KJFC(九谷ジャズファンクラブ)会報 http://www.kjfc.info Vol.43 GROOVY 2007.9.27 特集:“今”のジャズ喫茶第5回 『茶会記』 CONTENTS 九谷ジズファンクラブ(KJFC)会報 GROOVY VOL.41 公式ホームページ : http://www.kjfc.info 2007.2.16

〔JAPAN JAZZ JUNCTION〕 ”今”のジャズ喫茶(5)『茶会記』 3 LIVE REPORT 宮之上貴昭&菅野義孝 H.S. 7 関根恒太朗トリオ『映画館』 8 高輪コミュニティ・ジャズ・オーケストラ 紅 我蘭堂 9 DISK 紅 我蘭堂 10

〔連載〕 Y's Room No.18 Y、田辺充邦のライブに行く 11 ハービー・ハンコック研究 第10回 高木 信哉 12 曲解説:遠藤 律子 気まぐれジャズマン第23回 水戸守敬一郎 17 東京ジャズ喫茶 1970年代初頭(中編) 紅 我蘭堂 18 SOUL TLAIN Vol.5 M.T. 20 [KJFC TOPICS] 16

例会レポート 22 石井宏一 T.S. JOANIE--S.T 紅 我蘭堂 他

このPDF版GROOVY-42 号は、印刷物として発行、配布したものを基に新たにレイアウトしています。 したがって、印刷物とは一部異なる部分があります。 表紙および本文中イラスト制作(各ロゴマークを除く)……水戸守敬一郎 ※無断転載はかたくお断りいたします。 印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話03-3941-4508 J.J.J. Japan Jazz Junction シリーズ特集「“今”のジャズ喫茶」(5)『茶会記』 老舗のジャズ喫茶が一つまたひとつと閉店していくなか、この7月、新宿区四谷三丁目に新しい店が正式に オープンした。新宿通りから路地に入って住宅街の中、立地は必ずしもジャズ喫茶に向いている訳ではない が、30歳代と若い福地オーナーは、ジャズに止まらず「総合藝術喫茶」をめざして、さまざまなイベントなども 企画して、新しいジャズを享受する空間を模索している。

新しい「総合藝術喫茶」へ 本誌 神保町に「喫茶去」(きっさ こ)という喫茶店が さまざまな形態があると思うのですが、こちらのお店 ありまして、店の名前としては珍しいのですが、こち が目指しているのは、どのような趣向なのでしょうか。 らの「茶会記」というのも変わっていますね。 福地 私自身は、フリージャズなども好むジャズ喫茶 福地 「茶会記」は、「さかいき」あるいは「ちゃかい フリークなのですが、ジャズだけにこだわらず、さま き」と、どちらで読んでも正解なのですが、私は語感 ざまな芸術に関心のある方々が気楽に来店してくださ が好きなので、「さかいき」ということにしています。 るような店を目指していきたいと考えています。 これは、茶会が催されたときの記録で、日時、場所、道 クラッシックも、民族音楽などもそれぞれのファンの 具建て、膳の献立などを書き記したものです。参集者 人が愉しめるような店になっていったらいいなと思っ の氏名は記載されている場合とないときとがあるよう ています。 です。 本誌 客層はどんな感じですか。 この店で出会った人々が即興でお茶会をして、さまざ まな話題で楽しもう、というような趣旨で店の名前に してみました。 本誌 開店したのはいつ頃ですか。 福地 非公式には今年の5月26日から仲間内で、それ こそ茶会的な集まりを開いて、芸術的なコラボレーショ ンをやってきました。正式に看板を掲げて営業を始めた のは、この7月のことです。4、5年前から年に1、2 度、喫茶店などをお借りして集まりはやっていたのです が、やはり定着させていくには自分で店を構えたほうが いいと思いまして踏み切りました。 本誌 開店の前に「ジャズ批評」には紹介されていまし たね。 福地 ええ、それは、以前からこの場所には、「音の隠 ■ ジャズを語る福史氏 れ家」というオーディオショップがあって、隣のスペー 福地 まだ開店早々ですから、何とも言えないところが スで営業していますが、オーディオマニアのあいだでは ありますが、いくつかグループがあって、私と同年代の 少々知られていました。 人々、ご近所や噂を聞いて来ていただいている方、会社 まだ正式にオープンする前に、「隠れ家」のオーナーの 帰りに連れ立っていらっしゃる方々、それとKJFCの皆 中山新吉さんのご縁で「ジャズ批評」の編集をされて 様など、いくつかの類型になりますね。 いる花村圭さんが来店されて、オープン前にもかかわ 四谷という場所は、江戸時代から町屋が密集していた らず誌上で紹介していただいたということです。 ようで、今でもいくらか庶民的な住宅が残っているの 本誌 このお店を開こうという動機は、文化的なもの ですが、画廊があったり、芸術に関わるお仕事をされ のほかに何かあったのですか。 ている方が住まわれていたり、結構文化的な雰囲気が 福地 これまでの私の人生は、ジャズ喫茶に通い詰める ある街なのです。 ものでした。それだけに、ジャズに対するシンパシーや 本誌 なるほど、それで「総合藝術喫茶」というわけで 憧れのようなものはあったのですが、あくまでもファン すか。 としてジャズに接してきました。そうこうしているうち 福地 一言で「芸術」と言っても、ジャンルが違うと、 に、中山さんのご好意もあって、開店できるチャンスに なかなか交流の機会がないということが多いわけです 巡り会えたので、思い切って転業することにしました。 ね。ところが、一つの場所に集まって話をしてみると、 本誌 以前もジャズにかかわる職業だったのですか。 それなりに盛り上がれるということがありまして、お 福地 いいえ、まったく別で、コンピューター関係の職 互いに違う観点から刺激を受けて、新しい創造意欲を に就いていました。 掻き立てていただければ、何か面白いことも生まれて 本誌 ジャズ喫茶といっても、オーナーさんの趣味で くるのではないかと思っています。

3 J.J.J. オーディオ装置で集客できる時代ではない 雰囲気を作っていきたいと考えています。 本誌 オーディオ装置の紹介をしていただけますか。 本誌 どの世界の話でもマニアは、傍迷惑も考えず、一 福地 スピーカーからいきますと、ステレオはB&W の 般に理解できない会話ができるだけで盛り上がってし Signature805、モノーラルは、音の隠れ家さんから まうところがありますね。 借用しているGOODMANのAXIOM150を国産の背 福地 あまりコテコテのマニアばかりが集まってしまっ 面解放エンクロージャーに取り付けたものです。 て、一般の方が突付きにくいと困ります。それで、情 アンプは、Mcintosh MA2275、アナログ系は、い 報誌のような誌面で取り上げたいというご要望もいく ずれも音の隠れ家さんから借用しているもので、ター つか来るのですが、今のところ登場するメディアは少 ンテーブルは Thor ens の TD 124 の初期型に し絞っていきたいと思っています。 SME3009-S「というトーンアームを取り付け、カー 本誌 アナログのオリジナル盤とかへの拘りはあるの トリッジは、Empire 4000D1を使用しています。 ですか。 デジタル系は、YAMAHA のCDR-HD1300 という 福地 老舗のジャズ喫茶だと、大量にオリジナルの名 CD プレーヤーから CAMBRIDGE AUDIO の 盤を所有されていて、それを大きな売り物にできるわ DACMAGIC2というコンバーターに送り込んでいます。 けですが、新参のジャズ喫茶だとそうはいきませんね。 本誌 結構考えた構成のようですが、システムの特色 名盤集めも半端な金額ではありませんから、借り物の はどうですか。 盤だったり、お客さんに持ってきていただいたものだっ 福地 ジャズ喫茶全盛期の姿は、大きなスピーカーが たりと、結果的には様々な方のご支援で音源を充実さ あって、大音量で鳴らしながらホットな音に浸ってい せつつあるというところです。 ただく、というものだと思いますが、私たちの世代に なると、家庭にもある程度のシステムがあって、とく にジャズ喫茶にいかなければ迫力のある音が聞けない 四谷の「隠れ家」 ということではなくなってきている、と思います。そ 本誌 以前別のお店の取材で聞いた話なのですが、表 うすると、大きなシステムを備えているということに 通りから少し入った目立たないところというのも、立 それほど訴える力がなくなってきているのではないの ち寄りやすくて都合がいいということはありませんか。 でしょうか。逆に家庭などではちょっと手がでないシ 福地 目立たないところで、それが逆に粋人に好まれ ステムというと、相当の投資をしなければ無理という る、そうなると嬉しいのですが、これからどうなって ことになります。 いくか多少の不安もあります。場所柄、偶然発見した 正直を言いますと、私自身はオーディオ装置にも少な からず関心はありまして、お隣がビンテージオーディ オのお店ということもあって、使ってみたい装置もあ ります。しかし、この世界はキリがない、現在の当店 の資金力では今のシステムを使いこなしていくことに 力を注いだほうが賢明と思っています。 本誌 スピーカーが2系統というのは、少し変わって いますね。 ■ 「音の隠れ家」オーナー中山新吉氏 福地 ええ、単純に言いますと、どちらも捨てがたい 魅力がある、ということなのです。極端に持ち味の違 というお客さんはいても、通り掛かりで入店されてく うスピーカーを鳴らしていますが、AXIOM150は、入 るお客さんはまずいません。そもそも新宿通りから路 力15W インピーダンス15オームの30cmフルレン 地に入ってしまうと、よほど土地勘のある方でないと ジ、どうみても現代のスピーカーの定格ではありませ なかなか店に辿り着けません。一度来店されて、雰囲 ん。こちらは、ゆったりとした中音域が魅力です。1本 気がお気に召したら、頻繁にきていただけるようには しかありませんから、当然モノーラル音源の、主にヴォー なります。 カルや古い録音のアナログ盤を鳴らすのに使っていま 目立たないところで開店したのは、ランニングコスト す。B&Wは、165mmのミッドウーファーと25mm や店の雰囲気を考えた面もありますが、あまり、雷同 のメタルドーム・トゥイーターの2ウェイです。再生周 して多くの方が来店されるより、探して来ていただい 波数帯域が42Hz ~50kHz と広く、その特性を活か て静かに会話を楽しむ空間を大切にしていきたいとい して、主に現代的なデジタルの音源の再生に使ってい う思いがあります。 ます。 本誌 場所がわかりにくいのは、客層を選別する要素 本誌 音源で使い分けているということですね。 にもなっているというわけですか。 福地 音も重要な要素のひとつですが、オーディオ・マ 福地 そういわれると少々おこがましいのですが、目 ニアの方と込み入った話をしても、こちらがなかなか 立つ所だと、どうしても種々の方がお見えになります。 追随できないということもあります。細かな奥深い世 そうすると、選曲や会話にも気を遣ってしまうという 界の話をするよりも、音もひとつの要素として、店の ことになると思います。このとおり狭い店ですし、一

4 J.J.J. 人で切り盛りしていますから、あまり多くのことに手 しろアマチュアにしろ、様々な芸術的な活動をしてらっ を取られると、かえってお客さんに迷惑をかけること しゃる方が来店されるので、クロスオーバーで、異種 にもなるので、それは避けたいとは思っています。 分野の交流の場になっていったら楽しいかなと思って 本誌 掛ける曲は、どのようなものでしょうか。 います。 福地 特にこれといった傾向はありませんが、大雑把 に言いますと、ジャズをかなり聞き込んできたと思わ ジャズ喫茶のコーヒーは不味くてよいのか れる方が多いときは、音量を少々大きくしてハードバッ 本誌 アンティークの家具とか、古い喫茶店のマッチ プなどを中心にした選曲にして、ジャズを聞き始めて とか、昔のジャズ喫茶を彷彿させながら、趣がかなり 日が浅そうな方が多いときは、イージーリスニング風 違うという印象ですね。ジャズとは別な話ですが、美 のものを中心にしています。 味しいコーヒーですね。 バックグラウンドミュージックでジャズが掛かってい 福地 ありがとうございます。 る、と考えている人も多いので、基本的にはそのとき 本誌 味に拘りがあるのですか。 のお客さんの好みに合わせています。迷うのは、近く 福地 ええ。自分もさんざんジャズ喫茶巡りをやって の会社の方々が打ち合わせでいらしているときに、熟 きたので、それぞれの店の良いところ悪いところを見 達のジャズファンの方が来店されたようなときです。ど てきたつもりです。ほかがどうあれ、コーヒーの味は ちらの好みに合わせるか、少々考えるところなのです 美味いほうが良いに決まっています。 が、一応先客優先という原則で、先にいらしたお客さ 本誌 全盛時代のジャズ喫茶では、コーヒーの味に文 んに合わせているので、後からいらしたお客さんには 句をつけてはいけない、というのが不文律でしたが。 お話しして了解していただいています。 福地 そうらしいですね。不味くて当然というような。 本誌 リクエストなどはお受けになられるのですか。 そういう意味では、昔のマスターは偉かったですよね。 福地 それほどストックがないので、リクエストをさ 俺のやり方に四の五の言うなとやってられましたから。 れても、手元にないもののほうが多いと思います。プ 本誌 現在はそうはいきませんか。 レーヤーとか、雰囲気とかでリクエストされると、近 福地 それでやれるというのは、別な面で自慢できる いものがある可能性は高いです。 ものがないと無理だと思っています。自分自身もコー 本誌 ジャズ喫茶全盛の頃だと、大音量でハードバッ ヒー好きでそれなりの拘りもありますから、気に入ら プを鳴らすというのがというのが主流でしたね。ひと ないものは飲めないし、ましてやお客さんにお出しし つの形で、客のほうもそうした環境を期待して行って てお代をいただくのは気が引けます。最上とはいかな たわけですが、最近だといそうもいかない事情があり くても、できる限り美味しいコーヒーにする努力はし ますね。 ています。 本誌 何か秘密があるのですか。 イベントも実施 福地 コーヒーの味は、豆の品質が第一だと思います。 本誌 ライブとかイベントは行っているのですか。 本誌 差し支えのない範囲で秘密を教えてくださいま 福地 そうですね。ジャズに限らずいろいろな催し物 すか。 を企画しています。来月初めにはドブロギターという 福地 当店のホームページにも書き込んでいますから、 少し珍しいギターを取り混ぜたデュオでブルースのラ コーヒー豆の出所はお話しても差し支えありません。 イブを計画しています。 私は、北海道の函館で生まれ育ちました。当店で使っ 本誌 頻繁にライブもやるおつもりですか。 ているのは、函館で1932年に創業した美鈴コーヒー 福地 店が狭いということや、とくに遮音していないの という会社の豆です。故郷への愛着もありますが、こ でご近所に迷惑がかかるので、今のところ本格的なライ ちらの要望をよく取り入れてくれるので、自分のイメー ブをやるつもりはないのですが、機会があれば好きな人 ジに近いブレンドにしてもらえるので使わせてもらっ が集まって小規模なライブも実施していきたいとは思っ ています。 今は札幌が大都会になってしまいましたから、函館は ています。 ローカル色が濃い街という印象がありますが、幕末に 演奏だけでなく、トークセッションのようなものも実 開港したところですから、札幌などよりも早くから西 現できればとも思っています。 洋文化が浸透してきました。 少し欲張っていますが、絵画、陶芸なども含めて「総 日本で初めて珈琲が飲まれたのは、函館、横浜、神戸 合藝術喫茶」というようなものが展開していけたらと と長崎の元町と言われています。それぞれ特色のある 思っています。現在も壁面を使って若手画家のロング コーヒー文化が育まれている街ですね。 ラン展示を開催中です。9月の下旬には根津のほうで、 本誌 店独自のブレンドですか。 個展のお手伝いもする予定です。 福地 そうです。配合は企業秘密ですが、こちらから 本誌 一種の文化の発信基地のようなものを目指してと メーカーにお願いしたブレンドを調製してもらってい いうところでしょうか。 ます。 福地 それほど大層なものではありませんが、プロに 本誌 それをオーダーごとに挽いてサイフォンで淹れ

