日本応用動物昆虫学会誌(応動昆) アメリカマツノキクイムシの生態と随伴生物 77 第 60 巻 第 2 号: 77–86(2016) 総 説 http://odokon.org/

アメリカマツノキクイムシ(コウチュウ目:キクイムシ科)の 生態と随伴生物:日本への侵入リスクの考察のために

加賀谷 悦子 1,*・上田 明良 2・升屋 勇人 3・神崎 菜摘 1

1 森林総合研究所 2 森林総合研究所九州支所 3 森林総合研究所東北支所

Ecology of the Dendroctonus ponderosae( Coleoptera: Scolytidae) and Its Associated 1, 2 Microorganisms: For a Risk Assessment of Its Invasion into Japan. Etsuko Shoda-Kagaya, * Akira Ueda, Hayato 3 1 1 Masuya and Natsumi Kanzaki Forestry and Forest Products Research Institute; 1 Matsunosato, Tsukuba, Ibaraki 305–8687, Japan. 2 Kyushu Research Center, Forestry and Forest Products Research Institute; 4–11–16 Kurokami, Chuo, Kumamoto, Kumamoto 860–0862, Japan. 3 Tohoku Research Center, Forestry and Forest Products Research Institute; 92–25 Nabeyashiki, Shimokuriyagawa, Morioka, Iwate 020–0123, Japan. Jpn. J. Appl. Entomol. Zool. 60: 77–86(2016)

Key words: Dendroctonus ponderosae; fungus; invasive species;

Columbia, 2013).ちなみに,この材積は日本における 10 はじめに 年分の総木材需要に匹敵する.本種による森林被害の甚大 世界的な貿易量の増加から,外来生物による生態系の破 さから,生理・生態・分子・モデリングなどの観点からの 壊の問題が深刻化している(山中,2011 他).木材の貿易 多面的かつ先進的な研究が北米では進められている. では特に丸太での輸出入が樹皮下や材部の生物など,そ 北米以外の大陸に本種が侵入して森林被害を与えたこと こに寄生する生物の移動に大きく関わっている.現在の はまだないが,本種が生息地において幅広いマツ属を加 日本の木材丸太の主な輸入元は北米であるアメリカ・カ 害すること(本稿内,加害樹種参照)から,日本に侵入し ナダで,2012 年には両国で総輸入量の69%(米国 40%, た場合激甚な被害が生じる可能性がある. 実際,2012 年 カナダ 29%)を占めた(林野庁,2014).その大きな流通 には本種が名古屋港で検出されており(農林水産省植物 量から,同地域からの樹皮下穿孔性害虫の侵入の可能性 防疫所,2013),水際まで既にもたらされている.日本の は常に考慮するべきである.北米では現在,樹皮下キク マツ林にはすでに北米より侵入したマツノザイセンチュ イムシ()であるアメリカマツノキクイムシ ウ Bursaphelenchus xylophilus Steiner & Buhrer の引き起こす Dendroctonus ponderosae Hopkins のもたらす森林被害が猛 マツ材線虫病の深刻な被害が生じており,アカマツ Pinus 威をふるっており,その被害は拡散の一途をたどってい densiflora Siebold & Zucc.・クロマツ Pinus thunbergii Parl. る. 本種の英名はマウンテン・パイン・ビートル(しば が,ともに著しく減少した(富樫,2002).すでに,寒冷 しば頭文字をとって MPB と略され,本稿でもこれを用い 地の未被害地以外では,何らかの防除対策を行わない限り る)で,北米大陸西部の南北に広く生息しており,マツ マツ林として成り立つことが大変困難な状況にある.その 属の樹木を利用する(Safranyik and Carroll, 2006 他 ). 2012 ような現状に更なる侵入種問題が生じた場合,日本のマツ 年までに,カナダ・ブリティッシュコロンビアだけでも 林は壊滅する危険がある.MPB の侵入リスクを未侵入の 累積 1,800 万ヘクタール, 材積 7 億 m3 のロッジポール 時から推定し,侵入した際には素早く対処できる基盤を作 マツ Pinus contorta Douglas ex. Loud. やポンデローサマツ ることが,森林管理の視点からも木材貿易の立場からも求 Pinus ponderosa Douglas ex C. Lawson を枯死させた(British められている.

* E-mail: [email protected] 2014 年 10 月 20 日受領(Received 20 October 2014) 2016 年 2 月 23 日登載決定(Accepted 23 February 2016) DOI: 10.1303/jjaez.2016.77

