Nippon Silk Gakkaishi 20, 27-33(2012) J. Silk Sci. Tech. Jpn.

学術論文

ウスタビガ,Rhodinia fugax 繭糸の形態および理化学的特性

塚田益裕・佐藤俊一・庄村茂・梶浦善太

信州大学繊維学部 〒386-8567 長野県上田市常田 3 丁目 15-1

(平成 23 年 10 月 13 日 受理)

Spinning behaviors and physical properties of silk fiber from the wild silkworm, Rhodinia fugax Masuhiro Tsukada, Zenta Kajiura, Sigeru Shoumura, Shunichi Satoh

We analyzed the rearing and fiber spinning behaviors of Rhodinia fugax and compared them with those of other wild silkworms, namely Antheraea pernyi and Antheraea yamamai. The silkworm’s egg weight was about 1/2 that A. pernyi and 1/3 that of A. yamamai. A single cocoon filament was 16 to 27 μm thick. The spinning loop of the cocoon filament measured 6.5 × 1.8 mm. We observed the structure of the microfibrils on the surfaces of degummed cocoon fibers. The silk fibers had FTIR absorption bands at 1639 cm–1 (amide I) and 1512 cm–1 (amide II); these were attributed to the β-sheet structure. On the differential scanning calorimetry curve of the silk fiber, an endothermic peak appeared at about 76 °C. In addition to minor endothermic peak of the silk fibers at 210 °C, broad endothermic peak appeared at 350 °C, which was attributed to thermal decomposition. (*: To whom correspondence should be addressed, Email: [email protected])

Key Words: Rhodinia fugax, cocoon fiber, thermal behaviors, molecular structure

1.緒言 蚕や天蚕は,クヌギ,コナラ,カシワ,アベマ キ等の葉を摂食して生長する. カイコの絹糸は古くから衣料材料として 野蚕には,本論文の対象であるウスタビ 利用されてきた.カイコの絹織物は,染色性 ガ(Rhodinia fugax)の他に,天蚕(Antheraea に優れ,風合い感が良好であり,しなやかで yamamai),柞蚕(Antheraea pernyi),タサー 軽くて暖かみのある衣料素材であることか ル蚕(Antheraea militta),ムガ蚕(Antheraea ら重宝されてきた. assama),エリサン(Samia cynthia ricini), 家蚕の絹糸が衣料分野で利用されている シンジュサン(Samia cynthia pryeri)がある. のと同様,野蚕である柞蚕や天蚕の絹糸は 大室農場では天蚕を自然状態で飼育す 貴重な衣料材料として活用されている.カ る.天蚕種の孵化率は 80-90%であり, イコがクワの葉を摂食するのに対して,柞 家蚕と比べ生育率と収繭率が低い.繭糸か