5 J.J.J. るという丁寧なやり方ですね。 少し掛けています。 福地 できるだけ鮮度を保ちたいので、長く在庫しな 本誌 いろいろ飲食の面でも工夫されているのですね。 いようにもしています。 福地 自分自身が食の世界に関心があるということも 本誌 ほかにメニューで特色のあるものはありますか。 ありますが、店の特色を出すということも考えて、品 福地 最近は「白い恋人」の騒動で、少々信頼を失っ 揃えしています。 ていますが、北海道には美味しいスイーツ類がたくさ 本誌 ジャズ以外のところでも頑張ろうということで んあります。 すか。 函館にある「志濃里」という菓子店の『濃厚フロマー 福地 少々気障に言うと「茶会記」ですから、一期一 ジュスティック』というものもお出ししています。 会を大切にした「おもてなしの心」というところです 本誌 お取り寄せですか。 かね。「長居喫茶」というのももう一つのコンセプトで、 福地 いいえ。都内で入手できるところがありますか どうぞ長時間座って ら、そちらで仕入れてきます。 いてください、と申 本誌 メニューに「ハスカップ」というのがあります し上げています。 が、これもケーキか何かですか。 本誌 なるほど。新 福地 いいえ。果実です。元は北海道でも千歳から苫 しい形のジャズ喫茶 小牧の湿地帯にしか自生していなかったブルーベリー ですか。 のような実です。最近は畑で栽培しているようですけ 福地 いえ、もちろ ど。生の実は、ジャムやジュースの原料にされるだけ ん、ジャズは中心に で、一般の店に出回る量はごく少量です。その冷凍品 あり続けますが、飲 をヨーグルトに添えてお出ししています。これも都内 食も含めた「総合藝 で入手できるところがありますので、そちらで仕入れ 術喫茶」を目指した ています。 いのです。 本誌 珍しいものですね。初めて聞きました。 ■ 味にも拘って 福地 眼によい効果があると言われるブルーベリーよ 2007年8月17日取材 りも有効成分を多く含んでいるそうです。ビタミンや (取材:紅 我蘭堂、執筆:石井宏一) ミネラルも豊富で、疲労回復の効果もあるとか。ただ し、レモンのような強烈な酸味がありますので蜂蜜を

【取材後記】 お訪ねしたのは、8月半ばの昼下がり、地下鉄丸ノ内線の四谷三丁目から2、3分の距離だが、表通りの喧噪が 嘘のような静寂な住宅地が拡がり、日中は、蝉時雨が賑やかだった。夜ともなれば、「怪談」の土地柄だけに、 植え込みに囲まれた暗闇がそこかしこに待ち受けている。店内も落ち着いた照明にアンティークの調度が映 え、一瞬、半世紀ほどもタイムスリップしてしまったかのような感覚にとらわれる。

『喫茶茶会記』(きっささかいき、ちゃかいきでも可) K i s s a s a k a i k i 住所:東京都新宿区大京町2-4 サウンドビル1F 電話:090-1034-3487 【営業日時~入店可能日時】火曜~日曜 15:00-23:50 月曜日定休 【交通】 東京メトロ丸の内線「四谷三丁目」駅下車、あるいは東京メトロ南北線およびJR「四谷」駅下車 詳細地図は、http://sakaiki.modalbeats.com/をご参照ください。 【メニュー】 ソフトドリンク→函館美鈴珈琲(ホット・アイス)/アイスミルク(メイプルシロップ入り)/ジンジャーエール (ウィルキンソン)各500円 アルコール→バーボン・ウィスキー600円/ ビール600円 /ワイン(一種類、日替) 600円 【Option】 特製ハスカップヨーグルト200円 【Option】 DEMELの猫舌チョコレート200円 【店主から煙草についてのお願い】 当店は骨董や美術品も販売しております。したがいまして、陳列品の保護のため、原則として店内は禁煙とさせていた だいております。ただし愛煙家の皆様のため、カウンターに強制排気ダクトを設置しております。 喫煙の際は、カウンターでダクトに直接煙を送り込むように喫煙していただければOKでございます。

6 J.J.J. LIVE REPORT

宮之上貴昭 & 菅野義孝 ギターデュオライブ 07 / 7 / 26 四谷「POKOTAN」

数ヶ月前だったかラリー・コリエルとエミリー・レ 若手ジャズギターリストの逸材である。こうした優れ ムラーの素晴らしいギターデュオアルバム(コンコー た資質が日本のRVGと異名を取る佐藤弘氏のWhat's ド盤)と出合った。二人のインティメイトな対話の妙 Newレーベルから「INTRODUCING」と前記 技が随所に聴け愛聴盤となってしまった。そんな訳で 「MOVEMENT」、二枚のアルバムとして結実した ギターデュオに傾注していた矢先の6月、何気なく宮 のだった。 之上さんのホームページを見ていた折、ライブスケ 一方、宮之上貴昭は内外問わず旺盛な活動を展開 ジュールに本セッションがアップされていて驚いた。 させており、特筆すべきはレギュラーのユニット"ス これは聴き逃せないと思うと同時に、こんな素晴らし モーキン"の活動に留まらず自身が積極的に様々な い企画を誰が...... と思いつつ受話器を手にしていた。 ミュージシャンと係っている事だろう。こうした事の ライブを仕切っているS氏に依れば"POKOTAN" 積み重ねが更なる音楽性を高める相乗効果を発揮、4 独自の企画だと言う。今年の前半に最初のセッション 年間アルバムのリリースが途絶えていたが「SPIR があり大きな反響の下、当日は青森から熱心なファン ITS」を皮切りに間隔をあけずに発表されているの も駆けつけ立ち見の出る盛況であったと言う。そうだ は昨今の充実ぶりを物語ってい ろう、ギターフリークにかぎらず思わず聴いてみたく ると思う。 なる好企画であると思う。 さて、当日のセッション、 本セッションの紹介の前に菅野義孝との出会いに触 ギターミュージックバー"PO れておきたい。 KOTAN"はカウンターと 2年半前、関内の「アルジマウケ」と言うカフェー ボックスを左右に配した細長い ギャラリーで自主ライブを行っていた時、ドラマーの スペイスで20名で満席となるこ 山口新語さんにお願いして菅野さんとベースの嶋田恵 じんまりとした店であった。そ 二さんのトリオでセッションを行った。初めて聴く菅 の奥右側に宮之上貴昭、左側に菅野義孝、私は早めの 野さんのグラント・グリーンライクなプレイに好感を 予約によって菅野さん側、最前 もった。実質的なリーダーである山口新語さんの緻密 列で聴くことが出来た。 で控えめなバッキングによってギタートリオの醍醐味 ( FIRST SET ) を十分満喫したのだった。その時購入した最新作、メ 1.Seven Come Eleven 2.Have Y ル・ラインとグラディ・テイトで入れた「MOVEM ou Met Miss Jones 3.The Shadow ENT」(What's New)によって日常的に氏のプレイに Of Your Smile 4.Whisper Not 5.T 接し益々そのギターサウンドに魅了されてしまった。 his Could Be The Start Of Someth 菅野義孝は岩手出身で1972年生まれ。キング / パ ing ドルホイール盤の「ジャズ新撰組」で2曲フィ二チュ ( SECOND SET ) アーされるや否や俄然注目された。プロデューサーの 1.Alone Together 2.Shiny Stockings 3.Round Midnight 中尾洋一氏をして「ジャズギターの本道を極めたプレ 4.On The Sonny Side Of The Street 5.Over The Rainbow イ、オーソドックスななかにもキラリと光る個性は忘 以上が、当夜の演奏内容である。著名な曲ばかりだ れがた がギターデュオと言うフォーマットの為か緊張と寛ぎ い印象 が自在に展開しスリル溢れた演奏内容で、めまぐるし を残し く展開する二人のプレイがスインガーでもバラードで てくれ も聴き慣れた曲が実に新鮮だった。オープニングの た。」 (1)はC・クリスチャンに敬意を表した有名なリフ・ナ と言わ ンバー。(5)はグラント・グリーンの名演がある( I しめた WANT TO HOLD YOUR HAND / B.N )スタンダー

7 J.J.J. ド・ナンバー。宮之上貴昭の急速調のコードプレイの ソロでTAKE THE A TRAINを演奏、その際立ったテク 凄さ、菅野義孝の美しい音色によるアドリブが絶妙な ニックと音楽性に驚く。 コントラストを生み出していた。SECOND SETも二 この様に、POKOTANでのライブは、めったに 人の持ち味を生かしたスリリングなセットであったが 聴けないギターデュオを大いに楽しみ2年半ぶりで菅 途中、中溝ひろみさんのボーカルでエリントンのDO 野さんとの再会も出来、自分としては久しぶりにライ NOTHIN' TIL YOU HEAR FROM MEとONE NOTE SA ブの素晴らしさを堪能し、足取りも軽く深夜の四谷を MBAの二曲、共にジャジーで本格的なジャズボーカ 後にした。 ルを聴かせ良かった。又、宮之上さんのギター道場の (H.S.) 師範代関口氏が宮之上さんに促され、ガットギターの

7 月 6 日 関根恒太朗(as,ss) 田中洋平(b) 大田智洋(ds) 於『映画館』

1ステージ 1)Up And Down (8:00) 2)The Nearness ころを継承しながら、独自性を勉強しているという姿 Of You(14:50) 3)Dolls(14:55) 4)Garden(9:32) 5)Well Y 勢が現れていた。またオリジナル曲を多用して、現在 ou Needn't(10:59) の自分を表現しようということにも好感できた。その 2ステージ 1)There Are No Greater Love(18:18) 2) ユニークな曲作りや個性的なフレーズに才能を感じ Big Or Small(9:31) 3)First Song(13:50) 4)Liberia(14:10) た。次にどのようなフレーズが飛び出すか、心地よい 5)Tennessee Waltz(9:13) 6)Oleo(6:42) 緊張感を持たせる力演だった。 田中は、私が思うに潜在的にレイ・ブラウンをアイ ドルにしているのでは、ないだろうか。一音一音に掛 久しぶりに若手の気合が入ったライブを聴かせても ける意気込みが伝わってきた。ソロもしっかりしてい らった。まずはメンバーを紹介しよう。 るし、時折ブリブリゴリーンと弦をはじく音も面白 アルトサックスとソプラノサックスの関根恒太朗は い。そうは行っても的確に低音部を支えている確かな 1982年東京生まれ。12歳でアルトサックスを始めた。 仕事や、ソロパートで聴かせたお茶目なフレーズは職 中学・高校と吹奏楽部に在籍し、大学でジャス サークルに参加する。現在は自己のバンドや高 瀬賢二(g)バンドを中心に活動している。 ベースの田中洋平は1979年生まれ。大学で ジャズ研に入りジャズに魅了される。在学時か ら演奏活動を始め、卒業後は本格的にプロ活動 に入る。荒武裕一郎(p)グループなどで腕を磨 き、現在は様々なグループに参加しながら、自 己のバンドも結成して活動している。 ドラムスの大田智洋は1980年生まれ。中学か らドラムスを始め、広瀬潤次に師事した後に大 学在学中から音楽活動を始める。椎名豊(p)ト リオや川嶋哲郎(ts)、荒巻茂生(b)などと共演。 現在は椎名トリオや荒巻茂生セッションなどで 活躍している他、ベースの田中洋平とトリオを 組む。 人を目指していると思われた。 この20歳代の、伸び盛りである若手によるセッショ 大田もしっかりとバンドを支えるプレイを聴かせて ンだった。 くれた。けっして出しゃばることはなく、堅実に他の 関根はコルトレーン、ドルフィー、キャノンボー プレイヤーをサポートしていた。ただし時折取る短い ル・アダレイなど先輩サックス・プレイヤーの良いと