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本種のもたらす森林被害には,キクイムシによる物理的 な攻撃と共生している菌との相互作用がともに関わること が知られている(Whitney, 1982;升屋・山岡,2009).更に 本種にはさまざま生物が随伴し移動することが明らかに なっており(Mercado et al., 2014),日本への侵入リスクは それらの生物も含めて検討しなければならない.そこで本 稿では,はじめに MPB の生態に関する知見を整理する. 続いて,その随伴生物について菌と線虫それぞれの知見を とりまとめる.最後に日本への侵入リスクを検討するため に必要な今後の研究について論じる. なお,本稿は森林総合研究所交付金プロジェクト 2『北 米で猛威をふるう森林害虫キクイムシの侵入リスク管理 第 1 図 アメリカマツノキクイムシの産卵のための坑道と卵 樹幹の左側は剝皮した被害木を模してある.坑道の拡 に関する予備的研究』(H26)の助成のもと執筆された.Dr. 大図も示した. A. Uzunovic(Forientek Canada Corp.)より写真図版の提供 を受けた.桃原郁夫博士から資料情報を供与された.ここ に記して,厚くお礼申し上げる. 号が介在している(Safranyik and Carroll, 2006). 交尾後,雌は幹の鉛直方向の内樹皮に体幅よりもわず 生態 かに広い坑道を掘り進みながら,坑道壁の左右にくぼみ 生活史と分布 を作り, 各くぼみに 1 卵ずつ産下し, 卵をフラス(木屑 MPB 成虫の体長は 3.5–6.8 mm で,北米西海岸沿岸部の と糞の混ざったもの)で覆う(第 1 図).産卵は冬になる 成虫は体長 5.0 mm 以下,寄主木の樹皮が厚い大陸内部で まで行われ, 坑道長は 30–40 cm(最長 79 cm)に達する は,5.5 mm 以上が多い(Wood, 1982).また,一般に雌の (Wood, 1982;Safranyik and Carroll, 2006).また,換気のた 方が大型で,腹部尾端の形状の違いで雌雄が判別できる めに樹皮に向かって坑道が掘られることがある.雄はこの (Wood, 1982;Safranyik and Carroll, 2006).分布域は,南北 間,フラスを入口から排出するが,やがてフラスで入口を がカナダ・ブリティッシュコロンビア(北緯 56°)から北 内側から閉じ,多くの場合,一夫一妻で繁殖を完了する メキシコ(北緯 31°),東西が高地や砂漠により断続的な分 (Safranyik and Carroll, 2006).但し,寄主木の状態が悪い 布ではあるが,西海岸(西経 125°)から米国サウスダコダ 場合は,雌雄とも新しい寄主木を求めて途中で脱出する. (西経 103°)に至る(Safranyik and Carroll, 2006).なお,本 産卵から通常 1 週間以内に孵化した幼虫は,幹の水平方向 種の発育には寒冷な夏と,比較的温暖な冬が必要とされて に坑道を広げながら 10–20 cm 内樹皮を食い進み,4 齢幼虫 いて,このことが本種の大陸東部への分布拡大を困難にし を経て翌年 6 月までに蛹になる.したがって,坑道には繁 ていると考えられている(Bentz et al., 2010).気象条件や 殖のために親が作製した部分と,幼虫が食い進んだ部分が 化性・生存率を組み込んだモデルによる推定では,カナダ 混在する(第 2 図).多くは 2 ~ 3 齢幼虫で越冬する.羽 のアルバータ中部以西は現状では MPB の生育には不適だ 化後は成熟のために,さらに 1 カ月程度内樹皮を食して, が,今後の気候変動では分布が更に拡大する可能性も指摘 脱出に備える(Safranyik and Carroll, 2006).このとき,各 された(Safranyik et al., 2010). 新成虫の坑道が交わり,坑道を共有するようになる.ほと MPB は雌が坑道を創設する一夫一妻制の繁殖生態を んどの生息地ではこのような 1 年 1 化の生活史をもつが, も つ( Safranyik and Carroll, 2006). 7 月下旬から 8 月中旬 より寒冷な地域では 2 年 1 化,温暖な地域では 1 年 2 化の に寄主木から脱出した雌成虫が,寄主木からのカイロモ 個体群もある(Safranyik and Carroll, 2006). ン(ミルセン(myrcene))等を利用して定位し,3–5 cm を 加害樹種 穿孔後,雄の到着を待つ(Pureswaran et al., 2000). こ の MPB は北米に自生するマツ属の多くを加害し,トウヒ とき, 雌は集合フェロモン(trans-verbenol)を発散する 属も一部加害できる. マツ属 Pinus, Pinus 亜属ではレジ (Pureswaran et al., 2000).到着した雄も交尾前後に集合 ノーサマツ P. resinosa Sol. ex Aiton, ヨーロッパアカマツ フェロモン(exo-brevicomin)を発散することで, マスア P. sylvestris L., リギダマツ P. rigida Mill., バンクスマツ P. タック(集中攻撃)が生じ,後述する共生菌の作用で寄主 banksiana Lamb., ロッジポールマツ,P. coulteri D. Don, ジェ 木が枯死する(Pureswaran et al., 2000).このほか,交尾前 フリーマツ P. jeffreyi Balf., ポンデローサマツが,Strobus 亜 後から雌雄ともいくつかの抗集合フェロモンも出すと考え 属ではフレキシリスマツ P. flexilis E. James, サトウマツ P. られていて,マスアタックの発生と終了には複雑な化学信 lambertiana Douglas, モンチコラマツ P. monticola Douglas ex アメリカマツノキクイムシの生態と随伴生物 79

第 2 図 アメリカマツノキクイムシが樹皮下に形成した坑道 樹皮下の母坑(矢印 黒)および幼虫が拡張した分岐坑(矢印 白)が共に認められる.

