250までの28 科書に採用された植物であるが(犀川,2014),APG 目161種である。維管束型について表 1 を見ると連続 では原初被子植物に分類されている。今回このグルー 型が88種,IFS型が39種,密着型が18種,IFC型が 9 プの 5 目19種の維管束型を比べてみたところ連続型 種,そして分離型が 7 種で,ホウセンカを含むIFC型 が 6 種,密着型が10種,IFC型がウマノスズクサとオ は百分率で表すと5.6%であった。原初被子植物と合 オバウマノスズクサの 2 種,そして維管束間に厚壁細 わせた‘双子葉植物’の180種中では11種となり, 胞群(schlerenchyma)があるIFS型がフウトウカズラ 6.1%であった。161枚の図を見ると,ウリ目ウリ科の の 1 種であった(表 1; 図1-19)。ただし,フウトウ 5種(図142-146)の分離型を除けば,ホウセンカ カズラの場合は単子葉類のように,髄の中央付近にも (図199)とアフリカホウセンカ(図200)の維管束の 散在維管束が混在していた(図 3)。19種の図を比べ 図は原初被子植物におけるウマノスズクサ(図 4)と てみるとウマノスズクサ類の 2 種の維管束(図 4, 5) オオバウマノスズクサ(図 5)の 2 図のように他種の がいかに異質であるかがよくわかる。 横断切片像と比べるとかなり異質に見える。ホウセン カの場合,切片中に見える維管束の幅にばらつきがあ 3.2 トウモロコシの維管束について り。維管束間の間隔が広く,加えて道管のある木部と 検鏡した単子葉類70種の維管束は図20-89に示し 師部繊維群の間に存在するはずの師部がほとんどない た。トウモロコシは100年以上も前から長期間内外の ことも重要な特徴である。 教科書で使われ続けているイネ目イネ科の植物で

- 167 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

3.4 理科教科書に維管束図が用いられたその他の ススキの維管束の切片像がススキと姿のよく似たオギ 植物について (図77)やセイバンモロコシ(図87)のものとは違うの トウモロコシとホウセンカを除いて現行の中学校理 でこの点注意する必要がある。一方,双子葉植物とし 科の教科書に維管束図が示されているのは単子葉類の て挙げられた4 種のうちエンドウとアブラナは一般的で ツユクサとススキとユリとアヤメの 4 種,双子葉植物 はないIFC型なので多様性を示すためには他の維管束 なら真正双子葉類のアブラナとヒマワリとエンドウと 型をもつ植物に替える必要がある。 アサガオの 4 種である(表 2)。これら 8 種のうちユリ 以上,主にウマノスズクサとトウモロコシとホウセン 以外の 7 種は,たまたま本研究でも用いていた。すな カの 3 種についての観察結果を述べたが,被子植物の わち,アヤメの維管束は図31に,ツユクサは図49,ス 250種の図をAPGに従って並べてみると,これら 3 種以 スキは図78,エンドウは図113,アブラナは図180,ア 外についても新しい知見がたくさん得られた。たとえ サガオは図217,そしてヒマワリの維管束は図241に示 ば,理科の教科書や植物形態学の専門書で扱われるシ されている。単子葉類の 4 種のうちツユクサは茎の中 ナノキ(図176)と同じ科のタチアオイ(図173),カラ 心部に散在した維管束を持っているが,周辺部にはそ スノゴマ(図174),アオギリ(図 175)の 4 種の維管束 れよりも著しく目立つ環状に並んだ維管束を持ってい の師部がいずれも皮層中に深く割り込んでいるという点 るので問題である(図49)。他の 3 種はこれでよいが, で他種のものとは著しく違っていることなどがわかった。

表1. 観察した被子植物250種の茎の横断切片における維管束型*と特筆所見(このページからp.176まで続く)

和名or通称,(学名),標本番号 入手日,茎サイズ(mm) 維管束型*と特筆所見 図番号 原初被子植物(Basal Angiosperms) アウストロバイレヤ目(Austrobaileyales) マツブサ科(Schisandraceae) シキミ(Illicium anisatum)11513 10 Jan, 2017 φ4.0 連続型,師部極狭 図1 サネカズラ(Kadsura japonica)3106 15 Oct, 2016 φ2.8 連続型,師部極狭 図2

モクレン類(Magnoliids) コショウ目(Piperales) コショウ科(Piperaceae) フウトウカズラ(Piper kadsura)9114 17 Dec, 2016 φ4.0 IFS型(皮層)+分離型(髄) 図3 ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae) ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)3814 29 Oct, 2016 φ1.2 IFC型 図4 オオバウマノスズクサ(Aristolochia kaempferi)9102 18 Dec, 2016 φ2.8 IFC型 図5 モクレン目(Magnoliales) モクレン科(Magnoliaceae) オガタマノキ(Magnolia compressa)15506 10 Mar, 2017 φ2.0 密着型 図6 ハクモクレン(Magnolia denudata)15408 5 Mar, 2017 φ3.2 密着型 図7 カラタネオガタマ(Magnolia figo)15415 10 Mar, 2017 φ1.8 密着型 図8 タイサンボク(Magnolia grandiflora)15101 5 Mar, 2017 φ6.5 密着型 図9 コブシ(Magnolia kobus)13203 3 Feb, 2017 φ3.5 密着型 図10 モクレン(Magnolia quinquepeta)14507 20 Jan, 2017 φ4.5 密着型 図11 シデコブシ(Magnolia stellata)15714 19 Mar, 2017 φ2.0 密着型 図12 ロウバイ科(Calycanthaceae) ロウバイ(Chimonanthus praecox)12303 20 Jan, 2017 φ2.0 密着型,師部極狭 図13 ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox f. concolor)11409 12 Jan, 2017 φ2.0 密着型,師部極狭 図14 クスノキ目(Laurales) クスノキ科(Lauraceae) ヤブニッケイ(Cinnamomum tenuifolium)9616 17 Dec, 2016 φ2.5 連続型,師部極狭 図15 ダンコウバイ(Lindera obtusiloba)6211 8 Nov, 2016 φ1.8 連続型,師部極狭 図16 カゴノキ(Litsea lancifolia)7405 8 Nov, 2016 φ3.2 連続型,師部極狭 図17 タブノキ(Machilus thunbergii)9217 17 Dec, 2016 φ3.0 連続型,師部極狭 図18 センリョウ目(Chloranthales) センリョウ科(Chloranthaceae)

- 168 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

センリョウ(Sarcandra glabra)11314 10 Jan, 2017 φ3.5 密着型,師部極狭 図19

単子葉類(Monocots) オモダカ目(Alismatales) サトイモ科(Araceae) アンスリウム(Anthulium andraeanum)11216 10 Jan, 2017 φ6.0 Sc層中環状,中心柱内分散 図20 クワイ(Sagittaria trifolia)13805 8 Feb, 2017 φ10.0 全体的分散 図21 ヤマノイモ目(Dioscoreales) ヤマノイモ科(Dioscoreaceae) ヤマノイモ(Dioscorea japonica)8304 10 Dec, 2016 φ1.2 大小維管束交互環状 図22 トコロ(Dioscorea tokoro)2707 7 Oct, 2016 φ4.0 大小維管束交互環状 図23 タコノキ目(Pandanales) タコノキ科(Pandanaceae) タコノキ(Pandanus boninensis)11711 16 Jan, 2017 φ110 中心柱内密集 図24 アダン(Pandanus odoratissimus)10712 5 Jan, 2017 φ90 中心柱内密集 図25 ユリ目(Liliales) サルトリイバラ科(Smilacaceae) サルトリイバラ(Smilax )4308 8 Nov, 2016 φ2.5 Sc層中+中心柱内密集 図26 ユリ科(Liliaceae) ホトトギス(Tricyrtis hirta)4510 8 Nov, 2016 φ3.0 Sc層中+中心柱内周辺密集 図27 キジカクシ目(Asparagales) ラン科(Orchidaceae) シラン(Bletilla striata)8609 13 Dec, 2016 φ2.5 Sc層中+中心柱内分散 図28 デンドロビウム(Dendrobium phalaenopsis)11201 10 Jan, 2017 φ4.5 Sc層中+中心柱内分散 図29 アヤメ科(Iridaceae) ダッチアイリス(Iris×hollandica)15002 5 Mar, 2017 φ6.0 Sc層+中心柱内分散 図30 アヤメ(Iris sanguinea)9011 18 Dec, 2017 φ5.0 Sc層+中心柱内分散 図31 イチハツ(Iris tectorum)15514 12 Mar, 2017 φ9.0 中心柱内分散 図32 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae) ニンニク(Allium sativum)9414 26 Dec, 2016 φ4.5 Sc層+皮層内環状,中心柱内分散 図33 ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae) キダチロカイ(Aloe arborescens)4209 6 Nov, 2016 φ9.0 Sc層+中心柱内分散 図34 キジカクシ科(Asparagaceae) アオノリュウゼツラン(Agave americana)15004 5 Mar, 2017 φ9.0 Sc層+皮層内分散,中心柱内密集 図35 ハラン(Aspidistra elatior)11012 10 Jan, 2017 φ9.0 Sc層+中心柱内分散 図36 オリヅルラン(Chlorophytum comosum)12104 20 Jan, 2017 φ3.0 Sc層+中心柱内分散 図37

