日本応用動物昆虫学会誌(応動昆) 第 54 巻 第 3 号: 127–134(2010) http://odokon.org/

紀伊半島におけるラミーカミキリ fortunei (鞘翅目:カミキリムシ科)の分布拡大

加藤 敦史 * ・大林 延夫

愛媛大学農学部昆虫学研究室

Range Expansion of the Exotic Cerambycid , Paraglenea fortunei, in Kii Peninsula, Western Japan. Atsushi KATO* and Nobuo OHBAYASHI Entomological Laboratory, Faculty of Agriculture, Ehime University; 3–5–7 Tarumi, Matsuyama 790–8566, Japan. Jpn. J. Appl. Entomol. Zool. 54: 127–134 (2010) Abstract: Range expansion of the exotic cerambycid beetle Paraglenea fortunei (Saunders, 1853) on the Kii Penin- sula was tracked. A literature-based survey of this species revealed that it was first observed in Ise-shi in Mie Prefecture and in northern Nara Prefecture in the 1970s. Ten or twenty years after becoming established, the species started to spread toward the south of the peninsula. We traced the expansion of this species from 1999 to 2008 using field obser- vations in Wakayama, Nara and Mie Prefectures. The range of the beetle extended southward annually, reaching the southernmost area of the peninsula by 2008; it took 37 years from first being discovered to occupy the whole peninsula.

Key words: Boehmeria nipononivea; Boehmeria nivea; Cerambycidae; alien species; Paraglenea fortunei

されて各地へ移植されたため,根に食入した幼虫によって 緒 言 急速に分布が拡大したと考えられる(穂積,1979).今日 ラミーカミキリ Paraglenea fortunei は,中国駐在イギリ では本種は九州と四国の全県,および本州西部~関東地方 ス領事 Fortune によって中国北部で採集された標本に基づ に分布している(穂積,1979; 大野,1985 など). いて,Saunders(1853)が 属の新種として記載した 本種の各地における分布状況については,地域の研究者 カミキリムシである.のちに Bates(1866)は本種を基準 による詳細な研究結果が報告されており,最近ではその分 種として Paraglenea 属を創設した.ラミーカミキリは,繊 布拡大の経緯についてもある程度把握できるようになった 維作物のナンバンカラムシ(ラミー)Boehmeria nivea を主 (たとえば,四方・井原,2000, 長野県南部; 下野屋,2005, な寄主とし(Gressit, 1951; Wang et al., 1990),幼虫が茎に 2008; 保科ら,2009,福井県; 高桑,1988,神奈川県).し 穿孔するため,中国南部ではラミーの生産に深刻な被害を かし,各地域における侵入初期の記録は少なく,分布拡大 与えているという(Wang et al., 1990).本種の日本からの最 にいたる経時的経過のすべてを明らかにすることは困難で 初の記録は,George Lewis によって採集された産地不詳の ある.一方,紀伊半島では 1970 年代に初めて三重県中部 標本にもとづいた Bates(1873)の記録である.穂積(1979) と奈良県北部で発生が確認されたことに加え,その後多く や大野(1985)の考証によると,当時の長崎や門司では, の採集記録が地域の研究者によって集積されている.その 栽培用に中国から輸入されたナンバンカラムシの根にしば ため,これらの記録を整理することで,侵入初期からの経 しば虫が付着していたとの記録があり,おそらくこれはラ 時的な分布拡大過程を追跡できる可能性がある.そこで筆 ミーカミキリの幼虫と考えられることから,George Lewis 者らは,文献から過去の分布記録を採録するとともに, の標本は長崎で幕末の頃に採集されたものであろうとして 1999 年から 2008 年にかけて野外調査を行い,紀伊半島に いる.その後,本種は,1930 年には宮崎県,1938 年には おける未分布地域への分布拡大過程を追跡・検証したので 福岡県,1940 年代には四国,兵庫県,愛知県,神奈川県 以下に報告する. につぎつぎと侵入定着した(大野,1985).第二次世界大 三重県津市の秋田勝巳氏,日本大学生物資源科学部の岩 戦中には,繊維作物としてナンバンカラムシの栽培が奨励 田隆太郎教授,和歌山県湯浅町の楠井善久博士,兵庫県立