D. Don, P. strobiformis Engelm., ストローブマツ P. strobus L., された個体を,ゲノム全体における DNA 多型を検出する ホワイトバークマツ P. albicaulis Engelm. が , Ducampopinus AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)法とミト 亜属ではモノフィラマツP. monophylla Torr. & Frem., ピニョ コンドリア DNA の塩基配列で解析した結果,地理的に遠 ンマツ P. edulis Engelm., フォックステールマツ P. balfouri- くなるほど遺伝的に遠くなる傾向が検出され,更に南西 ana Balf. が寄主木となる(Furniss and Schenk, 1969).ただ 部ではモハーベ砂漠を挟んで遺伝的な差異が大きくなる し,アメリカ農務局のウェブサイトでは,寄主木はジェ ことが明らかになった(Mock et al., 2007).一方,カナダ フリーマツを除く全ての北米に分布するマツ属と報告さ 国内の 49 地点で採集された個体の遺伝的構造をマイクロ れている(USDA, 2014).トウヒ属 Picea ではドイツトウ サテライトマーカーを用いて調べたところ,南北で遺伝 ヒ P. abies L. とエンゲルマントウヒ P. engelmannii Parry ex. 的に異なる集団に分けられ,現在,内陸のアルバータへ Engelm. に加害する(Furniss and Schenk, 1969). と被害を拡げているのは北側の集団であることが判明し その中でも主要な被害木はロッジポールマツとポンデ た( Samarasekera et al., 2012).また,その南北の遺伝的な ローサマツである.その 2 種では被害動態が異なることが 違いは最終氷期のレフュジアからのコロナイズ経路が異 判明しており,ロッジポールマツの方が激害になりやす なるため形成され,その上,現在の個体群の急速な成長 く,被害の同調性も高まる(Chapman et al., 2012).また, と拡散が遺伝的構造に変化を与えていることが示された 新規寄主木への進出時に生態が変化することも知られてい (Samarasekera et al., 2012). Cullingham et al.(2012)もカナ る.興味深いことに,Erbilgin et al.( 2014)は主要な寄主木 ダ国内の個体群についてミトコンドリア DNA を調べたと であるロッジポールマツから新規の寄主木であるバンクス ころ,構造化の程度は低いものの,前出のマイクロサテラ マツへと MPB が寄主を変えるときに,成虫の集合フェロ イト解析と同様の南北の分断を検出した. モンの化学組成を変化させることを明らかにした.それは なお,MPB が用いる寄主木の差異はその遺伝的な特徴 利用できる樹木の二次代謝物質の違いに由来する.また, には影響を与えていなかったので,MPB の遺伝的なタイ MPB は新規の寄主木でより集合性の高いフェロモンを生 プごとで樹木への選好性が異なることはないと考えられて 成し,より大型化することも報告した.このように,現在 い る( Mock et al., 2007). 被害の中心となっているロッジポールマツやポンデローサ 被害が深刻化する要因 マツから新たな寄主に進出する際には,MPB の生理的な MPB は土着のキクイムシであるのに,近年の被害は歴 変化を伴い,そのことが新規寄主木での被害動態に影響を 史上類を見ない規模に達している(Raffa et al., 2008). 大 与える可能性がある. 径化した林分は被害を受けやすくなることが知られている 種内の遺伝的構造と移動分散 が,1970 年代以降は温暖化による高標高・高緯度地域へ MPB は元来の生息地から分布を広げながら被害を拡散 の分布拡大も生じている(Carroll et al., 2003;Gibson et al., させており,遺伝的構造(種内の遺伝的変異の量と分布パ 2008).特に,温暖化による冬季の死亡率の低下や夏季の ターン)にはその分布変遷や現在の移動分散の状況が反映 乾燥が個体群動態に影響を与えている可能性が指摘されて されている.カナダのブリティッシュコロンビアからア い る( Safranyik and Carroll, 2006).それゆえに景観・林分 メリカのカルフォルニア,アリゾナまでの広範囲で採集 構造の変化や気候の温暖化が MPB の大発生に関わってい 80 加賀谷悦子 ほ か