ニオイシュロラン(Cordyline australis)14805 28 Feb, 2017 φ30 Sc層+中心柱内周辺密集,中心分散** 図38

コルジリネ(Cordyline rubra)4001 30 Oct, 2016 φ5.0 Sc層+中心柱内周辺密集,中心分散** 図39 ドラセナ・ゴッドセフィアナ(Dracaena surculosa)11209 10 Jan, 2017 φ2.5 Sc層+中心柱内周辺密集,中心分散 図40 オオバギボウシ(Hosta sieboldiana)6014 15 Nov, 2016 φ4.0 Sc層+中心柱内周辺密集,中心分散 図41 ヤブラン(Liriope platyphylla)5705 8 Nov, 2016 φ3.0 Sc層+中心柱内周辺密集,中心分散 図42 アマドコロ(Polygonatum odoratum)7106 19 Oct, 2016 φ3.0 Sc層中環状,中心柱内分散 図43 キチジョウソウ(Reineckea carnea)10601 5 Jan, 2017 φ6.0 中心部のみ分散 図44 オモト(Rhodea japonica)15609 12 Mar, 2017 φ25 中心柱内分散 図45

- 169 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

ユッカ(Yucca gloriosa)8814 17 Dec, 2016 φ9.0 中心柱内周辺密集,中心分散 ** 図46 ヤシ目(Arecales) ヤシ科(Arecaceae) シュロ(Trachycarpus fortunei)14515 28 Feb, 2017 φ80 中心柱内外周辺密集 図47 ツユクサ目(Commelinales) ツユクサ科(Commelinaceae) マルバツユクサ(Commelina benghalensis)4702 1 Nov, 2016 φ3.0 内皮下Sc層中環状+中心部分散 図48 ツユクサ(Commelina communis)2217 29 Sep, 2016 φ2.5 内皮下Sc層中環状+中心部分散 図49 ヤブミョウガ(Pollia japonica)2901 12 Oct, 2016 φ3.0 内皮下Sc層中環状+中心部分散 図50 トキワツユクサ(Tradescantia fluminensis)8508 13 Dec, 2016 φ2.0 厚壁内皮下環状+中心部分散 図51 ムラサキゴテン(Tradescantia pallida)2908 13 Oct, 2016 φ8.0 厚壁内皮下環状+中心部分散 図52 オオムラサキツユクサ(Tradescantia virginiana)3009 14 Oct, 2016 φ5.7 内皮下環状+中心柱全体分散 図53 ショウガ目(Zingiberales) コクラクチョウカ科(Strelitziaceae) ゴクラクチョウカ(Strelitzia reginae)14902 3 Mar, 2017 φ8.0 Sc層+皮層内密集,中心柱内分散 図54 バショウ科(Musaceae) カンナ(Canna indica)4708 4 Nov, 2016 φ5.3 Sc層中密着環状,中心柱内分散 図55 ミョウガ(Zingiber mioga)13811 8 Feb, 2017 φ10 Sc層+皮層内太径,中心柱細径分散 図56 イネ目() パイナップル科(Bromeliaceae) パイナップル(Ananas comosus)14409 8 Feb, 2017 φ18 中心柱内全体的分散 図57 カヤツリグサ科(Cyperaceae) コウボウムギ(Carex kobomugi)4407 6Nov, 2016 φ4.0 皮層1列+Sc層中+中心柱内密集 図58 カンスゲ(Carex morrowii)13514 5 Feb, 2017 1.2(△形) 皮層Sc層内1列+1,2列分離環状 図59 シュロガヤツリ(Cyperus alternifolius)4604 26 Oct, 2016 φ5.5 皮層Sc層内1列+全体的分散 図60 カヤツリグサ(Cyperus microiria)4801 11 Nov, 2016 3.4(△形) 皮層小径2列+全体的分散 図61 イネ科() メリケンカルカヤ(Andropogon virginicus)4513 8 Nov, 2016 2×1.3 皮層Sc層中1列+2,3列環状 図62 マカラスミギ(Avena sativa)11111 12 Jan, 2017 2.5×2.2 皮層Sc層中1列+1,2列環状 図63 イヌムギ(Bromus catharticus)13112 2 Feb, 2017 φ5.0 皮層Sc層中1列+1,2列環状 図64 ノガリヤス(Calamagrostis brachytricha)5610 8 Nov, 2016 φ1.8 皮層Sc層中1列+1,2列環状 図65 チゴカンチク(Chimonobambusa marmorea)8802 14 Dec, 2016 2.5×2 皮層Sc層中1,2列+らせん状密集 図66 ジュズダマ(Coix lacrima-jobi)8518 13 Dec, 2016 φ4.5 皮層Sc層中1,2列+全体的分散 図67 レモングラス(Cymbopogon citratus)12316 20 Jan, 2017 φ8.0 内皮部Sc層中1,2列+Sc層内外分散 図68 メヒシバ(Digitaria ciliaris)3609 24 Oct, 2016 3.0×2.5 皮層Sc層中1列+2列環状 図69 イヌビエ(Echinocloa crus-galli)4015 1 Nov, 2016 φ2.0 皮層Sc層中1列+1列環状 図70 オヒシバ(Eleusine indica)3513 23 Oct, 2016 2.7×1.7 内皮部Sc層中1列+2,3列環状 図71 タチカモジグサ(Elymus racemifer var. japonicus)13717 7 Feb, 2017 φ2.2 皮層Sc層中1列+1列環状 図72 カゼクサ(Eragrostis ferruginea)5206 26 Oct, 2016 1.8×1.2 皮層Sc層中1列+1列環状 図73 コスズメガヤ(Eragrostis minor)5904 9 Nov, 2016 φ1.0 皮層Sc層中1列+1列環状 図74 ネズミムギ(Lolium multiflorum)14106 13 Feb, 2017 φ1.8 皮層Sc層中1列+1列環状 図75 アシボソ(Microstegium vimineum)8607 13 Dec, 2016 φ1.2 皮層Sc層中2,3列+2,3本分散 図76 オギ(Miscanthus sacchariflorus)3804 18 Oct, 2016 φ4.1 皮層Sc層中2列+全体的分散 図77 ススキ(Miscanthus sinensis)4010 30 Oct, 2016 5×3 内皮部Sc層中1列+2,3列環状 図78 チジミザサ(Oplismenus undulatifolius)8315 11 Dec, 2016 2×1.8 内皮部Sc層中1列+2,3列環状 図79 スズメノヒエ(Paspalum thunbergii)5408 26 Oct, 2016 2×1.3 内皮部Sc層中1列+内外各1列環状 図80

