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霊長類研究 Res. 2: 76-88, 1986

講 座 サ ル の 分 類 名

(そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ)

岩 本 光 雄

“ほお ぶ く ろ ”を もつ サ ル た ち で, 英 語 で オ ナ ガ ザ ル 科 (前 回 に あ げ た 表1を 参 照) は 二 つ の 亜 科 に 分 け ら れ る が, 今 回 は そ の 一 方 の は cercopithecines と書 く。 次 の 亜 科 の サ ル オナガザル亜科全般について説明する。ただ し に く らべ て, よ り 雑 食 性。 こ の 亜 科 を 更 に 次 この亜科の中のマカクは前回に取り上げたので, の 二 つ の 連 に 分 け る。 こ こ で は オ ナ ガ ザ ル (広 義), マ ン ガ ベ イ, ヒ (a) オ ナ ガ ザ ル 連 Gray, ヒ (広 義) に つ い て の 説 明 が 主 と な る。 項 目 番 1821

号 は 前 回 か ら の 通 し番 号 と し た。 ア フ リカ の オ ナ ガ ザ ル の 類 で,【12】 オ ナ ガ ザ ル 属,【13】 コ ビ トグ エ ノ ン属,【14】 ア レ ン モ ン キ ー 属,【15】 パ タ ス モ ン キ ー 属 を

【8】 科, 亜 科, 連, 属 含 む。 次 の ヒ ヒ連 で は 下 顎 第3大 臼 歯 に, 科 (英 語 で family) は, 分 類 階 級 と して 基 本 い わ ば5つ 目 の 結 節 (hypoconulid) が は 的 な も の の 一 つ で あ る。 そ して 科 よ り 下 位 の 最 っ き り して い る の が 原 則 で あ る の に 対 し て, も 基 本 的 な 分 類 階 級 の 一 つ が 属 (genus) で あ こ の 連 で は そ れ が 退 化 し て い る。 る。 し か し 実 際 の 分 類 で は, 科 と 属 の 間 に 中 間 (b) ヒ ヒ 連 Burnett, 1828 の 階 級 を お く こ と が 多 い。 こ こ で も次 の 項 で, 前 回 取 り上 げ た マ カ ク (マ カ ク 属) と,

科 の 下 の 亜 科 (subfamily) と, 亜 科 と 属 と の 今 回 取 り上 げ る マ ン ガ ベ イ (【16】マ ン ガ ベ 間 の 連 (れ ん: tribe) と を 取 り 上 げ る。 亜 科 の イ 属) お よ び 広 義 の ヒ ヒ (【18】 ヒ ヒ属, 階 級 の 分 類 は よ く行 わ れ る が, 連 が 取 り 上 げ ら 【19】マ ン ド リル 属, お よ び 【21】ゲラ ダ ヒヒ れることは珍 しい。連の語尾 を動物の分類では 属) が, こ の 連 に 含 め られ る。 東 部 ~南 部 -iniと し, Tribe は 族 と も 訳 さ れ る。 ア フ リカ で 発 見 さ れ て い る パ ラ パ ピオ (パ ラ パ ピオ 属 Parap apio) の 化 石 頭 蓋 が, 鼻

【9】 オ ナ ガ サ ル 科 Cercopithecidae Gray, 口 部 が 適 度 に 突 出 し て い て, マ カ ク と ヒ ヒ 1821 と を つ な ぐよ う な 特 徴 を も って い る。

通 称 で の 狭 鼻 猿=旧 世 界 ザ ル (【5】 を 参 照) 2) コ ロ ブ ス モ ンキ ー 亜 科 Colobinae Blyth, で あ り, 英 語 で は cercopithecids と 書 く。 こ の 1875

科 の サ ル の 特 徴 を 一 つ あ げ る と す る と, す べ て 英 語 で は colobines と 書 く。“ほお ぼ く ろ ” が “し り だ こ ”を も っ て い る こ と で あ る。 次 の を も って い な い か わ り に, 複 雑 に く び れ た 胃 二 つ の 亜 科 に 分 け る。 を も って お り, 上 の 亜 科 の サ ル (特 に ヒ ヒ連

1) オ ナ ガ ザ ル 亜 科 Gray, の サ ル) に く らべ て 一 般 に よ り樹 上 性 で, よ 1821 り “葉食 ”を 好 む。 こ の 亜 科 は 次 回 に 取 り 上

Vernacular and Scientific Names of Part 2: , Mangabeys and Mitsuo IWAMOTO, Primate Research Institute, Kyoto University, Inuyama, Aichi 484, Japan 484 犬 山 市 京 都 大 学 霊 長 類 研 究 所

76 サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 77

げる。

【10】 オナガザル亜科 のサル (マカクを除 く) の分布 マカク以外 のオナガザル亜科 のサルは, サハ ラ砂漠以 南のア フ リカに広 く分布す るほか, マ ン トヒヒは, アラビア半島の南部に も生息 して い る。以 下, 分布 を くわ し く取 り上げ る余裕 が ないので, サハ ラ砂漠以南の アフ リカを, ここ だけの便 宜のために, 図10に 示 したよ うにざ っ と西部, 北部, 東部, 中央部, 南部の5地 域に 分けてお いて,【16】までの説明に役立て る。広 大な草原が広が るアフ リカの中で, 中央部の大 部分 と西部の南寄 りが, 森林の よ く発達 して い る地域で ある。

図11. ロ エ ス トグ エ ノ ン

て カ ニ ク イ ザ ル を さ して き た。

広 義 の オ ナ ガ ザ ル は, オ ナ ガ ザ ル 連 の サ ル の 総 称 と 言 え る。 【12】のオ ナ ガ ザ ル 属 に は 多 く の 種 が 含 ま れ, こ れ らが 狭 義 の オ ナ ガ ザ ル。 【13】 ~【15】の3属 に は そ れ ぞ れ1種 し か 含 ま れ て い

な い。 な お 【13】を, さ ら に は 【14】を, 時 に は 【15】を, そ れ ぞ れ 亜 属 と して 【12】の一 部 と み な し て い る こ と が あ る。

【12】 オ ナ ガ ザ ル 属

図10. サ ハ ラ砂 漠 以 南 ア フ リカの 便 宜 的 大 別 学 名=Cercopithecus Linnaeus, 1758: こ の 属 名 は, リ ン ネ が Simia と い う属 (【22】の末 尾 【11】 オ ナ ガ ザ ル (グ エ ノ ン) (図11~16) を 参 照) の subgroup の 説 明 に 使 った 用 語 の 一 日 本 で は, Cercopithecus (オ ナ ガ ザ ル 属) つ (Cercopitheci) を, 単 数 形 に して 採 用 した の 類 を さ して, オ ナ ガ ザ ル と 呼 ん で き た。Cer- も の。 copithecus が,“オ (尾)-サ ル ”を 意 味 す る か こ の 属 の サ ル の 分 類 は 難 し い。 近 年 は 約20種