ると考えられている(Raffa et al., 2008 他 ). る.ただし,単木的にしか行えないため,小規模で孤立し 近年,本種の被害が峻烈化していく要因について,航空 た被害地において用いることが多い.殺虫剤はカルバリル 写真から発生状況を判定した被害拡大の時空間パターンの 水溶液などがよく用いられている(Carroll et al., 2006). そ 解析が進められている(Aukema et al., 2006;Chapman et al., れらは予防的に散布することが可能だが,他の生物への影 2012;Creeden et al., 2014 他).カナダ・ブリティッシュコ 響を考慮しなければならない.木の内部に生息しているも ロンビアでの被害発生は,保全されている自然公園で最初 のを駆除する浸潤性農薬としては,MSMA メタンアルソ に発生したものが周囲に伝播していくことが多いと判明し ン酸モノナトリウムを地際の幹に斧でつけた切り込みへ施 た( Aukema et al., 2006).また,ロッキー山脈南部で被害 用することができる(Carroll et al., 2006).しかし,直接的 の発生や拡散に立地や気象がどのように関わっているのか 防除が広域における MPB 管理に有効であった事例は少な を検討したところ,特に著しい乾燥が端緒となって急増 い. した個体群から大被害が発生したことが明らかになった 関連する線虫相と研究課題 (Chapman et al., 2012).さらに,Creeden et al.(2014)も 同 様の気象条件の影響を指摘し,乾燥で低密度から高密度化 昆虫を利用する線虫,すなわち,便乗者,寄生者,捕食 した個体群は,その翌年以降に十分な雨量があっても,被 寄生者などを総称して,昆虫嗜好性線虫と呼ぶ.これら線 害が抑制されないことを示した. 虫は潜在的な生物防除資材として,生態学的研究材料とし MPB 被害発生後に森林火災が生じる危険性についても て,また,多様性研究の対象として調査が進められている. 研究が進められており,被害直後は出火の確率は変わらな キクイムシ亜科(Scolytinae)のうち,樹皮下キクイムシ いが,3~10 年後には土壌深部にまでは火が達しない表層 類は林業上の重要性から,線虫との関係が最も詳しく調 的な出火が増加する場合があることが示された(Harvey et べられている昆虫の分類群のひとつであり,いくつかの al., 2014).全般的に,MPB 被害は出火に大きな影響は与 モノグラフが出版されている(Rühm, 1956;Massey, 1974; えておらず,被害後の森林更新に火災の影響は軽微だと考 Poinar, 1975;Kaya, 1984).また,これらの内容の一部は神 えられた(Harvey et al., 2014). 崎・小坂(2009)により和文での解説がなされている. 防除方法 MPB は典型的な樹皮下キクイムシの一種であり,その MPB の被害の発生は,被害に遭いやすい樹木の存在と, 重要性ゆえ,関連線虫相は古くから研究されている.これ 膨大な虫の個体数が必要であるので,その 2 つを制御で らの研究は,Mercado et al.(2014)によってまとめられて きれば防除が可能になる(Carroll et al., 2006).前者を調整 いる.この他,前述のモノグラフ,各個別の研究例に基づ することは予防的な防除となり,後者は直接的な防除の技 いて,MPB 関連線虫相,これら線虫に関する研究の現状, 術で抑制する.高齢で大径な木が高密度に生育しているポ 将来的に考えられる研究課題について概説する. ンデローサマツやロッジポールマツの林は MPB に対して 関連する線虫相の分類群と生態 脆弱であるため,林分構造を耐性の高いものへと導く施 線虫と昆虫の相互関係は多様であり,寄生,相利共生, 業が予防的な防除となる(Whitehead et al., 2006).具体的 便乗(片利共生),片害などが知られる.これらのカテゴ には 80~160 年生,直径 20 cm 以上,密度 750–1,500 本/ha ライズに関する詳細は神崎・小坂(2009)で概説されてい の林分となると大発生しやすくなる.かつて,頻繁な山火 る.MPB に関しては,これまでの研究で,直接の栄養関 事がこのような林分の拡大を抑制してきた.大発生しやす 係が無く,分散手段としてのみ昆虫を用いるもの(便乗性 い林分はブリティッシュコロンビアにおいて,1910 年代に 線虫),寄生はするもののほぼ無害なもの(軽度寄生性線 はマツ林全体の約 17% しかなかったが,防火技術の発展 虫),不妊化や飛翔距離の短縮,寿命の短縮など明確な負 とともに増加し,1990 年代には 53% に達した(Taylor and の影響を与える寄生者(強度寄生性線虫)が検出されてい Carroll, 2004).高齢林が連続する景観では被害が伝播して る.第 1 表にこれらのリストを示す. 大規模な被害となりうるので,ハイリスクな林分から収 便乗者のうち,Diplogastridae 科の 2 属,Acrostichus 属と 穫を進め,伐期 80 年で施業を進めていくことが望ましい Micoletzkya 属はキクイムシ類からよく検出されるグルー (Whitehead et al., 2006).また,密度管理を徹底し,森林 プであり(Rühm, 1956;Massey, 1974;Poinar, 1975;Susoy の健全性を高めておくことも重要である. et al., 2013),鞘翅裏側や背面などに耐久型幼虫態で便乗 直接的防除には火入れや伐倒などの機械的防除と薬剤を し,坑道内で細菌を摂食,増殖する.Aphelenchoididae 科 用いた化学的防除がある(Carroll et al., 2006).火入れはそ の糸状菌食者(Bursaphelenchus 属とLaimaphelenchus 属) のコントロールが難しく,実施できる立地は限られてい も食餌源以外は Diplogastridae 科と同様である. これら る.伐採後樹皮を剝ぐ方法や林外に持ち出す方法は火入れ は通常,媒介昆虫に対して直接的な影響を与えることは よりも効果的な機械的防除で,本種防除の主要な方法であ ない.これらと同様に,便乗者と考えられるいくつかの アメリカマツノキクイムシの生態と随伴生物 81

