The LepidopterologioalLepidopterological SooietySociety of Japan

− 蝶 と蛾 Trans． lepid． Soc． Japan 54 （4）： 220 222， September 2003

ー ー ・ ビ ク マ ク の 付 い たゴ マ ダ ラチ ョ ウ オ オ ム ラサ キの 記 録

津 吹 卓 1700CO4 東京都 豊 島区北 大塚 1−10−33 十文 字 中学 ・高等学校

marke 己 加 aponica and 翫 5冰 ’a c 加 眉o π 伽 Records of beak pers itis／ （， ）

Ta］（ashi TsuBuKI

Jamonji High School， Kita6tsuka 1−1〔》33， Toshima−ku， Tokyo ，1700004 Japan

AbStract Male beak marked Hestinaμ 煽 η 燃 ノOponica and female beak marked Sasakia charonda Lepidoptera wero recorded and characters of marked wings （ ， Nymphalidae） ， beak were described． The fbrmer is the 負rst recorded cupture in Toshima −ku ， Tokyo ．

− Key words ／aponiea ． Sasakia cha 厂onda ， beak mark ， Toshima ku Tokyo ．

ー ー 筆者 は先 に ウ ラ ギ ン シ ジ ミ （津 吹，1999の と ク ロ コ ノ マ チ ョ ウ （津 吹，1999b ） の ビ ク マ ク個 体 ー ー ー に つ い て報 告 した．そ して そ の 後蝶類 の ビ ク マ ク に つ い て ， こ れ ま で に 報告 さ れ た デ タ を基 に ー ー 蝶 と 鳥 の 関係 を考 察 し ，総 説 と し て 発 表 し た （津吹 ・上 田 ，2001）． こ れ に よ り ， ビ ク マ ク は 蝶類 一 ー ー に 般 的 に 見 ら れ る こ と が 明 ら か に な っ た ．筆者 は そ の 後 も ビ ク マ ク 個体 の 調査 を続 け て い る ． ー ー 本報 で は， ビ ク マ ク の あ る ゴ マ ダ ラチ ョ ウ お よび オ オ ム ラサ キ に っ い て 報 告 す る．文 献 に 関 し て

お 世 話 に な っ た 東京 動物 園協 会 の 新 井真 理 氏 に 感 謝 す る ．

1． ゴ マ ダ ラ チ ョ ゥ

a ． 採集記 録

採集年月 日 ： 2001年 7 月 7 日 採集場所 ： 東京都豊島 区北 大 塚 性別 ： ♂

午前 10：00 頃 ，住 宅 街 に あ る勤務校 の 2 階 の 教 室 ヘ ゴ マ ダラ チ ョ ウが 窓 か ら飛 来 した ．壁 に 静 止 した の で 捕 獲 した ．そ の 2 日前 の 7 月 5 日 8 ：30 頃 に も校 庭 を飛 翔 す る個 体 を観察 した が ， こ の 個 体 の 翅 一 に 破損 は見 られ な か っ た ． こ の 地域 で は本種 は極 め て稀 な た め 同 個 体 の 可 能 性 も十分 に 考 え られ た ．

ゴ マ ダ ラチ ョ ウ は都 心 で も比 較的定着 して い る種 で あ るが ，筆者 の 知 る 限 りで は こ れ ま で に 豊 島 区 に − お け る記 録 は報告 され て い な い よ う で あ る （西 多摩 昆 虫 同好 会 ，1991 ； 蝶 研 出 版 ，1987 2001）．な お ， 筆者 は 25 年 間本校 に 勤務 し て い るが ，そ の 間 に 本種 に つ い て は 1998年 7 月 6 日 に 校 庭 で 腹 部 の 欠 損 した死 骸 を確 認 しただ け で あ っ た （津 吹 ，未 発表 ）． ー ー − b． ビ ク マ ク の 特徴 （Figs 1，3 4） ー ー 本個体 の ビ ク マ ク は ， 左右 の 後翅 の 後 方部 に ほ ぼ 対称 に 付 い て い た ． す な わ ち，翅 脈 Cula を残 一 し それ を境 に し て そ の 後 方部 が ，基部 の ご く 部 を除 き ほ ぼ V 字形 に 欠 損 し て い た ， こ の 状 態 か ら， 翅 を閉 じ て 静止 し た と こ ろ を後方 か ら鳥 に 嚇 で 翅 を挟 まれ た が ， う ま く逃 げ延 び た も の と 思 わ れ た ．

ゴ マ ョ ビ ー マ ー ダ ラ チ ウ の ク ク は 報告例 が 少 な く， 筆 者 の 知 る 限 り で は 藤井 （未発表） の も の が あ る い ・ 200D に す ぎな （津 吹 上 田 ， ．

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ー ー ・ ビ ク マ ク の 付 い た ゴ マ ダ ラ チ ョ ウ オ オ ム ラ サ キ 221

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．−3．’ 尸 4 「「一 b ・ ’ ピ ・ 「 ・ガ． ｝；三∴ 、 1 F ’ 尸幽t 、1 ヒ’一一島 一 m r ’ L 、 r∴ 1 認 、：、：L：．．．ゑ属ざ 二轗“ i，