らで あ る。 オ ナ ガ ザ ル に 相 当 す る 英 名 は “long- を 区 別 し, そ れ ら を8な い し9ほ ど の “群 ”に tailed monkey”で は な く, guenonで あ る。 grouping す る こ と が 多 い が, 細 部 は 学 者 ご とに は18世 紀 に フ ラ ン ス の Buffon が 紹 介 し どこか違っていると言ってもいいほどである。 た 言 葉 で, 仏 名 と して も 通 用 す る。 仏 名 に は こ の 場 合 の “群”は, 分 類 階 級 と して は 一 般 に cercopitheque と い う 言 い 方 も あ る。 独 名 と し は あ ま り 使 わ れ な い も の で あ る。Osman Hill て は ど う い う 事 情 か らか,“ ウ ミ ー ネ コ ”と い (1966) な ど は 上 種 (superspecies) と して い

う意 味 の Meerkatze が 古 く か ら 有 名。 な お 英 語 る が, Napier ら が 使 っ て い る 種 群 (species で long-tailed と い う 場 合 は, 主 と し group) の 方 が 適 当 で あ ろ う。 こ の 種 群 を Foo- 78 岩 本 光 雄

den は マ カ ク の 分 類 に 利 用 して い る (文 献 は (green monkey; G.=Grune Meerkatze; F. 【6】を 参 照)。 種 群 に は 面 倒 な の で 深 入 り し な い =singe vert) の 名 で も 呼 ば れ る が, こ れ は 狭

こ と に し, こ こ で は17種 を 区 別 し, 以 下 の 【12】 義 に は 下 記 の sabaeus を さ す。 次 の4亜 種 を 区 1~17で 概 説 す る。 以 下, Cercopithecus をC. 別 す る (種 名 の aethiops をa.と 略 記 す る)。 そ と 略 記 す る。 な お 岩 本 (【3】 を 参 照) が 趨 勢 を れ ぞ れ を 種 と み な す 式 の 分 類 も行 わ れ て い る。 予 測 して 採 用 し た 大 別 方 式 は, 予 測 に 反 し, こ 1) グ リ ー ンモ ンキ ー (ミ ド リザ ル) 学 名 れ ま で の と こ ろ は あ ま り 進 行 して い な い。 =C.a.sabaeus 亜 種 名 は, ア ラ ビ ア の 古 王 国 サ バ (シ バ) に ち な ん だ 「サバ 人 の 」 を 意 味 し 【12】1 サ バ ン ナ モ ンキ ー (図12) て い る の だ ろ う。 西 部 に 分 布。 ひ た い に 白 い バ savannah monkey 学 名=C.aethiops ン ドが 目 立 た な い。 手 足 は 淡 色。 尾 の 先 端 部 が

(Linnaeus, 1758) 黄 色 い。(図12の 上) 熱 帯 多 雨 林 を 除 く, サ ハ ラ砂 漠 以 南 の ア フ リ 2) タ ン タ ロ ス モ ン キ ー tantalus monkey: カ 全 域 に 分 布。 樹 上 で 採 食 して い る こ と は 多 い タ ン タ ロ ス は ギ リ シ ア 神 話 中 の 王 の 名。 学 名= が, こ の 属 の サ ル と し て は 例 外 的 に, 森 よ り も, C.a.tantalus 北 部 に 分 布。 次 の3) に 入 れ む しろ開けたサバ ンナ地帯に好んで生活してい て い る 分 類 も あ る。 ひ た い に 細 い 白 い バ ン ドが

る。 一 般 に 顔 が 黒 く, 体 毛 は 全 身 が 緑 色 が か っ あ る が, 両 外 則 に あ る 細 い 黒 条 で 白 い ほ お ひ げ て 見 え る。 体 色 か ら, 広 義 の グ リ ー ンモ ン キ ー と仕 切 ら れ て い る。 手 足 淡 色。 尾 の 付 け 根 の 下

面 に 白 い 毛 ぶ さ。 尾 の 先 端 部 は 白 っ ぽ い。(図12 の 中) 3) グ リベ ッ トモ ン キ ー 学 名=C. a.aethiops: エ チ オ ピ ア 方 面 に 分 布。 ひ た い の

白 い バ ン ドが, 白 い ほ お ひ げ と つ な が って い る。 白 い く ち ひ げ。 手 足 淡 色。 尾 の 付 け 根 下 面 に 白 い 毛 ぶ さ。 尾 の 先 端 部 は 白 っ ぽ い。(図12の 中,

13の 上 左) 4) ベ ル ベ ッ トモ ン キ ー vervet 学 名=C. a.pygerythrus: 東 部 ~南 部 に 分 布。 体 色 に 個

体変異が少なくないという。ひたいの白いバ ン ドが, ほ お の 白 い 毛 と つ な が っ て い る。 手 足 暗

色。 尾 の 付 け 根 下 面 に 赤 い 毛 ぶ さ が あ り,「 し り-赤 い 」 の 意 の 亜 種 名 は, こ れ に ち な ん だ の だ ろ う か。 尾 の 先 端 部 (の 少 な く と も 背 側) が 暗 色。 ア ン ゴ ラ, ザ イ ー ル 方 面 の も の は 顔 が ま っ黒 で は な く, 暗 い 肌 色 を し て い て, 俗 に mal- brouck と 呼 ば れ, こ れ を 別 亜 種 (C.a.cyno- suros) と す る こ と も あ る。

図12. サ バ ン ナ モ ン キ ー 【12】2 ブ ラ ッザ モ ンキ ー (ブ ラ ッザ グ エ ノ ン) 上 グ リー ン モ ン キ ー (図13の 上 右) 中 グ リベ ッ トモ ン キ ー (顔 は 左) と タ ン タ ロ ス モ ン キ ー (顔 は 右) de Brazza's monkey or guenon 学 名= 下 ベ ル ベ ッ ト モ ン キ ー (顔 の 左 は malbrouck) C.neglectus Schlegel, 1876 サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 79

も の が, と び 離 れ て コ ン ゴ の 方 に い る と 言 わ れ る。 標 本 が わ ず か に あ る だ け で, こ の 種 の 亜 種 と さ れ た り, 別 種 (C.dryas) と さ れ た り し て い る。

【12】4 サ ロ ン ゴ モ ン キ ー salongo monkey 学 名=C.salongo Thys van den Audenaerde, 1977 ピ グ ミー チ ンパ ン ジ ー調 査 隊 の 加 納 ・黒 田 が

ザ イ ー ル で 入 手 した 毛 皮 に も と づ き, ダ イ ア ナ モ ン キ ー に 類 似 の 新 種 と して 記 載 さ れ た。 そ の

あ と 黒 田 ・加 納 (Primates, Vol. 26, 1985) は, 必ず しもダイアナモンキーに特に近いとは考え に く い と 報 告。 ひ た い に 白 い 帯 が あ り, ほ お か ら胸にわたって白い点はダイアナモ ンキーに似

