風力発電 () ヨーロッパではかなり普及している風力発電の長所と短所を紹介します。 英語版のウイキペディアの邦訳(IOJ 事務局)と日本版のウイキペディアの比較をしてみました。 2008年8月3日 掲載

Wind power 風力発電 (英語版のウィキペディアより引用;内容が日本語版と結構、異なっています) From Wikipedia, the free encyclopedia http://en.wikipedia.org/wiki/Wind_power より引用

上の写真のように三枚の羽根の風力タービンが、金属疲労を最小にすることが分かっているので一般的に使われている。 風力発電は、風力タービンを使って風が持つエネルギーを電力に変換している。 2007年末現在、全世界の風力発電量は94.1ギガ・ワット gigawatts.[1] に上っている。 今のところ風力発電量は全世界の電気使用量[2]の大体1%程度だが、デンマークが19%、スペインとポルトガルが9%、 ドイツとアイルランドが6%も風力発電で賄われている(2007年のデータによる)。 世界的に見て風力発電は、2000年から2007年の間に五倍以上に増えている。[1] 風力の殆どが電気の形で発電される。大型風力発電所は送電網と連携している。個々の発電タービンは孤 立した場所で電力を供給することができる。風車においては風のエネルギーで揚水し、脱穀するなど直接、 機械エネルギーに変換して使われる。 風力エネルギーは実に豊富であり、再生が可能で、広範囲に分布して、清浄であり、化石燃料からの発電 での温室効果ガス排出量を置き換えて減少させることができる。風力発電を全体の電力使用必要量の一部を 担う限りは電力供給間欠性の問題は滅多に発生しないが、もし風力発電による電気使用量の割合が増えた場 合には、余分なその対策費用が掛ってくる。しかし非常に大きな間欠性あった場合でもこれらの費用はそれ 程多額なものではないと考えられている。[3]

Contents 目 次

1 History 歴史 2 Wind 風力エネルギー 2.1 Distribution of wind speed 風速分布 2.2 Grid management 送電網管理 2.3 発電能力の決定因子 3 Intermittency and penetration limits 間欠性と使用比率の限界 3.1 Penetration 発電量の間欠性 3.2 Predictability 発電量の予測性 4 Turbine placement タービンの配置 5 Utilization of wind power 風力発電の利用 6 Small scale wind power 小型風力発電 7 Economics and feasibility 経済性と実現性 7.1 Growth and cost trends 成長性とコストの動向 7.2 Theoretical potential 理論的な実現性 7.3 Direct costs 直接費用 7.4 External costs 間接費用 7.5 Incentives 優遇措置 8 Environmental effects 環境に及ぼす影響

8.1 CO2 emissions and pollution 二酸化炭素排出と公害 8.2 Net energy gain 正味のエネルギー効率 8.3 Ecological footprint 環境上の足跡 8.4 Climate change 気候の変動 8.5 Land use 用地問題 8.6 Impact on wildlife 野生動物への影響 8.6.1 Birds(鳥類) 8.6.2 Bats (コウモリ類) 8.6.3 Fish (魚類) 8.7 Offshore ocean noise 洋上風力発電の騒音 8.8 Safety 安全性(電波障害など) 8.9 Aesthetics 景観 8.10 Examples of opposition to wind power 風力発電に反対する事例 9 See also 関連項目 10 References 参考文献 11 Wind power projects 風力プロジェクト

1.歴史

原始的な風車小屋で歴史的に見て初めてのものは、紀元後1世紀に風力を使った原形がある。[4] 最 初に実用化された風車はシスタン現在のアフガニスタンに7世紀頃に建てられたとされている。これ は長方形の羽根を付けた長い垂直状の駆動軸を持つ垂直タイプの車軸であった。[5] 葦の畳か布地で覆 われた6枚から12枚の帆を付けた風車トウモロコシを挽き、水を汲み上げ、製粉所やサトウキビ製 造に用いられた。[6] 水平タイプの車軸を付けた風車小屋は1180年代の初め頃に北西ヨーロッパに 小麦粉を挽くために広まった。今もオランダでそのタイプの風車小屋が多く残っている。[7] アメリカ合衆国での「揚水式・風車小屋」の発達が、たやすく利用できる水を別な方法で委ねられ ていた北アメリカの広い地域で農場や牧畜場を主流なものとしてきた。風車が井戸から水を汲み上げ て初期の蒸気機関車で使う水を供給することで世界中の鉄道網の拡大に貢献した。[8] 木製または鋼鉄製格子の搭の頂部に多くの羽根を持つ風力タービンの風景が、永い間、アメリカの 田園地帯に広がっていた。 現在の風力タービンは1980年代に発達し、デザインは今も未だ進化している。

2.風力エネルギー

風そのものの源は何か、それは非常に複雑なものである。地球は赤道での受熱量より北極と南極での 受熱量は少なく不均等な太陽熱で暖められる。また乾燥した陸地は海洋と比較し暖まりやすく且つ冷え 易い。この異なる暖まり方が、地球表面から実質上の天井に相当する成層圏に達する地球の大気の対流 現象を引き起こす。これらの風の動きに貯め込まれたエネルギーの殆どが風速160キロ米/時間もの 風を続けて上空に引き起こすことになる。その結果、風力エネルギーは地球表面と大気を通過し、その 摩擦で生じた熱の拡散でもって変換される。 地球上には実用化できる風力エネルギーが72テラ・ワット(テラ:1兆)の可能性があると概算さ れている。[9] 与えられた地点を通り過ぎて従うエネルギー全てが取り戻されることではない。 (Betz' law ベッツの法則を参照のこと)。

2-1 風速分布

コロラド州のリー・ランチ測候所で2002年に観測された風速分布(上図の赤色)とエネルギー分布(青色) ヒストグラム(度数分布図)は測定値を示す。曲線は Rayleigh レイライ・モデル分布で同じ平均風速である。 エネルギーは直接風の中に直径が百米の円を通る Betz 限界値 1年間で円内を通過した全エネルギーは 15.4 ギガ・ワット・時間であった。 風は常に変動しており、ある固定した場所での平均値が、そこの風力でタービンを回すことが 出来る平均したエネルギー量を示すとはいえない。 特定した場所で風速の頻度(ヒストグラム) を評価するために、確率分布関数が観測値と良く合致することがある。異なった場所では、違っ た風速の分布が見られる。 レイライ Rayleigh モデルは、各地で測定した時間当たりの風速の実 際の分布に近似できる。 なぜならば大量の風力は大きな風速でもって作り出されるし、エネルギーの殆どが短時間の暴 風から来るものであるからだ。2002年にリー・ランチ測候所でのデータが以下のことを物語 っている。利用できるエネルギーの半分は稼働時間の丁度15%に達していた。その結論は、風 力エネルギーは火力発電所で出力されるような一定のものではなく、風力発電の利用は風力が弱 い時間帯には他の方法で風力発電をバックアップしてあげる必要があるということである。もっ と首尾一貫して風力発電をするには、暴風で発電した大量のエネルギーを保存して後で使うよう な貯蔵技術を利用しなければならない。

全世界での風力発電設備能力(1997年-2007年実績)と 予想(2008年-2013年):指数曲線に乗っている データの出典: WWEA

2.2 送電網管理 風力発電設備に度々使われる誘導発電機は実効電力を高めるために必要なものである。そこで変 電所は、力率を改善するために実効電力のキャパシタ・バンクを含む風力集電システムに用いて いる。異なったタイプの風力タービン発電機は、送電網が障害を受けている間、違った運転をし て、新規風力発電ファームのダイナミックな電動機械的な特性を持った広大な模型制作が、シス テムが上手く行かないときに予想できる安定的な運転を確実にするよう、送電システムを操作で きる者が必要になる。特に誘導発電機は障害を受けている間はシステムの電圧をサポートできな いし、異なった蒸気又は水力タービン駆動の同位相発電機(共振を電子制御して十分に対応した 力率改善キャパシタが送電網無しで誘導発電をサポートできる)をサポート出来ない。二重に送 る機械 Doubly-fed machines、若しくはタービン発電機と集電システムとの間の固体変換器を持 った風力タービンは、一般的には送電網の相互連絡のために、より好ましい特性を持っている。 送電システムを操作する者は、送電網へ相互連絡するための要求事項を特定するために送電網の 規定を用いて風力発電ファームの開発者に供給する。これは力率、周波数の一定化、システムが 障害を受けている間、風力発電ファームのタービンのダイナミックな運転を含む。[10] [11] 2.3 発電能力の決定因子 風速は一定でないので、風力発電ファームの年間の発電量は、1年間の総時間に発電機の公称 能力の率を掛け合わせた合計と同程度であるということは無い。実際の1年間の発電効率とこの 理論的最大値との割合を容量因数 capacity factor と呼ぶ。 典型的な容量因数は20-40%であ り、立地条件の良い所ではこの範囲の上限値になる。[12][13] 例えば、容量因数が35%の1メガ・ ワットのタービンは1年間に 8,760 メガ・ワット-時間(1x24x365)の発電をするばかりでなく、 0.35x24x365 = 3,066 メガ・ワット-時間、平均して0.35メガ・ワットになる。ある発電所に 利用できるオンライン・データと容量因数は年間の出力から計算されうる。[14][15] 違った燃料による発電所の容量因子は風が持つ固有な特性によって限定される。他のタイプの 発電の容量因子は修理のための停止時間の少量によって燃料コストに殆ど依存する。原子力発電 は低い増額の燃料コストが掛かり、そしてフルに出力して容量因数が90%になる。[16] 高い燃料 コストを伴う発電設備は電力負荷に従って戻り減速される。天然ガスを燃料として使うガス発電 設備は操業するのに非常に多くの費用が掛かり、ピーク電力需要時にのみ運転されるべきである。 ガス燃料の発電設備は、コストが相対的に高いため、年間当たりの容量因数は5-25%になる。 スタンフォード大学が2007年の応用気象学と応用気候学ジャーナルに研究報告を発表した。 10以上の風力発電ファームをつなぐと、最小の判定基準が風速とタービンの高さに合致してい る限りは、基本的電力負荷に用いられ、あてになる総発電量の33-47%を可能にする。[17]