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222 津 吹 卓

2． オ オ ム ラ サ キ

a ．採 集記録

採 集年 月 日： 2002 年 7 月 31 日 採 集 場 所 長 野 県 東部 町滋 野 性別 ： ♀

午前 11 ：00 頃 ，林 の 中 の 太 い 木 の 幹 の 地 上 1m ほ どの 高 さ に ，翅 を閉 じ て 静 止 し て い る個 体 を見 つ け， ー ー よ く見 る と左 側 の 翅 に ビ ク マ ク が っ い て い た ． ー ー − b． ビ ク マ ク の 特徴 （Figs 2，5 6） ー ー こ の 個体 の ビ ク マ ク は ，左 の 前後 翅 に 大 き く付 い て い た ．す な わ ち ，左 前翅 の 外 方 1／3，腹 方 2／3 の 部 分 が 大 き く切 り取 ら れ て い た ． ま た ，同様 に 左後翅 の 外 方半分 も 欠損 し て い た ． こ の 個体 を

室 内 で 壁 に 静止 さ せ て 翅 を 開 い た状 態 を確認 し た と こ ろ ，前翅 は 後翅 の 1／2 を被 っ て い た ． こ れ ら の こ と を合わ せ て 考 え る と， こ の 個 体 が 翅 を 開 い た 状 態 で 静止 し て い た と こ ろ へ 鳥 が 後方 か ら 近 づ き ， 一 重 な っ た左側 の 前後翅 を 度 に ，後翅 の 尾部 か ら 前翅 の 翅頂 の 方向 に ， 嘴 で 挟 ん だ の で は な い だ ろ う か ．そ し て ，蝶 が 暴 れ翅 が 破 れ た た め に ，蝶 は 飛 び去 る こ と が で き た の で は な か ろ うか ．あ る い は 蝶 が 飛 翔 中 に 上 記 の よ う に 嘴 で 挟 まれ た の か も し れ な い ．

本 種 の 雄 は午後 か ら夕方 に か け て 特 定 の 枝 の 葉 先 に 固 執 し ，他 の 雄 や ス ズ メ な ど の 鳥類 ま で も 追 う

（福 田晴 夫他 ，1983）． し か し チ ョ ウ の 状態 に よ り，雄個 体 が ヒ ヨ ド リ に 襲わ れ後 翅 が 破損 し た が 逃 げ 延 びた 報 告 （鈴木，1995） もあ る．雌 の 場 合 こ の よ う な習 性 は な い た め，雄 よ り も鳥 に 襲 わ れ や す い ー ー 可 能性 は あ る と 考 え られ る が ，本種 は体 も大 き く力 も強 い ．本 個体 の ビ ク マ ク の 大 き さ か ら 鳥 の

嘴 の 大 き さ は 3 cm 程 と 思 わ れ ，襲 っ た 鳥 は 比 較 的体 の 大 き な種 で あ ろ う．

引用 文 献 − 蝶 研 出版編集部，1987 2001．蝶類年鑑 蝶 研 出版 ． 福 田晴夫 ・浜 栄一 ・葛谷 健 ・高橋 昭 ・高橋 真 弓 ・田 中 番 ・田 中 洋 ・若林 守男 ・渡辺康之 ，1983．

原 色 日本蝶類 生 態 図 em2．325 pp ．保育社 ， 大 阪． 西 多摩昆 虫 同好会編 ，1991．東京都 の 蝶 ．200pp ．けや き 出版，立川． ー 鈴木 守 ，1995． ヒ ヨ ドリ に 襲 わ れ た オ オ ム ラ サ キ ．蝶研 フ ィ ル ド 10 （10）： 27． ー ー − 津 吹 卓，1999a． ビ ク マ ク の 付 い た ウ ラ ギ ン シ ジ ミ ．蝶 と 蛾 50： 55 56． − 1999b ビ ー マ ー い ロ コ マ ョ 50 ； 307 3eg ， ．東京都豊島 区 で ク ク の 付 た ク ノ チ ウ ，蝶 と 蛾 ． ・ ー ー − 津 吹 卓 上 田 恵 介 ，2001． ビ ク マ ク 1 蝶 の 翅 に つ け られ た 嘴 の 跡 Stnt 19： 129 140．

Summary

ma エ 且 aponica was caught Abeak ked butter y Hestinapersimills／ （Lepidoptera， Nymphalidae ）（♂ ） on 7th July 2001， in Toshima−ku， Tokyo ． The had almost symmetrical beak marks on the − posterior part of the hindwings （Figs L 3 4）． Here the butterfiy was thought to have been caught

by a bird when the wings were closed ． On the other hand the beak mark of Sasakia charonda − （Lepidopter4 Nymphalidae ）（♀）was f（）und on the le麁 of the fbrewing and hindwing （Figs 2，5 6）． The beak marks seem to show that the butter且y was attacked by a bird on the left wings at the same time that the was perched with the wings open or was flying． The fbrmer of these was the first recorded capture in Toshima −ku Tokyo ． ，

（A epted April 30，2003）

Publishcd by the Lepidopterological Socicty of Japan， 5−20 Motoyokoyama 2 − ， ， Hachioji， Tokyo ，1920063 亅apan

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