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インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

先行区間(国道 51 号)の概略設計 (TURA-DALU)

8.1 概要 国道 51 号 (Tura – Dalu) は、第 6 章で示したように最も優先順位の高いグループ A に位置付け られたプロジェクトである。本調査では概略設計を実施して、調達方法や建設工法、事業実施ス ケジュール、組織体制、運営維持管理体制、自然環境および社会環境に与える影響等の検討、お よび事業費を算出し、実現可能性の検討をおこなう。 国道 51 号はメガラヤ州において Tura と Daluを結ぶ国道であり、事業対象区間は 54kmである。 多くの区間は山岳地域に位置しており、道路の標高は概ね 110m から 260m の範囲である。既存 の道路は概ね幅員 3.75m である。 本事業の目的は、既存の国道 51 号に対して斜面対策工の設置や舗装改良、排水工およびその 他の道路施設の設置および拡幅をおこなうことにより、安全で快適な交通に寄与することである。 なお TURA バイパスについては経済効果が十分に見込まれないことから、概略設計のスコープに は含めないこととした。

8.2 自然条件調査

8.2.1 気象調査および水文調査 (1) 序論 道路の機能を維持するためには、排水設備により路面周辺や山側からの流入水を適切に排水す ることが必要である。特に山岳道路では、山の斜面からの流水が道路に向けて大量に流れ込んで くるため、排水設備を適切に設けることで、流水から路面をまもることが重要である。 そこで、プロジェクト対象地域の気象条件および地理的条件を考慮した流出量検討を行う。

(2) 気象条件 メガラヤ州の気候は12月から2月にかけて寒気となる。気候が温暖となるのは5月からであ り、まもなく雨季が開始され9月まで続く。Tura の最大気温は 34℃である。 なお 8.3 章で説明するように、インド北東部では近年の気象変動による影響により降雨量も増 加傾向にある。

(3) 地形条件 メガラヤ州は全体的に山岳地形を多く有する。Tura は Tura hill および Tura Peak のふもとに位置 する扇状地である。Tura の標高は 350m である。また Tura は West Gero Hills 地区のうちの中心地 である。国道 51 号の終点で NH62 と交差する地点は Dalu と呼ばれ、標高 20m、Tura から 33km 離れた都市である。 プロジェクトの対象となる Tura から Dalu において、国道 51 号は以下を含む複数の河川および 支流を横断している。

・ Ganol River ・ Rongkhon River ・ Rongnabak River ・ Mason River ・ Jintal River ・ Debok River

8-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(4) 流出量検討 1) 計算手法 流出量検討は、インド国の道路設計で一般的に用いられる横断排水に関する基準書 IRC:SP:13 “Guidelines for the design of small bridges and culverts” および道路排水に関する基準書 IRC:SP42 “Guidelines of road drainage”に基づいておこなう。 計算手法としては、線形モデルによりピーク流量を算出する合理式を適用する。このため、流 出量の大きさは、降雨強度、流域間の距離や到達時間、集水面積、流域形状や傾斜、土壌や植生 など地表面の状況により決定される。 合理式 Q = 0.028 x C x I x A C : 流出係数 I : 流達時間内の降雨強度 (cm/hr), I = F/T x ((T+1)/(tc+1)) F : 雨量強度 (mm/hr) T : 雨量継続時間 (hrs) tc : 流達時間(hrs) A : 集水面積 (hectares) 2) 再現期間 再現期間については IRC:SP42 に指針が示されている。 ・ 国道の側溝 :25 年 (谷地形) ・ 国道の横断排水 :25 年 (スパン 2m 以下) /:50 年 (スパン 2m -6m)

さらに IRC:SP42 では、まれに発生する洪水時においても浸水被害を抑えるため、設計流量よ りも一回り再現期間を大きくしたチェック流量を適宜設計に取り入れることを推奨している。 国道 51 号は急峻な丘陵部を含み、道路浸水により致命的な事故が発生するリスクを避けるた めにも、全てに再現期間 50 年を適用しても過大ではないと思われる。 そこで本調査では、再現期間 50 年の流出量を算定し、これを満足させる断面容量の排水構造 物を計画する。 3) 降雨強度 降雨強度はインド国気象庁( Meteorological Department)が発行する ATLAS of Statewise Generalised ISOPLUVIAL MAPs of Eastern India (Part-II)の降雨強度コンタ―マップから引用するも のとする。 降雨強度コンタ―マップ上にプロジェクト位置を特定したものを図 8.2-1 に示す。なお降雨強 度の値は該当するコンタ―領域のうちの大きい方の端値を採用する。 国道 51 号各区間に適用する降雨強度を表 8.2-1 に示す。 表 8.2-1 国道 51 号の各区間に適用する降雨強度 50 年- 24 時間 区間始点 区間終点 降雨強度 プロジェクト対象区間の B.P. プロジェクト対象区間の E.P. 400mm/hr (90k 付近) (148k 付近) 出典:調査団

8-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: ATLAS of Statewise Generalised ISOPLUVIAL (Return Period) Maps of Eastern India (Part – II) 図 8.2-1 国道 51 号周辺の降雨強度マップ(再現期間 50 年)

4) 流出係数 流出係数については、IRC:SP:13 に指針が示されている。 国道 51 号は主に山岳エリアであり山肌が岩質であるため、流出係数C:0.8 を適用する。 5) 流域諸元 流域諸元である集水面積、流路延長、地盤高低差等については、衛星データおよび GIS ソフト を用いたコンピュータ解析により算出する。 ・ Satellite data : CatoSat I ・ Software : Arc GIS 10.1 & Erdas

コンピュータ解析により得られた国道 51 号の流域図の一例を図 8.2-2 に示す。

出典: 調査団 図 8.2-2 コンピュータ解析により得られた流域図の一例(国道 51 号)

8-3 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(5) 流出量結果 流出量検討により、背面流域からの横断流水について流出量を整理する。このうち比較的規模 の大きな流出箇所(Q>4m3/s)について表 8.2-2 にまとめる。 なお、小さな流域を含む全ての流出量については、付録-4 に横断排水リストにまとめる。 なお、後述の排水計画で説明するように、横断排水施設は流出量検討で得られた流水横断位置 の他にも、既設カルバートの各箇所や、広い間隔を補間するべき位置にも設けるものとする。 表 8.2-2 比較的規模の大きな流出箇所一覧(国道 51 号) Cheinage Difference Catchment Length of Discharge (Project of elevation Remark Area (m2) Tributry (m) Q50 (m3/s) Alignment) (m) 86+570 898,275 1,832 68 76.34 Existing culvert location 87+885 80,401 474 16 8.38 Existing culvert location 88+850 102,637 17 8 10.23 90+395 569,853 101 10 54.31 Existing culvert location 91+020 38,628 561 257 4.37 91+120 79,986 782 216 9.08 93+080 76,662 782 216 8.77 Existing culvert location 93+490 145,099 923 336 15.08 Existing culvert location 138+150 970,671 1,718 50 91.32 Existing culvert location 139+225 52,495 427 14 6.55 139+910 402,207 1,204 41 38.84 Existing culvert location 141+560 700,998 1,239 40 66.42 出典: 調査団

8.2.2 地形調査 (1) 調査項目 国道 51 号については、JICA 調査団としては追加的調査は実施しなかった。DPR コンサルタン トより提供された地形測量データの詳細を表 8.2-3 に示す。 表 8.2-3 DPR コンサルタントから提供された地形測量データの詳細 No. 項目 詳細 適用されていた座標系シス 任意の座標系システムが使用されていたが、北側を示す方位 1 テム は正しいと思われる。 既存道路にかかる道路中心線、及び端部の 3 次元点群データ 2 既存道路調査データ と 3 次元線形データが利用可能であった。 3 次元点群データ自体は利用可能であったものの、同データ は道路幅員範囲及びその外側の非常に限られた範囲に限定さ 3 地形測量調査データ れており、数量計算に必要な DTM データ作成には不十分な ものであった。 4 山側の地形データ 数量計算上十分なデータが揃っていない。 数少ない区間かつ限定的な範囲でのみ利用可能なデータあっ 5 谷側の地形データ た。 既存道路沿道家屋や他の建物に関する情報が十分ではなかっ 6 他の詳細データ た。 7 備考 山側斜面の地形データが不十分であった。 出典: 調査団

(2) レビュー実施の際の留意点 ・ 地形測量データ上の座標系システムが不明であること ・ 山側及び谷側斜面の地形測量データが不十分であること 8-4 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(3) JICA 調査団による捕捉データの取り扱い JICA 調査団としての設計方針は、盛切バランスをできる限り最適化することであり、それを 実現するために、DPR による線形よりも谷側に道路線形を極力移動させることとした。山側及び 谷側両方の地形測量データが利用不可能かもしくは非常に限定的な範囲のみ利用可能であるとい う状況に鑑み、JICA 調査団により実施した斜面インベントリーデータを活用し不足範囲の地形 データを補足的に作成することとした。しかしながら、斜面インベントリー調査自体は、200~ 300m 間隔にて現道に沿って実施しているにすぎず、現実的には、補足的に作成した地形データ には高い精度まで期待できない。

8.2.3 地質調査 (1) 概要 国道 54 号と同様に、JICA 調査団は、斜面対策と舗装設計のため、それぞれ斜面インベントリ 調査および道路線形土質調査を国道 51 号においても実施した。 国道 51 号の位置するメガラヤ州は、ブラマプトラ川の南方のシロン高原内に位置している。 メガラヤ州はインドでも最も降雨の多い地域の一つであり、平均年間降雨量は 12,000mm に達す る。シロン高原の西方、比較的標高の低い Garo 丘陵では、年間を通じて、気温が高い。 図 8.2-3 にメガラヤ州の地質図を示す。 シロン高原は、先カンブリア紀から最近の 沖積層までさまざまな地質体で構成されて いるが、国道51号が位置する高原の西側で は第三系から第四紀層が分布している。第 三系は、石灰岩や礫岩を狭在する泥質・砂 質片岩や砂岩からなる Shella および 層で構成されている。バングラデ Baghmara NH51 ッシュ国境付近の国道51号の南側では、沖 積層が第三系を覆っており、この未固結層 は、浸食や崩壊に弱く、斜面崩壊や道路沈 下の要因となっている。 出典: メガラヤ州鉱山地質局 斜面インベントリ調査結果については、 図 8.2-3 メガラヤ州地質図 8.2.4 項で後述する。

8.2.4 道路インベントリ調査 (1) 調査概要 JICA 調査団は、2015 年 2 月から 4 月にかけて、道路インベントリー調査を実施した。対象路線 は、国道 51 号(メガラヤ州)であった。同調査は、これら対象路線の道路幅員構成、道路の構 造上、交通特性上の課題把握、地形上の課題、沿道土地利用状況を含む社会経済状況の把握を目 的としている。 (2) 調査方法 1) 対象道路 本調査にて対象とした路線を以下に示す。  国道 51 号:54 km(メガラヤ州)

8-5 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

国道 51 号 ⑪ ( ) 54km②

③ ④ ⑥ ⑦

国道 号 ⑧ North-East 54 State (381km)

0 50km 100km 150km

出典: 調査団 図 8.2-4 位置図(国道 54 号、及び国道 51 号)

2) 調査計測項目 a) 道路幅員構成及び沿道状況 以下に示す調査項目について、対象路線沿いに 100m 毎の距離計測テープによる計測及 び目視観測を行った。  地形条件  土地利用状況  道路幅員  舗装状態  側溝  歩道

舗装状態の計測については、目視観測により「良い」、「普通」、「悪い」、「非常に悪い」 の 4 段階に判別した。同観測における判断基準を以下に示す。  非常に良い :道路表面がスムーズであり、ポットホールが見られない状態  良い :道路表面はスムーズではあるが、クラックやポットホールが僅 かにみられる状態  悪い :道路表面により多くのポットホールが見られ、うねり等の損傷 が見られる状態  非常に悪い :損傷状況が非常に悪く、道路表面にはポットホールやひび割れ だけでなく変形、損傷などが多く見られる状態

本調査では 100m おきに下図に示す道路幅員(舗装幅、路肩幅)を計測した。

8-6 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

道路幅員 側溝

舗装幅 路肩幅 路肩幅

出典: 調査団 図 8.2-5 道路幅員(舗装幅、路肩幅)の定義

b) 横断管及び水路 距離計測テープ及び目視観測により、以下に示す横断管及び水路に関する各項目の計測 を行った。  横断管(形状タイプ、サイズ)  横断管の状態  水路(幅等)

c) 擁壁構造物及びガードレール 距離計測テープ及び目視観測により、以下に示す擁壁構造物及びガードレールに関する 各項目の計測を行った。  擁壁構造物(タイプ、高さ、長さ)  ガードレール(タイプ、高さ、長さ)

d) 公共施設及び宗教施設 事前収集した現地関連情報及び目視観測により、以下に示すとおり沿道の公共施設及び 宗教施設の有無、舗装縁からの距離等、各項目の計測を行った。  公共施設(有無、舗装縁からの距離等)  宗教施設(有無、舗装縁からの距離等)

e) 架線式ユーティリティーライン(位置(左右)、舗装縁からの距離等) 事前収集した現地関連情報及び目視観測により、以下に示すとおり沿道の架線式ユーテ ィリティーラインの有無、位置、舗装縁からの距離等、各項目の計測を行った。  配電線  送電線  変電所  電話線

f) 地下埋設式ユーティリティーライン(位置(左右)、舗装縁からの距離) 事前収集した現地関連情報及び目視観測により、以下に示すとおり沿道の地下埋設式ユ ーティリティーラインの有無、位置、舗装縁からの距離等、各項目の計測を行った。  水道管  光ファイバー線

g) 橋梁構造物 (幅、長さ) 対象路線沿いの橋梁構造物の位置をその大きさと状態とともに記録した。

8-7 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(3) 調査結果 1) 道路幅員構成及び沿道状況 a) 道路幅員(舗装、路肩) 道路幅員に関する調査結果を図 8.2-6 に示す。  ロングラム~トゥラ区間 路肩幅については、1.0m 前後と他区間と比べても比較的狭い結果となった。一 方、舗装幅は 5.0m~6.5m程度あり 2 車線道路幅を十分に保有していると言える。

 トゥラ~ラクマンパラ区間 舗装幅については、トゥラから約 3km の区間では約 7m であったが、その他の 区間では平均して 4.0m 程度の幅であり、2 車線道路に満たない道路であると言え る。 路肩幅については、トゥラからラクマンパラまでの区間で、1.0m 幅から 5.0m 幅 まで徐々に増加する結果となった。この結果より、舗装幅は 1.5 車線程度である ものの、路肩幅が十分あり対向車の擦れ違い能力などは比較的高い区間であると 言える。

 ラクマンパラ~バレンガパラ区間 舗装幅が 4.0m 程度であるのに対し、路肩幅が全体をとおして平均して 5.0m~ 6.0m と十分な幅を保有していることから、ほぼ 2 車線道路の容量を有しているも のと考えられる。バレンガパラ付近の数 km 区間では、舗装幅が 5.0m 程度あり、 路肩幅が十分に確保されており、2 車線道路の容量を十分有していると言える。

18 17 16 舗装幅 路肩幅 15 14 13 12 ラクマンパラ バレンガパラ (m) 11 ロングラム

10 トゥラ トゥラ 9 8 7 道路幅 員 6 5 4 3 2 1 0 85.0 90.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 km

出典: 調査団 図 8.2-6 道路幅員(舗装幅、路肩幅)

b) その他  地形条件 ロングラムからバレンガパラ区間では片側が山側でありもう片側が谷側となる 断面が大部分を占めていた。一方で、ロングラムからトゥラまでの約 3km 区間に ついては部分的に両側山側地形となる区間も見られた。トゥラからラクマンパラ の内 5km 程度の区間、及びバレンガパラ付近の 5km 区間については、両側が谷 側となる地形も見られた。

 土地利用状況 ロングラムからトゥラにかかる区間では、建物が多くみられる集落エリアが連 続的に続いていた。一方、トゥラからバレンガパラまでの区間では、バクマンパ ラ付近で 2km 程度、バレンガパラ付近で 3km 程度、建物が多くみられる集落エ

8-8 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

リアが見られた。

 舗装状態 トゥラからラクマンパラまでの 7km 区間では、舗装状態について連続的に「非 常に悪い」結果となった。ラクマンパラからバレンガパラにかかる区間では、総 じて「悪い」という結果が出ており、特にバレンガパラ側で「悪い」結果が多く 見られた。

 側溝 トゥラからラクマンパラにかかる 8km 区間、及びバレンガパラ付近の 4km 区間 では、側溝の敷設率が 30%未満と、敷設率の低さが確認された。

 歩道 トゥラ付近の 2km 区間のみ、70%~100%の歩道敷設率が確認されたが、その他 区間では、敷設率 30%未満と敷設状況の悪い区間がほとんどであった。

LEGEND

地形条件 (TOPO) Hill Valley

土地利用 (LAND) Built-up Rural

舗装状態 (PAVE) Good Fair Poor Bad

側溝 (SD) 70-100% 30-70% 0-30%

歩道 (SW ) 70-100% 30-70% 0-30% トゥラ トゥラ ロングラム ラ ク マン パラ バレ ン ガパラ

LAND

TOPO LHS

SD SW

PAVE

SW RH SD

TOPO 0+000 2+000 4+000 6+000 8+000 85+000 87+000 89+000 91+000 93+000 10+000 12+000 14+000 16+000 18+000 20+000 22+000 24+000 26+000 28+000 30+000 32+000 34+000 36+000 38+000 40+000 42+000 44+000 46+000 48+000

出典: 調査団 図 8.2-7 道路横断構成及び舗装状態(国道 51 号)

2) 横断管 平均して 1km あたり 4~5 本の横断管の設置が確認された。また、同横断管の内、ヒューム 管タイプがバクマンパラからバレンガパラ区間では 82%を占め、ロングラムからラクマンパ ラにかけては 59%を占めていた。

8-9 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.2-4 横断管の調査結果 区間距離 横断管の本数 (No.) 道路 区間 (km) ヒュームパイプ 練石積み・スラブ その他/不明 構造物なし 合計 平均本数(No. per km) ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 102 22 7 7 138 4.8 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 65 46 13 10 134 4.7 51号線 合計 57.7 167 68 20 17 272 4.7 出典: 調査団

3) 擁壁構造物 全ての擁壁構造物は練石積み擁壁であり、RCC 擁壁は設置されていない結果となった。ま たロングラムからラクマンパラ区間の方が同距離に対して 2倍以上擁壁構造物が密集して設置 されていることが確認された。 表 8.2-5 擁壁構造物の調査結果 擁壁構造物の面積 (m2) 区間距離 道路 区間 左側 右側 合計 (km) 練石積み RCC 合計 練石積み RCC 合計 練石積み RCC 合計 ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 1,997.3 0.0 1,997.3 1,469.0 0.0 1,469.0 3,466.3 0.0 3,466.3 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 4,799.5 0.0 4,799.5 3,271.5 0.0 3,271.5 8,071.1 0.0 8,071.1 51号線 合計 57.7 6,796.8 0.0 6,796.8 4,740.5 0.0 4,740.5 11,537.3 0.0 11,537.3 出典: 調査団

4) ガードレール ラクマンパラからバレンガパラ区間においては、スチールタイプのガードレールがその ほとんどを占めている。一方で、ロングラムからラクマンパラ区間ではスチールタイプは 全く見られず、練石積み形式のガードレールが大部分を占める結果となった。

表 8.2-6 ガードレール 区間距離 ガードレール設置距離 (m) 道路 区間 (km) 練石積み パラペット スチール 合計 ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 5.8 0.0 223.7 229.5 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 1,448.4 419.2 0.0 1,867.6 51号線 合計 57.7 1,454.2 419.2 223.7 2,097.1 出典: 調査団

5) 公共施設 沿道に建設されている学校及び孤児院は、ロングラムからラクマンパラ区間では、4km ~5km に 1 件の割合で確認された。沿道の待合所は、1km~2km に一つの割合で確認され た。

表 8.2-7 公共施設の調査結果 公共施設数 (No.) 区間距離 道路 区間 (km) 学校/孤児院 配水ポンプ トイレ(小便所) ガソリンスタンド 待合所 その他

ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 0 2 1 1 20 6 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 7 2 0 1 13 0 51号線 合計 57.7 7 4 1 2 33 6 出典: 調査団

6) 宗教施設 宗教施設については全線にわたり多くは見られなかった。しいて言えば、教会とモスク については、5km~6km に 1 件、10km に 1 件ほどの割合でそれぞれ確認された。

表 8.2-8 宗教施設の調査結果 区間距離 宗教施設数 (No.) 道路 区間 (km) 教会 モスク ヒンドゥー寺院 記念碑 墓 モニュメント/銅像 ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 3 0 0 0 0 1 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 7 4 0 0 0 3 51号線 合計 57.7 10 4 0 0 0 4 出典: 調査団 8-10 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

7) 公共ユーティリティーライン(配送電線、電話線、配水管、光ファイバー線) 道路を横断するか沿道付近を通過する公共ユーティリティーラインを調査した結果を下 表に示す。配電線については、ラクマンパラからバレンガパラまでの区間、及びロングラ ムからラクマンパラまでの区間において、平均して約 3km 及び 4km ごとに 1 ヵ所の割合で 確認された。送電線については、全線にわたり 3km~4km ごとに 1 ヵ所の割合で見られた。 電話線については、4km 程度に 1 ヵ所の割合であった。配水管については、全体の平均で 500m に 1 ヵ所程度の高頻度で確認された。光ファイバー線については、ロングラムから ラクマンパラまでの区間で主には確認され、同区間では 500m に 1 件の高頻度で見られた。

表 8.2-9 公共ユーティリティーラインの調査結果 公共ユーティリティーライン数 (沿道に位置する数及び横断する数) 区間距離 道路 区間 電線 (km) 電話線 配水管 光ファイバー線 配電線 送電線 ラクマンパラ-バレンガパラ 28.9 84 9 10 35 3 国道 ロングラム-トゥラ-ラクマンパラ 28.8 124 9 4 79 57 51号線 合計 57.7 208 18 14 114 60 出典: 調査団

8.2.5 斜面インベントリ調査 斜面インベントリ調査は、国道 54 号で実施したものと同様、地形計測や地質・土質状態の確 認、土砂災害リスクの抽出の実施を目的として実施した。詳細な調査結果を付録-3 に示す。 表 8.2-10 に、国道 51 号においてインベントリ調査により抽出した危険個所と、望ましい拡幅 サイドを示す。国道 51 号では主に谷埋盛土個所の軟弱地盤および排水不良に伴う道路の沈下が 多く認められる。沈下個所では、いずれの拡幅サイドであっても、排水性の向上のため、暗渠工 の設置などを実施するものとする。 表 8.2-10 推奨される道路拡幅方向 (国道 51 号) LS Landslide Location Disaster Road Deformation Recommended Widening Side Sec No. Slope No. Start ~ End Type Collapse Sinking Crack Bulge R/L H/V Landslide Countermeasure NH-51 01 221 93 + 400 ~ 93 + 420 SF x LV Soil retaining wall 02 014 4 + 480 ~ 4 + 540 SF x RV Soil retaining wall 03 015 4 + 540 ~ 4 + 580 SF RV Soil retaining wall 04 030 10 + 181 ~ 10 + 219 SF x x x L H Earth removal 05 046 15 + 440 ~ 15 + 480 SF x x - - Subsurface drainage 06 055 18 + 520 ~ 18 + 560 SB x - - Subsurface drainage 07 057 19 + 430 ~ 19 + 470 SB x - - Subsurface drainage 08 058 19 + 700 ~ 19 + 720 SB x - - Subsurface drainage 09 059 20 + 000 ~ 20 + 020 SB x - - Subsurface drainage 10 060 20 + 240 ~ 20 + 280 SB x - - Subsurface drainage 11 060 20 + 480 ~ 20 + 520 SB x - - Subsurface drainage 12 061 20 + 640 ~ 20 + 660 SB x - - Subsurface drainage 13 061 20 + 850 ~ 20 + 870 MM x x R V Road realignment 14 062 21 + 020 ~ 21 + 060 SB x - - Subsurface drainage 15 062 21 + 200 ~ 21 + 250 SB x - - Subsurface drainage 16 063 21 + 360 ~ 21 + 600 SB x - - Subsurface drainage 17 064 21 + 660 ~ 21 + 720 SB x - - Subsurface drainage 18 069 23 + 700 ~ 23 + 780 SB x - - Subsurface drainage 19 070 23 + 940 ~ 24 + 010 MM-p x R H - No need 20 070 24 + 120 ~ 24 + 220 SB x - - Subsurface drainage 21 071 24 + 420 ~ 24 + 480 SB x - - Subsurface drainage 22 074 25 + 680 ~ 25 + 700 MM x LV Soil retaining wall 23 091 32 + 020 ~ 32 + 040 MM x LV Retaining wall 出典: 調査団 MM: Mass Movement, MM-p: Inactive mass movement, SF: Slope Failure, SB: Subsidence R: Right side, L: Left side, H: Hill side, V: Valley side

8-11 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

8.3 概略設計

8.3.1 DPR レビュー (1) 道路設計基準 DPR での設計では、国道 51 号は以下の 2 区間に分けられていた。 1. 北側区間(Km85~Km 95 トゥラ市街地の北側) 2. 南側区間(Km101(トゥラ市街地の南側)~Km145(ダル))

その他詳細については、国道 54 号について言及した 7.3.1 と同様である。 DPR にて言及されている国道 51 号にかかる道路幅員を、JICA 調査団による当初の提案と NHIDCL が最終決定した内容を比較する形で表 8.3-1 に示す。 表 8.3-1 道路幅員比較(DPR 案、JICA 調査団案(当初)、NHIDCL による最終決定案) 車道幅 舗装幅 道路幅員 提案 工区 備考 (m) (m) (m) 国道 DPR 7.0 7.0 12.0 51 号 JICA 国道 調査団案 7.0 8.8 10.0 IRC73:1980 に準拠 51 号 (当初) NHIDCL 国道 7.0 10.0 12.0 最終決定案 51 号 出典: 調査団

(2) 道路線形計画のレビュー DPR をレビューするために DPR コンサルタントから提供されたのは地形測量データと平面線 形データであった。縦断線形データ、横断設計データ、その他設計に関わる詳細情報は提供され なかった。 DPR における線形計画データを基に、設計速度 30km/h(緩和値)、及び 40km/h(基準値)に対 応する最小平面曲線半径に一致する曲線部の割合を検証し、その結果を表 8.3-2 に示す。 表 8.3-2 国道 51 号における DPR 線形計画のレビュー結果 工区 R<20 R=20 20

DPR における平面線形計画にて見られた特徴を以下に示す。 ・ 適用されていた最小平面曲線半径がわずか 14m と非常に低規格となっていた ・ 曲線半径が 20m に満たない曲線部が 10 ヵ所にも上っていた ・ 設計速度 30km/h(緩和値)という設計基準に満たない最小曲線半径が適用されている曲線 部が全体の 8.6%、53 ヵ所にも上っていた ・ 緩和曲線については国道 51 号の全工区にわたって一切適用されていなかった。

以上より、最小曲線半径に着目し DPR の設計レビューを行った結果、IRC73:1980 にて規定さ れる設計基準を満たしていない線形計画であったことが結論付けられる。 (3)斜面対策設計 国道 51 号の DPR で計画されている各工区の斜面対策のレビューを実施した。表 8.3-3 に各工区 の DPR の比較を、本 JICA 調査団の提案を併記して示す。

8-12 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

国道 54 号の DPR と同様に、道路拡幅は、大部分が山側へ切土により実施することが計画され ており、これにより盛土量に比べ膨大な切土量が発生することになっている。JICA 調査団は、 国道 54 号と同様に、切土量を減らすためケースバイケースで道路拡幅方向を決定し、土砂災害 や道路沈下に対する対策工を計画するよう、NHIDCL およびその DPR コンサルタントに提案し た。 表 8.3-3 斜面対策に関する DPR レビュー結果 項目 DPR* JICA 調査団案** ケースバイケースに山・谷、両側へ拡幅を 拡幅サイド 主に山側 行う。 切土勾配 1:0,.6 土砂・岩盤の分類により決定する。 切土量 谷側への拡幅により低減させ、なるべく盛 145 万 (m3) 土とバランスをとる。 盛土量 130 千 谷側拡幅を増加させる。 (m3) 擁壁工 斜面保護 斜面リスク個所に適正に適用する。 胸壁 地すべり対策工計画 なし インベントリ調査によりリスク個所を抽出 し、対策工を計画する。 出典: *DPR (2015 年 5 月時点), **調査団

(4) 橋梁 DPR の提案内容について、以下の指摘事項が挙げられる。 ・ 橋梁形式や支間割り、幅員などの基本諸元および設計荷重条件、推定建設年次などの情報に ついて、既設橋の説明が足りないものが多いこと。 ・ Minor Bridge 1 箇所の架替えおよび 11 箇所の改修(Rehabilitation)を提案しているが、損傷 状況および改修内容の具体的な説明が無い。

以上の理由により、本調査では改めて全橋を確認することが必要である。 本調査では、橋の基本諸元や劣化状況を現地にて確認し、また建設年時や設計荷重などの情報 もヒアリングを通じて確認する。 それらを通して、道路幅員、設計荷重、健全性の観点から、架け替えの必要性について総合的 な判断をおこなう。 表 8.3-4 DPR による橋梁改修の提案内容(国道 51 号) DPR による提案 コメント NH-51 既存橋として Major Bridge 1 箇所と Minor 構造形式、幅員などの基本情報の記 Bridge 11 箇所を取り挙げている。 述が不足している。 このうち Minor Bridge 1 箇所の架替えおよび 損傷状況の具体的な説明がなく、改 11 箇所の橋梁改修(Rehabilitation)を提案して 修内容についても説明無し。 いる。 出典: DPR を基に整理

(5) 排水 DPR の提案する排水計画についてレビューをおこなった。横断排水のタイプ、サイズ別の数量 については、下表に示すとおりの構成となっている。また路面側溝についてはほぼ全区間にわた り切土側をコンクリート側溝としている。 このうち横断排水について、以下の指摘事項が挙げられる。

・ 既設カルバートの損傷状態、構造的特徴などが示されていない。 ・ いずれも既設カルバートは撤去して幅員 12m に合わせたカルバートを新しく設置することを 提案しているが、既設カルバートへの継足しが出来ない理由が明確に示されていない。 8-13 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

・ カルバートの計画にあたり水文解析を実施していないと推測される。流量計算に関する記述 が全く無い。また、カルバートの新たな計画箇所は無しとなっている。カルバートの配置お よび通水断面を決定するうえで、水文解析により得られた位置および流量を満たすように計 画されるべきである。

本調査では、既設カルバートの損傷状態や構造的特徴の確認、インベントリ―調査による諸元 の確認、さらに水文解析を実施して流量算出をおこなう。さらに DPR 成果も活用することで、 横断排水構造物の必要となる位置および通水断面を決定する。 表 8.3-5 DPR によるカルバートの提案内容(国道 51 号) Type Size Existing Newly added Sum location Slab culvert 1.0x 1.0 1 0 1 NH51 1.0x 1.5 28 0 28 85 to 95 1.5x 2.0 1 0 1 101 to 145 2.0x 1.0 8 0 8 2.0x 2.0 2 0 2 2.5x 2.5 3 0 3 BOX culvert 1.0x 2.0 3 0 3 Pipe φ1.2 x 1 162 0 162 φ1.2 x 2 19 0 19 Total 227 0 227 注)バイパス区間のカルバートの数量は含めない。 出典: DPR を基に整理

(6) 道路設計データの精度について ・ 地形測量データの座標系システムは現地の任意のものが使用されていることから、インド国 内の座標系システムを採用するか、世界で最も汎用的に使用されている世界測地系 WGS-84 を使用したものに統一する方が良い。これにより、検証目的等で世界共有的に使用できる Google Earth などへの変換が可能となる。 ・ 山側及び谷側、両側の地形測量データが不足していたため、JICA 調査団独自で、斜面イン ベントリー調査結果を利用した地形データの補完を試みた。しかしながら、利用した斜面イ ンベントリー調査は 200~300m 間隔での計測であったため、実際に地形測量調査を行った場 合と比べ、地形データの精度を期待できない。 ・ 以上の地形データを基に再設計していることから、設計数量については実際のものよりも大 きい差異が出ている可能性も否めない。

8.3.2 線形設計 (1) 準拠した設計基準 本設計では、インド道路会議(IRC)の基準、コード、ガイドライン、及び関連出版図書に準 拠する。特に、以下のインド道路会議発行の道路幾何構造設計に関わる基準に則ることとする。  IRC:73-1980 – Geometric Design Standards for Rural (Non-urban) Highways  IRC:52-2001 – Recommendations about the Alignment Survey and Geometric Design of Hill Roads  IRC:SP:48-1998 – Hill Road Manual

なお、上記基準に記載されていない技術的事項がある場合には、米国全州道路交通運輸行政官 協会(AASHTO)の「A Policy on Geometric Design of Highways and Streets, 2011」や 日本道路協会 (JARA)の「道路構造令の解説と運用 平成 16 年」を必要に応じて参照する。

8-14 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(2) 設計基本計画と設計基準 当初想定していた本プロジェクトにおける検討目的は以下のとおりである。 ・ 提供されたデータ・レポートを検証し、DPR をレビューすること ・ 調達計画、建設計画、実施計画、プロジェクト実施体制、運営・維持管理能力、社会環境条 件を検討し、対象区間にかかる事業費、実現可能性について評価すること

しかしながら、DPR をレビューした結果、地形測量データの精度が低いこと、設計基準が適切 に適用されていないことが明らかとなった。以上より、当初の検討目的ではなかったものの、利 用可能な提供データを基に再設計作業を試み、検討に必要な工事数量、事業費積算までをするこ ととなった。 再設計にあたり、以下の設計上の方針を適用することとした。 ・ 今回のもう一つの対象道路である国道 54 号と比べ、道路幅員、設計速度、最小平面曲線半 径、緩和曲線の有無などを含め、それぞれ異なったその設計思想により設計されていること から全工区統一的な設計基準の適用が必要である。 ・ 実際に適用されている設計基準の中でも最小値に準拠するようにし、また、現道から大きく 外れた道路線形を取らないなど、地形条件に配慮した設計基準を適用する必要がある。 ・ 土工量の不均衡をできる限り最小化する方針にて拡幅計画を行い、極力建設コストが増大す ることを避けるために、道路線形は、谷側にある程度シフトさせる必要がある。 ・ JICA 調査により特定された斜面崩壊頻発区間においては、拡幅するのを谷側とするのか山 側とするのかは、JICA 調査結果に基づき決定する必要がある。 ・ 現道沿いの住宅家屋の移転数をできる限り最小化する方針を取る必要がある。 ・ NHIDCL 及び IRC:37-1980 で言及されているとおり、すべての平面曲線部で緩和曲線を適用 する必要がある。但し、緩和曲線長を確保できない場所は例外とする。