る が, 腹 部 と 尾 の 大 部 分 も 白 っ ぽ い な ど で 違 っ て い る。 こ の 属 の サ ル と して は, 比 較 的 小 型 と 図13. オ ナ ガ ザ ル い う。 上 左 グ リベ ッ ト モ ン キ ー 上 右 ブ ラ ッ ザ モ ン キ ー 下 左 ダ イ ア ナ モ ン キ ー 【12】5 ロ エ ス トモ ン キ ー (ロ エ ス トグエ ノ ン) 下 右 ロ エ ス トモ ン キ ー (図13の 下 右) ア フ リ カ 中 央 部 に 分 布。de Brazza は19世 紀 I'Hoest monkey or guenon 学 名=C.lho- 末にコンゴ河方面を探検 したイタリア人。 種名 esti Sclater, 1898 (実 際 の 発 行 は 遅 れ た ら し い は 「見過 ごされていた」といったところだろう。 と して, 1899と して あ る 場 合 も あ る。) 頭 冠 が 黒, ひ た い が オ レ ン ジ色, 口 部 と 長 い あ ロ エ ス トは1900年 頃 の ア ン トワ ー プ 動 物 園 長。 ご ひ げ が 白 と い う, 見 映 え の す る顔 を し て い て, 中 央 部 の 東 寄 り (ザ イ ー ル 東 北 部 方 面) に 分 布。 能 の 翁 の 顔 を 思 い 起 こ さ せ る。 尻 か ら, ふ と も ダ イ ア ナ モ ンキ ー に 似 る が, ひ た い に 白 い バ ン も に か け て, 白 い す じ が あ る。 ドが な い し, 胸 部 の 白 い 範 囲 もや や 狭 い。

【12】3 ダ イ ア ナ モ ン キ ー (図13の 下 左) 【12】6 プ ロ イ ス モ ン キ ー diana monkey 学 名=C.diana (Linnaeus, preuss's (or Cross's) monkey 学 名=C.

1758) preussi Matschie, 1898 西 部 の 南 寄 り に 分 布。 顔 が ま っ 黒 い の と対 照 プ ロ イ ス は 収 集 者 の 名 (Cross も 同 様)。 西 的 に, ほ お か ら 胸 に か け て の 毛 が 白 い。 背 は 暗 部 と 中 央 部 と の 境 あ た り (カ メ ル ー ン 西 部 ~ナ 赤 褐 色 が か り, 腹 部 と 尾 は 黒 い。 腰 か ら し り に イ ジ ェ リア 東 部) に 局 限 さ れ て 分 布。 ロ エ ス ト かけて細 い白筋があるのも特徴的。 ひたいにあ モンキーの白いほお毛を暗灰色に した感じのサ

る 横 な が の 白 色 の 帯 を, 月 の 女 神 の ダ イ ア ナ が ル で, ロ エ ス トモ ン キ ー の 亜 種 と み な さ れ る こ 持 っ て い る 弓 に み た て, そ の 名 が 考 え ら れ た。 と も あ る。 ロ ロ ウ ェ イ モ ン キ ー と 呼 ば れ る サ ル は 亜 種 (C. diana roloway) で, roloway は 現 地 語 と い う。 【12】7 フ ク ロ ウ グ エ ノ ン (図14の 上 左) ま た, 腰 か ら 尻 に か け て の 細 い 白 い す じ の な い owl-faced (or Hamlyn's) guenon 学 名= 80 岩 本 光 雄

図15. オ ナ ガ ザ ル 左 モ ナ モ ン キ ー, 右 ク ラ ウ ン グ エ ノ ン

行 家。 こ の 本 の 中 に, Monne と い う 名 で こ の サ ルが出てくるのだという。ひたいに淡色の横帯

が あ り, 口 部 が 肌 色 な の が 特 徴 的。 ざ っ と, 西

部 の 西 半 の cambelli. 東 半 の mona, 北 部 東 半 の denti, 中 央 部 東 半 の wolfi と い うふ う に 亜 種 が 区 別 さ れ, そ れ ぞ れ を 種 と み な して い る こ と 図14. オ ナ ガ ザ ル も あ る。 上 左 フ ク ロ ウ グ エ ノ ン 上 右 モ ナ モ ン キ ー 下 左 ノ ド ジ ロ グ エ ノ ン 【12】9 ク ラ ウ ン グ エ ノ ン (図15の 右) 下 右 シ ョ ウ ハ ナ ジ ロ グ エ ノ ン crowned guenon 学 名=C.pogonias Ben- nett, 1833 C.hamlyni Pocock, 1907 種 名 は ギ リ シ ア 語 で “ひげ の あ る ”の 意 だ が, 1907年 に ハ ム リ ン と い う 人 が 入 手 し, ロ ン ド このサルだけの特徴とは言えない。 モナモンキ ン動 物 園 に 展 示 さ れ た こ と で 知 られ る よ う に な ー に 似 る が, 頭 冠 正 中 に 矢 状 方 向 に わ た っ て 長

っ た サ ル で, ロ エ ス トモ ン キ ー と 同 様 の 地 方 に い 毛 ぶ さ が あ る こ と, そ の 両 側 や ほ お, そ して

分 布。 現 地 人 が, 夜 間 に 活 動 す る サ ル だ と して 胸腹部と四肢内側の毛がオ レンジ色がかった黄 (実 際 に は 昼 行 性) 呼 ん で い た 名 を, 英 語 に 訳 色 な い し淡 黄 色 で あ る こ と が, こ の サ ル を 独 特 し た の が owl monkey だ と い う。 そ の 真 偽 は と に し て い る。 北 部-中 央 部 の 西 半 (コ ン ゴ, カ に か く, 妙 に フ ク ロ ウ に 似 た 顔 つ き を して い る。 メ ル ー ン方 面) に 分 布。 そ の 分 布 の 西 端 部 に す 鼻 す じか ら うわ く ち び る に わ た り, 白 い す じが む も の (亜 種 と して の pogonias) は 胸 腹 部 が よ あ る の が 特 徴 的。 な お 南 米 の ヨザ ル を, よ く り オ レ ン ジ色 が か っ て い て, 特 に golden-bel- owl-faced monkey と も 呼 ぶ の で 注 意。 lied monkey (or guenon) と 呼 ば れ る。

【12】8 モ ナ モ ン キ ー (図14の 上 右, 図15の 左) 【12】10 デ ィ ア デ ム グ エ ノ ン mona monkey (or guenon); F.=(cerco- diademed guenon (or monkey): diadem pitheque) mone 学 名=C.mona (Schreber, も, 上 の 種 で の crown も, カ ン ム リ と 訳 せ る の 1774) で, 混 乱 を 生 じ な い よ う に 注 意。 学 名=C.mi- 1550年 に ロ ー マ で 出 版 さ れ た “Descriptio tis Wolf, 1822: 種 名 は 黒 っぽ い の 意。 Africae”と い う 本 が あ り, 著 者 は ア フ リカ の ラ こ の 種 と 次 の ノ ド ジ ロ グ エ ノ ン と に 関 して は,

イ オ ン の 意 の Leo Africanus で, ア ラ ビ ア 人 旅 体 色 に 地 域 変 異 が 少 な く な い こ と や, 亜 種 別 に サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 81

英 名 が 異 な っ た り す る こ と か ら, 他 の 種 と の 関 【12】13-16 シ ョ ウ ハ ナ ジ ロ グ エ ノ ン群 (C. 連 も 含 め て, 分 類, 通 称 が 人 に よ っ て 違 い が ち petaurista group) で あ る。 主 と し て 中 央 部 に 分 布。 一 般 に 頭 部 が 以 下 の4種 (シ ョ ウ ハ ナ ジ ロ グ エ ノ ン, ア カ 黒 い の と 対 照 的 に, ひ た い の 毛 が 淡 灰 色 な の で, バ ラ グ エ ノ ン, ア カ ミ ミ グ エ ノ ン, ア カ オ ザ ル) このひたいの部分がディアデムに見立てられて はオナガザル属の中では多少とも小型のサルで い る。 一 般 に 四 肢 は 黒 っ ぽ く, 胴 部 は 暗 灰 色。 あ る。 一 般 に, ひ た い に 左 右 に 細 長 く 黒 い バ ン 顔 の 皮 膚 が 青 味 が か っ た 暗 灰 色 な の で, よ く, ドが あ る。 顔 の 上 半 の 皮 膚 は ブ ル ー が か り, 口 ブ ル ー モ ンキ ー と 呼 ば れ る が, も と も と こ れ は 部 の 皮 膚 は ピ ン ク が か って い る。 い ず れ も 鼻 に ウ ガ ン ダ 方 面 の 亜 種 (C.mitis stuhlmanni) を ハ ー ト型 な い し三 角 形 の ス ポ ッ トを も つ。 か ら