* E-mail: [email protected] 2010 年 1 月 13 日受領 (Received 13 January 2010) 2010 年 5 月 31 日登載決定 (Accepted 31 May 2010) DOI: 10.1303/jjaez.2010.127

127 128 加藤敦史・大林延夫

大学自然環境科学研究所の沢田佳久博士と神奈川県立生命 た.本州の紀伊半島における発生時期は,文献記録によれ の星地球博物館の高桑正敏博士からは,文献収集と本種の ば 5 月7 月にわたるが,調査は発生最盛期の 6 月とし, 情報の両面でお世話になった.また,関西甲虫談話会と紀 1999 年 6 月 13 日と 6 月 19 日,2001 年 6 月 10 日,2003 伊半島野生動物研究会の諸氏からは本種の観察記録を以前 年 6 月 14 日と 6 月 22 日,2005 年 6 月 18 日および 2008 から提供戴いている.記して感謝を表したい. 年 6 月 22 日に調査を実施した.調査地は以下の通りで あった. 材料と方法 和歌山県: 1,印南町島田; 2,田辺市秋津; 3,白浜 1. 文献に基づく分布域拡大の調査 町郵便橋; 4,白浜町栄; 5,白浜町大古; 6,日置川大 過去の紀伊半島におけるラミーカミキリの採集記録を, 橋; 7,田辺市里野; 8,すさみ町見老津; 9,串本町和 昆虫関係の学術誌,同好会誌,図鑑類,地方誌などから収 深; 10,串本町有田; 11,串本町尾の浦; 12,那智勝浦 集し,その記録を年代順に整理した.筆者らが確認し得た 町市屋; 14,上富田町下鮎川; 15,田辺市真砂; 16,田 文献に現れたラミーカミキリの産地を地図上にプロットし 辺市大川; 17,田辺市野中; 18,古座川町清水; 19,本 (Fig. 1),経時的な分布状況を表すため,最初の記録から 宮町大瀬; 20,本宮町請川; 21,本宮町桧葉; 22,本宮 2008 年までの期間を 5 つに分け,各期間の記録をそれぞれ 町土河屋; 28,新宮市日足; 29,新宮市柳原. 違った記号でプロットし,分布域の外縁をあらわす線をい 三重県: 13,御浜町阿田和; 30,熊野市飛鳥郵便局; れた.なお,より新しい記録であっても,既知産地のプ 31,熊野市飛鳥町布; 32,大内山町梅ヶ谷. ロットに挟まれている場合には,「従来から分布していた 奈良県: 23,十津川村風屋; 24,上北山村西原; 25, が調査されていなかった産地である」とみなして新分布地 下北山村古代; 26,下北山村池原; 27,下北山村上池 とはせず,分布の外縁線に反映させなかった場合がある. 原. また,プロットの密度が小さく,分布域の外縁線の確定が なお,1999 年の記録の一部は,すでに筆者の一人加藤に 困難な場合には外縁線を点線で描いた場所がある. よって報告されているが(加藤,2001a),本論文では新た 2. 紀伊半島南部における分布域の野外調査 に未確認地点を追加して再録した. 紀伊半島南部を中心に,1999 年から 2008 年にかけて野 日本での本種の主要食草は,在来種であるカラムシ 外調査を実施した.調査は,既知の分布域から開始して道 Boehmeria nipononivea であるが,現在では栽培種であるナ 路際の草地,河原,田畑の畦,休耕田などでカラムシ群落 ンバンカラムシも野生化していて同時にみられる.しかし を探し成虫の有無を記録した.また,成虫や後食痕のみら 両者の区別は難しく,過去の記録でも単にカラムシと記さ れなかった群落を記録し,次回の調査では重点的に観察し れているものがほとんどであるため,本報では野外調査も

Fig. 1. Map of Kii Peninsula showing range expansion of Paraglenea fortunei between 1971 and 2008. Numerals on the maps are referred to in the text. Literature-based survey: 1971–1988 (), 1989–1993 (), 1994–1998 (), 1999–2003 (). Field survey: confirmed in 1999–2003 (), 2004–2008 (), not confirmed in 2008 (). ラミーカミキリの分布拡大 129