3.間欠性と使用比率の限度

風力で発電された電気量は、時間変動、日間変動、季節間変動を起こす。年間で見てもまた変動があ るがそれ程に重要なことではない。なぜなら瞬間の発電と電力消費とは安定した送電網を維持するよう に均衡をとって行かねばならなく、この変動は一つの送電網系統の中へ大量の風力発電の電気量を合体 するために実体のある挑戦を与えることになる。間欠性と風力発電の非-急なる送電性の特性が、規準 化、操業中に電気を貯蔵する益々の増加、そして(風力発電の使用率向上)のエネルギー需要量の管理、 電力負荷の発散、又は電気の貯蔵を必要とし、これらがコストを引き上げている。風力発電の使用比率 が低い場合に、電力負荷揺動や暴風による大容量発電での事故への許容範囲が風力発電の変動に対して の規準化が出来るように発電容量を確保することが要求される。 揚水貯蔵型水力発電又は送電網用エネルギー貯蔵型の他の発電は、風速が大きい期間に発電したエネ ルギーを貯め込むことが出来、また必要時には放出もできる。[18] 貯め込んだエネルギーは経済的に価 値のある風力エネルギーを増やす。なぜなら電気の需要がピークに達した時点で高いコストのエネルギ ーと置き換えることが可能であるからである。この鞘取引から得られる秘めた収入は差引勘定が出来、 且つ貯蔵エネルギーを減らすことができる。つまり貯蔵コストは風力エネルギーに25%も上乗せ出来 る。 最大瞬間風速は電力の需要量のピーク時とは符号しないかも知れない。カルフォニア州とテキサス州 で、例えば真夏日に、風速は低くて、エアコンの使用で非常に高い電気需要があった。しかし英国では、 冬季の電気需要は夏に比べて大きく、風速は同じである。[19][20][21] 太陽光発電は風力発電と補足的であ る傾向がある。 [who?][22][23] 風が殆どない日の多くは太陽が照り、一方、曇の日は風が強い。 [citation needed] ある実地プロジェクトがマサチューセッツ・マリティム・アカデミーで実証した。太陽光発電、風力発 電、バイオ・ガス発電、水力発電をつないだ発電所が100%再生可能エネルギーを供給できる方法で あることを提案している。[24] スコットランド研究の2006年度エネルギー報告書によれば、風力発 電は一つでもってエネルギーの供給は不可能であり、多様な電気エネルギー源を推奨すると云っている。 [25] デンマークの報告書がデンマークの風力発電ネットワークは2002年の1年間の観測データでは 54日が風力発電が出来なかったと述べている。[26] 風力発電主唱者らは、この弱い風速の期間は、非 常事態に備えて準備をしておいた既存の発電設備を再稼動すれば何も問題は無い。その既存設備の遊ん でいる期間の維持コストは、ランニングコストの殆どが燃料費だけなので、実際にそれ程掛らないと言 及している。 3.1 発電量の間欠性 風力エネルギーの「penetration 使用率」は風力発電されるエネルギーと利用しうる総発 電容量との比率でもって表される。一般的には風力の使用率の「最大」レベルはありえない。 特殊な電力送電網に対しての限界値は、既存の発電設備、価格メカニズム、貯蔵の容量又は 需要量管理やその他の因子などに依る。相互に連結した電力網が、発電容量と送電容量の保 存で発電設備故障に対して許容できることを既に含んでいる。つまり保存した容量が風力発 電により変化する発電量を規準化するようにまた働くのである。総電力エネルギーの消費量 の20%が極小の故障で合体することが出来るという研究事例がある。[27] これらの研究は風 力発電ファームを地理学的に分散配置した、幾らか急に送られてくるエネルギーがあり、又 は貯蔵能力を持った水力発電を持ち、消費電力管理がなされ、必要時には大きな電力送電網 での送電への相互接続ができる場所でのものであった。このレベルを越えると、技術的な限 界は殆どなくなり、経済的な掛り合いがもっと重要になってくる。 現在、送電網システムで5%以上の風力発電の使用率は殆どない;デンマーク(18%以 上)、スペインとポルトガル(9%以上)、ドイツとアイルランド(6%)。デンマークの 送電網がヨーロッパの電力送電網に重々しく相互に接続されていて、デンマークは風力発電 量の約半分をノルウェーに輸出送電して送電網管理問題を解決している。電力の輸出送電と 発電との相互関係は強いものである。[28] ミネソタ州から委託された研究では、25%の使用率があり、電力統合問題は管理できる もので、キロ・ワット-時間当たり0.5セント(0.0045米国ドル)以下の増加コス トであると報告している。[29] しかし、アイルランド電力会社の、国の送電網 ESB が研究結果を2004年に出して以下 の結論を得ている。「地熱発電所の上にある風力発電所の逆効果が風力発電の使用率が上昇 すると増してくる。風力発電所の操業は影響を及ぼさないようにし、随意性を増している」 そして彼らは、再生可能エネルギーの目標値が2001年に EU にて設定した「増加する発電 電力量のコストは15%以内」に合致していると結論付けた。[30] 3.2 発電量の予測性 発電量の変動に関連していうならば、風力発電出力の短時間(時間又は日間)予測の問題 がある。他の発電源と同じく、風力発電は計画性を持たねばならない。この風力というエネ ルギー源の特性は本質的に変動を持ち合わせていることである。風力発電量の予測方法を利 用しているが、風力発電設備の出力の予測性は短時間操業においては低い。

4.タービンの配置

風力タービンの設置場所の良い選び方は風力発電が経済性を持つかどうかが重要になる。風を有効利 用は別にして、送電線網の設置可能性、発電エネルギー値、設置場所の取得費用、用地利用の対価、建 設と操業時の環境側面など他の重要な要因を含んでいる。洋上発電用地は、毎年の高負荷因子に関して 発電コストを低減しているが、それを抱えた高い建設費用を差引勘定しなければならない。風力発電フ ァームの設計者は、当該の風力発電ファームの設計の諸問題の影響度を評価するために専門化した風力 エネルギー・ソフトウェアーを用いている。

5.風力発電の利用

更に知りたい人への情報: Category:Wind power by country 関連記事 Installed wind power capacity for prior years

設備化された風力発電の容量(MW)[31][32][33]

ランク 国名 2005 2006 2007

1 ドイツ 18,415 20,622 22,247

2 アメリカ合衆国 9,149 11,603 16,818

3 スペイン 10,028 11,615 15,145 4 インド 4,430 6,270 8,000

5 中国 1,260 2,604 6,050

6 デンマーク 3,136 3,140 3,129

7 イタリア 1,718 2,123 2,726

8 フランス 757 1,567 2,454

9 英国 1,332 1,963 2,389

10 ポルトガル 1,022 1,716 2,150

11 カナダ 683 1,459 1,856

12 オランダ 1,219 1,560 1,747

13 日本 1,061 1,394 1,538

14 オーストリー 819 965 982

15 ギリシャ 573 746 871

16 オーストラリア 708 817 824

17 アイルランド 496 745 805

18 スウェーデン 510 572 788

19 ノルウェー 267 314 333

20 ニュージーランド 169 171 322

21 エジプト 145 230 310

22 ベルギー 167 193 287 23 台湾 104 188 282

24 ポーランド 83 153 276

25 ブラジル 29 237 247

26 韓国 98 173 191

27 トルコ 20 51 146

28 チェコ共和国 28 50 116

29 モロッコ 64 124 114

30 フィンランド 82 86 110

31 ウクライナ 77 86 89

32 メキシコ 3 88 87

33 コスタリカ 71 74 74

34 ブルガリア 6 36 70

35 Iran イラン 23 48 66

36 ハンガリー 18 61 65

ヨーロッパのその他 129 163

アメリカ大陸のその他 109 109

アジアのその他 38 38

アフリカと中近東のその他 31 31

オセアニアのその他 12 12 世界の総計(MW) 59,091 74,223 93,849

年間風力発電量(TWh) /電気使用量総量(TWh)[34][35][36]

ランク 国名 2005 2006 2007

風力発電 全電力量 風力発電 全電力量 風力発電 全電力量

1 ドイツ 27.225 533.700 30.700 569.943 39.500 584.939[37]

2 アメリカ合衆国 4049.8 26.3[38] 4104.967 4179.908

3 スペイン 23.166 254.90 29.777 294.596 303.758

4 インド 661.64

5 中国 2474.7 2.70 2834.4 3255.9

6 デンマーク 6.614 34.30 7.432 44.24 37.276

7 フランス 547.8 2.323 550.063 545.289

8 英国 0.973 407.365 383.898 379.756

9 ポルトガル 35.0 4.74 48.876

世界総計(TWh) 16790[39]

現在の風力発電の産業化は、デンマークの製造会社クリアント、ヴェスタス、ノルドタンク、ボヌス 社の風力タービン製造から始まり1979からであった。これら初期の段階のタービンは現在の標準よ り小型で能力は20-30キロ・ワット程度だった。それ以来サイズも大きくなり風力タービンの製造 が世界中に広まった。 今日、数千もの風力タービンが稼動しており、合計した発電容量は73,904 MW に上り、その内ヨ ーロッパが 65%を占めている。 (2006年) 風力発電は2004年末で急速に伸長したエネルギー 源である。[citation needed] 2000年から2006年の間で風力発電容量は4倍以上となった。世界の風 力発電所建設の81%がアメリカ合衆国とヨーロッパで、その上位五カ国が占める割合は2004年の 71%から2006年には62%と新規導入が多少落ち込んできている。 2007年現在設備導入した発電容量の一番多い国はドイツであり、アメリカ合衆国、スペイン、イ ンド、中国が続いている。(上表参照のこと) 2010年までに、WWEA(世界風力エネルギー協会)が全世界の風力発電容量が160ギガ・ワ ットになるだろうと予測し[40] 2006年末の73.9ギガ・ワットから年率21%の成長を見込んで いる。 デンマークでは、電力の風力発電量が五分の一近くと、世界で最も高い比率であり、且つ風力発電総 量としても世界で五番目である。デンマークは風力発電のタービンの製造と利用に関して傑出しており、 1970年代に、既に国が将来、風力発電の使用率を50%にするとの約束をしている。 近年、アメリカ合衆国が他国よりも風力発電を送電網に付け加えるエネルギー政策を実行し始め20 07年には風力発電容量が16.8ギガ・ワットと45%も成長してきている。[41] テキサスは最大の 風力発電量の州となり、カルフォニア州を越えた。2007年には、テキサス州は既存容量の4.5ギ ガ・ワットに更に2ギガ・ワット追加できると期待されている。[42]アイオワ州とミネソタ州は2007 年末までに夫々1ギガ・ワット発電できると予想されている。風力発電量は2006年2月から200 7年2月で31.8%も増加した。[43] 1メガ・ワットの風力発電量の平均出力はアメリカ人の250 世帯の平均消費電力に相当している。アメリカ風力エネルギー協会の試算によると、風力発電は199 9年には全米の総発電量の0.1%だったのが2008年には1%を越えるであろうと報告している。 アメリカ合衆国エネルギー局の研究では、風力発電による電力供給量が全米の五分の三にまでになり、 洋上風力発電がその役割を担うと結論付けている。[44] インドは2006年で風力発電総量が6,270 MW となり世界の4位で、インドの総発電量の3% を占めている。2006年11月ニューデリーで開催された国際風力エネルギー会議ではインドの風力 発電産業に刺激を与えた。[40] インドのタミ・ナデゥ州(県)のムパンダール近くにある風力発電所建 設で寒村へ電力を供給することが可能になった。[45][46] インドのスズロン・エネルギー風力電気会社 ( Energy)は世界で最大の風力タービン製造会社の一つである。[47] 2003年12月に、ジェネラル・エレクトリック社が、アイルランドに世界最大級の洋上風力ター ビンを受注し、西海岸に設置し、浮体式を利用できるような計画である。 2005年に、中国が千メガ・ワットの風力発電所を Hebei に建設し2020年には完成させると 発表した。中国は2020年までに2万メガ・ワットもの再生可能エネルギーを発電する目標を掲げて いる。中国本土の風力発電で25.3万メガ・ワットまで作り出せると述べている。世界風力エネルギ ー協会と中国とで組織化された世界風力エネルギー会議が2004年に開催され、そこで中国の再生可 能エネルギー法が採択された。その後2005年には、中国政府が2020年の風力エネルギーの公式 な目標値を20ギガ・ワットから30ギガ・ワットに引き上げた。[48] メキシコは最近、風Ⅱ・風力プロジェクト(La Venta II wind power project)をメキシコの化石燃料 の消費量削減を進める上で重要なステップだと公表した。88メガ・ワットが最初の目標で、オアシャ カ州(Oaxaca)での電力必要量 の13%に相当する。2012年までには、そのプロジェクトで35 00メガ・ワットの風力発電を目指している。 他の国で著しく経済発展をしているブラジルは143ギガ・ワットの発電容量の可能性を持っている。 [49] 連邦政府がプロインファ Proinfa,[50]と呼ばれる優遇処置プログラムを創設し、2008年には再生 可能エネルギーを3.3千メガ・ワットまでに発電容量を増やし、その内、風力発電を1.422メガ・ ワット見込んでいる。そのプログラムは再生可能エネルギーをブラジル電力消費量の10%発電するこ とを睨んでいる。 南アフリカが、西ケープ地方のヴレデンダル東に位置する、コエケナープ町近くを流れるオリファン ツ川の西川岸に、風力発電所ステーション建設を計画している。そのステーションは、総出力が100 メガ・ワットを計画しているが、その2倍の容量でもって交渉を進めている。この設備稼働は2010 年までを目指している。 フランスは、2010年までに12.5千メガ・ワットを発電できる建設を目標にしていると公表し ている。 カナダは、2000年から2006年の間に風力発電の容量を急速に増やしてきた経験を持ち、総量 は137メガ・ワットから1.451千メガ・ワットに設備化をし、年率38%の成長をしてきている。 [51] 特に2006年は伸びが著しく、発電総容量が2005年末の684メガ・ワットの2倍にもなっ ている。[52] この成長は目標値設定と、経済的に優遇処置導入と政治的支援とが相俟って達成されたと 思われる。例えばオンタリオ州政府は田園地帯に跨る風力発電業を後押し出来るような「用地提供に基 づく契約基準」に基づいた利用料金体系を導入した。[53] カベック州では、「田園地帯が所有する電気 設備」が2013年まで2千メガ・ワットを追加して電力を消費するよう義務つけている。[54]