第 1 表 アメリカマツノキクイムシから検出された線虫種 2006;Kanzaki et al., 2008a). 線虫種 食性 文献 昆虫に対して不妊化や,寿命,飛翔距離の短縮などの影 響を与える強度寄生者としては 2 種の Allantonematidae 科 (a)便乗性のもの 線虫が報告されている.これらはいずれも血体腔内で体液 Acrostichus occidentalis 細菌 Steiner, 1932 Micoletzkya inedia 細菌 Thorne, 1935 を吸収することにより,昆虫に栄養分の不足を引き起こ Micoletzkya pinicola 細菌 Massey, 1966 し,それにともなう不妊化,短命化,飛翔距離の短縮など Neocephalobus judithae 細菌 Massey, 1964 が生じることにより繁殖成功率低下の要因となっている 細菌 Panagrodontus dentatus Thorne, 1935 (Siddiqi, 2000). Macrolaimus canadensis 細菌 ? Sanwal, 1960 MPB に関してはリストのとおりであるが,本種が属す Bursaphelenchus conurus 糸状菌 Steiner, 1932 る 属の他種と比較してみても, 線虫相は概 Bursaphelenchus talonus 糸状菌 Thorne, 1935 Dendroctonus Laimaphelenchus pensobrinus 糸状菌 Massey, 1966 ね属レベルで一致しており,属全体で,関係する線虫相 Neoditylenchus pinophila 糸状菌 Thorne, 1935 は類似しているものと考えられる(Rühm, 1956;Massey, Nothotylenchus sp. 糸状菌 ? Massey, 1974 1974;Poinar, 1975). 糸状菌 Pratylenchoides magnicauda ? Thorne, 1935 MPB 関連線虫相の特徴としては,他のキクイムシ,ゾ (b)軽度寄生性のもの ウムシ,カミキリムシなどの比較的新鮮な木材(樹皮下) Cryptaphelenchus latus 昆虫寄生/糸状菌 Thorne, 1935 利用昆虫同様,糸状菌食性線虫とそこから派生した寄生/ Parasitaphelenchus acropos- 昆虫寄生/糸状菌 Steiner, 1932 thion 捕食性線虫の割合が比較的高いことが挙げられる.例え Parasitorhabditis obtusa 昆虫寄生/細菌 ? Thorne, 1935 ば,糸状菌食者である Bursaphelenchus 属,これに近縁な 昆虫寄生/線虫捕食 a Ektaphelenchus josephi Massey, 1974 昆虫寄生者 Parasitaphelenchus 属は,キクイムシ類から典 Ektaphelenchus obtusus 昆虫寄生/線虫捕食 a Massey, 1956 型的に見られるが,土壌や堆肥などを利用するコガネムシ Ektaphelenchus tenuidens 昆虫寄生/線虫捕食 a Thorne, 1935 上科の昆虫種では,細菌食者とそこから派生した寄生線虫 Berntsenus brachycephalus 昆虫寄生/線虫捕食 ? Thorne, 1935 (c)強度寄生性のもの 種以外の報告はほとんどない(Poinar, 1975). Contortylenchus reversus 昆虫寄生 Thorne, 1935 防除資材としての線虫 Prothallonema hastatum 昆虫寄生 Khan, 1957 線虫を用いての防除には大きく 2 つの方法が考えられ a 近縁他種の食性からの推測(Kanzaki, 2014). る.ひとつは寄生性線虫を用いるもので,キバチ類に対し て,その特異的寄生者である Deladenus 属を適用した例が 種( Neocephalobus judithae Massey, Panagrodontus denta- 広く知られる(Bedding, 1984).これは原産地で見られる tus Thorne, Macrolaimus canadensis Sanwal, Neoditylenchus 本来の寄主,寄生者関係を用いており,種特異的寄生者と pinophila Thorne, Nothotylenchus sp., Pratylenchoides magni- して線虫を用いたほぼ唯一の侵入害虫の防除成功例であ cauda Thorne)が報告されているが,これらについては詳 る.もうひとつは,比較的寄主範囲の広い昆虫病原性線虫 しい情報がないため,昆虫との関係は,これまでに知ら を生物農薬として用いる方法である.一般的には,線虫を れている近縁種の生活様式からの推測である(Yeates et al., 用いた防除といえば,昆虫病原性線虫を用いたものを指す 1993;Siddiqi, 2000). ことが多い. 寄生者であり,昆虫寄生ステージを経由しないと成虫に MPB を対象に線虫での生物的防除を考える場合も, はなれないものの,昆虫に対してほとんど影響を与えない 既報の強度寄生性線虫(Contortylenchus reverses Thorne, 種を便宜的に「軽度寄生者」と呼ぶ(神崎・小坂,2009). Prothallonema hastatum Khan)を用いるか,一般的に用い これらには Aphelenchoididae 科( Ektaphelenchinae 亜 科)と られている昆虫病原性線虫を新たに適応する方法が考えら Rhabditidae 科のいくつかの種が含まれ,虫体外では糸状菌 れる.しかし,昆虫寄生性線虫には人工培養が難しいもの 食,細菌食,もしくは他の線虫を捕食して生活しているも が多いという問題点がある(Kaya, 1984;Siddiqi, 2000;神 のと考えられる(Hunt, 1993;Kanzaki, 2014).これらのう 崎・小坂,2009).昆虫病原性線虫を用いた防除法に関し ち,Ektaphelenchus spp. は nematangia と呼ばれる鞘状の組 ては,MPB 以外の樹皮下キクイムシを対象にいくつかの 織をキクイムシの鞘翅等に形成し,この中に侵入して運ば 研究例があり,実験レベルで一定の効果が見られたケース れ る( Massey, 1974;Cardoza et al., 2006).この組織は線虫 もあるが,実用には至っていない(Kaya, 1984).線虫を用 の感染によって形成される病理組織の一種であると考えら いた生物的防除法の開発とその有効性,実用化可能性の検 れ( Shimizu et al., 2013),これを形成させた Ektaphelenchus 証は今後の研究課題として挙げられる. 属線虫以外の便乗種がこの nematangia の中に「同乗」して MPB と便乗線虫の間接的相互作用の可能性 いるケースも多数見られる(Massey, 1974;Cardoza et al., 便乗者,軽度寄生者では,昆虫との直接的な相互作用は 82 加賀谷悦子 ほ か