含めて両者を区別せず,すべてカラムシとした.また,各 度を求めた.1993 年から 1998 年ころの分布拡大速度は和 記録の地名は町村合併以前のものも 2009 年現在の自治体 歌山県では 5.47 km/年(橋本市紀見峠(26)有田川町生石 名に改めた. 山(27)),奈良県の十津川流域では 8.14 km/年(五條市黒 渕(14)十津川村川津(28)),奈良県の吉野川流域では 結 果 5.26 km/年(吉野町菜摘(19)川上村伯母谷(29))で 1. 文献に基づく分布拡大の調査 あった.また,1998 年から 2003 年ころの分布拡大速度は 以後の文中( )内の数字が Fig. 1 の産地番号を示す. 和歌山県では 6.99 km/年(有田川町生石山(27)印南町島 紀伊半島におけるラミーカミキリの最初の記録は 1971 年 田(36)),奈良県の十津川流域では 3.88 km/年(十津川村 の伊勢市岩沢におけるものである(1)(川原・大川,1981). 川津(28)本宮町桧葉(37)),奈良県の北山川流域では ここから分布を徐々に拡げたと考えられる集団は 1980 年 8.52 km/年(川上村伯母谷(29)熊野市飛鳥(38))で には伊勢市小俣(2)で記録され(川原・大川,1981),そ あった.一方,三重県側では 1988 年の大台町の記録から の後,1985 年に度会町(3)と大台町(6)(河北・山川, 大内山町の 2001 年の観察まで南方への分布拡大が確かめ 1985; 松井,1985),1985 年と 1988 年には大紀町(4,5) られず,その速度は 0.96 km/年(大台町滝原(5)大内山 でも記録され(河北・山川,1985; 坂部,1988),南西方向 町梅ケ谷(39))に過ぎなかった. へ 40 km ほどの分布域を形成するに至った.また,1983 年 文献記録にあらわれた幼虫寄主植物の確実な記録は,三 には三重県名張市で記録された(7)(松井,1983).これ 重県大台町におけるアメリカフヨウ Hibiscus moscheutos か らの三重県中部の諸記録に併行して,1979 年に奈良県高 らの羽化脱出記録(坂部,1988)のみである.ラミーカミ 取町壺坂寺から初めて記録された(8)(遠藤,1980).奈 キリの成虫は後食をしている植物上で観察されることが多 良県ではこの記録以後 1988 年までに,橿原市(9,10) い.紀伊半島での後食植物の記録は大部分がカラムシで, (日浦,1979; 加藤ら,1995)と隣接する桜井市(11,12) それ以外には,奈良県橿原市でのアメリカフヨウ(日浦, (加藤ら,1995)の記録があるが,それらの記録地はごく 1979),大阪府金剛山でのヤマグワ Morus bombycis(加藤, 狭い範囲にとどまった.なお,1988 年に平群町信貴山 1999b),奈良県宇陀市(加藤,1998)と大阪府金剛山(加 (13)でも本種が確認されている(加藤ら,1995).次の5 藤,2001a)でのムクゲ ,三重県津市での 年間,1989 年1993 年には奈良県北部の広い範囲で記録 ゼニアオイ Malva sylvestris(今村,2003)がある. され(1423)(佐藤,1993; 加藤ら,1995),西側では大 2. 紀伊半島南部における分布域の野外調査 阪府南部で記録が現れる(24,25)(岩田,1989; 廣田ら, 1999 年には奈良県十津川村の十津川に並走する国道 168 1999).また,1991 年には本種が和歌山県橋本市(26)で 号沿いの調査地(Fig. 2: 23)で発見されたが,連続する和 採集され,これが和歌山県における本種の初記録となった 歌山県本宮町(Fig. 2: 19, 20, 21, 22)では発見されなかった. (山本,1994).なお,この 5 年間の三重県における記録は 一方,奈良県上北山村から下北山村にかけての北山川に並 見いだすことができなかった.続く 1994 年1998 年には 走する国道 169 号沿いの調査地(Fig. 2: 24, 25, 26, 27)で 紀伊半島北半に広く記録がみられるようになり,大阪府南 発見されたが,連続する国道 309 号に沿った三重県熊野市 部(加藤,1996, 1999b, c; 廣田ら,1999),和歌山県北部 (Fig. 2: 30, 31)では発見されなかった. (加藤,1996, 1999c; 平松,1997; 中山,1997; 吉村,1998; 2001 年には三重県熊野市(Fig. 3: 30)と大内山町(Fig. 飯田,2000),奈良県北中部(加藤ら,1995; 加藤,1998, 3: 32)で本種が確認され,いずれも 1999 年の調査では発 1999a, b),三重県中部(官能,1998; 多田,1998; 加藤, 見されなかった観察地である. 1999b; 松浦,2001; 奥田,2001)に記録が散見される. 2003 年の調査では,国道 42 号沿いの和歌山県印南町 1998 年における分布記録の南限は,和歌山県の有田川町 (Fig. 4: 1)で発見され,また 2001 年まで見つからなかっ 生石山(27)から奈良県十津川村川津(28)と川上村伯母 た和歌山県本宮町(Fig. 4: 19, 21, 22)と田辺市野中(Fig. 谷(29)の紀伊山地の渓谷であった.続く 1999 年2003 4: 17)で発見された. 年には記録はさらに南下し,和歌山県では広川町(30), 2005 年には和歌山県田辺市から白浜町にかけての主に国 日高川町(31),護摩段山(32)にいたる範囲に記録がみ 道 42 号に沿った地域(Fig. 5: 2, 3, 4, 14)で初めて本種を確 られた(平松,1999; 飯田,2001; 的場,2002; 吉田,2002; 認したが,白浜町大古(Fig. 5: 5)以南ではみられなかっ 吉村,2002).また,奈良県十津川村南部と下北山村でも た.さらに,国道 311 号に沿った田辺市東部の中辺路地域 記録された(33, 34, 35)(加藤,2001b).なお,この期間 (Fig. 5: 15, 16)でも本種が初めて確認された. は筆者らの野外調査と重複しているので,当該期間の 3 県 2008 年には,紀伊半島の南端近くの串本町和深(Fig. 6: の分布域は次項に示した. 9)で本種が確認されたが,串本町東部(Fig. 6: 10 と 11), 主な産地間の直線距離を測定して主要地域の分布拡大速 那智勝浦町(Fig. 6: 12)では発見されなかった.また, 130 加藤敦史・大林延夫