以上の方針を基に、第 7 章に既に示している表 7.3-16 が国道 51 号へ適用する道路設計基準概要 となる。

(3) 設計条件 ・ 上記でも言及した通り、本プロジェクトにおける当初の検討目的は現存のデータ・レポート の検証と、DPR のレビューである。 ・ しかしながら、各現地コンサルタントにより仕上げられた DPR の線形設計において、設計 基準が各工区ごとに異なっており、設計基準の統一化が必要であった。 ・ 提供された DPR における現道拡幅計画では、そのほとんどが山側を拡幅する計画であった。 この計画では土工量の増大、環境面での甚大な影響が懸念された。 ・ このことから、統一的な設計基準を適用することにより全工区の再設計が必要であった。ま た同再設計では、極力谷側へ線形を再配置するなど、盛切バランスを最大限に考慮し土工量、 環境影響を最小限に抑える必要があった。 ・ しかしながら、提供された DPR データでは、利用可能な谷側の地形測量データがなく、本 プロジェクト内にて今から地形測量調査を追加的に含めることは困難であり、実際に同調査 を実施するだけの調査期間もない状態であった。 ・ 本プロジェクトスコープ内で行っていたことは、斜面インベントリー調査であり、同調査で は、距離計を使用した 200m~300m 間隔での概略計測までを行っている。 ・ 同斜面インベントリー調査結果を使用することで、谷側の DTM データを補完的に作成した ものの、同斜面インベントリー調査が 200m~300m 間隔での精度であることを勘案すると、 作成した DTM データに良い精度を期待できない。 ・ 以上の様々な制約条件の中で再設計を行う必要があったため、想定される設計精度は高いわ けではない。

8-15 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

(4) 平面線形設計 国道 51 号における各工区の始点と終点の位置(Km)を表 8.3-6 に示す。 表 8.3-6 国道 51 号における各工区の始点と終点の位置(Km) No. 工区 始点位置 終点位置 備考 北側 再設計後の終点位置は、原設計時の Km95 と同 1 Km 85+000 Km 94+226.4 区間 一位置である。 終点位置は、現設計位置から 575m 南側、Km145 である国道 62 号との交差位置まで延伸すること を推奨する。 南側 トゥラの PWD 職員によると、同区間のバングラ 2 Km 101+000 Km 143+289.9 区間 デッシュ国境まで続く DPR は既に別途の PWD プロジェクトにより完了している。同 PWD デー タの提供を PDW 側に依頼したものの提供は不可 能との回答であった。 出典:調査団

表 8.3-7 に国道 51 号各工区の線形設計修正後の詳細を示す。同表には、設計速度 30km/h の場合 の最小曲線半径に満たない曲線部が北側区間では示されているが、これら基準に満たない曲線部 は住宅密集区間にて適用されているか、大規模な住宅の移転を避けるために適用されているため、 妥当な設計と言える。 表 8.3-7 国道 51 号各工区において適用された最小曲線半径 工区 R=20 20

線形設計修正後の土工量、捨土量を表 8.3-8 に示す。なお、DPR では土工量、捨土量に関する 情報が言及されていなかった。 表 8.3-8 JICA 調査団による線形設計修正後の土工量(国道 51 号) 線形設計修正後 No. 工区 土工量 捨土量 (m3) (m3) 1 対象全線 0.70 百万 0.29 百万 出典:調査団

(5) 縦断線形設計 ・ 切土側の側溝に対する最小縦断勾配は 0.5%とする ・ 基準縦断勾配は 6.0%とする(7.2.3 (1)の道路設計基準に準拠) ・ 地形条件が厳しい箇所で適用する制限縦断勾配は 7.0%とする ・ どうしても避けることのできない条件下では、最大縦断勾配長 100m の範囲内で特例縦断勾 配 8.0%を適用することとする

各工区での縦断勾配の適用範囲に関する統計結果を表 8.3-9 に示す。 表 8.3-9 各工区での縦断勾配適用範囲 縦断勾配の適用範囲 No. 工区 ≤0.5% 0.5%-1% 1%-2% 2%-3% 3%-4% 4%-5% 5%-6% 6%-7% 7%-8% 11% 1 北側 5.8% 5.5% 5.0% 9.9% 5.7% 3.5% 6.0% 55.4% 2.2% 1.1% 2 南側 7.5% 13.5% 18.2% 8.7% 14.2% 18.1% 13.8% 5.1% 1.0% 0%

8-16 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典:調査団

・ 基準縦断勾配 6.0%を上回り制限縦断勾配 7.0%以下である区間が全体の 55.4%、5.1%をそれ ぞれ北側工区、南側工区で占めていた。 ・ 制限縦断勾配 7.0%を超え、かつ特例縦断勾配 8.0%以下の区間は全体の 2.2%、1.0%をそれぞ れ北側区間、南側区間で占めていた。 ・ 橋梁アプローチ区間に位置する北側工区の Km91+397 から Km91+497 では、避けられようの ない特例条件があるために長さ 100m に限って特例縦断勾配を超えた 11.0%を適用させるこ ととした。

(6) 標準横断 適用される標準横断は、既に上述している図 7.2-12の国道 54 号での適用と同条件としている。

8.3.3 橋梁・構造物設計 (1) 基本方針 既存橋の架け替えの必要性について、以下の視点より総合的な判断をおこなう。 ・ 道路幅員:National Highway 基準に準じた道路幅員を確保できること。なお計画幅員は道路 区間一般部では全幅 12m(車道 3.5mx2+路肩 2.5mx2)となるが、既設橋上の道路幅員は、 IRC:73 に基づき 7.5m が概ね確保できればよいものと考える。 ・ 設計荷重:既存橋を活用する場合、現在の National Highway に適応されている設計荷重条件 を基本的に満足していること。特に、桁に直接作用する活荷重が重要であるため、現行の IRC:6 の活荷重(IRC Class 70R Loading)が適応されているかを一つの判断とする。 ・ 健全性:既存橋を活用する場合、損傷度合いが少なく健全とみなせること。国道 51 号の原 形道路は 1960 年頃の建設と言われており、建設時当初より残る橋梁であれば既に 50 年近く 経過したことになる。損傷や経年劣化がみとめられる場合には、本道路改良を機に架け替え ることが得策である。

(2) 既存橋梁の状況 国道 51 号対象区間には 14 箇所の既存橋が存在する。これらについて、諸元、損傷状況および 考察を表 8.3-11 にまとめる。 既存橋の建設年はそれぞれ異なるが、いずれの橋梁も道路幅員は概ね 7.5m が確保されていた。 健全性については、数箇所の比較的新しい橋梁を除き、全体的に経年劣化が進んでいる。 PWD へのヒアリング情報に基づくと、国道 51 号の既存橋は Class A 荷重が採用されている。一 方 IRC:6 によれば、現行の National Highway 基準における活荷重は 70R 荷重および Class A 荷重の 両方を照査することとしている。(これを 70R 荷重と呼ぶ) 相方の活荷重モデルにおいては軸配置や軸重が異なるため、橋梁スパンによっては Class A 荷 重のみで設計すると荷重条件が小さくなる場合もある。 ここで、単純梁上における両荷重モデルの総荷重で単純比較すると、Class A 荷重の総重量が 70R 荷重を下回るのは、スパン 15m 以下の条件でおこる。そのためスパン 15m 以下の既存橋につ いては 70R 荷重に対応できないため、桁に対する設計荷重不足とみなすものとする。

8-17 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-10 IRC 荷重モデルの単純梁上の総荷重の比較 Live load total

Bridge Length 70R 70R Class-A (Tracked Vehicle) (Wheeled Vehicle) Lanes One lane load One lane load Two lane loads L=5m 70t 46t 51.0t L=10m 70t 92t 70.0t L=12.5m 70t 92t 78.2t L=15m 70t 100t 100t L=20m 70t 100t 110.8t L=30m 70t 100t 110.8t 出典: 調査団

出典: IRC:6 図 8.3-1 70R (Tracked) Vehicle の車軸配置

出典: IRC:6 図 8.3-2 70R (Wheeled) Vehicle の車軸配置

出典: IRC:6 図 8.3-3 Class A Train of Vehicles の車軸配置

8-18 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-11 既存橋の状況(国道 51 号) 位置 諸元 損傷状況 考察 ・橋梁名:Ganol Bridge ・桁、橋脚橋台、舗装、 特に損傷が見られないこ ・河川名:Ganol River 高欄など、全て比較的 と、また幅員が確保でき ・建設年:2002 年 新しく、特に損傷は見 るため、このまま使用す ・構造形式:4 径間 RC 桁橋 当たらない。 るべきである。 86+310 ・橋長、スパン: 4 スパン合計 98.9m ・道路幅員:7.5m+両側歩道 ・桁全幅:12m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Dapu Bridge ・桁、橋台は全体的に経 桁に対する設計荷重が不 ・河川名:Dapu Stream 年劣化しているが、特 足する理由により、桁の ・建設年:1994 年 に大きな損傷は見当た 打換えを提案する。 ・構造形式:RC 床版橋 らない。 90+077 ・橋長、スパン: 1 x 12.8m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Jongme Bridge ・桁、橋台は全体的に経 桁に対する設計荷重が不 ・河川名:Jongme stream 年劣化しているが、特 足する理由により、桁の ・建設年:1985 年 に大きな損傷は見当た 打換えを提案する。 ・構造形式:RC 床版橋 らない。 91+385 ・橋長、スパン: 1 x 8.8m ・道路幅員:7.5m+両側歩道 ・桁全幅:11m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Rongkhon ・桁、橋台、舗装、高欄 特に損傷が見られないこ Bridge(N) など、全て比較的新し と、また幅員が確保でき ・河川名:Rongkhon River く、特に損傷は見当た るため、このまま使用す ・建設年:2003 年 らない。 るべきである。 ・構造形式:RC 桁橋 92+442 ・橋長、スパン: 1 x 37.0m ・道路幅員:7.5m+両側歩道 ・桁全幅:12m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Rongkhon ・桁、橋台、舗装、高欄 特に損傷が見られないこ Bridge(S) など、全て比較的新し と、また幅員が確保でき ・河川名:Rongkhon River く、特に損傷は見当た るため、このまま使用す ・建設年:2003 年 らない。 るべきである。 ・構造形式:RC 桁橋 92+532 ・橋長、スパン: 1 x 17.1m ・道路幅員:7.5m+両側歩道 ・桁全幅:12m ・設計荷重:Class A

8-19 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

位置 諸元 損傷状況 考察 ・橋梁名:Deran Bridge ・桁、橋台は全体的に経 桁に対する設計荷重が不 ・河川名:Deran Stream 年劣化している。 足する理由により、桁の ・建設年:1990 年 ・桁側面においてコンク 打換えを提案する。 ・構造形式:RC 床版橋 リートの剥離および鉄 103+240 ・橋長、スパン: 筋露出がみられる。 1 x 11.5m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Rongnabak Bridge ・桁、橋台は全体的に経 特に損傷が見られないこ ・河川名:Rongnabak River 年劣化しているが、特 と、また幅員が確保でき ・建設年:1990 年 に大きな損傷は見当た るため、このまま使用す ・構造形式:RC 桁橋 らない。 るべきである。 107+335 ・橋長、スパン: 1 x 25.8m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Mason Bridge ・桁、橋台は全体的に経 特に損傷が見られないこ ・河川名:Mason River 年劣化しているが、特 と、また幅員が確保でき ・建設年:1993 年 に大きな損傷は見当た るため、このまま使用す ・構造形式:RC 桁橋 らない。 るべきである。 136+990 ・橋長、スパン: 1 x 25.3m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Jintal Bridge ・中央径間は比較的新し 側径間の桁について、桁 ・河川名:Jintal River くみえるが、桁側面部 に対する設計荷重が不足 ・建設年:1996 年 について排水不良によ する理由により、桁の打 ・構造形式:3 径間 RC 床版 り変色している。 換えを提案する。 橋 ・側径間部では全体的な 137+825 ・橋長、スパン: 経年劣化がみられる。 9.0m+17.4m+9.0m =35.4m ・アプローチ部が沈下し ・道路幅員:7.5m ている。 ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:- ・桁、橋台は全体的に経 幅員が不足すること及び ・河川名:- 年劣化しているが、特 設計荷重が不足する理由 ・建設年:不明 に大きな損傷は見当た により、新橋への架け替 ・構造形式: RC 床版橋 らない。 えを提案する。 140+690 ・橋長、スパン: ・高欄が激しく損傷して 1 x 6.0m いる。 ・道路幅員:4.0m ・桁全幅:5m ・設計荷重:Class A ・橋梁名:Debok Bridge ・桁、橋脚橋台は全体的 桁に対する設計荷重が不 ・河川名:Debok River に経年劣化している 足する理由により、桁の ・建設年:1990 年 が、特に大きな損傷は 打換えを提案する。 ・構造形式:3 径間 RC 床版 見当たらない。 橋 140+990 ・橋長、スパン: 3x9.7m =29.0m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A 8-20 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

位置 諸元 損傷状況 考察 ・橋梁名:- ・桁、橋台は全体的に経 桁に対する設計荷重が不 ・河川名:- 年劣化している。 足する理由により、桁の ・建設年:1991 年 ・桁側面部において鉄筋 打換えを提案する。 ・構造形式: RC 床版橋 が露出している。 141+928 ・橋長、スパン: 1 x 7.5m ・道路幅員:7.5m ・桁全幅:8.5m ・設計荷重:Class A 備考)諸元については現地確認および、Tura District の P.W.D.に所属する Executive Engineer からの収集情報に基 づく。 出典: 調査団

したがって、1 箇所の橋梁については架け替え、6 箇所の橋梁については桁の打換えを提案す る。

架け替え対象の橋梁・・・1 箇所 (a) 140+690(RC 床版橋 L=6.0m)

桁の打換え対象の橋梁・・・6 箇所 (b) 90+077(RC 床版橋 L=12.8m) (c) 91+385(RC 床版橋 L=8.8m) (d) 103+240(RC 床版橋 L=11.5m) (e) 137+825(3 径間 RC 床版橋 側径間 2 箇所 x 9.0m ) (f) 140+990(3 径間 RC 床版橋 L : 3x9.7m) (g) 141+928(RC 床版橋 L=7.5m)

表 8.3-12 改修の必要な既存橋(国道 51 号) At 140+690

8-21 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

At 90+077

At 91+385

At 103+240

8-22 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

At 137+825

At 140+990

At 141+928

出典:調査団

(3) 適用基準 本調査の概略設計は IRC 基準に基づいた計画とする。また詳細設計においても IRC 基準の適用 を基本とする。 橋梁設計に関する主な基準書および標準図について表 8.3-13 に整理する。また道路への適用基 準も参考にすること。ただしこれに限定するものではない。

8-23 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-13 橋梁設計に関する主な基準書 IRC: 5-1998 Standard Specification & Code of practice for Road Bridges. Section – I General Features of Design (Seventh Revision) IRC: 6-2014 Standard Specification & Code of practice for Road Bridges. Section – II Loads & Stresses (Revised Edition) IRC: 21-2000 Standard Specification & Code of practice for Road Bridges. Section – III Cement Concrete Plain & Reinforced (Third Revision) IRC: 24-2010 Standard Specification & Code of practice for Road Bridges, Steel Road Bridges (Limit State Method) (Third Revision) IRC: 45-1972 Recommendations for Estimating the Resistance of soil below the maximum Scour Level in the Design of Well Foundations of Bridges. IRC: 73-1980 Geometric Design standards for Rural (Non-Urban) Highways. IRC: 78-2014 Standard Specification & Code of practice for Road Bridges. Section – VII Foundation & Substructure (Revised Edition) IRC: 112-2011 Code of Practice or Concrete Road Bridges MORTH Standard Plans for 3.0m to 10.0m Span Reinforcement Cement Concrete Solid Slab Structure with and without Footpaths for Highways, 1991 MORTH Standard Plans for Highway Bridges R.C.C. T-Beam & Slab Superstructure – Span from 10m to 24m with 12m width, 1991 出典: 調査団

また、当地域の地域特性および道路特性を考慮して、主な荷重条件を以下に挙げる。 ・ 活荷重:IRC:6 Clause201 に基づき IRC Class 70R Loading を適応する。 ・ 組合せ条件:Clause204.3 に基づき、One lane of Class 70R OR Two lanes of ClassA. ・ 衝撃荷重:Clause208 の規定に従うこと。 ・ 温度荷重:Clause215 の規定に従うこと。国道 54 号は+5℃~+40℃の気温範囲にあたる。 ・ 地震荷重:Clause219 に従うこと。 ・ Zone No. V ・ Important Factor : 1.5

以上に限らず、IRC:6 を満たすように設定する必要がある。

(4) 橋梁の計画 (a) Minor Bridge の新設計画 1 箇所の Minor Bridge について、新橋への架け替えを計画する。 表 8.3-14 架替え橋梁の提案(国道 51 号) 位置 構造タイプ 構造諸元 At 140+690 RC 床版橋 橋長:L=6.0m 全幅員:W=12m(歩道無し) 基礎:直接基礎 出典: 調査団

・ 比較的短い橋梁のため IRC の標準図集が適応できる。このため上部工については標準図集に 基づいた計画とする。RC 床版橋は 6m~10m の範囲で適応できるため、構造形式は RC 床版 橋とする。 ・ 橋梁幅員は IRC:73 に基づき全幅員 12m で計画する。なお、現道に歩道が無いこと及び非常 に短い橋梁のため、歩道は設置しない計画とする。 ・ 既存橋において特に水没の形跡がみられないことから、桁下高は既設橋と同程度確保されれ ばよいものとし、路面高は前後のアプローチ道路より決まる高さとする。 ・ PWD からの資料に基づき、既設と同じく直接基礎を設けることを想定する。 ・ 施工は、RC 部材および石積みのため、現場練りのコンクリート打設を想定する。既存橋を

8-24 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

撤去して、基礎を構築し、支保工を設置して場所打ち施工をおこなう。 ・ 施工中は交通切り回しのため、隣接して迂廻路を設置する。乾期中の施工が望ましい。

(b) Minor Bridge の上部工改修 6 箇所の Minor Bridge について、上部工の改修を計画する。 表 8.3-15 上部工改修を提案する橋梁(国道 51 号) 提案タイプ 桁幅 対象位置と橋長(打換えとなる桁長) RC 床版橋(桁打換え) 歩道有タイプ At 91+385(L=8.8m) (桁全幅 11m) RC 床版橋(桁打換え) 歩道無タイプ At 137+825(L : 9.0m x2径間分) (桁全幅 8.5m) At 140+990(L : 9.7m x3径間) At 141+928(L=7.5m) RC T ビーム橋(桁打換え) 歩道有タイプ At 90+077(L=12.8m) (桁全幅 12m) At 103+240(L=11.5m) 出典: 調査団

・ 比較的短い橋梁であり IRC の標準図集が適応できる。このため上部工については標準図集に 基づいた計画とする。RC 床版橋は 6m~10m、RCT ビーム橋は 10m~24m の範囲となるため、 6 橋の構造形式はスパン長によって RCT ビームもしくは RC 床版橋とする。 ・ 桁幅については、既存の下部工寸法や桁形状に合わせて設定するものとする。 ・ 施工は、RC 部材および石積みのため、現場練りのコンクリート打設を想定する。既存橋を 撤去して、基礎を構築し、支保工を設置して場所打ち施工をおこなう。

施工中は交通切り回しのため、隣接して迂廻路を設置する。乾期中の施工が望ましい。

出典: 調査団 図 8.3-4 スラブ橋(L=6m)

8-25 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 8.3-5 上部工の改修

8.3.4 土工・斜面保護・地滑り対策工 国道 51 号における土工・斜面保護・地すべり対策に関する設計基準は、7.3.4 項で述べた国道 54 号の設計基準と同じものとした。 国道 51 号沿いの斜面は、非常に脆弱な沖積層で覆われており、斜面崩壊や浸食が路線沿いの 切土法面で頻繁に発生することが懸念される。そのためそのようなルーズな土砂で構成される斜 面に対しては、表 8.3-16 に示すように IRC 基準より緩い 1:1.2 勾配を採用し、土砂災害を予防す る。また雨水による浸食防止のため、種子を含む麻でできたネットで切土法面を覆う播種工を実 施するものとする。 表 8.3-16 切土勾配および斜面保護工に関する設計基準 IRC 基準* JICA 調査団による 切土 斜面保護工 分類 切土勾配 岩盤/土砂 分類 勾配 通常の土/ 1:1.0 ~ Dense Soil 1:1.0 Seeding and Mulching Soil 重粘土 1:0.5 Loose Soil 1:1.2 Seeding and Mulching *IRC: SP:48:1948 Clause 7.4 出典: 調査団

斜面インベントリ調査では、多くの道路沈下個所が抽出された。それらは盛土の滑動個所を除 き、非常にルーズな表土の圧密や高い地下水位が原因であると考えられる。それゆえに、沈下個 所に対しては、図 8.3-6 に示すように、路床を深さ 1m にわたって置き換え、暗渠工を計画して対 策するものとする。

8-26 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

1m Replacement of Subgrade Subsurface Drainage

出典: 調査団 図 8.3-6 沈下個所に対する対策工標準図

8.3.5 舗装設計 (1) 設計基準およびガイドライン IRC より出版されている舗装設計に関するガイドライン “Tentative Guidelines for the Design for Flexible Pavements (IRC37-2012)に基づく。

(2) 舗装設計 国道 51 号の舗装設計は 2015 年 8 月 14 日の NHIDCL との会議によって決定された。各舗装厚 の構成は表 8.3-17 の通りである。 表 8.3-17 国道 51 号の舗装厚 舗装の各層 層厚 (mm) BC (Bituminous Concrete) 40 DBM (Dense Graded Bituminous Macadam) 70 WMM (Wet Mix Macadam) 250 GSB (Granular Sub-Base) 300 Total 660 出典:調査団

8.3.6 排水設計 (1) 基本方針 道路の耐久性および使用性を確保するためには、横断排水および路面側溝などを適切に設置し て路面周辺の水を的確に排水する必要である。特に山岳道路では、山の斜面からの流れてくる大 量の流水が道路を横断するため、横断流量に対して満足するように横断排水を適切に計画するこ とが重要である。 ここで国道 51 号現道には多くの既存カルバートが設置されている。本道路改良では道路拡 幅・線形改良を踏まえて、既設を撤去して新設をおこなうか、もしくは既設を維持しつつ継足 し・増設をおこなう等の対応が必要となる。ここで、以下の理由により既設カルバートの維持・ 活用は基本的に有効策でないと判断できる。

・ 道路改良による影響:道路幅員が現状の 6-7m から 12m に拡幅されるため、カルバート長の 延伸が全面的に必要となる。また、線形改良により道路中心が現道の中心位置から変わるこ とで、カルバートの中心位置も変わる。特に谷部カーブ区間における曲線半径が大きくなる と線形は谷側にシフトされるため、カルバートの必要位置が既設位置から大きく変わる場合 もある。つまり、既設への継足しを選択しても改修規模は大きいこと、山側谷側の両方に改 修が必要となるなど工事は煩雑になること。 8-27 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

・ 既設カルバートの損傷状況: 現況カルバートの状況を確認した結果、ほぼ全ての構造物は 既に 50 年近く経過して経年劣化が進んでおり、道路改良後に使用するにふさわしい耐久性、 健全性、メンテナンス性などを備えていないこと。

さらに既設カルバートは今後数十年の使用に耐えられる補償はなく、近い将来に損傷状況が悪 化して個々に更新が発生するよりは、本道路改良に合わせて一度に更新する方が経済性および道 路のサービス性からも望ましい。したがって、既設カルバートも基本的に全て撤去して新しいカ ルバートを新設する方針とする。 新設の排水構造物は、水文計算の結果に基づいた計画とする。水文計算により得られた流水横 断位置や流水量に基づき、カルバートや側溝の通水断面や設置位置を計画する。カルバートのタ イプ・サイズについては、経済性、施工性、メンテナンス性の観点からふさわしい構造とする。

(2) 既設カルバートの状況 国道 51 号の既存のカルバートは大きく分けて 3 タイプに分類できる。各タイプ別の構造的特 徴および主な損傷状況を表 8.3-18 に整理する。 また全体的な傾向として、既存のカルバートは RC コンクリートや石積みに経年劣化が見られ ること、また土砂が内部に堆積したままの状態となっているものも多い。 表 8.3-18 既設カルバートの特徴および損傷状況 タイプ 特徴 主な損傷状況 スラブカルバ 石積み橋台の上に RC スラブ版を架けた構造。 ・スラブ版下面および端部の ート 下床は自然石を敷き詰めてある。インレットや コンクリート剥離と鉄筋露出 アウトレットが擁壁と一体化構造のものが多 ・鉄筋のかぶり不足による鉄 い。 筋露出やモルタル上塗りの跡 内空幅の小さなタイプもある。 ・スラブ版及び舗装の陥没 国道 51 号建設当時からの構造物だと推定され ・石積み壁の剥離 る。 RC ヒューム パイプ径 0.8m~1.5m 程度の RC パイプを連結し ・パイプ継目部のコンクリー パイプ た構造。インレットやアウトレットは石積みの ト剥離と鉄筋露出 ヘッドウォールもしくは擁壁との一体構造とな ・コンクリートの表面ひび割 っている。 れ 国道 51 号建設当時ではなく比較的近年に設置さ れたと推定される。 RC ヒューム RC ヒュームパイプを 2 連使用した構造。 同上 パイプ(2 連 タイプ) 出典: 調査団

既存カルバートのタイプについて、一例として図 8.3-8~図 8.3-10 に写真を示す。 インベントリ―調査の結果によれば、調査対象区間の既設カルバートは全体数の約7割がパイ プカルバートのタイプである。なお DPR によると、これらのパイプカルバートの規格は NP2 も しくは NP3 とのことである。 以下に既設カルバートの各タイプの割合を示す。

8-28 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-19 既設カルバートの各タイプの割合 Section-A Section-B Section Total 85-95km 110-148km Nos. Rate(%) Nos. Rate(%) Nos. Rate(%) Slab culvrert 12 41.4% 57 27.3% 69 29.0% Hume pipe 17 58.6% 133 63.6% 150 63.0% Hume pipe (Double) 0 0.0% 19 9.1% 19 8.0% Total 29 100.0% 209 100.0% 238 100.0%

出典: 調査団

Slab culvrert 8.0% Hume pipe 29.0% Hume pipe (Double)

63.0%

出典: 調査団 図 8.3-7 既設カルバートの各タイプの割合

構造的な観点からみても、既設の全てのカルバートについては道路改良に合わせて取り替える ことが望ましい。具体的な理由は以下のとおりである。

・ スラブカルバート:スラブ版の施工不良、設計荷重の不足、RC 版や石積み壁の老朽化 ・ RC パイプ:既設パイプの規格が不明。(DPR によれば NP-2 もしくは NP-3class)小径のもの は土砂が詰まりやすい(メンテナンス上問題)

出典:調査団 図 8.3-8 既設スラブカルバートの一例

8-29 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典:調査団 図 8.3-9 既設スラブカルバート(内空幅の小さなタイプ)の一例

出典:調査団 図 8.3-10 既設 RC.パイプカルバートの一例

(3) 適用基準 本調査の概略設計は IRC 基準に基づいた計画とする。また詳細設計においても IRC 基準の適用 を基本とする。 排水設計に関する主な基準書については、橋梁への適応基準を参考にすること。また、追加と しては以下が挙げられる。 表 8.3-20 排水設計に関する主な基準書 IRC:SP: 13-2004 Guidelines for the Design of Small Bridges and Culverts (First Edition) IRC: SP:42-2014 Guidelines on Road Drainage (First Edition) MORTH Standard Plans for Single, Double and Triple Cell Box Culverts with and without Earth Cushion IS458 (2013) Precast Concrete Pipes (with and without Reinforcement) 出典: 調査団

(4) 排水計画 (a) 横断排水構造 横断排水の構造タイプとしては、パイプカルバート、ボックスカルバート、スラブカルバート が考えられる。 ここで、流量が比較的小さな箇所についてはパイプカルバートが最も適当である。パイプカル バートは最も経済性に優れ、主部材の RC パイプはプレキャストで製造できるので品質が確保し やすいといったメリットを有している。

8-30 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

また、流量が比較的大きくなりパイプカルバートでは十分とならない箇所については、BOX カルバートが適当である。なお、BOX カルバートは全主部材が RC 部材となるため、石積み橋台 と RC スラブから成るスラブカルバートよりも品質が確保しやすく耐久性もよい。隣接する W.B.Road でも同理由によりスラブカルバートではなく BOX カルバートが適用されている。 以下に各タイプのカルバートについての評価を整理する。 表 8.3-21 各タイプのカルバートの評価 パイプカルバート ボックスカルバート スラブカルバート 図

経済性 ◎ ○ △ 施工性 ◎ ○ △ 耐久性 ○ ○ △ 許容流量 ○ ◎ ◎ その他 流量が比較的小さな箇 流量が比較的大きな箇 適用なし 所に適用する 所に適用する 出典: 調査団

したがって、カルバート構造は、流量が比較的小さな箇所については Pipe カルバート、比較的 大きな箇所については BOX カルバートとして、水文計算で得られた流量を満足するサイズを確 保するように計画する。 パイプカルバートおよびボックスカルバートの計画概要を以下に示す。 ・ カルバートの延長は一般部の道路幅員 12m に合わせて 12m とする。ただしカーブ区間にお ける道路拡幅が生じる場合には合わせてカルバート延長を拡幅する。 ・ ボックスカルバートについては、IRC に標準図が整理されているため、標準図に基づいた計 画とする。なおアプローチ部分にはアプローチスラブを設けることとする。また地覆上には 高欄を設けることとする。サイズは 2x2m から 4x6m のタイプを流量に合わせて適用するも のとする。 ・ パイプカルバートについては、IRC:13 に基づき NP4 のタイプとする。また、IS458:Precast Concrete Pipes の品質に適合したものとする。サイズは直径 1.2m のタイプを適用するものと する。 ・ インレット部において横断流水および側溝からの流水を的確に処理させるために排水枡を設 ける。また切土区間ではシュートを設ける。 ・ アウトレット部には、流水による法面浸食を抑えるため、水衝工を設けるものとする。 ・ カルバートのヘッドウォールは前後区間の擁壁と合わせて一体として計画する。

各タイプのカルバートのサイズと通水容量について表 8.3-22 に整理する。

8-31 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-22 カルバートのサイズごとの通水容量 断面積 勾配 容量 サイズ 係数 適用条件 (m2) (%) (m3) パイプカルバート φ1.2m 1.028 0.013 5.0 4.17 Flowing full 条件を適用 2mx2m 4.000 0.033 5.0 15.88 Flowing full 条件を適用 3mx3m 9.000 0.033 5.0 36.19 Flowing full 条件を適用 クリアランス 0.9m の開断面 BOX カルバート 4mx4m 12.400 0.033 5.0 95.71 条件を適用 クリアランス 0.9m の開断面 4mx6m 18.600 0.033 5.0 166.95 条件を適用 出典: 調査団

BOX カルバートおよびパイプカルバートの計画図を図 8.3-11 から図 8.3-13 に示す。

出典: 調査団 図 8.3-11 BOX カルバートの標準図

8-32 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 8.3-12 パイプカルバート(タイプ A)の標準図

出典: 調査団 図 8.3-13 パイプカルバート(タイプ B)の標準図

(b) 路面側溝構造 路面側溝は、全区間にわたり切土側をコンクリート側溝として計画する。

8-33 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

また側溝の下には、地下水を的確に処理するための地下排水溝を設ける計画とする。 路面側溝の計画図を図 8.3-14 に示す。

出典: 調査団 図 8.3-14 路面側溝の標準図

(c) 配置計画 横断排水構造物は、以下の方針に基づき配置する計画とする。 ① 流出量解析により算出された流水横断箇所については、流出量を満たす断面のカルバートを配 置する。 ② 既設の横断排水構造物の位置では、解析上では横断流水が検出されなくても実際に流水が横 断する可能性が高いため、最小径 1.2m のパイプカルバートを配置する。なお、既設の横断排水 構造物は地形図情報に基づく。 ③ 横断排水構造物の配置間隔が大きくなると路面排水を処理するため側溝の容量が不足す る。このため、配置間隔は最大でも 300m 程度に収まるように、最小径 1.2m のパイプカ ルバートを配置する。

構造タイプ別のカルバート数量について、表 8.3-23 に整理する。 なお、横断排水施設を設置する全箇所リストは Appendix として別添付とする。 表 8.3-23 カルバート数量 Quantity for NH51 Pipe culvert 1.2m 287 (TYPE-A) 115 (TYPE-B) 172 BOX culvert 2x2m 6 BOX culvert 3x3m 1 BOX culvert 4x4m 5 BOX culvert 4x6m 0 Total 299 出典: 調査団

8-34 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

8.3.7 交通安全対策工 交通安全施設のスコープ 交通安全施設とは、全ての道路使用者および周辺住民に対する安全を確保するために、道路上 や道路脇に整備する施設である。本調査では、地域道路という道路特性および既存道路の使用状 況を踏まえながら、表 8.3-24 と表 8.3-25 に示す交通安全施設を提案する。 表 8.3-24 国道 51 号に提案される交通安全施設 No. 項目 備考 1 道路標識 IRC67-2001, IRC7-1971, IRC-SP-31-1992 2 マーキング IRC35-1997, IRC-SP-31-1992, IRC2-1968 3 デリニエーター IRC79-1981 4 ガードレール その他の付属施設 5 (道路鋲、斜眼帯、猫目石) MoRTH's Research Project R-63 出典: 調査団

DPR で提案された交通安全施設 JICA 調査団は入手した DPR 設計資料に基づき、DPR で提案された交通安全施設について表 8.3-25 に整理する。 表 8.3-25 DPR で提案された国道 51 号の交通安全施設 項目 国道 51 号 道路標識 IRC67 に基づき設置する。 具体的な数量の記述無し。 マーキング 車道中央線、車道外側線、停止線、ゼブ ラクロッシング、駐車スペース等のマー キングを設置する。 具体的な数量の記述無し。 デリニエーター IRC に基づき必要箇所に設置する。 具体的な数量の記述無し。 ガードレール 必要箇所に設置する。 具体的な数量の記述無し。 その他の付属施設 必要箇所に設置する。 (道路鋲、遮眼帯、猫目石) 具体的な数量の記述無し。 出典:調査団

交通安全施設計画のアプローチ 交通安全施設計画のアプローチとして、DPR で提案された内容を確認し、必要に応じて代案を 提案することとする。また、計画内容はプロジェクトコスト算定の構成材料となる。しかし、 DPR の資料は全てを入手できていないため、表 7.3-42 で示すとおりいくつかの情報は不足してい る。 本調査では、DPR の説明が明確かつ合理的な部分については、DPR の提案と踏襲するものとし た。なお数量の算出は、想定も含めてのものである。そのため次段階においては、DPR 設計をベ ースとした再検討がなされるべきである。

道路標識 道路標識は、都市内道路および地方道路において、道路使用者に対する交通整理をおこない道 路の安全および効率性を高めるために設置される。道路標識は、道路使用者への規制や、安全で 統一的かつ効率的な運転のための警戒やガイダンスを伝える役割をもっている。 8-35 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

IRC:67-2012 では、3 タイプの道路標識を規定しており、それぞれ、1) Mandatory/Regulatory Signs, 2) Cautionary/Warning Signs, and 3) Informatory/Guide Signs.と定義されている。 提案する道路標識の標準的な例を図 8.3-15 に示す。

Mandatory/Regulatory Signs

Stop Give Way No Overtaking No Parking Cautionary/Warning Signs

Hair-Pin Bend Side Road Narrow Road Ahead Narrow Bridge Ahead Informatory/Guide Sings