6.小型風力発電

この小型風力発電機は12ボルトのバッテリーに充電され、12ボルトの電力使用可能 発電容量が100キロ・ワット以下の小型風力発電機が発電所やファームや 小規模事業者で一般に使われている。他にはディーゼル発電機しか頼れない一 軒家の社会では、燃料使用のディーゼルと置き換えて風力発電を使うことが出 来る。電気料金の請求書を減らそうとし、零にしようと、若しくはクリーンな エネルギーを自分で事実上作り出すために、各人が発電機を注文し、購入して いる。 小型風力発電機は、ここ数十年の間に遠隔地域において蓄電池充電と結びつ いて、一世帯の発電用として使われてきている。益々利用が増加しているアメ リカ合衆国の消費者は、家全体に1~10キロ・ワットの範囲に電力網を接続 したタービンを注文してきている。1キロ・ワット以下の世帯用発電機ユニッ トは、今や幾つかの国々で機能し、アメリカ合衆国では各州で作動するように なっている。 電力網方式に接続された風力タービンは、電力網エネルギー蓄電を利用出来、 利用可能な時に、地元の発電所に注文したエネルギーに置き換えることが出来 る。電力網方式に接続していない利用者は間欠電力に順応し、若しくは蓄電池 を利用出来、光電池かディーゼル方式が風力タービンを補完できる。 市街地では風力エネルギーを予想し、大量に得ることは困難であり、小型発 電方式は未だ低出力の機器でしか利用出来ない。駐車場計器とか無線インター ネット・ゲートウェイのような機器が小さな蓄電池に充電する電気量で作動さ せるのに使われ、必要に応じて電力網に接続されて置き換えている。

7.経済性と実現性

ドイツでの風力タービン E70-4 の建設風景 7.1 成長性とコストの動向 世界風力エネルギー会議(GWEC)にて、2007年には20ギガ・ワットも の設備が建設されて風力発電容量が増加し、2006年の総容量74ギガ・ワ ットから94ギガ・ワットになっていることを数字が紹介された。風力タービ ンの供給者の輪作り(サプライヤー・チェーン)を強制したにも拘らず、市場 は拡大し続け、伸びの年率が2006年度に31~32%と見積もられている。 経済的価値に関しては、風力エネルギー部門はエネルギー市場において重要な 役割を担うようになり、2007年に新規に風力発電設備化の総額は250億 ユーロ又は360米国億ドルに達している。[55] 2004年には、風力発電のコストは1980年代のコストの五分の一にな り、コストの低減の傾向、つまり非常に大型なメガ・ワット級のタービンを大 量生産することで続くものと期待されている。[56] しかしながら2007年に は設備化費用はキロ・ワット当たり平均1.3千ユーロも掛かり、2005年 の1.1千ユーロよりも増加している。[57] 多くの発電事業所が大型の近代的 なタービン、塔、基礎を持った設備で発電をしている訳でなく、タービンを供 給するのに無理やり新型化を促進させてしまうと、高いコストを発生させる結 果を招いてしまうことになる。[58] 風力発電と水力発電の燃料コストは無視できるレベルであり、相対的に見て 保守点検費用も低い。経済的な側面から見ると、風力発電は低い限界原価であ り、一方、資本金のような高い固定資産費用が掛る。法人当たりの平均コスト は、タービンの建設費、送電設備の建設費、借地資金、投資家への配当(危機 管理費用も含む)、予測した年間発電量、その他の構成要素、設備の建設導入 時に予測した寿命の平均値(普通は20年以上)などから概算される。エネル ギーコストは、これらの前提条件に高く依存しており、発表されるコストの数 字は実質的には差異がある。英国風力エネルギー協会の報告書に依れば、20 05年のデータで、キロ・ワット当たりの陸上での風力発電平均コストは3. 2ペンスである。[59] 2006年に概算して求めた発電エネルギー単位当たり のコストは、アメリカ合衆国での石炭と天然ガスからの新規発電設備でのコス トとほぼ同等であり、風力発電コストがメガ・ワット-時間当たり55.80 米国ドルに対して、石炭のそれは53.1、天然ガスは52.5であった。[60] 数多くの研究の中で、他のエネルギー源のコストの評価があり、風力発電の「コ ストは他のコスト(以下参照のこと;Economics of new nuclear power plants, Clean , 及び Carbon capture and storage)よりは高いと述べている。 同様の手法で他の電気エネルギーへ応用している。現存する発電容量は埋没 費用(sunk costs)と云われ、発電を継続して行くかどうかの判断は先へ続く 限界原価に依るべきで あり、建設計画の初期に試算した平均値を用いるべき ではない。例えば、新規の風力発電の容量でもって見積もったコストは「新規 石炭発電所でのコスト」(それは新規の石炭発電での容量で計算する)よりも 低いかも知れないが、「旧石炭発電でのコスト」(現有設備での限界原価)よ りは高い場合がありうる。従って風力発電を増やすかどうかの選択は現存して いる発電所の容量の側面を含めた要因を考慮しなければならなくなる。 数多くの国々にある広範囲なエネルギー源を研究することで、公共の発電事 業体の中の70%~80%が風力発電を支援していることが分かった。[61] 7.2 理論的な実現性 大気の中で利用できる風力発電量は現在のエネルギー消費量よりも非常に 多い。現在までの[62]最も包括的な研究で、陸地でそして沿岸近くでの風力の 容量は72テラ・ワットであり、年間54千 MToE (100万トン石油等価 量)で、また全ての発電方式で供給されるエネルギーの現在使用量の5倍に相 当することを見出した。この風力の容量は80米上空で年間平均風速が秒速6. 9米での場所で計算している。直径77米に対して平方キロ・米当たり6ター ビン、つまり全世界陸地面積の凡そ13%に1.5メガ・ワット-タービン(陸 地は風力発電所のように他と両立させて利用が可能であるが)を前提にしてい る。実際の多くの障壁はこの理論的な容量に到達しようと打ち勝つことが必要 であると、この研究の著者が認めている。 風力発電開発の実際に存在する限界は、経済的因子と環境的因子によって設 定されるであろうし、利用しうる風力源はそれを発展させる全ての具体的方法 よりももっと大きいからである。 7.3 直接費用 風力発電所を建設したい場所の多くが電力消費地から遠距離に位置してい る。それは送電線と変電所建設に更なる費用が圧し掛かって来る。 風力エネルギーの一次発生的な直接コストが建設費としても燃料費は掛ら ず、発電の単位当たりの平均コストは、資本金と予想されるサービスの年間費 用のように重要な前提は少ない。一つの発電所が建設されてその限界原価は通 常キロ・ワット-時間当たり1セント以下である。[63] 資本金は建設費用で大 きな割合を占めるが(投資家によって理解されている)リスクが電力費の単位 当たりの建設費用に影響してくる。 風力発電の商業的な実行可能性もまた電力業者への価格枠に依存している。 電気料金は世界的には高く統制されており、多くの地域で生産コストを全て反 映しているのではなく、間接的な補助金か消極的な外面性にのみ導かれている。 消費者は将来の価格変動の危険性を回避するために長期的価格の契約を結ぼ うとしていて、それで風力発電が発展した段階での建設に対する安定的な見返 りを確保しようとしている。これらは、標準的な提供をする契約を成して、そ の結果そのシステム操作者は風力発電をある一定期間(恐らくある限度まで) 価格を固定して注文を出す可能性がある。即ちこの価格は他の電源に見積もっ た価格よりも違うかもしれないが、暗黙の補助金に合体させて等しくなるであ ろう。 電力料金が市場メカニズムに取り込まれている管轄区においては、全ての電 気事業者の収入は発電量が高い価格期間と一致した時よりも高くなる。風力発 電所の利益性は、その発電計画日程がこの期間と一致していればそれゆえに高 いものとなるであろう。もし風が供給の重要な部分を代表したならば、発電量 単位当たりの収入はもっとコストが掛かって低くなり、典型的に収入レベルに 置かれた低効率の発電所になって経済的派遣に置き換えられる。[citation needed] 市場で多くの風力発電所の出力が強力な一時的に相関関係を持つならば、これ は特別に考慮が必要となるであろう。経済的な側面についていえば、風力発電 セクターの限界収入が減少するかも知れない。 7.4 間接費用 エネルギーの生産の殆どの形態は幾つかの消極的な外面性、つまり生産者、 若しくは消費者が支払わないコスト、を作り出す。発電にとっては、最も重大 なことは公害を発生することであり、健康維持のための社会的な負担増、農産 物の生産性の低下、その他の問題である。更に付け加えるならば、化石燃料を 燃やした時に発生する二酸化炭素、グリーンハウスガスが地球温暖化に影響し たものへの対策費用が掛る。これらのコストを詳細に検討した研究は殆どなく、 総コストがどうなのか分かっていないのが実情である。他の重要な間接的費用 の解析では、化石燃料、公害の被災地の救済、先住民族の破滅、観光旅行等な どにまで到達できるように軍事費を含んでいる。 間接費用をもしも計上したとしたら、風力エネルギーは他の場合と比べて競 争力があるのかも知れない。風力エネルギーコストは一般的に技術の発展や大 型化が進めば下がってくる。風力エネルギーを推進する者は、間接費用と補助 金を他の発電方式に計上してみたら、風力エネルギーは各種の発電の中で最も 低いコストであると言及している。一方批判的な者は、補助金の要求レベル、 少量のエネルギー必要量、風力プロジェクトへの不確かな財政の還元が他のエ ネルギー源よりも劣ると主張している。風力エネルギーの間欠性や他の特性も また看過を高いレベルに引き上げ、コスト優位比率を変化させるであろう。 7.5 優遇措置