2005 年にみられなかった古座川町(Fig. 6: 18)と新宮市の 幹線国道伝いに連続した調査地間の距離を計測し分布拡 2 か所(Fig. 6: 28, 29)でも本種が初めてみられた.三重 大速度を求めた.その結果,国道 168 号から連続する国道 県沿海部の御浜町阿田和(Fig. 6: 13)では発見されなかっ 311 号沿いでは最初南へ,途中から西に向かって 9.21 km/ た. 年(十津川村風屋(23)田辺市野中(17))の分布拡大速

Fig. 2 Fig. 3

Fig. 4 Fig. 5

Figs. 2–6. Map of the southern Kii Peninsula show- ing range expansion of Paraglenea fortunei in 1999, 2001, 2003, 2005 and 2008. Solid and open circles indicate the survey sites where adult were present and where they were absent, respectively. As for the addresses of survey sites, refer to the text where numerals near the circles on the maps are followed by addresses.

Fig. 6 ラミーカミキリの分布拡大 131

度を,国道 42 号沿いでは南西から東南東に向かって 11.93 入した時期,それらが侵入地周辺に定着して繁殖が可能と km/年(和歌山県印南町島田(23)串本町和深(9))の分 なった時期,および周辺への分布が拡大し始めた伝播期で 布拡大速度を得た. ある(重定,1992; Born et al., 2004; Colautti and MacIsaac, このように,ラミーカミキリは徐々に紀伊半島を南部に 2004 など). 奈良県における初期の分布記録(1979 向かって分布を拡大し,2008 年には南端東部の太平洋岸地 年1988 年)をみると,その範囲が直径 10 km 程度と極め 域を残して,ほぼ紀伊半島の全域に分布するに至った. て小さく,また,三重県伊勢市付近でもこの期間(1971 年1988 年)に東西に 40 km ほどの範囲でしか記録されて 考 察 いない.これらの事実から,この期間は分布の拡大が極め 本研究の結果,1971 年に三重県伊勢市,1979 年に奈良 て緩やかな「定着期」(重定,1992)にあったと推察され 県高取町壺坂寺において発見されたラミーカミキリは,30 る.その後 1990 年代になると分布は急速に拡大し始め, 年余をかけて紀伊半島南端部にまで分布を拡大したことが 現在に至るまでの時期が「伝搬期」にあたると言えよう. 確認された(Fig. 1).1971 年に伊勢市において発見された 紀伊半島では,古くからカラムシの栽培が行われており, 本種個体群は,1988 年ころまでその周辺に止まって分布は 江戸時代には特産織物「奈良晒し」の原料として奈良県北 急激に拡大していなかったようにみえる.一方 1979 年に 部と京都府南部でカラムシ栽培が活況を呈しており,天保 奈良県北部で発見された個体群は,1990 年代には周辺に分 七年(1836 年)にはより南部の奈良県宇陀郡や吉野郡で 布を拡大し,1999 年には奈良県南端に達したことが文献記 も栽培が試みられる(竹内,1995)など,繊維作物として 録からうかがわれる.また,和歌山県側でも,和泉山脈か 一般的であった.また,第二次世界大戦中に行われたナン ら南下を続けて 2003 年には印南町に達した.