Flag Type Direction Sign Toilet 出典: IRC:67-2012 Code of Practice for Road Signs (Third Revision) 図 8.3-15 道路標識の標準図

DPR において、道路標識に関する情報は記載されていない。 N54 のセクション 3 における単位数量を参考にして、本調査で提案する国道 51 号の道路標識数 量を表 8.3-26 に示す。 表 8.3-26 国道 51 号の道路標識数量 SOR No. Item Unit Number 8.4 Providing and fixing of retro- reflectorised cautionary, mandatory and informatory sign as per IRC :67 made of encapsulated lens type reflective sheeting vide clause 801.3, fixed over aluminium sheeting, 1.5 mm thick supported on a mild steel angle iron post 75 mm x 75 mm x 6 mm firmly fixed to the ground by means of properly designed foundation with M15 grade cement concrete 45 cm x 45 cm x 60 cm, 60 cm below ground level as per approved drawing (i) 90 cm equilateral triangle Each 11 (ii) 60 cm equilateral triangle Each 24 (iii) 60 cm circular Each 29 (iv) 80 mm x 60 mm rectangular Each 22 (v) 60 cm x 45 cm rectangular Each 24 (vi) 60 cm x 60 cm square Each 26 出典: 調査団

8-36 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

マーキング マーキングは道路交通の誘導および制御するための重要な機能を果たす。マーキングは運手者 に対しする心理的なバリアーおよび危険を知らせることで交通を安全に誘導する役割を果たす。 さらに、車線分離や円滑かつ整理された交通流の確保を可能とする。そのため、IRC:35-1997 に 準じたマーキングの適切な配置が求められる。 提案される標準的なマーキングについて、図 8.3-16 に示す。

8-37 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

マーキングの標準例

Route Directional Arrows

Access Road (Give Way) Access Road (Stop)

Pedestrian Crossing

出典: Detailed Project Report for National Highway No.54 Section-2 図 8.3-16 マーキングの標準図

国道 54 号のマーキングの提案数量について、DPR で採用されている単位数量(250sqm のキロ 当たり)に基づき、表 8.3-27 に示す。

8-38 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-27 国道 51 号のマーキングの数量 SOR No. Item Unit Number 8.13 Providing and laying of hot applied thermoplastic compound 2.5 mm thick including reflectorising glass beads @ 250 gms per sqm area, thickness of 2.5 mm is exclusive of surface applied glass beads as per sqm 13,500 IRC:35 .The finished surface to be level, uniform and free from streaks and holes 出典: 調査団

デリニエーター 回帰反射型デリニエーターは特に夜間の運転に対し て道路線形の情報を視覚的に知らせる目的で設置され る。また平面線形/縦断線形が変化する区間、豪雨、 霧、雪などの厳しい天候の場合において特に有効であ る。回帰ポストタイプの反射型デリニエーターは IRC:79-1981 に規定されている。 環形タイプの回帰反射型デリニエーターの標準図に ついて図 8.3-17 に示す。 本調査では、ガードレール設置位置の 2mに1箇所設 出典: Detailed Project Report for National 置とした数量を表 8.3-28 に示す。 Highway No.54 Section-2 図 デリニエーターの標準図 8.3-17

表 8.3-28 国道 51 号のデリニエーターの数量 SOR No. Item Unit Number 8.15 Road Delineators (Supplying and installation of delineators (road way indicators, hazard markers, object markers), 80-100 cm high above ground level, painted black and white in 15 cm wide stripes, each 5,239 fitted with 80 x 100 mm rectangular or 75 mm dia circular 出典: 調査団

ガードレール DPR において、曲線区間の谷側や高盛土区間、橋梁へのアプローチ部や市街地区において、シ ングル W タイプの鋼製ガードレールを適用するものとしている。シングル W タイプの鋼製ガー ドレールの標準図を図 8.3-18 に示す。

出典: Detailed Project Report for National Highway No.54 Section-3 図 8.3-18 ガードレールの標準図

本調査では、ガードレールは谷側の重力式擁壁もしくは補強土擁壁の上に設置されると想定す る。国道 51 号全線に必要となるガードレールの数量を、表 8.3-29 に示す。

8-39 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-29 国道 51 号のガードレールの数量 SOR No. Item Unit Number 8.23-A Type - A, "W" : Metal Beam Crash Barrier (Providing and erecting a "W" metal beam crash barrier comprising of 3 mm thick corrugated sheet metal beam rail, 70 cm above road/ground level, fixed on ISMC series metre 10,477 channel vertical post, 150 x 75 x 5 mm spaced 2 出典: 調査団

その他の付属施設 道路鋲、遮眼帯、猫目石などを含むその他の付属施設は、道路構造物や道路線形に対する視認 性を助けるために道路上や道路脇に設置される。マーキングと同様に回帰反射型の安全装置であ る。一般的に、 白色のゴム製の円蓋および鋳鉄の固定器具に平方状反射ガラスを取り付けたペ アで構成される。道路の中心を示しており、各ペアが各方向を示している。端部端状タイプの道 路端などへの設置で車線分離となるように広く採用されている。 その他の付属施設の数量について、DPR で採用されたキロ当たり単位数量を基づき、表 8.3-30 に示す。 表 8.3-30 国道 51 号のその他の付属施設の数量 SOR No. Item Unit Number 8.35 Road Markers/Road Stud with Lense Reflector (Providing and fixing of road stud 100x 100 mm, die cast in aluminium, resistant to corrosive effect of salt and grit, fitted with lense reflectors, installed in concrete or asphaltic surface by drilling hole 30 mm upto a depth of 60 mm and each 5,997 bedded in a suitable bituminous grout or epoxy mortar, all as per BS 873 part 4:1973) 出典: 調査団

特別な留意が必要となる区間 1) ヘアピンカーブ 対象道路は山岳地域に位置するため、コスト面や環境影響面の観点からヒアピンカーブの設置 は不可避である。一般区間の設計速度は 30km/h であるが、ヘアピンカーブ区間では 20km/h を採 用している。また急峻な地形部では、大きな土工量や家屋の移転を極力避けるために、20m-25m という小さな平面曲線を採用している。このような適用基準緩和区間においては、交通安全施設 を導入して安全を確保することが重要である。 ヘアピンカーブ区間では追越視距を確保することは難しいため、追越し禁止とするべきである。 運転手への周知のために、中央線に 2 本の実線のペアを適用するべきである。 中央線上や端部に猫目石を設置して道路線形を目立たせることで、運転手は区間に侵入する前 に道路の位置を特定することができる。 さらに危険な事故を回避するために、交通標識やガードレールを適切に設置することが必要で ある。 ヘアピンカーブに適用される一連の交通安全施設の例を、図 8.3-19 に示す。

8-40 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Guard Rail

Cats Eye

Centreline M arking (Pair of Solid Lines)

30

20 20 30

出典: 調査団 図 8.3-19 ヘアピンカーブに適用される交通安全施設

2) 幅員の狭い橋梁区間 既存橋を活用する地点において、幅員の狭い橋梁では土工区間よりも路肩幅の分、全幅員が狭 くなる場合がある。このため、運転手に対して幅員の減少や縁石の存在を知らせる目的で、交通 安全施設を設置することを提案する。 幅員の狭い橋梁区間に適用される一連の安全施設の例を、図 8.3-20 に示す。

Cats Eye

出典: 調査団 図 8.3-20 幅員の狭い橋梁区間に適用される交通安全施設

3) 都市部 都市部では、多くのビルや店舗、家屋が道路脇に並んでおり、歩道を歩く歩行者や道路上の横 断が多くみられる。また市外に比べるとバスストップなどの施設が余計に必要となる。そのため 都市部区間では、運転手に対してより多くの情報提供が必要とあり、また運転手は短時間で判断 をおこなう必要がある。運転手の情報収集を支援する目的として、適切な交通標識や路面マーキ ングの設置が必要である。 都市部区間に適用される一連の安全施設の例を、図 8.3-21 に示す。

8-41 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 8.3-21 都市部区間に適用される交通安全施設

8.3.8 道路付帯工計画 道路付帯工の目的 道路付帯工は、道路利用者が休息したり道路に関する情報を取得したりするだけでなく、道路 管理者が効率的に道路を維持管理するための種々の施設である。本調査では、対象道路の地方道 路という道路機能及び現在の利用状況を考慮して、提案する道路付帯工を表 8.3-31 に示す。 表 8.3-31 NH-51 に適用される道路付帯工 番号 項目 備考/関連規定 1 距離標 IRC8-1980、IRC26-1967 2 境界石 IRC25 3 バス停車帯 バス待合所、IRC80-1981 4 道路公共施設 公共トイレ、市場小屋 出典: 調査団

DPR で提案された道路付帯工 表 8.3-32 に DPR で提案された道路付帯工を要約する。 表 8.3-32 DPR で NH-51 のために提案された道路付帯工 項目 国道 51 号 設置される。 距離標 詳細数量が記載されていない。 用地境界に設置される。 境界石 詳細数量が記載されていない。 バス停車帯 20 か所に設置される。 設置される。 道路公共施設 詳細数量が記載されていない。 トラック退避場 特に記載はなし。 出典: 調査団により要約

道路付帯工計画のアプローチ 本調査において道路付帯工計画を準備する目的は、DPR にて提案された内容を確認し、必要で あれば代替案を提案することである。さらに、それは事業費積算の基準の一部となるだろう。し かしながら、DPR が部分的に利用可能であるものの、表 7.3-42 に示すように幾つかの情報がまだ 不足している。本調査において、DPR と類似の方法が明確で妥当であれば、施設検討に使用でき 8-42 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

る。数量は様々な状況を想定して積み上げられる。したがって、設計根拠に基づき DPR の修正 のために更なる調査がされるべきである。

距離標 距離標は、道路あるいは境界に沿って特定の間隔に置かれた一連の番号が付けられた目印の一 つである。それらは、一般的に道路の横に設置される。それらは、マイルストーンやマイルマー カー、マイルポストとして知られている。距離標は、IRC:8-1980 に従って設計されるべきである。 表 8.3-33 に対象道路全体における距離標の推定数を示す。 表 8.3-33 国道 51 号における距離標の推定数 SOR No. Item Unit Number 8.14 Kilo Metre Stone (Reinforced cement concrete M15grade kilometre stone of standard design as per IRC:8-1980, fixing in position including painting and printing etc) (i) 5th Kilometre Stone (Precast) each 10 (ii) Ordinary Kilometre Stone (Precast) each 44 (iii) Hectometer Stone (Precast) each 216 出典: 調査団

境界石 境界石は、道路用地を確定するために設置されるものであり、それらは将来の利用を踏まえ竣 工図に取り入れられるべきである。境界石は IRC:25-1967 に基づいて設計されるべきである。 表 8.3-34 に対象道路全体における境界石の推定数を示す。 表 8.3-34 国道 51 号における境界石の推定数 SOR No. Item Unit Number 8.16 Boundary pillar (Reinforced cement concrete M15 grade boundary pillars of standard design as per IRC:25-1967, fixed in position including each 1,080 finishing and lettering but excluding painting) 出典: 調査団

バス停車帯と道路公共施設 乗降客のために車道で乱雑に一時停車しているバスは、道路容量に影響を与えたり事故の原因 となったりすることがあり得る。交通量が多い都市部以外の高速道路において、直進交通の規則 正しい動きを確保するために、バス低車帯を必要な場所に適切に設計することを考慮しなければ ならない。 対象道路は地域の重要な幹線としての機能を有する国道の一部であるため、適切な場所にバス 停車帯を建設することが推奨される。 IRC:80-1981 は、バス停車帯のための一般的な必要条件を規定している。DPR では、その基準 の中で推奨されている一般的なレイアウトを適用している。本調査でもまた、IRC の推奨に従っ て図 8.3-22 に示す一般的な計画の適用を想定する。

8-43 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: Detailed Project Report for National Highway No.51 図 8.3-22 バス停車帯の一般的なレイアウト

旅行者が快適に道路を利用できるための道路公共施設は、適切な間隔で開発されなければなら ない。したがって、公共トイレや市場小屋を含む道路公共施設をバス停車帯に装備することが推 奨される。図 8.3-23 及び図 8.3-24 に DPR で提案された公共トイレの一般図と市場小屋の一般図 を示す。なお、汚物の衛生的な処理のために汚水処理タンクの設置が推奨される。

出典: Detailed Project Report for National Highway No.54 Section-3 図 8.3-23 公共トイレの一般図

8-44 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: Detailed Project Report for National Highway No.54 Section-3 図 8.3-24 市場小屋の一般図

表 8.3-35 に NH-51 におけるバス停車帯の提案位置を示す。 表 8.3-35 NH-51 におけるバス停車帯の提案位置 Distance from Section Length No. Location Babadam (km) (km) 1 Babadam - 2 Champarea 0.2 0.2 3 Ganol 1 0.6 4 Rongan Hiran 4 3 5 Dap. of Agriculture Rongkhon 6 3 6 Tura 8 2 7 Dadaungiri 19 10 8 Rubber 19 0.2 9 Purakashya 26 7 10 Chokpot 30 4 11 Moropgre 41 12 12 Rengsipara 47 6 13 Rendapara 48 0.8 14 Megupara 55 7 15 Purakhasia 56 0.9 Dalu 16 57 1 出典: 調査団

8.3.9 土捨場計画 (1) 残土処理量 国道 51 号についての概略設計の結果、必要な残土処理量は、下表に示すとおり 29.0 万 m3 とな った。

8-45 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 8.3-36 必要となった残土処理量

出典: 調査団

(2) 土捨て場の選定条件 JICA 調査団は以下の条件にて上記必要となった残土処理として土捨て場の選定を行った。  平均して約 5km ごとに以下の条件にて適切な候補地を選定した。  地形の形状がく凹型地形となっていること  地山の傾斜が 22 度未満であること(想定する土捨て場の盛土傾斜角(小段を含む)よ りも勾配が緩いこと)  市街化されていない地域であること  自然保護区がないこと  高さ 30m 以下の規模で土捨て場が建設できること

(3) 土捨て場候補地の選定結果 上記条件にて 51km の総延長に対し、沿道に 9 ヵ所の土捨て場候補地を選定した。土捨て場の 許容量は 34.2 万 m3 と想定している。以下に選定された土捨て場候補地リストを示す。 表 8.3-37 土捨て場候補地リスト 土捨て場の No. 工区 位置 許容量 Sta. Cu.m 1 Sta. 85-94 88+000 47,120 2 105+805 4,620 3 110+000 86,190 4 110+550 58,260 5 119+340 16,856 STA.101-143 6 124+800 77,440 7 130+800 15,526 8 135+420 22,806 9 139+100 12,883 合計 (国道51号線) 341,701 出典: 調査団

8.4 気候変動対応策の検討 7.3 項で述べたように、降雨の頻度および強度の増加が気候変動に伴い懸念されている。国道 51 号では、年降水量は、2021-2050 年の期間に 5-10%増加すると予測されている。 8.3 項で述べた各項目の設計方針は、気候変動の適応策を考慮に入れている。降雨頻度と強度 の増加に伴い、河川水位や地下水位の上昇し、浸水により道路施設に損傷を与えるが懸念される。 そのため本調査では湧水個所を注意深く抽出し、必要な箇所に排水溝を計画した。また踏査や住 民への聞き取り調査により洪水痕跡を確認し、対策に反映した。 表 8.4-1 に、道路設計に考慮にいれた気候変動に対する適応策を示す。

8-46 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

特に、適切な斜面保護工を設置していないことに起因した雨季期間の道路閉鎖が頻繁に見られ た。下表のなかでも特に道路斜面対策を講じることで斜面崩壊による道路閉鎖を劇的に減らすこ とが期待される。 表 8.4-1 国道 51 号における気候変動適応策 項目 適応策を講じた設計方針 · 擁壁工を路線全線に設置する。 · 斜面保護工を風化・軟弱化している斜面に実施する。 道路斜面 · 切土斜面には、浸食・崩壊防止のため緑化工で覆う。 · 路床置換えおよび暗渠工を沈下への対策工として計画する。 · 盛土内には排水材を配置する。 盛土 · 国道 51 号南部の河川沿いでは踏査と聞き取り調査により洪水位を確認する。 · 降雨強度は、公認資料(ATLAS of Statewise Generalised ISOPLUVIAL MAPs of 橋梁および Eastern India, インド気象庁)をもとに慎重に決定する。等雨指数は、等雨線 排水系統 コンター間において高い方の数値を採用する。 · 全ての構造物の容量は、50 年確率流量に適した形で決定する。 · 片勾配を適正に設定する。 舗装 · 舗装材料は、表面温度が 60°C を超えないようなるものを検討する。 道路標識 · 風荷重と可視性を考慮する。 出典: 調査団

8-47

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

プロジェクトの概算事業費

9.1 国道 54 号

9.1.1 プロジェクトの概要 (1) 目的 国道 54 号はミゾラム州において Aizawl と Tuipang を結ぶ国道であり、事業対象区間は 381km となっている。 多くの区間は山の尾根沿いに位置するため、道路の標高は概ね 700mから 900mの範囲である。 既存の道路は Aizawl から 55km の範囲において幅員 5.5m であり、残りの 326km の区間は 3.75m である。 本事業は、既存の国道 54 号に対して斜面対策や舗装、排水およびその他の道路施設の設置お よび道路拡幅をおこなうことで、安定的で大量かつ安心できる交通の確保を目的とする。 (2) 施工パッケージ 国道 54 号の施工パッケージは事業規模等を勘案し設定した。

9.1.2 施工計画 重機や材料、作業員の搬入やメインキャンプやプラントヤードの準備等については、工事着工 から 6 カ月でおこなう計画とする。労働者キャンプの断面例を図 9.1-1 に示す。 150m

Cut 40m 1:0.5

60m 1:0.5 1st Level Width: 40m 2nd Level Width: 60m Length: 240m 1:1.5 Fill Subgrade (1m)

出典: 調査団 図 9.1-1 メインキャンプの概要図

プラントヤードおよびメインキャンプについては、本事業の道路に沿って建設されることが想 定される。 既往の例を参考にすれば、ヤードの面積は 2.4ha 程度(キャンプ:1.4ha、プラントおよびスト ックヤード:1ha)と想定される。ヤード内の建造物としては、コンサルタントおよび施工業者 の事務所、作業員の宿泊部屋、広間、食堂、試験室、倉庫、セメント貯蔵庫、工場、医務室、護 衛小屋などが挙げられる。本事業で扱う道路が山岳部に位置しており利用可能な平らな土地は限 られていることから、土地の造成は必須となる。例えば図 9.1-1 のような地形を想定した場合、 切土および盛土の数量はそれぞれ 12 万 m3 および 11 万 m3 程度と算定できる。さらに、造成高の 1m 下までに入れる路床土は 1 万 m3 程度必要となる。

9.1.3 適用されるガイドライン 事業費は、以下の資料に基づき算定するものとした。

9-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

1) Specifications for Road and Bridge Works (Fifth Revision), Ministry of Road Transport & Highways 2) Schedule of Rates (SOR) 2014 for National Highways & State Road, Government of Mizoram

9.1.4 概算事業費の算定 (1) 建設コスト算定の条件 ほとんどの工種については、SOR2014 に基づいてユニットコストを設定した。 一方で海外の実績による行われる工事については、海外の業者の参加を見込んで決定するもの とした。それらの工種は以下のとおりである。 1) Crib Work (F300) 2) Crib Work (F500) 3) Non-frame 4) Anchor Work 5) Rock-bolt Work 2014 年から入札時点までの物価上昇については 5%と想定し、建設コストに加算することとし た。 (2) 事業費の総括表 国道 54 号の事業費を各施工パッケージ毎に算出した。

9.2 国道 51 号

9.2.1 プロジェクトの概要 (1) 目的 国道 51 号はメガラヤ州において Tura と Daluを結ぶ国道であり、事業対象区間は 54kmである。 多くの区間は山岳地域に位置しており、道路の標高は概ね 110m から 260m の範囲である。既 存の道路は概ね幅員 3.75m である。 本事業は、既存の国道 51 号に対して斜面対策や舗装、排水およびその他の道路施設の設置お よび道路拡幅をおこなうことで、安定的で大量かつ安心できる交通の確保を目的とする。 (2) 施工パッケージ 国道 54 号の施工パッケージは事業規模等を勘案し設定した。

9.2.2 建設計画 重機や材料、作業員の搬入やメインキャンプやプラントヤードの準備等については、工事着工 から 6 カ月でおこなう計画とする。労働者キャンプの断面例を図 9.2-1 に示す。

9-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

150m

Cut 40m 1:0.5

60m 1:0.5 1st Level Width: 40m 2nd Level Width: 60m Length: 240m 1:1.5 Fill Subgrade (1m)

出典: 調査団 図 9.2-1 メインキャンプの概要図 プラントヤードおよびメインキャンプについては、本事業の道路に沿って建設されることが想 定される。 既往の例を参考にすれば、ヤードの面積は 2.4ha 程度(キャンプ:1.4ha、プラントおよびスト ックヤード:1ha)と想定される。ヤード内の建造物としては、コンサルタントおよび施工業者 の事務所、作業員の宿泊部屋、広間、食堂、試験室、倉庫、セメント貯蔵庫、工場、医務室、護 衛小屋などが挙げられる。本事業で扱う道路が山岳部に位置しており利用可能な平らな土地は限 られていることから、土地の造成は必須となる。例えば図 9.2-1 のような地形を想定した場合、 切土および盛土の数量はそれぞれ 12 万 m3 および 11 万 m3 程度と算定できる。さらに、造成高の 1m 下までに入れる路床土は 1 万 m3 程度必要となる。

9.2.3 適用されるガイドライン 事業費は、以下の資料に基づき算定するものとした。 1) Specifications for Road and Bridge Works (Fifth Revision), Ministry of Road Transport & Highways 2) Schedule of Rates (SOR) 2014 for National Highways & State Road, Government of Meghalaya

9.2.4 概算事業費の算定 (1) 建設コスト算定の条件 SOR2014 に基づいてユニットコストを設定するものとした。なお 2014 年から入札時点までの 物価上昇については 5%と想定し、建設コストに加算することとした。 (2) 事業費の総括表 国道 51 号の事業費を算出した。

9-3

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

先行区間の事業効果の確認

10.1 国道 54 号(Aizawl-Tuipang 区間)

10.1.1 国道 54 号沿道の現況 対象区間 アイゾール‐トゥイパン道路区間は国道 54 号の一部であり、全長約 381km、全線がミゾラム 州に位置する。同区間の地勢的優位性から、ミゾラム州は、東南アジア諸国との生産物、サービ スの流通、貿易の促進に必要不可欠な道路と考えている。本プロジェクト対象道路と現在実施中 のカラダン道路建設プロジェクトが繋がることで、 北東地域へのリンクとしては第二の幹線道路が出来 ることになるとともに、南側地域へも裨益効果が期 待できる。 上述のとおり、調査対象区間は国道 54 号の一部 であり、同区間の道路改良により経済活動の底上げ Study Road に寄与できるものと思料できる。図 10.1-1 に示すと おり、調査対象区間はミゾラム州のすべての地区を 縦断もしくは近接することとなる。同対象区間の影 響地域と考えられるのはミゾラム州内の 8 地区であ る。同 8 地区の概要を表 10.1-1 に示す。

その他、同 8 地区に関する自然条件、産業構成、 出典: 調査団 その他の経済活動(実情、将来ポテンシャル)など 図 10.1-1 調査対象区間(国道 54 号) は後述として示すこととする。

表 10.1-1 国道 54 号対象区間の影響地区概要 地区 概要説明 同地区は、西側ではトラウン川渓谷、東側ではトゥイリアル川渓谷に挟まれる位置に ある。同地区では 300 年前ミャンマーのチン丘陵地域から移動してきたと言われるミ アイゾール ゾ族が住んでいる。ミゾラム州の州都であり、政治、商業、教育、文化の中心とし て、重要な官公庁舎、州議会及び事務局、教会、市場などの観光スポットが立地して いる。 同地区はミゾラム州全体面積の 21.52%を占める最大の地区である。北側にマミット、 サーチップ地区が接しており、南側にロンクライ、サイハ地区と、東側ではミャンマ ルングレイ ー、西側ではバングラデシュと接しており、密生した森を 524.63 平方 km も有してい る。 同地区はインドとミャンマーの国境に位置しており、ミャンマーとのすべての流通を 担うゲートウェイとしての役割をもっている。両国の国境線付近では開発が速いスピ ードで進められている。有名な 湖はカンパイ地区中心地から約 ほどの位置 カンパイ Rihdil 50km にある。カンパイ渓谷は、ミゾラム州のライスボールと呼ばれ、中心市街地の傍に位 置している。緑豊かな丘陵地域が豊かな水田地帯を取り囲み、カンパイ地区という場 所をより一層美しいものにしている。 ミゾラム州の中で一番南に位置する地区であり、西側にバングラデッシュ、東側には ミャンマーとの国境を有している。北側ではルングレイ地区、南側ではサイハ地区と 隣接している。他の地区と異なり、同地区では つの地区自治協議会をもっており、 ロンクライ 2 ライ地区自治協議会(LADC)、チャクマ地区自治協議会(CADC)がロンクライ、カ マラナガールにそれぞれ本拠地をもつ組織体制となっている。なお、行政管理につい てはインド国憲法の附則 6 条 条文に則っている。

10-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

地区 概要説明 マミット地区は、1998 年に旧アイゾール地区が二つに分かれた際に誕生した地区であ る。北側でアッサム州と、西側でトリプラ州及びバングラデッシュと、南側でルング レイ地区と、東側でコラシブ地区、アイゾール地区と接している。同地区の面積は、 マミット ミゾラム州内の地区で 4 番目に大きい面積をもっている。豊富な雨が降り、5 つの主要 河川、トラウン川、タット川、テイレイ川、ランカイハ川、カウスラントゥイプイ川 が流れている。女性が社会においても家族においても主導的な役割を担う。 同地区は北側及び北西側でアッサム州と、南側及び東側でアイゾール地区と、南西側 でマミット地区と接している。地勢的に他州からミゾラム州への主要幹線道路ネット ワーク上、重要な場所に位置している。同地区中央部を北側から南側まで国道 号が コラシブ 54 通過している。同州内ではコラシブ地区のバイラビに唯一鉄道が建設されている。ダ ンパ自然動物保護区やトラウン川など、同地区内の価値ある観光スポットを訪れるこ とが出来る サーチップ地区は、ミゾラム州の中央部に位置しており、東側でカンパイ地区、北側 及び北西側でアイゾール地区、南側でルングレイ地区と接している。同地区では、住 民の識字率がインド国内でも一番高い地域である。主要河川であるマット川、及びト サーチップ ゥイクン川の間に同地区は位置しており、トゥイクン側はサーチップ地区の飲み水と して利用されている一方、マット川はザウルプイでは灌漑用水として、サーチップで は米作用に利用されている。サーチップ地区は、ミゾラム州内でもキャベツとマスタ ードの主要生産者を担っている。 サイハ地区は、インド北東州でも一番南側に位置しており、東側及び南側でミャンマ ーと国境線を共有している。行政管理上、サイハ地区は、サイハブロックとトゥイパ ンブロックの ブロックに分けられている。同地区は、ミゾラム州全体で 番目に開発 サイハ 2 3 が進んでおり、また三番目に人口規模が大きいが、アイゾール地区やルングレイ地区 など州中心都市から離れているが、ミゾラム州内に住む民族の内、3 番目に大きい民 族、マラ民族の中心都市となっている。 出典: 調査団

自然条件 ミゾラム州は山岳地帯に位置しており、東と南にミャンマー、西にバングラデッシュに挟まれ ていることから、インド北東州地域における戦略的重要性を有する州と言えます。ミャンマーと バングラデッシュとの国境線は合計で 722km にも及ぶ。急峻な山々の起伏を縫うように川が流れ、 深い渓谷を形成している。山間部の平均標高は約 1,000m であり、ミゾラム州の最高峰は標高 2,210mのブルーマウンテン(パウンプイ)となっている。冷涼な夏と寒すぎない冬の気候が特徴 であり、冬の間は 11℃~21℃、夏の間は 20℃~29℃の間で気温変化が起きる。雨季は 5 月から 9 月であり、平均年間累積降雨量は 254cm にも及ぶ。同降雨量について、特にアイゾールでは 208cm、ルングレイでは 350cm となっている。ミゾラム州は自然美豊かな大地、変化に富む景観、 豊かな動植物にも恵まれている。ほぼすべての熱帯の木々、植物を見ることが出来る。

社会経済状況 (a) 人口統計及び社会状況 ミゾラム州の人口は 2011 年の国勢調査結果によると 1,091,014 人である。面積は、21,027 平方 km あり、そこに 8 地区 26 ブロック 817 集落が存在している。州の人口密度は 1 平方 km 当たり 52 人となっている。2001 年から 2011 年までの 10 年間での人口増加率は 22.78%、男女比につい ては男性 1,000 人に対し 940 人がインド国内の平均であるのに対し、975 人となっている。識字率 はインド国内が 74.04%(男性 82.14%、女性 65.46%)であるのに対し、同州では 91.58%(男性 93.35%、女性 89.27%)となっている。地区ごとの各社会情報統計を図 10.1-2 に示す。

10-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

人口(人) 人口 面積 人口密度 人口* 地区 2011 増加率(%) (平方 男女比 識字率(%) (人/平方 (2014) 国勢調査 2001-2011 Km) Km) アイゾール Aizawl 404054 24.07 3577 1009 98.50 113 431062 ルングレイ Lunglei 154094 12.29 4572 944 89.40 34 159547 カンパイ Champhai 125370 15.66 3168 981 93.51 39 130963 ロンクライ Lawngtlai 117444 59.53 2519 945 66.41 46 135109 マミット Mamit 85757 36.59 2967 924 85.96 28 94166 コラシブ Kolasib 83054 25.92 1386 956 94.54 60 89000 サーチップ Serchhip 64875 20.45 1424 976 98.76 46 68599 サイハ 56366 -7.68 1414 978 88.41 40 55031 Saiha ミゾラム Mizoram 1091014 22.78 21027 975 91.58 52 1163476 出典: www.census2011.co.in * 過去の人口増加率を基に JICA 調査団が推計した数値 図 10.1-2 地区ごとの各社会情報統計

上記の表より、ミゾラム州の 3 分の 1 の人口がアイゾール地区に集中しており、人口密度も一 番高い地区となっている。サイハ地区は人口規模が 56,366 人と一番小さく、2001 年~2011 年の 10 年間では人口減少が起きている。同 10 年間で人口増加率が最も高かったのはロンクライ地区 であり、59.53%を記録している。人口密度をみると、マミット地区で 1 平方 km 当たり 28 人と一 番低い値となった。 男女比では男性 1,000 人に対し、女性が一番多かったアイゾール地区では女性 1,009 人、男性が 一番多かったマミット地区では女性 924 人となっている。識字率については、サーチップ地区で 98.76%と一番高く、ロンクライ地区では 66.41%と一番低い結果となった。

(b) 経済 経済成長について 入手できた資料によると、2012-2013 年度における実質州内総生産(NSDP)は、Rs 7,556 千万、 一人当たり所得(PCI)は Rs 63,413 となっている。2004-2005 年度から 2012-2013 年の間での年平 均成長率(CAGR)は州全体で 9.30%であり、内訳を見ると、第一次産業で 7.64%、第二次産業 で 7.87%、第三次産業で 10.30%であった。同期間での PCI における CAGR は 6.77%となってい る。産業ごと及び PCI の成長に関する概要を表 10.1-2 に示す。 表 10.1-2 ミゾラム州の経済成長状況について 年平均成長率 産業種別 CAGR (2004-05~2012-13) 農業及び農業関連 (第一次産業) 7.64% 加工・製造業 (第二次産業) 7.87% サービス業 (第三次産業) 10.30% 実質州内総生産(NSDP) 9.30% 一人当たり所得(PCI) 6.77% 備考:CAGR – Compound Annual Growth Rate

産業構成について 2012-2013 年度におけるミゾラム州の産業構成を図 10.1-3 に示す。NSDP では、第三次産業が 60%と一番のシェアを占めており、次いで第二次産業が 21%、第一次産業が 19%となっている。 特に製造業の州経済成長への貢献度が低い状況が見られ、NSDP のわずか 0.84%、第二次産業の 10-3 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

内 4%のシェアとなっている。また、第三次産業の内訳を見ると、運輸及び通信制御・記憶装置 産業の NSDP は 2.4%のシェアにとどまっている。

Forestr Fishing y & 3% logging 24% Agricul ture 73%

Min. & Elec., Qur. Ag & Gas & Manufa 1% Allied WS c. 19% 9% 4% Constr Servic Indust uct. es ry 86% 60% 21%

Transp t., Sto. Trade, & Hotls. Comm. & Res. 15% Others 4% 52% Public Adm. 29%

出典: 調査団 図 10.1-3 ミゾラム州の産業構成

上述の 2012-2013 年度の州内産業構成に加え、NSDP の各産業別シェアを 2004-2005 年度と 2012-2013 年度にて比較した結果を図 10.1-4 に示す。両年度とも第二次産業では変化なく 15%で あったが、第一次産業では、25%から 20%に減少し、第三次産業では 60%から 65%に増加する結 果となった。

10-4 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

2012-13 Services (T) 2004-05

2012-13 Industry (S) 2004-05

Agriculture 2012-13 & Allied (P) 2004-05

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

出典: 調査団 図 10.1-4 ミゾラム州における 2004-2005 年度と 2012-2013 年度との産業構成比較 産業及びその他のポテンシャル (a) 概要 ミゾラム州の産業は、主にサービス業 60%、加工・製造業 21%に依存しているが、将来の開発 ポテンシャルとしては農作物の生産に関わる農業関連産業や、サービス業にあると考えられ、ま た加工・製造業では、手織物、手工芸品、紙産業等の開発ポテンシャルがあると考えられる。同 州は、集落の集合を基本とした新たな土地利用計画を立案している。ゴム、パーム油の生産ポテ ンシャルが高く、豊富な竹林を活用した紙産業も、同州における優良な開発ポテンシャルと言え る。 また、葡萄、バナナ、カルダモン、生姜、パイナップル、その他園芸製品のポテンシャルも高 いが、市場のサプライチェーンが脆弱であり、それが経済成長を阻む要因となっている。カラダ ンルートが開通した暁には、他州への輸送ルートが確保され、市場へのアクセスが可能となるこ とが期待される。

(b) ミゾラム州産業政策 2012 における対象範囲 急峻な山地部という地形上の制約条件があり、社会基盤整備は開発途上となっている。民間の 事業者レベルについても大規模事業者が参入できる土壌がないことから、政策的には中小事業者 (MSME)の活性化を目標に掲げることとする。 同政策では、支援対象を上述のとおり中小事業者と定め、地元で生産可能な資源を使い、付加 価値をつける産業育成を目標としている。下記の対象セクターにおける事業者の産業育成支援を 早期に実現するために、特別なインセンティブが用意されている。