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ら絹糸となる糸歩は少なく,天蚕絹糸の価 液に試料を入れて 30 分処理することで繭 格が破格の値段で取引される程である. 糸の精練を行った. カイコ絹糸に柞蚕や天蚕絹糸を混紡して 製造できる絹織物は,糸の滑りが抑制でき, 2.2.実験方法 縫目の滑脱抵抗が改善できるとされる 1). 野蚕絹糸は,家蚕絹繊維製品に比べてバル 2.2.1 SEM キー性,耐摩耗性に優れ 1),手触り時の風合 走査型電子顕微鏡(SEM)は,日立製作所 感もよいため,実用天然繊維として関心がもた 製(S-2380N)を用い,加速電圧 15kV で試料 れている. 表面を観察した.測定に先立って試料表面 ウスタビガはヤママユガ科に属し,クヌ での帯電を防ぐため日立製作所製イオンス ギ,コナラ,カシワ,スダジイ,ハンノキ,ケ パッター装置(E-1010)を用いゴールド/パ ヤキ,エノキ,キハダ,サクラ,カエデなど広 ラジウムで 180 秒間スパーターコーティン 葉樹を摂食する.長野県ではクヌギの芽吹 グを行った. きが4月末以降なので,それよりも早く葉 2.2.2 DSC 測定 が伸びるサクラの葉を摂食し,全齢サクラ DSC 装置(リガク製,DSC8230 型)を用い, 生葉を使って飼育が可能である. 昇温速度 10℃/min,試料重量 2.5mg,窒素 野蚕の中で天蚕,柞蚕の絹糸は蚕業上 気流中で測定した. 重要であるため飼育や絹糸特性につい 2.2.3 FTIR 測定 て多くの報告があるが,ウスタビガにつ FTIR 装置 (島津製作所製,FTIR-8400S いての学術報告は極めて少ない. 型)を用い,波数 4000~400 cm-1 の範囲で測 衣料材料やバイオ材料として未利用資源 定した. であり、理化学特性が未知なウスタビガ絹 タンパク質を対象にその素材化に向けて物 3 結果および考察 性を把握することは必要不可欠である. 本研究では,野蚕の中でも報告例が極め 3.1 飼育観察 て少なく飼育実態,生育実態,絹糸の特性が 繊維学部附属大室農場において飼育した 十分に把握されていないウスタビガの絹糸 ウスタビガの孵化率,産卵数,幼虫体重,繭層 を対象に,飼育実態,繭糸,繭糸構造,繭糸特 重,繭重等の諸形質等を Table 1 に集約した. 性の測定を行い新規な特性解明ができたの 柞蚕あるいは天蚕の諸形質 2,3) も併せて で報告する. Table 1 に掲載した. ウスタビガは 1 化性で卵休眠する.長野県 2.材料および方法 の自然温度下にあっては4月に孵化し,6 月 2.1 材料 に営繭し,10 月末から 11 月下旬にかけて羽 H23.6 月,信州大学繊維学部附属農場・大 化するのが一般的である. 室農場で野外飼育したウスタビガならびに ウスタビガの幼虫期間は 1 月半~2 か月で その繭糸の調査と実験を行った. あり,個体によるばらつきが大きいこと ウスタビガ繭糸は,熟蚕時期の幼虫が営 が特的である. 繊維学部附属大室農場の 繭した繊維状試料を使用した.絹糸腺は,熟 飼育では,ウスタビガは吐糸開始後, 羽 蚕のウスタビガの体内から摘出した. 化するまで約 4 か月を要し,この間 煮沸した 2.5%無水炭酸ナトリウム水溶

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Table 1. Specific characters of Rhodinia fugax silkworms and related their physical properties.

Items Rhodinia fugax A. pernyi A. yamamai Beginning/middle of Hatching stage End of April Beginning of June April Moltinism tetramolter tetramolter tetramolter Voltinism monovoltin monovoltin /divoltin monovoltin Hibernation egg pupa egg Meal tree Oak, Cherry Oak Oak Eggs wt,. (㎎/egg) 4 9 6-9 Duration of Larval 42-52 42-52 42-52 stage (day) Growth variation of Large Small Large larva Mature larval weight 3.1 17 17 (g) Variation of Around 1 month Around 2 weeks Around 2 weeks cocooning period Cocoon shell wt. (g) 0.28 (male), 0.36 (female) 0.9 (male, female) 0.6 (male),0.7(female) Cocoon wt (g) 1.85 (male), 3.0 (female) 7.9 (male), 8.2 (female) 5.6 (male), 8.3 (female) End of Oct. (the year First period:End of May – Period of Eclosion, before) - Beginning of Beginning of June End of July-End of Sept. mating, egg laying Nov. Second period:End of

July – Beginning of Aug. No. of lay eggs for a 100-200 150-300 100-250 female Stock temperature natural temperature Feb~April, under 0-5℃ After Feb. under 0~1℃

Resistance to LD50 of A.pernyi is nuclear polyhedrosis Weak 100-1000 times higher Weak virus than A.yamamai. Monovoltin under 13 hrs Eclosion period delayed Egg cold storages make light and 11hrs dark under long-day Other features hatching rate down Divoltin under 16 hrs light condition

and 8 hrs dark .