南端地域で バンカラムシの広域への移植以前にも紀伊半島南端部の和 は印南町方面からの南下個体群,奈良県南端からの南下個 歌山県大塔村松根の北海道大学演習林でカラムシが記録さ 体群がそれぞれ分布を拡大し,2008 年には潮岬から三重県 れていて(舘脇,1932),戦前にはすでに紀伊半島に広く 御浜町にかけての海岸沿いを除いたほぼ全域に分布域が拡 分布していたことが推察される.また,幼虫寄主植物の一 大したことが確認された. つであるムクゲは古くから庭木として栽培されており,分 近年のラミーカミキリの移動には,寄主植物の一つであ 布は普遍的であったと思われる.このように,紀伊半島で る栽培植物ムクゲの移植による幼虫の移動が関与している は幼虫寄主植物がラミーカミキリの分布拡大以前から分布 ことが指摘されている(平野,1985; 高桑,1988 など).紀 していたと考えられ,寄主植物の分布の欠如のために「伝 伊半島においても寄主植物の移植によって他の地域から持 播期」への移行が 1990 年代まで抑制されていたとは考え ち込まれた可能性がある.三重県伊勢市における 1971 年 られない.分布拡大の極めて緩やかな「定着期」から分布 の本種の初記録(川原・大川,1981)には「採集された場 拡大速度の大きな「伝播期」への移行の要因の解明は今後 所は相互に近接し合っており,分布地は極めて限られた範 の研究課題である. 囲にすぎない」との記述があり,当時のもっとも近い分布 文献記録にもとづく和歌山県および奈良県における約 5 地である名古屋市周辺(穂積,1979)とは大きく断絶され 年毎の分布拡大速度では,3.88 km/年から 8.52 km/年の数値 ていることからも,外部からの食樹の移動による持ち込み が得られたのに対して,三重県の大台町滝原から大内山町 の可能性が大きい.一方,奈良県高取町の 1979 年の記録 梅ケ谷方向への分布拡大速度は 0.96 km/年と極端に遅い. については,岩田(1989)が,京都府宇治市における 1980 大台町滝原は伊勢市の本種最初の記録地伊勢市から宮川に 年の観察例を根拠に,奈良県の本種は京都府南部から南下 沿って連なる「定着期」における産地群の南西端に位置し したもの,と考察している.しかし,京都府南部と奈良県 ている.一方,大内山町梅ケ谷は宮川の支流である大内山 中部の中間に位置する地域,特に奈良市春日山周辺のよう 川の上流に位置する国道 42 号沿いの調査地で,2008 年に な観察者の多いところでも 1980 年代の本種観察例がない 現地を調査すると滝原から続く国道道路敷に断続的ではあ こと,奈良県北部の奈良市や隣接する生駒市の記録が 1993 るがカラムシもみられ(加藤・大林,未発表),紀伊山地 年までなかったこと(加藤ら,1995),などから,奈良県 の一般的な渓谷沿い道路敷の環境と大差なく,これといっ 高取町における記録も,人為的な持ち込みの可能性を排除 てラミーカミキリの分布拡大の障害となりそうなものはな できない.三重県伊勢市の記録地は古い住宅密集地である い.この地域における南下の遅延の理由は不明である.前 こと,また,奈良県高取町の記録地も住宅密集地に隣接し 述の「定着期」から「伝播期」への移行のメカニズムとも ていることから,当時庭木として移植されたムクゲによっ 関連すると思われ興味深い. て持ち込まれたと考えるほうが自然であろう. 1999 年以降実施した紀伊半島南端地域における野外調 外来生物の侵入から分布拡大に至る過程は,一般に 3 つ 査では,2001 年に三重県熊野市で発見され,これは奈良県 のステージに類型化される.すなわち,外部から最初に侵 南端の下北山村から国道 169 号と国道 309 号に沿って三重 132 加藤敦史・大林延夫