カルフォニア州アルタモント・パスの6千基の風力タービン 1980年代に税制優遇措置がとられて大いに拡大した ここの風力発電所はアメリカ合衆国で最大数を誇る、125メガ・ワットの発電容量[64] 各タービンの発電はたった10キロ・ワットというのが大きな障害である 多くの管轄区で風力エネルギーは、その発展を奨励するために財政的なもの や他の形での支援を受けている。他の発電形態と比較する場合に鍵となるのは 総コストである。議論する上での重要な点は二つである。一つは直接の補助金 と風力発電も含めた種々の電力源に対する外面性、他の一つはその魅力を増や すことや他の発電で受け取る補助金を賠償すること、若しくは重大な消極的な 外面性である。 アメリカ合衆国では、風力発電はキロ・ワット当たり毎に税金の信用貸しを 受け取れ2006年にはキロ・ワット-時間当たり1.9セントで、信用貸し は年間のインフレを調整している。他の税金の恩恵は原価償却を早めることで ある。アメリカ合衆国の多くの州がまた優遇措置を設けていて、資産税からの 免除や委任統治領への発注、そして「グリーン信用貸し」に対する追加的な市 場などである。 カナダやドイツのような国でも風力発電の建設に対して優遇 措置を施しており、具体的には風力発電に対する税金の信用貸しや最低発注価 格などで、送電網のアクセスを保証している(時々送電に関税を課している)、 この送電に課する関税は平均的な電気料金よりも高く設定する典型的なもの である。

8.環境に及ぼす影響

8.1 二酸化炭素排出と公害 風力発電は、動かすのに何も燃料を使わず、且つ発電する際には直接に関係 するような排出物はない。操業しても、二酸化炭素、二酸化硫黄、水銀、微粒 物質など化石燃料による発電とは違って大気汚染するものは作りださない。風 力発電設備は設備の製造時と建設・設置時にエネルギー源を使う。風力タービ ンの製造時には、鋼材、コンクリート、アルミニウム、他の材料が製造され、 輸送されるが、それらはエネルギー使用の工程があり、一般的には化石燃料か らの電力を使っている。この工程を逆算すれば、最初の二酸化炭素の排出は洋 上風力発電タービンの稼動までに約9ヶ月もの「払戻」となる。[65] 風力発電は保護と規制のために使った化石燃料発電の排出ガスの影響を受 けるに違いない。 風力エネルギーは二酸化炭素排出削減には寄与しないと例として時々俎上 に上る。なぜなら間欠性のある自然を利用した電力の出力手段ゆえに化石燃料 の発電設備のバックアップが必要だからだ。風力タービンは一つ一つの化石燃 料発電と置き換えることはしない。風力エネルギーが化石燃料使用量を減らし 且つ二酸化炭素排出量を削減しながら化石燃料による発電に置き換えること が出来るということは両義に取れないような場合である。[66] アイルランド国立送電網による研究報告書が「風力発電は化石燃料の消費量 を削減し、排出を抑えることに導く」、二酸化炭素排出の削減量はメガ・ワッ ト当たり二酸化炭素0.33~0.59トンであると見出したと述べている。 [67] 8.2 正味のエネルギー効率 実用性のある大型エネルギー源の全てが建造物を利用している。風力発電の 投資額の回収率(EROI) は分子に累計発電電力量、分母にタービンの建設費用 と保守点検費用の合算値である。風力発電の EROI は、5~35であり、平 均値は凡そ18である。EROI はタービンのサイズとの比例関係が大きく[68] そして大型の最新のタービンの値は35に近いかそれ以上である。[65] 1回の 建設でもって何度も発電して設備費を回収できれば正味のエネルギー利益が 得られる。建設に必要なエネルギーは数ヶ月の運転でもって元が取れる。 8.3 環境上の足跡 好ましくない化石燃料と原子力発電ステーションが大量の冷却水を循環使 用して蒸気を発生させているのに対して、風力発電は発電するのに水を使用し ないで済む。しかしながら、漏れ出た潤滑油若しくは水圧の掛った流体のター ビン羽根への流れ落ちが近くの回りに飛び散り、場合によっては飲料水の水域 を汚染しかねない。[69][70][71] 8.4 気候の変動 世界の陸地の10%台で高所での風力発電を利用したら地球の気象に検出 しうる変化が現れるという研究論文がある。[72] 特に市街地の近くで気流の 変化と風力の減衰で微細な気象変化が見られたという同種の論文もある。

英国のレディング、グリーン・パークにある風力タービンで周りの約千世帯に電力を供給 8.5 用地利用 複数のタービン間の干渉で惹き起こされる電力損失を少なくするために風 力発電所は公称発電能力メガ・ワット当たり凡そ0.1平方キロ米の緩衝地帯 を設ける必要がある。2百メガ・ワットの容量の風力発電所は概算して20平 方キロ米もの用地確保が必要になる。 森林地帯の伐採は多くの場合不必要である。農場経営者は風力発電会社に用 地をよく賃貸する。アメリカ合衆国では、農場経営者は一つのタービン当たり 年間2千~5千米国ドルの賃貸料を受け取っているのが多い。[73] 用地は農場 用や畜牛放牧用として未だ利用できる。用地の1%以下が設備の基礎やアクセ ス用道路に使われ、残りの99%は農場として使える。[74] タービンは中央旋 回軸灌漑などの技法を使えば不使用用地に定めることができる。アメリカ合衆 国北部のような山の尾根上に設置するには風力発電塔の回りの木々の伐採が 必要となろう。[75] タービンは一般的に市街地には設置されないことが多い。ビルが風を遮るし、 タービンが万一落下したことを想定して居住地から安全確保の距離にタービ ンを設置しなければならず、また土地代も高い。トロントにあるトロント水力 発電会社による湖畔実地プロジェクトが建設されている。 洋上風力発電所は陸地を使わず、また頻繁に航行する水路も避けている。多 くの洋上風力発電所は負荷の中心から相当離し、送電や送電損失に取り組んで 決めている。 農業地帯に設置された風力タービンは農薬空中散布の飛行状況に配慮する 必要がある。空中散布の飛行機がタービンの塔へ定まった距離には接近を禁止 されねばならないし、空中散布をする時期にはタービンの操業を短縮する合意 が必要になる。 タービンの設置場所は時々物議も醸し出す問題を持ってきている。それは自 然風景の美感に関するものであり、特に最上の設置場所が度々景観の佳い山や 海岸地域であることだ。[76] 8.6 野生動物への影響 鳥類 風力タービンに対する鳥類へ危険性は度々指摘されるが実際の被害数がそ れ程ではない。研究によると交通事故、狩猟、送電線、高層ビルディング、そ して特にクリーンでない電力を用いた結果の環境側面などの人類の諸活動の 結果で死ぬ数に比べれば無視できる程度であることが分かっている。例えば、 数百の風力タービンがある英国において年間一羽の鳥が死んでいるが、車と衝 突して死ぬ鳥は年間百万もある。[77] アメリカ合衆国においては、年間風力発 電タービンが年間7万羽も死んでいるが、自動車との衝突で57百万羽死に、 窓ガラスに衝突して死ぬ鳥が97.5百万羽に上る。[78] 雑誌の Nature の記 事に各風力発電タービンが年間平均0.03羽死んでいる、若しくは30ター ビン当たり1羽の鳥が死ぬと書いてある。[79] 英国王立鳥類保護協会(RSPB)が「風力発電所が鳥類にとって大きな危険性 はないと適切に判断できると入手した資料がある」との結論を出している。[80] 気候の変動のほうが野生動物にとってはより多くの脅威を持ち、それゆえに風 力発電所と他の再生可能なエネルギーを支持すると述べている。 渡り鳥の経路の幾つかは、特に夜間に飛ぶ鳥については余り知られていない。 ある研究で、渡り鳥は大きなタービンは避けて飛び[81] 、少なくとも低速の風 で日の出、日没でない条件だと解明されている。あるデンマーク人の2005 年の研究(Biology Letters 2005:336)によると、無線標識札を付けた渡り鳥が 洋上風力発電所の回りを飛んでいたら、1%以下の渡り鳥がデンマークのロン デにある洋上風力発電所を通り過ぎ、衝突しそうになったと報告している。只 その研究は低速の風で、日の出、日没でない条件での研究であった。 2004年にカルフォニア・エネルギー委員会が指揮の下でカルフォニアの アルタモント・パスで実地調査が行なわれ、沿岸風力発電タービンで死んだ鳥 は年間1766~4721羽[82] と(881~1300羽が猛禽であった)と の調査結果を提出した。アメリカ合衆国の東に沿岸発電や海岸線に近くでの風 力発電所を提案するレーダーの研究者は、渡鳴禽は現代の大きなタービン羽根 に近い範囲まで飛来することを報告している。 ノルウェーのスモラ(Smøla)島にある風力発電所は海鷲の群れへ影響を与 えていると、英国王立鳥類保護協会が報告している。タービン羽根が2005 年8月から2007年3月の間に海鷲10羽が死んだとの報告がある。その中 には2005年に巣立った雛5羽のうち3羽が含まれている。なわばりにいた 孵りたての雛16羽のうち9羽が見捨てられた。ノルウェーは白尾鷲にとって は掛替えのない地域として見做されている。[83][84] コウモリ類 沿岸そして海岸線近くに立つ風力発電所で沢山のコウモリが死に、そのコウ モリの群がりに悩んできている。[85]アメリカ合衆国東部の二つの場所で、丁 度6週間の内に沿岸発電所の63タービンに巻き込まれ死んだコウモリの数 が2千2百匹以上に達したと2004年の研究報告書が書いている。[86] この 研究は、幾つかの沿岸や海岸線に近い場所では特に地元のコウモリには危険で あり、更に研究が必要だと訴えている。渡りコウモリ種は特に危険であり、特 に移動期間(春ともっと大切なのは秋)は要注意だ。灰色コウモリ、赤色コウ モリ、銀色毛コウモリのような Lasiurines (学名)は北アメリカ地方では最 も被害に遭う種であるように思われる。これらの種の現在の生息数と、風力発 電所設置地域で巻き込まれてコウモリが死んだ数は殆ど分かっていない。海岸 から10キロ米離れた洋上風力発電所は、コウモリの生息数には影響を及ぼさ ない。 魚類 アイルランドにおいて、風力発電所の建設が公害を惹き起こした。それはロ ウフ・リーで起き、草木の全滅と魚の生息量の激減に関係すると不安をもたれ た。[87] 風力発電所の建設で離れて地滑りが起き、地元の川への流送土砂で数 千匹もの魚が死んだ。[88] 8.7 洋上風力発電の騒音 洋上風力発電所が沢山増え、設置場所がどんどん深海へ進んでいくので、タ ービンの機械的な動作による騒音と、その他に鉄塔構造体から海へ伝わる振動 が発生して海洋に棲む動物に非常に有害な影響を与えないだろうかという疑 問が持ち上がってくる。デンマークで行なった試験によると浅いところでの設 置で、数百米まで重要なレベルであることが分かった。しかし、深海に設置し た時の音はより遠方へ伝わり、ネズミイルカやセイウチよりも低周波音を使う 傾向のある鯨のような大きな生き物に衝撃を与えるようだ。最近の研究で、風 力発電所は80-110デシベルも大気に存在する低周波の騒音(400ヘル ツ以下)に付け加わり、それが鯨のコミュニケーションに使う髭とストレスの レベルと獲物の分布に影響を及ぼすことが分かっている。[89] 8.8 安全性 実用性規模のエネルギー変換系を稼動させると、全て危険性が付き物である。 風力発電タービンは、通常運転中、燃料の消費もなく、公害も惹き起こさない が、設備の建設と運転に関連して危険性が未だ潜んでいる。 風力発電設備の建設、操業、風力タービンの保守点検時に40人もの死者が 出ている。その死者の中には、作業者と公務員も含まれ、且つ風力発電の生活 環から起因する死傷者も含んでいる。[90][91][69] 殆どの死傷原因はタービン室内 で保守点検作業中に落下か、又は機械巻き込まれである。羽根の欠損や落下も また死傷者の中に含まれている。タービンに衝突した落下傘兵や小型飛行機が 風車の支柱に追突するなどによる公務員の死もある。この他の公務員の死は、 輸送車両の衝突事故や、高速道路を運行中の自動車運転手が視覚と影のチラつ きで前方不注意での交通事故などもある。[92] タービンが破損すると、タービンはバラバラになるか着火するまで勝手に回 転し続ける。最新の設計されたものは、空圧ブレーキ、可変式勾配付き羽根、 ナセルが風の外向きに接するように回る性能でもって停止出来る。タービンの 羽根は製造段階での欠陥によって自然と欠落することもありうる。落雷は共通 の問題であり、回転羽根に損傷を与え、且つ火災を惹き起こす。[69][93][94][95] 壊れた羽根の破壊片と氷片は数百米も遠くに投げ出される。故障したタービ ンで事故死した公務員は居ないが、召集で駆けつけて落下してきた氷片で負傷 した事例がある。数トンにも及ぶ堆積物の大きな塊が居住地、住民の所有地、 道路に落下して自動車や家屋に被害を与えた事故もある。[69] 度々起きる風車の火災は高い建造物であるために消火しにくく、燃え尽きる まで放置されることがある。その火災発生中に有害な油煙を発生し、炎中に含 まれる物質が広範囲に飛散し、場合によると2次災害(火災)を惹き起こしか ねない。幾つかのタービンから出火した火災で数百エーカーもの草木地帯を燃 やし尽くし、その火災の一つはオーストラリアの国立公園の8百平方キロ米 (20万エーカー)を灰にした。[69][96][97][98] 電気制御機器と安全サブシステムは、多くの異なる観点から指定した限度内 に安全運転できているかを決めるためにタービン、発電機、塔、環境を監視し ている。これらのシステムは、暴風、電気負荷の不安定、振動、他の問題があ った場合に臨時に停止することがある。再発若しくは重大な問題があるとシス テムをロックアウトして技術者が検査や修理するように知らせることができ る。更に殆どのシステムは電気制御が上手く行かなくても並列の受動システム を持っている。 風力発電提唱者で、且つ「風力エネルギーの時代が来る」という本の著者パ ウル・ギッペが、1980年-1994年の風力発電に起因する死亡率は0. 4人/テラ・ワット・時間と概算し.[99][100]、更に2000年末にはそれが0. 15人/テラ・ワット・時間まで下がると予測し、総累積発電量が多くなるた めに減少すると見た。 比較すると、水力発電が1969年-1996年の期間で死亡率が0.10 人/テラ・ワット・時間(死亡883人/テラ・ワット・各年)であった。この 数字は1975年に数千人が死亡したバンキアノ・ダム崩壊事故を含んでいる。 風力発電の死亡率が他の幾つかの発電方式のそれよりも高いが、その数字は小 さなサンプルに基づかなければならない点である。大きな単位で与えられる総 発電量のテラワット・時間当たりの死亡率の減少傾向は明らかである。 8.9 景観 風力発電タービンが騒音を発し、景観を邪魔するという過去の経験から地上 に林立する風力発電所設置に対して抵抗感を抱くのか。またタービンの近くに 住む住民はタービンの羽根の回転でもって生じる「影のチラつき」に苦情を申 し立てるであろう。風車は、厄介な光公害を作り出す飛行機の警告灯が必要に なる。これらの光に関する苦情は米国連邦航空局から出たもので、特定地域で はタービンには最小限の光量に抑えるよう要求したものである。[102]