- 170 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

チカラシバ(Pennisetum alopecroides)4905 26 Oct, 2016 3.8×1.3 皮層Sc層中2列+全体的分散 図81 スズメノカタビラ(Poa annua)14305 16 Feb, 2017 φ1.8 内皮部Sc層中1列+1列環状 図82 ナリヒラダケ( fastuosa)4901 27 Oct, 2016 φ4.0 皮層Sc層中1,2列+らせん状密集 図83 キンエノコロ(Setaria pumila)5605 20 Oct, 2016 2×3 皮層Sc層中2列+全体的分散 図84 エノコログサ(Setaria viridis)3710 24 Oct, 2016 φ2.5 内皮部Sc層中1列+2,3列環状 図85 ムラサキエノコロ(Setaria viridis f. misera)6609 14 Nov, 2016 φ1.3 内皮部Sc層中1列+2,3列環状 図86 セイバンモロコシ(Sorghum halepense)3616 18 Oct, 2016 φ5.0 皮層Sc層中2列+全体的分散 図87 シホウチク(Tetragonocalamus quadrangularis)5502 20 Oct, 2016 φ2.5 内皮部Sc層中1列+全体的分散 図88 トウモロコシ(Zea mays)2401 30 Sep, 2016 φ5.0 皮層2列+全体的分散 図89

真正双子葉類(Eudicots) キンポウゲ目(Ranunculales) アケビ科(Lardizabalaceae) ゴヨウアケビ(Akebia×pentaphylla)9805 17 Dec, 2016 φ2.0 密着型,曲状師部繊維群がめだつ 図90 シュウメイギク(Anemone hupehensis var. japonica)6502 8 Nov, 2016 φ1.2 IFS型,髄にも少数分散(単子葉型) 図91 コボタンヅル(Clematis apiifolia var. biternata)10608 17 Dec, 2016 φ1.0 IFC型(皮層・髄周縁部Sc層) 図92 センニンソウ(Clematis terniflora)5013 18 Oct, 2016 φ3.5 IFC型(髄周縁部Sc層) 図93 アオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus)7003 21 Oct, 2016 φ2.8 密着型,曲状師部繊維群がめだつ 図94 ナンテン(Nandina domestica)11704 10 Jan, 2017 φ6.0 IFS型 図95 ハイキンポウゲ(Ranunculus repens)15618 12 Mar, 2017 φ2.0 分離型 図96 ムベ(Stauntonia hexaphylla)3406 18 Oct, 2016 φ5.0 密着型,曲状師部繊維群がめだつ 図97 ヤマモガシ目(Proteales) ハス科(Nelumbonaceae) ハス(Nelumbo nucifera)13804 8 Feb, 2017 φ9.0 分離・分散型 図98 スズカケノキ科(Platanaceae) スズカケノキ(Platanus orientalis)13308 5 Feb, 2017 φ2.5 密着型,師部極狭 図99 ヤマモガシ科(Proteaceae) Leucospermum cordifolium 2118 23 Sep, 2016 φ11 密着型 師部間に皮層介在 図100 ヤマグルマ目(Trochodendrales) ヤマグルマ科(Trochodendraceae) ヤマグルマ(Trochodendron aralioides)13410 5 Feb, 2017 φ4.0 連続型,道管なし 図101 ツゲ目(Buxales) ツゲ科(Buxaceae) ヒメツゲ(Buxus microphylla var. microphylla)14203 13 Feb, 2017 φ2.5 連続型 図102

コア真正双子葉類(core eudicots) グンネラ目(Gunnerales)とビワモドキ目(Dilleniales)があるが,本研究では観察しなかった。

バラ上群(Superrosids) ユキノシタ目(Saxifragales) マンサク科(Hamamelidaceae) マンサク(Hamamelis japonica)13606 5 Feb, 2017 φ2.5 連続型 図103 ユズリハ科(Daphniphyllaceae) ヒメユズリハ(Daphniphyllum teijsmannii)9813 17 Dec, 2016 φ3.5 連続型 図104

ベンケイソウ科(Crassulaceae) キンチョウ(Bryophyllum delagoense)8006 12 Nov, 2016 φ6.0 連続型,師部極狭 図105

バラ類() ブドウ目(Vitales) ブドウ科(Vitaceae)

- 171 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

ノブドウ(Ampelopsis glandulosa)5806 11 Nov, 2016 φ2.0 IFS型 図106 ヤブガラシ(Cayratia japonica)6913 19 Oct, 2016 φ3.2 IFS型,師部間に皮層介在 図107 ヤマブドウ(Vitis coignetiae)3202 15 Oct, 2016 φ2.0 密着型 図108 サンカクズル(Vitis flexuosa)9007 17 Dec, 2016 φ3.0 密着型 図109 マメ目(Fabales) マメ科(Fabaceae) コバノセンナ(Cassia coluteoides)10313 17 Dec, 2016 φ3.5 連続型 図110 ハナズオウ(Cercis chinensis)13013 30 Jan, 2017 φ2.5 連続型,師部極狭 図111 スイートピー(Lathyrus odoratus)15907 3 Apr, 2017 φ4.0 IFS型 図112 エンドウ(Pisum sativum)15901 4 Apr, 2017 4.5(□形) IFC型 図113 クズ(Pueraria montana var. lobata)5115 18 Oct, 2016 φ6.0 連続型 図114 ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)11908 18 Jan, 2017 φ3.0 連続型 図115 ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)8005 30 Nov, 2016 φ3.5 IFS型 図116 バラ目() バラ科(Rosaceae) ソメイヨシノ(Cerasus×yedoensis)5010 18 Oct, 2016 φ4.0 連続型 図117 オランダイチゴ(Fragaria×ananasa)5314 22 Oct, 2016 φ0.8 IFS型 図118 ヤマブキ(Kerria japonica)8707 14 Dec, 2016 φ2.0 連続型,師部極狭 図119 セイヨウリンゴ(Malus pumila)15610 12 Mar, 2017 φ1.5 連続型 図120 セイヨウナシ(Pyrus communis)15708 12 Mar, 2017 φ1.8 連続型 図121 テリハノイバラ(Rosa luciae)10208 17 Dec, 2016 φ2.5 密着型,師部極狭 図122 カジイチゴ(Rubus trifidus)10306 17 Dec, 2016 φ2.5 連続型 図123 コゴメウツギ(Stephanandra incisa)6310 8 Nov, 2016 φ0.8 連続型 図124

グミ科() ツルグミ( glabra)6104 8 Nov, 2016 φ1.0 連続型 図125 オオバグミ(Elaeagnus macrophylla)9513 17 Dec, 2016 φ3.0 連続型 図126 ニレ科(Ulmaceae) アキニレ(Ulmus parvifolia)13008 30 Jan, 2017 φ2.5 密着型 図127 クワ科(Moraceae) クワクサ(Fatuosa villosa)7814 11 Nov, 2016 φ3.5 連続型 図128 インドゴムノキ(Ficus elastica)6713 30 Oct, 2016 φ2.5 連続型 図129 イヌビワ(Ficus electa)6301 6 Nov, 2016 φ7.0 連続型 図130 イラクサ科(Urticaceae) ラセイタソウ(Boehmeria biloba)9204 17 Dec, 2016 φ4.0 IFS型 図131 メヤブマオ(Boehmeria platanifolia)10301 17 Dec, 2016 φ2.5 IFS型 図132 ヤナギイチゴ(Debregeasia edulis)8905 17 Dec, 2016 φ3.2 IFS型 図133

ブナ目() ブナ科() クリ(Castanea crenata)7310 8 Nov, 2016 φ4.0 連続型 図134 ブナ(Fagus crenata)12114 20 Jan, 2017 φ1.5 連続型 図135 カシワ(Quercus dentata)12816 17 Jan, 2017 φ2.0 連続型 図136 シラカシ(Quercus myrsinifolia)15803 21, Mar, 2017 φ3.0 連続型 図137 コナラ(Quercus serrata)15810 21 Mar, 2017 φ2.0 連続型 図138 ヤマモモ科(Myricaceae) ヤマモモ(Morella rubra)14501 18 Feb, 2017 φ1.5 連続型 図139 クルミ科(Juglandaceae) オニグルミ(Juglans mandshurica)15014 18 Feb, 2017 φ9.0 連続型,師部極狭 図140

- 172 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

カバノキ科(Betulaceae) シラカンバ(Betula platyphylla)15401 5 Mar, 2017 φ1.5 連続型,師部極狭 図141 ウリ目(Cucurbitales) ウリ科(Cucurbitaceae) スイカ(Citrullus lanatus)2206 29 Sep, 2016 φ4.3 分離型 図142 オキナワスズメウリ(Diplocyclos palmatus)10909 9 Jan, 2017 φ3.0 分離型 図143 ヘチマ(Luffa aegyptiaca)5107 30 Oct, 2016 φ4.0 分離型 図144 ハヤトウリ(Sechium edule)9304 17 Dec, 2016 φ4.0 分離型 図145 アレチウリ(Sicyos angulatus)4205 1 Nov, 2016 φ4.3 分離型 図146