蛹で夏眠する.天蚕の蛹夏眠は約 30 日~60 長い. 日であることを考えると,ウスタビガの蛹 ウスタビガの卵重量は柞蚕の約半分程 夏眠の期間は,ヤママユガ科の中で最も 度,繭層と繭重は,柞蚕,天蚕の 1/2~1/3 であ

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る.ウスタビガの 繭層重および繭重は、 を引き出し,その繊維の形態を SEM で観察 雌雄平均でそれぞれ 0.32g, 2.4g である. した.単糸表面は極めて平滑(Fig.2)で,その ウスタビガは,ヤママユガ科の蛾で,成虫 は雌の方が大きく,羽根を広げると 11cm, 雄は 9cm程度である. ビテロジェニンの アミノ酸配列で比較するとウスタビガは ヤママユガおよびサクサンと相同性 80% である.また,天蚕とサクサンは 92%で ある 4,5,6,7). Fig. 2 SEM pictures of single cocoon fibers from Rhodinia fugax silkworms. 繊維直径は 16-27μm であった.ウスタビガ が自然環境の中で吐糸した繭糸表面 (Fig.2)には,セリシンあるいは無機物ある いは有機物と考えられる有機物が多量に付

着しているが,この付着有機物は柞蚕等の Fig.1 Cocooning of matured Rhodinia fugax 野蚕に特有な立方形態のシュウ酸の結晶と silkworms. は異なる. 熟蚕期のウスタビガが吐糸営繭する際,

他の野蚕とは異なり繭上部が穴の空いた状 3.4 吐糸挙動 態で営繭する(Fig.1).営繭後期になると穴 熟蚕期に近づいたウスタビガを手でつま の空いた繭上部は次第に扁平となりながら むと腹部から「キィーキィー」と音を3, 狭まって閉じる.繭の下側には直径 1.5mm 4回出す これは ウスタビガが野外の天敵 程度の小さな穴が見られることはウスタビ . , を威嚇して天敵を遠ざけるため自然に備わ ガ繭だけの特徴であり,繭上部の扁平形の ったウスタビガの防御機構なのかもしれな 穴から入った雨水が抜ける出る穴と考えら い.ヒメヤママユもキィーキィーと音を立 れる. てることがあるが,天蚕や柞蚕には無い特

徴である. 3.2 繭サイズ 熟蚕期になると吐糸し始めるが,黒い紙 ウスタビガ繭のサイズは,平均で繭の長 の上に幼虫を乗せて吐糸させ,吐糸形態を 経 35mm, 短経 17 mm である.家蚕繭およ 詳細に観察した.幼虫はカイコに特有な頭 び天蚕繭の平均の長経は,35mm, 44mm であ を振り運動を行い S 字型のループ状に繭糸 り,家蚕繭および天蚕繭の平均の短経は,そ を吐き出し続ける.ループ状の吐糸形態の れぞれ 21mm と 22mm である 8,9).ウスタビ 振幅(長経)と振長(短経)は,それぞれ平均 ガ繭の長経は家蚕並の大きさであり,短経 で 6.5mm と 1.8mm であった. は家蚕や天蚕繭よりも小さめである. 天蚕繭,家蚕繭の吐糸軌跡を調べた小松

(1984)によると,天蚕繭胴部における振幅 3.3 吐糸した後の繭糸単繊維 は外層,中層,内層の吐糸軌跡を平均すると 熟蚕が吐糸する1本の繭糸(単糸)に引 8mm, 振長は 11mm であり,家蚕繭胴部に っ張り力がかからないように注意して単糸 おける振幅は平均 5mm, 振長は 6mm であ

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る.ウスタビガの吐糸形態は,振幅が天蚕よ ガ絹糸の特徴と他の野蚕絹糸と特徴との差 りも短く,家蚕並であった.一方,ウスタビガ は全く見られない. の吐糸形態の振長は,天蚕と家蚕の振幅と ほぼ同等であった.

3.5 繭層形態 ウスタビガが作った繭層の横断面を SEM で観察すると繭層は薄く繭層構造は 粗であり,繭糸の累積層は緻密であった.繭 Fig.4 SEM pictures of degummed cocoon 層断面は細長いリボン状を呈し,繭繊維間 fiber from Rhodinia fugax silkworms には多くの空隙が見られる(Fig.3a).ウスタ ビガを平面板の上で吐糸させてできる平面 繭の表面は極めて平坦な表面構造を取って 3.7 絹糸腺 おり,繭糸が層状に重なり合って吐糸され 熟蚕ウスタビガの体内より取り出した絹 ており,繭糸間は接着物質で覆われている 糸腺写真を Fig.5 に示す. (Fig.3b). Pd Md Ad ↓ ↓ ↓

Fig. 3 SEM pictures of cross section of (a) (b) cocoon layers (a) and cocoon surface (b) of silk layers.