ほとんど見られず,実質的に片利共生関係である.しか フィオストマキン科菌類(Ophiostomataceae)と酵母数種, し,便乗者の一部には昆虫との間に,菌類,樹木を介した および担子菌類 1 種で構成される(Mercado et al., 2014). 間接的相互関係が存在する可能性がある. 採取場所によって多少のばらつきはあるものの,Mercado ひとつは, 糸状菌食性線虫とキクイムシの食餌源(菌 et al.(2014)によれば, 各地域に共通して 8 種の菌類, 類)に関する競合である. これまでに,Cryphalus 属コキ Ophiostoma montium(Rumbold)Arx, Grosmannia clavigera クイムシの便乗線虫,Bursaphelenchus clavicauda Kanzaki, (Rob.-Jeffr. & R.W. Davidson) Zipfel, Z.W. de Beer & M.J. Maehara & Masuya がその媒介昆虫の主要随伴菌である Wingf., Leptographium longiclavatum S.W. Lee, J.J. Kim & Fusarium spp. の菌叢上で良好な増殖を示すこと(Kanzaki et C. Breuil, Ogataea pini(Holst)Y. Yamada, M. Matsuda, K. al., 2007),また,同じく糸状菌食者である Neodiplogaster Maeda & Mikata, Kuraishia capsulate(Wick.) Y. Yamada, crenatae Kanzaki, Masuya & Kubono がその媒介昆虫であ K. Maeda & Mikata, Nakazawaea holstii(Wick.) Y. Yamada, る Scolytoplatypus 属養菌性キクイムシの共生菌上で安定 K. Maeda & Mikata, Pichia scolyti(Phaff & Yoney.) Kreger, 的な増殖を示すことなどが確認されており(Kanzaki et al., Entomocorticium dendroctoni H.S. Whitney, Bandoni & Oberw. 2008b),糸状菌を重要な共生パートナーとするキクイム が随伴しているという. シ類にとっては随伴糸状菌食線虫の密度が,繁殖成功に影 これらのうち,オフィオストマキン科菌類に属する3種, 響を与える要因となっている可能性がある. O. montium, G. clavigera, L. longiclavatum は外骨格から非常 もうひとつは線虫の植物病原性がキクイムシの樹体 に高頻度に分離される(Mercado et al., 2014).これらは青 への侵入, 繁殖成功に影響を与えている可能性である. 変菌としても知られており,マツ材の青変の原因となっ Bursaphelenhcus 属にはマツノザイセンチュウを始め, い ていることから,経済的にも大きな影響を与える(升屋・ くつかの植物病原体が含まれる(Kanzaki et al., 2011). こ 山岡,2009).子嚢胞子,分生子はいずれも粘着性があり, の中には,樹皮下キクイムシ便乗種の B. sexdentati Ruhm 胞子が形成されている場所を通過すれば容易に体表に付着 など,比較的強い病原力を持つ種も含まれており,これら し,分散される(Whitney, 1982).一方で酵母のグループ が,キクイムシの大量穿孔時に樹木体内で病原力を発揮す である O. pini, K. capsulata, N. holstii, Y. scolyti は体表面か ることにより,樹木の抵抗反応の軽減など,昆虫の侵入, らだけでなく,消化管からも分離されることから,主要 定着を促進している可能性がある. な随伴場所は消化管内であると考えられる(Mercado et al., 2014). E. dendroctoni は担子菌であるが,大型の子実体は 関連する菌類 形成せず,キクイムシの蛹室周辺に担子胞子を形成する種 MPB も含め,全ての樹皮下キクイムシは菌類を随伴し 類で,本属自体がキクイムシに特化した随伴担子菌であ ている.その種類は膨大で,キクイムシの種類や生育ス り,Dendroctonus 属のキクイムシ類とともに共種分化して テージによって主要種や種構成が異なることが報告され きたと考えられている(Hsiau and Harrington, 2003). ている(Whitney, 1982;升屋・山岡,2009).また,菌種に 随伴菌の病原性 よってキクイムシや寄主木への影響も異なっており,複雑 オフィオストマキン科菌類の中には,青変を材に引き な相互作用系が成立している(升屋・山岡,2009, 2012). 起こす種類が経済的に重要であるが,樹木に病原性を有 MPB は経済的,生態的な重要性から,その随伴菌につい する種類も知られている.ニレ類立枯病の原因菌として ても非常に多くの研究がなされてきた.ここでは MPB 関 知られる O. ulmi(Buisman) Melin & Nannf. および O. novo- 連菌類について紹介するとともに,それらの樹木への影 ulmi Brasier は,オフィオストマキン科菌の中でも世界的 響,MPB への影響について概説する. に有名であり,Scolytus 属キクイムシが随伴する(升屋ら, 随伴菌の多様性 2010). MPB に随伴するオフィオストマキン科菌類のう 経済的, 生態的重要性から, キクイムシの中でも ち,O. montium と G. clavigera については接種試験でポン MPB の随伴菌相が最もよく調べられているといってよ デローサマツを枯死させることが分かっている(Strobel い( Mercado et al., 2014).その内訳は,いわゆる子嚢菌 and Sugawara, 1986;Yamaoka et al., 1990, 1995).特に G. 系酵母(Saccharomycetales),子嚢菌類のフンタマカビ綱 clavigera を接種した場合,内樹皮に O. montium より大き (Sordariomycetes),そして担子菌類(Basidicmycetes)に 分 い壊死斑が形成されることから,この種類が MPB 随伴菌 けられる.その他,偶発的に随伴される種類がいくつか含 の中で最も病原力が強いと考えられた.そして,キクイム まれ,繁殖場所に同所的に存在していた他のキクイムシや シ随伴菌が寄主木を枯死させることから,キクイムシ穿入 ダニ等の節足動物に依存していたと考えられる種類があ 木の枯死には,随伴菌の病原力が重要な役割を果たすと考 る.一方で,主要随伴菌として脱出成虫の外骨格に付着し えられた.ただし,寄主を枯死させるためには多点接種が ていた種類は多くはなく,フンタマカビ綱に含まれるオ 必要であり,この点は同じキクイムシ随伴菌としても知ら アメリカマツノキクイムシの生態と随伴生物 83