COMクレード(COM clade) ニシキギ目() ニシキギ科() ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)8114 8 Nov, 2016 φ2.5 IFS型 図147 ニシキギ( alatus)11305 12 Jan, 2017 φ2.0 連続型 図148 マユミ(Euonymus hamiltonianus)11417 12 Jan, 2017 φ2.0 連続型 図149 マサキ(Euonymus japonica)15212 15 Jan, 2017 φ3.5 連続型 図150 ツリバナ(Euonymus oxyphyllus)7415 8 Nov, 2016 φ2.3 連続型 図151 キントラノオ目() トケイソウ科(Passifloraceae) トケイソウ(Passiflora caerulea)12502 20 Jan, 2017 φ3.0 IFS型 図152 クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)6904 30 Oct, 2016 φ4.0 IFS型 図153 ヤナギ科(Salicaceae) イタリアポプラ(Populus nigra var. italica)14316 18 Feb, 2017 φ2.0 連続型 図154 トウダイグサ科() エノキグサ( australis)7504 14 Nov, 2016 φ2.0 IFC型,師部極狭 図155 ショウジョウソウ(Euphorbia heterophylla var. cyathophora)4402 10 Nov, 2016 φ2.2 IFS型,師部極狭 図156 ナンキンハゼ(Triadica sebifera)7213 11 Nov, 2016 φ2.0 連続型,師部極狭 図157

バラ類アオイ群Malvidae フウロソウ目(Geraniales) フウロソウ科(Geraniaceae) テンジクアオイ(Pelargonium graveolens)13703 7 Feb, 2016 φ7.0 IFS型(Sc層は皮層中心柱間) 図158 フトモモ目(Myrtales) アカバナ科(Onagraceae) コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)10407 17 Dec, 2016 φ1.2 連続型 図159

ノボタン科(Melastomataceae) ノボタン(Melastoma candidum)10516 18 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図160

クロッソソマ目(Crossosomatales) キブシ科(Stachyuraceae) キブシ(Stachyurus praecox)9607 17 Dec, 2016 φ3.8 連続型 図161 ムクロジ目() ウルシ科(Anacardiaceae) カイノキ(Pistacia chinensis)11515 14 Jan, 2017 φ6.0 密着型 図162 ハゼノキ(Toxicodendron succedaneum)9702 17 Dec, 2016 φ4.0 連続型 図163 ヤマウルシ(Toxicodendron trichocarpum)6113 8 Nov, 2016 φ3.0 密着型,髄中にも分離型 図164

ムクロジ科(Sapindaceae) ウリカエデ(Acer crataegifolium)6007 8 Nov, 2016 φ1.0 密着型 図165 ネグンドカエデ(Acer negndo)15108 7 Mar, 2017 φ2.5 密着型 図166

- 173 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

ノルウェーカエデ(Acer platanoides)12218 20 Jan, 2017 φ3.0 密着型 図167 トチノキ(Aesculus turbinata)14014 10 Feb, 2017 φ2.0 連続型 図168 モクゲンジ(Koelreuteria paniculata)15511 10 Mar, 2017 φ5.0 連続型 図169 ミカン科() ヘンルーダ(Ruta graveolens)11804 12 Feb, 2017 φ3.0 連続型 図170 カラスザンショウ( ailanthoides)9510 17 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図171 センダン科(Meliaceae) センダン(Melia azedarach)3809 30 Jan, 2017 φ5.0 連続型 図172 アオイ目() アオイ科() タチアオイ(Alcea rosea)12909 30 Jan, 2017 φ7.0 IFS型 師部間に皮層介在 図173 カラスノゴマ(Corchoropsis crenata)6617 29 Oct, 2016 φ4.0 IFS型 師部間に皮層介在 図174 アオギリ(Firmiana simplex)12006 20 Jan, 2017 φ5.0 IFS型 師部間に皮層介在 図175 シナノキ(Tilia japonica)11816 18 Jan, 2017 φ4.1 IFS型 師部間に皮層介在 図176 ジンチョウゲ科() ジンチョウゲ( odora)12602 20 Jan, 2017 φ3.0 IFS型 師部間に皮層介在 図177 アブラナ目(Brassicales) パパイア科(Caricaceae) パパイア(Carica papaya)4911 30 Oct, 2016 φ20 IFS型 師部間に皮層介在 図178 アブラナ科(Brassicaceae) ハボタン(Brassica oleracea var. acephala)11009 10 Jan, 2017 φ20 IFC型 師部間に皮層介在 図179 アブラナ(Brassica rapa subsp. oleifera)12605 23 Jan, 2017 φ5.5 IFC型 図180 ナズナ(Capsella bursa-pastoris)14115 13 Feb, 2017 φ2.0 IFS型 図181

キク上群(Superasterids) ナデシコ目(Caryophyllales) タデ科(Polygonaceae) イタドリ(Fallopia japonica)5116 6 Nov, 2016 4.5×3 IFS型,師部極狭 図182 ヒメツルソバ(Persicaria capitata)7005 22 Oct, 2016 φ1.8 IFS型,師部極狭 図183 ツルソバ(Persicaria chinensis)9313 17 Dec 2016 φ3.0 IFS型,師部極狭 図184 イヌタデ(Persicaria longiseta)4111 30 Oct, 2016 φ2.0 IFS型,師部極狭 図185 ナデシコ科(Caryophyllacee) カーネーション(Dianthus caryophyllus)8205 9 Nov, 2016 φ2.5 連続型,師部極狭 図186 カスミソウ(Gypsophyla elegans)11508 10 Jan, 2017 φ2.5 連続型,師部極狭 図187 ヒユ科(Amaranthaceae) ヒナタイノコヅチ(Achyranthes bidentata var. fauriei)6512 7 Nov, 2016 φ4.0 IFS型, 放射方向2重 図188 イヌビユ(Amaranthus blitum)4417 8 Nov, 2016 φ3.0 IFS型, 放射方向2重 図189 アカザ(Chenopodium album var. centrorubrum)9913 4 Nov, 2016 φ3.0 IFS型, 放射方向2重 図190 ハマミズナ科(Aizoaceae) ハナツルソウ(Aptenia cordifolia)7702 6 Nov, 2016 φ4.5 IFS型, 放射方向2箇所2重 図191 ツルナ(Tetragonia tetragonoides)5715 6 Nov, 2016 φ5.0 IFS型 図192 ヌマハコベ科(Montiaceae) Lewisia cotyledon 2118 23 Sep, 20162016 φ4.0 IFS型(Sc層は皮層中心柱間) 図193

キク類() ミズキ目() アジサイ科() ミズキ(Cornus controversa)8501 8 Dec, 2016 φ3.0 連続型 図194 ハンカチノキ(Davidia involucrata)14802 28 Feb, 2017 φ5.5 連続型 図195 ウツギ( crenata)10815 17 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図196

- 174 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

マルバウツギ()10002 17 Dec, 2016 φ3.0 連続型 図197 ウリノキ科(Alangiaceae) シナウリノキ(Alangum chinense)14812 28 Feb, 2017 φ4.0 連続型 図198 ツツジ目(Ericales) ツリフネソウ科(Balsaminaceae) ホウセンカ(Impatiens balsamina)7604 29 Oct, 2016 φ4.0 IFC型,師部極狭 図199 アフリカホウセンカ(Impatiens walleriana)11615 16 Oct, 2016 φ3.0 IFC型,師部極狭 図200 サクラソウ科(Primulaceae) マンリョウ(Ardisia crenata)9714 18 Dec, 2016 φ2.5 連続型 図201 ヤブコウジ(Ardisia japonica)10016 18 Dec, 2016 φ2.5 連続型,師部極狭 図202