10-5 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.1-3 ミゾラム州の産業政策 森林産業 ミゾラム州内で採れる豊富な竹材や他の森林資源を最適に活用し、竹材、 森林資源の高付加価値化を実現する製造産業を育成する。 食料加工産業 農作物、園芸作物、生活必需品等の多様な食料関連の生産産業を加工業と 連動させるべきである。契約農家や共同管理組織を促進することで、適切 なサプライチェーン管理を確保すること。高い輸送コストを考慮し、優先 順位づけにより有望なものに集中し、加工による高付加価値化を実践する ことが食料加工政策の要となる。 手織物産業 手織物産業は、政府による支援を継続させ、デザイン、パッケージの改良 やブランディング化を進めることにより、高品質化を目指していくべきで ある。地方にもデザイン技術を持った女性たちがおり、それらを活用する ことにより産業を強化していく。 繊維系の高原性エニ 州外の市場への販売において、競争優位性を保つために、高原性エニシダ シダ植物のプランテ のブランディング、高付加価値化を進める。農家が利益を最大限享受でき ーション るように、エニシダ食物の栽培と加工生産業を適切に結びつける。プラン テーション栽培による大規模生産により、多様な用途で繊維材料の開発を 行う土壌が得られる。 お茶、ゴム、パーム ミゾラム州は、気候及び土壌環境上、コーヒープランテーションに適して 油、コーヒー産業 いる。商業的、科学的なお茶プランテーションとその加工生産業を結ぶこ とで、政府からの支援を受ける。ゴム、コーヒー、パーム油に基づく産業 も政府から支援が必要である。 繊維関連産業 既製服の大量生産は、州外の市場や輸出を促進するために奨励する。原材 料や付属品の調達を、地元産業の育成と市場努力により促進する。 家畜飼料産業 食肉及び食肉加工品の十分な供給を促進するために、食肉生産者への支援 だけでなく、家畜飼料の生産にも力を入れる。 出典: Derived from “The Mizoram Industrial Policy 2012”

産業 州内の既存資源、気候上の優位性、政策上のインセンティブを活用することで、竹林、養蚕、 観光、農作物、農作物加工業などのセクターに投資していく。州内の産業は主に小規模産業が占 めている。ミゾラム州は、ザンツイ、セイランコーン、カンパイ、ムンメルシア、バイラビ、及 びプクプイ ルングレイにて産業振興地域を持つ。 ミゾラム州は、北東州協議会からのサポートを受け、経済特区(SEZ)を州内北東部に設置し ている。同特区は、カンパイ地区のカウヌアン集落に設置する予定となっており、竹林産業の活 性化を主要目標と定めている。 ミゾラム州は、年間 3.2 百万トンの生産能力を持つ、1,254,400 ヘクタールもの広大な竹林資源 を有している。年間約 28,315 トンの竹材が収穫されるものの、残りの 99%の竹材が収穫されずに 余剰資源に甘んじている。インド国内の約 14%の貯蔵竹材をミゾラム州が担う事が出来、35 種類 の竹を保有している。ヒンドゥスタン紙製造会社の生産拠点の一つである、アッサム州南部の紙 製造工場は、ミゾラム州から収穫された竹材資源の一番の消費先となっている。州政府による竹 材開発組織は、竹材を使った床ボード、寄木細工、チーク材ドアなどの商業用製品を生産するた めに、民間企業との企業共同体(JV)を設立している。ミゾラム州政府は、マット、ブラインド、 箸、線香などの竹材産業への海外直接投資の誘致を継続する。 ミゾラム州はインド国北東州において果物の全生産量の 12%を占めており、1 ヘクタール当た りの収穫量は、近代的な園芸ノウハウを適用することにより上がってきている。豊富な自然資源 と政策的な支援が組み合わさることで、食料加工産業は投資環境としての可能性を提供している。 冷温流通方式管理などのサプライチェーンによる連携強化により更なる投資先としてのポテンシ ャルを示すことが出来る。特定の目的のための車両を民間セクター事業者が配置することで、ウ コン、生姜、チリ、果物、その他栽培作物の加工工場を設置していく。 10-6 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

州政府は養蚕業のトレーニングを担う、研究トレーニング機関をゼマボークに設立した。ミゾ ラム州は、貝殻石灰岩、シルト岩、粘土鉱物、石炭層、石油、天然ガスなどの鉱床を有している。 ビル建築石材などはバングラデッシュに輸出されている。ミゾラム州内の石油、ガス探査に参画 するいくつかの事業者がおり、州政府と合意覚書を取り交わしている。ミゾラム州は、多くの自 然の湧水を有していることから、ミネラルウォーターの生産業に対して有望なポテンシャルを有 している。 州政府は基幹施設として以下の産業分野をこれまでに開発してきた。 • アイゾール地区ザンツイ工業団地 • コラシブ地区バイラビ工業団地 • アイゾール地区セイラン輸出促進工業団地 • アイゾール地区セイラン竹材加工団地 • ルングレイ地区プクプイ総合産業開発センター • カンパイ地区ゾテ総合産業開発センター • アイゾール地区ルンムアル産業成長センター

工業団地の区画許容量を表 10.1-4 に示す。2011 年での 4 工業団地において、全許容量の内、割 り当てられた区画数は 4 ヵ所全ての平均で約 64%であり、一番高かったのはレングテ輸出促進工 業団地の 87%、続いてザンツイ工業団地の 84%、ルンムアル産業成長センターの 61%、セイラン 竹材加工団地の 30%となっている。これは、竹材関連産業、その他ミゾラム州で広く生産可能な 製品分野について強化していく必要があることを示している。 表 10.1-4 工業団地における許容区画について Sl. No 工業団地名 地区 区画数 割当区画数 1. ザンツイ工業団地 アイゾール 232 196 2. セイラン竹材加工団地 アイゾール 10 3 3. レングテ輸出促進工業団地 マミット 30 26 4. ルンムアル産業成長センター アイゾール 99 6 合計 371 236 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2011

対象区域沿線における各地区の主要交易産業を表 10.1-5 に示す。各集落内では、主な産業活動 は農業に関連しており、またそれらの活動が集落を支えていると言える。道路インフラ整備によ り、こうした産業活動の促進やそれらから生まれる収入向上などが期待できる。 表 10.1-5 各集落における主要交易産業活動について 地区 主要交易産業 地区 主要交易産業 マミット i) 畜産 サーチップ i) 園芸作物 地区 ii) 農業 地区 ii) 農業 iii) 工業 iii) 工業 コラシブ i) 園芸作物 ルングレイ i) 園芸作物 地区 ii) 土壌・水の保全 地区 ii) 工業 iii) 畜産 iii) 農業 アイゾー i) 工業 ロンクライ i) 園芸作物 ル地区 ii) 畜産 地区 ii) 農業 iii) 土壌・水の保全 iii) 畜産 カンパイ i) 園芸作物 サイハ地区 i) 園芸作物 地区 ii) 畜産 ii) 畜産 iii) 農業 出典: Mid Term Assessment Report on NLUP of Government of Mizoram, 2012-13

10-7 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

ミゾラム州内で事業を行う企業で、工業理事会直属の小規模産業(SSI)組合の数、また工業 理事会から支援を受けている数を表 10.1-6 に示す。工業理事会直属の SSI 組合数は、2013-2014 年 度は前年度の 2012-2013 年度の 122 件から 214 件に増加しているものの、年々減り続けている。 一方で、工業理事会により支援を受けている SSI 組合数は増加傾向にある。

表 10.1-6 ミゾラム州における小規模産業(SSI)組合数及び企業数 工業理事会に 工業理事会から 州内で事業 年度 登録している SSI 組合 支援を受けてい を実施して 雇用数 件数 雇用数 る SSI 組合数 いる企業数 2004-05 319 1116 566 NA NA 2005-06 315 1228 740 NA NA 2006-07 344 1376 871 3715 26032 2007-08 205 594 161 3941 27616 2008-09 487 4113 - 4419 30965 2009-10 457 3977 - 4919 34469 2010-11 203 1310 1800 5403 37860 2011-12 131 906 1335 NA NA 2012-13 122 1032 - NA NA 2013-14 214 - - - - 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2013

工業理事会に登録されている SSI 組合数、雇用数の各区の詳細を表 10.1-7 に示す。同表からカ ンパイ地区、アイゾール地区に SSI 組合が集中していることが分かる。また、特にアイゾール地 区では 2010-2011 年度では SSI 組合数が 115 件であったが、2012-2013 年度では 29 件に急激に減 少している。 表 10.1-7 各区の工業理事会登録の SSI 組合 2012-13 2010-11 地区 組合数 雇用数 組合数 雇用数 マミット 5 35 3 18 コラシブ 16 118 2 10 アイゾール 29 511 115 814 カンパイ 41 206 18 150 サーチップ 3 23 2 12 ルングレイ 9 35 32 147 ロンクライ 14 72 24 92 サイハ 5 32 7 67 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2013

工業理事会所属の SSI 組合の産業タイプ別件数を示す表 10.1-8 をみると、最新の統計値である 2013-2014 年度でみると、SSI 組合は全 214 件中、80%を次の木材製品(25.7%)、衣服製品 (22.9%)、鉄鋼製品(15.4%)、修理サービス関連(9.4%)、食料製品(7.0%)が占めている。 表 10.1-8 産業タイプ別 SSI 組合数の統計(工業理事会に所属するものに限る) 産業タイプ 2008-09 2009-10 2010-11 2011-12 2012-13 2013-14 1 食料製品 36 35 17 10 15 15 2 飲料、たばこ製品 1 - - - - - 繊維製品(ウール、シルク、化 3 学繊維) 24 - 3 - - - 4 衣類製品 23 72 32 28 24 49 5 木材製品 62 55 24 36 29 55 6 紙製品、印刷サービス 20 23 14 3 2 3 7 革製品 3 - 1 - - -

10-8 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

産業タイプ 2008-09 2009-10 2010-11 2011-12 2012-13 2013-14 8 ゴム・プラスティック製品 3 11 10 - 1 1 9 化学製品 1 21 1 2 1 - 10 非金属、無機化合物製品 5 34 11 7 4 7 11 鉄鋼製品 149 122 34 14 17 33 機械・パーツ製品(非電化製 12 品) ------13 電化製品 ------14 その他製造業 42 - - 5 - 14 15 水資源確保及び供給 - - 1 1 2 - 16 建設業 23 - - - - - 17 建設業に付属事業 5 - - - - 5 18 レストラン・ホテル業 3 - - - 1 3 19 教育、科学、研究サービス関連 13 - 1 - - 1 20 医療・保健サービス関連 5 7 4 2 1 2 21 パーソナルサービス関連 26 - 18 9 11 6 22 修理サービス関連 26 47 29 14 10 20 23 分類できないサービス関連 7 - - - - - 24 その他 10 - 3 - 4 - 合計 487 427 203 131 122 214 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2013

産業及び産業関連インフラにかかる計画的な開発が北東州地域の産業活性化にとって重要であ る。表 10.1-9 にミゾラム州内での産業及びインフラ関連開発に関わる様々な組織・プログラム (工業理事会関連を除く)による取り組みを示す。 表 10.1-9 ミゾラム州内の産業及びインフラ関連開発に参画する組織・プログラムについて S.N 組織/プログラム 概要 同団体は、アイゾール市街地から 36km 離れたセイラン竹材加工団 地(BTP)に設立されている。同加工団地では、10 区画をリースベ ースにて竹材産業の開発のために使用している。さらに、竹材加工 に関するデモンストレーションや、研究開発のために使用されてい る。日本竹材研究チーム(京都大学)も同加工団地にて研究活動を 行っている。 竹材開発団体 同団体は ASIDE(輸出産業インフラ及び関連産業開発に関する対 A (ミゾラム州政府により設 州支援)における以下のスキームについて責任を有している。 立された組織) • ルングレイ地区トゥラブン:輸出産業センター(ICE) • マミット地区ブントゥアム:竹材加工輸出産業センター (BICE) • マミット地区レングテ:輸出促進工業団地 • アイゾール地区ザンツイ:輸出入ビジネストレーニングセンター • ルングレイ地区ルングレイ:技術開発トレーニング及びプロダ クトデザインセンター ZIDCO はミゾラム州政府とインド産業開発銀行(IDBI)による共 同企業体(JV)として設立された。州内全土にわたる産業インフ ゾラム産業開発公社 ラ開発を行う責任を有している。同公社に期待されている主な機能 B は、資金調達や融資回収である。同公社は、ルングレイ地区プクプ (ZIDCO) イに設立された総合インフラ開発センター(IIDC)の推進を通し て、鉄及び石炭事業にも進出している。 ゾラム手織物、手工芸産 手織物及び手工芸産業は、ミゾラム州において一番重要であり、有 C 業開発会社 名な産業である。ミゾラム州には高い技術、豊かな才能を持った手 織物、手工芸職人達が存在している。ZOHANDCO の主要目的は、 10-9 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

S.N 組織/プログラム 概要 (ZOHANDCO) 州により設立された組織、或いは州が事業推進を担っている職人組 織、会社、事業者への支援、アドバイス、資金調達、広報宣伝活動 を担う点にある。特に、彼らが実施する製造技術及び製造管理、市 場分析などの具体的な実施方法についてのアドバイスと資金調達支 援も合わせて行っている。 MIFCO は、州内の住民の福祉と幸福に繋げるべく、州政府の限ら れた資本と自然資源を活用していくために設立された。同会社が行 う農業及び食品関連産業は、投資単位当たりの雇用創出の可能性が 高いという点で優位性があり、開発を誘発させることに適している こと、農業・園芸関連の地元資源の集積及び開発の推進、能力向上 ミゾラム食品及び食品関 を促進させるうえで重要な産業と言える。 連産業会社 D 以下に、MIFCO が有している工業区画を示す。 • ゼマボーク:豚肉・鶏肉加工工場 (MIFCO) • セイラン:食料加工工場(増改築) • チンチップ:果汁濃縮工場(増改築) • チンチップ:食料加工工場 上記に加え、大規模食料加工工場及び近代的な食肉加工工場が設置 される予定である。 MKVIB 組合は、登録している集落産業組合の利益に資する交易・ 商業活動を促進すべく設立された組織である。同組合はより良い設 備、手織物及び集落産業の開発及び法的規制を担っており、ガンジ ーの教えに従い、手織物及び集落産業の推進に資するよう、集落の 職人の生活向上、雇用創出を推進している。

同組合は、以下の 2 つの推進活動も展開している。 (a) 地方産業コンサルタントサービス(RICS):同組合では、RICS 職員が職人や新規事業者の起業サポートのための施設を提供し ている。 (b) 首相直属の雇用創出プログラム(PMEGP):同プログラム ミゾラム手織物及び は、中小企業省(MoMSME)による中央政府支援スキームで ある。同スキームでは、唯一中央政府直属であり中小企業省が 集落産業組合 管轄する州政府系組織、手織物及び集落産業委員会(KVIC) E により推進されている。州レベルでは、KVIC、州手織物及び (MKVIB) 集落産業組合(KVIBs)、地区産業センター(DICs)、及び銀 行により推進されている。 PMEGP スキームによる適用交易産業のリストを以下に示す。 • 食品加工産業 • 農林産業 • 紙・繊維素材による手工産業 • 鉱物産業 • 化合物・化学素材産業 • 農業土木、バイオテクノロジー産業 • 繊維織物サービス産業

10-10 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

S.N 組織/プログラム 概要 お茶組合は以下の主要な役割を担っている。 • 小規模栽培組織/自治組織などで構成される小規模お茶栽培農家 をサポートすることで科学・商業的な茶葉プランテーション栽培 を提供する • 科学・商業的な栽培方法、教訓などを活かし、茶の苗床栽培、プ F お茶組合 ランテーション栽培を支援すること • お茶組合への登録後の栽培者への様々な補助金について規定して いるお茶に関連した規定(1954 年)に則り、お茶組合支援スキー ムを推進すること • 茶葉加工工場建設費を全建設費の 25%までを上限に補助金を提供 すること NLUP は州政府による住民の経済基盤向上を推進するプログラムで ある。同プログラムの主要目的について以下にその概要を示す。 • 既存の自然環境を破壊させ不採算性の高い栽培手法から脱却させ ることにより、持続可能な収入源を提供する • 小規模産業の奨励や小口取引を活性化させることにより、市街地 域の貧困者層に対して衣食製品を提供する 新土地利用計画 G • インド中央政府から NLUP への提供資金を有効活用をするべく、 (NLUP) 支援スキームの収束・集中を図る • 土地の開拓と植林を推進する • 様々な手段を講じることで自然環境の保護・復元を図る 産業振興局は、NLUP プログラムを推進する 8 つの関係省庁の内の 一つである。同局は、2012-2013 年度において、NLUP 下の産業セ クターの 19,579 世帯を支援している。 出典: 調査団により収集された多様な現地情報を統合して作成

森林産業 表 10.1-10 は 2004-2005 年度から 2012-2013 年度にわたる主要森林産業の生産量を示している。 同表を見ると、竹材及び竹材製品で大きな変化がうかがえる。2004-2005 年度では約 101 百万本 の竹材が生産されたのに対し、2012-2013 年度までに 113 千本までに急激に落ち込んでいる。一 方で、ほうき棒の生産は同時期で 275 キンタル(1 キンタル=100 キロ)から 5,787 キンタルに増 加している。この結果より、竹材自体の生産量は年々落ち込んできているものの、ほうき棒の嗜 好傾向が持続していることで、竹材製品としては生産量の落ち込みが踏みとどまっていると言え る。また、本結果は竹材製品の復活が必要であることも示している。 表 10.1-10 ミゾラム州における森林産業製品について 竹材 竹ほう アンチ チーク材 丸太材 板木材 薪 年度 (‘000 き棒 リ (Cu. M) (Cu. M) (Cu. M) (Cu.M) Nos) (Qtls.) (Qtls.) 2004-05 - - 85 - 100800 275 - 2005-06 - - 117 - 75200 3375 - 2006-07 - - 1924 - 72800 4430 - 2007-08 - - 21311 - 23440 1500 - 2008-09 3672 74 1217 2115 6126 1280 3127 2009-10 - 11 605 5027 4257 9000 1078 2010-11 110 39 1203 7165 3586 1727 - 2011-12 - 6 1461 7468 452 2227 - 2012-13 1681 417 2222 73318 113 5787 - 各地区での生産量(2012-13 年度) アイゾール - 376 283 63768 29 40 - コラシブ - - 140 43 30 3967 - マミット - - 186 29 3 498 - 10-11 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

竹材 竹ほう アンチ チーク材 丸太材 板木材 薪 年度 (‘000 き棒 リ (Cu. M) (Cu. M) (Cu. M) (Cu.M) Nos) (Qtls.) (Qtls.) カウルサー(カンパイ地区) 1681 - 192 - 2 1065 - テンゾール(サーチップ地区) - - 506 41 16 15 - ルングレイ - - 169 125 1 - - トラブン (ルングレイ地区) - - - - 3 60 - ロンクライ ------N.ヴァンランパイ (サーチッ - - 696 683 - - - プ地区) カンパイ - - 45 8610 26 - ダーロン(アイゾール地区) - 41 4 19 3 142 - 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2013

養蚕業 養蚕業は州内地方エリアにおける所得確保資源の一つである。表 10.1-11 は、養蚕業を行う集落 及び世帯数の情報を示している。養蚕従事世帯数や養蚕農場面積は年々減少してきているが、養 蚕集落数や養蚕農場数自体は変化なく安定的に残っている。養蚕関連産業が一番活発であるのは アイゾール地区であり、続いてルングレイ地区であった。 表 10.1-11 養蚕集落、養蚕従事世帯数、養蚕農場面積、養蚕農場数 養蚕 養蚕農場面積 年度 養蚕従事世帯数 養蚕農場数 集落数 (Ha.) 2004-05 153 3913 3399 17 2005-06 176 5543 4060 17 2006-07 176 7293 4200 17 2007-08 176 7293 4900 17 2008-09 176 7293 5000 17 2009-10 175 7293 5100 17 2010-11 175 7000 4300 17 2011-12 175 2500 6345 17 2012-13 175 3880 2972 17 地区別統計(2012-13 年度) Mamit 10 194 80 1 Kolasib 15 474 577 4 Aizawl 85 1778 1003 5 Champhai 15 419 290 2 Serchhip 10 209 311 2 Lunglei 35 772 660 2 Lawngtlai 3 22 47 - Saiha 2 12 4 1 出典: Statistical Abstract of Mizoram: 2013

繭、生糸の生産に関連する統計データを表 10.1-12 に示す。絹生産活動はアイゾール、カンパ イ、サーチップ、ルングレイ地区で盛んになっている。

10-12 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.1-12 繭、生糸の製造量、及び種子交配数 年度 繭生産量 生糸生産量 桑 ムガ エリ オーク (ton) (MT) (lakh) (MT) テーザー (lakh) 2004-05 45 5.0 4.0 0.6 4.0 2005-06 47 3.6 4.0 3.0 2.0 2006-07 48 3.6 3.8 1.5 4.0 2007-08 48 2.5 4.0 1.5 4.3 2008-09 55 1.0 4.6 1.2 3.4 2009-10 60 1.2 4.2 0.25 6.5 2010-11 65 2.0 4.0 2.0 8.0 2011-12 190 4.4 10.0 3.2 24.2 2012-13 300 19.18 7.1 1.18 29.67 地区別統計データ(2012-13 年度) マミット 43.02 1.23 - - 71.5 コラシブ 16.4 9.95 1.7 - 63.0 アイゾール 151.5 8.0 3.98 - 186.4 カンパイ 31.08 - - 1.18 103.0 サーチップ 33.24 - - - 108.0 ルングレイ 24.48 - 1.42 - 150.0 ロンクライ - - - - 1.0 サイハ 0.28 - - 2.1 出典: Statistical Abstract of Mizoram: 2013

貿易状況 ミゾラム州では 3 つの陸上税関事務所(LCS)があり、その内の 2 事務所がバングラデッシュ と、1 事務所がミャンマーとの貿易を担っている。バングラデッシュ国テンガムに近いカウラプ クチアー事務所はまだ正式発表されていないものの LCS として開発が予定されている。しかしな がら、バングラデッシュのデマギリ付近、及びバングラデッシュのラガマティの反対側は機能し ている。また、ミャンマー側の一つはゾカウサール、反対側にリーがある。カラダンマルチモー ダルルート上のルングレイ地区ゾリンプイにて、近年商業省により LCS の設立が通知されてい る。しかしながら、これらは全て開発の初期段階に位置しており、主要な貿易活動には適してい ない。2011-2012 年度において、ゾカウサール LCS からのビンロウの輸入量は 40 トンであり、金 額にして 1.49 百万 Rs.に上った。

鉱物資源 州内は急峻地形であることから、ミゾラム州は豊富な鉱物資源に恵まれている。岩石、砂の生 産量を表 10.1-13 に示す。岩石・砂の生産は主にアイゾール地区、マミット地区、コラシブ地区、 ルングレイ地区で活発である。(表 10.1-14)

10-13 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.1-13 採掘許可発行数、及び鉱物生産量 採石額 採砂額 採掘許可 採石量 採砂量 年度 Rs. in Rs. in 発行数 (Cu.M) (Cu.m) Lakhs Lakhs 2005-2006 191 NA NA NA NA 2006-2007 164 NA NA NA NA 2007-2008 33 312797.083 37.54 36176.54 18.09 2008-2009 78 418208.316 50.19 118585.26 59.29 2009-2010 48 261488.330 31.38 62611.40 31.31 2010-2011 97 212937.325 85.18 136303.94 68.15 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2011

表 10.1-14 地区別採掘許可発行数及び鉱物生産量(2010-2011 年度) 採掘許可 採石量 採石額 採砂量 採砂額 地区 発行数 (Cu.M) Rs. in Lakh (Cu.m) Rs. in Lakh マミット 4 11087.50 4.43 1980.00 0.99 コラシブ 6 11594.90 4.64 11312.20 5.66 アイゾール 28 171776.725 68.71 67189.04 33.59 カンパイ 15 4913.95 1.97 29825.70 14.91 サーチップ 8 4799.70 1.92 5435.00 2.72 ルングレイ 31 8294.55 3.32 20562.00 10.28 ロンクライ 5 470 0.19 - - サイハ - - - - - 合計 97 212937.325 85.18 136303.94 68.15 出典: Statistical Abstract of Mizoram 2011

観光産業 観光産業は、良好な道路インフラを持てるかどうかに依存しており、所得確保資源の一つであ る。ミゾラム州には魅力的な観光スポットがあるにもかかわらず、表 10.1-15 に示すとおり 2013 年において北東州を訪れる観光客は国内外からの全観光客数のわずか 1%程となっている。この ことから、観光産業に直結するアクセス性の向上、道路ネットワーク、道路舗装状況の改良、機 能拡充により、同州内への観光客の増加を可能な限り図っていく必要があると言える。 表 10.1-15 国内外観光客数の統計データ 2012 2013 州 国内 外国 合計 国内 外国 合計 ミゾラム 64,249 744 64,993 63,377 800 64,177 北東州合計 6,663,933 66,302 6,730,235 6,135,939 84,820 6,220,759 北東州内の対 象州合計 5,788,152 34,678 5,822,830 5,974,840 42,276 6,017,116 インド国全体 1,036,346,657 20,731,495 1,057,078,152 1,036,346,657 20,731,495 1,057,078,152 出典: India Tourism Statistics 2012, Ministry of Tourism, Govt. of India.

ミゾラム州内における重要な観光スポットとその概要説明を図 10.1-5 に示す。

10-14 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

アイゾール:標高 3,715ft の高原地域に位置し、一 年を通し温暖で過ごしやすい気候に恵まれてい る。東側は森林に覆われた深い渓谷がトゥイリア ル川に沿って広がっており、西側はトラン川、北 側はドゥルタラン高原地域に挟まれている。

ブン、パイカイ、セイラン、タムダイアル湖、ム イファン:ピクニックには十分な設備が整ってい る。

ヴァンタウン:州内で一番高い滝があり、竹林で 周辺を覆われた緑豊かな熱帯林が広がっている。

カンパイタウン:ミャンマー側の丘陵地帯を見渡 すことのできる景観が広がり、興味深い集落内で の生活を体験できる原生林が広がる。インドとミ ャンマーとの貿易拠点があり、ミゾラム州内の米 作地帯としても有名である。

ダンパ野生生物保護区:国境地域を含む 500 平方 km にも及ぶトラ保護区

ムルレン国立公園:トラ、鹿、ヒマラヤ熊、カモ シカ、鳥などの野生動物が生息する。 出典: 調査団

ルングレイタウン:丘陵地帯という固有の自然景 観が広がり、涼しく快適な気候、豊富な植物種が 図 10.1-5 ミゾラム州観光スポット 生息し、イギリス宣教師の遺跡でありミゾラム州 で最初の教会もここに残されている。 パウンプイ国立公園:ミゾラム州内で一番高い標高 2,157m、敷 地面積 3,000 平方 m の公園が広がる。同公園は、豊富で多様な ゾボーク地区公園:自然を楽しむ典型的な観光ス 動植物に恵まれ、トラ、鹿、テナガザル、熊、カモシカ、鳥な ポットが広がる。 どが生息している。

チントゥイプイ:標高 4,020ft の理想的な丘陵地域 パラック湖:州内では最大であり楕円形の湖である。周囲には が広がり、都市から隔離されたきれいな空気を楽 深い森と豊富な動植物が生息しており、野生の像も生息してい しむことが出来る。 る。様々な鳥が生息し、水面は水蓮に覆われている。

コロディン川:ミゾラム州で最大の河川であり、 源流はミャンマー東部から流れてきている。ミゾ ラム州チントゥイプイ地域を通過した後、ミャン マーにほど近いベンガル湾に流れ込む。

10-15 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

10.2 国道 51 号(Tura-Dalu 区間)

10.2.1 国道 51 号沿道の現況 対象区間 トゥラ‐ダル道路区間(約 54km)はメガラヤ州に位置する国道 51 号の一部である。同道路の 地勢的優位性からメガラヤ州は、バングラデッシュ、アッサム州さらには他のインド国内の地域 との生産物、サービスの流通、貿易の促進に必要不可欠な道路と考えている。 上述のとおり、調査対象区間は国道 51 号の一部であり、同区間の道路改良により経済活動の 底上げに寄与できるものと思料できる。図 10.2-1 は対象区間位置図を示しているが、対象区間は メガラヤ州の南西地域全体を通過する位置にあり、主に同州内の南ガロ丘陵地区を通過しており、 西ガロ丘陵地区、東ガロ丘陵地区に近接してい

る。2012 年 3 月 24 日に、東ガロ丘陵地区は、北 ガロ丘陵地区と二つに分離している。しかしな がら、本調査目的及び入手可能な情報等の制約 条件を勘案し、北ガロ丘陵地区は東ガロ丘陵地 区の一部として取り扱うこととする。 以上の 3 地区を対象道路区間の影響地域と考 えることとし、3 地区についての概要を表 10.2-1 に示す。その他、本 3 地区に関する自然条件、 対象道路

産業構成、その他の経済活動(実情、将来ポテ 出典: 調査団 ンシャル)などは後述として示す。 図 10.2-1 調査対象区間国道 51 号

表 10.2-1 国道 51 号対象区間の影響地区概要 地区 概要説明 同地区はメガラヤ州の南部に位置し、地区庁舎は地区唯一の市街地であるバグマラ (Baghmara)に置かれている。北緯 25˚10’~25˚35’、東経 90˚15~91˚0’に位置しており、 南ガロ丘陵 1,887 平方 km の面積を有する。北側では東ガロ地区、東側では西カシ丘陵地区、西側では西 ガロ丘陵地区、南側ではバングラデッシュと隣接している。主な天然資源は、石炭、石灰 岩、ウラン、石英などである。 同地区はメガラヤ州で最大規模の地区であり、地区庁舎はトゥラ(Tura)にある。トゥラ は、シロンに次ぐ最大規模の市街地である。同地区はメガラヤ州の西部に位置し、東側で東 ガロ丘陵地区、南東側で南ガロ丘陵地区、北及び北西側でアッサム州ガルパラ地区、南側で 西ガロ丘陵 バングラデシュと隣接している。同地区は、北緯 26°~25° 20'、東経 90° 30'~89° 40'に位置 し、丘陵部がそのほとんどを占め、北側、西側、及び南西部国境付近には平地部が広がって いる。 東ガロ丘陵は北緯 25.24º~26.10º、東経 90º~91.3º に位置し、南側で南ガロ丘陵地区、西側で 西ガロ丘陵地区、東側で東カシ丘陵地区、北側で北ガロ丘陵地区と隣接している。同地区の 東ガロ丘陵 新地区庁舎が位置するウィリアムナガール(Williamnagar)は、高度に都市計画が成さた近 代的な都市環境を有しており、トゥラ市街地に隣接するガロ丘陵地域での最大の経済成長拠 点となっている。 出典: 調査団

自然条件 メガラヤ州はインド国の北東地域に位置しており、長さ約 300km、幅約 100km に広がる地域で ある。隣接のアッサム州とは、北側でガルパラ地区、カンルプ地区、ナウゴン地区に、東側でカ ルビ・アングロ地区、北カチャル丘陵地区と接しており、南側、及び西側ではバングラデッシュ 国と隣接している。

10-16 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

同州はインド国内で最も自然美の恵まれた州の一つであり、豊富な雨、晴れ晴れした太陽光、 原生林、高原、滝、透き通るような川の流れ、など恵まれた自然環境を有している。モンスーン 気候の影響を大きく受け、カシ丘陵、ジャインシア丘陵の気候は、夏のように暑すぎることもな く、冬のように寒すぎることもなく、特に冬季を除き、ガロ丘陵地区の平地部では暖かく多湿な 気候となっている。メガラヤ州内での平均年間降雨量は、西部で 2,600mm 以上、北部で 2,500~ 3,000mm 以上、南東部で 4,000mm 以上となっている。また、州中央部や南部では、地域内でも降 雨量のギャップが激しい。例えば、ソラ(チェラプンジ)では、最高年間降雨量が 12,000mm と いう非常に高い記録が出ている一方で、ソラから約 50km 離れたシロンでは年間降雨量は 2,200mm 程にとどまっている。

社会経済状況 (a) 人口統計及び社会状況 2011 年国勢調査によると、面積 22,429 平方 km のメガラヤ州全体に人口 2,961,001 人が暮らし ており、人口密度にすると 1 平方 km あたり 132 人となっている。2001 年から 2010 年までの 10 年間で人口増加率は 27.82%にのぼる。男女比は男性 1,000 人に対し、国内平均では 940 人である が、メガラヤ州ではそれよりも多く 986 人となっている。識字率は全国平均が 74.04%であるのに 対し、75.46%となっている。地区ごとの各社会情報統計を図 10.2-2 に示す。

人口 人口 人口 面積 密度 人口* (人) 増加率 男女 識字率 地区 (人/ 2011 (平方 比 (%) (%) 平方 (2014) 国勢調査 2001-2011 Km) Km) 東ガロ 丘陵 317,917 26.87 2,603 972 60.44 122 344,241

西ガロ 丘陵 643,291 24.09 3,677 984 55.76 175 690,919

南ガロ 142,334 33.05 1,887 945 57.65 75 156,917 図 10.2-2 メガラヤ州の地区 丘陵 メガラ ヤ州 2,964,001 27.82 22,429 986 75.46 132 3,089,742 全体

出典: www.census2011.co.in * 過去の人口増加率を基に JICA 調査団が推計した数値

上記 3 地区全体の人口規模はメガラヤ州全体の 37%を占めており、また面積では 36%を占めて いる。同 3 地区内での人口規模を見ると、西ガロ丘陵地区が 58%、次いで東ガロ丘陵地区が 29%、 残りの 13%を南ガロ丘陵地区が占めている。一方、同 3 地区内の面積比較では、西ガロ丘陵地区 が 45%、東ガロ丘陵地区が 32%、南ガロ丘陵地区が 23%を占めている。 同 3 地区内の識字率を見ると、州全体での 75.46%よりも 3 地区とも低い識字率に留まってい る。同様に、男女比についても男性 1,000 人に対し、州平均の 986 人よりも 3 地区とも女性人数 が少ない状況である。

(b) 経済 経済成長について 2013-2014 年度の実質州内総生産(NSDP)の現在価値は約 Rs. 18,504 千万であり、同年度での 一人当たり所得(PCI)は、Rs. 58,522 であった。また、2004-2005 年度から 2013-2014 年度までの 年平均成長率(CAGR)は全体で 7.82%であり、内訳を見ると第一次産業セクターでは 2.12%、 第二次産業セクターでは 10.11%、第三次産業セクターでは 8.72%であった。PCI については、同 期間で CAGR が 4.76%となっていた。産業ごと及び PCI の成長率の概要を表 10.2-2 に示す。

10-17 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

産業構成について 2013-2014 年度におけるメガラヤ州全体の産業構成を見ると、第三次産業が全体の 55%を占め ており、第二次産業が 30%、第一次産業が 15%となっている。第二次産業について、製造業は 4.86%、鉱業・採石業は 4.15%、建設業では 21.91%を占める結果となった。2004-2005 年度から 2012-2013 年度での変化に着目すると、第一次産業では、24%から 15%に減少し、反対に第二次 産業では 25%から 30%に、第三次産業では 51%から 55%への成長が見られた。