さ して き た よ う で あ る。 だ の 背 側 は 褐 色 が か り, 腹 側 は, 一 部 の ア カ バ ラ グ エ ノ ン の 場 合 を 除 き, 白 色 ~灰 色。 地 方 変 【12】11ノ ド ジ ロ グ エ ノ ン (図14の 下 左) 異, 個 体 変 異 の た め に, し ば しば 外 見 上, こ れ white-throated guenon (or monkey) 学 らの 種 の ど れ な の か 断 定 で き な い こ と が あ る。

名=C.albogularis (Sykes, 1831) 西 部 の 南 寄 り に 西 か ら 東 へ, シ ョ ウ ハ ナ ジ ロ グ 東 部 と, 南 部 の 一 部 (東 南 部) に 分 布。 デ ィ エ ノ ン, ア カ バ ラ グ エ ノ ン, ア カ ミ ミグ エ ノ ン ア デ ム グ エ ノ ン に 似 る が, 頭 部 は そ れ ほ ど 黒 く が こ の 順 に 分 布 し, ア カ オ ザ ル は 中 央 部 に 分 布。 な く, し た が っ て ひ た い の デ ィ ア デ ム は 目 立 た

な い。 四 肢, 特 に 前 肢 は 黒 い が, 胴 部 は 一 般 に 【12】13 シ ョ ウ ハ ナ ジ ロ グ エ ノ ン (図14の 下 右) 灰色ない し褐色がかった灰色。 のどから胸にわ lesser white-nosed (or spot-nosed) guenon たり毛が白いのが特徴的。 先のディアデムグエ (or monkey) 学 名=C.petaurista (Schre- ノ ンで は 一 般 に こ の 部 分 は 淡 色 で は あ る が, 白 ber, 1774): 種 名 は ギ リ シ ア 語 で 「曲芸 士 」 と

く は な い。 デ ィ ア デ ム グ エ ノ ンの 亜 種 と して い い っ た 意。 る こ と も あ る。 な お, サ イ ク ス モ ンキ ー (Sy- 鼻 の 頭 に あ る ス ポ ッ トは ハ ー ト型 で 白 色。 ほ kes' monkey) と も 呼 ば れ る が, も と も と こ れ お, の ど の 毛 が 白 く, 胸 腹 部 の 毛 も 白 い。 ビ ュ

は ザ ン ジバ ル 島 の も の (亜 種 と して の albogula- ッテ ィ コ ヘ ル グ エ ノ ン (Buttikofer guenon or ris) を さ す。 monkey) は 亜 種 (C.petaurista buttikoferi)。

【12】12 オ オ ハ ナ ジ ロ グ エ ノ ン 【12】14 ア カ バ ラ グ エ ノ ン greater white-nosed (or spot-nosed) gue- red-bellied guenon 学 名=C.erythrogas- non (or monkey), putty-nosed guenon 学 ter Gray, 1866

名=C.nictitans (Linnaeus, 1766): 種 名 は ラ 俗 名 は 種 名 の 訳 に あ た る。 胸 腹 部 の 毛 が 赤 褐 テ ン語 で 「まば た き す る 」 の 意。 う わ ま ぶ た が 色 と い う こ と で そ の 名 が あ る が, 個 体 に よ っ て 肌 色 な の に 注 目 した の だ ろ う か。 は 赤 く な くて 灰 色。 鼻 の ス ポ ッ トは 一 般 に は ハ ディアデムグエノンやノドジログエノンに似 ー ト型 で, 色 は 黒 ~黄 色 が か っ て い た り, 白 か る が, 鼻 の 頭 に 卵 円 型 (な い し菱 型) の 白 色 な っ た り。 い し黄 白 色 の ス ポ ッ トが あ る の で 区 別 で き る。

こ の ス ポ ッ トの 点 で は, む しろ 以 下 の4種 (【12】 【12】15 ア カ ミ ミグ エ ノ ン 13~16) に 似 て い る。 西 部 の 南 寄 り ~中 央 部 の red-eared guenon 学 名=C.erythrotis

東 半 に 分 布。 Waterhouse, 1838: 種 名 は 「赤が か っ た 」 の 意。

鼻 の ス ポ ッ トは 赤 っぽ い 三 角 形 で, 耳 に, ま 82 岩 本 光 雄

た 陰 部 と 尾 の 下 面 に 部 分 的 に, 赤 い 毛 が 生 え て エ チ オ ピ ア 王 ケ フ ェ ウ ス (Cepheus) に ち な ん い る の も 特 徴 的。 鼻 の ス ポ ッ トと耳 の 毛 が 白 っ だ の だ ろ う。 ぽ い 亜 種 が あ る と い う。 中 央 部 の 西 北 半 方 面 に 分 布。 上 唇 が 淡 い ブ ル ー な い し青 白 色 な の が 特 徴。 ア カ ミ ミグ エ ノ ン

【12】16 ア カ オ ザ ル (図16の 上 左) に 似 て, ほ お の 毛 が 黄 色 い。 尾 は 赤 褐 色 ~灰 褐 red-tailed (or black-cheeked white-nosed) 色。 monkey (or guenon), redtail 学 名=C.as- オ ナ ガ ザ ル 属 の 中 で, こ の 種 と上 述 の4種 canius (Auderbert, 1799); Ascanius は ロ ー (【12】13~16) は 類 縁 が 強 い と 見 て, こ れ ら5 マ 神 話 に 出 て く る 登 場 者 の 一 人。 種 を と り ま と め, ク チ ヒゲ グ エ ノ ン群 (C.ce- 英 名 に 「ほお の 黒 い 」 と い う形 容 が あ る が, phus group) と して い る こ と も あ る。 誤解をまねきやすい。 ほおぼねあたりの毛は白

く, 黒 い の は そ の 下 方 の 口 の 外 側 あ た りだ か ら 【13】 コ ビ トグ エ ノ ン属, コ ビ トグ エ ノ ン で あ る。 特 徴 と さ れ る 「赤い 尾 」 は 変 異 に 富 み, コ ビ トグ エ ノ ン属 学 名=Miopithecus I. 赤 褐 色 ~茶 色。 事 実 上, ほ と ん ど 赤 く な い 場 合 Geoffroy, 1842: 属 名 は “smaller monkey”の

も あ る。 赤 い 場 合 で も, 先 端 部 は 暗 色。 鼻 の ス 意。 記 載 さ れ て い る の は コ ビ トグ エ ノ ン1種。 ポ ッ トは ハ ー ト型 で, 白 な い し 黄 色。 コ ビ トグ エ ノ ン (タ ラ ポ イ ン), talapoin monkey, dwarf guenon; F.=tala-