ツバキ科(Theaceae) ツバキ(Camellia japonica)10106 18 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図203 サカキ(Cleyera japonica)8103 6 Nov, 2016 φ3.0 連続型 図204 マタタビ科(Actinidiaceae) マタタビ(Actynidia polygama)7801 8 Nov, 2016 φ2.7 連続型 図205 ツツジ科(Ericaceae) ヒメイチゴノキ(Arbutus unedo)7807 11 Nov, 2016 φ2.0 連続型 図206 ガリア目(Garryales) ガリア科(Garryaceae) アオキ(Aucuba japonica)8805 14 Dec, 2016 φ4.0 IFC型 図207 アカネ科(Rubiaceae) コーヒーノキ(Coffea arabica)12511 20 Jan, 2017 2.0×1.0 連続型 図208 ペンタス(Pentas lanceolata)7909 1 Oct, 2016 φ2.0 連続型 図209 アカネ(Rubia argyi)6505 6 Nov, 2016 3.0(□形) 連続型,師部極狭 図210 キョウチクトウ科(Apocynaceae) キョウチクトウ(Nerium oleander var. indicum)11307 12 Jan, 2017 φ4.0 連続型,師部極狭 図211 テイカカズラ(Tracelospermum asiaticum)6807 4 Nov, 2016 φ2.0 連続型 図212 ガガイモ科(Asclepiadaceae) キジョラン(Marsdenia tomentosa)13510 5 Feb, 2017 φ4.0 連続型 図213 ムラサキ科(Boraginaceae) ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)5916 8 Nov, 2016 φ2.1 連続型,師部極狭 図214 ナス目(Solanales) ヒルガオ科(Convolvulaceae) ハマヒルガオ(Calystegia soldanella)9404 17 Dec, 2016 φ1.2 連続型 図215 サツマイモ(Ipomoea batatas)5902 23 Oct, 2016 φ6.5 連続型 図216 アサガオ(Ipomoea nil)3017 14 Oct, 2016 φ3.0 連続型 図217 ナス科(Solanaceae) トマト(Solanum lycopersicum)2914 13 Oct, 2016 φ3.0 連続型 図218 ジャガイモ(Solanum tuberosum)7513 11 Nov, 2016 φ5.0 連続型,師部極狭 図219 クコ(Lycium chinense)10413 17 Dec, 2016 φ2.5 連続型 図220 シソ目() キツネノマゴ科() コエビソウ( brandegeeana)15307 28 Feb, 2017 φ3.0 連続型,師部極狭 図221 キツネノマゴ(Justicia procumbens)9910 17 Dec, 2016 φ2.0 連続型,師部極狭 図222 Pachystachys lutea 15203 8 Mar, 2017 φ2.5 連続型 図223 モクセイ科() ヒトツバタゴ(Chionanthus retusus)5511 20 Oct, 2016 φ2.5 連続型 図224 シマトネリコ( griffithii)14607 28 Feb, 2017 φ2.5 連続型 図225 オリーブ(Olea europaea)10903 21 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図226

- 175 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae) ツリガネカズラ(Bignonia capreolata)13212 3 Feb, 2017 φ2.0 連続型 図227 ピンクノウゼン(Campsis grandiflora)12412 21 Jan, 2017 φ2.0 連続型 図228 カエンカズラ(Pyrostegia venusta)12718 25 Jan, 2017 φ2.0 連続型 図229 シソ科(Lamiaceae) ムラサキシキブ(Callicarpa japonica)6204 8 Nov, 2016 φ1.0 連続型 図230 クサギ(Clerodendrum trichotomum)9207 17 Dec, 2016 φ2.0 連続型,師部極狭 図231 シモバシラ(Keiskea japonica)3303 15 Oct, 2016 3.0(□形) 連続型,師部極狭 図232 サルビア(Salvia splendens)5412 22 Oct, 2016 4.0(□形) IFS型,師部極狭 図233 モチノキ目() モチノキ科(Aquifoliaceae) イヌツゲ(Ilex crenata)13104 30 Jan, 2017 φ2.5 連続型 図234 モチノキ(Ilex integra)15302 15 Jan, 2017 φ3.0 連続型 図235 アオハダ(Ilex macropoda)7611 8 Nov, 2016 φ2.0 連続型 図236 キク目() キク科() カッコウアザミ(Ageratum houstonianum)7711 8 Nov, 2016 φ4.5 密着型 図237 シロヨメナ(Aster ageratoides)10808 18 Dec, 2016 φ1.2 IFS型 図238 キク( morifolium)7202 22 Oct, 2016 φ4.5 密着型 図239 イソギク(Chrysanthemum pacificum)10706 17 Dec, 2016 φ2.0 IFS型 図240 ヒマワリ(Helianthus annuus)1905 10 Sep, 2016 φ7.5 IFS型 図241 コウヤボウキ(Pertya scandens)8013 8 Nov, 2016 φ1.0 IFS型 図242 オニタビラコ(Youngia japonica)10202 18 Dec, 2016 φ4.0 IFS型 図243 マツムシソウ目(Dipsacales) スイカズラ科(Caprifoliaceae) アベリア(Abelia×grandiflora)8703 14 Dec, 2016 φ2.0 連続型 図244 スイカズラ(Lonicera japonica)9803 17 Dec, 2016 φ1.5 連続型 図245 オオデマリ(Viburnum plicatum var. plicatum)6413 8 Nov, 2016 φ2.2 連続型,師部極狭 図246 セリ目(Apiales) ウコギ科(Araliaceae) ヤマウコギ(Acanthopanax spinosus)13613 5 Feb, 2017 φ3.0 連続型,師部極狭 図247 ツキヌキサイコ(Bupleurum rotundifolium)8214 9 Nov, 2016 φ4.0 IFS型,師部極狭 図248 ヤツデ(Fatsia japonica)14617 28 Feb, 2017 φ9.0 密着型 図249 ホンコンカポック(Schefflera arboricola)6705 30 Oct, 2016 φ14 密着型 図250 *犀川(2014)によるLLP型とIFC-LL型はIFS型に統一した(図251を見よ)。**皮層と中心柱間に形成層あり。

4.考察 parenchyma)とIFC-LL型(lignified layer produced by inter-fascicular cambium)の2型は,まとめてIFS型 4.1 双子葉植物の維管束型について (inter-fascicular schlerenchyma type)とした。前者は維 双子葉植物の茎の横断切片に見られる維管束の配列 管束間の柔組織(parenchyma)の細胞群が木化して層 は種によって決まっており,犀川(2014)によって 6 状となったものであり,後者は維管束間の形成層 つの型に分けられた。すなわち,維管束の 1 本 1 本が (cambium)が形成した木部要素であるという点で本質 分離した分離型,分離した維管束間を維管束間形成層 的な違いがあるが,どちらの維管束間も厚壁細胞群 がつないでいるIFC型,維管束間のIFCによって作ら (schlerenchyma)であり,区別困難な例もあって統一し れた細胞群が木化したIFC-LL型,維管束間の柔細胞 た。よって双子葉植物の茎の横断切片に見られる維管 が木化したLLP型,維管束間がなく,維管束が互いに 束の配列は 5 つの型に分けられる(図 251)。 密着した密着型,それに隣同士の維管束が連続してい 冬芽の基部にある頂端(図252,*印)の分裂組織か て,個々の維管束が認められない連続型の 6 型であ ら生じた細胞群は(図253,矢印)分化して分離型や る。 し か し, 本 論 文 で は LLP型(lignified layer of IFC型の維管束型となり(図251,253),たいていの