県側に侵入したものと考えられる(Fig. 3: 30).また,2003 の伝搬期における分布拡大に道路敷のカラムシ群落が主要 年には奈良県南端の十津川村の個体群が国道 168 号に沿っ な役割を果たし,また和歌山県南部の一部河川では堤防の て和歌山県本宮町と田辺市東部に南下したことが野外調査 カラムシ群落も分布拡大経路として機能したものと考えら の結果示され(Fig. 4: 17, 19, 21, 22),この経路における分 れる. 布拡大速度を国道沿いに求めると 9.21 km/年であった.一 摘 要 方,和歌山県の海岸沿いでは 2005 年に和歌山県白浜町 (Fig. 5: 4)にまで分布が南下し,また国道 311 号沿いに東 ラミーカミキリの紀伊半島における分布拡大を追跡・検 進して中辺路地域にも侵入し,前述の奈良県南端から西進 証した.文献上の記録によれば,本種は 1970 年代に三重 してきた国道 168 号経由の個体群と合流したものと推察さ 県伊勢市と奈良県北部で発見後,10 から 20 年の定着期を れる(Fig. 5: 15, 16).2008 年には和歌山県の南岸沿いの 経て奈良県と和歌山県を中心に次第に南方に分布を拡大し 地域における分布拡大が顕著であるが南端の潮岬付近を境 た.1999 年からは,三重,和歌山,奈良の 3 県で未分布 に東側には分布を拡大していない(Fig. 6: 9).この経路に 地を含めて継続的にその分布拡大を調査した結果,2008 年 おける分布拡大速度を国道 42 号沿いに求めると 11.93 km/ には紀伊半島の南端の一部に達したことが確認され,1971 年であった. 年の三重県における初記録以降,37 年間で紀伊半島のほぼ 保科ら(2007)は,福井県におけるラミーカミキリの北 全域に分布を拡大したことが確認された. 上速度を 15 km/年と推定し,関西方面における北への分布 引用文献 拡大速度 2 km/年を凌駕すると述べている.今回得られた 紀伊半島南端部における分布拡大速度は 10 km/年程度であ Bates, H. W. (1866) On a collection of Coleoptera from Formosa, sent home by R. Swinhoe, Esg., H. B. M. Consul, Formosa. Proc. り,福井県の分布拡大速度と比較して違和感がない.前述 Zool. Soc. London 1866: 339–355. のように紀伊半島中部の和歌山県と奈良県で文献記録にも Bates, H. W (1873) On the longicorn Coleoptera of Japan. Ann. とづいて 5 年程度の時間間隔で記録された 2 点間の直線距 Mag. Nat. Hist. Fourth Ser. 12: 148–156, 193–201, 308–318, 離の測定結果では 3.88 km/年から 8.52 km/年の分布拡大速 380–390. 度が得られており,紀伊半島南端部で国道沿いに調査地を Born, W., F. Rauschmayer and I. Bräuer (2004) Economic evaluation つないだ計測値よりやや小さい.紀伊半島中部においても of biological invasions: a survey. UFZ-Discussion Papers 1–30. Colautti, R. I. and H. J. MacIsaac (2004) A neutral terminology to de- 渓谷底を蛇行した国道伝いに分布拡大が生じていたと仮定 fine ‘invasive’ species. Diversity and Distributions 10: 135–141. し,蛇行した国道沿いに分布調査を実施して国道沿いに速 遠藤 勉 (1980) 奈良県でラミーカミキリを採集.