小説ドン・キホーテ(1605年)で一躍有名になった スペインのラ・マンチャでの風車粉挽き小屋。国宝である。 以上述べた効果が風力発電所を設計する際に変化をもたらすであろうと考 えられる。 現在の大タービンは地上では低音レベルになってきている。例えば2006 年12月に、テキサスの陪審員団が FPL エネルギー社に訴えた騒音公害訴訟 でその FPL エネルギー社は測定した騒音は過大なレベルでないことを証明 した後に原告を退けた。 その騒音レベルは44デシベルで、風速16km/hr の風に相当するものであった。[103]

カナダ、アルベルタのマグラスでの風力タービン 新しい風力発電所はより大規模になり、大きな広さを持つタービンを持つよ うになり、以前に導入したものより乱雑感が少なくなってきている。 景観問題は洋上風力発電や沿岸風力発電の場合に「目に見える足跡」が他の 産業用発電所(それは産業が発展した地域に用地を確保した)と比較して極端 に大きいかも知れない点に、クローズアップしてくる。風力発電所は風光明媚 な、若しくは未開発工業地帯に向いているのかも知れない。沿岸から少なくと も10kmのところに洋上風力発電設備の建設がこの考え方を打ち消すこと になるであろう。 8.10 風力発電に反対する事例

ケープ(岬)風力発電所建設がケープ・コッド(鱈岬)から数マイル離れた 海岸に計画された後の2003年6月29日に、ある環境保護団体が建設反対 の狼煙を上げた。その地域に避暑用別荘の所有者であるアメリカ合衆国上院議 員のテッド・エドワードも含まれていた。[104]

アイルランド・ガルウェイで2003年10月16日、風力発電所の基礎工 事を開始したら、5百平方米の湿地帯が2.5kmも地滑りを引き起こしてし まった。その地滑りで無人農家や石塊製道路が壊れてしまった。近くの住民が 著しい環境側面を訴えた。[105]

カルフォニア州サンフランシスコの近くにあるアルタモント・パス風力発電 所のプロペラに1万羽の鳥が衝突して死んだと、多品種農場生物学センターが 発電所長に対して2004年1月12日に民事訴訟を起こしたとの報告があ る。[106]

2007年12月4日には、環境保護団体が南テキサスに風力発電所を二箇 所建設する提案を阻止するための民事訴訟を起こした。その判決は、湿地帯、 住民、絶滅危惧の種、渡り鳥に対して配慮するように求めた。[107]

2007年12月7日に、西マリーランドに風力発電所を建設する計画に対 して環境保護団体が異を唱えたと報じられている。[108]

2008年2月4日、英国・国防省によると風力発電のタービンがレーダー 捕捉範囲に空白を作るため、風力発電設備上空を飛行する飛行機がレーダー機 能を失うと発表した。飛行中隊長クリス・ブリードンは証拠資料を示しながら こう説明している「この障害は飛行機の飛行高さ、レーダーの高さ、タービン の高さとは無関係に起きる」。[109]

2008年2月21日付記事でスクープがこう報じている。「ニュージーラ ンドで風力発電所建設計画に環境保護団体が反対している」[110]

2008年4月16日付のピッツバーグ・ポスト新聞の記事には「三つの環 境保護団体と組織がペンシルヴァニア州北部のソメルセット・カントリーにあ るシャフェール山に風力発電所建設計画に反対することに立ち上がった。その 反対の理由は絶滅危惧の種として登録されているインディアナ・コウモリが風 力発電所で脅威に晒されるということである」がある。[111]

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参考文献(脚注)

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各国の風力発電建設計画

Database of projects throughout the United States Database of projects throughout the whole World Database of offshore wind projects in North America Wind Project Community Organizing - This free website includes dozens of current articles, links and resources about windpower, problem issues, community programs, case studies, lesson plans, etc. Altamont Pass Cape Wind (Massachusetts) Gharo Wind Power Plant in Pakistan Wind power in the United Kingdom Wind power in the United States Renewable energy in Scotland

風力発電

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用し、編集し直してある。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License. (詳細は 著作権 を参照)

風力発電(ふうりょくはつでん)は、風の力(風力)によって発電機を回して発電する方式である。 風力エネルギーは、再生可能エネルギーのひとつである。地球環境の保全、エネルギーセキュリティの確 保、経済成長の維持を同時に実現可能なエネルギー源として、世界各地で普及が進んでいる。

北海道に多くみられる風力発電用風車

ダリウス型風力発電機 目次

1 特徴 2 資源量 3 風力発電所 3.1 風車の型式 3.2 規模と効率 3.3 短い工期 4 導入規模の影響 5 寿命 6 温室効果ガス排出量 7 エネルギー収支と EPT 8 コスト 9 風力発電の状況 9.1 世界 9.2 欧州 9.3 日本 9.3.1 開発・普及状況 9.3.2 政策・導入目標量 9.3.3 政策的課題 10 技術的課題と対策 10.1 出力変動 10.1.1 短時間の変動 10.1.2 長時間の変動 10.2 強風 10.3 落雷 10.4 騒音 10.5 用地確保 10.6 発電量予測 11 社会的課題 11.1 鳥への影響 11.2 景観 11.3 電波障害 12 その他の問題 12.1 用地・道路造成 13 洋上風力発電 13.1 洋上水素製造構想 14 その他 15 脚注 16 関連項目 17 参考文献 18 外部リンク 特徴

風力発電は従来の集中型電源とは様々な点で異なる特徴を持つ。温室効果ガスの排出が少ないことと、将 来にわたって発電用燃料の調達リスク(コスト)が無いことが最大の長所であるが、その他の長所も無視で きない効果を持つ。一方、出力が変動するなどの欠点も有し、対策を要する場合もある。以下に長所と短所 を列挙する。 長所 主に小規模分散型電源としてのメリットと、燃料を必要としないこと、全体的な環境への好影響がある。