【12】17 ク チ ヒゲ グ エ ノ ン (図16の 上 右) poin (タ ラ ポ ワ ン:“仏 教 僧 ”) 学 名=Miopi- moustached guenon 学 名=C.cephus thecus talapoin (Schreber, 1774) オ ナ ガ ザ (Linnaeus, 1758): 種 名 は, ギ リ シ ア 神 話 中 の ル 属 の コ ビ トグ エ ノ ン亜 属 に 属 す る 種 と み な さ

れ て い る こ と も あ り, そ の 場 合 に は Cercopithe- cus (Miopithecus) talapoin と 書 か れ る こ と に な る。 中 央 部 の 西 の 方 に 分 布。 旧 世 界 ザ ル の 中 で, こ の 種 は 特 別 に 小 さ く, お と な に な っ て も

子 ザ ル と い っ た 感 じ の 大 き さ しか な い (意 外 に, 体 重 に つ い て の 記 録 が 乏 し い)。 実 際, 小 さ いだ け で な く, 比 較 的 に 頭 が 大 き く, 鼻 口 部 の 突 出 の 弱 い, い わ ゆ る 幼 児 型 の 特 徴 を も つ。 背 側 は

黄 緑 色 の, 腹 側 は 白 っ ぽ い 毛 に お お わ れ, ほ お の 黄 色 い 長 い 毛 が 目立 つ。 な お, 北 方 (カ メ ル ー ン, ガ ボ ン) の も の は, 体 毛 が よ り短 め, 腹

側 が よ り 暗 色, 耳 が よ り小 さ め, 上 唇 の 正 中 部 が 特 に 淡 色 で は な い な ど で, 別 種 で あ る と い う 見 方 が あ る が, 正 式 に は 記 載 さ れ て い な い。

【14】 ア レ ンモ ン キ ー 属, ア レ ン モ ンキ ー ア レ ンモ ンキ ー 属 学 名=Allenopithecus

図16. オ ナ ガ ザ ル と パ タ ス モ ン キ ー Lang, 1923次 の1種 の み。 上 左 ア カ オ ザ ル ア レ ンモ ンキ ー Allen's (swamp) monkey 上 右 ク チ ヒゲ グ エ ノ ン or guenon: ア レ ン は 米 の 哺 乳 類 学 者。 学 名 下 左 パ タ ス モ ン キ ー 下 右 同 (Elliot, 1913よ り) =Allenopithecus nigroviridis Pocock, 1907: サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 83

長 い 種 名 は 「暗緑 色 の 」 の 意。Cercopithecus に あ る地 名 の Mangabe に ち な ん で 呼 ん だ の が, (Allenopithecus) nigroviridis と し て, オ ナ mangabey と い う俗 称 の 起 こ りだ と い う。 分 類 ガザル属アレンモンキー亜属の種としているこ 学 上 は マ ン ガ ベ イ 属 (学 名=Cercocebus E. と も あ る。 Geoffroy, 1812: 属 名 は Cercopithecus と 同 様 中 央 部 の 東 の 方 に 分 布 し, 沼 沢 性 森 林 を 好 ん の,「 尾-サ ル 」 の 意) の サ ル で, マ カ ク 属, で 生 活 して い る と 言 わ れ る が, 生 態 は よ くわ か ヒ ヒ属 と と も に ヒ ヒ 連 (【9】を参 照) に 属 し て って い な い。 飼 育 例 も1945年 以 降, わ ず か しか い る。 な い。 オ ナ ガ ザ ル 系 で は あ る が, か らだ つ き が か らだ つ き は 比 較 的 ス レ ン ダ ー で, オ ナ ガ ザ よ り が っ し り し て い て, よ く マ カ ク 的 と形 容 さ ル よ り も大 き い。 鼻 の 両 側 (目 の 下 の 部 分) の

れ る。 顔 は 黒 っ ぽ い が, う わ ま ぶ た と 下 あ ご の く ぼ み が 深 い, 独 特 の 顔 つ き を して い る。 動 き 部 分 の 皮 膚 は 淡 色。 顔 の 上 縁 (ま ゆ げ の 部 分) が 活 発 だ が, 性 質 は 荒 くな い。 サ ル の 中 で も, に 水 平 線 に 細 く, 黒 い バ ン ドが あ り, そ の 両 外 表 情 を 比 較 的 よ く顔 に 出 す。 主 と して 中 央 部 に 側が耳の前の黒いバンドにつながっているのが 分 布 す る ほ か, 一 部 (Cercocebus atys) は 西 特 徴 的。 耳 が マ カ ク 的 に と が り 気 味 と い う。 ほ 部 の 南 寄 り方 面 に, ま た 一 部 (Cercocebus ga- お の 毛 が 豊 か。 体 色 は 背 側 が 黄 味 の あ る 黒 で, lelitus galelitus) は ケ ニ ア 南 東 部 の タ ナ 川 方 面 胸 腹 部 の 毛 は 灰 白 色。 に す む。 分 類 は 学 者 に よ って 一 定 して い な い。 以 下, Cercocebus をC.と 略 記 し, 2群5種 を 【15】 パ タ ス モ ン キ ー 属, パ タ ス モ ン キ ー 区 別 す る。 (図16の 下 左 と 下 右) パ タ ス モ ン キ ー 属 学 名=Erythrocebus 【16】1-3 シ ロ エ リマ ン ガ ベ イ群 (C.torqua- Trouessart, 1897: 属 名 は 「赤い サ ル 」 の 意。 tus group)

時 に オ ナ ガ ザ ル 属 の 亜 属 と さ れ て い る。 次 の1 以 下 の3項 に 述 べ る, 体 色 が 黒 く な い マ ン ガ 種 の み。 ベ イ 群 で, う わ ま ぶ た が 白 い の が 特 徴 的。 マ ン パ タ ス モ ン キ ー , hussar ガ ベ イ を さ す の に, シ ロ マ ブ タ ザ ル の 意 の 英 名 “white eyelid monkeys”が 使 わ れ る こ と が あ (「 軽 騎 兵 」) monkey, red monkey; G.= Husarenaffe 学 名=Erythrocebus patas る が, こ の 群 の 方 に は あ て は ま っ て も, 後 述 の (Schreber, 1774): patas と い う 言 い 方 は18世 群(【16】4-5) に は あ て は ま り に く い。 こ の 群 紀 中 葉, Buffon な ど に よ って 使 わ れ て 以 来 有 名 の マ ン ガ ベ イ は, 採 食 時 や 寝 る 時 以 外 は 地 上 に で あ る。 い る こ と が 多 い と い う。

西 部-北 部 方 面 に 分 布 し, 最 東 部 の ナ イ ル 方 面 の も の は nisnas の 名 (ア ラ ビ ア 語) で も知 【16】1, シ ロ エ リマ ン ガ ベ イ (図17の 左) られ て い る。 サ バ ンナ な ど の 開 け た 土 地 に す む white-collared mangabey; G.=Rotkopf- 地 上 性 の サ ル で, 四 肢 が 細 く, 体 毛 は 粗 く て か mangabe 学 名=C.torquatus (Kerr, 1792): らだ の 背 側 が 赤 褐 色, 腹 側 は 灰 白 色 の 独 特 の サ 種 名 は 「ネ ッ ク レ ス を つ け た 」 の 意。 ル。 鼻 部 の 両 側 の ひ げ が 白 く, そ れ が “軍隊 ひ 体 色 は 暗 褐 色 で (腹 側 は, よ り 淡 色), 特 に げ ”に 見 立 て られ て き た。 背 す じ か ら尾 に わ た っ て が 黒 っ ぽ い。 た だ し, 一 般 に 尾 の 先 は 白 い。 特 徴 的 な の は 頭 部 で, 頭