表 10.2-2 メガラヤ州の経済成長率について 2004- 2005- 2006- 2007- 2008- 2009- 2010- 2011- 2012- 2013- CAGR Sector 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (%) 農業及び農業関連 (第一次産業) 14296 15000 15156 14946 15519 15814 15948 16696 16954 17739 2.12 NSDP に占める割 合(%) 24% 24% 22% 21% 20% 19% 17% 16% 16% 15% 加工・製造業 (第二次産業) 14465 15737 17949 18671 22071 23300 25667 31951 31438 34978 10.11 NSDP に占める割 合(%) 25% 25% 26% 27% 28% 28% 28% 31% 30% 30% サービス業 (第三次産業) 29696 32290 34672 36293 41303 44850 50646 54341 56510 65664 8.72 NSDP に占める割 合(%) 51% 51% 51% 52% 52% 53% 55% 53% 54% 55% NSDP 58457 63028 67777 69909 78893 83964 92261 102988 104902 118381 7.82 人口(千人) 2427 2458 2488 2518 2548 2578 2609 3010 3085 3162 3.06 PCI(INR) 24086 25642 27242 27764 30963 32569 35363 34217 34004 37439 4.76 出典: Derived from Central Statistical Origination. Government of India 備考: CAGR:Compound Annual Growth Rate(年平均成長率)

産業及びその他のポテンシャル (1) 概要 メガラヤ州はバングラデッシュ国と 443km を共有する国境線を持ち、鉱物資源を豊富に有して いる。このことから、製造業を整備することで鉱物資源を活用でき、競争力の高い低コストでの 製造機会を保有できる特徴的な優位性を持っていると言える。これに加え、道路ネットワーク改 善を推進することで、裨益地域での工業化推進を牽引していけるものと考えられる。

(2) “Meghalaya Industrial & Investment Promotion Policy 2012 (MIIPP - 2012)”での主要産業での目標 MIIPP – 2012 における主要目標を以下に記載する。 • 民間企業の新規誘致と既存ビジネス環境の持続性を担保した既存加工・製造業の堅調な成長 を促進すること • 実際の必要性やニーズに根差した事業者への土地の移譲、貸与とするべく厳正にモニタリン グする体制をつくること • 経済成長の中軸分野を早期に保有できるように、製造業、及びサービス業分野向けの産業特 区・区画(土地)を新たに設けること • 女性起業家の実務的なチャレンジを推奨・運営している民間企業に対して、州への資本投資 額の10%相当の追加助成金によるインセンティブが得られるようにすること • 国境線から10km範囲内を“優先区域(Priority Area)”と宣言し、同範囲内で事業を行う民 間企業は“国境エリア助成金(Border Area Subsidy)”と称する特別なインセンティブを得ら れるようにすること • メガラヤ州産業開発会社(MIDC)を再構築すること

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ポテンシャルのある分野 以下のとおり、メガラヤ州内での産業を推進していくためのポテンシャル分野が宣言されてい る。 • 農業生産加工産業:農産物の出荷だけでなく収穫後の流通・供給までのサプライチェーンを 含める • プランテーション生産物に関する加工業:お茶、ゴム、薬草(漢方薬など)など • 伝統手織物、手工芸品産業の開発 • 組織培養、バイオテクノロジー産業:輸出指向型の蘭栽培業 • スパイス、植物油、その他の芳香油産業:輸出指向型のスパイス、植物油、その他の芳香油 生産業の奨励 • 畜産・食肉加工業・乳製品産業:養鶏・養豚・その他精肉業に関する衛生的かつ科学的処理 工程を含む • 鉱物産業の開発:以下の鉱物産業を奨励する。  セメント  石灰、消石灰  沈殿炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム  炭化カルシウム  練炭、高温炭化プラントの開発  低炭分冶金コークス/粉コークス  壁/床タイル  陶器(食器、その他記念品など)  炻器(便器、浴槽などの衛生炻器)  耐火レンガ

• 電子情報技術:電子産業、IT産業の立上げや民間セクターだけでなくPPPスキームを活用す るなど官民複合的な産業育成 • 竹材/再生木材産業:竹材/再生木材産業の立上げによる地方集落レベルの現地起業家を支 援する • ホテル業、老人ホーム施設業、電源開発など:民間セクターもしくはPPPによる官民連携に よる立上げ

(3) 農業 メガラヤ州では、住民の80%が専業農家であり、過去 25年間で作付面積が42%増加している。 メガラヤ州全体の作付面積内、60%以上を穀物がしめている。1970 年代半ばに、高収穫量の多品 種を導入したことで、穀物生産量の著しい増加を実現している。年間に複数回作付するラビ作な どに適した高収穫量の米がメガラヤ州内の可能な地域に広く伝わり栽培されるようになり、これ が穀物栽培が州内に広く汎用される要因となった。 米やトウモロコシなどの主要食用作物の他、オレンジ、レモン、パイナップル、グァバ、ライ チ、バナナ、ジャックフルーツなどや、温帯果樹のプラム、梨、桃などの園芸栽培作物も州内の 農産物として有名である。また、州内の重要な換金作物として、ジャガイモ、生姜、ウコン、黒 胡椒、ビンロウ、ベイリーフ(Tezpatta)、キンマ(Betelvine)、短繊維綿、ジュート、メスタ (Mesta, 繊維料作物の一種)、マスタード、アブラナ(種子)などがある。上記とは別に、伝統 品種ではない作物として、紅茶、カシューナッツ、油糧種子、トマト、マッシュルーム、小麦な ども栽培されている。また特に新たに栽培されているのは、豆類、油糧種子などの換金作物であ る。現在、プランテーション作物栽培の促進を目指した自治組織が立ち上がり、253 の紅茶栽培 の小作農家と州が共同で、先進的な栽培方法を試みている。二次的に規制された市場の構築と地 方生産者の創出により農業生産市場を促進させていく必要がある。

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2011-2012 年度における主要作物の生産高(P)、収穫高(Y)、作付面積(A)を表 10.2-3 に示 す。生産高と作付面積に着目すると、メガラヤ州内では米作が一番の主要作物であることが分か る。 表 10.2-3 2011-2012 年度主要作物の作付面積、生産高、1 ヘクタール当たり平均収穫量 州 メガラヤ州 インド国 全土 作物名 A P Y A P Y 米* 108.9 216.5 1988 44006.3 105301 2393 小麦 0.4 0.6 1564 29864.8 94882.1 3177 トウモロコシ 17.4 26.5 1529 8781.9 21759.4 2478 小雑穀 2.2 1.7 771 798.8 451.5 565 穀類合計 128.2 245.3 1904 100292.7 242197.1 2415 ひよこ豆 0.6 0.4 625 8299.1 7702.3 928 キマメ 0.8 0.6 759 4007.4 2654.1 662 豆類合計 4.2 3.7 896 24462.2 17088.9 699 食用穀物合計 133 249.1 1873 124754.9 259286 2078 落花生 − − − 5263.7 6963.7 1323 大豆 1.1 1.8 1694 10109.1 12213.5 1208 油糧種子合計 9.9 7.6 766 26308.2 29798.7 1133 サトウキビ 0.1 0.2 2714 5037.7 361036.6 71668 ジュート** 3.9 34.4 1600 809 10735.6 2389 出典: 1) 58th Fertiliser Statistics 2012-13, Fertiliser Association of India 2) Directorate of Economics and Statistics, Ministry of Agriculture. 備考: A= Area in '000 hectares; P= Production in '000 tonnes; and Y= Yield in Kg/hectare *- Cleaned rice; **-'000 bales of 180 kg, each

(4) 農業生産業について メガラヤ州における農業生産業のポテンシャルは非常に高いと考えられる。同州では、オレン ジ、桃、パイナップル、梨、グァバ、プラム、バナナなど、充実した量かつ見事なほどの多様な 品種の農産物を生産している。さらにジャガイモ、タピオカ、ベイリーフ(月桂樹の葉)、生姜、 トウモロコシ、ジャックフルーツなども豊富に生産している。 メガラヤ州のウコンは特にジャインシア丘陵地区のシャングプンではバラエティー豊富で世界 で一番とも言われている。同州では、デンプン生成ユニットの立上げの可能性を十分に有してい ると言える。また、プランテーション作物としてコーヒー、ゴム、黒胡椒、ビンロウなども重要 な農産物となってきている。お茶栽培や茶畑庭園などが州内に多様な形で広がったことが一つの 大きな進歩であった。 非常に大きな投資開発ポテンシャルを有する分野として、食料加工業であると言え、大規模フ ルーツ加工ユニット立上げに必要な広大な土地も有している。

(5) 鉱物産業 メガラヤ州はその鉱物資源埋蔵による価値により、非常に大きい産業ポテンシャルと有してい る。同州内では、石炭、石灰岩、花崗岩、粘土、その他鉱石の埋蔵量が豊富にあると言われてい る。表 10.2-4 では、州内の多様な鉱物資源の情報と採掘場所に関して示している。石灰岩と石炭 が州内における主要鉱物資源であることが同表に示されている。

10-20 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.2-4 メガラヤ州の鉱物資源埋蔵量について 埋蔵量 鉱物資源 (百万 ton) 用途 主要な埋蔵地域 既知量 明示量 推測量 合計 Cherrapunjee, Mawlong, Ishamati, セメント Shella, Komorrah, Borsora, Bagli in Khasi Hills District, Lakadong, 石灰岩 9515 41599 3986 15100 冶金 Lumshonong, Nongkhlieh in Jaintia 混和剤 Hills District, Darrang Era-Aning, Siju and Chokpot in Garo Hills District. 中高硫黄を媒 Langrin and East Darrangiri in Khasi Hills District, Bapung in Jaintia Hills 石炭 133.13 - 443.35 576.48 体とした District and West Darranggiri in Garo 亜瀝青炭 Hills District 白色陶器、 Cherrapunjee and Mahadek in Khasi 粘土 陶器、 Hills District, Tongseng in Jaintia Hills - - 97.0 97.0 (Lithomargic) 炉の裏張り District, Nangwalbibra and Rongrenggiri in Garo Hills District 硬化石鹸 50.0 テーブルトッ Nongpoh in Ri-Bhoi, Mylliem and 花崗岩 24.0 - 26.0 million Mawkyrwat in Khasi Hills District, プ、壁被覆等 m3 Rongjeng in East Garo Hills District Mawphlang, Smit, Laitlyngkot in Khasi Hills District, Thadlaskein, Mulieh カオリン 3.20 1.94 0.10 5.24 白色陶器 Shangpung, Mynsngat in Jaintia Hills District and Darugiri in Garo Hills District West Khasi Hills and East Garo Hills 鉄鉱 3.60 - - - 低度 District 通常のガラス Laitryngew, Umstew and Kreit in ガラス砂 - - 3.0 3.0 製品 Khasi hills, Tura in Garo Hills District 通常のセラミ 石英 - 0.5 0.5 0.5 ック製品 セラミック製 Bonsamgiri and Rombhagiri in East 長石 - - 0.127 0.127 品 Garo Hills District 耐高温性の炉 Sonapahar in West Khasi Hills District 珪線石 - - 0.045 0.045 の裏張り 低度 Sung valley in Jaintia Hills District ボーキサイト - - 1.45 1.45 (40%Al2O3) 低度 Sung valley in Jaintia Hills District リン鉱石 - 0.015 - 0.015 (15-30%P2O5) リン酸塩瘤 希少 P2O5: 5-15% Rewak in South Garo Hills District セレナイト多 Mahendraganj in West Garo Hills 石膏 希少 結晶 District AMD, Govt of India, has established a reserve of 9.22 mt., higher grade 0.104% U2O3 at Domiasiat, West ウラン Khasi Hills District 卑金属/ 1.14% Cu:0.80mt, 1.61%Zn:0.85mt, 1.88%Pb:0.88mt. with traces of Cd, Bi, Ag, Tenor of gold encountered 微量金属 in 3 bore Holes of Tyrsad 出典: 調査団

石灰岩、石炭について、メガラヤ州の異なる地域からの採掘量を表 10.2-5 及び表 10.2-6 に示す。 石灰岩の採掘量については、カシ丘陵、ジャインシア丘陵、ガロ丘陵の順で多くなっている。ま た、石炭の採掘量についても同様の順となっている。

10-21 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.2-5 メガラヤ州内での石灰岩採掘量 ジャインシア丘陵 ガロ丘陵 カシ丘陵 年度 (トン) (トン) (トン) 2003-2004 1,90,718 34,768 4,96,264 2004-2005 1,83,091 55,197 4,16,685 2005-2006 5,80,901 51,452 4,11,812 2006-2007 8,88,264 42,383 12,02,080 2007-2008 12,53,947 68,913 7,99,203 2008-2009 14,85,909 69,672 23,20,328 2009-2010 14,97,360 41,687 23,43,106 出典: 調査団

表 10.2-6 メガラヤ州内での石炭採掘量 ジャインシア丘陵 ガロ丘陵 カシ丘陵 年度 (トン) (トン) (トン) 2003-2004 39,18,037 10,58,440 4,62,791 2004-2005 36,10,603 11,01,088 6,33,499 2005-2006 38,79,738 11,20,525 5,65,451 2006-2007 40,45,710 11,74,635 5,66,307 2007-2008 43,59,878 13,70,263 8,11,004 2008-2009 28,90,865 15,94,170 10,03,613 2009-2010 37,22,211 15,62,008 4,82,798 出典: 調査団

(6) 工業 工業のための土地取得による将来の起業家を支援するために、工業団地/区画、輸出促進工業 団地(EPIP)が設立された。以下が既存の工業化地域である。 1. バラパニ工業地域(敷地面積 44 ヘクタール以上) 2. 東ガロ丘陵地区メンディパサールの成長センター施設 3. シロン、ジョワイ、メンディパサール、トゥラ、ノンストインでの工業団地 4. ビルニアット輸出促進工業団地(EPIP)(敷地面積 259.35 ヘクタール、2001 年 4 月運 転開始)

表 10.2-7 はメガラヤ州内の既存工業化地域を示している。これらの工業化地域の全てで道路、 電力、水、医療、郵便・通信、ショッピング複合施設、学校、大学などの基盤施設を既に有して いる。 表 10.2-7 メガラヤ州内の既存工業化地域 成長センター 工業団地 EPIP 地域 エリア (エーカー) (エーカー) (ヘクタール) シロン 10.22 - - トゥラ 19.83 - - ジョワイ 14.56 - - ウィリアム 15.30 - - ナガール メンディパサール 7.00 36.00 - ノンストイン 10.00 - - ビルニアット - - 259.00(EPIP) 51.00(追加) ウミアム - - 109.67(IA) 出典: 調査団

10-22 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

産業総局に登録されている小規模産業に関わる数値を表 10.2-8 に示す。小規模産業数について、 カシ丘陵に比べガロ丘陵の方が低い傾向となった。東ガロ丘陵地区、次いで西ガロ丘陵地区、南 ガロ丘陵地区の順で小規模産業数が大きかった。 表 10.2-8 産業総局に登録されている小規模産業の各地区の雇用状況 2007-2008 2008-2009 地区 小規模産業 設備投資 小規模産業 設備投資 従業員数 従業員数 事業者数 (Rs. in lakh) 事業者数 (Rs. in lakh) 東カシ丘陵 2839 4762.13 17314 3087 18200 5172.52 リ・ボイ 314 2963.05 3169 331 3387 4288.07 ジャインシア 816 1239.84 3154 836 3292 1309.89 丘陵 西カシ丘陵 1154 415.61 4806 1178 4914 433.97 東ガロ丘陵 676 309.98 3556 683 3584 316.67 西ガロ丘陵 549 545.17 3598 563 3680 606.90 南ガロ丘陵 163 46.93 596 164 599 47.08 出典: Statistical Handbook Meghalaya 2008-09

貿易ルート メガラヤ州にはバングラデッシュへの陸路税関出張所(LCS)を 11 ヵ所設けている。これらの 内の一つ、ダウキでは一体的なチェックポストが開発されている。残る 10 ヵ所の内、ガスパラ、 ボラガンジ、バラット、リンクの 4 ヵ所は機能していない状態になっている。残るボルソラ、シ ェラバザール、ダル、マヘンドラガンジ、バグハマラ、カリアチャールは機能している。 表 10.2-9 に 10 ヵ所の陸路税関出張所について、輸出入ルートを含めた詳細情報を記載する。 表 10.2-9 メガラヤ州における陸路税関出張所 陸路税関出張所 地区 貿易ルート (LCS) Someshwari River バグハマラ 南ガロ丘陵 Baghmara - Durgapur ガスパラ Gandibo-Karaitoli-Haluaghat Mahandraganje Dhanua マヘンドラガンジ Jinjiram River 西ガロ丘陵 Bugal River ダル Dalu Nalitbari Road Shella River シェラバザール Pharang Karuh (Maula River) イチャマティ Ichamati River Dholai River Bholaganj to Company Ganje 東カシ丘陵 Komorrah- Chhatak Ropeway ボラガンジ Darogakhal River Sonai River Duba Channel Dear Valley バラット Dear Valley Cherragaon quarry- Cherragaon 西カシ丘陵 ボルソラ Borsora- Tahirpur Chalitachera- Samsar Bil Gauripur-Samsar Bil Piyan River ジャインシア丘陵 ダウキ Shillong-Sylhet Road 出典: 調査団 10-23 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

ドゥブリ税関局を通した 2012-2013 年度の輸出入商品を表 10.1-10 及び表 10.1-11 に示す。本プロ ジェクト対象区間にドゥブリ税関局が立地しており、同税関局の改善により商品の流通がさらに 促進されることが期待できる。2012-2013 年度の輸入量(価格ベース)を見ると、マヘンドラガ ンジ、及びダル陸路税関出張所での取扱量が、ドゥブリ税関局の総取扱量の 63%を占めていたこ とが分かる。

表 10.2-10 2012-2013 年度でのドゥブリ税関局における輸入量について 陸路税関出張所 輸入額 商品名 輸入量 (LCS.) (RS.) 合成ネットファブリック 180 MT 18,035,678 セメント 2200 MT 9,334,670 綿くず 1010 MT 13,732,596 メラミン 8305 Kgs 488,813 マヘンドラガンジ チャクラボール石鹸 61960 Kgs 4,090,981 麺類 2880 Kgs 280,800 サリー 3000 Pcs 504,656 プラスティック製ドア 1525 Kgs 72,615 合計 46,540,809 セメント 5430 MT 26,024,736 本、カレンダー 3050 Kgs 70,468 メラミン 4400 Kgs 281,338 マンカチャール ティッシュペーパー 300 Kgs 101,240 宗教書 8600 Kgs 462,910 チャクラボール石鹸 86400 Pcs 545,412 合計 27,486,104 セメント 4700 MT 13,977,528 サリー 209032 Pcs 28,863,507 ダル 合成ネットファブリック 5000 Kgs 420,546 合計 43,261,581 エキストラ中性アルコール 668000 BL 24,084,000 合板/ブロックボード 6146.30 Sq.m 1,007,603 ハティサール 乾燥穀物 50.75 MT 710,500 合計 25,802,103 出典: Commissioner of Customs (Preventive), NER, Shillong

ドゥブリ税関局における輸出量に着目すると、割合の大きい陸路税関出張所の順に、ガスパラ が 53.28%、ハティサールが 32.04%、ダルが 10.89%、バグハマラが 2.46%、マヘンドラガンジが 1.18%、マンカチャールが 0.14%となった。ドゥブリ税関局の管轄圏内では、ガスパラ、及びハ ティサール陸路税関出張所が 2012-2013 年度輸出量全体の 85.32%を占めていたことになる。

表 10.2-11 ドゥブリ税関局の 2012-2013 年度輸出量について 陸路税関出張所 輸出額 商品名 輸出量 (LCS) (Rs) 石炭 228 MT 876,638 ボルダーストーン 52825 MT 23,502,055 生姜 852 MT 11,458,575 マヘンドラガンジ ビンロウ 337 MT 2,304,937 干し魚 37.5MT 893,758 タマリンド 72 MT 740,240 合計 39,776,203

10-24 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

陸路税関出張所 輸出額 商品名 輸出量 (LCS) (Rs) 石炭 467045.9 MT 1,792,385,339 ガスパラ 合計 1,792,385,339 ボルダーストーン 2788 MT 976,174 石炭 243 MT 674,672 マンカチャール 生姜 297 MT 3,913,426 合計 4,588,098 石炭 22293 MT 82,842,643 バグハマラ 合計 82,842,643 石炭 95799 MT 362,898,081 ダル ボルダーストーン 8215 MT 3,567,432 合計 366,465,513 スピリット(酒) 920000 BL 33,369,000 S.K.O. 1284 KL 17,014,342 H.S.D.O. 19168.5 KL 770,566,821 空ボトル 3274414 Pcs 22,912,611 ハティサール レンガ 5784350 Nos 32,205,750 液化天然ガス 63036 Nos 22,357,598 米 6879.14 MT 103,690,342 オレンジ 255967 Boxes 75,632,800 合計 1,077,749,264 出典: Commissioner of Customs (Preventive), NER, Shillong

(7) 観光業 メガラヤ州は生命力に満ち溢れた緑が豊富で大変美しい景観を有している。ミストで包まれた 渓谷、起伏の激しい丘陵地、数々の湖、滝、洞窟、神聖な森、エキゾチックな動植物など、ユニ ークで興味深い旅先と言える。 2001 年から 2011 年までのメガラヤ州を訪れる年間国内及び外国人観光客数を表 10.2-12 に示す。 州内には約 70 ヵ所もの観光スポットがあり、2001 年から 2011 年までの観光客数の累積平均成長 率は 11%に達していた。外国人観光客数は観光客全体数に対して無視できない数ではあるものの、 その割合は 2001 年で 1.32%であったものが、2011 年では 0.71%に落ち込んでいる。 表 10.2-12 メガラヤ州への観光客数(インド人、外国人) 観光スポット 観光客数 年 合計 の数 インド人 外国人 2001 64 178697 2390 181087 2002 64 268529 3191 271720 2003 64 371953 6304 378257 2004 64 433495 12707 445902 2005 70 375911 5099 381010 2006 70 400287 4259 404546 2007 70 457685 5267 462952 2008 70 549954 4919 554873 2009 70 591398 4522 595920 2010 70 652756 4177 656933 2011 70 667504 4803 672307 出典: Directorate of Tourism, Govt. of Meghalaya.

本プロジェクト対象道路に位置する 3 地区における主要観光スポットリストを表 10.2-13 に示 す。

10-25 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 10.2-13 対象道路沿道の観光スポットリスト 1. Patogan Nengminza Memorial at Chisobibra 2. Tasek Lake 東ガロ 3. Nangalbibra 4. Resubelpara Hot-spring 丘陵地区 5. Nakachikong 6. Jolding Lake 7. Rasina Falls 1. Tura Peak 2. Nokrek Biosphere 3. Dachi lake, Anogre 西ガロ 4. Chibragre Picnic Spot 5. Charontolla Temple 丘陵地区 6. Rongbagre Fish Sanctuary 7. Rombang Fall 8. Silbalgre Holookh Gibon Reserve 9. Mirjumlla Tomb, Mankachar 1. Siju Cave 2. Captain W.A. Sangma Memorial 南ガロ 3. Kanai River 丘陵地区 4. Rongdong fall near Siju 5. Rewak View Point 6. Balpakram National Park. 出典: Directorate of Tourism, Govt. of Meghalaya

10-26 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

事業実施計画

11.1 事業実施計画

11.1.1 事業実施計画の策定 JICA 資金で実施される北東州道路網改善事業の実施主体は NHIDCL である。JICA と NHIDCL は国道 51 号および国道 54 号に対する借款協定締結について 2016 年 3 月を予定している。 事業 実施スケジュールの計画策定において、以下の点に配慮する必要がある。

i) インド政府の掲げる北東州地方の開発指針によれば、NHIDCL は国道 51 号および国道 54 号の工事着工を少なくとも 2017 年度内としたい意向がある。 ii) DPR の設計は JICA 準備調査の設計と同様、DPR で実施された地形測量に基づいた設計成 果であり、土地収用や土木工事を実施するにあたり必要範囲や精度は十分といえない。 iii) 土木工事や土地収用を実施する前に、追加の地形測量および道路線形の修正設計を実施 することが必要である。 iv) 土木工事を 2017 年度から開始するために、NHIDCL は測量/設計のコンサルタントを調達 して道路線形の修正設計をおこない、土地収用に必要な用地図の作成を早急に実施する 必要がある。 v) なお、インド国のコンサルタントは斜面対策工に対する技術力が十分ではないため、道 路線形の修正設計をおこなうにあたっては、現地のコンサルタントに対してレビュー/モ ニタリングをおこなうことのできるコンサルタントの調達を推奨する。

DPR by NHIDCL JICA Preparatory Survey

NHIDCL Procurement of JICA Procurement of Review Survey / Design Consultant / Monitoring Consultant

Additional Engineering Survey & Review and Monitoring Updating Engineering Design Preparing Draft Contract Document Finalizing Preparing Bid Documents ROW Drawings

NHIDCL Procurement of RAP Assistant RAP Assistant Consultant RAP Implementation by the State Governments

Under JICA Loan Tendering of Civil Works Contractor NHIDCL Procurement of C/S Consultants Construction Civil Works Supervision

出典: 調査団 図 11.1-1 国道 54 号および国道 51 号における事業実施フレームワーク概念図

11-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

11.1.2 事業実施スケジュール 国道 51 号および国道 54 号の事業実施スケジュールについて、北東州道路網改善事業のフェー ズ1という位置付けで整理する。工事着工は国道 51 号は 2017 年 5 月 1 日、国道 54 号については 2017 年 7 月 1 日を想定している。 主なマイルストーンは以下に示すとおりである。

[道路の修正設計]  NHIDCL は測量/設計をおこなうコンサルタントを 2015 年 11 月までに調達する必要があ る。  測量/設計コンサルタントによる設計修正および各パッケージの入札図書作成を、国道 51 号については 2016 年 4 月末まで、国道 54 号については 6 月末までに完了させる必要があ る。  NHIDCL は入札図書を JICA 側から賛同を得るために提出し、その後入札参加希望者に配 布される。

[土地収用] 土地収用の実施をおこなう義務は州政府にある。本事業の RAP は JICA の環境ガイドライ ンに適合させること、かつタイトなスケジュールに合わせる必要があるため、NHIDCL が RAP を支援するコンサルタントもしくは NGO を 2016 年 1 月までに調達し、州政府の RAP 実施機関として機能させることを推奨する。  測量/設計コンサルタントは、用地図を国道 51 号については 2016 年 3 月末までに、国道 54 号については 5 月末までに完成させる必要がある。その後、NHIDCL は完成した用地 図を州政府に提出する必要がある。  NHIDCL は州政府による土地収用の Rehabilitation Plan をモニタリングし、国道 51 号つい ては 2016 年 4 月末、国道 54 号については 7 月末までに 完了させる必要がある。 NHIDCL は Rehabilitaiton plan を upper ministry へ提出した後 3 カ月以内に、 予算承認を協力し、さ らに州政府と協力して工事着工の前に土地収用を完了させる必要がある。

11.1.3 NHIDCL が調達する測量/設計コンサルタントの業務内容案 作業スコープ 国道 51 号および国道 54 号の道路の修正設計および入札図書の完成のために、以下の作業実施 を推奨する。

A. 自然/交通調査 i. 追加地形測量 ii. 追加地質/斜面調査

B. 修正設計 上記の追加調査結果に追従して、必要な設計修正を実施する。

JICA は上記の調査/設計コンサルタントをレビュー及びモニターする目的で別のコンサルタン トを調達する計画である。測量/設計コンサルタントは JICA 側のコンサルタントの協力のもとで 作業スコープを達成させる必要がある。 地形測量 1) 測量の必要性 - DPR で実施した地形測量は谷側や山側範囲の不足がみられる。また設計された道路線形 の x-y 座標が実際の道路線形と合致していない。 11-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

- DPR の道路横断面と現況断面とで異なる箇所が複数確認された。 - 土地収用は建設施設に余裕幅を加えた範囲でおこなうため、平面線形および縦断線形は 設計施工段階では変えることができないといえる。 - 入札段階において、各入札参加者はコスト推定やリスク低減を図るために測量を行うこ とになるはずである。仮に地形測量の精度が低いものが入札図書に使用されれば、入札 参加者がリスクとして見込む分、入札価格が高上するものと思われる。

2) 測量の作業スコープ a. 道路線形センターより平均 25 m 幅の平面測量の実施。(山側に平均 15m 幅、谷側に平均 10m 幅の範囲とする) 測量精度は縮尺 1:1,000 図面精度を確保すること。

表 11.1-1 地形測量の必要エリア Area of Survey NH-51 NH-54 Total Roadway 128.8 ha 876.8 ha 1,005.6 ha (L = 51.5 km) (L = 350.7 km) (L = 402.2 km) Total: 128.8 ha 876.8 ha 1,005.6 ha 出典: 調査団

b. もし DPR による測量基準点が現地および書類上で確認できない場合、新たにコントロー ルポイント測量を含めて実施することが必要となる。参考のため、フルスケールで実施す る場合の作業スコープについて、以下表に整理する。 GPS コントロールポイント測量は 5.0km 間隔でおこない、標高は GTS ベンチマーク(イン ド国のベンチマーク)を適用すること。 合計 82 ポイント(国道 51 号:11 ポイント、国道 54 号:71 ポイント) 表 11.1-2 地形測量の作業スコープ 項目 単位 数量 留意点 A. 平面図の作成 (S = 1:1,000) 追加データの測量 ha 1,005 - 道路線形センターより平均 25 m 幅の平面測量の実 .6 施。(山側に平均 15m 幅、谷側に平均 10m 幅の範 囲とする) - 既設のユーティリティー、道路構造物、家屋および社 会的/宗教的施設を含むこと。 A. コントロールポイント測量(DPR による測量基準点が現地および書類上で確認できない 場合) 1) 1次コントロー nos. 82 - グローバルポジショニングシステム(GPS)を使用する ル測量(必要と こと。世界測地系 (WGS) 1984 に適合させること。 なる場合) - GPS ポイントの標高は GTS ベンチマーク (インド国の ベンチマーク)と合致させること。 2) GPS モニュメン nos. 82 - 10mm 径 60cm のスチール棒を中心に埋め込んだ 30cm トの設置(必要 x30cm x60cm のコンクリート平方板(モニュメント) となる場合) を設置する。i) 設置日, ii) GPS 番号, iii) 座標, iv) 標高, v) プロジェクト名を記載すること。 3) 2次トラバース nos. 1,608 - 2次トラバース測量はトータルステーションを用いて の準備作業(必 実施する。2つ以上の GPS コントロールポイントを 要となる場合) 結ぶこと。 - 間隔は 500m 以内に収めること。 - ワイヤーネイルを中心に埋め込んだ 5cm x5cm x50cm の木製杭を設置すること。 4) トラバース測量 km 402.2 - 2次トラバース測量は以下の条件で実施されること。 の実施(必要と  平面上の方向角は2ラウンドの角度と2つのゼロ 11-3 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

項目 単位 数量 留意点 なる場合) セッティングにより行われること。  併合リニア―誤差の許容値は 0.0002 Ps を超過しな いこと。なお Ps はコントロールの周囲の長さ。  方向角の併合誤差は 10”√S を超過しないこと 。な お S はステーションの数。  方向角のチェックを行う際のステーションの数は 35を超過しないこと。  方向角調整後の相対誤差が 1:10,000 より小さくな らないこと。 出典: 調査団

c. さらに測量データを用いて、道路修正設計に使用できる 3 次元デジタルマップの作成 が必要である。

3) 推奨事項 - 施工業者側のリスクという条件のもと、全ての地形測量成果は施工業者に渡されること を推奨する。 - これにより施工業者が実施するべき測量の時間や費用は削減され、また測量作業分は入 札価格から低減されると期待できる。

地質/斜面調査 1) 調査の必要性 - JICA 準備調査では、工程的制約および予算的制約により斜面インベントリ―調査は、約 100m~200m 間隔での実施にとどめた。 - JICA 準備調査によって、国道 54 号では 864 箇所の土砂災害箇所を特定し、そのなかでも 99 箇所の危険斜面については何らかの斜面対策が検討された。入札図書に含める斜面対策工に ついては、最新の斜面状況を踏まえてアップデートすることが必要である。 - 入札段階において、各入札参加者はコスト推定やリスク低減を図るために斜面インベントリ ―調査を行うはずである。 - 斜面インベントリ―調査をより詳細化して入札図書に含めることで、入札価格のコスト算定 に貢献できる。その結果、リスクのための入札価格の高騰を抑えることが期待される。 - JICA 準備調査では、危険斜面に対するボーリング調査として危険斜面が 99 箇所あるうちの 3 箇所のみしか実施できていない。 - DPR によると、国道 54 号周辺ではコンクリートやアスファルト、WMM、GSB に使われる 骨材のとれる採石場があまり多くない。採石場から現場までの運搬距離は工事費に影響を与 えるため、採石場を特定し岩石の材質について調査することが必要である。

2) 作業スコープ a. 斜面インベントリ―詳細化調査 [スコープ] - 道路両側に対して 20m 間隔で実施するための斜面インベントリ―調査の実施。調査用シ ートは i) 岩/土砂のタイプ特定、ii) 風化の度合い iii) 岩盤分類 iv) 斜面の傾斜角 v) 地層の 走向・傾斜 vi) 斜面の変状/土砂災害/湧水、等の特定、および写真とスケッチを含んだ内 容とする。 NH51: 51.5 km, NH54: 357.5 km

[調査方法] - 岩/土砂のタイプ特定:目視による特定 11-4 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

- 風化度合い:目視もしくはシュミットハンマーによる特定 - 岩盤分類:インド国基準の岩盤分類方法に基づいた分類 - 斜面の傾斜角 : 機材を用いた測量 (簡易傾斜計). - 地層の走向・傾斜 : 機材を用いた測量 (簡易傾斜計). - 斜面の変状/土砂災害/湧水 : 目視による特定

[インベントリ―シートの作成] - 斜面インベントリ―調査で使用するインベントリ―シートについて、一般部用のシート 案を図 11.1-2 に示す。また、危険斜面箇所用のシートについては JICA 準備調査と同じ ものを提案する。

出典: 調査団 図 11.1-2 斜面調査インベントリ―シートの例(一般部)

- JICA 準備調査で特定された 99 箇所の危険斜面のうち 3 箇所は土石流発生の可能性のあ

11-5 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

る斜面である。本調査では土石流をカルバート内に流す計画として、カルバートの断面 決定に考慮している。斜面インベントリ―詳細化調査では、土石流の規模を踏まえてア ップデートされるべきである。

b. 土砂災害箇所のボーリング調査 [スコープ] - JICA 準備調査により特定された危険斜面および沈下箇所については、ボーリング調査 を実施する。 ・国道 51 号:DPR コンサルタント、JICA 調査団および NHIDCL により実施されたジョ イントインスペクションの決定に基づき 3 箇所 ・国道 54 号:現地の目視調査や過去の斜面災害データに基づき特定される頻繁な斜面 災害の発生箇所

[ボーリング調査の位置] - ボーリング調査の位置については、Atachement-4 の表に整理する。

[試料採取の条件] - 削孔装置は所定の 66mm 以上の孔径で所定の長さまで削孔できるもの。削孔装置は試料 が適切にまた効率よく採取できるように、地質条件に見合うものを選定する必要がある。  粘性土: 乱さない試料を採取するためのサンプリングチューブ (φ76) の使用  岩盤 : タイプ : ロータリー式スリーブ内蔵二重管サンプラー インナーチューブの外径: φ68 (φ86) インナーチューブの内径: φ48 (φ66)