- 176 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

種ではそれらの型から他の3種類の型,すなわち密着 的な形態の維管束型をもつ植物であって教材として用 型,連続型とIFS型が生じて直ちに伸長中の茎に収ま いるべきではなかった。Strasburger et al.(1908) が用 る(図251,矢印)。近年出版された植物形態学の専 いたヨーロッパのウマノスズクサはA. siphoであった 門書においても最初のところにそのように図示されて が,その茎に見られる維管束の形態は,わが国ではウ いる(Evert, 2006; figure 1.3)。しかし,これまで双子 マノスズクサ(A. debilis = 図4)ではなく,オオバウ 葉植物を代表する茎の維管束型とされてきたのは,維 マノスズクサ(A. kaempferi)の形態(図 5)により類 管束が分化の途中の状態を保ったまま茎に入ったIFC 似していることが今回わかった。 型であった。外国の教科書ではウマノスズクサの一種 (Aristolochia sipho)がこの型をもつ植物として使われ 4.3 単子葉植物の維管束について ており,わが国ではそれに代わってホウセンカが使わ 単子葉植物では,茎が維管束内形成層のはたらきで れている。しかし,最近の犀川(2014)による調査で 太くなることはないので,並立維管束は存在しない。 は,IFC型をもつ植物は双子葉植物中で極めて稀であ しかし,‘植物形態学’の書名が用いられている専門 り,彼が113種の双子葉植物について調査した結果, 書のいくつかは,双子葉植物の並立維管束と同じ形態 IFC型をもつ植物はわずかに7種で,百分率では6.2% が,そのまま単子葉植物の茎に散在する個々の維管束 であったという。 の模式図にも適用されていた(小倉, 1948, p.194; 植 田, 1958, p.61; 小林, 1975, p.34; 原, 2011, p.57)。それ 4.2 ウマノスズクサの維管束型について ぞれの著者が実物を見ていなかったか,あるいは観察 ウマノスズクサは,子葉が 2 枚の双子葉植物ではあ が甘かったのである。すなわち,本研究で観察した るが,AGP IVでは原初被子植物に分類されている。 70種の単子葉植物の茎の切片中にも,キジカクシ目 今回このグループの 5 目19種の維管束型を比べてみ ラン科のシラン(図28)とデンドロビウム(図29) ると連続型が 6 種,密着型が10種,IFC型がウマノス がやや似たような形態を示したものの,それら以外に ズクサとオオバウマノスズクサの 2 種,そして維管束 並立維管束のような形態は認められなかったのであ 間に厚壁細胞群(schlerencyma)があるIFS型がフウト る。それはさておき,単子葉植物を代表する植物は昔 ウカズラの 1 種であった(表 1 ; 図1-19)。ただし,フ も今もトウモロコシである。 ウトウカズラの場合,髄には分離型も混在していた。 トウモロコシは単子葉植物を代表する植物材料とし ウマノスズクサ属(Aristolochia)は百年以上も前から て100年以上も前(Sachs, 1868)から今日に至るまで 理科の教材として使われてきたが(Strasburger et al., きわめて長期間内外の教科書で用いられてきた。実 1908; Stevens, 1910; Koernicke, 1919; Fitting et al., 1921; 際,その維管束の図はわが国では5社が発行する中学 平岩・岸谷, 1935; Esau, 1965; Braune et al., 1971; Bold et 校理科の教科書に採用されていた(表 2)。今回単子 al., 1987),この原初被子植物のグループの中では例外 葉植物の茎はイネ目のものを中心に70種観察したの

表2.中学校理科の教科書*で維管束の説明のために用いられている植物(〇印)

植物名 KS社 TO 社 KR社 DA社 GA社 アブラナ 〇 〇 〇 〇 トウモロコシ 〇 〇 〇 〇 〇 ヒマワリ 〇 〇 ツユクサ 〇 〇 ススキ 〇 ユリ 〇 ホウセンカ 〇 〇 〇 〇 エンドウ 〇 アヤメ 〇 アサガオ 〇 * 5 社による2016年発行の出版物。

- 177 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

であるが,トウモロコシと同じように散在した維管束 4.5 シナノキ型の維管束について が茎の横断面全体に表皮のところまで広がっていたの アオイ目アオイ科のシナノキ属(Tilia)の茎の維管 は,クワイ(オモダカ目サトイモ科=図21),カンス 束には維管束形成層の部分から先細りとなった師部が ゲ(図59)とカヤツリグサ(イネ目カヤツリグサ科 皮層に食い込むように長く伸びており,その伸びた部 =図61),とイネ目イネ科のタケ類の 3 種(図66, 83, 分には木部の年輪と対応しているかのように見える横 88),メリケンカルカヤ(図62),タチカモジグサ 縞の模様がある(Kny, 1874)。KnyはT. parvifoliaの3 (図72),オギ(図77),それにセイバンモロコシ(図 年茎の横断切片の掛図を示したのであるが,その図は 87)の10種だけであり,残りの60種の茎では表皮近 形成層のはたらきを,すなわち木本茎の肥大を説明す くの皮層と中心柱の境界あたりに著しく目立つ厚壁細 るためには都合がよく,そのため繰り返し転載された 胞のSc層が目立っていたし,細い茎の維管束はいく ものである(Giesenhagen, 1894; Green, 1911; 大日本図 ぶん不規則ではあるが,1-3列の環状に並んでいた 書株式会社, 1924)。しかし,長く伸びた師部の横縞 (図20-89)。私たちの身の回りにある単子葉植物の茎 のパターンは,今回シナノキ(T. japonica, 図176)や, の横断切片を検鏡した場合,維管束の様子がトウモロ 同じアオイ目のアオギリ(図175)の1年目の木本茎 コシのものと同じ形態をとっている確率は70分の10, に加え,1年生草本であるタチアオイ(図173)とカ すなわち14%程度であろうと思われる。テストのた ラスノゴマ(図174)にも観察され,師部に見られる めの学習には向かないが,トウモロコシの茎の代わり パターンが年々積み重なってできるものではないこと にSc層をもったより一般的な形態の,たとえばキジ が確認できた。 カクシ目キジカクシ科のオリズルラン(図37)やオ オバギボウシ(図41)などの茎を材料にし,表皮, 4.6 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材 皮層,中心柱についての解説を加えるなどしたほうが 料について 子供たちの科学的な実力は向上するだろう。 しかし,重要なことは長く伸びた師部に皮層が介在 するような形態は極めて稀であるという点である。理 4.4 ホウセンカの維管束型について 科の教科書で茎の観察に採用すべき材料としては,師 ホウセンカはAPGでは真正双子葉類に分類されて 部がほとんどないホウセンカや,反対に師部が極端に いる。今回このグループの28目161種の茎の維管束型 長く伸びるシナノキなどはまず除外すべきである。そ を調べたところ,連続型が88種,IFS型が39種,密 して公園や校庭のどこにでも生育している多数派の植 着型が18種,IFC型が 9 種,分離型が7種であった。 物を選ぶべきである。教科書作りの担当者は本論文で ホウセンカが含まれるIFC型はこのグループ内では 示した図1-250を参考にしてほしい。そして,茎に関 5.6%,原初被子植物と合わせた「双子葉植物」の180 してうそのない教科書ができあがったあと,もし子供 種中では11種で6.1%であった。ホウセンカは藤井 たちがホウセンカのような例外的な茎を観察した場合 (1911)が茎を赤インクが上昇する実験で用い,その には,教師はなぜその茎がそのような形態をとるのか 際茎を切断した立体図を教科書中に示したのであるが を,子供たちとともに考えたらどうだろう。 (犀川,2014),その約10年前に旧制中等教育の実験 指導書の中に「茎(1)双子葉茎ヲ検スルニハ,ほう 4.7 うその中にうそを探すな せんくわ鳳仙花,かし,ぶだう葡萄等ノ茎ヲ用フベ 谷川俊太郎(1958)の詩に「うそとほんと」があ シ,(2)単子葉茎ヲ検スルニハ,たうもろこし玉蜀 る。その 3 番のところは,うその中に うそを探すな, 黍,いね稲等ノ幼茎ヲ用フベシ」というところがあっ ほんとの中に うそを探せ,ほんとの中に ほんとを探 た(三好,1899)。この記述が藤井の念頭にあったも すな,うその中に ほんとを探せ,となっている。以 のに違いない。理科実験の担当教員はホウセンカが入 上述べたようにホウセンカという教材はうそを探した 手できないとき,それと似たIFC型をもつ植物を探す 結果であり,表 2 中のホウセンカ以外の双子葉植物4 傾向があるが,探すという行為はその維管束型が自然 種はそのうそを探して,うその上塗りをした結果であ 界では稀であることを意味するのである。本論文で示 る。本論文は内外の理科教科書中のほんと(常識)の したとおり,茎にIFC型をもつ植物は私たちの身の回 中にうそを探した一例であるが,たんに探しただけで りにある双子葉植物の5-6%程度しか存在しないので はない。常識がうそであることを250枚の図を並べて ある。 視覚によって訴えたのである。