月刊むし 112: 度を計測すれば,中部においても南端部と同様に 10 km/年 35. [Endo, T. (1980) Capture of Paraglenea fortunei in Nara Pre- 程度のやや大きな分布拡大速度となった可能性がある. fecture. Gekkan Mushi 112: 35.] 岩田(1989)は,京都府南部における本種の分布拡大が Gressitt, J. L. (1951) Longicorn beetle in China. Longicornia 2: 568. カラムシの多い鉄道線路に沿って進行した可能性を示唆し 平松広吉 (1997) ラミーカミキリを和歌山市で採集.Kinokuni 52: 20. [Hiramatu, K. (1997) Capture of Paraglenea fortunei in た.一方,加藤(1998)は,鉄道のない奈良県内陸部での Wakayama City. Kinokuni 52: 20.] 本種の分布拡大では道路が分布拡大の経路となっていると 平松広吉 (1999) ラミーカミキリを護摩壇山で採集.Kinokuni 56: 考えられると述べている.紀伊山地では河川がしばしば V 24. [Hiramatu, K. (1999) Capture of Paraglenea fortunei in Mt. 字渓谷底を流れていて,一部は長大なダム湖と化している. Gomadansan. Kinokuni 56: 24.] カラムシは渓谷底にはほとんどみられず時に孤立した群落 平野幸彦 (1985) 神奈川県産ラミーカミキリの移動経緯と一考察. がみられるのみである.これに対して,渓谷斜面の道路法 月刊むし 171: 39. [Hirano, Y. (1985) History of invasion of Paraglenea fortunei in Kanagawa Prefecture with discussion note. 面などにはカラムシが断続的にみられ,しばしば大きな群 Gekkan Musi 171: 39.] 落もみられる.このことから紀伊半島中部の山地ではラ 廣田壽正,三木三徳,八木正道 (1999) 大阪府のカミキリムシ. ミーカミキリは主として道路沿いのカラムシに依存して分 自費出版.[Hirota, Y., M. Miki and M. Yagi (1999) Cerambycid 布を拡大したことが考えられる.一方,現地調査した和歌 Beetles of Osaka Prefecture, Japan.Personal Publication, Osaka.] 山県南部では国道 42 号が海岸沿いを走り,カラムシの群 日浦 勇 (1979) ラミーカミキリ奈良へ侵入.Nature Study 25(8): 落は断続的に道路敷にみられる.また田辺市の右会津川 9. [Hiura, I. (1979) The invasion of Paraglenea fortunei in Nara Prefecture. Nature Study 25(8): 9.] (田辺市秋津付近 Fig. 5: 2)や白浜町の富田川下流部(白 保科英人・寺嶋美乃・魚見陽香・山田千恵 (2007) 福井県内のラ 浜町郵便橋付近 Fig. 5: 3)の調査地では河川堤防に広大な ミーカミキリについて.甲虫ニュース 157: 13–19. [Hoshina, H., カラムシ群落を生じており,堤防も伝播経路となったこと M. Terashima, H. Uomi and C. Yamada (2007) Notes on Paragle- が推察される.以上をまとめると紀伊半島においてムクゲ nea fortunei (Coleoptera: Cerambycidae) in Fukui Prefecture, Hon- の移植によって北部に持ち込まれたラミーカミキリは,そ shu, Japan. Coleopterists’ News 157: 13–19.] ラミーカミキリの分布拡大 133

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