- 岩盤のコア採取については、岩盤に適したサンプリング方法を適用し、基礎位置の確認 や支持層のコアのサンプル等をおこなう。 試料の乱れを最小限に抑えるために、二重管もしくは三重管の使用を推奨する。コア回 収率および岩盤品質についてコア採取次第、測定および記録をおこない、岩盤の分類を おこなう。なお岩盤コアの場合、ダイヤモンドやカーバイドを備えた中空バレルのロー タリー式サンプラーも使用される。またコアは一般的に 1.5m として回収される。 - コア回収率は岩盤および未固結堆積物のいずれも 100%を目標値とする。ただしスライ ムは回収したコアとはみなさない。また 5m ずつのコア回収率は容認できる理由がない 限り 70%以下としてはならない。

[地下水位のモニタリング] - 外径 45-50mm の穴あき PVC パイプを各孔に設置する必要である。穴あき PVC パイプの 詳細図を図 11.1-3 に示す。なおパイプの内径は 40mm 以上とすること。

11-6 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 11.1-3 穴あき PVC パイプの詳細図

- 穴あき PVC パイプを各孔に設置した後、5週間の間、週2回ずつの地下水位の計測を する必要がある。地下水位の計測は battery-operated electrical indicator (tester).を用いる。 - 地下水位の計測結果は降雨量とともにグラフや表で記録する。降雨量についてはコンサ ルタントによって認定機関から取得される。

c. 採石の材料試験 - DPR では、国道 54 号沿いに位置する既存の 8 つの採石場を確認している。

表 11.1-3 国道 54 号沿いの既存の採石場の位置 No. 名称 位置 Section-1 1 PC Stone Quarry Km 13+135 2 Keifang Quarry Km 35+000 3 Airport Quarry Km110+000 Section-2 4 Maudrh Quarry Km194+000 5 Lungpuzawl Quarry Km223+300 Section-3 6 Liapha Quarry Km473+300 7 Rulkual Quarry Km486+900 8 Kawlchaw Quarry Km506+650 出典: 調査団

- 各採石場からサンプルを 3 つずつ採取して、砕石としての適性を計るための材料試験を 実施するべきである。 表 11.1-4 既存の採石場から採取したサンプルの材料試験 材料試験名 サンプル数 Specific Gravity 24 samples Water Absorption 24 samples Soundness 24 samples Loss Angels Abrasion 24 samples 出典: 調査団 11-7 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

- DPR で確認された既存の採石場に加え、採石場を整備できる潜在箇所を調査して、上記 と同様に材料試験を実施するべきである。

3) 推奨事項 - 施工業者側のリスクという条件のもと、全ての砕石調査結果は入札図書に含めることを 推奨する。 - これにより施工業者が実施するべき調査の時間や費用は削減され、また調査作業分は入 札価格から低減されると期待できる。

修正設計 DPR 設計において、今後実施される追加調査結果に追従した必要な設計修正を実施することが 必要である。

1) 道路線形設計 - JICA 準備調査で実施した道路線形設計や橋梁設計のレビューおよび地形測量成果を基 にしたアップデートの実施。

2) 斜面対策工設計 - JICA 準備調査で実施した斜面対策工のレビューおよび、詳細な斜面インベントリ―調 査の結果を踏まえた設計のアップデート。 - 危険斜面については、詳細な斜面インベントリ―調査およびボーリング調査の結果を踏 まえた設計のアップデート。

3) 土捨て場設計 - 地形測量の結果および土工数量見直しに伴う捨て土量をもとに、JICA 準備調査の提案 したコンセプトに見合う土捨て場の設計。 4) 入札図書の最終化 - 材料調査の結果、数量および積算コストのレビューおよびアップデート - 入札図書に添付する設計図面やテクニカルスペックの作成 - NHIDCL は JICA からの支援のもと、土木工事の契約書(契約条件、必要条件、テクニ カルスペック等)のドラフトを作成する。

11.1.4 NHIDCL が調達する RAP 支援コンサルタントの業務内容案 必要性 - 州政府が実施する用地取得および住民移転の円滑な実施は、事業実施に必要不可欠であり、重 要性が高い - 用地取得および住民移転が、JICA ガイドラインを満たす形で実施されることを担保する必要がある

業務内容 1) ステークホルダー協議 - 事業の開始から、継続的に i) 用地取得の必要性、ii) 住民移転の必要性、iii) 事業による影響、iv) 生計回復等の影響緩和策、についてコンサルテーションを実施する。

11-8 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

2) RAP 報告書の確認および更新 - 最終版の線形に基づき、RAP 報告書にある被影響構造物および被影響世帯のリストを更新し、ま た被影響住民の人数や資産、公共財の詳細を把握するためのインベントリ調査を実施する。 - 市場価格調査を通じて、州政府のディストリクトコレクターが決定する補償額が再取得価格となって いるかを確認し、そうでない場合はギャップを埋めるための手段を講じ、エンタイトルメントマトリック スに反映させる。 3) 苦情処理メカニズム - 被影響住民に苦情処理メカニズム(GRM)の存在や役割、利用方法について周知する。 - 申立てを記録し、またその内容を苦情処理委員会へ通知する(GRC)。 - 申立て人が、苦情処理委員会の会合にする際、必要に応じて同席し、支援を行う。

4) 補償の支払いおよび支援 - 被影響住民一人一人に ID カードを作成し、配布する。 - 被影響住民と NHIDCL/州政府の間で、移転および生計回復の内容について書面で合意ができ るように支援を行う。 - 被影響世帯が移転する際の支援を行う。

5) 生計回復 - 被影響住民のニーズに基づき生計回復計画を策定し、対象住民に対して内容を周知する。 - 職業訓練および能力開発プログラムを実施している政府機関や NGO と連携し、被影響住民が技 能を身につけ、生計を回復できるように支援を行う。

6) 組織配置 - RAP 支援コンサルタントの組織配置について下図 のように提案する。

Monitoring and Management by NHIDCL

Field Activity for RAP Assistance Implementation Agency Safeguards Coordination Specialist (Pro-B) by State Government NH-51 NH-54

RAP / R&R Coordinator RAP / R&R Coordinator x 5 Team (each District)

Surveyor Surveyor x 4 persons x 4 persons Surveyor x 4 persons x 8 Team Detailed Measurement Survey Detailed Measurement Survey

出典: 調査団 図 11.1-4 RAP 支援の組織配置

11-9 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

11.2 事業実施のフレームワーク (1) NHIDCL の組織 NHIDCL は 2015 年 1 月 1 日に MORTH から全額出資により設立された政府出資会社であり、国 道や国境を跨ぐ重要路線に対しての調査、計画、設計、建設、運営、維持管および道路改良等を 担う機関である。 NHIDCL は道路整備をおこなうことで、地域間の連結することで国境を越えた貿易を促進し、 また国境付近の治安を安定化させることを目標にしている。これにより南アジアや東南アジアな どを含めた広いエリアが経済圏となる。全体的な経済的便益をもたらした結果、ローカルにも還 元されると期待されている。今後 NHIDCL の手掛ける道路整備の延長は、合計 10,000 km にも及 ぶと見込まれている。 特に、国際貿易回廊の接続性および効率性向上を目的にした道路改良をおこなっている。 SASEC のメンバー国とともに大量かつ安心な交通輸送を実現するために、北ベンガルや北東州 地方において展開している道路整備は 500km にもおよぶ。これらのプロジェクトは ADB の資金 により実施されている。 NHIDCL の組織図を下図に示す。

Board of Directors Chairman (MoRTH Secretary , ex - officio) Permanent Invitees - MoRTH Director of General (Road Depertment) - NHAI Chairman Managing Director - MoRTH Joint Secretary - Highways

Director Technical Director Finalce / Administration Independent Independent Independent (MoRTH Additional Director of General, Director Director Director Road Depertment, ex - officio) (part time) (part time) (part time)

Executive Director Executive Director (Project) (Technical)

General Manager General Manager General Manager General Manager (Project) (Technical) (Project) (Technical) 10 positions 5 positions 10 positions 5 positions

DeputyGeneral Manager DeputyGeneral Manager DeputyGeneral Manager DeputyGeneral Manager (Project) (Techincal) (Project) (Techincal) 10 positions 8 positions 10 positions 8 positions

Manager Manager Manager Manager (Project) (Techincal) (Project) (Techincal) 10 positions 8 positions 10 positions 8 positions

出典: NHIDCL Web-page 図 11.2-1 NHIDCL の組織図 (2) 事業実施体制 国道 54 号では、ゼネラルマネージャーはミゾラム州をベースとして、全パッケージを一括管 理しながら、Enviroment & Social Officer と連携する必要がある。一方国道 51 号については、ゼネ ラルマネージャーがメガラヤ州をベースにして全パッケージを担うものとする。 - ゼネラルマネージャーの下にはマネージャーもしくは副ゼネラルマネージャーが配置され、 発注者の立場から工事管理をおこなう。 - 道路技術者、橋梁技術者、斜面工技術者がマネージャーの下に配置される。 11-10 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

- Enviroment & Social Officer は少なくとも 1 人はゼネラルマネージャーの下に配置され、州 政府により実施される土地収用のモニタリングの役割を担う。さらに、施工業者の工事実 施に伴う環境対策に対しての管理・モニタリングをおこなう。

(3) 契約スキーム (EPC / FIDIC) a. インドにおける類似プロジェクトでの調達慣習 インド政府は 2 車線以下の国道、2 万キロを EPC 契約に定める規約にのっとり 2 車線にするこ とを決定した。 ひな形 EPC は、過去の、特に国道プロジェクトで予算と工期が超過傾向にあった従来の単価精 算方式では融資機関の費用増加のみならず、完工遅延を招いていた経験から、計画委員会が発表 したものである。 2015 年 8 月の時点で、昨年から 36 の国道工事が EPC 方式で発注されているが、今のところ完 成した工事はまだない。この中で山岳地帯での工事はわずか 1 件であり、それ以外の工事は僅か な急峻区間があるものの比較的緩やかな丘陵地帯である。 EPC 契約方式は国道建設に留まらず、鉄道、過料発電所やその他一般インフラ開発においても 広範にわたって受け入れられている。 b. 入札方法と契約約款 世界銀行やアジア開発銀行融資のプロジェクトで 2014 年から発注されているインドの大部分 の EPC 契約は、国内入札によって調達されているように思われる。幾つかの契約では札の提出前 の現地踏査、測量、検査、調査に与えられた時間は僅か 45 日間という、極めて短い入札期間で ある。結果、DPR に含まれる情報に関係なく、応札者にとっては特に地価条件に関する情報不足 といった未確定リスクが残ることとなる。札の提出前に十分な情報の入社が出来ないにもかかわ らず、また EPC では厳しい条件の固定価格,固定工期にかかわらず、応札者が非現実的で安価な 価格提示をするといった傾向にある。 JICA 検討団は最低でも 90 日間の入札期間を強く推薦する。そうではなく、もしも入札期間が 短いならば、DPR は応札者が信頼を寄せることができるような、総合的で正確かつ現実的な地質 情報を提供するべきであろう。 c. コンサル調達方法 事業推進機関によって国際入札で選ばれた施工監督コンサルは EPC 合意書の条件の通りに役割 と義務を果たすことになろう。 一方、現行 EPC のスケジュール N によると、発注者は政府に属する機関を発注者のエンジニ ア(AE)として任命するオプションも有しているが、JICA 検討団としては確固とした国際入札 を経るべきとの意見から、この任命オプションを削除するべきと考える。 コントラクターが施工した工事の高い品質を維持する目的で、発注者のエンジニアは FIDIC イ エローブックで示す、類似した権限を持つべきである。コントラクターの図書を限られた短い時 間枠の中で義務を果たすには、プロとしての類似道路・橋梁設計の実績を最低でも 10 年は有し ているべきと考える。この資格は極めて重要なことから、RFP とスケジュール N に明記すべきと 考える。 d.コントラクターの入札方法 上記の項目 2 で示すように、EPC 契約は一般的に固定価格、固定工期を基本に施行される契約 であり、FIDIC でいうとシルバーかイエローに近い方式ではあるが、更に厳格である。インド国 道で使用されている現行 EPC は 3 つの原則であるコスト、時間、品質を保ちつつ、発注者とコン トラクターのリスク配分が合理的になるような修正も必要であろう。

11-11 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

JICA 検討団が推薦する修正には施工実績に伴った支払いメカニズムも含まれる。これらの工 種には高度な技術的専門知識を必要とする法面防護工も含まれであろう。 地表下の物理的条件の不確実性が FIDIC のイエローブックに似た方法で処理されるならば、そ れは現地急峻地帯に特有な地理的、地質的な制約に馴染みのない国外の応札者にもインセンティ ブとなることだろう。 JICA 検討団の推薦や提案はこの下の一覧表にまとめる。一覧表に示す出典や副条項は ADB 融 資による西ベンガルの工事と標準 EPC 契約からの引用である。

11.3 施工監理業務 (1) コンサルタント調達 国道 54 号については急峻な山岳部という地形的特徴が起因して、インド国であまりなじみの ない技術工法が含まれている。このため国道 54 号のコンサルタントは EOI プロセスのもと国際 入札をおこない調達するべきである。一方、国道 51 号については特に厳しい地形条件ではなく、 国道 51 号のコンサルタントはローカル競争入札による調達が想定される。

(2) コンサルタントの体制 国道 51 号および国道 54 号の施工管理コンサルタントの体制を次ページの図に示す。なお国道 51 号のコンサルタントは ローカル競争入札による調達を想定している。

C/S Office Team Leader (Pro-B Staff)

[Pro-B Staff] [Sub-Professional Staff] Resident Engineer / Safety Management CAD Engineer Road Engineer Quantity Surveyor Bridge / Structure Enginner Field Engineer x 3 persons Material Engineer Surveyor Sr. Quantity Surveyor Quality Control Engineer Contract Specialist (part time) Laboratory Technician Safeuird Expert

Office Supporting Staff x 4 persons

出典: 調査団 図 11.3-1 国道 51 号のコンサルタントの体制

11-12 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Center Office Team Leader (Pro­A Staff)

[Pro-A Staff] Sr. Road Engineer Sr. Slope / Safety Engineer Sr. Contract Specialist (part time) Sr. Bridge Engineer (part time) * only Section­1

[Pro-B Staff] [Sub­Professional Staff] Office Supporting Staff Sr. Quantity Surveyor CAD Engineer x 4 persons Bridge / Structure Engineer Safeguard Expert

Site Office

[Pro-B Staff] [Sub­Professional Staff] Resident Engineer / Safety Management CAD Engineer Road Engineer Quantity Surveyor x each package Material Engineer Field Engineer x 3 persons Surveyor Quality Control Engineer Office Supporting Staff x 4 persons Laboratory Technician

出典: 調査団 図 11.3-2 国道 54 号のコンサルタントの体制

11.4 運営・維持管理計画 運営・維持管理実施体制 NHIDCL は政府による民間セクター活用方針をもとづき、運営維持管理(O&M)業者および O&M 管理コンサルタントを、建設工事後に調達する計画である。

O&M 契約の推奨事項 O&M 業者契約の推奨事項について、以下に挙げる。

・ 建設工事契約の瑕疵担保期間の終了後より 5 年以内は施工業者による O&M 管理の義務が含 まれている。 ・ 検査および道路維持管理の作業はパフォーマンスベースとなるように、O&M 契約に明記さ れる必要がある。 ・ O&M 請負業者の義務として、i)車の落下や衝突などの面での安全性、ii) 緊急時の対応 iii) 道 路財産管理, iv)道路改良, v) 園芸管理, vi) 不法侵入者に対する警戒、などが挙げられる。 ・ 山岳道路に適した O&M のガイドラインやマニュアルを整備するための技術支援プロジェク トが JICA により計画されている。O&M 契約をおこなう上では、JICA で整備したマニュア ルの活用を条件に含めることを提案する。

11-13

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

環境社会配慮

12.1 本調査における環境社会配慮業務 本調査における環境社会配慮は、二段階にわけて実施された。最初の段階では、調査対象の 10 路線について、環境面、社会面からスクリーニングを行った。技術面および経済面からなされた 分析と同じく、この作業は、優先区間(国道 54 号および国道 51 号)の絞込みのために実施され た。スクリーニングは、現地調査および文献調査によって実施されたが、治安上の懸念があった マニプール州およびナガランド州の路線(表 12.1.1 内の 5, 6, 7 番)については、現地調査は実施 せず、文献資料によってスクリーニングを行った。 表 12.1-1 対象区間及び協力要請内容 2 No. 対象区間 区間延長 要請内容 ① ミゾラム州 Aizawl~Tuipang 間の国道 54 号 約 381km 改良 ② メガラヤ州 Dudhanal~Dalu 間の国道 62 号 約 183km 改良 ③ メガラヤ州 Tura~Dalu 間の国道 51 号 約 54km 改良 ④ メガラヤ州 Shillong~Dawki 間の国道 40 号 約 84km 改良 ⑤ マニプール州 間の国道 53 号 約 221km 改良 マニプール州 Imphal~ナガランド州 Kohima 間の国道 39 ⑥ 約 138km 改良 号 ⑦ マニプール州 Ukhrul~Tadubi 間の国道 102A 号 約 115km 改良 ⑧ トリプラ州 Manu~Simlung 間の国道 44A 号 約 110km 新設/改良 ⑨ アッサム州 Silchar 近郊の Badarpurghat 橋 国道 44 号 360m 改修 ⑩ アッサム州 Tezpur 近郊の koliabhomora 橋 2.5km 改修 橋梁部:約 18km ⑪ アッサム州 Dhubri~Phulbari 間 国道 127B 号 新橋建設 取り付け部:約 21km 出典: 調査団

スクリーニングの結果、ミゾラム州の国道 54 号およびメガラヤ州の国道 51 号が優先区間とし て選定された。スクリーニングに続いて実施された環境社会配慮では、優先区間である国道 54 号および国道 51 号の概略設計に対して、環境影響評価(EIA)の実施、住民移転計画(RAP)の 策定支援を行った。

12.2 環境社会配慮にかかる法的枠組み

12.2.1 インド国における EIA の要件 環境森林省による 2006 年の EIA 通達(2013 年改正)によれば、国道事業は、以下の条件を満 たした場合、カテゴリーA に分類され、EIA の実施および環境クリアランスの取得が必須となる。 すなわち、1) 新規建設、2) 延長 100km 以上の既存の国道の拡幅で、新規に 40m 幅以上の ROW の 取得・用地取得あるいは 60km 以上の経路変更もしくはバイパスの建設を伴うもの。 本調査で対象としている事業は、1 車線から 2 車線への拡幅であり、追加の用地取得幅は 40m 未満である。そのため、表 12.2-1 にある路線①〜⑦は、インド国内法では EIA の実施は不要とな っている。一方、トリプラ州における⑧は、拡幅部分と新設部分があり、一部が「新規の国道」 と判断された場合には EIA 実施が求められる可能性がある。⑧については、インド国側の準備調 査(DPR)が実施されておらず、事業の詳細が確定していないため、現時点で環境森林省がどの ような判断を下すかは不明である。一方、JICA のスクリーニング基準では、⑧は国道建設のた めの森林伐採を伴う事業であり、カテゴリーA に分類される。

2 これは当初の要請リストであり、その後、⑩(Koliabhomora Bridge)は調査対象から除外されている。 12-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

インド国内法では、橋梁事業では EIA の実施は求められない。そのため、対象路線⑩では、法 規上は EIA の実施は要求されない。デリーのヤムナ川にかかる 675m の新規橋梁建設事業につい ても、環境森林省は EIA の不要との判断を示している。一方、この決定を不服とした申立てがな され、2015 年 2 月、国立グリーン裁判所は、事業の実施機関であるデリー観光交通開発公社に対 して、EIA 実施を求める裁定を下している。法的要件に則れば、 ⑪について EIA 実施は必要では ないが、上記の事例を鑑みれば、申立てがあった場合には EIA を実施が必須とされる可能性が大 である。 優先区間以外の調査対象路線については、今回の供与対象には含まれない。これら路線を供与 対象として取り上げる場合は、別途、協力準備調査等を実施し、環境社会配慮(代替案検討、 EIA/RAP 作成等)の調査を行う。 表 12.2-1 インド国および JICA カテゴリによる EIA の要件 3 JICA No. 対象区間 インド国要件 カテゴリー* ① ミゾラム州 Aizawl~Tuipang 間の国道 54 号 不要 A 対象路線は保全林および ② メガラヤ州 Dudhanal~Dalu 間の国道 62 号 象の道を通るため、EIA A を実施が望ましい。 ③ メガラヤ州 Tura~Dalu 間の国道 51 号 不要 A ④ メガラヤ州 Shillong~Dawki 間の国道 40 号 不要 A ⑤ マニプール州 Imphal~Jiribam 間の国道 53 号 不要 A マニプール州 Imphal~ナガランド州 Kohima 間の ⑥ 不要 A 国道 39 号 ⑦ マニプール州 Ukhrul~Tadubi 間の国道 102A 号 不要 A 環境森林省の判断によっ ⑧ トリプラ州 Manu~Simlung 間の国道 44 号 A ては必要 ⑨ アッサム州 Silchar 近郊の Badarpurghat 橋 不要 B 法律上は不要であるが、 ⑪ アッサム州 Tezpur 近郊の koliabhomora 橋 必要となる可能性が高 A い。 注: * カテゴリーは、要請内容および既存の環境条件から推定。 出典: EIA 通達および JICA ガイドラインを元に調査団作成

12.2.2 新土地収用法改定にかかる状況 2013 年土地収用および生活再建・再定住法案(以下、新土地収用法)は、被影響住民に対する 補償および支援内容を拡充し、また住民協議や参加を促す内容となっており、例えば土地に対す る補償は、都市部で市場価格の 1-2 倍、農村部では 2-4 倍とされている。新土地収用法では、事 業に対する住民の「合意」も用地取得の要件とされており、民間事業では土地所有者の 80%、 PPP 事業では 70%の合意が必要とされている。これに対し、2015 年に政府から提出された改正案 では、i) 国防、ii) 地方インフラ、iii) 廉価住宅、iv) 工業ベルト、v) 国が所有する土地、PPP で実 施されるインフラ事業を特別枠とし、上記の「合意」取得義務から除外することが提案されてい る。この改正案が承認されれば、地方インフラ事業である本調査の 10 路線では合意取得は求め られないことになる。また改正案では、上記 5 カテゴリーに分類される事業については、社会影 響調査の実施も必要とされない。 下表の通り、改正案はまだ承認されていない。また、同案の承認有無にかかわらず、本調査で は、JICA ガイドラインにもとづき、被影響住民からの合意を得ることを前提としている。国道 54 号および 51 号で実施された EIA をおよび RAP 調査を通じて行われた住民協議では、本事業が 住民の支持を得ていることが確認されている。

3 案件⑩は要請から除外されたので割愛。 12-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.2-2 新土地収用法の改定プロセス 日付 内容 2014 年 1 月1日 新土地収用法が発効、旧法( Land Acquisition Act, 1984)は失効 2014 年 12 月 31 日 改正布告(LARR (Amendment) Ordinance, 2014)が公布 2015 年 2 月 24 日 改正法案(LARR (Amendment) Bill, 2015)が議会下院に提出される 2015 年 3 月 10 日 改正法案が下院を通過するも、上院で否決。 2015 年 4 月 3 日 下院での修正事項を反映した改正布告が公布 2015 年 4 月 10 日 最高裁に、改正布告は憲法違反とする公益訴訟(Public interest litigation)の 申立て。 2015 年 5 月 11 日 第二改正法案(LARR (Amendment) Second Bill, 2015)が下院に提出 2015 年 5 月 13 日 第二改正法案 LARR (Amendment)が、両院審議会にかけられる 2015 年 5 月 30 日 第二改正布告の公布。6 ヶ月以内に議会承認されない場合は失効 出典: PRS Legislative Research を元に調査団作成

12.3 山岳道路を想定したスコーピングおよび代替案分析 環境社会配慮の第一段階において、スコーピングと代替案の分析を行った。優先区間が確定し ない状況で実施されたため、同作業は対象路線に共通する特徴を想定した、山岳道路の拡幅にか かる汎用的なものとなっている。優先区間を対象とした個別のスコーピング案および代替案の検 討は、それぞれの EIA が実施される際に別途実施した。

表 12.3-1 山岳道路の拡幅を想定した汎用的スコーピング案 スコーピング結果 工事前 工事中 供用後 項目 評価理由 (O) (C) (P)

自然環境 気候/気象 D D D P: 事業による気候への影響は無い。 現象 C/O: 本事業は既存道路の拡幅であり、大規模な建造物の建設は伴わな い。事業により地域の気象や風量、風道等に影響が出ることはない。 地形 D B- D P: 事業による影響は無い。 C: 切土、盛土により地形が改変される。残土の量を最小化するために、 土工量のバランスを取る設計にすることが望ましい。 O: 供用後は、適切な斜面対策が実施されるため、地形は安定する。 地質 D D D P/C/O: 事業による影響は無い。 土壌侵食 D B- B+/ P: 事業による影響は無い。 B- C: 土壌侵食、特に雨季の土壌侵食リスクがあるため、雨季の工事は避け るべきである。 O: 既存道路の排水施設の劣化により、土壌侵食が発生している。事業に より道路の舗装、排水機能は向上するため、土壌侵食リスクは減少す る。一方、雨季の土砂崩れリスクを管理するため、適切な斜面対策およ びそのモニタリングが必要である。 水文/水象 D C- C- P: 事業による影響は無い。 C: 土木工事により水象に微小な影響が出る可能性がある。 O: 切土、盛土により、水象に変化が出る可能性がある。工事後の水象を 考慮した、適切な排水機能の設置が必要である。 地下水 D D D/ P: 事業による影響は無い。 B- C: 本事業では地下水の利用を想定しておらず、影響も無いと考えられ る。今後、バイパス等でトンネルを建設する場合には、地下水への影響 を調査し、適切な対応をとる必要がある。 O: 本事業による影響は無い。

12-3 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

スコーピング結果 工事前 工事中 供用後 項目 評価理由 (O) (C) (P)

生態系/生 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 物相/生物 C: 本事業は既存の道路の拡幅であり、原生林や希少な生態系には影響し 多様性 ないが、拡幅により山岳地帯の生態系および地域の森林や焼畑、プラン テーション等への影響がある。 O: 交通量の増加により、長期的には現地の生態系や森林へ悪影響がある と考えられる。 保護区/森 D B- B- P: 保全林を通過する国道 62 号(メガラヤ州)を除き、本調査の対象路線 林 は国立公園や保護林を横断または隣接しない。 C: 工事により、路肩の植生および土捨て場の森林が伐採される。 O: 交通量の増加により、長期的には路線近隣の生態系や森林へ悪影響が あると考えられる。 沿岸域 D D D P/C/O: 対象路線は沿岸部から離れており、沿岸部への影響は無い。 景観 D D B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中の影響は小さく、また短期的である。拡幅の際には、景観 が優れた所に展望台を建設するなど、北東州の観光資源を強化すること も検討されるべきである。 O: 交通網の改善により、北東州の観光地や景勝地へのアクセスが容易に なり、結果、地域の観光が活性化することが期待される。 自然災害 D B- B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 対象路線の多くの場所で地滑りが発生しており、工事期間中の事故を 防ぐために適切な対策が必要である。雨季の工事はリスクが大きいの で、避けるべきである。 O: 斜面対策と適切な排水機構の設置により、災害リスクは大きく減少す ると考えられる。 生活環境 大気質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機械や車輌による大気汚染が発生する。特に、乾季の土木工事 で粉塵が発生する。 O: 交通量の増加に伴い、大気汚染も増えると考えられる。 悪臭 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 水質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 土木工事による濁水、橋梁の橋桁工事、また建設キャンプからの排水 等による水質汚染が発生する。 O: 道路利用者やメンテナンス作業で発生する排水による影響がある。 底質 D D D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中、セメントや砂などが、雨により河川に流出するが、河川 底質への影響はほとんど無いと考えられる。 O: 道路のメンテナンス作業により多少の排水が発生するが、河川底質へ の影響はほとんど無い。 土壌汚染 D C- D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事現場由来の土壌汚染リスクは低い。また、対象地域には大きな産 業はなく、既存の土壌が汚染されているとは考えにくい。 O: 本事業による影響は無い。 地盤沈下 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 騒音/振動 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機材や車輌による騒音が発生するが影響は短期的である。工事 のスケジュールをたてる際には、学校や病院、宗教施設等の位置やイベ ント等に配慮が必要である。 O: 交通量の増加により、沿道の騒音は増加する。学校等、配慮を要する 施設の近隣では、追加的な防音対策が必要となる可能性がある。 日照阻害 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。

12-4 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

スコーピング結果 工事前 工事中 供用後 項目 評価理由 (O) (C) (P)

廃棄物/有 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 害物質 C: 工事キャンプからの廃棄物が発生する。既存のカルバート等を交換す る際にも廃棄物が発生するため、現地法に則り適切に処理する必要があ る。 O: 道路の利用者から、またメンテナンス業務で廃棄物が発生する。 社会環境 非自発的 A- A- A- P: 本事業により大規模な住民移転が発生する。特に、道路の両側に住居 住民移転 などの構造物が連続する住宅密集地域で拡幅を行う場合に影響が大き い。住民移転を最小化することを優先した設計が望ましい。 C: 工事用のヤードや建設キャンプのために短期的な移転が発生する可能 性がある。また、移転した住民と、ホストコミュニティの間でトラブル が発生する可能性がある。 O: 移転した住民と、ホストコミュニティの間で、文化的あるいは社会的 なトラブルが発生する可能性がある。 土地利用 A- A- A- P: 用地買収および住民移転により、既存の土地利用が改変される。 C: 事業は既存道路に沿って実施されるため、建設工事に伴う土地利用の 改変は小規模であり、また工事用ヤード等の確保のために必要な土地利 用の変化は短期的なものである。 O: 交通量の増加およびアクセスの向上により、地元住民の土地利用パタ ーンが変化する可能性がある。沿道での無秩序な焼畑が続けば、事業で 実施される斜面対策の有効性が失われ、地滑りや土壌侵食のリスクが増 す。 地域資源利 D A- A- P: 本事業による影響は無い。 用 C: 砂や岩石などの現地で大量に調達した場合、現地での需要が逼迫する 可能性がある。 O: 交通網の改善により、物流が変化し、それが現地の資源利用パターン を変化させる可能性がある。 基本計画、 D D C+/ P/C: 本事業による影響は無い。 地域/都市 C- O: 交通網の改善は、外部からの住民の流入や経済発展をもたらす可能性 計画 がある。 社会組織や A- A- A- P: 用地買収や住民移転により、コミュニティ内の人間関係などの社会資 地域の意思 本等が影響を受けると考えられる。 決定組織 C: 移転住民や労働者の流入により、コミュニティ内の人間関係などの社 会資本等が影響を受けると考えられる。 O: 移転住民や外部からの住民の流入により、コミュニティ内の人間関係 などの社会資本等が影響を受けると考えられる。 社会インフ A- A- A- P: 公民館などの施設が影響を受ける可能性がある。 ラや社会サ C: 工事やそれに伴う渋滞により、社会インフラやサービスへのアクセス ービス が阻害される。 O: 住民移転により、社会インフラやサービスへのアクセスが長期に渡り 阻害される可能性があるが、長期的には、交通網の改善はこうしたサー ビスへのアクセス向上をもたらす。 地域経済と A- A- A- P: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が発生する。 生活・生計 C: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が発生する。 一方、建設 工事は現地に雇用を生み、地元経済に正の影響をもたらす。 O: 交通網の改善による外部からの物やサービスの流入により既存のビジ ネスが圧迫されるなどの副次的な影響が発生する可能性がある。長期的 には、交通網の改善は地域経済に正の影響をもたらすが、工事終了直後 には雇用の喪失などにより短期的な悪影響が発生する可能性がある。

12-5 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

スコーピング結果 工事前 工事中 供用後 項目 評価理由 (O) (C) (P)

被害と便益 A- A- A- P: 用地取得、住民移転の対象となった住民と、そうでない住民で、事業 の偏在 による影響および裨益の度合いが大きく異なる。 C: 移転対象となる住民が大きく影響を受ける一方、近隣の住民は建設工 事による雇用機会の創出などにより便益を受ける可能性がある。 O: 拡幅により、国道沿いとそうでない場所の経済格差が広がる可能性が ある。 地域内の利 A- A- A- P/C/O: 費用と便益の偏在は、集落内での利害対立を生む恐れがある。 害対立 水利用、水 C- C- D P: 住民移転により、水利用および水利権が影響を受ける可能性がある 利権及び共 が、対象路線での農業は天水が主であり、影響は限定的と考えられる。 同体の権利 C: 建設工事による水利用や権利へのアクセスの阻害は短期的かつ小規模 なものであるが、影響を避けるため、集落での水利用や水の分配の仕組 みに配慮が必要である。 O: 本事業による影響は無い。 文化的・歴 C- C- D P: 対象路線沿いには、重要な文化的、歴史的遺産はないが、拡幅により 史的遺産 道路沿いの記念碑等が影響を受ける。 C: 拡幅工事により、道路沿いの記念碑などが影響を受ける。 O: 事業による影響は無い。 宗教施設 A- A- A- P: 道路沿い記念碑や墓などが影響を受けるが、その規模は拡幅幅によ る。拡幅の規模によっては、集落にある小規模な宗教施設も影響を受け る可能性がある。 C/O: 道路沿いの宗教施設は、工事中の騒音や振動、また渋滞の影響を受 ける。 配慮を要す A- A- A- P: 集落内でも拡幅が実施される場合、公民館などの施設が影響を受ける る施設(例: 可能性がある。 病院、学 C: 道路沿いの学校や病院等が、工事中の騒音や振動、また渋滞の影響を 校、,精密 受ける。 機械工場) O: 交通量が増えると、配慮を要する施設での騒音被害が発生する可能性 がある。また、渋滞によりアクセスが阻害される恐れがある。 貧困層 A- A- A- P: 貧困層の脆弱性を考慮し、適切な緩和策を策定する必要がある。 C: 事業による雇用機会は貧困層に雇用機会を創出するが、技能や対応力 の不足により、貧困層はより大きな負の影響を受ける恐れがある。 P: 長期的には、事業による経済効果で貧困層にも正の影響があると考え られるが、技能や能力の不足により、拡幅事業による便益を十分に受け られない可能性がある。 少数民族/ A- A- A- P/C/O: 北東州には多様な民族、部族(指定部族:ST)が居住しており、 先住民族 言語や文化も多様である。住民移転計画および生計回復案の策定にあた っては、文化、社会的な多様性に配慮することが必要である。 ジェンダー D C- B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 建設工事の際の男女に雇用機会の均等に配慮すると同時に、ジェンダ ーに由来する衝突が起きないよう現地の文化的、社会的な規範に配慮す る。 O: 道路の拡幅、改善により、水や薪を運ぶ役割を担う女性や女の子の作 業負担が軽減されることが期待される。 子どもの権 D D D P: 本事業による影響は無い。 利 C/O:児童労働はインド国憲法で禁止されている。本事業では大人のみを 雇用して建設工事を行う。 公衆衛生 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 (伝染病) C: 作業員が外部から流入することによる健康リスク、特に性感染症のリ スクの増大が予想される。マラリアが発生している地域で工事を行う際 には、マラリア対策も必要である。 O: 交通量の増加は、沿道住民の健康に負の影響をもたらす。 12-6 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