- 178 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

謝辞 des Taccacées & des Dioscorées. L. Danel, Lille. Sachs, J. 1868. Lehrbuch der Botanik nach dem gegenwärtigen Stand 私は東京学芸大学の元理科教員高度支援センター長 der Wissenschaft. Wilhelm Engelmann, Leipzig. で現副学長の長谷川正先生,前センター長で現在同セ Schwendener, S. 1874. Das mechanische Princip im anatomischen ンター特命教授の松川正樹先生,そして現センター長 Bau der Monocotylen mit vergleichenden Ausblicken auf die の原田和雄先生には大変お世話になった。また,同セ übrigen Pflanzenklassen. Wilhelm Engelmann, Leipzig. ンターの高森久樹先生には赤色色素のサフラニンを小 Stevens, W. C. 1910. Plant anatomy from the standpoint of the 瓶に分けていただいた。本論文を投稿するにあたって development and functions of the tissues and handbook of 皆様方に深く感謝申し上げたい。 micro-technik. 2nd ed. Blakiston’s Son & Co. Philadelphia. Strasburger, E., Noll, F., Schenck, H., Karsten, G. 1908. Lehrbuch 引用文献 der Botanik für Hochschulen. Gustav Fischer, Jena. Tomlinson, P. B. 1969. Anatomy of the . III. Agiosperm Phylogeny Group, 2016. An update of the Agiosperm Commelinales-Zingiberales. Clarendon Press, Oxford.

Phylogeny Group classification for the orders and families of 有馬朗人ほか62名.2016.新版理科の世界 1 年. 大日本図書. flowering : APG IV. Botanical Journal of the Linnean 大日本図書株式会社(著作兼発行).1924.女子理科植物学. Society 181: 1-20. 改訂版.大日本図書. Ayensu, E. S. 1972. Anatomy of the monocotyledons. VI. Dioscoreales. 藤井健次郎.1911.女子理科植物教科書.開成館. Clarendon Press, Oxford. 原襄.2011.植物形態学.第15刷.朝倉書店. Bary, A. de. 1877. Vergleichende Anatomie der Vegetationsorgane 平岩馨邦・岸谷貞治郎.1935.中学校動植物教科書.冨山房. der Phanerogamen und Farne. Wilhelm Engelmann, Leipzig. 細矢治夫・養老猛司・丸山茂徳ほか27名.2016.自然の探求 Beck, C. B. 2012. An introduction to plant structure and development: 中学校理科 1.教育出版. plant anatomy for the twenty-first century. 2nd ed. Cambridge 小林萬壽男.1975.植物形態学入門.教師のための植物観察. Univ. Press, Cambridge. 共立出版. Bold, H. C., Alexopulos, C. J. and Delovoryas, T. 1987. Morphology 木島正夫.1962.顕微鏡を主とする植物形態学の実験法.改 of plants and fungi. Harper & Row, N.Y. 訂第 1 版.廣川書店. Braune, W., Leman, A. and Taubert, H. 1971. Pflanzenanatomisches 三好学.1899.植物学実験初歩 全.敬業社. Praktikum. Gustav Fischer, Jena. 小倉謙.1948.植物形態学.第 5 版.養賢堂. Esau, K. 1965. Plant anatomy. 2nd ed. John Wiley, N.Y. 岡村定矩・藤嶋昭ほか49名.2016.新編新しい科学 1.東京 Evert, R. F. 2006. Esau’s plant anatomy. Meristems, cells, and tissues 書籍. of the plant body: their structure, function, and development. 犀川政稔.2014.ホウセンカの維管束図を双子葉植物一般の 3rd ed. John Wiley, Hoboken. 図として教科書に用いることは不適当.東京学芸大学紀 Fitting, H., Jost, L., Schenck, H. and Karsten, G. 1921. Strasburger’s 要自然科学系66:159-180. text-book of botany. 5th English edition. Rev. by Lang, W. H. 犀川政稔.2016.全部の単子葉植物の維管束が茎の中で‘散 Macmillan, London. らばっている’わけではない.東京学芸大学紀要自然科 Giesenhagen, K. 1894. Lehrbuch der Botanik. Wolf, München. 学系68:229-243. Green, J. R. 1911. An introduction to vegetable physiology. J. & A. 霜田光一・森本信也ほか29名.2016.中学校科学 1.学校図 Churchill, London. 書. Kny, L. 1874. III. Serie: Pflanzenkunde. In: Nathusius, H. ed. 田中克己・浜清.1970.顕微鏡標本の作り方.第 9 版.裳華 Wandtafeln für den naturwissenschaftlichen Unterricht mit 房. specieller Berücksichtigung der Landwirthschaft. Verlag von 谷川俊太郎.1958.うそとほんと.In: 谷川俊太郎詩集。東京 Wiegandt, Hempel & Parey, Berlin. Pp. 41-43. 創元社ポエム・ライブラリイ. Koernicke, M. 1919. Das kleine botanische Praktikum für Anfanger. 塚田捷・大矢禎一・江口太郎・鈴木盛久ほか58名.2016.未 Anleitung zum Selbststudium der mikroskopischen Technik von 来へひろがるサイエンス 1.新興出版社啓林館. Eduard Strasburger. Achte verbesserte Auflage. Gustav Fischer, 植田利喜造.1958.生物実験講座 2.植物形態学.岩崎書店. Jena. Queva, C. 1894. Recherches sur l’anatomie de l’appareil végétative

- 179 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図1-16. 原初被子植物の茎の維管束。1. シキミ 43×、2. サネカズラ 64×、3. フトウカズラ 50×、4. ウマノスズクサ 44×、5. オオバウマノスズクサ 50×、6. オガタマノキ 85×、7. ハクモクレン 43×、8. カラタネオガタマ 83×、9. タイサンボク 31×、10. コブシ 34×、11. モクレン 31×、12. シデコブシ 50×、13. ロウバイ 50×、14. ソシンロウバイ 45×、15. ヤブニッケイ 60×、16. ダンコウバイ 110×。

- 180 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図17-19. 原初被子植物の茎の維管束(続き)。17. カゴノキ ×20、18. タブノキ 43×、19. センリョウ 20×。図20- 32. 単子葉類の維管束。20. アンスリウム 15×、21. クワイ 20×、22. ヤマノイモ 42×、23. トコロ 16×、 24. タコノキ 10×、25. アダン 7×、26. サルトリイバラ 32×、27. ホトトギス 50×、28. シラン 23×、 29. デンドロビウム 15.5×、30. ダッチアイリス 22×、31. アヤメ 24×、32. イチハツ 11×。

- 181 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図33-48.単子葉類の維管束(続き) 。 33. ニンニク 24.5×、34. キダチロカイ 27×、35. アオノリュウゼツラン 33×、 36. ハラン 33×、37. オリズルラン 20×、38. ニオイシュロラン 16.5×、39. コルジリネ 26×、40. ドラ セナ・ゴッドセフィアナ 60×、41. オオバギボウシ 15×、42. ヤブラン 60×、43. アマドコロ 21.5×、44. キチジョウソウ 15×、45. オモト 8×、46. ユッカ 17×、47. シュロ 16×、48. マルバツユクサ 43.5×。

- 182 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図49-64.単子葉類の維管束(続き) 。 49. ツユクサ 52×、50. ヤブミョウガ 40×、51. トキワツユクサ 150×、52. ム ラサキゴテン 22×、53. オオムラサキツユクサ 30×、54. ゴクラクチョウカ 32.5×、55. カンナ 37.5×、56. ミョウガ 7×、57. パイナップル 8.5×、58. コウボウムギ 52.5×、59. カンスゲ 41.5×、60. シュロガヤツリ 18×、61. カヤツリグサ 44×、62. メリケンカルカヤ 50×、63. マカラスムギ 36×、64. イヌムギ 20×。

- 183 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図65-80. 単子葉類の維管束(続き)。65. ノガリヤス 33×、66. チゴカンチク 50×、67. ジュズダマ 18×、68. レモ ングラス 22×、69. メヒシバ 32×、70. イヌビエ 35×、71. オヒシバ 27×、72. タチカモジグサ 23×、 73. カゼクサ 44×、74. コスズメガヤ 80×、75. ネズミムギ 47×、76. アシボソ 41.5×、77. オギ 20×、 78. ススキ 16×、79. チジミザサ 37.5×、80. スズメノヒエ 42.5×。