れる重要樹木病害のニレ類立枯病菌とは異なる.MPB 関 タックするという特性から,少数の侵入個体が樹木を加害 連菌は樹体内の放射柔組織に侵入し,破壊する.その際 し,個体群として定着できる可能性は低い.しかし,大径 に過敏感反応による通水阻害が発生し,最終的に枯死す 木内では膨大な幼虫が発育して輸送される可能性があるこ る( Mercado et al., 2014).一方,ニレ類立枯病菌の場合は, とから,侵入に対する警戒が必要であると考えられる.現 Scolytus 属キクイムシが後食のため枝を加害する際に,寄 在の植物防疫体制で採られている処置を整理し,その侵入 主に感染し,菌の産生する二次代謝産物が通水機能を破壊 リスクを検討する必要がある.具体的には,丸太の輸入形 することで,枝枯れから最終的には樹木全体の枯死に至ら 態や燻蒸・熱処理の実施状況,梱包材の取り扱いの実態を しめる(升屋ら,2010).つまり,枯死機構そのものが全 明らかにし,そこに問題はないのかを調査することが求め く異なる上に,枯死させるのに必要な接種源の量におい られる.また,MPB は北米に分布するマツ属の多くを利 て,MPB 随伴菌とニレ類立枯病菌で大きく異なっている. 用するが,日本の樹種を加害するのかは明らかになってい こうした点から,MPB によるマツの枯死は,病害として ないので,その利用可能性を調査しなければならない.特 は扱われていない.最近では,ニレ類立枯病菌など一部の に林業上重要であり,防風や治山の機能を担うクロマツと キクイムシ随伴菌以外は,キクイムシの随伴菌は寄主木の アカマツについては,MPB の寄主木となりうるのかを多 枯死に大きくは貢献していないという考えが主流となって 面的に試験する必要があるだろう.もし,侵入してしまっ きている(Six and Wingfield, 2011). た場合,北米での研究事例から,その移動分散を妨げる地 MPB との相互作用 理的障壁は大規模なものでないと効果が期待できない.そ MPB は樹皮下キクイムシであるにも関わらず,養菌性 のため,定着から分散に至る前に徹底的な除去を実施しな キクイムシで知られているようなマイカンギア(mycan- いと,広域への拡散が懸念される.また,速やかな除去の gia)と呼ばれる菌体の貯蔵,運搬器官がある(Mercado et ためには,北米で使用されている薬剤を用いた化学的防除 al., 2014 他).ただし,養菌性キクイムシほど発達したも が,日本でも実施可能かについて法的な問題を検討してお のではなく, 他の Dendroctonus 属では口腔内にマイカン くべきだろう. ギアがある種類もあるが,MPB では鞘翅表面のピットが MPB 随伴生物の日本の森林生態系への侵入リスク その役割を果たしていると考えられている(Six and Paine, MPB 随伴線虫については,MPB 被害樹木内で担う役割 1998;Bleiker and Six, 2007).このマイカンギア内に入っ に不明な点が多いため,その日本への侵入リスクを現在議 ている菌種は,先出のオフィオストマキン科菌類 3 種およ 論することは難しい.今後,線虫の再分離,食餌菌選好性 び E. dendroctoni である. これらが MPB の栄養源になっ 試験,寄主木に対する接種試験などを行っていくことによ ているという直接的な証拠はない.ただし,G. clavigera は り,昆虫と線虫の間接的相互作用系の解明,線虫による植 樹体内のテルペノイドを解毒する能力があり,そのこと 物体に対する病原性の解明がなされることと考えられる. でキクイムシ幼虫が生育しやすい環境の構築に貢献して その後に,日本への侵入リスクの推定が可能となる. いると考えられている(DiGuistini et al., 2011).また,窒 MPB 随伴菌そのものは,原木輸入の際に日本国内に入 素源を坑道に集中させる役割も担っていると考えられて ることは普通にあると予想される.検疫の段階で,キクイ い る( Cook et al., 2010).さらには樹体内の物質を代謝す ムシの存在が確認されれば速やかに燻蒸処理されるため, ることで集合信号(カイロモン)として役立つ物質の合成 キクイムシそのものは死滅すると考えられるが,随伴菌の に関与している(Bentz and Six, 2006).酵母類もまた MPB 死滅は不明である.一方で,製材輸入により MPB 被害材 の生育に重要な役割を果たしていると考えられている.関 が流通し,MPB 随伴菌による青変材そのものが日本国内 連酵母は全て MPB の消化管内におり,セルロース分解能 で普通に認められる.実際に筆者らはホームセンターで販 を有している.またテルペン類の解毒能もあるため,生 売されているカナダ産ポンデローサマツの加工材で青変が 育に大きく貢献している(Hunt and Borden, 1990).担子菌 入っているものが多く存在しているのを確認している(升 の Entomocorticium 属についても,産卵数が増加するとい 屋ら,未発表).ただし青変材は窯乾燥されているため, うキクイムシへの正の影響が知られている(Whitney et al., 菌そのものは死滅していることから木材を介した拡散や定 1987).このように,随伴菌の多くがキクイムシにとって 着はない.しかし,運悪く MPB が日本国内に侵入,定着 正の効果を有しているようである. した場合の MPB 随伴菌のリスクは,他種キクイムシの青 変菌と類似のリスクになると予想する.実際に青変菌の中 日本への侵入に備えて今後求められる研究 で比較的強い病原力を有する種類はあるが,低密度でも寄 日本の森林への侵入リスク 主を枯死させるような種類はこれまでに報告されていな MPB は現在まで散発的に港湾の木材検疫で検出されて い.前に説明したように,寄主を枯死させる機構が多点接 いるが,大規模な侵入は認められていない.本種のマスア 種に依存せざるを得ないため,マスアタックするキクイム 84 加賀谷悦子 ほ か