【16】 マ ン ガ ベ イ (図17) の 毛 が 赤 褐 色 で, 平 た い 帽 子 を か ぶ っ た 感 じ。 mangabey; G.=Mangabe; F.=mangabey, 顔 は 黒 く, 目 の 外 側 か ら耳 の 前 ま で と, あ ご ~ cercocebe: 18世 紀 に Buffon が こ の サ ル を マ ダ く び の 部 分 の 毛 が 白 い。 ガ ス カ ル 産 の もの だ と 勘 違 い し, マ ダ ガ ス カ ル 84 岩 本 光 雄

図17. マ ン ガ ベ イ 左 シ ロ エ リ マ ン ガ ベ イ 右 上 シ ロ カ ン ム リ マ ン ガ ベ イ 右 下 ス ー テ ィ マ ン ガ ベ イ

【16】2 ス ー テ ィ マ ン ガ ベ イ, シ ロ カ ン ム リ マ 【16】3 タ ナ リバ ー マ ン ガ ベ イ, ア ジ ル マ ン ガ ン ガ ベ イ ベ イ, ゴ ー ル デ ン マ ン ガ ベ イ

学 名=C.atys (Audebert, 1799) で 知 られ る 学 名=C.galeritus Peters, 1879で 知 られ る マ ン ガ ベ イ に は, 種 の 総 称 と し て の 通 称 が な く, 種 に も, 亜 種 ご と の 通 称 が 定 着 して い る。 種 名

次 の よ う に, 亜 種 ご と の 通 称 が 定 着 し て い る。 は 「帽子 (cap~helmet) を つ け た 」 と い っ た 種 名 の atys は, ギ リ シ ア 神 話 に 出 て く る 人 物 名 意 味 を も つ。Osman Hill に な ら って crested に ち な ん だ も の だ ろ う。 尾 の 先 は 白 く な い。 mangabeys の 総 称 で 呼 ん で い る こ と が あ る が, 1) ス ー テ ィ マ ン ガ ベ イ sooty mangabey: ミス と 言 うべ き で あ る。 こ の 種 を 含 め, シ ロ エ sooty は 「すす け た 」 の 意 で, 体 色 が 暗 灰 色 が リマ ン ガ ベ イ 群 に, crest は な い。 淡 灰 褐 色 ~暗 か っ て い る の を 形 容。 学 名=C.atys stys 体 褐 色 の 体 毛 を も ち, 顔 の 皮 膚 は 黒 い か 黒 ず ん で 色 は 灰 褐 色 ~暗 灰 色, 頭 の 毛 は 暗 褐 色。 顔 は 必 い る。 ず し も 黒 く な く, 肌 色 が か っ て い る こ と が 多 い。 1) タ ナ リバ ー マ ン ガ ベ イ Tana river (図17の 右 下) mangabey 学 名=C.galeritus galeritus 前 2) シ ロ カ ン ム リマ ン ガ ベ イ white-crown- 頭 部 に (し ば し ば 渦 巻 き 状 に) 長 い 毛 が あ る の ed mangabey 学 名=C.atys lunulatus 体 が特徴的。 分布が極限されていることもあって 色 は シ ロ エ リマ ン ガ ベ イ に 似 る が, 頭 の 後 部 に た い へ ん 珍 し い 種 類。

淡 色 の 毛 の 部 分 (し ば し ば 三 日 月 “luna”形) 2) ア ジ ル マ ン ガ ベ イ agile mangabey: の あ る の が 特 徴。(図17の 右 上) agile は 「敏捷 な 」 の 意。 学 名=C.galeritus な お, こ れ ら亜 種 を そ れ ぞ れ, シ ロ エ リマ ン agilis 上 の 亜 種 の 場 合 よ り前 頭 部 の 毛 が 短 か ガ ベ イ の 亜 種 と し て い る こ と が あ る。 い。 サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 85

3) ゴ ー ル デ ン マ ン ガ ベ イ golden-bellied とは中国の伝説に出て くる一種の野人。 洋語の mangabey:「 金 色 の 腹 の マ ン ガ ベ イ 」 の 意 で, 方 は, 古 い フ ラ ンス 語 (た と え ば “しか め つ ら” 和 名 は そ の 略。 学 名=C.galeritus chrysogas- を 意 味 す る baboue の 類) な い しイ タ リア 語 が 語 ter: 亜 種 名 は,「 黄 色 い 胸 の 」 の 意。 マ ンガ ベ 源 だ ろ う と い う。 フ ラ ン ス 語 で は cynocephale イ と して は, が っ し り した か らだ つ き を して い と も 言 う。 る。 一 般 に, 前 頭 部 の 毛 は 特 に 目 立 た な い。 胸 ア リス トテ レ ス の 博 物 誌 な ど, ギ リ シ ア 時 代

腹 部 が 上 の2亜 種 で は 白 い か 白 っ ぽ い が, こ の の 記 録 の 中 に 出 て く る キ ノ ケ フ ァ ロ ス (kyno- 亜 種 で は 黄 色 ~赤 褐 色。 kephalos) や, ロ ー マ の プ リニ イ らが ラ テ ン語

化 して 言 っ て い る キ ノ ケ フ ァ ル ス (cynocepha- 【16】4-5 ホ オ ジ ロ マ ン ガ ベ イ 群 (C.albi- lus) は “イヌ の ア タ マ ”の 意 で, ヒ ヒ を さ し た gena group} の だ と い う。 同 じ言 葉 で, バ ー バ リマ カ ク を さ

次 項 と次 々 項 の2種 は 体 色 が 黒 く (広 義 の し た こ と も あ る よ うで あ る。 現 在, cynocepha- black mangabey), ま ぶ た が 暗 色 の マ ン ガ ベ lus は 属 名 と して 皮 翼 目 の ヒ ヨケ ザ ル を さ す の に,

イ で, 頭 頂 部 な い し 後 頭 部 に 毛 ぶ さ を も つ こ と ま た, 種 名 と して は 後 述 の キ イ ロ ヒ ヒ を さ す の で も 特 徴 づ け ら れ る (従 っ て 時 に, crested に 使 わ れ て い る。 mangabey と 言 う)。 こ の 群 の マ ン ガ ベ イ は, ヒ ヒ () と い う 言 葉 は 広 狭 い ろ い ろ に

主 と し て 樹 上 性 の 生 活 を して い る と い う。 使 わ れ る。 広 義 の ヒ ヒ と して は, 以 下 に 述 べ る 【18】ヒヒ 属,【19】 マ ン ド リ ル 属,【21】 ゲ ラ ダ 属 【16】4 ホ オ ジ ロ マ ンガ ベ イ の3つ の 属 が あ げ ら れ る が,【18】 お よ び 【19】の white-or grey-cheeked mangabey; G.= サ ル を さ して ヒ ヒ と 言 って い る こ と も あ れ ば,