・ 二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の低減効果がある。 ・ 再生可能エネルギーを用いた発電方法の中では比較的発電コストが低く、事業化が比較的容易である ・ 太陽光発電と異なり、夜間でも発電が可能である。 ・ エネルギー自給率の向上が見込める。 ・ 離島など、燃料源の確保や送電コストの高い地域にて独立電源として活用できる。 ・ 小型のものは需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つ場合がある。 ・ 個々の設備が比較的小規模で、規模によっては個人でも運用可能である。 ・ 冷却水を必要としない。 ・ 小規模分散型の電源であるため、事故や災害など有事の際の影響を最小限に抑え、全体の稼働可能率を 非常に高くできる。 ・ 工期が短く、需要総量の変動に対応しやすい。また投資してから運転開始までの利子も少なく済む。 ・ 運転用燃料を必要としないため、物価変動要因(インフレなど)の事業リスクが少ない。 ・ 修理や点検が比較的容易であり、必要な時間も短くできる。 短所 ・ 主に出力電力の不安定・不確実性と、周辺の環境への悪影響の問題がある。特に設置場所の選定に注意 を要する。 ・ 風速の変動に伴って、出力の電圧や力率が需要と関係なく変動する。特に個々の風車で見ると変動は激 しい(ただし多くの風車がまとまると緩和される)。出力変動を参照。 ・ 夜間も発電するため、他電源の出力や需要の状況によっては夜間の余剰電力を増大させる。 ・ 現時点では既存の発電方式よりコストが高めである(ただし温暖化ガス排出量の差を考慮したコストは 低いとされる)。 ・ 風力原動機を設置する場所の風況が事業の採算性に大きく影響する。 ・ ブレードに鳥が巻き込まれて死傷する場合がある。鳥への影響を参照。 ・ 周囲に騒音被害を与える場合がある。 ・ 想定値以上の強度の落雷や強風などにより、破損する場合がある。 資源量

風力発電の資源量は大きく、開発可能な量だけで人類の電力需要を充分に賄えるとされる。日本でも軽視 できない量が開発可能であると推定されている。 世界全体では少なくとも約 72TW(テラワット)が風力によって発電可能とされる。これは世界全体の電 力需要量(14TW)の約 5 倍に相当する。日本では風況が悪く風力発電に向かないという意見が存在したが、 これは都市部に多い気象庁の観測点のデータで判断したためと言われている。実際には新エネルギー・産業 技術総合開発機構(NEDO)による風況調査などで設置有望地域が多く存在する可能性が示されている。現時 点での調査結果からは、日本の陸上で発電可能な量は日本の総発電量の 7~10%と言われている。この計算 結果は風車の高さの設定に大きく影響される。小型の高さ 40m の風車では風が弱いために 2~3%程度となる が、最近の大型の風車を仮定し、高さ 100m の風車で計算した場合では数倍になる(牛山など)。さらに洋 上(オフショア)発電まで考慮すれば、潜在的には 20~30%程度まで可能という指摘もある[1]。 風力発電所 風車の型式

ジャイロミル型発電機 (北海道稚内市) 電力用としては水平軸のプロペラ型が多く用いられるが、用途に応じて垂直軸のダリウス型、ジャイロミ ル型、サボニウス型またはその併用型を用いる場合もある。 また直線翼垂直軸型[2]、スクリューマグナス 風車(マグナス効果を利用)もある。 規模と効率 風力原動機はローター径が大型化するにつれて効率が向上し、採算性も向上する。これは地上付近では地 面や障害物等による摩擦があり、高所の方がより効率よく風を捉えられるのが大きな理由である。このため 発電事業用の風力原動機は大型化する傾向にある。 発電量はローターの直径の 2 乗、風速の 3 乗に比例する。効率は最高 59%である(ベッツの法則)[3]。1919 年、ドイツのアルバート・ベッツにより導き出された。 2005 年現在では、世界的に 2.5MW クラスが中心であり、5MW クラスの開発が進められている。 日本メーカーでは 1MW クラスが主流であったが、近年、2~2.4MW クラスのものが商品化された。また、 家庭への普及を狙って小規模の風力原動機を商品開拓する動きもある[4]。 短い工期

風力発電機の設置工事 風力発電機の設置工事に必要な期間(工期)は、規模や環境にもよるが、概して短い。1 基では通常 3~4 ヶ月とされる[5]。20 基程度では 10~11 ヶ月、50~100 基程度の大規模なウインドファームでも 1~2 年ほど の例がある。 デンマークの沖合 6-15km に 2MW 基を 80 基、合計 160MW を建設した実例では、実際のサイト での建設作業は約半年、製造から含めても約 1 年半で済んでいる[6]。これは他の大規模集中型発電所(原子 力や地熱など)に比べると格段に短い。これは需要構造の変化への対応や機器の更新を容易にする他、工事 期間中の利子も低く抑える効果がある。例えば、下記のような利益が得られる。

集中型発電所では工期が長い分、将来の需要増加の可能性を見越して常に多めに設備を建設してお く必要があり、また一基当たりの容量が大きい分、見込み違いによる無駄も多くなりやすい。しかし風 力のような小規模分散型電源を用いる場合は、比較的短期かつ小さい単位での増設や移設が可能である。 特に複数の異なる分散発電方式を併用した場合、需要状況によりきめ細かく対応し、集中型発電所の欠 点を補うことが可能である。

定期メンテナンスや修理に要する期間が短い(さらに多くの場合、個々の設備ごとに時期をずらして 行うことが可能である)ため、系全体の稼働可能率をその分高くできる。

大規模な風力発電所(ウインドファーム、WF)では、WF を複数の工区に分けて順番に建設・稼働開 始させ、意図的に将来の機器の更新時期をずらす場合がある。これによって機器の更新時期でも WF の 大部分は稼働を続けることができ、需要の変化などによる財務リスクも抑制できる。また風力発電機は 現在でも活発に技術開発が行われており、毎年のように性能が向上した機種が登場している。このため WF を段階的に建設することで、後で着工・稼働開始する工区になるほど、より高性能の機種を導入で きるメリットもある[7]。 導入規模の影響

小型風力発電機の例 街路灯の頂点に設置し太陽光発電と併用される。 風力発電は典型的な小規模分散電源であり、導入規模が増すほど全体的な信頼性と安定性が高まり、発電 コストも低減する。 風力発電設備は普及クラスのものであれば、稼働可能率自体は非常に高くすることが可能であり、 稼働可能率 95%以上の例も多数報告されている。これは一般にメンテナンス等に要する時間が短いこと による。たとえ個々の風車の稼働可能率が低くても、導入数が増えるに従って、全体でみた信頼性は急 速に増す。 風力発電設備が稼働不可になる要因としては、落雷、故障、定期保守、系統の故障、などがある。 英国における一例では、それぞれ原因の 48%、37%、13%、2%を占めたと報告されている。風力は変動す るため、個々の風車の稼働率は通常 40%以下となる。 異なる場所に分散して設置された風車同士は、距離が離れるに従って、出力変動の相関性が低くな る。特に速い(高い周波数の)変動においてこの傾向は顕著となり、その分、合計の出力は平滑される。 このため出力の平準化には、分散配置が有効である。 大規模化と分散配置により、大きな変動は残るものの、全体でみた変化の速度が遅くなり、電力網 によるサポートがより容易となる。オランダ内の海岸沿いの 6 地域でを対象とした調査では、数時間程 度の間隔で出力に大きな変動が見られるが、100 万 kW 規模の変動が起こる確率は、その規模の火力発電 設備が強制停止される頻度と同程度であると報告されている(ロビンスなど)。 小規模な導入量では、出力変動への対策コストは必要以上に高く算出される[8]。 系統連系する際に許容できる導入量の見積もりは、シミュレーションの前提条件の小さな違いで大 きく異なる結果となる。このため変動の許容量を必要以上に小さく見積もっている例も散見される[9]。 寿命

大型機における原動機部分の寿命は通常 20 年程度[10][11]とされる(機種や条件によっては 30 年とする場 合もある)。設計寿命は主に耐久性とコストのバランスで決定される。基礎部分の寿命は 50 年程度で設計 し、2 世代に亘って利用することが可能である。なお日本では減価償却資産の耐用年数が 17 年[12]とされる ことからこれを寿命の代わりに用いて計算する場合があるが、その分発電コストを 5%程度高く見積もるこ とになる。 寿命を迎えた原動機については、集中型発電所に比べ、更新で一度に止める風車の数が少なく工期も短い ため、発電所全体の稼働状況に与える影響は少ない。また風力発電技術は現在も改良が続いているため、よ り高性能な機種へ更新して競争力を高めたり、需要構造等の変化へ対応する観点からは、更新サイクルがあ る程度短い方がメリットがある。 温室効果ガス排出量

風力発電の発電量当たりの温室効果ガス(GEG)排出量は小さく、日本では 100kW のシステムにおいて約 25.9g-CO2/kWh などの計算例がある(g-CO2/kWh はライフサイクル中に排出される温室効果ガス(GEG)を二酸 化炭素(CO2)に換算し、発電量あたりに直した値)。この値は設置地点毎の風況や風車の性能に左右される。 近年の大型で高性能な風車ならば、10g-CO2/kWh を切る場合もあるとされる[13]。設置効果は 750kW 機 1 基が 500 エーカー(約 2 平方 km)の森林に相当するとも言われる[14]。 日本の電力の平均 GEG 排出量は 約 346g-CO2/kWh(発受電端、2001 年)と計算されている。例えば寿命 20 年で GEG 排出量が 25g-CO2/kWh の場合、CO2 ペイバックタイム(CO2 的に「元が取れる」までの利用期間、 CO2PT)は 20×(25/346)=1.45 年 となる。10g-CO2/kWh ならば約 7 ヶ月である。 エネルギー収支と EPT

「生産から設置・運用~廃棄に至るまでのライフサイクル中に投入するエネルギー」を「風力により生み出 すエネルギーにより取り戻す」までの時間を Energy Payback Time(EPT)、また寿命との比をエネルギー収 支(Energy Payback Ratio(EPR))という。原動機の性能および設置場所の風況に大きく左右されるが、通常 EPT は数ヶ月程度[15][16]とされる。これより、寿命を 20 年としてエネルギー収支は 20 以上と計算できる。大 型化などの技術改良のほか、リサイクルや基礎部の再利用等によって今後も改善が見込まれている。 コスト

風力発電は、新エネルギーの中で最も採算性が高いとされる。このため欧米では早くから積極的な導入が 進められ、事業性については実証済みである。大規模に導入されているデンマークにおいては、風力発電の コストは過去 20 年間で 80%以上削減され、今後 10 年間のうちに通常電力と競争可能なレベルまで低下する 見込みである[17]。温暖化対策コストまで考慮すると、欧州における風力は石炭火力より発電コストが一桁 少ないとされる[18]。 日本における単純な(温暖化対策などのコストを含めない)総発電量あたりのコスト は平成 13 年の時点で 10~24 円/kWh とされ、国内でも条件さえ良ければ実用水準に達する。平成 8 年の時 点で、100kW の小型機ながら 9-12 円/kWh を達成した例(山形風力発電所[19]:現在のたちかわ風力発電研究 所[20])などが報告されている。 2015 年度に日本一の風力発電施設となる見通しの風力発電を手がける中部 電力の子会社「シーテック」と伊賀、津両市出資の第 3 セクター「青山高原ウインドファーム」の発表によ れば、40 基で計 8 万 kW の発電能力を有する風力発電用風車と変電所の建設総費用は、約 200 億円と見込ま れている。 風力発電の状況 世界