スコーピング結果 工事前 工事中 供用後 項目 評価理由 (O) (C) (P)

労働安全衛 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 生 C: 工事現場の衛生、労働者の健康や安全は、環境管理計画の実施を通じ て適切に管理される必要がある。 O: メンテナンスや補修作業を担当する作業員の衛生や安全にも配慮が必 要である。 その他 事故 D B- C+/ P: 本事業による影響は無い。 C- C: 重機や工事用車輌による交通事故リスクが増大する。 O: 交通量の増加および通行速度の上昇により事故リスクは増大する。一 方、交通安全標識やミラーの設置等の対策により、リスクは減少する。 気候変動 D B- B+/ P: 本事業による影響は無い。 B- C: 工事用機材や車輌からの GHG 排出が発生するが、影響は小さく、短期 的である。 O: 交通量の増加により、GHG 排出も増加する。長期的な気候変動の影響 (雨量、雨量強度の変化等)を考慮した斜面対策の実施等により、気候 変動に対するレジリエンスは増すと考えられる。 注:A-比較的重大な影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) B-ある程度の影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) C-この段階では影響の程度が不明なため、更なる調査が必要とされる(+:正の影響、-負の影響) D-影響は予想されない P-工事前、C-工事中、O-供用時 出典: 調査団 表 12.3-2 代替案のコンセプト No. コンセプト 内容

0 ゼロオプション 現在の道路や斜面状況がこのまま続く。劣悪な舗装状況により、排ガス量は (事業なし) 増え、健康被害また生態系への悪影響が増えると予想される。路肩での住居 建設等が秩序なく進めば、村落部での交通事故リスクも上昇する。脆弱な交 通インフラは、州経済の成長を妨げるボトルネックであり続け、また現在実 施されているカラダンプロジェクトの経済効果も減少する。

1 IRC 基準に沿って、 地形や社会経済状況にかかわらず、IRC 基準に沿って一律で拡幅を実施す 全線で一律に拡幅 る。拡幅による効果は非常に多いが、No.2 の案と比べると、住民移転の数 を実施 が増え、社会影響が非常に大きくなる。また、ヘアピンカーブの改良によ り、切土盛土の量も増え、森林伐採面積や工事費が増えることになる。拡幅 により通過交通の速度が増せば、交通事故、特に村落部での交通事故リスク も増えると予想される。

2 社会影響を考慮 社会影響を考慮し、住宅密集地域では拡幅は限定的なものに留める。No.1 し、一部は限定拡 の比べ、拡幅による交通インフラ改善効果はやや限定的なものになるが、住 幅に留める 民移転の規模を最小限にするという観点からはこちらの案の方が望ましいと 考えられる。

3 人口密集地域では 住宅密集地では、住民移転を避けるために新規にバイパスを建設する。No.2 バイパス新設 案と比べても移転規模は小さくなるが、一方で新規のバイパス建設にともな い森林や農地に大きな影響が出る。長期的な交通需要の増加を考慮すれば、 バイパスに優位性があるが、環境影響や経済面での実現可能性を慎重に検討 する必要がある。 出典: 調査団

12-7 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.4 環境社会面での対象路線スクリーング

12.4.1 気候 北東州地域は急峻な地形が多く、近い場所でも気候に大きな違いがある場所がある。国道 40 号で特に顕著であり、区間の大きな高低差が気候の違いにつながっている。アッサム州の平野部 やトリプラ州、ミゾラム州西部では、1 月の平均気温は 15℃程度であるが、その他の地域ではお よそ 10〜15℃である。ミゾラムの高原地域およびメガラヤ州のシロン(国道 40 号の対象区間の 起点)を除き、気温は 4 月から 7 月にかけて上昇し、平均気温は 25〜27.5℃程度となる。山間部 の 10 月の平均気温は 20〜25℃であるが、アッサム州の平野部やトリプラ州、ミゾラム州の一部 では 25℃を超える。例年、およそ 5 月から 10 月、11 月まで、雨量の多い雨季が続くのも北東州 の気候の特徴である。北東州は世界でも多雨地域であり、特にメガラヤ州の East Khasi Hills 地区 のマウシンラムは、平均の年間雨量が世界で一番多い(11,872mm)。以下に、対象地域の雨量お よび最高気温、最低気温を示す。

アイゾール (国道 54 号), ミゾラム州 マニュ (NH44), トリプラ州 40.0 800

30.0 600

20.0 400

10.0 200

0.0 0 Jan Mar May Jul Sep Nov Total Rainfall (mm)

トゥーラ (NH51), メガラヤ州 シロン (NH40), メガラヤ州

35.0 700 30.0 600 25.0 500 20.0 400 15.0 300 10.0 200 5.0 100 0.0 0 Jan Mar May Jul Sep Nov

ダル 4 (NH51, NH62), メガラヤ州 ウクフル (NH102A), マニプール州

4 ダルのデータが無いため、およそ 50km 離れたサウスガロヒル地区、バグマラのデータを近似値として採用し た。 12-8 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

35.0 700 40 700 30.0 600 35 600 25.0 500 30 500 25 20.0 400 400 20 300 15.0 300 15 10.0 200 10 200 5 100 5.0 100 0 0 0.0 0 Jan Mar May Jul Sep Nov Jan Mar May Jul Sep Nov Total Rainfall (mm) Total Rainfall (mm)

インパール (NH39, NH53), マニプール州 コヒマ (NH39), ナガランド州

35.0 700 35.0 700 30.0 600 30.0 600 25.0 500 25.0 500 20.0 400 20.0 400 15.0 300 15.0 300 10.0 200 10.0 200 5.0 100 5.0 100 0.0 0 0.0 0 Jan Mar May Jul Sep Nov Jan Mar May Jul Sep Nov Total Rainfall (mm) Total Rainfall (mm) Daily Max. (degree C) Daily Max. (degree C) 出典: インド気象局を元に調査団作成 図 12.4-1 対象地域の月雨量および日最高/最低気温 5

12.4.2 森林および生態系 北東州は、世界でも生物多様性が豊かな場所として知られる。また、地域内でも地形や気候の 違いにより、多様な生態系が存在する。過去 30 年間、同地域の自然を守るため、様々な試みが 国の、あるいは多国間の保全機関によってなされてきた。世界自然基金(WWF)は、ヒマラヤ 東部全域を保全優先度が高いグローバル 200 エコレジオンと位置づけている。コンサベーショ ン・インターナショナルは、東ヒマラヤホットスポットを拡大し、北東州全てとブータン、中国 南部、ミャンマーを含む地域をインドービルマホットスポットと認定している。インド農業研究 委員会(Indian Council of Agricultural Research)は、北東州を稲の遺伝資源の中心地域とみなして おり、また国立植物遺伝子資源事務局(National Bureau of Plant Genetic Resources)は、同地域が 作物の遺伝多様性が豊かな場所であるとしている。北東州の森林には、顕花植物 15,000 種のうち 8,000 種が存在している。対象地域 6 州における植物の多様性を以下に示す。

5 シロン(2005 年)を除き、データは 2012-13 年のもの。 12-9 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.4-1 調査対象地域の植物種の多様性 No. 州 種数(顕花植物) 1 ミゾラム 2,200

2 メガラヤ 3,500

3 マニプール 2,500

4 ナガランド 2,250

5 トリプラ 1,600

6 アッサム 3,010 出典: Review of Biodiversity in North East India, WWF-India, 2006

下表に示すように、国立公園および野生生物保護区を横断あるいは隣接するような対象路線は ない。一方、国道 62 号は、4 つの保護林を通過し、また国道 40 号は対象区間の起点であるシロ ンから数キロの区間で、Upper Shillong 保護林と隣接している。62 号には、象の通り道(elephant crossing)と認定されている場所もある。62 号、40 号ともに、今回の優先区間として選ばれては いないが、今後、同区間が事業対象となった場合、保護林や生態系への悪影響を避けるために適 切な環境配慮が必要となる。以下、各州の森林および保護区の状況を概述する。

表 12.4-2 対象路線と国立公園、保護区の関係 国立公園、保護区 保護林 対象路線 No. を横断・隣接 を横断・隣接 ① ミゾラム州 Aizawl~Tuipang 間の国道 54 号 No No ② メガラヤ州 Dudhanal~Dalu 間の国道 62 号 No Yes ③ メガラヤ州 Tura~Dalu 間の国道 51 号 No No ④ メガラヤ州 Shillong~Dawki 間の国道 40 号 No Yes ⑤ マニプール州 Imphal~Jiribam 間の国道 53 号 No No マニプール州 ~ナガランド州 間の ⑥ Imphal Kohima No No 国道 39 号 ⑦ マニプール州 Ukhrul~Tadubi 間の国道 102A 号 No No ⑧ トリプラ州 Manu~Simlung 間の国道 44 号 No No ⑨ アッサム州 Silchar 近郊の Badarpurghat 橋 No No ⑩ アッサム州 Tezpur 近郊の koliabhomora 橋 No No 出典: 調査団

12-10 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.4-3 調査対象州の国立公園および野生動物保護区 名称 設定年 面積(km2) 地区 名称 設定年 面積(km2) 地区 ミゾラム州 6 アッサム州 Murlen NP 1991 100.0 Champhai Dibru-Saikhowa NP 1999 340.0 Tinsukia,Dibrugarh Phawngpui NP 1992 50.0 Saiha Kaziranga NP 1974 859.0 Golaghat,Nagaon Dampa WLS 1985 500.0 Mamit Manas NP 1990 500.0 Barpeta,Bongaigaon Khawnglung WLS 1992 35.0 Lunglei, Serchhip Nameri NP 1998 200.0 Sonitpur Lengteng WLS 1999 60.0 Champhai Orang NP 1998 78.8 Darrang,Sonitpur Ngengpui WLS 1991 110.0 Lawngtlai Amchang WLS 2004 78.6 Kamrup Pualreng WLS 2004 50.0 Kolasib, Aizawl, Champhai Barail WLS 2004 326.3 Barak Valley Tawi WLS 2001 35.8 Aizawl, Serchhip Barnadi WLS 1980 26.2 Darrang Thorangtlang WLS 2002 50.0 Lunglei Bherjan-Borajan-Podumoni WLS 1999 7.2 Tinsukia メガラヤ州 Burachapori WLS 1995 44.1 Sonitpur Balphakram NP 1985 220.0 South Garo Hills Chakrashila WLS 1994 45.6 Dhubri Nokrek Ridge NP 1986 47.5 East, West & South Garo Hills Dihing Patkai WLS 2004 111.2 Dibrugarh, Tinsukia Baghmara Pitcher Plant WLS 1984 0.0 South Garo Hills East Karbi Anglong WLS 2000 221.8 Karbi-Anglong Nongkhyllem WLS 1981 29.0 Ri Bhoi Garampani WLS 1952 6.1 Karbi-Anglong Siju WLS 1979 5.2 South Garo Hills Gibbon WLS 1997 21.0 Jorhat トリプラ州 North Karbi Anglong WLS 2000 96.0 Karbi-Anglong Clouded Leopard NP 2007 5.1 West Tripura Laokhowa WLS 1972 70.1 Nagaon Gumti WLS 1988 389.5 South Tripura Marat Longri WLS 2003 451.0 Karbi-Anglong Rowa WLS 1988 0.9 North Tripura Nambor WLS 2000 37.0 Karbi-Anglong Sepahijala WLS 1987 13.5 West Tripura Nambor Doigrung WLS 2003 97.2 Karbi-Anglong Trishna WLS 1988 194.7 South Tripura Pabitora WLS 1987 38.8 Marigaon ナガランド州 Pani-Dihing WLS 1995 33.9 Sibsagar Intanki NP 1993 202.2 Dimapur Sonai-Rupai WLS 1998 220.0 Sonitpur Fakim WLS 1980 6.4 Tuensang マニプール州 Puliebadze WLS 1980 9.2 Kohima Keibul-Lamjao NP 1977 40.0 Bishnupur Rangapahar WLS 1986 4.7 Dimapur Yangoupokpi-Lokchao WLS 1989 184.4 Chandel 注: NP=国立公園, WLS=野生動物保護区(Wildlife Sanctuary) 出典: National Wildlife Database Cell

6 National Wildelife Database Cell のデータが更新されていないが、次頁の図に示すとおり、現在のミゾラム州の保護区は 10 箇所である。事業が保護区に影響しないという結 論には変更はない。 12-11

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

ミゾラム州(54 号) ミゾラム州には、合計 10 の国立公園、野生動物保護区、虎保護区がある。下図に示す通り、 対象路線はそれらを横断または隣接しない。また、国の定める保護林も影響を受けない。

NH54

出典: ミゾラム州環境森林局 図 12.4-2 ミゾラム州の保護区

2011 年の調査によれば、ミゾラムの森林面積は 1,594,000 ヘクタールである。これはインドで 3 番目であり、また州面積に占める森林の割合(90.68%7)はインド最大である。熱帯半常緑雨 林、熱帯落葉雨林、亜熱帯広葉樹林、松林などが分布している。竹林も多く、他の樹相と混在 しながら州内広域に広がっており、州面積のおよそ 44%、9,245km2 が竹林である。森林部での焼 畑農業が伝統的な農法であり、森林面積減少の要因となっているが、焼畑から定住農業やパイ

7 79.3% であるとする別の推計もある。 12-12

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ナップルやバナナのプランテーションへの転換を推進する州政府方針もあり、焼畑面積は減少 傾向にある。山がちな地形であり、州内の非森林地域で農業や商工業に適した土地は 17%しか ない。 メガラヤ州(51, 40, 62 号) メガラヤ州の森林は、北東州の亜熱帯広葉樹林からなるエコレジオンの一部を構成する。こ のエコレジオンの総面積は 41,700km2 であり、同州の丘陵部から隣接するアッサム州を含む。エ コレジオンは、インドの中でも生物種が多様な場所であり、特に鳥類や哺乳類、植物種が多様 である。メガラヤ州は世界でも有数の多雨地域であり、マウシンラムやチランプンジでは、年 間雨量が 11,000mm を超える。2011 年の森林調査では、州内の森林面積は 9,496km2 であり、これ は州面積の 42.3%に相当する。そのうち、保全林が 11.7%、保護林が 0.13%となっている。国道 51 号沿いには、アカシアやゴム、カシューナッツのプランテーションが見られる一方、62 号沿 いのプランテーションはカシューが多い。ダル近郊は、水田や森林、カシューのプランテーシ ョンが混在する地域となっている。先述したように、62 号は 4 つの保全林を通過し、また 40 号 はシロン近郊で保護林と隣接する。同州内の他の国立公園や保全林と対象路線との関係を下図 に示す。

NH51 NH40

NH62

出典: メガラヤ州環境森林局 図 12.4-3 メガラヤ州の保護区

マニプール州、ナガランド州(国道 39, 53, 102A 号) 地形的に、マニプール州は丘陵地域(5 地区)と平原地域(4 地区)に大きく二分される。平 原地域の海抜は平均 872m であり、亜熱帯の温暖な気候もあり、州でも有数の稲作地帯となって いる。同じく亜熱帯地域である丘陵部の海抜は、平均 3,000m である。 マニプール州でも焼畑農業が広く行われており、83,000 以上の世帯が焼畑農業に従事している と推定されている。広大な竹林が広がり焼畑が用意な Tamenglong 地区では、焼畑農業が特に盛 んである。環境負荷の少ない改良型の焼畑農業が Chandel 地区の部族によって実施されているが、

12-13

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これは農地の希少性やテラス栽培を実施するための資材の不足という要因から生まれたもので ある。 様々な種類の葦や竹などの自然の植生が 14,365 km² を占めるが、これは州面積の 64%に相当す る。州内の森林は、大きく熱帯半常緑林、乾燥温帯林、亜熱帯松林、熱帯湿潤落葉樹林の 4 種に 分類される。以下に、州内の国立公園および野生生物保護区の場所を示す。州内の 3 つの対象路 線は、これらを横断または隣接しない。

号線

号線

出典: 調査団 図 12.4-4 マニプール州の保護区

トリプラ州(国道 44 号) トリプラ州の森林は熱帯常緑樹林、半常緑樹林、湿潤落葉樹林が主である。トリプラ州では、 焼畑農業と定住農業が行われている。焼畑農業は丘陵部で特に盛んであり、丘陵部の人口の多 くが焼畑で生計をたてている。農業省による推計 8によれば、焼畑の面積は 223km2 である。部民 族省の調査(1990)によれば、トリプラで焼畑を実施している部族は 55,000 世帯である。定住 農業については、稲、豆類、菜種などが主要作物であり、耕作面積の 55%が稲作、21%が果物や 野菜、10%がゴム、9%が茶となっている。カリフ(モンスーン)期の主要作物は米、とうもろ こし、豆類、セサミ、麻、綿花などで、ラビ(乾季)期には米や小麦、平豆、ポテトなどであ る。国道 44 号沿いは主に森林(チーク)であり、一部に茶やオレンジの果樹園がある。以下に、 トリプラ州の国立公園や保護区の位置を示す。

8 Task Force on Shifting Cultivation, Ministry of Agriculture (1983) 12-14

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 12.4-5 トリプラ州の保護区

アッサム州(Dhubri Bridge、Badarpurghat Bridge) アッサム州の国立公園、野生生物保護区、保全林の位置を以下図に示す。同州の対象路線で ある 2 つの橋梁は、これらに影響しない位置にある。

出典: 調査団 図 12.4-6 アッサムの保護区

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12.4.3 民族構成 ミゾラム州(54 号) ミゾラム州の主要民族をミゾ族と呼称するが、ミゾは現地語で「人」と「丘」を意味する。 すなわち、ミゾとは、文字通り丘に住む人との意味である。ミゾ族には主要な部族が 5 つ (Lushai, Ralte, Hmar, Paite, Pawi)あり、この他、11 の少数部族がある。この中で最も人数が多 いのが Lushai であり、文化、言語面で他のミゾ部族に影響を与えている。国道 54 号の対象区域 沿いには、主に Lushai、Pawi (Lai)、Mara (Lakher) 族が住む。 ミゾラム州の公用語はミゾ語であるが、教育や行政の場では英語も広く使われている。 Duhlian (Lusei) 方言が、ミゾラムで最初に使われた言語であり、これが発展してミゾ語となった。 ミゾの諸部族は、それぞれ固有の方言を話すが、共通語であるミゾ語ないしは英語での意思疎 通は可能である。ミゾ族は、古来文字を持たず、ミゾラムで文字が使われるようになったのは、 英国の宣教師が訪れて以降である。しかし、今日のミゾラム州はインドの中でも識字率が高い 地域であり、109 万 7206 人の人口(2011 年統計)の識字率は 91%である。主要な宗教はキリス ト教であり、90%近くが信仰している。他に仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、シーク教などが あり、また Lalchhungkua や Lalhnamと呼ばれる土着信仰も一部に残っている。また、伝統的なミ ゾの土着信仰を現代化しようとする試みもあり、それは Hnam sakhua と呼ばれる。

メガラヤ州(51, 40, 62 号) ミゾラムと同様、メガラヤ州でもキリスト教が主要な宗教であり、人口のおよそ 70%がキリ スト教徒である。中でも、長老派とカトリックの信者が多い。ガロ族の 90%、またカシ族の 80% がキリスト教徒であり、一方でハジョン族やコッホ族などは、そのほとんどがヒンドゥー教徒 である。ガロ族の中には、Songsarek と呼ばれる土着信仰を信じる者もいるが、その数は非常に 少ない。また、少数派ではあるが、ヒンドゥー教や仏教を信仰するガロ族もいる。カシ族の土 着信仰は Niam Shnong あるいは Niamtre と呼ばれる。メガラヤ州に住むクキーチン族は主にキリ スト教徒であり、ラバ族はヒンドゥー教徒である。 国道 51 号および 62 号は、ウェスト・ガロ・ヒル(West Garo Hills)地区を通る。同地区の中 心はトゥーラであるが、同市は政府による後進地域支援基金(Backward Regions Grant Fund Programme)の助成を受けている。その後サウス・ウェスト・ガロ・ヒル地区が分離した後、現 在のウェスト・ガロ・ヒル地区は 6 つのブロックに分けられている。それぞれ、Dadenggiri, Dalu, Gambegre, Rongram, Selsella, Tikrikilla である。 名前が示す通り、住民の大多数はガロ族であるが、トゥーラにはガロ族の他、ベンガル族、 ネパール系、アッサム系など様々な人種が住む。ウェスト・ガロ・ヒル地区では、ガロ語、英 語、カシ語、アトン語、ヒンディー語などが使われている。 国道 51 号の対象区間は全てウェスト・ガロ・ヒル地区内であるが、国道 62 号の対象区間、こ の他、イースト・ガロ・ヒル地区およびサウス・ガロ・ヒル地区を通過する。1976 年に創設さ れたイースト・ガロ・ヒル地区の面積は 2,603km2 であり、5 ブロック(Dambo Rongjeng, Kharkutta, Resubelpara, Samanda, Songsak)からなる。人口の大半はガロ族であるが、他の部族と して、ハジョン族、ラバ族、コッホ族、ラジバンシス族などがいる他、アッサム系やネパール 系の住民、ベンガル族も居住している。主要言語はガロ語と英語であるが、ヒンディー語も使 われている。サウス・ガロ・ヒル地区の面積は 1,850km2であり、4ブロック(Baghmara, Chokpot, Gasuapara , Rongara)で構成される。他のガロ・ヒル地区と同様、ガロ語が主要言語であるが、 英語とヒンディー語も使われている。 メガラヤ州の州都であるシロンは、カシ地区の中心都市であり、また国道 40 号の対象区間の 起点である。同地区の住民の多くはカシ族であるが、同地区、特にシロンには、北東州で見ら れる全ての民族が居住する。地区の公用語はカシ語であるが、英語も広く使われている他、ヒ ンディー語やアッサム語、ネパール語なども使われている。国道 40 号は、カシ地区の他、バン グラデシュ国境付近でジャンティア・ヒル地区を通過するが、同地区には Pnar 族(Synteng もし 12-16

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くは Jaintia とも呼称される)が居住する他、Hmar やベンガル族、アッサム系やネパール系の住 民がいる。ジャンティア語の方言である Pnar 語が主に使われているが、War Jaintia や Hmar など の言語も少数の部族によって使われている。

マニプール州、ナガランド州(国道 39, 53, 102A 号) 2011 年の人口統計によれば、マニプール州の人口は 272 万人である。マニプール州には合計 29 の指定部族(ST)が登録されており、その中でメイテイ族が最大の民族グループである。指 定部族の人口は、全体の 35.1%となっているが、そのほとんど、指定部族人口の 95%以上が農村 地域に居住している。特に、Ukhrul (国道 102A 号), Tamenglong (国道 53 号), 、 Chandel 地区では人口の 90%以上が指定部族である。 マニプールの平野部、特にそこに住むメイテイ族の間では、Sanamahi(家庭の女神)信仰が未 だに根強いが、山間部ではキリスト教徒の方が多い。また、メイテイ族やカブイ族などの部族 では、未だに土着の神が信仰されている。メイテイ族の信仰では、Atiya Sidaba(空の神)、 Sanamahi(家庭の女神)、Pakhangba(この神から、現存する全ての部族が生まれたとされる)の 他に、108 の神が存在するとされる。今日では、こうしたメイテイ族の伝統信仰はヒンドゥー教 と混ざり合い、メイテイとヒンドゥーのハイブリッドともいえる教義を生んでいるが、これは ヒンドゥー教の「メイテイ化」と称される。 ナガランド州の首都、コヒマ(国道 39 号)には、アンガミ・ナガ族が住む。コヒマは、現地 語では Kewhima あるいは Kewhira と称されるが、これを英国人が発音できなかったためコヒマ と呼ばれるようになった。この名前は、現地の山間部の顕花植物、Kewhi に由来する。2011 年の 人口統計では、コヒマの人口は 9 万 9,039 人で、ナガランドの 16 部族が在住するが、中でもアン ガミ族およびアオ族の人口が多い。コヒマの公用語は英語であるが、各部族の言葉、方言も広 く使用されている。

トリプラ州(国道 44 号) トリプラ州には、合計 19 の指定部族が登録されている。彼らは、大別してアブ系の先住民と 移民に分類される。先住部族には Tripuri, Reang, Jamatia, Noatia, Lushai, Uchai, Chaimal, Halam, Kukis, Garos, Mog, Chakma などいる。移民部族には、Bill, Munda, Orang, Santal, Lepcha, Khasia, Bhutias がいるが、彼らは経済的な理由で後になってからトリプラへ移住してきたグループとさ れる。トリプリ族(トリプラ族、チプラス族とも呼ばれる)がトリプラの原住民であり、州名 の由来ともなっている。 トリプリ族人口は、州全体の 16%であり、また州の指定部族人口の 57%である。国道 44 号は、 Dhalai および North Tripura 地区を通過する。North Tripura 地区には、ミゾラムにも居住する Chakmas 族の他、Koloi, Tripuri, Halam 族などが住む。 2011 年の人口統計によれば、トリプラ州の人口はおよそ 367 万人であり、識字率は 87.8%であ る。ベンガル語およびトリプラ語が州の公用語であるが、北東州の他地域と同様、英語も公的 に使用されている。また、各部族は独自の言葉を持っている。バングラデシュに近いという地 理的な理由から、トリプリ族の多くはヒンドゥー教徒である。この他、イスラム教、キリスト 教、仏教も信仰されている。

アッサム州(およびメガラヤの一部) ドブリ地区は、アッサム州の中でムスリム人口が多数を占める地区の一つであり、人口の 75%がイスラム教徒である。ドブリの名前は、Chand Sadagarの物語に由来する。この物語の主要 登場人物である Netai Dhubuni が、ブラマプトラ川のほとりの大きな石で自分の服を洗濯してい たという逸話があり、その場所が Netai Dhubunir Ghat と呼ばれるようになった。 現在のドブリ地区は、1983 年 7 月 1 日に Goalpara 地区から分離する形で誕生した。ドブリ地区 の面積は 2,838km2 であり、2011 年の人口統計によれば、人口は 194 万 8,632 人である。インドの 12-17

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中でも人口密度が高い地区であり、1km2 あたりの人口は 584 人である。ドブリ地区では主に Goalpariya 語とベンガル語が話されているが、公用語はアッサム語である。同地区の住民の多く はデシ族(Goalpariya Assamese)であり、ベンガル族人口が 50%を超えるのはドブリ市だけであ る。 プルバリは、メガラヤ州ウェスト・ガロ・ヒル地区に位置する。プルバリは、同地区で最も 北西、メガラヤ州とアッサム州を隔てるブラマプトラ川のほとりの街で、交通の要衝として発 展してきた。およそ 22.km 離れたドブリ側へと渡るフェリー乗り場がある。プルバリのある地域 では、英語、カシ語、ガロ語などが話されている。住民の多くはガロ族、ベンガル族、アッサ ム系、ネパール系であるが、他にもハジョン族やラバ族、コッホ族、ボド族といった様々な民 族が居住している。

12.4.4 現地固有の天然資源管理手法 北東州で最も一般的なのは焼畑農業であり、現地の地形や森林を利用した、様々な焼畑農法 が行われている。焼畑農業を減らそうという近年の政府の試み(例えば、ミゾラムで実施され ている新土地利用政策)もあるが、焼畑農業は現在でも現地での重要な土地利用形態であり、 現地住民の生計ならびに、土着の文化や社会構造の維持に寄与している。焼畑による森林破壊 が問題視されるようになった原因の一つは、人口増加であるが、こうした声に答え、農法を改 良したり、また作物を多様化したりするなどの試みが行われている。焼畑は伝統的な農法であ るが、決して画一的なものではなく、周囲の環境や社会状況に応じて柔軟に変化していくもの といえる。対象路線がある地域で見られる特徴的な農法を以下に概述する。 メガラヤ州のカシ族(国道 40 号)は、丘陵の斜面を利用したテラス農法で稲作を行っている。 天水だけでなく、竹などを上手く利用した灌漑の仕組みが構築されており、水は竹を伝って農 地に流れる仕組みになっている。稲作は通常雨季に行われるが、以下の写真に示すように、乾 季にはこうした農地が魚の養殖に使われることもある。

出典: 調査団 図 12.4-7 国道 40 号沿いの養殖場

同じくメガラヤ州のジャンティア・ヒルでは、竹を使ったドリップ灌漑農法が行われている。 これは、低コストで、かつ現地ですぐに手に入る素材を使った灌漑システムといえる。木でで きた支柱に竹で作った配管を伝わらせ、そこから水を流すことで、貴重な水が無駄にならない ような仕組みである。この他にも、北東州では、現地の環境にあわせた様々な水や土地管理手 法が利用されているが、その概要を下表にまとめる。

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表 12.4-4 対象地域における伝統的な農法 農法 利点 欠点 場所 ベンチテラス農法  土と水の流出防止  最初の 2-3 年は生産性が低 NH39 (ナガ  テラスで土砂を留めること い ランド州) , で、土壌侵食の軽減  適切なテラス建設には労力、 NH62 費用および技能が必要 等高線耕作  土壌侵食の軽減  やり方を間違えると、逆に土 NH39,  栄養素の流出を軽減 壌侵食リスクが増す NH44, アッ  メンテナンスに多大な労力が サム州 必要 被覆作物  土壌の肥沃度を改善  多年生植物と競合する可能 NH51, 62,  土壌侵食および水の流出を 性 40, 54, 44 提言  追加的な労働力および資本  土壌の保湿性の向上 投入が必要  雑草が発生する恐れ 低木/生け垣  土壌侵食の提言  農地として使える土地が少な NH54, 39  肥沃度および保湿性の向上 くなる  若木に影を提供  低木が作物への日照を阻  飼葉や薪、建設資材の原料 害、栄養素等が競合 となる  生け垣が害虫を呼びこむ恐 れ 畝テラス農法  適度な斜面で土壌侵食を管  ベンチテラスと比べ、土壌侵 北東州全域 理 食を低減する効果は小さい  比較的低労力で実現可能  メンテナンスが必要  土壌への影響が少ない 承水路  流水から農地を守る  大雨時に水路が溢れるリスク 北東州全域  水路の侵食を管理  土壌侵食の防止には、砂防 ダムなどの補完施設が必要  継続的な修繕、沈泥の手入 れが必要 Drop structure  上流の水勢を管理し、土壌  建設には技能が必要 北東州全域 侵食を軽減  下流での土壌侵食リスクを軽 減 草生帯  土壌の侵食を管理  管理には労働力が必要 北東州全域  飼葉に転用可能  雑草が発生する恐れ 土のバリア/トラッ  水勢をコントロール  木製のバリアの耐用年数は 北東州全域 プ  バリアで沈殿を管理 通常 25 年程度  水路が拡大することを防止  建設には多大な労力が必要  大雨時の越流を防ぐため、 継続的なメンテナンスが必要 創水  生産性の向上  建設には労力が必要 北東州全域  環境負荷が低い  漏出や蒸発で効果が失われ  建設が容易 る恐れ  浮葉植物が貯水池に病原菌 を持ち込む恐れ 出典: The Anthropology of North-East India, edited by T.B. Subba and G.C. Ghosh

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12.4.5 スクリーニング時のステークホルダー協議 上記に加え、各路線の沿道の環境、社会経済状況を確認し、また事業への意見を収集するこ とを目的として、政府関係者や有識者を対象に協議を行った。環境関連の協議日程および内容 を以下に示す。優先路線(国道 54 号、51 号)の被影響住民を対象とした住民協議の内容につい ては、12 章 5.23 節および 6.23 節をそれぞれ参照のこと。

表 12.4-5 環境社会配慮関連のステークホルダー協議概要 日時 協議先 対象路線 内容 02/03/15 Mr Liandawla, Chief NH54  州内の国立公園、保護区等の位置および、 Conservator of 事業によりそれらに直接の影響がないこと Forests, Chief を確認 Wildlife Warden  山岳道路の事業における重要な環境配慮 Mizoram (土砂対策等)、過去の事例について協議 16/05/15 Mr. A. K. Srivasata, NH51, 62,  メガラヤ州に自生、また栽培されている薬 I.F.S. PCCF, & 40 用植物について、また現地住民の利用手法 Chairman, Meghalaya について情報収集 State Medicinal Plants Board 12/04/15 Mr. Tanmay All NE (with  北東州一般、特にメガラヤ州における伝統 Samajdar, Senior special 的農法について情報収集 Scientist, Krishi attention to  メガラヤ州、特に対象路線沿道における焼 Vigyan Kendra, ICAR NH51, 62, and 畑の現状について情報収集 Research Complex for 40) NE Hill Region. 16/05/15 Prof. (Dr.) Saroj K. All NE (with  北東州一般、特にメガラヤ州における伝統 Barik, HOD, Dept. of special 的農法について情報収集 Botany, North Eastern attention to  メガラヤ州、特に対象路線沿道における焼 Hill University, NH51, 62, and 畑の現状について情報収集 Shillong 40) 10/04/15 Mr. R. K. Marak, NH51, 62,  ガロ・ヒル地域におけるコミュニティ林の DFO, Social Forestry 現状、管理形態、また政府によって実施さ Department, MFS れているソーシャルフォレストリーの内容 について情報収集 16/05/15 Dr. M. Kit, HOD, NH51, 62,  メガラヤ州の環境全般について協議 Environmental 40  州内の象、特に、国道 62 号沿いに設置され Science, MLCU, ている「象の通り道」の状況について、情 Shillong 報収集 10/04/15 Chief Wild Warden, NH51, 62  ガロ・ヒル地域における国立公園、保護区 Tura, Meghalaya, 等の位置および、51 号の拡幅事業によりそ MFS, Tura れらに直接の影響がないことを確認  インフラ事業における環境配慮手法、特に 土壌侵食や地すべり対策について協議

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日時 協議先 対象路線 内容 03/07/15 Mr. N. Kalita, Dhubri  地域の渡り鳥や河川の生態系、橋梁工事に Executive Engineer, よる影響について協議 Water Resource Department, Dhubri 03/07/15 Mr. Khandakar Dhubri  渡し船で生計を立てている住民の生計、ま Mustafa, Secretary, た橋梁が新設されることによる影響につい Boat Association, て協議 Jogmaya Ghat, Dhubri 05/07/15 Mr. Pranjal Dhubri/  インフラ事業、特に橋梁事業における環境 Buragohain, Green Badarpurghat 社会配慮について協議 Tech. Environmental Engineers & Consultants, Guwahati, Assam 06/07/15 Superintending NH44  国道 44 号の路線状況および沿道の環境、森 Engineer, NH 林の状況について情報収集 Division, Agartala 出典:調査団

12.5 国道 54 号の EIA および RAP 調査

12.5.1 調査の背景 12.2.1 節で述べたように、インド国内法では、国道 54 号の拡幅事業における環境影響評価 (EIA)実施は必要とされない。しかし、本調査で円借款が活用される見込みであることから、 JICA ガイドラインに則り、EIA が実施され、報告書は州政府等の関連機関に共有された。本調 査で対象とするのは、下図に示す国道 54 号のアイゾールからトイパンまでのおよそ 381km であ る。既存道路の状況および拡幅事業の概要については、7 章を参照のこと。