Mantelmangabe 学 名=C.albigena (Gray, 更 に 狭 義 に,【18】 の サ ル の み を さ して ヒ ヒ と 言 1850): 種 名 は 「白い ほ お の 」 の 意。 っ て い る こ と も あ る。 体 色 は 褐 黒 色 な い し黒 色 で, 肩 の 部 分 の 毛 は ヒ ヒ属 と マ ン ド リル 属 の サ ル は, 鼻 口 部 全 体 マ ン ト状 に 長 く, 灰 褐 色 味 を 帯 び て い る こ と が が 前 に 突 き 出 た い わ ゆ る ヒ ヒづ ら を して い る。 多 い。 ほ お に 白 い 毛 が あ る も の の, ご く短 い。 そ れ に く らべ ゲ ラ ダ 属 の 場 合 は, 口 部 は 突 き 出

ま ゆ の 部 分 の 毛 が 長 く, ふ さ 状 に な っ て い る。 て い る が, 鼻 部 は 相 対 的 に 小 さ く, 後 退 して い ま た, 後 頭 部 の 毛 も 長 く, 後 方 に 突 出 し て い る。 る。 尾 は マ ン ド リル 属 で ご く短 い。 他 の2属 で

は 比 較 的 長 く, 頭 胴 長 の3分 の2程 度 の 長 さ。 【16】5 トン ガ リマ ン ガ ベ イ (ブ ラ ッ ク マ ン ガ ど の ヒ ヒで も 性 差 著 し く, 雄 の 体 重 は 雌 の 体 重 ベ イ) の2倍 程 度 に 達 す る。 peaked or black mangabey 学 名=C. aterrimus (Oudemans, 1890): 種 名 は 「最も黒 【18】 ヒ ヒ属 い」。 頭の上に長い毛ぶさが突出しているのが 学 名=Papio Erxleben, 1777: 属 名 は 洋 名 か 特徴的。 ほおの長い毛が灰褐色味をおびている らの 造 語。 な お,【20】 の 項 に 注 意。 英 名 と して こ と が あ る の を 除 い て は, 全 身 ま っ 黒。 ま ゆ の は 単 に baboon (s) と 言 う か, common, typi- 部 分 の 毛 も, 肩 の 部 分 の 毛 も, 特 に 長 く は な い。 cal, or savannah baboon (s) と い うふ う に, い ろ い ろ な 言 い 方 を す る。 【17】 ヒ ヒ (図18, 19) ア フ リカ に 広 く 分 布 し, 全 部 を Papio hama- baboon; G.=Pavian, Babuin; F.=babou- dryas と して1属1種 に し て は と い う意 見 が あ

in, papion; C.=狒 狒 る が, こ こ で は 従 来 の 方 式 で5種 に 分 け 紹 介 す ヒ ヒ と い う 言 い 方 の 語 源 「狒狒 」 は, も と も る。 そ れ ら5種 を [1]~[5] と して, こ こ で 一 86 岩 本 光 雄

応の比較 ・説明を した上, 分類名 につ いて はあ : ヒ ヒ な い し ト キ の 頭 を し, か らだ は 人 間 の 姿)

との【18】1-5で 取 り上げ る。以下, Papio を に ち な ん で, 英 語 で Thoth baboon と も, sac-

P.と 略記す る。 red baboon (神 聖 な ヒ ヒ) と も 呼 ん で き た。 学

5種 の うち, 最 も独特 なのは [1] マ ン トヒヒ 名=P.hamadryas (Linnaeus, 1758) で あ る。 エチオ ピア東部方面 とア ラビア南端部

に分布。 後述 のよ うに木 の精 にちなむ名が与 え 【18】2 ギ ニ ア ヒ ヒ

られて いるものの, 実 際には森 の乏 しい荒 れ地 Guinea baboon; G.=Guinepavian, roter (特 に崖地) にすんで いる。 おとなの雄 が, 顔 Pavian 学 名=P.papio (Desmarest, 1820) の両側 か ら背 中にかけて灰色 ない し淡灰褐 色の

かな り長 い毛 を もつ ことか ら (逆に腰 のあた り 【18】3 ア ヌ ビ ス ヒ ヒ (図18の 上 右) の毛 は短 い), マ ン トヒヒと呼ばれ る。 ヒヒの Anubis baboon, olive baboon; G.=grau-

中で は, 顔 の皮膚 の色 が肌色なの も特徴的。 以 er oder gruner Pavian 学 名=P.anubis

下の4種 ([2]~[5]) では, 顔が黒 い。また, (Lesson, 1827)=P.doguera (Pucheran & これ ら4種 が, ニホ ンザルな どマカ クの場合 に Schimper, 1856) 通 称 に も 種 名 に も doguera

類 した複雄群 を作 るの に対 して, マ ン トヒヒは が よ く 使 わ れ て き た が, 現 在 こ の 用 語 は エ チ オ

ハ レム型 の単雄 群を作 る。 ピ ア 方 面 の 亜 種 を さ す の に 使 う。Anubis は, [2] ギニア ヒヒの分布 は比較的狭 く, 西 アフ エ ジ プ ト神 話 に 出 て く る 死 者 の 神。 リカのギニア方 面。 体色 (毛色) は全身が赤褐

色系。 マ ン トと形容で きるほどで はな いが, 雄 【18】4 キ イ ロ ヒ ヒ

のおとなで背中の毛が長 い。 yellow baboon; G.=gelber Babuin 学 名 [3] ア ヌ ビス ヒヒ, [4] キイ ロヒヒ, [5] チ =P.cynocephalus (Linnaeus, 1766) ア フ リ

ャクマ ヒヒの3種 は, サハ ラ以南 のア フ リカの カ大地溝帯より西のザ ンビア方面にすむものは 大部分 (中央 アフ リカの熱帯 多雨林 を除 く) を ヒ ヒ と し て は 小 型 で, こ れ をP.kindae Lonn-

3分 す るよ うな感 じで, 順次北 か ら南へ と分布。 berg, 1919と し て 別 の 種 に す る こ と が あ る。 [3] アヌ ビス ヒヒの体色 は暗緑色 (“オ リー ブ Kinda は 最 初 の 標 本 が 発 見 さ れ た 場 所 で, ザ イ 色 ”) 系で, この種で も, 雄 のお となで背 中の ー ル 南 部 に あ る 地 名。 毛 が長め。 顔 の両側 の毛 も長めなので, 顔 が比 較的丸 い感 じに見 え る。[4] キ イロヒヒの体色 【18】5 チ ャ ク マ ヒ ヒ は黄色がか った淡褐色 ない し淡灰色で, 特 にほ chacma baboon; G.=Barenpavian, Tscha- お の毛が淡色 なのが 目立つ。 ヒヒとして は比較 cma: ど う い う わ け か, 英 名 に は pig-tailed 的 ほ っそ りしたか らだつ きを して いる。 アフ リ baboon と い う 言 い 方 も あ る。 英 仏 で 単 に chac- カ南部 に分布 す る [5] チャクマ ヒヒは, す ぐ北 ma (独 で Tschacma) と も 言 い, こ の 名 で 比 較