世界の風力発電の導入量と予測(1997-2010 年)[21] 事業化が比較的容易であるため、世界的に大規模な実用化が進んでいる。 2006 年末時点での設備容量は、 世界全体で約 74,223MW(=7,422 万 kW=約 74GW)である。これは 2005 年から約 25%増加している。国別に見 ると、ドイツ (20GW) が世界の約 28%を占め、スペイン (12GW)、米国 (11GW)、インド (6GW) などが多く なっている。2010 年には 2006 年時点の倍以上、150~160GW が導入されると見込まれている[22]。 2006 年の新規導入量では、米国が最も多い 2,454MW を追加し、以下ドイツ (+2,233MW)、インド(1,840MW)、 スペイン (+1,587MW)、中国 (1,347MW)と続いている。欧州は 2010 年に定めていた 4,000 万 kW (40,000MW) の導入目標を既に突破しており、このペースならば 2010 年には京都議定書で定められた温室効果ガス排出 削減量の 3 分の 1 を風力発電だけで達成できると言われている。またインドや中国など、欧米以外の国の台 頭が目立っている[23]。 市場のシェアは 2005 年時点でデンマークの Vestas 社が市場の約 3 分の 1 のシェアを有し、以下スペイン の Gamesa 社 (17%)、ドイツの Enercon 社 (15%)、米国の GE 社 (11%) と続く。日本企業では三菱重工業の 約 2%が最大である[24]。 欧州 2006 年の欧州での導入量は 2005 年に比べ約 19%増加し、48027MW に達した。設備全体による年間発電量 は約 100TWh に達する見込みである。これは 2005 年の EU 全体の電力消費量の 3%に相当する。2020 年には EU の全電力需要の 13%を風力だけで賄える見込みである[25]。 政策的には、殆どの国が固定価格買い取り制 度(フィードインタリフ)制と呼ばれる制度を軸として普及を進めている(再生エネルギーの項を参照)。 普及の最も進んでいるデンマークでは既に国全体の電力の 2 割が風力発電によって賄われ、なおも普及を進 めており、2025 年には 5 割以上に増やせるとしている[26]。 日本 開発・普及状況 日本では欧米諸国に比して普及が進んでいない。日本国内での風力発電(出力 10kW 以上)の累計導入量 は 2007 年 3 月時点で約 1400 基、総設備容量は約 168 万 kW であり[27]、発電量は標準的な原発(100 万 kW 前 後)の数分の 1 である。2007 年度は前年度に比べて導入量が半分以下に落ち込んでいる。1 基あたりの出力 を見ると、2007 年度では設備容量 1MW 以上の機種が大部分を占めるようになった[28]。海外機の独擅場であ った 2MW 以上の大型機については、国産機の開発も進んでいる[29]。風力発電設備の大部分は輸入品であり、 2007 年度の国産機の割合は設備容量ベースで 16%[30]、基数ベースでも 23%である[31]。

布引高原パノラマ画像。33 機の風車が確認できる。(2007 年 04 月) 政策・導入目標量 2001 年 6 月に経済産業省の調査会がとりまとめた「新エネルギー部会報告書」では、2010 年度の導入設 備容量目標を 300 万 kW と定めた。環境省においてもこれにならい、2002 年 3 月発表の「地球温暖化推進大 綱」において 2010 年度までの目標を 300 万 kW とした。現状の政策では達成が難しく、各種の規制の見直し や、水深の深い場所にも設置できる浮体式洋上風力発電の技術開発を急ぐべきとの意見も出されている。ま た、RPS 法の導入目標数値の増大も検討されている。 日本国内の大型風力発電機メーカーには内外での需要増加に対応して増産し、輸出も積極的に行う例が見 られる[32]。業界団体では、2020 年には 760 万 kW(うち洋上は 140 万 kW)、2030 年には 1180 万 kW(うち洋 上は 560 万 kW)が導入可能としている[33]。また、今後の技術開発をより積極的に取り入れた値としては、 2030 年に 2000 万 kW(陸上 700 万 kW、洋上 1300 万 kW)の目標が検討されている[34]。 政策的課題 日本の現行制度(RPS 法)は、電力会社に一定比率での導入を義務付ける方式であり、固定枠(quota ま たは green certificate trading)制に分類される。この方式は導入初期には一定の効果を示すが、これま での各国での実績より、発電事業者側のリスクが高く、実質的な発電コストの削減効果も低いなど様々な欠 点が指摘されている[35][36]。このため風況が良いとされるイギリスなどでも普及が進まず、コストも高止ま りするなど、結果的に初期の目的を達成できていない[37]。また、日本の現行制度下では電力会社(送電会 社は)、電力調達コスト的に有利な自社既存電源を優先して風力発電電力購入に消極的な姿勢も見せており [38]、風力発電事業者の参入機会が電力会社が設定した枠や不定期な入札によって制限される例も見られる。 これに対し、近年採用が増えている固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度)では電力会社に電 力の買い取りを義務付けるほか、購入価格をも法的に保証することによって発電事業者の負うリスクを減ら す。市場原理に従って導入量を早期に拡大する一方で、後になって設置した事業者ほど購入価格を逓減させ ることで総コストを調整し、また機器製造事業者間での競争を促す。これまでの実績から、他方式に対して 導入促進とコスト削減効果が高いとされ[39]、現在では欧州の多くの国々が採用している[40]。このため日本 でもその導入を求める意見が出されている。[41] 風力発電など再生可能エネルギーは、既存の火力発電や原子力発電に比べて普及量が桁違いに少なく、価 格的競争力で不利なことなどから、何らかの形での助成や炭素税の導入などの施策を必要とする(再生可能 エネルギー#普及政策を参照)。この際、社会の理解を十分に得ることも必要とされる[42]。 技術的課題と対策

現在の風力発電には下記のような技術的課題が存在し、性能や安全性の向上を狙った開発競争の焦点とな っている。従来問題点とされてきた点の多くは実用上問題ない水準まで改良が進んでおり、今後も改善が見 込まれている(ロビンスなど)。近年は日本の企業や研究機関による日本の環境に適した風車の開発も活発 に行われている。 出力変動 風力発電の出力は昼夜問わず不随意に変動するため、需要への追従は基本的に他の調整力に富んだ電源 (火力発電、貯水式水力発電など)に頼ることになる。ただし実用上支障が無い程度まで、出力の平滑化や 負荷追従を行うことは可能である。また近年は発電量の予測技術も開発されている。

短時間の変動 風力発電は風速の変動に従って出力が需要と無関係に変動し、電圧や力率の変動をもたらす。この変動は 一般に太陽光発電に比べても大きい。特に導入量が小規模の場合は高い周波数成分を含む変動が多くなる。 しかし大規模に導入した場合、変動は大幅に緩和され、系統側の負担が小さくなる(導入規模の影響を参照)。 実際、デンマーク、ドイツ北部、スペインなどにおいて、信頼性を犠牲にせずに電力供給量の 20-40%を風 力で賄えることが実証されている[43][44][45]。また既存の系統に風力発電を追加する場合、新たなバックアッ プ電源を付加する必要は無いとされる[46]。ただし系統容量に占める風力発電の割合が大きい場合は、ある 程度の蓄電設備を加えることで系統全体で見た発電コストを低減できる場合もあるとされ、検討や実験が進 められている[47]。 個々の風車や WF 単位で出力を平滑化するには、下記のような対策が有効である。

大型のブレード自体の慣性力を利用する。風の強い時に回転数を動的に上げて運動エネルギーを蓄 え、風が弱くなった時に利用することで、発電機の出力を平滑化する。 一部の風車を調整力としてリザーブし、適宜解列などを行うことで WF 全体の出力を平滑化する。 電力を一時的に蓄電池に貯蔵する。 系統連系部(インバータなど)に力率の調整能力を付与する。 フライホイールによる慣性回転や油圧・ガス圧・空気圧(圧縮空気)による蓄圧によってエネルギ ーを貯蔵する。例えば圧縮空気を用いた研究例では、15%のコストの追加で稼働率を 34%から 93%に引 き上げられるという報告がある[48]。 局地的な気象解析を行い、リアルタイムで発電量を予測する(#発電量予測を参照)。 この他、風力発電で得られた電力から水素を製造する手法も研究されている[49]。 長時間の変動 風力発電の導入価値は、風の強い時間帯(季節)と電力需要の多い時間帯(季節)が重なる場合に相対的 に大きくなる。一般には、夜間や冬期の暖房需要の多い場合には他の電源に比較して特に導入価値が高くな る。マッチしない場合(他電源による夜間電力が既に余っている場合など)にはその分価値が低くなる。た だし他電源に比較すると、運転状態を保つために燃料を投入する必要が無い分、無駄は少ない。 強風 風力発電機の最大の敵は強すぎる風である。風力発電機には定格風速があり、定格を大幅に超える速度で 運転すると原動機の焼損やブレードの破損などを招く場合がある。そのため風速が過大な場合は、保護のた めに速度を抑制するか、場合によっては一時的に発電を停止する。

ヨーロッパやアメリカなどで使用されている風力発電は、その地域的な特徴(高緯度、内陸)から、 台風、サイクロンなどの暴風雨の影響を受けない。 インドなど中緯度以下の地域では、暴風雨にさらされることがある。たとえば、2003 年 9 月 11 日の 台風では、宮古島にあった 7 基の風力発電機を壊滅させた。これは最大瞬間風速が 74.1m/s に達し、設 計予想値を超えたためである。 日本での風力発電は、風が強い山間地に作ることがあるが、山間地の風は風向の変動が大きいため、 風力発電のブレードに対して予想以上の負荷をかけ、それが故障の原因になることもある。 このような強風や変動に対しては、下記のような対策が用いられる。

ブレードの角度(ピッチ)を変えて速度を抑制する(フェザーリング) ブレードまたは風力原動機全体を風に対して傾ける 風車と発電機を一時的に切り離す 設備全体(ポールなど)を物理的に強化する 騒音対策を施した上で、ダウンウインド型を採用する[50]。もしくは、強風時のみ風下にブレードを 向ける[51]。 強風に耐えうる型式の風力原動機を採用する 設置地域の風況の事前調査の強化