Fig. 5 Photograph of silk glands of ウスタビガの繭表面には, 繭の長径方向 Rhodinia fugax silkworms. For symbols see に比較的引き揃った縮皺「しぼ」が見られ, the text. 家蚕繭の表面に見られる方向性の少ない縮 絹糸腺の形態は,一般野蚕の絹糸腺と類似 皺「しぼ」とは若干異なる. し,前部(Ad),中部(Md),後部(Pd)から構成さ

れる.前部は緑色,中部は黄色,後部絹糸腺の 3.6 精練繭糸 色は緑色でも黄色でもなく 白みがかった ウスタビガの繭層を精練すると繊維表面 , 色相を呈する ウスタビガから取り出した に不均一な付着物は除去され繊維表面は平 . 絹糸腺を水中に浸漬すると前部,中部絹糸 滑となった.繊維は円形ではなくリボ 腺に着色した色素は水に溶出したため,絹 ン状を呈し,野蚕絹糸に特有なミクロフィ 糸腺内の着色染料は水溶解性であることが ブリル構造が観察できる(Fig.4). 確認された.ウスタビガ絹糸に含まれる色 ミクロフィブリルの繊維サイズは約 0.1 素に関する文献は見当たらない.ウスタビ μm である.精練しミクロフィブリルが出 ガの絹糸腺は 絹糸腺全体としては前部と 現した絹糸表面の形態のみからはウスタビ ,

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中部糸腺が長く,後部絹糸腺が短いという であることが特徴的である.ウスタビガは, 特徴がある.これは後部絹糸腺が長いカイ 柞蚕と同様,ヤママユガ科に属するが,熱分 コの絹糸腺とは異なる特徴である.

Exo 3.8 FTIR スペクトル

Fig.6 はウスタビガ絹糸の FTIR スペク ← →

トルである.試料にはアミド I バンドが Endo -1 に アミド バンドが 1639, 1630cm , II 1512 50 150 250 350 cm-1 に現れ,このスペクトルはβ構造に特 Temperature (℃) 有な分子形態であることが確認される. Fig.7 DSC curve of silk fiber of Rhodinia fugax silkworm.

解温度に若干の差異があることはシルクの アミノ酸組成,結晶構造,分子配向性に柞蚕

Abs シルクと若干の違いがあるためであろう が,詳細は不明である.210℃の吸熱ピーク は,家蚕絹糸のセリシンの熱分解温度と類 1750 1550 1350 1150 950 750 似しており,ウスタビガ絹糸に含まれるセ Wavenumeber (cm-1) リシンによる可能性もあるが現時点では不 Fig.6 FTIR spectrum of silk fiber from 明であり,今後の検討が必要である. Rhodinia fugax silkworms.

4.摘要 この試料には これら上記の吸収スペクト , ルに加えて -1 に吸収スペクト ,1240, 1051 cm ウスタビガの飼育,営繭,繭糸特性等 ルが また 高波数領域には , , , , ,3294 3080 についての詳細な情報は限られている に吸収が現れている これら上記 2937cn-1 . ためウスタビガの繭糸特性の観察を行っ の吸収スペクトルの特徴 10)から,ウスタビ た.熟蚕期のウスタビガは,繭上部が穴の空 ガ絹糸は,β構造を取っているものと考え いた状態で営繭する.営繭後期になると穴 られる この点で 柞蚕 天蚕その他の野蚕繭 . , , の空いた繭上部は次第に扁平となりながら 糸の特徴と類似した分子形態を有する. 狭まって閉じる.

ウスタビガ繭の長経 35mm, 短経 17 3.9 DSC 曲線 mm である.幼虫はカイコに特有な頭を振り 未精練絹糸の DSC 曲線(Fig.7)には,79 運動を行い S 字型のループ状に繭糸を吐糸 ℃ ℃ ℃に吸熱ピークが現れる ℃ ,210 ,350 .79 する.ループ状の吐糸形態の振幅と振長は, の幅広い吸熱ピークは試料含有の水分蒸発 それぞれ平均で 6.5mm と 1.8mm であった. に,350℃の吸熱ピークはウスタビガ絹糸の 熟蚕ウスタビガ絹糸腺の形態は,一般野 熱分解によるものである. 蚕の絹糸腺と類似し,前部,中部,後部から構 柞蚕絹糸の熱分解温度は 362℃11)である 成される. ことが知られており,ウスタビガの絹糸の ウスタビガ絹糸の FTIR スペクトルは, 熱分解温度は柞蚕絹糸より 10℃程度低温 -1 アミド I バンドが 1639, 1630cm に,アミド