8 J.J.J. ソロは、若手らしい元気があった。 さんあるのだろうが、その曲で何が最もいいたい主題 総じて、若手の覇気を感じた。また単にスタンダー であるのかがボヤけてしまっている。饒舌な語り口 ド曲を演奏して自分たちの解釈を世に問うだけでな は、えてして何も伝わらないことが多い。小説に例え く、オリジナル曲を多用して、アイデンティテイーを るなら、最初から長編小説の大作に挑むのではなく、 表現しようとする姿勢もいい。 短編小説のように起承転結をはっきりさせた音楽を、 ただし、関根は張り切っているのは理解できるが、 積み重ねた上で大作に挑んだ方が良かった。 如何せん演奏時間が長すぎた。1曲1曲をもう少し凝縮 ともあれ、発展途上の彼らは若い。これから音楽だ したほうが良かった。オリジナル曲の中にも、アドリ けでなく人生経験をもっと積み重ねれば、更にいい ブ部分で何箇所かフレーズのアイディアに詰り、次の ミュージックを創造できるだろう。今後を多いに期待 展開が苦しそうだと感じられるところがあった。また したい。偉そうに言ってしまえば、これからのジャパ 同じフレーズの繰り返しという部分も何回か聴けた。 ン・ジャズの一翼を担う可能性を感じた。なお、この 無理に演奏を延ばさずにテーマに戻るなり、他のプレ ライブの模様は『映画館』で聴けるので、ぜひご一聴 イヤーにソロを受け渡すなどの工夫があれば良かった を。(紅 我蘭堂) と思う。表現したい音楽、もしくはアイディアがたく

8月5日(日)高輪コミュニティ・ジャズ・オーケストラ『SEASIDE BREEZE』 高輪ジャズ・ライブ Vol.19 第1部 1)Ya Gotta Try 2)And That's That 3)Orange Sherbet 4)The Queen Bee 5)A Warm Breeze 第2部 2)That's All 2)Tangerine 3)When You're Smiling 4)Which Craft? 5)Randi アンコール Besame Mucho テーマ Moonlight Serenade

数年ぶりに「シーサイド・ブリーズ」のライブを聴い も、ゆとりを感じたし聴衆と一体になって楽しもうと たが、素晴らしい演奏にびっくりした。私が聴いたの いう姿勢が好感を持てた。そのせいかどうか、初期は は、このコンサートの1,2回目だったが、結成間近 まばらだった聴衆も、この日は200席あまりがほぼ満 でどこかにぎこちなさがあった。「継続は力」で積み重 員で、老若男女がスイング・ジャズを楽しんでいた。 ねの重みはすごい実力をつけていた。 同バンドが、ジャズの底辺を広げる役割を持って、 同バンドは港区在住もしくは勤務の社会 人を中心に結成されているアマチュア・バン ドで、年2回のこのライブを中心に区民まつ りや区のイベントに参加している。練習は週 1回だが、なかなか全員が集まることができ ず、事実このライブにしても全員集まったの がライブ当日ということだ。日本ビッグバン ドの草分けである奥田宗宏とブルースカイ オーケストラを引き継いだ奥田英人氏が永年 指導に当たってこられただけに、自己流では なく洗練されたアンサンブルが持ち味になっ ている。 アンサンブルや個々のソロもしっかりして いるし、何よりも与えられた譜面通りに演奏 するのではなく、自己の演奏を楽しむ余裕す ら生じているようだった。つまり緊張しながらもジャ 今後も更に飛躍されることを切に願います。 ズを楽しむという、良い意味でのアマチュア的なゆと (紅 我蘭堂) りが、聴衆にも伝わってきている。ジャズという音楽 を楽しむにはプロもアマチュアも関係ないことを多い に感じた。また1部と2部で衣装を替えるという演出

9 J.J.J. D I S K 紅 我蘭堂

LIVE FUSE/井上淑彦(EWE EWCD-0119) 井上淑彦(ts,ss) 田中信正(p) 坂井紅介(b) つの犬(ds)2005年10月29日、11月29日 録音 DISC1 1.BIRTH OF FIRE 2.WATASUGE 3.NORTH RIDER 4.WIITCHI-TAI-TO DISC2 1.GRASSHOPPER 2. YOSHI-GA-DAIRA 3. FIRE WORKS 4.FLOOD かつてKJFCのライブコンサートでも熱演してくれた 単調さはなく、心地よい緊張感が 「FUSE」のライブ盤が出た。2日にわたるライブから ある。収録されている曲は大部分 エッセンスを抽出して2枚組のCDにしたものだが、イー これまでのアルバムに取り上げ ストワークスエンタティナー社の大英断であり、同社しか られているものだが、スタジオ リリースできなかったろうと思う。FUSEの演奏は、こ 録音盤より密度はさらに濃く れまで出された2枚のCDも素晴らしかったが、やはりラ なっていると感じた。一人ひとりが持っている技術と音楽 イブで聴くのがベストだと思う。それは彼らが持っている に対する情熱が、長い演奏時間にもかかわらず、ワンパ 力が、限定された時間に凝縮できるものではなく、制限な ターンに落ち込むことがないし、むしろ迫力がある。4者 しにのびのびとプレイしたほうが持ち味が活かされると思 が一体となって疾走していく格好良さがたまらない、ライ うからだ。事実DISC1の1曲目から30分以上の熱演だ ブの名盤。 し、井上のソロも20分を越えるだろうが、飽きさせない。

A TIME FOR LOVE~MONK'S TRIO「/小林陽一(WHAT'S NEW RECORDS WNCJ-2144) 小林陽一(ds)、吉岡秀晃(p)、ETHAM 吉岡(b) 2004 年7月14 日録音 1.A TIME FOR LOVE 2.UN POCO LOCO 3.LONG AGO AND FARAWAY 4.NERO 5.STRIKE UP THE BAND 6.THE MOON IN RIO 7.MISTY

小林陽一は80年代からグッドフェローズを率いて、ファ スロー・バラードで始まるが、 ンキー・ハードバップ路線を突き進み、2003年にモンク バリー・ハリスやガーランド、 ス・トリオとしてピアノトリオを吹き込んだ。今回はその ハンプトン・ホーズなどの気持 第2弾。トリオの名称は小林が渡米中にモンキー小林と名 ち良い部分を踏襲している。ま 乗っていたことに由来する。今回はピアノに吉岡秀晃を起 た2ではバド・パウエルで有名 用したが、単純に甘いだけではない良質なハードバップ・ な曲を「新しい器に古い酒を」の ピアノトリオ作品に仕上がっている。私はかねてから洋の ように現代風なアレンジで聴か 東西を問わずレッド・ガーランドの後継者の最右翼が吉岡 せてくれている。かなりの難曲 だと思っていたから大歓迎だ。実際にこのアルバムでも4 だと思うが、サラーと弾いてい のスローブルースや、アップテンポの5における乗りのよ るのが心地よい。 さなど、ガーランドの全盛時代を彷彿させる。これは穿っ 小林は、かなりなテクニシャンであると思うが、自分 た見方かもしれないが、小林と吉岡の両ベテランが、「こ のソロを多く取り、強調することがない。このアルバムで れが正統派のバップ・ピアノ・トリオだぜ」と大見得を も的確なリズムと、決めるべきところで鼓舞するような音 切っているように聴こえる。実際、冒頭から意表をついた を折りこんで吉岡に弾かせている職人芸に感心した。

SUNSET STREET/宮之上貴昭(SFC RECORDS SFC-104) 宮之上貴昭(g,key) 滝本博之(p)、稲垣 護(b)、太田耕平(ds,per) 山本太郎(cl)※11のみ 1.CALIFORNIA NIGHT 2.NO MORE BLUES 3.WHEN A MAN LOVES A WOMAN 4.AUTUMN LEAVES 5.O NCE I LOVED 6.STAR DUST 7.FRUITAGE OF THE SPIRIT 8.FOR BUDDY 9.EYES OF DREAM 10.WHA T A WONDERFUL WORLD 11.RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD 12.RAINY AFTERNOON 13.SU NSET STREET 宮さんは良い意味で、商業ベースに乗らないアルバム造 位置づけがあると思う。確かに多重録音を多用するなどの りをしている。昨年私がベスト・アルバムだと思った「SPI 演出を盛り込み、じっくりと熟成させた感じがある。本人 RITS」(SFC-103)もそうだったが、極端にいえば売れなく が納得できる作品に仕上がった てもいいというストイックな思いが込められている。宮さ のだろう。ライブでは超絶奏法 んのアルバムにしてもライブにしても、根底にはウェス・ というのだろうか、独自のフ モンゴメリーへの敬慕の念がある。それはフレーズの端々 レーズを探求するシーンが聴か に現れるし、選曲などにも影響が強い。このアルバムはボ れたが、このアルバムはその宮 サノヴァやストリングス的に使っているキーボードなども 之上節の進化の一里塚的な位置 収録されていて、とても楽しそうに聴こえるが、宮之上節 にある。さらりと聴くのも良い がふんだんに盛り込まれているので単純なイージーリスニ し、じっくりとスピーカーに向 ングではない。2年がかりで録音したと本人がライナーで き合って聴くのも良い。永く付 書いているように、結構これまでの音楽活動の集大成的な き合えそうなアルバムだ。

10 Y's ROOM No.17 2007.8. Y.S. 「Y 、田辺充邦のライブに行く」

盆休み真最中の8月12日(日曜日)の事、Yは暑 奏者と聞いていましたが、ピアノも素晴らしい演奏 いので外出もせずにたまたまTVの「笑っていいとも でした。 増刊号」を見ていました。 時間の都合で2セット 有名人のそっくりさんのコーナーで、「おぎやは しか聴けませんでした ぎ」のオギさんにそっくりな40代ギタリスト」との が、1stセットがピアノ 紹介で、あの田辺充邦さんが出てきたではありませ トリオで、なんと1曲目 んか。さらに満票で旅行券までゲットしてしまいま が私の大好きな「Who Ca した。 n I Turn To」で始まり 田辺さんはKJFCの第5回ライブにも出演して 「フォトグラフ」「Stella B 頂いたり、ジャノメのライブにも何度か行ってお y Starlight」「黒いオル り、Yにとってとても親近感のある演奏家なので驚 フェ」「Just Friends」、 きました。 2ndセットがオルガン・デュオで「In A Mellow To そんな訳で、久し振りに田辺さんの演奏が聴きた ne」「This Could Be the Start of Something Bi くなり、早速HPで探すと14日に渋谷の「Babytal g」、ピアノトリオで「Corcovado」「Body And Sou k」に出演するとの事で、出かけました。 l」「There Will Never Be Another You」でした。 中でも「Stella By Starlight」が圧巻で、田辺さん メンバーは伊原康二(org,p)、田辺充邦(g)、村田 も演奏後「飛ばし過ぎて疲れた」と云ってましたが、 博(b)で、伊原さんはオーナー兼ハウス・オルガン とてもスリリングな好演奏でした。 伊原さんの演奏では、B3で演奏したSteve Alle n 作曲の「This Could Be the Start of Somethin g Big」が、聴き応えがありました。 演奏の合間に田辺さんと、お喋りをさせて頂きま したが、相変わらず楽しいトークが満載でとても楽 しい時間を過ごす事が出来ました。 最近は各地の演奏会・ライブハウスで活躍され、デ ビューアルバム「Bernie's Tune」も好評との事、目が離 せないギタリストです。

アナログにこだわる、銀座の老舗 「 」 東京都中央区銀座6-2-6ウエストビルB1 phone:03-3572-76840

営業時間:コーヒータイム PM0:00~5:00(土曜日のみPM2:00~) バータイム PM7:~11:00 定休:日曜祝日(バータイムは土曜日も) 交通:東京メトロ銀座線、丸の内線、日比谷線「銀座」、JR「有楽町」駅他 メニュー:コーヒータイム 珈琲・紅茶500円、ビール700円 バータイム ボトル8,000円(チャージ3,000円)

11 ハービー・ハンコック研究・第10回 (“Retrospective of The Music of Herbie Hancock”) 高木信哉 (1970:“Mwandishi”(ムワンディシ)への改名) HERBIE 1970 録音日 タイトル 演奏者 (レーベル名) 1970. 1.7̃1.9 Sonny Stitt Blows The Blues Sonny Stitt(Jamal) or When Sonny Blows Blue Sonny Stitt(Jamal)? 1970. 1.27、1.28、1.29 Red Clay Freddie Hubbard (CTI) 1970. 3.25、3.26、5.12 Gula Matari Quincy Jones (A&M) 1970. 4.7 A Tribute To Jack Johnson Miles Davis (Columbia) 1970. 5.19 Get Up With It Miles Davis (Columbia) 1970. 6. 3、6.4 Live Evil Miles Davis (Columbia) 1970.11.11 Straight Life Freddie Hubbard (CTI) 1970 Mwandishi Herbie Hancock (Warner) 1970 Zawinul Joe Zawinul (Atlantic)