落雷 落雷による故障は風力発電が停止する大きな原因の 1 つである。ブレードへの落雷により、ブレードが物 理的に破壊される場合が多い。大型機ほど地上高が高くなるため、被雷しやすくなる。日本では、冬季の日 本海側にて被害が大きい。これは日本海側の冬の雷が、エネルギー換算で、夏の雷の 100 倍にも達するほど 強いためである。このため 1MW 機が実用化されるにあたり、設計変更と交換のために半年の期間を要した例 もある。近年は日本のメーカーにより、このような強力な雷に対応した機種が開発されている。台風対策と 相まって、セールスポイントになる例も見られるようになった[52]。 雷に対しては、原動機本体に避雷針を設置する、ブレードに導電性を付与する[53]、ブレードの強度を増 すなどの破壊対策の他、通信ケーブルの光ケーブル化や制御回路などへのアレスター装備など、制御部分へ の対策も行われる。また設置地域の落雷頻度を把握するには気象庁の年間雷雨日数分布図や電力中央研究所 の雷撃頻度マップが利用できる。近年は雷の観測・予報を専門とする企業も存在する。 騒音 風力発電機の騒音(風切り音)は一時期問題とされたが、近年は大きく改善され、通常は問題にならない 水準に達している。大きな改善点の 1 つが、ブレードの翼断面の改良である。昔の風車では航空機用の翼断 面を用いていたため、翼端周速が 100~120m/s に達し、騒音を大きくする要因となっていた。この翼端周速 は風車専用の翼断面(厚翼)を用いることで大幅に低下し、現在は大型機でも 60m/s 程度となっている。さ らに、多極式発電機の採用によるギアレス化(ギアノイズを排除)、ダウンウインド型からアップウインド 型への移行(タワー下流の乱れた気流を横切る音を排除)などの対策により、騒音は 200m~300m 程度離れ れば周囲の風音と区別がつかない水準(または「冷蔵庫程度の騒音」)にまで減少する[54]。 なお、騒音に は周波数が数十 Hz 以下の低周波騒音も含まれる。これは人間の耳には聞こえないが住宅の窓ガラスなどを 揺らすなどの影響を周囲に及ぼすことがあるため、計画段階から充分に注意する必要があるとされる[55]。 用地確保 風力発電機を 2 機以上設置する場合には、卓越風向に対して垂直方向に風車直径の 3 倍、平行方向に 10 倍程度の距離が必要である。ただし風車そのものが占有する面積は小さいため、畑や牧草地など、高さ方向 の余裕を必要としない場所に設置すれば土地の確保の問題は小さくなる。また近年は洋上発電も実用化され つつある。 発電量予測 風力発電の事業化にあたっては、事前の風況の調査が重要である。風は不随意に変動するが、その変動量 や変動速度、平均強度などは確率的に取り扱うことが可能である。風力発電の発電量もまた、確率・統計的 に取り扱うことができる。このため事前にある程度の量のデータを集めておくことにより、相応の確度で風 況や発電量の予測を行うことができる。日本では NEDO 等による風況調査の実施や予測技術の開発、実績デ ータの蓄積により、事前に長期間の発電量予測が可能になっている。また実際に設置するにあたっては、測 定用風車を用いた実測や、周辺地形に基づいたシミュレーションも利用される。年間総発電量の年ごとのば らつきは、10~15 年間に亘る調査により±2~10%程度と報告されており、風況調査を充分に行えば、長期 間でみた風況由来のリスクは事業上問題にならないことが多い(#参考文献の清水、飯田など)。 近年では計算機を用いた局地気象解析技術により、短時間の変動についても精度の良い発電量予測が可能 になっている[56][57]。既に商用サービスも開始されている[58][59][60]。近年は一定規模以上の発電事業者に対し、 発電量の予測を義務づける国もある(固定価格買い取り制度#併用される制度を参照)。 逆に風況調査に不備のある場合、当初見込みよりも発電量が少なく、赤字となる場合がある。有名な例で はつくば市が小学校などに設置した風車の発電量が予測より大幅に少なくなったケースがある。これは事前 の風況予測が甘かったのが原因であり、訴訟に発展した[61]。また、環境省からの交付金1億 8500 万円の返 還[62]を余儀なくされた。 発電量が予測を下回ったなどの事情で稼働継続に値しない状況になった場合やより高性能な機種に置き 換える場合などは、地中に打ち込んだ[63]部分の移動は難しいが、上部の風力原動機は基本的に移設や転売 が可能である。近年は欧州などで風力発電機の中古市場も拡大している[64]。

社会的課題 鳥への影響

Lattis 構造のタワーが林立する古いウインドファーム(カリフォルニア、Tehachapi Mountains)。 横桁に留まろうとして鳥類が誘引され、被害に遭う。

現在一般的な円柱状タワーを用いた風力発電所(オトンルイ風力発電所) イヌワシ、クマタカ、オオタカなどの希少猛禽類の幼鳥が、風力発電のブレード(回転羽根)に衝突(バ ードストライク)して死亡するケースがある。衝突死の多くは鳥が風車の回転範囲を通り抜けようとして、 回転翼を避けずに体が切断されることにより生じる。一説にはモーションスミア現象によって高速の羽根が 見えず、反対側の景色が透けて見えるため鳥が気づかないためといわれている。鳥類の目は人間に比べモー ションスミアが起こりやすいという実験結果が出ている。鳥類は生息地の喪失、繁殖の妨害、採餌地の喪失、 などの影響も受けているが、バードストライクは鳥の大群が通るルートの地域で多数発生していることがわ かっている。設置する場所や形態の選定さえ適切ならば、通常の送電線以下の危険性しか及ぼさないとの報 告もある(クローネ (Krone) 他)[65]。米国での年間平均バードストライク数は大型風車1基につき 2.19 羽(2001 年)ドイツでは同 0.5 羽である(すべて狐などによる死骸持ち去り数を調整済み)。米国でのバ ードストライク総数は年間約 10 億羽であるが、風車によるものは 0.01%であり、窓ガラスなどに比べてき わめて低い数字であるといえる。また英国王立鳥類保護協会も、「適切に設置された風力発電所は、鳥類に 大きな脅威を及ぼさないと考える」と表明している[66]。スペインの影響調査では風車設置場所を飛行する 鳥類の死亡率は 0.1~0.2%と報告されている。しかし、日本では風力発電は環境影響評価法(環境アセス メント法)の適用外であるため、事前の調査も事業者の自主努力に頼っている状態であり、不十分な環境影 響評価も多い。そのため都道府県によっては独自の条例により環境基準を設けているところもある(バード ストライクの項を参照)。 技術的には、下記のような対策が考慮される。

予め設置地域の鳥類の生息状況を調べ、影響の少ない設置場所や形式を選定する。 渡り鳥の接近をレーダーによって探知し、事前に回転翼を止めておく。 風車付近での猛禽類の採餌行為を無くすため、周囲にテープや案山子を配置する[67]。 同じ発電量でも、ブレードの回転速度が遅くなるように設計する(翼断面や発電機によって決まる。 騒音の項を参照) タワー(支柱)に鳥が留まらないよう、横桁や出っ張りをなくした円柱状の設計とする。 視認しやすい白色で塗装する。但し、目立たない色に塗装するという景観への配慮と矛盾する可能 性がある。 フラッシュ光により警戒を促す。但し、景観問題への配慮が必要となる。 景観 風力発電機の設置に当たっては、自然景観への影響が問題になる場合もある。例えば風光明媚な観光地な どでは、風力発電機の設置によって景観が変わるために反対される場合もある。一方、せと風の丘パークの ように、大型風車が林立する雄大な光景を新たな観光資源とする動きもある。この他にも、北海道幌延町の 風力発電所(28 基設置)は北海道をツーリングする若者に人気があり、若者を中心に観光資源としての認 識が増えつつある。 また環境省は風力発電を積極的に推進すべきものと位置付ける一方、自然公園への立地に関しては風力発 電施設設置のあり方に関する検討会[68]を設けるなどして審査基準の検討を行い、現時点では予防的立場か ら概して慎重な姿勢を取っている。これに関してはパブリックコメントなどで規制緩和を求める意見も多く 寄せられるなど、諸外国同様、議論の余地を常に残している。公的な設置基準としては、平成 16 年春に自 然公園法施行規則が一部改正され、同年 4 月 1 日より施行されている[69]。 米国と英国でのウインドファーム建設直後と 1 年後の周辺住民への意識調査ではいずれも、2 回目が景観 と騒音での反対が少なくなっている[67]。 電波障害 風力発電の風車が立てられ始めた頃から、電波障害への懸念が相当数存在していたが実際にはそれほどの 苦情は発生していない。電波障害となる要因には遮蔽障害と反射障害が考えられ、それぞれが回転翼部分と 静止しているタワーとその先端のナセル部分が影響する可能性がある。21 世紀現在の回転翼は全て繊維強 化樹脂製であり電波に対して有意な影響を与えないと考えられるため、TV 送信塔と住宅との間に設置しな い事やナセル筐体の反射を低減する等のナセルとタワーの影響を事前に確認することで解決できる。また、 ナセル内の発電機や付随する電力機器類からの電波ノイズの防止と遮蔽も考慮されなければならない[67]。 その他の問題 用地・道路造成 周辺地域と比較して高所に設置する場合には、立地点の整備や資材運搬、運用時のメンテナンスのために 林道を造成する必要があり、それに伴う樹木の伐採が問題視される場合がある。 洋上風力発電

洋上風力発電所(デンマーク、コペンハーゲン付近) 海上に風力発電機を設置することを洋上風力発電(オフショア風力発電、海上風力発電、海洋風力発電) と呼ぶ。地形や建物による影響が少なく、より安定した風力発電が可能となる。また立地確保、景観、騒音 の問題も緩和できる。 水深が浅い海域において海底に基礎を建て、大規模なウインドファームを建設する 例が各国で見られる[70][71]。 水深が深い場所のために、独立行政法人海上技術安全研究所やアイ・エイチ・ アイ マリンユナイテッドなどでは浮体式の基礎を用いる方式も研究している。なお、沖合での洋上風力発 電(沖合風力発電)については、電力の陸上への送電が困難であるため、発電した電気で水素を製造し、こ れを圧縮したり、有機ハイドライドに吸着させる等により輸送することが研究されており、これにより電力 変動の問題も解決されることが期待されている。また、科学技術政策研究所では、平成 14 年 3 月に「深海 洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案[72]」を発表しており、沖ノ鳥島周辺、三陸沖太平洋、 北海道北西沖日本海などを有望海域として、日本の全エネルギー需要を賄えるほどの大規模なシステムなど を提唱し、その経済性等の試算を行い、実用化が可能であるとしている。 洋上水素製造構想 九州大学の研究者を中心に、海上に巨大な風力発電所を造り、新しいエネルギーとして活用しようという 構想の研究会が発足している[73]。 構想によると、海上に蜂の巣状に浮かべた六角形のコンクリート構造物 (一辺 300 メートル)の上に、従来の 2 倍以上の風力を得る直径 100 メートルの風車を設置。送電線は使わ ず、得られた電力で海水を電気分解して水素を作り、その水素を船で陸に輸送して水素発電や燃料電池に使 うというもの。高強度の新素材や効率的な風車、水素貯蔵などの最新技術を組み合わせ、原子力発電所 1 基 分に相当する 100 万キロワット級の発電を低コストで目指している。新素材の耐用年数は 100 年以上とされ、 発電コストは原発の半分以下に抑えられる。六角形の浮体の内部を養殖場にすることで、漁業補償の問題も 解決できるとしている。資金の目途が付けば 6~7 年で技術確立が可能としている。 その他

風車の地図記号

2006 年 1 月に地図記号の 1 つとして風力発電所が追加された。[74] 脚注

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電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法 - RPS 制度について 新エネルギー 再生可能エネルギー 風力原動機 参考文献

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新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 風力発電導入ガイドブック(2005 年 8 月改訂) 新エネルギー財団 (NEF) 日本風力発電協会 米国エネルギー省 再生可能エネルギー研究所 (NREL) 世界風力エネルギー協会 (GWEC) World Wind Energy Association WWEA 欧州風力エネルギー協会 (EWEA) 電力系統利用協議会(ESCJ) 日本卸電力取引所(JEPX) カテゴリ: 発電 | 風力発電所 | 風 | 環境技術 | 再生可能エネルギー 最終更新 2008 年 7 月 24 日 (木) 22:58。 All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License. (詳細は 著作 権 を参照)