の [4] キイ ロヒ ヒよ りも [3] アヌ ビス ヒヒに似 的 古 く か ら よ く 知 ら れ て い る。Sclater, 1900に

て, が っしり したか らだつ きを して いるが, 体 よ る と, も と も と は ホ ッ テ ン ト ッ ト語 (tscha- 色 は暗褐 色系で, ほお の毛が [3] の場合 ほど長 tikamma, t'chatikamma) だ と い う。 学 名=P. くはな い。 ursinus (Kerr, 1702): 種 名 は ク マ の 意 の ラ テ ン 語 ursus に 由 来。

【18】1 マ ン トヒヒ (図18の 上左) Hamadryas baboon; G.=Mantelpavian: 【19】 マ ン ド リ ル 属 Hamadryas はギ リシア神話 に出て くる木の精。 学 名= Ritgen, 1824: ヒ ヒ 属 の 中 古代 エジプ トの壁画 に見 られ る トー ト (Thoth の 亜 属 と す る 分 類 も 行 わ れ て い る。 な お,【20】 サ ル の 分 類 名 (そ の2: オ ナ ガ ザ ル, マ ン ガ ベ イ, ヒ ヒ) 87

の 項 に 注 意。 ヒ ヒ 属 (Papio) の も の を savan- たずさわる商人が伝えたものとしてあげている nah baboon (s) と 言 う の に 対 して, こ の 属 の の が 最 古。man+drill で, man は 英 語 の ヒ ト,

も の を forest baboon (s) と 言 う こ と が あ る。 drill は ヒ ヒ を さ す 現 地 語 と い っ た 説 明 も 見 か け コ ン ゴ 方 面 熱 帯 降 雨 林 の, 主 と して 林 床 部 で る が, ど ん な も の だ ろ う。 学 名=Mandrillus 生 活 して お り, 分 布 は 狭 い。 尾 が ご く短 く, 外 sphinx (Linnaeus, 1758): 種 名 は ギ リ シ ア 神

見 上 は 数 セ ン チ メ ー トル し か な い。 以 下 の2種 話 に 出 て く る 怪 物 の ス フ ィ ン ク ス に ち な む。 (【19】1-2) が 区 別 さ れ る。 カ メ ル ー ン 南 部 か ら ガ ボ ー ン方 面 に 分 布。 お となのオスの顔色が鮮やかなので有名。 鼻筋か

【19】1 マ ン ド リ ル (図18の 下 右) ら 鼻 先 ま で は ま っ か で (皮 膚 に 毛 細 血 管 が 発 達 mandrill; G.=Mandrill: マ ン ド リ ル と い う し, 血 の 色 が す け て 見 え る の で あ る), そ の 両 言 い 方 の 起 こ り は よ く は わ か って い な い。 記 録 側 は ブ ル ー の 縞 模 様 に な って い る。 メ ス の 顔 色 と して は18世 紀 に Buffon が, 西 ア フ リ カ 貿 易 に は 黒 い。 生 ま れ た 時 は, 顔 は 肌 色。 耳 は お と な

図18. ヒ ヒ (い ず れ も オ ス) 上 左 マ ン ト ヒ ヒ, 上 右 ア ヌ ビ ス ヒ ヒ 下 左 ド リ ル, 下 右 マ ン ド リ ル 88 岩 本 光 雄

に な って も 肌 色 の ま ま。

【19】2 ド リ ル (図18の 下 左) drill; G.=Drill; F.=drill 学 名=Mand- rillus leucophaeus (F.Cuvier, 1807): leuco-

phaeus は 「白-暗 色 の 」(つ ま り灰 色?) の 意 だ が, 何 に ち な ん だ も の だ ろ う。 カ メ ル ー ン 西 部 ・ナ イ ジ ェ リア 東 部 方 面 に 分 布。 マ ン ド リル と違 っ て, オ ス で も鼻 部 が 黒 く, 耳の皮膚も黒い。あごからほおにかけて白い毛 が あ る の が 特 徴 的 で, そ の あ た り の 皮 膚 に 斑 点 状 の 赤 が あ る こ と が あ る。

【20】 ヒ ヒ属 と マ ン ド リ ル 属 の 学 名 に つ い て の 補 足 ヒ ヒ属 の 学 名 と して の Papio は, 1777年 に 図19. ゲ ラ ダ ヒ ヒ (オ ス) Erxleben が 使 い 始 め た もの で あ る。 と こ ろ が そ

の 前 に す で に Muller が, これ を マ ン ド リル 属 の (「 裸 の 胸 の ヒ ヒ 」), Dschelada, Blutbrust-

学 名 と し て 使 っ た こ と が わ か り, こ の 使 い 方 に pavian (「 血 色 を した 胸 の ヒ ヒ 」); エ チ オ ピ 優先権があることになった。 用語委員会によっ ア 語 (ア ム ハ ラ語)=gelada, tschelada 学 名 = gelada (Ruppell, 1835) て 慎 重 に 検 討 が 行 わ れ て お り, い ず れ, 次 の い エ チ オ ピ ア 西 北 部 の 高 地 に 分 布。 口 部 は 大 き ずれかに決定されることになる。混乱を避ける た め, 委 員 会 が 特 例 と して, 現 在 普 及 し て い る い が, 狭 義 の ヒ ヒ と 違 っ て 鼻 が 小 さ く, 後 退 し

(1)の 方 を 採 用 す る 可 能 性 も 残 っ て い る。 ているのが特徴的。 胸に毛のない赤い皮膚の部 (1) ヒ ヒ属=Papio Erxleben, 1777; マ ン ド 分 が あ って, 独 名 に こ れ に ち な ん だ 呼 び 方 が あ リ ル 属=Mandrillus Ritgen, 1824 る。 あ ま り使 わ れ な い が, 英 名 に も 同 類 の blee- (2) ヒ ヒ属=Chaeropithecus Gervais, 1839 ding heart baboon と い う 言 い 方 が あ る。 ; マ ン ド リ ル 属=Papio Muller, 1773: chaero-

pithecus は 「コ ブ タ ー ザ ル 」 の 意。 【22】 補 足 以 上 で オ ナ ガ ザ ル 亜 科 を 終 わ る が, 学 名 の 命 【21】 ゲ ラ ダ ヒ ヒ属 名 者 に 関 して 補 足 し て お く。 属 名 ・種 名 の あ と 学 名=Theropithecus I.Geoffroy, 1843: 属 の 命 名 者, 年 号 に, () を 付 し て あ る 場 合 に つ 名はケモノーザルの意。 現生しているのは次項 い て で あ る。() は, 命 名 者 が そ の 種 名 を 記 載 の1種 だ け だ が, 東 お よ び 南 ア フ リカ で 多 く の し た 時 に, そ の 前 に あ る 属 名 を 使 っ て い な い こ 化 石 種 が 発 見 さ れ て い る。 従 来 は よ く, 化 石 種 と を 意 味 して い る。 た と え ば 【6】1 の バ ー バ リ を 別 属 の Simopithecus Andrews, 1916と して マ カ ク の 場 合 に, リ ン ネ は Macaca sylvanus

きた。 この属名の方は 「鼻の低いサル」を意味 で は な く, Simia sylvanus と して 記 載 して い る して い る。 の で, () を 付 し て あ る。 な お, Simia と い う 属 名 (ラ テ ン 語 で 「サル 」)は, ど の サ ル に こ 【21】1 ゲ ラ ダ ヒ ヒ (図19) れ を 初 め て 使 っ た の か 確 認 で き な い た め に, 使 gelada (baboon); G.=Nacktbrustpavian わ な い 約 束 に な っ て い る。