- 184 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図81-89. 単子葉類の維管束(続き)。81. チカラシバ 23.5×、82. スズメノカタビラ 57.5×、83. ナリヒラダケ 35×、 84. キンエノコロ 35×、85. エノコログサ 60×、86. ムラサキエノコロ 84.5×、87. セイバンモロコシ 20 ×、88. シホウチク 36×、89. トウモロコシ 18×。図90-96. 真正双子葉類の維管束。90. ゴヨウアケビ 40 ×、91. シュウメイギク 83.5×、92. コボタンズル 120×、93. センニンソウ 31.5×、94. アオツヅラフジ 32×、95. ナンテン 20×、96. ハイキンポウゲ 65×。

- 185 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図97-112. 真正双子葉類の維管束(続き)。 97. ム ベ 22×、98. ハ ス 18×、99. スズカケノキ 40×、100. Leucospermum cordifolium 14.5×、101. ヤマグルマ 31×、102. ヒメツゲ 32×、103. マンサク 38×、 104. ヒメユズリハ 28.5×、105. キンチョウ 18.5×、106. ノブドウ 75×、107. ヤブガラシ 43.5×、 108. ヤマブドウ 65×、109. サンカクズル 40×、110. コバノセンナ 38.5×、111. ハナズオウ 72×、 112. スイートピー 60×。

- 186 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図113-128. 真正双子葉類の維管束(続き)。 113. エンドウ 29×、114. クズ 28×、115. ニセアカシア 76.5×、116. ムラサキツメクサ 28.5×、117. ソメイヨシノ 35×、118. オランダイチゴ 58.5×、119. ヤマブキ 62.5 ×、120. セイヨウリンゴ 40×、121. セイヨウナシ 30.5×、122. テリハノイバラ 38×、123. カジイチ ゴ 22.5×、124. コゴメウツギ 93.5×、125. ツルグミ 120×、126. オオバグミ 33×、127. アキニレ 36×、128. クワクサ 34×。

- 187 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図129-144. 真正双子葉類の維管束(続き)。 129. インドゴムノキ 56×、130. イヌビワ 15×、131. ラセイタソウ 20 ×、132. メヤブマオ 40×、133. ヤナギイチゴ 31×、134. クリ 35×、135. ブナ 100×、136. カシワ 40×、137. シラカシ 19×、138. コナラ 65×、139. ヤマモモ 80×、140. オニグルミ 13.5×、141. シ ラカンバ 73×、142. スイカ 14×、143. オキナワスズメウリ 20.5×、144. ヘチマ 17.5×。

- 188 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図145-160. 真正双子葉類の維管束(続き)。 145. ハヤトウリ 22.5×、146. アレチウリ 20×、147. ツルウメモドキ 28×、148. ニシキギ 40×、149. マユミ 45×、150. マサキ 17×、151. ツリバナ 34.5×、152. トケイ ソウ 26.5×、153. クダモノトケイソウ 30×、154. イタリアポプラ 45×、155. エノキグサ 50×、156. ショウジョウソウ 41×、157. ナンキンハゼ 55×、158. テンジクアオイ 43×、159. コマツヨイグサ 83.5×、160. ノボタン 60×。

- 189 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図161-176. 真正双子葉類の維管束(続き)。 161. キブシ 31.5×、162. カイノキ 26.5×、163. ハゼノキ 17.5×、 164. ヤマウルシ 36.5×、165. ウリカエデ 100×、166. ネグンドカエデ 60×、167. ノルウェーカエデ 30×、168. トチノキ 85×、169. モクゲンジ 24×、170. ヘンルーダ 46.5×、171. カラスザンショウ 60×、172. センダン 30×、173. タチアオイ 17×、174. カラスノゴマ 32.5×、175. アオギリ 20×、 176. シナノキ 39×。

- 190 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図177-192. 真正双子葉類の維管束(続き)。 177. ジンチョウゲ 40×、178. パパイア 7.5×、179. ハボタン 7.5×、 180. アブラナ 27×、181. ナズナ 80×、182. イタドリ 22×、183. ヒメツルソバ 85×、184. ツルソバ 40×、185. イヌタデ 35×、186. カーネーション 26×、187. カスミソウ 52×、188. ヒナタイノコズチ 22.5×、189. イヌビユ 60×、190. アカザ 18.5×、191. ハナツルソウ 26.5×、192. ツルナ 30×。

- 191 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図193-208. 真正双子葉類の維管束(続き)。 193. Lewisia cotyledon 15×、194. ミズキ 50×、195. ハンカチノキ 18 ×、196. ウツギ 80×、197. マルバウツギ 46.5×、198. シナウリノキ 30×、199. ホウセンカ 25×、 200. アフリカホウセンカ 20×、201. マンリョウ 40×、202. ヤブコウジ 32×、203. ツバキ 36×、 204. サカキ 26.5×、205. マタタビ 37×、206. ヒメイチゴノキ 60×、207. アオキ 35×、208. コー ヒーノキ 65×。

- 192 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図209-224.真正双子葉類の維管束(続き) 。 209. ペンタス 35×、210. アカネ 23×、211. キョウチクトウ 22.5×、 212. テイカカズラ 65×、213. キジョラン 30×、214. ムラサキ 57×、215. ハマヒルガオ 50×、216. サ ツマイモ 23×、217, アサガオ 20×、218. トマト 46×、219. ジャガイモ 22×、220. クコ 32×、221. コエビソウ 33×、222. キツネノマゴ 35×、223. Pachystachys lutea 28×、224. ヒトツバタゴ 65×。

- 193 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図225-240.真正双子葉類の維管束(続き) 。 225. シマトネリコ 40×、226. オリーブ 75×、227. ツリガネカズラ 40×、 228. ピンクノウゼン 50×、229. カエンカズラ 25×、230. ムラサキシキブ 100×、231. クサギ 50×、 232. シモバシラ 16.5×、233. サルビア 20×、234. イヌツゲ 34×、235. モチノキ 46.5×、236. アオハ ダ 35×、237. カッコウアザミ 22×、238. シロヨメナ 65×、239. キク 17.5×、240. イソギク 22.5×。

- 194 - 犀川: 理科の教科書で茎の観察に採用すべき植物材料についての一提案

図241-250. 真正双子葉類の維管束(続き)。 241. ヒマワリ 33×、242. コウヤボウキ 80×、243. オニタビラコ 20×、 244. アベリア 50×、245. スイカズラ 93×、246. オオデマリ 41×、247. ヤマウコギ 40×、248. ツキ ヌキサイコ 30×、249. ヤツデ 24.5×、250. ホンコンカポック 17×。

- 195 - 東京学芸大学紀要 自然科学系 第69集(2017)

図251-254.双子葉類の維管束型を示す模式図(図251)とトチノキにおける連続型維管束の形成例(図252 -254)。251. 模式図。犀川(2014)の図を改変した。茎頂の近くでは維管束が環状に配列した分離型か,その維管束間に形 成層が認められるIFC型である。茎頂より少し下の部分(たとえば図252の**印あたり)になるとその維管束 間の細胞が厚壁化してIFS型になったり,維管束数が増加して互いに密着した密着型になったり,あるいは密 着が進んで個々の維管束が認められなくなった連続型へと変化する。どの型に変化するかは種によって決まっ ている。252. 冬芽の基部の縦断切片像。*,茎頂部; **,髄。髄は図254に示したような連続型の維管束に囲ま れている ×6.5。253. 茎頂近く(およそ図252の*印付近に相当する)のシュートの横断切片像。中央の円形 の部分が茎で、それを両側から挟んでいる三日月形の部分が葉原基である。矢印,若い茎の中で環状に並んだ維 管束。*印,腋生の頂端分裂組織。葉原基にも環状に並んだ維管束が見える。×12.5。254. 一年枝(およそ図 252の**印付近)の横断切片像。維管束型は連続型である。矢印,茎頂近くの茎の中で分離していた維管束 (およそ図253の矢印で示した部分に相当する)のなごり。×50。

- 196 -