1970年前半のハービー・ハンコック(1970 「『ジャック・ジョンソン』の音楽は元々バディ・マイル 年当時のハービーは29歳~30歳)は、新しい音の スのために書いたものだった」のに、バディ・マイルス 創り方に夢中になっていた。というのも、マイルス・ の参加は得られず、ビリー・コブハムがドラムを叩い デイビスを中心にハービーを含むマイルス・バンド出 た。『ジャック・ジョンソン』には、ハービーも参加し 身者たちが特に革新的活動を展開していたからだ。 ている。その経緯がおもしろいので、披露しよう。 ハービーの周辺は、常にとっても刺激的だった。 ハービーは、このセッションで、珍しいファルフィッ ハービーは、自身のセクステットを中心に活動した サ・オルガンをむせび泣くように弾いている。197 が、フレディ・ハバード、マイルス・デイビスなどか 0年4月7日、ハービーは、マイルスがレコーディン らのオファーも多く、忙しい日々を送っていた。そし グ中と聞き、差し入れをしようと、ミルク瓶と袋いっ て、セクステットの新作アルバム『ムワンディシ』を吹 ぱいの食材とワーナーから出たばかりの新譜『ファッ き込んだ。 ト・アルバート・ロウタンダ』(前年の秋から冬に掛け て吹き込んだばかり)を持って、スタジオに現れた。 1970年が幕を明けた瞬間の午前0時、ニュー ところがマイルスは、ハービーを見るなり、部屋の ヨークのフィルモアイーストでは、ジミ・ヘンドリッ 隅っこに置いてあったファルフィッサ・オルガンを指 クス率いるバンド・オブ・ジプシーズが聴衆を沸かせ 差すと、ただ一言「ハービー、演れ!」と言った。ハー ていた。ジミ・ヘンドリックスは、マイルス・デイビ ビーは、「マイルス、ごめん、長居できないんだ」と スの妻ベティ・メイブリーと接点があり、マイルスの 言ったけど、いつだって自分中心のマイルスは、 インスピレーションをかき立てていた。そんな中、2 「ハービー、いいから、演るんだ!!!」と言ってきか 月18日~6月4日までの16週間に渡って行われた ない。しかもマイルスの声は、実は囁く程度の大きさ マイルスのレコーディング・セッションはジミ・ヘン だったのに、ビリー・コブハムたち他のメンバーには ドリックスの影響下にあった。この16週間のセッ 演奏よりも大きな声で話しているように感じたと言 ションは、『ジャック・ジョンソン』(1971年2月 う。それで仕方なくハービーは、ファルフィッサ・オ 24日発売)、『ライブ・イブル』(1971年11月1 ルガンを弾こうとしたが、生まれて初めて楽器をどう 7日発売)、『ビッグ・ファン』(1974年4月19日 操作したものかわからなかった。エンジニアのスタン 発売)、『ゲット・アップ・ウィズ・イット』(1974 リー・トンクルとハービーが、どうやって音が出るか 年11月22日発売)、『ディレクションズ』(1981 色々やってるうちに、やっと音が出た。勘のいいハー 年2月発売)の5枚のアルバムに分散されて世に出 ビーは、なんとか音の出し方を覚え、演奏に加わり、 た。 ソロを弾き始めた。そしてソロが終わると、ハービー その中で『ジャック・ジョンソン』は、マイルスが はマイルスに『ファット・アルバート・ロウタンダ』の ロックの境界線を初めて踏み越えた歴史的作品と言え レコードを渡し、帰っていった。演奏しても、もちろ よう。マイルスは、大晦日のジミ・ヘンドリックスの んギャラが出るわけでもなかった。人のいいハービー ドラマーを務めたバディ・マイルスが気に入り、 は、「まあ、いいか」と次の用事に向かって帰ったので 12 ある。 バーには、ハービーの盟友であるロン・カーター、 一方、マイルスの『ビッチェズ・ブリュー』は、賛否 ジョー・ヘンダーソンも居る。ドラムはレニー・ホワ 両論を巻き起こしながらも、1970年4月の発売以 イトである。歯切れのいいエイト・ビートの曲「レッ 来、ジャズ・チャートのトップに立ち、50万枚の売 ド・クレイ」はフレディ絶好調の演奏が聴け、爽快な り上げを達成した。 疾走感が味わえる。ハービーは、フェンダー・ローズ 1969年5月、トニー・ウイリアムスは、ジョ を弾いており、フレディの後を受け、クールな響きで ン・マクラフリンとラリー・ヤングの3人で、爆音演 魅了する。アルバムは、ヒットし、11月11日に 奏で有名な『ライフタイム』を吹き込んでいた。 は、第2作『ストレート・ライフ』が制作された。『ス 1970年2月、ジョン・マクラフリンは、バ トレート・ライフ』は、レニー・ホワイトが抜け、代 ディ・マイルス、ビリー・リッチ、ラリー・ヤングの わりにジャック・デジョネットが入った。さらにギ 4人で、『デヴォーション』を吹き込んだ。 ターのジョージ・ベンソンが加わるという大変豪華な 1970年、ジョー・ザビヌルは、初リーダー作 録音になっている。 『ザビヌル』を吹き込んだ(ハービーも参加)。 3月25日、3月26日、5月12日、ハービー 1970年8月、ウェイン・ショーターは、『オ は、クインシー・ジョーンズ(当時37歳)のリーダー デッセイ・オブ・イスカ』を吹き込んだ。 作『グラ・マタリ』のレコーディングに参加した。クイ 1970年10月、チック・コリアがマイルス・バ ンシーは、ハービーと同じシカゴの出身だ。音楽セン ンドから脱退 スのよいクインシーのことが、ハービーは大好きだ。 し、アンソニー・ブラクストン、デイブ・ホランド 『グラ・マタリ』には、標題曲、「明日に架ける橋」、 と“サークル”を結成する。 「ウォーキン」、「ハミン」が収録されている。 チック・コリアが、『リターン・トゥ・フォーエ バー』を吹き込 さてさてハービー自身の行動だが、1970年は むのは、1972年2月のこと、つまりあと2年待 自身のセクステットのメンバーを入れ替えた。セクス たないといけない。 テットは、1968年11月にニューヨークのビッレ 1970年12月、ジョー・ザビヌルとウェイン・ ジ・バンガードでデビューを飾っている。当初のメン ショーターは、“ウェザーリポート”を結成する。 バーは、ジョニー・コールズ(tp)、ガーネット・ブラ 1970年という年は、ドラマチックな年だった。 ウン(tb)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、バスター・ ジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョプリンの二人 ウイリアムス(b)、アルバート・ヒース(ds)だった が共に27歳の若さで変死を遂げた。ビートルズは、 が、1970年にバスター・ウイリアムスを除いて、 『レット・イット・ビー』を最後に解散。アルバート・ すべてのメンバーを入れ替えてしまった。新メンバー アイラーも変死を遂げた。 は、エディ・ヘンダーソン(tp,flh)、ベニー・モウピ 日本では、大阪万博が開催され、日航よど号ハイ ン(bass clarinet, alto flute)、ジュリアン・プリー ジャック事件があり、三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷基地 スター(tb)、バスター・ウイリアムス(b)、ビリー・ に乱入して、割腹自殺を遂げた。ゲイリー・ピーコッ ハート(ds)だ。 クとマル・ウォルドンの二人が単身でひっそりとプラ そして自分を含め、メンバー全員にスワヒリ語によ イベートで来日した。 るもう一つの名前を命名した。その名は、ハービー マンフレット・アイシャーが、ECMレコードを設 は、新作のタイトル名にもなった“MWANDISHI”で、 立し、日本ではスリー・ブラインド・マイス・レコー スワヒリ語で“作曲家”という意味である。エディ・ヘ ドが設立した。 ンダーソン(tp,flh)は“MGANGA”(忠告する医師)、 ジャズは、音や形を変えながら、激動の時代に突入 ベニー・モウピン(bass clarinet, alto flute)は“M したのである。 WILE”(健康な肉体)、ジュリアン・プリースター(t b)は“PEPO MTOTO”(精神子供)、バスター・ウイ さて1970年のハービーは、1月7日~9日ま リアムス(b)は“MCHEZAJI”(演奏家)、ビリー・ で、ソニー・スティットのレコーディングに参加した ハート(ds)は“JABALI”(強さ)と命名された。これ らしいが、筆者は確認が取れていない。『Sonny は、ハービーのアフリカ回帰を意味する。 Stitt Blows The Blues』か スワヒリ語は、アフリカ東岸部で多く使われている 『When Sonny Blows Blue』いず 言語である。ケニア(人口=3,052万人)では公用語 れかのタイトルのようである。或いは2枚に分散され であり、タンザニア(人口=3,043万人)とウガンダ ているのかもしれない。情報をお持ちの方は、お知ら (人口=1,985万人)でも英語と共に公用語になって せ願いたい。 いる。他にもエチオピア(5,668万人)、エリトリア 1月27日~29日、ハービーは、フレディ・ハ (353万人)、ジブチ(58万人)、スーダン(2,810万 バード(当時31歳)のCTIレーベル移籍第1作 人)、ソマリア(925万人)で使用されている。スワヒ 『レッド・クレイ』のレコーディングに参加した。メン リという名前は、「海岸」を意味するアラビア語に由来

13 する。かつてアラブ人は、航海民族として活躍し、1 リマンジャロは、タンザニアの北部にある。キリマン 1世紀には東アフリカの海岸部とアラビアに定期的な ジャロは標高5895メートル、3つの円錐火山からな 交易があった。そんな中で、アラビア語の影響を受け り、火山としては世界で一番高い。南東部は噴火によ ながら、生まれた言語がスワヒリ語である。アフリカ り形成された巨大なカルデラで、富士山の頭をさらに とアラブ、そしてイスラム教が融合したのが、スワヒ 平たくしたような山容である。 赤道に近い緯度とい リ文化である。このスワヒリ文化の故郷がタンザニア うのに山頂は永久冠雪して、氷河さえある。ふもとの のザンジバルだ。ザンジバルはアフリカ大陸にあるの サバンナに生活する牧畜民族のマサイ人はこの山を ではなく、沖合いの島にある港町である。この港町が 「キリマ・ンジャロ」と呼ぶ。「キリマ」が「山」で、「ン あるのがザンジバル島であり、同時にこの海域の他の ジャロ」が「輝ける」、つまり「輝ける山」という意味で 島々を合わせてザンジバルと呼ぶ。ザンジバルと大陸 ある。マイルス・デイビスの有名なアルバムに『キリ 部にあるタンガニーカが合併して現在のタンザニアと マンジャロの娘』という印象的なタイトル・アルバムが なった。港町ザンジバルの歴史は古く紀元50年頃の あるのはご存知の通りである。 地図には、既にその存在が記されている。アラブ人は そしてハービーは、新生セクステットによる新作 黄金や象牙を求めてこの地にやってきたが、奴隷貿易 『MWANDISHI(ムワンディシ)』を吹き込んだ。 も行っていた。そしてアフリカ一高い山、最高峰、キ

OSTINATO 曲解説 by 遠藤律子 1971年にリリースされたハービー=ハンコック ニック=5音=スケールで出来ている。 セクステットのアルバム「MWANDISHI」の1曲目の このパターンはほどなくベースに引き継がれて、テ ナンバー。 ンポも徐々に上がって行く。 これは今までのハービーの作品から大きく変化した トランペットがパターンの上でソロを始める。 エポックメイキングな構成になっている。今までは、 キーの調性はこれとは言えない、漂うような全体的 曲にはテーマがあり、それに対するアドリブソロが に短調のフレーズの固まりが続いて行く。 あって、またテーマに戻って終了という形の中で、新 次に、エレピのソロ。A♭コンビネーションディミ しいメロディと和音の関係を作り出して来たのが、こ ニッシュスケールの構成音からなるメロディ及び、言 の曲では、テーマのメロディがない。 うならばA♭マイナーのメロディが乗っている。 テーマがあるとすれば、それは、曲を通して奏でら 2つの楽器とも、はっきりとしたどこかに解決する れるベースのメロディのパターンだ。しかも、そのパ ようなメロディは出て来ず、ベースパターンの上で、 ターンは15/4拍子で、8拍と7拍の2つのパート ペンタトニックの音を使って短いフレーズを作り、そ の繰り返しになっている。 れを半音上げて、アウトさせて、また戻る、という動 そのパターンの上に乗っている楽器のメロディはこ きと、ディミニッシュスケールの半音で並ぶ音を続け のキーというはっきりした調性が表現されず、抽象画 て、あたかもブルーノートの音遣いでブルージーなメ のように、漂い流れていく。 ロディを奏でている。 アフリカの草原のある時間を描写しているように聞 次に、バスクラが短くフィーチャーされて、パー こえるのだが、ハービーはこのアルバムで、自分にM カッションとドラムスがお互いにからみ合って、軽い WANDISHIという名前をつけている。 やり取りを見せて、全体的に15/4のパターンを これはスワヒリ語で「作曲家」という意味だそうだ。 段々強調して行く。最後は、2番目の7拍子でカット アフリカをルーツとして意識した音作りだと述べて アウトする。 いる。 調性がないようで、全体を聴くと一つのマイナー調 *曲進行 でまとまっているように聴こえる、「-・-。的和音進 フェンダーエレクトリックピアノでB♭コンビネー 行を完全に脱却した「1発もの」と呼ばれる新しいスタ ションディミニッシュスケールを感じさせるメロディ イルの曲であるが、同時に、アフリカ回帰と言われた のかけらを積み重ねて始まり、バスクラリネットがか マッコイ・タイナーの曲作りにも共通点があるが、「 ぶさって来て、バスクラによるメロディパターンが提 -・-。のコード音楽が生まれるずっと前にアフリカで 示される。 生まれた、ずっと続くリズム、メロディの「平たい」音 15/4拍子のパターンは、2つのパートに分かれ 楽を意識したものである。 ていて、最初のパートの構成音は、A♭、B♭、D♭、 * リズム E♭、Fの5音、2番目のパートの構成音は、G♭、A 8拍と7拍のコンビネーションがずっと続く、何と ♭、B、D♭、E♭となっていて、いわゆるペンタト も名前を付けがたいリズムでコンガを入れてアフリカ