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II バンドが 1512 cm-1 に現れ,β構造に特有 Banno Y, Kajiura Z (2006a):Genetic な分子形態であることが確認される. variations in the vitellogenin of Japanese ウスタビガ絹糸の DSC 曲線には,79 populations of the wild silkworm, Bombyx ℃,210℃,350℃に吸熱ピークが現れる.79℃ mandaraina. J Biotechnol Sericol の幅広い吸熱ピークは試料に含まれる水分 75:127-134 の蒸発に,350℃の吸熱ピークはウスタビガ 6)Meng Y, Liu C, Zhao A, Shiomi K, 絹糸の熱分解によるものと判断できる. Nakagaki M, Banno Y, Kajiura Z (2006b): ウスタビガ繭層からは, 各種色素, 抗カ Vitellogenin gene organization of Antheraea ビ・抗がん活性物質が見つかり単離されて yamamai and promoter activity analysis. Int おりウスタビ繭層の新しい利用用途に関心 J Wild Silkmoth Silk 11:29-40 が寄せられている 12,13,14).Fig.5 記載したウ 7)Liu C., Kajiura Z., Shiomi K., Takei R., スタビガ絹糸腺にこれらの有用物質が蓄積 Nakagaki M. (2001):Purification and されている可能性が高い. cDNA Sequencing of vitellogenin of the 本研究によりウスタビガ絹糸の諸形質, wild silkworm, Antheraea pernyi. J. Insect 絹糸の理化学特性が明らかとなった.天蚕 Biotech. Sericul., 70, 95-104. あるいは柞蚕絹糸と比べ営繭挙動は全く異 8)高林千幸 (1990): 天蚕 (赤井弘,栗林茂 なり, 絹糸腺の着色状態には大きな差があ 治編), pp190-205,サイエンスハウス.東京. るがウスタビガ絹糸の理化学特性には大差 9)Kayer, H.J. Rearing of wild silkworm, が認められなかった.野蚕絹糸の特性を活 Insect. Physiol., 20, 89-103 (1974) かした産業上の利用は進んでいるため野蚕 10)M. Tsukada, Y.Gotoh, G. Frddi, の素材としての有用性を拡げる上で本研究 M.Matsumura, H. Shiozaki, H. Ishikawa, 成果は意味あるものと考えられた. (1992):Structure and physical properties of epoxide-treated tussah silk fibers, J. Appl. 文献 Polym. Scie, 44, 2203-2211. 11)M.Tsukada(1988): Structure of the enzyme 1)青木昭, 高橋保,神田千鶴子, 今井恒夫 -resistant fraction of tussah silk fibroin, J. (1979): 蚕糸試験場彙報,108, 89-125. Polym. Sci; Polym. Phys. Ed.,26, 949-952. 2)栗林茂治 (1990): 天蚕 (赤井弘,栗林茂 12)松木伸浩・三田村敏正・瓜田章(2001): 治編), pp8-17,サイエンスハウス.東京. ウスタビガ繭層熱水抽出物の抗カビ活性, 3)中嶋福雄 (1987): 天蚕, 飼育から製糸ま 東北蚕糸・昆虫利用研究報告,26,15. で, pp120-128,農山漁村文化協会,東京. 13)崔 相元・鈴木幸一・瓜田章二(2004): 4)Meng Y, Liu C, Shiomi K, Nakagaki M, ウスタビガシルクパウダーからの抗カビ Banno Y, Kajiura Z (2008): Purification 活性物質の探索, 東北蚕糸・昆虫利用研 and cDNA cloning of vitellogenin of the 究報告,29,17. wild silkworm, Saturnia japonica 14)奥寺正浩・小藤田久義・鈴木幸一・三 (: ). J Insect 田村敏正(2004):ウスタビガ繭からの Biotechnol Sericol 77, 35-44 抗がん活性物質の単離, 東北蚕糸・昆虫 5)Meng Y, Liu C, Shiomi K, Nakagaki M, 利用研究報告,29, 18.

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