シに随伴することでのみ,初めてその病原力を発揮する. Carroll, A. L., T. L. Shore and L. Safranyik(2006) Direct control: 逆に言えば,マスアタックするキクイムシに随伴しない限 theory and practice. In The Mountain Pine Beetle: A Synthesis ( り,ほとんど無害といっても差し支えないのが青変菌の of Its Biology, Management and Impacts on Lodgepole Pine L. Safranyik and B. Wilson, eds.). Natural Resources Canada, 特徴といえる.数種のキクイムシに随伴する Ophiostoma Canadian Forest Service, Pacific Forestry Centre, Victoria, BC, pp. ( ) という青変菌は全世界に広く分布す ips Rumbold Nannf. 155–172. るが,様々な国由来の菌株について遺伝構造を調査した結 Chapman, T. B., T. T. Veblen and T. Schoennagel(2012) Spatio 果,各国間をなんらかの方法で頻繁に移動していることが temporal patterns of mountain pine beetle activity in the southern 明らかとなった(Zhou et al., 2007).本種の森林生態系へ Rocky Mountains. Ecology 93:2175–2185. ( ) の影響は不明ではあるが,随伴菌相が置き換わる可能性自 Cook, S. P., B. M. Shirley and P. J. Zamnino 2010 Nitrogen con- centration in mountain pine beetle larvae reflects nitrogen status of 体はあるかもしれない. the tree host and two fungal associates. Environ. Entomol. 39: 仮に の加害履歴のある新鮮な原木が入り,その中 MPB 821–826. にいた MPB 随伴菌が土着のキクイムシと関係を持ったと Creeden, E. P., J. A. Hicke and P. C. Buotte(2014) Climate, weather, しても,土着のキクイムシが健全木をマスアタックしない and recent mountain pine beetle outbreaks in the western United 限りは,日本のマツが被害を受ける可能性は低いと思われ States. For. Ecol. Manage. 312:239–251. Cullingham, C. I., A. D. Roe, F. A. H. Sperling and D. W. Coltman る.MPB 随伴菌を警戒するよりは,キクイムシの密度管 (2012) Phylogeographic insights into an irruptive pest out- 理の方が被害抑制に有効であろう. break. Ecol. Evol. 2:908–919. 引用文献 DiGuistini, S. Y. et al.(2011) Genome and transcriptome analyses of the mountain pine beetle-fungal symbiont Grosmannia clavigera, Aukema, B. H., A. L. Carroll, J. Zhu, K. F. Raffa, T. A. Sickley and S. W. a lodgepole pine pathogen. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 108: Taylor(2006) Landscape level analysis of mountain pine beetle 2504–2509. in British Columbia, Canada: spatiotemporal development and Erbilgin, N., M. A. Cary, C. Whitehouse, B. Shan and A. Najar spatial synchrony within the present outbreak. Ecography 29: (2014) Chemical similarity between historical and novel host 427–441. plants promotes range and host expansion of the mountain pine Bedding, R. A.(1984) Nematode parasites of Hymenoptera. In Plant beetle in a naïve host ecosystem. N. Phytol. 201:940–950. and Insect ( W. R. Nickle, ed.). Marcel Dekker Inc., Furniss, M. M. and J. A. Schenk(1969) Sustained natural infesta- New York, pp. 755–795. tions by the mountain pine beetle in seven new Pinus and Picea Bentz, B. J. and D. L. Six(2006) Ergosterol content of fungi associ- hosts. J. Econ. Entomol. 62:518–519. ated with Dendroctonus ponderosae and Dendroctonus rufipennis Gibson, K., S. Skov, S. Kegley, C. Jorgensen, S. Smith and J. Witcosky (Coleoptera: Curculionidae, Scolytinae). Ann. Entomol. Soc. (2008) Mountain pine beetle impacts in high-elevation five-nee- Am. 99:189–194. dle pines: current trends and challenges. Forest Health Protection Bentz, B. J., J. 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