14 の情感を加えている。 法になっている。 アフリカの民族音楽がそうであるように、同じ事を ピアノソロも、はっきりとした歌というよりも、 ずっと続けて、精神的にも肉体的にも盛り上がって行 ベースパターンの上で、アウトしたサウンド、ファン くリズムの渦が表現されている。 キーなフレーズをちりばめて、情感として聴かせるよ * ピアノ演奏 うになっている。 フェンダーエレクトリックピアノにイコライザーを この演奏は、ジャズが楷書体から草書体に、写実画 深く効かせて、効果音とした部分と、クリアな音での が抽象画になっていく、そして一方、アメリカからア ソロの部分を使い分けている。 フリカへ、ルーツを探るアフリカ回帰の流れを作る一 ビートが変拍子で、和音もこれとはっきり決った進 つのきっかけとなった。 行がないので、トランペットソロのバッキングも、音 を横につらねて記憶の中で和音を感じさせるという奏

<アルバム解説 By 高木信哉> 『Mwandishi / Herbie Hancock 』 1. Ostinato(Suite For Angela) 2. You'll Know When You Get There 3. Wandering Spirit Herbie Hancock(p),Eddie Henderson(tp,flh),Benny Maupin(bass clarinet, al to flute), Julian Priester(tb),Buster Williams(b),Billy Hart(ds), Leon Chancler(ds&perc),Jose "Cepito"Areas(perc),Ron Montrose(g)

ハービー(当時30歳)の9作目のリーダー作。アル 延々と繰り返される。やがてトランペットの音が加わ バムのタイトル『ムワンディシ』は、東アフリカで古く り、テーマ・メロディを吹く感じがするが、テーマは から使用されているスワヒリ語で、「作曲家」という意 なくそのままアドリブに突入する。ハービーの従来の 味がある。 曲は、テーマ~アドリブ~テーマだったが、「OSTIN 本作は、1971年に発売され、アメリカの雑誌“T ATO」はテーマがない。ハービーにとっては初めての ime”で、「1971年のベスト・アルバム10枚」の 試みだ。次いでハービーのソロに突入するが、これは 1枚に選出されている。全部で3曲が収録されている はっきりとガンガンとブルージーなフレーズを繋いで が、1と2はハービーのオリジナル、3はトロンボー いく。全体は無調で調性がないが、マイナーでまと ン奏者のジュリアン・プリースターのオリジナルだ。 まっているように聴こえてくる。 また2は、1976年にライブ録音された『V.S.O.P. 不思議なリズムのうねりの渦の中に、ハービーのス ~ニューヨークの追想』(VSOPクインテット誕生の タイリッシュなメロディが浮かんでいて格好いい。2 きっかけとなった有名なライブ盤)で、本作と同メン 曲目は、『ファット・アルバート・ロウタンダ』や『ス バーにより再演されている。聴き比べてみるのも楽し ピーク・ライク・ア・チャイルド』に入っているよう いだろう。また前作『ファット・アルバート・ロウタ なキャッチーなテーマを持った曲。しかしアドリブに ンダ』とメンバーが、がらっと変更された。前作は、 入った途端リズムが消え、単独の静かな演奏になる。 ジョニー・コールズ(tp)、ガーネット・ブラウン(t きちんとしたリズムをバックにした演奏にはいかな b)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、バスター・ウイリ い。3曲目は、ジュリアンのオリジナル。何かマイル アムス(b)、アルバート・ヒース(ds)だったが、本作 スの「イン・ア・サイレント・ウェイ」を想わせる曲調 のメンバーは、エディ・ヘンダーソン(tp,flh)、ベ だ。 ニー・モウピン(bass clarinet, alto flute)、ジュリ アン・プリースター(tb)、バスター・ウイリアムス (b)、ビリー・ハート(ds)でベース以外すべて変わっ た。1曲目は、スワヒリ語で「OSTINATO」(副題が英 以上 語で、アンジェラ組曲とある)。ハービーのフェン ダー・ローズによるイントロから始まり、ベニーのバ スクラリネットがリズム・パターンを提示し、そこに ベースも加わり、テンポ・アップしていく。リズム は、15/4拍子で、8拍と7拍の2つのパターンが

15 KJFC TOPICS この半年間に起こったKJFC関連の話題を集めてみました。

●3月20日雑誌『ジャズ批評』にT.S.さんが紹介されまし の常連だったベテランですが、温厚な紳士です。今後 た。国内有数のレ もよろしくお願いします。 コード・コレクター として「コレクター ●6月25日石井さんの著作『源流から 訪問」という記事に 未来』が出版されました。通算何冊目 掲載されています。 になるかは、ご本人にお聞きくださ い。 ●6月3日(日)朝日新 聞朝刊の都内版に 『映画館』の紹介記事とイラスト(切り絵)が掲載されま した。切り絵と文章の執筆は成 ●7月6日(金)『映画館』 田一徹氏です。 で関根恒太朗(as,ss)ト 成田氏につきましては、次 リオのライブ。6名の会員 ページの「気まぐれジャズマン」 が聴きました。詳細はラ にも書かれていますので、ご参 イブレポートで。 照ください。

●6月10日(日)にM.S.さんのコ ●7月25日(水)『映画館』 ンサートがありました。所属さ にテナー・サックス・プレイヤーの今津雅仁さんが れる第5回多摩ジャズワーク 遊びに来られました。午後4時から午後10時ころまで ショップオーケストラのリサイ マスターや、知らせを聞いて駆けつけた数人の会員と タルでした。“In The Mood"など7曲の演奏でした。 歓談されました。なお今津 さんは9月2日に横須賀でラ ●6月17日(日)にトミやんのコンサートがありました。 イブを行ないましたが、こ かねてからアルトサックスを習っている「メイト音楽 の模様は次号でレポートし 学院」の第40回STUDY CONCERTで、トミやんは“Blue ます。 s In The Closet”をリズム陣を従えたカルテット演奏 で、アドリブもビシっと決めて吹き切りました。

●7月26日(木)~30日(月)水 戸守敬一郎さんは第38回ヨ コスカ平和美術展に作品 を出品。

●6月23日(土)M .S.さんが新入 ●9月3日(月)から1ヶ 会されました。 月、『映画館』で水戸守 Sさんは昭和 敬一郎さんの「GRO ニッパチ生まれ OVY表紙イラスト で、『響』『ジャ 展」が9月いっぱい開催 ズカントリー』 されています。

16 気まぐれジャズマン 第23回

水戸守敬一郎

〈男気ある漫画家にまいっている。〉 漫画家の大家の鮎沢まことさんからいただいた名刺の裏に一コマ漫画が描かれている。 三色刷りで、本当にセンスがいいのだ。まるでフランスの高級雑誌の一コマ漫画のようだ。年齢的 にも全然、年を感じさせない。グループ展でも、ゲストとして作品を出品していただいた。 その後漫画家グループのユーモア展でも作品を観せていただいた。 四コマ漫画は一日で描けるが、一コマ漫画は一週間はかかると言われていた。 鮎沢さんの作品、一コマ漫画をもっと見てみたい。 こういうセンスを大切にする出版業界であって欲しい。

北山 竜さんからいただいた名刺にはネコが印刷されてある。日刊ゲンダイに描かれている。 最近、銀座の画廊の知り合いの個展の芳名帳に名前を何回か発見しておどろく。ちょこっと感想 も書かれている。忙しい中、銀座の画廊をいろいろ見て回っておられるのかと関心する。

スーパージャンプに切り絵で漫画を描いた成田一徹さんの出版記念原画展に行ってきた。 切り絵の黒と白が素晴らしい。 成田さんの名刺にも切り絵が印刷されている。サントリーのバーの風景のシリーズの仕事でも有 名。 フランク永井、松尾和子、青江三奈etcのリマスターしたCD「リマスターボイス」のジャケットを 描いているのでぜひ見て下さい。欲しくなりますよ。

東京でもっとも音のいい店を目指している ジャズスポット 「映画館」 東京都文京区白山5-33-19 Phone.03-3811-8932

営業時間:PM16:00頃~23:30 定休:日曜日、祝日 交通:都営三田線「白山」駅A3出口から坂の上に向かって、徒歩20メートル または営団南北線「本駒込」駅より徒歩3分

メニュー:コーヒー 500円 ビール 600円 スパゲティ― 680円など ウィスキー(ボトル) 6,000円より ホームページ http://www6.ocn.ne.jp/̃eigakan/

17 東京ジャズ喫茶 1970年代初頭(中編) 紅 我蘭堂 70年安保も終わり、結局何も残らないという感じの中で、3年生になった5人バカは相も変わらず勉強もせず に土曜日の午後に都内のジャズ喫茶回りをしていた。 銀座に「ジャンク」という店があった。5人バカは場違いなのに銀座にも出没した。夜のライブが基本だった

と思うが、土曜の午後にはアマチュアやプロの卵たち 「すずき」という肉屋でメンチカツを買い、ホクホクパ のライブ演奏が安く聴けた。銀座といえばこの店の印 リパリとかじりながら缶ビールを片手に歩くのが楽し 象が強い。だが多分2,3回しか行っていないはずだ。 みだ。もちろん 大学生や社会人になってからナベサダやヒノテルなど 休日の昼間 を聴きに行ったことを覚えているが80年代になってか 「シャルマン」は ら、いつの間にかなくなってしまった。銀座の店はこ 営業していない こしか知らなかった。雑居ビルの上のほうにあり、細 が、店の看板は 長い店内だったことが印象的。他の銀座の店は知らな マスターの優し い。「69(ローク)」に行ったのは80年代になってから げな目つきのよ だった。「ママ」という伝説的な店にも間に合わなかっ うに、静かに谷 た。 中銀座の喧騒と 中野にも行った。「クレッセント」と亡くなったオー 日暮里駅へ続く階段道「夕焼けダンダン」を見守ってい る。いつまでもこの景色が続いてほしい。

渋谷にも行ったが、「ジニアス」と「音楽館」、そして 「DUET」を覚えている。道玄坂の途中から右に入る道 を曲がり、ストリップ劇場を左に見ながら坂を上がる と、そこはジャズ喫茶やロック喫茶の集落だった。 「音楽館」は一 番手前にあっ たように思 ディオ評論家の岩崎さんが経営していたジャズ喫茶に う。その奥に 行った。「クレッセント」は確か南口のロータリーに面 は何軒かあっ していたと思う。明るい店内だった印象がある。何を たが、記憶が 聴いたかは覚えていない。 ない。ない 岩崎さんの店は中野サンプラザの近くだった。あま が、その辺の り広くない店内は黒を基調としたインテリアで統一さ 店でも銀座の れていて格好良かったことも記憶している。それにも 「ジャンク」と同じようにアマチュアやプロの卵たちの まして、さすがに音がめちゃくちゃ良かった。 格安なライブを聴いた覚えがある。 高校から歩いていけるところに日暮里の「シャルマ 多分「ジニアス」だったと思うが、突然すさまじいア ン」があった。アカベエの家に近かった。当時は1階 ルトサックスが耳に飛び込んできた。フィル・ウッズ に店があり、渋い良い店だった印象がある。数年前に の「アライブ」だった。『これ、いいな』と言うとアカベ 訪問したら、今は夜だけの営業で、カウンターだけの エが鼻の穴を全開にしながら、『いいだろう。俺のリ スナックのようになっていた。それでもめっきり老け クエスト。フン!』といってタバコ臭い鼻息をこちら られたマスターに「当時高校が近いので、よく来まし に飛ばしてきた。 た」と話しかけたら、「ああ、彼の友人でしたか」と遠 73年に青山にある大学に入ったから、渋谷のジャズ いところを見る目つきでポツリと言われた。私はこの 喫茶には、もっともっと通っていてもよかったはずだ 「シャルマン」がある谷中銀座の商店街が大好きで、休 が、あまり通わなかったのはトラウマが、この時にで 日に時間がある時は散歩に出掛ける。商店街の中の きてしまったせいかもしれない。 18 もう渋谷のジャズ喫茶が全滅してしまってから長い いたら、それこそバカにされるぞという気持ちがあっ 年月が経つ。「ジニアス」は現在、中野新橋という場所 たのかもしれない。真面目に聴いているファンの熱気 に移って営業している。数年前に行ったが、スピー と、「おしゃべり禁止!」でしっかり目を光らせている カーから遠い場所ではご近所のオバちゃん達が集って マスター達に気おされたのかもしれない。 いたし、のんびりと寛いでジャズをBGMにしてコー また70年安保のしこりからか、どうしても新宿は ヒーを楽しむ店になっていた。別に悪いという訳でな 『古戦場』という気分がしていたし、フーテンとか訳の く、街中にはそういう店も必要なのだと思う。昔の絵 分からない似非カルチャーの押し売りも嫌いだった。 柄のマッチが懐かしかった。 ただし、歌舞伎町もその後のヤバイという雰囲気は少 なく、高校生がおのぼりさんのようにポケ~と歩いて 新宿は「木馬」、「ビザール」、「ポニー」に行った記憶 いてもぶっそうなことはなかったように覚えている。 がある。何故か「DIG」「DUG」には行かなかった。 現在の新宿にはジャズ喫茶があるのだろうか。ジャ 「ヨット」や「汀」「キーヨ」などはとっくの昔になかった ズバーのような店はあると思 うが、昼日中からジャズを聴 ける店はないと思う。今から2 年ほど前、「DUG」に初めて 行った。階段を下りて店内に 入ると、確かに歴史を感じさ せる渋い造りだった。でも1時 間くらい居たのにヨーロッパ あたりのピアノトリオのCDを と思う。新宿は当時の高校生にとっては行動圏の外 ずっと掛けられていて、がっ だったのだろう。何かのついでに立ち寄る街だった。 かりした。客の集中力とか、 というか5人バカにはハードルが高かったのだ。新宿 選曲に気配りされていないよ のジャズ喫茶といえば、マニアの中のマニアが集う店 うだった。その「DUG」も今は で、そんな中で高校生がアンポンタンなことを言って ない。(続く)

19 20 RECORD CONCERT( 例会) REPORT

2 月 24 日例会の追記(アンケート結果ご報告) 11名参加 1.I CAN'T GET STARTED(1935年 I.Gershwin-V.Duke) ! Rosemary Clooney:1名 Helen Forrest:2名 Anita O'Day:2名 $Sarah Vaughan:なし Fran Warren:8名

2. YOU GO TO MY HEAD(1938年 H.Gillespie-J.F.Coots) ! Billie Holiday:4名 Peggy Lee:3名 Helen Merrill:3名 $Patti Page:1名 Dinah Washington:1名

3.NIGHT AND DAY ! Ella Fitzgerald:6名 Thelma Gracen:3名 # Anita O'Day:1名 $Jo Stafford:1名 % Maxine Sullivan:3名

4.I'VE GOT THE WORLD ON A STRING(1932年 T.Koehler-H.Arlen) ! Mildred Bailey:3名 " Peggy Lee:1名 # Rita Reys:5名 $Jo Stafford:4名 % Kay Starr:1名

5.EAST OF THE SUN(1934年 B.Bowman) ! Ella Fitzgerald:2名 Carmen McRae:8名 Patti Page:なし $Dinah Shore:2名 % Margaret Whiting:2名

6.GIVE ME THE SINPLE LIFE(1945年 H.Ruby-R.Bloom) ! June Christy:3名 Beverry Kenney:4名 Julie London:1名 Carmen McRae:3名 Annie Ross:3名

7.WHY SHOULDN'T I Rosemary Clooney:なし Chris Connor:4名 Eydie Gorme:3名 $Jeri Southern:なし Lee Wiley:5名

[2007年3月24日「ジャズ・カントリー」] 特集:SABA-MPSを中心にヨーロッパレーベル 担当:石井宏一

SABAは、かつてドイツ最大の家庭電気メーカー MPSは、ブルナー=シュアーの個人事業から、録音 であった。レーベルとしてのSABAはこの会社のレ テープの販売促進を目指したドイツを代表する化学 コード製作部門として出発し、民族音楽やクラッシッ メーカーのBASFと提携し、共同レーベルとして終 クの室内楽とともにジャズのタイトルも制作してい 焉する1978年までに約500タイトルの作品を世に出 た。 してきた。 1968年にアメリカのGEによってSABAがGEに MPS/BASFは、ヨーロッパのレーベルに共通 買収されると、SABA社の重役で、オスカー・ピー することではあるが、ピアノ作品が多いことが上げら ターソンの熱烈なファンとして知られるハンス・ゲオ れる。音作りは、硬質で切れの良いクリアなピアノの ルグ・ブルナー=シュアーは、私財を投じて制作部門 サウンドに特長があり、全体にホールトーンを豊に を買い取り、新たにMPS(Musik-Produktion Schw 録ったものが多い。ブルナー=シュアーの音色に対す arzwald、ムジーク・プロダクチオン・シュバルツバ る執着はレーベル全体に反映 ルト、黒い森の音楽工房?)として再出発する。この され、彼以外のエンジニアに レーベル名は、MPSが本拠を置いたVillingen(フィ よる録音作品でも、MPSの リンゲン)の町にあるMPS-Tonstudioがドイツ南部 個性として継承されている。 の「黒い森」にあることから命名されたものと思われ ピアノトリオが中心になって る。 いるが、70年代以降はかなり ブルナー=シュアーは、アマチュアのピアニスト 前衛的な作品も制作された。 として演奏にも親しみ、レコーディングにも手を染め 日本のミュージシャンも白 た。とくにレコーディングエンジニアとしては優れた 木秀雄や山下洋輔がアルバム 才能を発揮し、多くの現場で制作指揮をとってきた。 を残している。 21 1. アルバム「Piano×4」より (1)Take The A Train /(2)Baron Lazar (3)What Is This Thing Called Love (4)Willow Weep For Me [Member](1)Wolfgang Dauner(p) Joki Freund(as) Eberhard Weber (b) Charlie Antolini(ds) recording date 1963/10/21 (2)(3)Elsie Bianchi(p) Siro Bianchi(b) Hansjorg Schmidt(ds) recording date 1963/10/21 (4)Dieter Reith(p) Peter Witte(b) Charlie Antolini(ds) Hermann Mutschier(timpales) Kurt Bong(bgo) recording data 1963/10/21 2.アルバム「Music Zounds」より The Things We Did Last Summer [Member]Wolfgang Dauner(p) Eberhard Weber(b) Roland Wittich(ds) recording data 1970/Feb 3. アルバム「The Sweetest Sound」より (1)Little Bird (2)Fiddler On The Roof [Member]Elsie Bianchi(p) Siro Bianchi(b) Charlie Antolini(ds) recording data 1965/11/25 4. アルバム「A Happy Afternoon」より (1)A Happy Afternoon (2)On Green Dolphin Street [Member]Dieter Reith(p) Peter Witte(b) Charlie Antolini(ds) recordi ng data 1966/8/23-24 5. アルバム「Identification」より (1) Identification (2)I'm On My way [Member]Yancy Korossy(p) J.A.Rettenbacher(b) Charlie Antolini (ds) recording data 1969/9/9 6. アルバム「Sax No End」より (1) New Box (2)Sax No End [Member],Jimmy Deuchar,Shake Keane,Idrees Suliem an,Eric Van Lier,Nat Peak(tp),Ake Persson(tb) Derek Humble(as) Eddie 'Lockjaw'Dav is,Karl Drewo,Jonny Griffin(ts) Sahib Shihab(bariton) Francy Boland(p,arr) Jimmy Wo ode(b) (ds) Fats Sadi(bgo) recording data 1967/6/18 7. アルバム「Hannibal In Berlin」より Willow Weep For Me [Member]"Hannibal"Marvin Peterson(tp) George Adams(ts) Micael Cochrane(p) Died re Murray(cello) Steve Neil(b) Allen Nelson(ds) recording data 1976/11/3 8. アルバム「Hip Walk」より (1) The Hip Walk (2)While Children Sleep [Member]Nathan Davis(ts,ss,flute) Camell Jones(tp) Francy Boland(p) Jimmy Woode(b) Kenny Clarke(ds) recording data 1965/9/1

22 9. アルバム「Happy Girl」より Happy Girl [Member]Nathan Davis(ts,ss,flute) Woody Shaw(tp) Larry Young(p) Jimmy Woode (b) Billy Brooks(ds) recording data 1965/9/1 10.アルバム「Girl Talk」より (1) Girl Talk (2)Robbin's Nest [Member](1)Oscar Peterson(p) Sam Jones(b) Bob Durham(ds) (2)Oscar Peterson (p) Ray Brown(b) Louis Hayes(ds) recording data 1965/nov,1966/nov 1967/nov 11.アルバム「 Meets Don」より (1) Sunday (2)Perdido [Member]Ben Webster(ts) (ts) (p) Peter Trunk(b) Albert "Too tie"Heath(ds) recording data 1968/2/1-2/2 12.アルバム「Piano For Nuria」より (中入り) Blues For Nuria [Member]Tete Montoliu(p) Peter Trunk(b) Albert "Tootie"Heath(ds) recording data 1968/22 13.アルバム「Four Keys」より Retro Active [Member]Martial Solal(p) Lee Konitz(as) John Scofield(g) Niels Hennig Orsted Pedersen(b) recording data 1979/5/8 14.アルバム「Decipher」より White magic [Member]John Talor(p) Chris Lawrence(b) Tony Levin(ds) recording data 1972-73/3 15.アルバム「The Hub Of Hubbard」より Just One Of Those Things [Member]Freddie Hubbard(tp) Richard Davis(b) Eddie Daniels(ts) Roland Hana(p) Lois hayes(ds) recording data 1969/12/9 16.アルバム「Hamp's Piano」より (1) Black Frest Blues (2)What This Things Called love [Member]Hampton Hawes(p) Eberhard Weber(b) Claus Weiss(ds) recording data 1 967/11/8 17.アルバム「Auf Wiedersehen」より Auf Wiedersehen [Member] Red Garland(p) Sam Jones(b) Roy Brooks(ds) recording data 1971/may Zoot at ease(1973, Famous Door,再発売PROGRESSIVE)

23 [2007年4月20日「映画館」]

特集:春もしくは4月 暖かくなった陽気に誘われて、「春」もしくは「4月」にちな んだ曲やアルバム、またはアーティスを持寄りで集めてみ ました。ジャズメンは本当に春が好きなようです。 1. Spring & Swing アルバム「Diggin」Albert Mangels dorff Live At Dug,Tokyo 2. I'll Remember April アルバム「Two Lovers」Duke J ordan(StepleChase) 3. Spring Song アルバム「Trio」Herbie Nicols(Blue N ote)より 4. Spring Can Really Hang Up The Most アルバム「h appy Gial」Nathan Davis 5. 荒城の月 アルバム「Straight No Chaser」Thelonious Monk 6. You Must Believe In Spring And Love アルバム「The World Is Falling Down」Abbey Lincoln 7. The Rite Of Spring(春の祭典) /Hubert Laws 8. In A Little Spring Waltz/水橋 孝(tbm-31) 9. It Might As Well Be Spring/Ike Quebec(Blue Note 4105) 10. It Might As Well Be Spring/Rosemary Clooney アルバム 「Hollywood's Best」(Columbia Cl-585) 11. It Might As Well Be Spring(Altanate Take)/ ア ルバム「The Complete Roost Session Vol.2」

12. Spring/Tony Williams(Blue Note) 13. I'll Remember April/田辺充邦 アルバム「Bernie's Tune」 14. Joy Spring/Cliford Brown(Emercy)10inch 15. Blue Spring/Kenny Dorham(Riverside) 16. Remember Spring/Hampton Haws アルバム「Hamp' Haws Quartet」(Prestige LP212) 17. Spring Is Here/Carol Sloane(Midnight Sun) 18. Spring Is Here/Haward Riley アルバム「Discussion」 19. Spring Is Sprung/Gerry Mulligan アルバム「Spring Is Sprung」(Philips PHM-200-077) 20. Spring Can Really Hang You Up The Most/アルバム「Serenity」山崎弘一(Aketa's Disk PLCP-74) 21. Yonger Than Springtime/Art Farmer アルバム「Art」 22. April In Paris/Charlie Parker(Verve)

24 [2007年4月28日「ジャズ・カントリー」] 特集:中間派ジャズ 担当:T.S.

スウィングでもないモダンでもない、その狭間の中 たものが多くなり、 間ということで「中間派」と命名したのは大橋巨泉とよ まさにモダンスウィ く言われるが、異説もあるらしい。まぁ、スウィング ングと言いたくな 系が絡んだモダンということで、モダンスウィングと る。今回の特集では もいわれ、その方が分かりやすいかもしれない。中間 年代的に50~80年 派といわれて、まず思い浮かべるのは、熟されたもの 代と幅を広げ、レー としてヴァンガードのヴィック・ディッケンソンやル ベルも様々なものを ビー・ブラフ、バック・クレイトンetcで、年代的に 取り上げた。なお、 も50年代半ばから60年前後がメインになると思われ ヴァンガードetc定番的なものは避けた。最後のBill る。がJSPやMJR、Chiaroscuro etc 70~80年代 Doggettは中間派と言っていいか分からないが、オ のものも聞き逃せない。この辺の年代になるとミュー ルガンも1枚くらい取り入れたかったので苦し紛れに ジシャンも、スウィング系とモダン系がミックスされ セレクトした。

Hey There!/Sir Charles Thompson(P) Major Holley(B) Ed Thigpen(Ds) Black & Blue(1974) B1) Poor Butterfly B2) Stolen Sweets Off The Wall/Budd Johnson(Ts) Joe Newman(Tp) Al Dailey.jr(P) Richard Davis(B) George Duvivier(B) Grady Tate(Ds) Argo(1 964) A2) The Folks Who Live On The Hill B2)Baubles Bangles And Beads Jo Jones And Guest Stars Jo Jones(Ds) Harold Baker(Tp) Tyree Glenn(Tb,Vib) Hank Jones(P) Mary Osborne(G) Milt Hint on(B) Vogue(1961) A4)Stompin' At The Savoy A5)Some Other Spring A6)Waycross Walk Rockin' in Rhythm/Al Sears(Ts) Hilton Jefferson(As) Taft Jordan(Tp) Don Abney(P) Wendell Marshall(B) Gus Johnson(D) Swi ngville B1)New Carnegie Blues B3)Willow Weep For Me Jonah Jones with Dave Pochonet & His All Stars Jonah Jones(Tp) Bill Tamper,Charles Verstraete(Tb) Michel De Villers(Bs) Jear Claude Fohren bach(As,Ts) Jean-Pierre Sasson(G) Benoit Quersin(B) Andre Persiany(P) Dave Pochnet(Ds) Swing(1954) A3)Black & Blue A4)Thinking Of Inez Swing's The Thing/Eddie Durham(Tb,Gt) & Danny Moss(Ts) Russ Henderson(P) Johnny Williams(B) Ronnie Verrell(Ds) JSP(1981) B1)Swinging Mood B5)Front & Centre Jazz Meanz Hines!/earl Hines(P) Jim Douglas(G) Ron Matthewson(B) Lenny Hastings(Ds) A lex Welsh(Tp) Fontana(1966) A1)Bernie's Tune A3)Fantastic That's You (Clarinet in High Fi/Jimmy Hamilton(Cl)

25 Kenny Kersey(P) Sam Woodyard(Ds) Sidney Gross(G) Urania(1956) A1)Blues For A Princess A3)Rose Room )Beauty And The Blues/Emmett Berry(Tp) Dickie Wells(Tb) Paul Gonsalves(Ts) Skip Hall(P) Milt Hinton(B) Panama Francis(Ds) Colum bia(1960) A1)Miss Chris A2)Slow,Man,Slow Buddy Tate(Ts) Gene Ramey(B) Herbie Lovelle(D) Dex Lieberson(P) B3) Blues At 4,4-4 *Vic Dickenson(Tb) Joe Thomas(Tp) Scoville Brown(Cl,Ts) Red Richards(P) Oliver Jackson(Ds) (Ts) B ucky Pizzarelli(G) Bill Pemberton(B) RCA(1974) A1)D.B. Blues-Take2 A2)Then I'll Be Tired Of You +Bud Freeman ESQ Bud Freeman(Ts) Spike Heatley(B) Dick Katz(P) Tony Crombie(Ds) Fontana A3)Indian Summer A4)Higgins said No! ,Hollywood Swing/Jack lesberg(B) Eddie Miller(Ts) Dick Cary(Tp) Bob Eneboldsen(Valve Tb) Nick Fatool(Ds) Ray Sherman(P) F amous Door(1977) B3)Ballad For Eddie B4)Crazy Rhythm -Al Casey & George Kelly with Fessors Session Boys Al Casy(G) Ole "Fessors" Lindgreen(Tb) Werner Worck Nielsen(Tp&Flug) Steen Vig(Ts) Hans Fjeldsted(P) Jens Solund(B) Thorkild Moller(Ds) Storyville(1983) A3)Lexington Avenue A4)Al's Fifth Floor Drag .The Swinger/Harry Edison(Tp) Jimmy Forrest(Ts) Jimmy Jones(P) Freddie Greene(G) Joe Benjamin(B) Charlie Pership(Ds) Verve B1)The Strollers B2)Sunday /As You Desire Me/Bill Doggett(Or) King A4)As Time Goes By A5)Dedicated To You

[2007年5月18日「映画館」] 特集:テーマは風(持寄り企画) 5月といえば初夏。風も爽やかな季節で、何となく心もうきうきする時です。そこで今回は“風”をテーマに して曲やアルバムを集めて見ました。やはり会員個々が少しずつでも持ち寄ると結構な枚数になりました。

1.Smooth As The Wind/Blue Mitchell with Strings and Brass Side1 1)Smooth As The Wind 2)But Beautiful 3)The Best Things in Life are Free 4)Peace 5)For Heaven's Sake 2.Blowing In The Wind(風に吹かれて)/Lou Donaldson同名アルバムより

3.潮風/細野義彦(アルバム「Without A Song」より)

4.Whirl Wind/岡安芳明(アルバム「Midnight Groove」より)

5.The Eye of The Hurricane/Herbie Hancock(アルバム「処女航海」より)

26 6.Wind Machine/Count Basie(アルバム「Live in Japan '78」 より)

7.Gone with The Wind/Johnny Hodges(アルバム「Blues-A- Plenty」より)

8.Gone with The Wind/Pedro Biker(アルバム「Evergreens i n Danish Design」(FONTANA)より)

9.Gone with The Wind/Jackie Mclean(PRESTIGE)

10.Venetian Breeze/Benny Golson(アルバム「Reunion」(JAZZLAND)より)

11.Spanish Moss/Billy Cobham 12.Windmills of Your Mind/Janet Seidel 13.Slow Hot Wind/アルバム「Little Jazz Bird」より 14.Breeze/アルバム「Moon of Manakoora」[2007年5月26より 15.Windy City/アルバム「Doris and me」より 16.Breeze and I/アルバム「The Art of Longe Vol.3」より 17.Wild is The Wind/Dave Pike 18.Breeze and I/Art Pepper(TRIO盤)

2007年 5 月 26 日「ジャズ・カントリー」] ZOOT SIMS の「濃い」ところを 担当:JOANIE-S.T.

Zootが亡くなってから早いもんで20年以上も経過 で「ZOOTSIMS」ブランドの長袖シャツまで見つけまし していますが、私の中では常に熱く熱く聴き続けてい た。ニックネームのZootは「いやに派手な・最新流行の」の意 て、その存在感が年を経る毎に増々大きくなっている 味だそうで、これと関係あるのでしょうか?) ミュージシャンです。 Zootが参加しているレコードはサイドメンを含めると数 最初にZootを意識したレコードは、Phil Woodsが聴 百枚あり、一般的には晩年までテンションが落ちず、 きたくて買ったUA盤・Half Note Liveのキング国内プレ カス盤も少ないと言われています。 ス。お目当てのWoodsが参加しているB面ばかり聞い (と言っても享年59才、一番油が乗っていた時に ていて、Zootはほとんど印象に残りませんでした。そ 亡くなった訳ですが...... 演奏中もふらふらの赤鼻のト んな時、大学時代に通いつめていた札幌のジャズ喫茶 ナカイ・アル中だったようです) 「ニカ」('75開店-'78閉店)で聴いたFamous Doorの新譜 本日は出来るだけZootがバリバリと吹きまくってい 「Zoot at Ease」にノックアウト。でも当時Pabloから る盤を中心にセレク 続々出ていたZootの新譜が、どれもこれもN.Grantzデ トしました。絶妙な ザインの冴えない写真ジャケの連続で、一気に熱が冷め Al Cohnとのコンビ、 暫く疎遠になっておりました。その後、実家もみじ台 またB.Brookmeyer/ 傍の怪人S氏よりご自慢のPacific盤「Choice」の迫力あ G.Mulligan等、低音 るサウンドを聞かせてもらって再度ぶっ飛び、そこか 楽器とのアンサンブ らZoot蒐集・泥沼の楽しい旅が始まりました。 ルも魅力があります (なんと8年程前には、高田馬場BIGBOXのワゴンセール が、タップリと濃い 27 「Tenor Sound」を満喫できることを最優先したプログ りMusician満載のサイトJazz Discography Project(http: ラムにしたつもりです。 //www.jazzdisco.org/)の労作を加工し作成していま また、ヨーロッパでの録音に決定盤が多く、こちら す。 も出来るだけ沢山取り揃えてみました。 (いつかジャズ批評での特集も期待してますが、今 以下のレコードリストは、例によって私のお気に入 の薄さでは無理かな)

John Haley(Zoot) Sims Plays Tenor! 1925.10.29 - 1985.3.23

1956

1.Zoot Sims - Bob Brookmeyer Quintet Bob Brookmeyer (vtb) Zoot Sims (ts) John Williams (p) Milt Hinton (b) Gus Johnson (d) NYC, January 11 & 18, 1956 Down at the Loft (John Williams) 4'45" * Zoot Sims - The Modern Art Of Jazz, Vol. 1 (Dawn DLP 1102) 本日のスタートはドーンのズート。他の盤を含め風邪ひきが多いレーベルです。近年Seecoの絵画風セカン ドデザインジャケLPが再発されました

2.Zoot Sims - Bob Brookmeyer Quintet Bob Brookmeyer (vtb) /Zoot Sims (ts) /Hank Jones (p) /Wyatt Reuther (b)/ Gus Johnson (d) NYC, January 31, 1956 Mr.Moon (Steve Allen) 5'10"

I hear a Rhapsody (Fargos-Baker-Gasparre) 2'42"

* Zoot Sims/Bob Brookmeyer - Tonite's Music Today (Storyville STLP 907) 昨年の映画館例会「月」特集でも持参したレコード。ステーブ アレン / トウナイト ショーのテーマソング、ノリノリです。 2曲目は大好きな曲です

3.Zoot Sims - Henri Renaud Quintet Jon Eardley (tp -1) Zoot Sims (ts) Henri Renaud (p) Benoit Quersin (b) Charles Saudrais (d) Paris, France, March 16, 1956 1. Captain Jetter (Renaud) 5'01" 2. Nuzzolese Blues (Eardley -Renaud -Sims) 7'25" * Zoot Sims In Paris (Ducretet-Thomson (F) 250V023) かの「デュクレテ・トムソンのズート」です。黄色いイラストのクラブ・フランセ10"盤と共 に、ズートコレクター最難関と言われるレコード。天使が貝殻に耳を傾ける可愛いレーベル デザインはクラシックの盤でよく見ます。大昔10"日本盤も出ていましたが、イギリスプレス の別ジャケも素敵です。ジョン・アドレイのtpもイカしてます 28 4.Jutta Hipp Quintet Jerry Lloyd (tp) Zoot Sims (ts) Jutta Hipp (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Ed Thigpen (d) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, July 28, 1956 Just Blues (Zoot Sims ) 8'44" Violets for Your Furs (Adair-Dennis) 6'15" * Jutta Hipp With Zoot Sims (Blue Note BLP 1530・Later UA Press・NoRVG) ズート唯一のブルーノート録音。いつかオリジナルを手に入れたいもんです。 地味なリーダー、ユタ・ヒップを完全に喰っています

5.Zoot Sims Quartet Zoot Sims (ts, as) John Williams (p) Knobby Totah (b) Gus Johnson (d) Chicago, IL, October 12, 1956

9:20 Special (E.Warren) 4'15" * Zoot Sims - Zoot (Argo LP 608) 乾いた硬質の録音です。太い「男のテナー」を実感

6.Zoot Sims Quintet Nick Travis (tp) Zoot Sims (ts, as) George Handy (p, arr) Wilbur Ware (b) Osie Johnson (d) NYC, December 13 & 18, 1956

Fools Rush In (Mercer - Bloom) 4'33" * Zoot Sims - Zoot! (Riverside RLP 12-228) このバラード演奏は本当に絶品だと思います。後でかけるカデット盤のソニー・スティットとの競演とも 聞き比べてください

29 1958

10.Betty Blake Marcus Belgrave (tp) Zoot Sims (ts) Roland Alexander (ts, fl) Teddy Charles (vib) Mal Waldron (p) Kenny Burrell (g) Addison Farmer, Eustis Guillemet (b) Charlie Persip, Ed Shaughnessy (d) Betty Blake (vo) NYC, late 1958

Let There Be Love (Grant - Rand) 1'55"

I'll Be Around (Wilder) 2'20"

Moon And Sand (Engvick - Ralitz - Wilder) 2'10" * Betty Blake Sings In A Tender Mood (Bethlehem BCP 6058) ベツレヘム盤の本作1枚しか録音がない歌手です。しかし、すごいバックでの吹き込みですね。 コーヒー ブレイクの時間におかけます 7.Zoot Sims - Bob Brookmeyer Octet Harry "Sweets" Edison (tp) Bob Brookmeyer (vtb) Zoot Sims (ts) Al Cohn (ts, bars) Hank Jones (p) Freddie Green (g) Eddie Jones (b) Charlie Persip (d) NYC, December 27, 1958

Bee Kay (Bill Potts) 6'45" ●●Zoot Sims/Bob Brookmeyer - Stretching Out (United Artists UAL 4023) 最近こんなところまでCDで復刻されましたが、このジャケット、やっぱりLPサイズでないと意味がな いです......

1959

8.Zoot Sims - Russ Freeman Quintet / Mel Lewis Quintet Zoot Sims (ts) Russ Freeman (p) Billy Bean (g ) Monty Budwig (b) Mel Lewis (d) Los Angeles, CA, March, 1959

You're Driving Me Crazy (Walter Donaldson) 5'01" * Zoot Sims - Choice (Pacific Jazz PJ 20) 数あるパシフィック盤の中で、このレコードのB面の録音の良さは飛び抜けています

30 1960 (The age of 35) 9.Zoot Sims Quartet Zoot Sims (ts) Dave McKenna (p) George Tucker (b) Dannie Richmond (d) NYC, July, 1960

Jive At Five (Bregman-Vocco-Conn) 4'35" Zoot Sims - Down Home (Bethlehem BCP 6051) 全曲ワンホーンの名演揃い。やっぱりモノラル盤は最高!を実感するレコードです。ステ レオ盤はテイクが違うとの御仁が居ますが、少なくともこの曲は同じです。

1961

11 . Al Cohn - Zoot Sims Quintet Al Cohn, Zoot Sims (ts) Mose Allison (p) Bill Crow (b) Gus Johnson (d) NYC, February, 1961

Autumn Leaves (J.Kosma) 4'47"

* Al Cohn/Zoot Sims - Either Way (Fred Miles Presents FM 1) ズートの大ファンだったF.Milesの自費出版レコード。Vocalが入る曲は今一 12 . Curtis Fuller Quintet Curtis Fuller (tb) Zoot Sims (ts) Tommy Flanagan (p) Jymie Merritt (b) Dave Bailey (d) NYC, summer 1961

Besame Mucho (C.Verasquez) 9'12" * Curtis Fuller - South American Cookin' (Epic LA 16020) ズートのリーダーアルバムだった?と思うほどバリバリ吹いています 13 . 14 . Zoot Sims Sextet Jimmy Deuchar (tp -1) Zoot Sims (ts) Ronnie Scott (ts -1) Stan Tracey (p) Kenny Napper (b) Jackie Dougan (d) "Ronnie Scott's Club", London, England, November 13-15, 1961 1.◎◇ Desperation Fontana (E) 683 273-JCL ,680 989-TL 2.◎◇ Love For Sale (C.Porter)12'47" Fontana (E) 683 273-JCL ,680 989-TL 3.◎◇ Gone With The Wind - 4.▲ Blues In E Flat (C.McFarlen) 9'11" Fontana (E) 680 982-TL 5.◎▲ Somebody Loves Me Fontana (E) 683 273-JCL, 680 982-TL 6.◎▲ Stompin' At The Savoy 7.◎▲ Autumn Leaves *◎Zoot Sims - Cookin'! (Fontana (E) 683 273-JCL) * ▲Zoot Sims - Solo For Zoot (Fontana (E) 680 982-TL) * ◇Zoot Sims - Zoot at Ronnie Scott's (Fontana (E) 680 989-TL) 人気のクッキン。実は全36枚もあるフォンタナ・ジャズクラブシリーズ中の1枚。(内34枚はオムニバ ス)素敵な女性モデルとアーティストのコラボジャケットに魅せられ、苦節10年全種類の蒐集を昨年果たしま

31 した。元々2枚に分けて出たロンドン・ロニースコットクラブのライブ盤全7曲から6曲を集めたお徳用盤が クッキン。本日は元ネタ盤2枚をお聞きください 15 . Zoot Sims - Henri Renaud Quartet Zoot Sims (ts) Henri Renaud (p) Bob Whitlock (b) Jean-Louis Viale (d) "Blue Note", Paris, France, December, 1961

Too Close For Comfort (J.Book-L.Holofoener-G.Weiss) 4'44" * _ Zoot Sims In Paris (United Artists UAL 4013) エンボス仕上げのジャケがいい味を出しています。'56年デュクレテ・トムソン盤で共演したアンリ・ ルノーとの再会セッション。

1965 (The age of 40)

16 . Sonny Stitt - Zoot Sims Quintet Sonny Stitt (as, ts) Zoot Sims (ts) John Young (p) Sam Kidd (b) Philip Thomas (d) Chicago, IL, January 25, 1965

Fools Rush In (Mercer-Bloom) 5'39" ●● Sonny Stitt/Zoot Sims - Inter-Action (Cadet LP 760) 名手スティットとのサックスバトル、珍しくズートが押され気味です。二人のがっちりと 図太い音を楽しんでください

17 . Al Cohn - Zoot Sims Septet Peter King (as, ts) Al Cohn, Zoot Sims (ts) Jackie Sharpe (ts, bars) Stan Tracey (p) Rick Laird (b) Jackie Dougan (d)

London, England, December, 1965

Shoft World Record Club (E) TP 714 5'05"

Haunted Jazzclub 5'15" ●● Al Cohn/Zoot Sims - Al And Zoot In London (World Record Club (E) TP 714) ‘61年ロニースコットクラブでのライブでも共演したジャッキー・ドーゴンの単調なドラミングが病みつき になり、最近頻繁にターンテーブルに載ります。

32 1973 19. Zoot Sims Quartet Zoot Sims (ts, ss) Hank Jones (p) Milt Hinton (b) Louis Bellson (d-1)Grady Tate(d-2) NYC, May 30, 1973 Aug.9 1 Softly, As In A Morning Sunrise (Romberg-Hammerstein 「) 5'10" 2 In The Middle Of A Kiss (Sam.Coslow) 5'02" ●● Zoot Sims - Zoot At Ease (Famous Door HL 2000) ラストはやっぱり、大好きな「この1枚」ソプラノサックスがかっこいい!終了時間までお聞き下さい。 このレーベルのオーナー・プロデューサー ハリー・ラムは、かのコモドアレーベルの創設者。趣味の良く 渋い佳作が多いフェイマスドアのレコードは最近無条件でコレクトしてます

1976

18 . Zoot Sims Quartet Zoot Sims (ss) Ray Bryant(p) George Mraz (b) Grady Tate(d) NYC, January 8 & 9, 1976

Baubles,Bangles and Beads (Bordin-Forrest-Wright) 4'47" ●● Zoot Sims - Soprano Sax (Pablo 2310-770) 澤村さんのリクエストに応え、ズートがソプラノサックスで奏でるボロディンの佳曲。数あるパブロ盤で もこのドイツプレスは傑作です。 (ジャケット写真は編集部で挿入したもので、実際のレコードとは異なります)

33 [2007年6月15日「映画館」] 特集:梅雨にちなんだ“雨” 1.Here's That Rainy Day/Kenny Drew(p),Nieles-Henning Orst ed Pedersen(b),Ed Thigpen(ds) 2.Here's That Rainy Day/Paul Desmond(as),Jim Hall(g),Gene Wright(b),Percy Heath(b),Connie Key(ds),Gene Chevico(b) 3.Come Rain or Come Shine/Art Blakey(アルバム「MOANIN」よ り) 4.Over The Rainbow/Art Pepper with Marty Paich(TAMPA) 5. Come Rain or Come Shine/Monica Zetterlund with Bill Evans 6. Here's That Rainy Day/Don Scaletta Trio 7.アカシアの雨が止む時/阿部 薫(bassclarinet) 佐藤康和(percussion) 8. Storm Warning!/Dick Morrissey 『Storm Warning』(NORMA NOCD5610) 9.雨の日と日曜日/田中信正 『Odd Or Even』(EASTWORKS ENTATIMENT BJCD 0014) 10.Come Rain Or Come Shine/ Dick Morrissey 『Storm Warning』(NORMA N OCD5610)より 11.雨音/大石 学『Tears Rained Down~雨~』(MELDAC MECJ 30105) 12.Summer Rain/上原ひろみ 『Hiromi Another Mind』(TELARC) 13.Tears Rain Down/大石 学 『Tears Rained Down~雨~』(MELDAC MECJ 30105) 14.Over The Rainbow/Red Garland 『Groovin' Live「』(Alfa) 15. Blue Rain/岡安芳明 『Midnight Groove』(Paddle Wheel KICJ164) 16.Sweat Rain/加藤英介『ジャズ新鮮組』(Paddle Wheel KICJ354) 17.Come Rain Or Come Shine/Johnny Coles『Warm Sound』(Epic) 18. Rain/Steve Marcus 『Tomorrow Never Knows』(Atlantic) 19.雨/田中信正 『Mummy's Dance』(EASTWORKS ENTATIMENT EWCD0081)

34 [2007年6月23日「ジャズ・カントリー」] 「あなたも今日は、一日ジャズ喫茶マスター」 vol.4 紅 我蘭堂 コンセプトは、「70年代、頑固オヤジの皿回し」 このシリーズも4回目になり、私も2回目の登板となりました。いつものように掛けるのも自 由、聴くのも自由という趣向です。・・・で、今回のコンセプトは「70年代、頑固オヤジの皿回し」 としました。私がジャズにはまった70年代初頭のジャズを中心としたレコードを掛けてみた かったのです。と言うのは誠に個人的な理由で申し訳ないのですが、どうも最近私はジャズにつ いてインポテンツになっていまして、レコード屋回りをする気力もないし、ライブを追いかけた いプレイヤーもいないという非常に淋しい状態でした。こんな時こそ「初心忘れるべからず」とい うことでしょうか、自分がジャズにのめりこんだものを、もう一度聴きなおしてみたいと思った のでした。けっして当時のジャズ喫茶マスターの真似をしたいという野心があったのではありま せん。反対に、こんな私にお付き合いさせてしまう会員の皆様には申し訳ないと思っています。 いつものようにレジュメも能書きもない例会でした。でもとにかく、このレコードから始めま しょう。 1.GONE WITH GOLSON/BENNY GOLSON(PRESTIGE/NEW JAZZ8235 ビクターVIJJ-300 32) ・STACCATO SWING 4:50 ・AUTUMN LEAVES 6:49 ※この2曲は大好きです。 2.INVITATION/AL HAIG(SPOTLITE AH4) ・HOLYLAND 5:27 ・INVITATION 7: 00 3.DIZZY ATOMSPHERE(SPECIALTY SP2110) ・DISHWATER 10:38 ※何か嫌なことがあった時に聴くとスカーとする演奏です。リー・モーガンが素晴らしい。 4.SONG FOR HOPE/高瀬アキ(ENJA 4012) ・SONG FOR HOPE 7:54 ※もっとおしゃべりしてもらいたかったのですが、真剣に聴いてもらいました。 5.TUNE UP/SONNY STITT(COBBLESTONE CST9013) TUNE UP 4:53 ・I CAN'T G ET STARTED 5:32 ・IDAHO 4:29 6.LOVE FOR SALE/DEREK SMITH(PROGRESSIVE テイチク ULS-6 102-G) ・LOVE FOR SALE 6:08 ・SUMMERTIME 6:14 7.BACKLASH/FREDDIE HUBBARD(ATLANTIC SD1477) ・BACKL ASH 4:10 ・THE RETURN OF THE PRODIGAL SON 5:37 8.MINOR REVELATION/BENNY GREEN(BLUE NOTE 東芝 GXF-306 3) ・IT'S GROOVY 3:41 ・ON THE STREET WHERE YOU LIVE 5:51 ※この「君住む街角」には、私の切ない想い出があります。 9.TOUCH OF LOVE/宮之上貴昭(VAP 30016-28) ・FRIED CORNBREAD 4:56 ・GEORGIA ON MY MIND 5:55 10.FACING YOU/KEITH JARRETT(ECM 1017 ビクター SMJX-10139) ・Lalene 11.RETURN TO FOEVER/CHICK COREA(ECM 1022) ・SOMETIMES AGO-LA FIESTA 23:18 ※時間の関係でフェードアウトしたら大ブーイングが起きました。すみません! 12.HUSH-A-BYE/森山 威男(テイチク GU-5008) ・HUSH-A-BYE 6:00 13.FULL HOUSE/WES MONTGOME RY(RIVERSIDE RLP-434 ビクター DIW-9015) ・FULL HOUSE 9:1 4 ・CARIBA 9:35 14.WHEN A MAN LOVES A WMAN/ 水橋 孝(THREE BLIND MICE TB M CD-1828) ・WHEN A MAN L OVES A WMAN 11:49 ※最後はやはりKJFCのテーマ曲とも 言える、この曲でしょう。 35 今後の予定 ジャズスポット「映画館」 電話03-3811-8932 2007年10月19日(金)午後7時~午後10時 特集「夜」が付く曲・アルバム 2007年11月16日(金)午後7時~午後10時 特集:未定 2007年12月14日(金)午後7時~午後10時 特集:未定

「JAZZ COUNTRY」電話03-3572-7684 2007年10月27日(土)午後7時~午後10時 特集:未定 担当:K.I. 2007年11月24日(土)午後7時~午後10時 特集:未定 担当:未定

編集後記 地球温暖化の影響でしょうか。年々異常気象が目立っているようです。私もなるべく自分でできるエコロジーを実行し ているつもりですが、もっともっと世界中で考えて実行していかないと子孫が生き残れないように思って、焦ってしま います。2酸化炭素を吐き出す経済活動にあくせくしないで、ゆったりとジャズで寛ぐ時間を持ってもらいたいもので す。・GROOVY第43号が完成しました。今回は少し中断していた「“今”のジャズ喫茶」シリーズも久々の登場で す。新しいお店が増えていくことは良いことです。 ・3月から半年間でKJFC のメンバーにも様々な話題がありましたので、トピックスという形でまとめてみまし た。・次号の特集はまだ決まっていませんが、ジャズ喫茶シリーズは継続していきたいです。原稿をお待ちしていま す。(紅) お知らせ 水戸守敬一郎 GROOVY表紙イラスト展 開催

きたる9月3日(月)より1ヶ月間、ジャズスポット『映画館』において、水戸守敬一郎さんが描いた会報G ROOVYの表紙イラスト展が開催されます。詳細が分かればホームページに掲載いたします。

一緒にジャズを楽しみませんか? KJFC会員募集中 KJFCは心からジャズを楽しむ人の集まりです。オタクはいません。むしろみんなで好きなジャズを勉強して、分か ち合っています。みんなジャズについての素人です。一度例会に遊びにきてください。あなたの好きなジャズが、必ず 見つかるでしょう。

《KJFCの主な活動》 ・ 毎月2回のレコードコンサートを主体にした例会(会費月額500円) ・ 年1,2回自主ライブの主催 ・ 会報GROOVYの発行 ・ ホームページの運営などです。 詳しくはホームページthttp://www.kjfc.infoか、下記まで 090-4178-1833(布田幸雄)