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0km

55km

125km

250km

381km

出典: 調査団 図 12.5-1 国道 54 号既存道路の線形および現況

12.5.2 自然環境 気候 ミゾラム州は温暖な気候であり、夏の気温は 20℃から 29℃、冬の気温が 7℃から 22℃である。 モンスーン気候であり、5 月から 9 月までは大量の雨が降る一方、乾季にはほとんど雨が降らな い。湿潤熱帯から湿潤亜熱帯地域に位置しており、平均して年間 2540mm 程度の降水量がある。 州内でも降水量にばらつきがあり、州都アイゾールの年間降雨量はおよそ 2150mm、ルングレイ では 3500mm である。

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出典: 2014 年ミゾラム統計ハンドブック 図 12.5-2 アイゾール市の月雨量および最高・最低気温(2013-2014 年)

地形、地質、土壌 ミゾラム州は、インド東部の中でも特に変化に富んだ丘陵地形である。丘陵の斜面は急であ り、南北に流れる河川がそれらを隔てている。州東部は西部よりも標高が高い傾向があり、丘 陵部の海抜は平均して 900m。標高 2210m のブルーマウンテンが、州の最高峰である。 ミゾラム州の地質は、新第三紀の堆積岩層の反復的な連続によって形成され、粘土質の岩石、 特にシェールやシルト岩などが多い。こうした岩石は不浸透性が高いため、乾季には表土が乾 燥し、ラテライト化などが起きる。砂岩やシェール、シルト、粘土岩、粘板岩などが多い。ま た岩盤は緩く、地震などの影響を受けやすい。ミゾラム褶曲帯は、N-S 方向に軸が伸張し、縦方 向のプランジ面を持つ幅の狭い直線状の褶曲で構成される。褶曲の密度は西から、インドプレ ートがビルマプレートに沈み込む東に向かって上昇する。ミゾラム州に分布する片岩などの堆 積岩は、風化に対して非常に脆弱で、しばしば層理面に沿った崩壊や地すべりを引き起こして いる。砂の多いローム層から粘土質まで、土壌も様々であるが、多雨でありまた急斜面の地形 が多いことから、土壌の流出、侵食が多い。土壌は浸透性が高く、保湿性が低いが、これがミ ゾラム州の地下水の水位が低い主原因である。カリウムやリン、窒素などの含有量が少なく、 また何年にも渡って繰り返される焼畑農業によって生産性はさらに下がっている。豊富な雨量 により、表面上は緑豊かな土地であるように見えるが、それを支える土壌の劣化が進んでいる。 過剰な土壌流出の結果、土壌はやや酸性から中性である。 生物相 面積の 90%以上が森林であるという統計(India State Forest Report FSI, 2013)もあるように、 ミゾラムはインド国の中でも森林が多い州である。本調査で実施した植物相の調査では、対象 地域で 57 の樹木種、30 の低木種、52 の草本種が確認された。動物相の調査では、IUCN のレッ ドリストで絶滅危惧Ⅱ類 (VU)に分類されるスローロリスが確認されたが、他に確認されたの は烏や雀など、またバッタやトンボなど一般的な昆虫類であり、対象地域にしか生息しない固 有種や、絶滅の危険が高い希少種(CR, EN)は確認されなかった。

保護区および森林 ミゾラムには合計 10 の保護区(国立公園、野生生物保護区、虎保護区)が、国道 54 号の対象 区間は、それらを横断または隣接しない。州の環境森林局での聞き取りでは、10 の保護区のう ち、2 つの野生生物保護区(Tawi WLS および Khawnglung WLS)が対象区間に比較的近い場所に あるが、どちらも 10km 程離れており、拡幅事業によって直接的な影響はないとのことであった。 以下に、ミゾラム州内の保護区の位置を示す。

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出典: Department of Environment and Forests, Government of Mizoram 図 12.5-3 ミゾラム州の保護区

対象区間には、国が指定する保護林は無いが、拡幅事業により森林や焼畑農地や放棄された 焼畑農地などは影響を受ける。現地住民の生活に森林が重要な役割を果たしていることを考え れば、事業の実施にあたり森林伐採の規模を最小化する努力が必要である。

12.5.3 社会環境 ミゾラムの名前は、人(ミ)、丘(ゾ)、ラム(土地)の組み合わせに由来し、文字通り丘に 住む人々の土地という意味であり、その土地の社会の成り立ちを示すものである。ミゾラム州 には主要 5 部族(Lushai, Ralte, Hmar, Paite, Pawi)および、11 の少数部族が居住する。ミゾラム州 の公用語はミゾ語であるが、教育や行政の場では英語も広く使われている。Duhlian (Lusei) 方言 が、ミゾラムで最初に使われた言語であり、これが発展してミゾ語となった。ミゾの諸部族は、 それぞれ固有の方言を話すが、共通語であるミゾ語ないしは英語での意思疎通は可能である。 2011年の人口統計によれば、ミゾラム州の人口は 109 万 7,206人で、男性がやや多い(55万 5,339 人)。識字率は 91.3%、人口密度は 52 人/km2 である。 住民のほとんどがキリスト教徒であり、長老派、バプテスト、カトリック、プロレスタント など様々な教義が信仰されている。少数ではあるが仏教徒やヒンドゥー教徒、ムスリムやシー 12-24

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ク教徒もおり、失われたユダヤ支族の末裔であると自称するごく少数のグループがユダヤ教を 信仰している。この他、Lalchhungkua や Lalhnam と呼ばれる土着信仰も一部に残っており、また 伝統的なミゾの土着信仰を現代化しようとする試みもあり、それは Hnam sakhua と呼ばれる。ミ ゾラム州は 8 つの地区に分かれているが、国道 54 号の対象区間が通過するのは、そのうち 5 地 区(アイゾール、サーチップ、ルングレイ、ロンクライ、サイハ)である。 2012-13 年の州の GDP は 755 億 6000 万インドルピーで、一人あたりの所得は 63,413 ルピーで あった。2004-2005 と 2012-2013 年の間に、州経済は年率 9.3%で成長したが、一次産業の成長率 は 7.6%、二次産業が 7.9%、三次産業が 10.3%であった。同時期に、一人あたりの所得は年率 6.8%成長している。州の主要産業は農業であり、人口の 80%が農業に従事している。米が主要 作物であり、他にとうもろこし、ポテト、ターメリック、胡椒、果物などが栽培されている。 ミゾラム州では土地の所有権は州にあり、州政府は土地の利用者に対して、期間を決めて土地 利用を認める “periodic patta” を発行する。また、毎年焼畑をどの場所でどのように行うかは、 Village Council が決定する。長年行われてきた焼畑の影響もあり、土壌、特に表土は緩くなり、 土壌侵食が頻繁に起きているため、政府はテラス農法を推奨するなどして焼畑面積の削減に努 めている。果樹園で主に栽培されているのはオレンジやバナナ、パッションフルーツやぶどう、 パイナップル、パパイヤなどであり、またアンスリウムや蘭、薔薇などが園芸植物として栽培 されている。近年では、油ヤシの大規模栽培も始まっている。

12.5.4 環境社会配慮にかかる法的枠組み これまで述べたように、国道 54 号の拡幅事業で環境クリアランスの取得は必要とされないが、 建設工事の実施の際には、アスファルトプラントの設置などについて大気汚染管理法や水管理 法にもとづいた許認可が必要となる。また採石場は環境許認可を得ていることを確認の上で選 定する。工事の際に井戸を掘ることが必要になる場合は、州の地下水管理機構(Ground Water Board)の許可が必要である。この他、工場法、労働法、建築その他の建設労働者(雇用および 労働条件に関する規制)法の規定に沿った形で工事を行う必要がある。本事業に関連する環境 関連法規制を下表にまとめた。

表 12.5-1 必要な許認可等 許可取得に必 No. 活動 該当法令 要件 管轄機関 実施責任者 要な時間 工事前(責任機関: MORTH/NHIDCL) 2 路肩の樹木の Forest 森林伐採 州および中央政府 MORTH/NHID 2-3ヶ月 伐採、土捨て Conservation Act1980 許可 CL 場の森林伐採 & MOEF Letter Dt.18.02.1998 3 路肩の溜め池 State Fisheries 埋め立て 州灌漑局、漁業 MORT&H 2-3ヶ月 等の埋め立て Policy Draft Wetlands 許可 局、湿原保全委員 (Conservation & 会 Management) Rules, 2008 工事中(責任者:工事業者) 1 砕石機、アス Water Act of 設置許可 州汚染管理局 事業者 2-3ヶ月 ファルトプラ 1974, Air Act of ント等の設置 1981, Noise Rules of 2000 and Environmental Protection Action of 1986 and as Amended 2 砕石機、アス Water Act of 操業許可 州汚染管理局 事業者 2-3ヶ月 ファルトプラ 1974, Air Act of ント等の操業 1981, Noise Rules of 2000 and 12-25

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許可取得に必 No. 活動 該当法令 要件 管轄機関 実施責任者 要な時間 Environmental Protection Action of 1986 and as Amended 3 発破用の爆発 India Explosive 爆薬ライ Chief 事業者 2-3ヶ月 物の管理 Act 1984 センス Controller of Explosives 4 燃料や潤滑 Manufacture 危険物の 州汚染管理局 事業者 2-3ヶ月 油、ディーゼ storage and Import 保管許可 および各地区のコ ル等の保管 of Hazardous ミッショナー Chemical Rules 1989 5 砕石* State Minor 砕石免許 州地質鉱山局 事業者 2-3ヶ月 Mineral Concession Rules, The Mines Act of1952, Indian Explosive Act of1984, Air Act of1981 and WaterAct of 1974 6 地下水の利用 Ground Water 地下水の 州地下水管理機構 事業者 2-3ヶ月 Rules of 2002 取水許可

7 労務 Labor Act 雇用免許 労働コミッショナ 事業者 2-3ヶ月 ー 注:* 採石場は環境許認可を得ていることを確認の上で選定する。環境許認可に沿って着実に環境社会配慮が 行われていることを確認するため、コントラクターの環境管理計画に採石場の環境許認可の更新や環境 当局による監査への対応状況の確認を含める。 出典: 調査団

上記に加え、ミゾラム州は独自の生物多様性規則(Mizoram Biodiversity Rules 2010)および森 林法(Mizoram Forest Act, 1955 and its amendment)を定めているが、国レベルの法令で求められ ているものの他に、追加の許認可手続きが必要となることはない。

12.5.5 組織体制 上述した法令やガイドラインの実施やモニタリングには、国から州レベルの様々な組織が関 与する。本事業での適切な環境社会配慮の実施にあたり重要な環境関連機関は以下の通りであ る。 (1) 環境森林省(Ministry of Environment and Forests: MOEF) インド国において、環境管理や保全、公害対策等、にかかる政府の方針の策定や実施を担う のが環境森林省である。1985 年に設立された環境森林省は、カテゴリ A に分類される事業の許 認可手続きの一貫として実施される環境影響評価(EIA 実施)報告書を審査する役割も負う。 (2) 環境森林省の地域事務所 環境森林省は、インド各地に地域事務所を設置している。ミゾラム州のある北東州地域を管 轄する地域事務所は、メガラヤ州シロンに置かれており、主に地域内の EIA、公害の状況や対策、 湿原や保護区などの管理等にかかる情報収集を行っている。 (3) 中央汚染管理局(Central Pollution Control Board: CPCB) 森林環境省の一機関であり、ニューデリーに本部を置く。主要な役割は以下の通り。

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 水質および大気汚染対策の計画および実施  水質および大気汚染について政府に助言  水質および大気質の基準の設定  州汚染管理局との連携 本事業における中央汚染管理局の役割は、助言機関としてのそれであり、事業実施にかか る方針や基準については、下記のミゾラム州汚染管理局が設定するものに拠る。 (4) 州の環境森林局(Departments of Environment and Forests: DOEF) 州レベルで、環境森林省と同様の業務を行う。 (5) ミゾラム州汚染管理局(Mizoram State Pollution Control Board: M-SPCB) 州レベルでの環境管理、特に大気質および水質の管理する役割を負う。管理局の主要な役割 は下記の通り:  州レベルで、水質および大気質管理にかかる活動の計画および実施  水質、大気質、工業について州政府に助言  政府の基準にもとづいて、州レベルの基準を設定  水管理法、大気汚染管理法等に則り、州内のモニタリングや当該法の施行を行う  水質や大気質にかかる公聴会の実施 (6) ミゾラム州森林局(Mizoram State Forest Department) ミゾラム州森林局は、州内の森林の保全および管理を行う。行政区とは別に、効率的な森林 保全、管理のために設定された森林区(Forest Division)があり、森林局が作成する業務計画を 作成にもとづいて各 Division が業務を行う。森林法が定めるように、省内で実施される事業で森 林伐採が必要になる場合(本事業もこれに相当する)、その伐採許可を与えるのも森林局の役割 である。

12.5.6 代替案の検討 丘陵地帯という地形上、また既存道路の拡幅という事業の性格上、代替案の検討余地は多く ないが、概略設計の検討にあたり、ゼロオプションに加えて 3 案を比較検討した。各代替案のコ ンセプトを表 12.5-2 に示す。

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表 12.5-2 代替案のコンセプト No. 代替案 概要

0 ゼロオプション (事 現在の道路や斜面状況がこのまま続く。劣悪な舗装状況により、排ガス量は増え、健康 業を実施しない) 被害また生態系への悪影響が増えると予想される。路肩での住居建設等が秩序なく進 めば、村落部での交通事故リスクも上昇する。脆弱な交通インフラは、州経済の成長を 妨げるボトルネックであり続け、また現在実施されているカラダンマルチモーダルプロジ ェクトの経済効果も減少する。

1 全区間で IRC 基準 地形や社会経済状況にかかわらず、IRC 基準に沿って一律で拡幅を実施する。拡幅 を一律に適用 による効果は非常に多いが、No.2 の案と比べると、住民移転の数が増え、社会影響 が非常に大きくなる。また、ヘアピンカーブの改良により、切土盛土の量も増え、森林 伐採面積や工事費が増えることになる。拡幅により通過交通の速度が増せば、交通事 故、特に村落部での交通事故リスクも増えると予想される。

2 社会影響を考慮し、 社会影響を考慮し、住宅密集地域では拡幅は限定的なものに留める。No.1 の比べ、 拡幅幅を決定 拡幅による交通インフラ改善効果はやや限定的なものになるが、住民移転の規模を最 小限にするという観点からはこちらの案の方が望ましいと考えられる。

3 住宅密集地はバイパ 住宅密集地では、住民移転を避けるために新規にバイパスを建設する。No.2 案と比べ スで迂回 ても移転規模は小さくなるが、一方で新規のバイパス建設にともない森林や農地に大き な影響が出る。長期的な交通需要の増加を考慮すれば、バイパスに優位性があるが、 環境影響や経済面での実現可能性を慎重に検討する必要がある。 出典: 調査団

各代替案のイメージ図を下図に示す。

現況 改良例(インド基準に従う)

道路用地幅:約 7 - 9 m 道路幅:12 m

路肩幅: 2.5 m 車線舗装幅: 路肩幅: 切土擁壁 7.0 m (3.5 m + 3.5 m) 2.5 m 舗装幅:約 5 m

C/L 家屋 C/L

盛土擁壁

出典: 調査団 図 12.5-4 代替案 No.1 (IRC 基準に沿って一律に拡幅実施)

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現況 改良例(設計基準の緩和)

道路用地幅:約 7 - 9 m 道路幅:8.5 m

路肩: 路肩: 舗装幅:約 切土擁壁 1.0 m 5 m 1.5 m 舗装:6.0 m (3.0 m +3.0 m) C/L 家屋 C/L 家屋

出典: 調査団 図 12.5-5 代替案 No.2 (限定的な拡幅)

住宅立地 箇所

既存国道54号線

新設バイパスの計画 出典: 調査団 図 12.5-6 代替案 No.3 (住宅密集地帯を迂回するバイパス)

各代替案を比較した結果を、次の表にまとめた。

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表 12.5-3 代替案の比較表 代替案 ゼロオプション 代替案No.1 代替案No.2 代替案No.3 代替案の概 事業無し。既存の状況の継続 インドのIRC基準に則り、一律に拡 基準の厳格な適用よりも、社会影響 住民移転を避けることを主眼とした 要 幅を実施 の最小化を優先 設計 住民移転規 N/A × ○ ◎ 模 大規模な住民移転が発生。15m 幅の ヘアピンカーブや住宅密集地等の例 移転規模は最小であるが、新規バイ 拡幅を一律実施すると仮定した予備 外を除き、12m 幅での拡幅を実 パスに伴う環境影響は増加 的な調査では、5000 世帯以上の移 施。No.1 案と比べると、移転規模 転が発生すると想定される は小さい(1,937 世帯)

自然環境へ △ ◎ ◎ × の影響 短期的には影響なし。しかし、斜面 工事は既存道路の拡幅であり、環境 工事は既存道路の拡幅であり、環境 新規バイパス建設により大きな影響 の崩壊や土壌侵食により、長期的に 影響は限定的 影響は限定的 が生じる。環境影響の詳細について は自然環境にも悪影響 は、今後検討が必要。 公害 × ○ △ ◎ 短期的には影響なし。しかし、劣悪 交通量増加により排出量は増える 交通量増加により排出量は増える。 住宅密集地はバイパスで迂回するた な舗装や路面状況により渋滞が悪化 が、十分な道幅を確保することによ また、一部で限定拡幅を採用するこ め、交通量が増えても大気汚染によ し、長期的には大気汚染が悪化する り、渋滞は緩和される とにより、No.1 と比べて渋滞は増 る健康被害は発生しない 加するが、拡幅を行わないゼロオプ ションよりは影響は小さい 交通安全 × ○ ○ ◎ 安全対策等が実施されないため、事 拡幅により、車のスピードが増加す 拡幅により、車のスピードが増加す 住宅密集地を避けるため交通事故リ 故リスクは増加する るため、住宅密集地では交通標識や るため、住宅密集地では交通標識や スクは小さい カーブミラーの設置などによる対策 カーブミラーの設置などによる対策 を要する を要する 事業費 △ ◎ × N/A 用地取得および住民への補償に大き No.1 に比べれば用地取得コストは 住民移転関連コストは低いが、新規 なコストがかかる 抑えられる バイパス建設には膨大な費用がかか る 総合評価 4 3 1 2 (順位) 既存道路の状況、また国道が州経済 空いている土地が少なく、代替地を 拡幅幅は一部で基準以下となるが、 住民移転が最小化されるというメリ に果たす役割を考慮すると、現状維 用意することが困難な地形の性質 社会影響を考慮すれば、また中期的 ットはあるが、建設コストは増加 持のゼロオプションは推奨されない 上、大規模な住民移転が発生する案 な交通量を考慮すれば、最も現実的 し、また環境影響も大きく、事業の は避けるのが好ましい な案といえる 経済合理性に疑問符がつく 注: ◎: 最も評価が高く、望ましい; ○: 良い評価だが、更に良い案が他にある; △: 他の案の方が望ましい; × 避けるべき 12-30

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表 12.5-3 の通り、代替案 No.2 が最も望ましい案という評価となった。しかし、住民協議では、 バイパス新設への強い期待感、特に事業により大規模な住民移転が発生することが予想される 大集落の住民からの期待感が示された。バイパス新設にあたっては、測量や環境影響評価、特 に森林の生態系の調査が必要である。住民移転の規模、将来の交通需要、経済合理性、技術面 を考慮し、人口 4,000 人以上の 4 集落(Chhiahtlang, Serchhip, Hnathial, Lawngtlai)については、将 来的なバイパス建設を検討することとした。バイパス区間についての詳細な環境影響評価は、 本調査および EIA の対象外であり、今後バイパスを新設することになった場合は、別途、環境影 響評価等が実施される。バイパス区間の暫定案は 7 章を参照のこと。 今後バイパス建設を検討する集落については、本事業では拡幅は実施せず、改良(舗装の改 修、排水施設の整備等)に留める。バイパスが建設されれば、拡幅を実施しなくても将来の道 路需要を満たすことができるため、現時点で拡幅(とそれに伴う大規模な住民移転)を行う整 合性がないからである。道路の安全性および自然災害への備えとして、排水施設の整備等は実 施する。

12.5.7 スコーピング 表 12.5-4 に示した山岳道路の汎用スコーピング案および、国道 54 号の拡幅の概略設計に基づ いて、スコーピング案を作成した。汎用スコーピング案と比較して、より大きな負の影響があ ると結論付けられた箇所を強調表示した。

表 12.5-4 国道 54 号拡幅事業のスコーピング案 結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) 自然環境 1.1 気候/気象現象 D D D P: 事業による気候への影響は無い。 C/O: 本事業は既存道路の拡幅であり、大規模な建 造物の建設は伴わない。事業により地域の気象や風 量、風道等に影響が出ることはない。 1.2 地形 D B- D P: 事業による影響は無い。 C: 切土、盛土により地形が改変される。残土の量 を最小化するために、土工量のバランスを取る設計 にすることが望ましい。 O: 供用後は、適切な斜面対策が実施されるため、 地形は安定する。 1.3 地質 D D D P/C/O: 事業による影響は無い。

1.4 土壌侵食 D B- B+/B P: 事業による影響は無い。 C: 土壌侵食、特に雨季の土壌侵食リスクがあるた め、雨季の工事は避けるべきである。 O: 既存道路の排水施設の劣化により、土壌侵食が 発生している。事業により道路の舗装、排水機能は 向上するため、土壌侵食リスクは減少する。一方、 雨季の土砂崩れリスクを管理するため、適切な斜面 対策およびそのモニタリングが必要である。 1.5 水文/水象 D B- B- P: 事業による影響は無い。 C: 土木工事により水象に微小な影響が出る可能性 がある。

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結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) O: 切土、盛土により、水象に変化が出る可能性が ある。道路横断排水施設(カルバート)のアウトレ ットには、処理水による法面浸食を抑えるため、水 衝部対策として Gabion 及び Apron concrete 等の対 策を行う。 1.6 地下水 D D D P: 事業による影響は無い。 C: 本事業では地下水の利用を想定しておらず、影 響も無いと考えられる。今後、バイパス等でトンネ ルを建設する場合には、地下水への影響を調査し、 適切な対応をとる必要がある。 O: 本事業による影響は無い。 1.7 生態系/生物相/ D B- B- P: 本事業による影響は無い。 生物多様性 C: 本事業は既存の道路の拡幅であり、原生林や希 少な生態系には影響しないが、拡幅により山岳地帯 の生態系および地域の森林や焼畑、プランテーショ ン等への影響がある。 O: 交通量の増加により、長期的には現地の生態系 や森林へ悪影響があると考えられる。 1.8 保護区/森林 D B- B- P: 国道 54 号の対象区間は国立公園や保護林を横断 または隣接しない。 C: 工事により、路肩の植生および土捨て場の森林 が伐採される。 O: 交通量の増加により、長期的には路線近隣の生 態系や森林へ悪影響があると考えられる。モニタリ ングを実施すると共に、必要に応じて植林などを行 う。 1.9 沿岸域 D D D P/C/O: 対象路線は沿岸部から離れており、沿岸部 への影響は無い。 1.10 景観 D D B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中の影響は小さく、また短期的であ る。拡幅の際には、景観が優れた所に展望台を建設 するなど、北東州の観光資源を強化することも検討 されるべきである。 O: 交通網の改善により、州内の観光地や景勝地へ のアクセスが容易になり、結果、地域の観光が活性 化することが期待される。 1.11 自然災害 D B- B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 対象路線の多くの場所で地滑りが発生してお り、工事期間中の事故を防ぐために適切な対策が必 要である。雨季の工事はリスクが大きいので、避け るべきである。 O: 斜面対策と適切な排水機構の設置により、災害 リスクは大きく減少すると考えられる。 生活環境 2.1 大気質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機械や車輌による大気汚染が発生する。 特に、乾季の土木工事で粉塵が発生する。 O: 交通量の増加に伴い、大気汚染も増えると考え られる。モニタリングを実施するとともに、大気 質、交通量にかかる情報を SPCB 等関連機関と共有 し、影響緩和策について協議を行う。

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結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) 2.2 悪臭 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 2.3 水質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 土木工事による濁水、橋梁の橋桁工事、また建 設キャンプからの排水等による水質汚染が発生す る。 O: 道路利用者やメンテナンス作業で発生する排水 による影響がある。 2.4 底質 D B- D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中、セメントや砂などが、雨により河 川に流出するが、河川底質への影響はほとんど無い と考えられる。また、橋梁の工事は小規模であり、 河床および河川生態系への影響はほとんど無い。 O: 道路のメンテナンス作業により多少の排水が発 生するが、河川底質への影響はほとんど無い。 2.5 土壌汚染 D D D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事現場由来の土壌汚染リスクは低い。また、 対象地域には大きな産業はなく、既存の土壌が汚染 されているとは考えにくい。 O: 本事業による影響は無い。 2.6 地盤沈下 D D B+ P/C/: 本事業による影響は無い。 O: 本事業で地盤沈下箇所を修復、改善し、また今後の 地盤沈下リスクを減らすような対策を行う。 2.7 騒音/振動 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機材や車輌による騒音が発生するが影響 は短期的である。工事のスケジュールをたてる際に は、学校や病院、宗教施設等の位置やイベント等に 配慮が必要である。 O: 交通量の増加により、沿道の騒音は増加する。 学校等、配慮を要する施設の近隣では、追加的な防 音対策が必要となる可能性がある。 2.8 日照阻害 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 2.9 廃棄物/有害物 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 質 C: 工事キャンプからの廃棄物が発生する。既存の カルバート等を交換する際にも廃棄物が発生するた め、現地法に則り適切に処理する必要がある。 O: 道路の利用者から、またメンテナンス業務で廃 棄物が発生する。 社会環境 3.1 非自発的 A- D D P: 本事業により大規模な住民移転が発生する。特 住民移転 に、道路の両側に住居などの構造物が連続する住宅 密集地域で拡幅を行う場合に影響が大きい。住民移 転を最小化することを優先した設計が望ましい。 C: 住民移転は工事開始前に終了するため、この段階 での移転は発生しない。 O: 住民移転は工事開始前に終了するため、この段階 での移転は発生しない。 3.2 土地利用 A- A- D P: 用地買収および住民移転により、既存の土地利 用が改変される。

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結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) C: 事業は既存道路に沿って実施されるため、建設 工事に伴う土地利用の改変は小規模であり、また工 事用ヤード等の確保のために必要な土地利用の変化 は短期的なものである。 O: 適切な斜面対策を実施することで、自然災害等によ る土地利用への悪影響を防止する。無秩序な商工業 目的あるいは住居目的での開発による累積的な自然 生態や森林への影響に対して、秩序ある土地利用が 維持できるよう、Village Council や District Council に申し入れる。 3.3 地域資源利用 D A- D P: 本事業による影響は無い。 C: 砂や岩石などの現地で大量に調達した場合、現 地での需要が逼迫する可能性がある。 O: 供用後は、地域資源の利用は発生しないため、影 響はない。 3.4 基本計画、地域 D D D P: 本事業による影響は無い。 /都市計画 C: 本事業による影響は無い。 O: 交通網の改善は、外部からの住民の流入や経済 発展をもたらす可能性がある。 3.5 社会組織や地域 D D D P/C/O: 事業は既存の社会組織や地域の意思決定組 の意思決定組織 織を変更するものではなく、影響は無い。

3.6 社会インフラや A- A- B+ P: 公民館などの施設が影響を受ける可能性があ 社会サービス る。 C: 工事やそれに伴う渋滞により、社会インフラや サービスへのアクセスが阻害される。 O: 長期的には、交通網の改善はこうしたサービス へのアクセス向上をもたらす。 3.7 地域経済と生 A- A- B+ P: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が 活・生計 発生する。 C: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が 発生する。 一方、建設工事は現地に雇用を生み、 地元経済に正の影響をもたらす。 O: 長期的には、交通網の改善は地域経済に正の影 響をもたらす。 3.8 被害と便益の偏 A- A- D P: 用地取得、住民移転の対象となった住民と、そ 在 うでない住民で、事業による影響および裨益の度合 いが大きく異なる。 C: 移転対象となる住民が大きく影響を受ける一 方、近隣の住民は建設工事による雇用機会の創出な どにより便益を受ける可能性がある。 O: インフラ網の改善により地域全体が裨益することで、 被害と便益の偏在は解消される。 3.9 地域内の利害対 D D D P/C/O: 事業は既存道路の拡幅であり、また影響を受 立 ける施設等は移転あるいは補償対象となるため、事業 が地域内の利害対立を引き起こすことはない。 3.10 水利用、水利権 D D D P/C/O: 事業は水利用の仕組みを変更するものではな 及び共同体の権 く、事業による影響はない。 利

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結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) 3.11 文化的・歴史的 C- D D P: 対象路線沿いには、重要な文化的、歴史的遺産 遺産 はない C/O: 重要な文化的、歴史的遺産はないため、影響 はない。

3.12 宗教施設 A- A- D P: 道路沿い記念碑や墓などが影響を受けるが、そ の規模は拡幅幅による。拡幅の規模によっては、集 落にある小規模な宗教施設も影響を受ける可能性が ある。 C: 道路沿いの宗教施設は、工事中の騒音や振動、 また渋滞の影響を受ける。 O: 適切な騒音対策を実施することで、影響が出ないよ うに配慮する 3.13 配慮を要する施 B- B- D P: 集落内でも拡幅では、公民館などの施設が影響 設(例:病院、学 を受ける可能性がある。 校、,精密機械 C: 道路沿いの学校や病院等が、工事中の騒音や振 工場) 動、また渋滞の影響を受ける。 O: 交通量が増えると、配慮を要する施設での騒音 が増えるが、適切な対策を実施することで影響が発 生しないように配慮する。 3.14 貧困層 A- A- D P: 貧困層の脆弱性を考慮し、彼らが裨益すること ができるような生計回復支援を策定、実施する必要 がある。 C: 貧困層は負の影響をより大きく受ける可能性がある が、彼らも事業で発生する雇用機会から利益を受けるこ とができる。 P: 長期的には、事業が生み出す地域の経済発展によ り、貧困層にも正しいの影響があると考えられる。 3.15 少数民族/先住 A- A- D P/C: 対象区間には様々なミゾ部族が居住していえる 民族 が、彼らは平和裏に共存している。ロンクライとサイハ地 区には、それぞれライとマラ(ミゾの部族)が多く住んで おり、住民移転の実施や生計回復計画の策定には、彼 らの固有の文化や風習に配慮する。 O: 事業は、被影響住民の文化や社会に影響をもたら すものではない。 3.16 ジェンダー D C- B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 建設工事の際の男女に雇用機会の均等に配慮す る一方、工事に伴い発生する雇用機会のうち、女性 でもできる仕事については優先的に女性を雇用す る。同時に、ジェンダーに由来する衝突が起きない よう現地の文化的、社会的な規範に配慮する。 O: 道路の拡幅、改善により、水や薪を運ぶ役割を 担う女性や女の子の作業負担が軽減されることが期 待される。 3.17 子どもの権利 D D D P: 本事業による影響は無い。 C/O:児童労働はインド国憲法で禁止されている。 本事業では大人のみを雇用して建設工事を行う。 3.18 公衆衛生(伝染 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 病) C: 作業員が外部から流入することによる健康リス ク、特に性感染症のリスクの増大が予想される。マ ラリアが発生している地域で工事を行う際には、マ ラリア対策も必要である。 12-35

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結果 Sl. 工事 工事 使用 項目 評価理由 No. 前 中 後 (P) (C) (O) O: 交通量の増加は、沿道住民の健康に負の影響を もたらす。 3.19 労働安全衛生 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事現場の衛生、労働者の健康や安全は、環境 管理計画の実施を通じて適切に管理される必要があ る。 O: メンテナンスや補修作業を担当する作業員の衛 生や安全にも十分に配慮する。 その他 4.1 事故 D B- B+/ P: 本事業による影響は無い。 B- C: 重機や工事用車輌による交通事故リスクが増大 する。 O: 交通量の増加および通行速度の上昇により事故 リスクは増大する。一方、交通安全標識やミラーの 設置等の対策により、リスクは減少する。 4.2 気候変動 D B- B+/B P: 本事業による影響は無い。 - C: 工事用機材や車輌からの GHG 排出が発生する が、影響は小さく、短期的である。 O: 交通量の増加により、GHG 排出も増加する。長 期的な気候変動の影響(雨量、雨量強度の変化等) を考慮した斜面対策の実施等により、気候変動に対 するレジリエンスは増すと考えられる。 注:A-比較的重大な影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) B-ある程度の影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) C-この段階では影響の程度が不明なため、更なる調査が必要とされる(+:正の影響、-負の影響) D-影響は予想されない P-工事前、C-工事中、O-供用時 出典: 調査団

12.5.8 予想される影響および緩和策 本事業の実施により、様々な正負の影響が生じることが予想される。本節では、事業の各段 階における様々な影響およびその緩和策を概説する。影響評価は、既存情報およびフィールド 調査を元に行った。 自然環境 気候/気象現象 建設工事前および建設工事中 本事業は、一車線の既存道路を二車線に拡幅するものであり、この事業によって降水パター ンや気温等の現地の気候に変化が生じるとは考えられない。一方、事業による植生の伐採や舗 装路面の増加により、日中の気温の上昇などの短期的、局所的な影響が生じる可能性がある。 こうした影響は、大規模な森林伐採が行われる箇所で発生する可能性が高い。 供用後 供用後は、交通量の増加に伴う排出により気温の増加する可能性があるが、その影響は小さ い。

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地質、地形 建設工事前および建設工事中 二車線へ拡幅するための切土、盛土工事、また工事に伴う砕石により、道路脇の地形はある 程度改変される。また、土捨て場では、植生の伐採から残土の埋め立てにより、地形が大きく 改変される。工事用ヤードなどの建設等による変更は短期的なものである。 供用後 供用後は、観光業や商業の活発化による経済効果が生じると予想されるが、地形への変更は 小さい。また、雨季には地滑りなどによって地形が変化する危険がある。斜面の緑化や植林な どにより、斜面は安定し、また景観も改善する。 緩和策 切土や盛土工事が行われる場所以外では、既存の植生は維持される。土取場は、MORTH の道 路工事マニュアルに沿って適切に運営、また閉鎖される。工事後は、土捨て場は埋め立て、既 存の植生が回復するように表土を盛り、植林や緑化を行う。また、土壌侵食防止のため、適切 な維持管理を行う。地滑り等により斜面崩壊が起きた場合は、迅速にこれを修復する。また、 定期的な植林を行うことにより、斜面の安定性を維持、向上させる。 土壌侵食 建設工事前および建設工事中 工事開始前には、既存の植生の伐採や既存構造物の取り壊しを行うが、これにより表土が露 出することで土壌侵食のリスクが高まる。土壌侵食は、斜面や工事現場、排水エリア、土取場 など様々な箇所で発生する可能性がある。 供用後 供用後の道路脇斜面で、特に雨季に土壌侵食の危険がある。特に橋梁や交差点の近辺で注意 が必要である。 緩和策 道路脇での土壌侵食防止策として、IRC ガイドラインに則って斜面緑化を行う。また、急斜面 には適切な対策を行い、安定化させる。建設工事中、土壌侵食リスクを減らすため、表土が露 出する箇所は出来る限り小さくする。また、土壌侵食や土砂の流出による周辺構造物の被害、 河川への影響を防止するため、事業者はトラップの設置や工事現場周辺の緑化等適切な対策を とる。植生工の植物種は、草本類の在来種を予定している。 供用後は、斜面緑化などの対策を講じると共に、定期的なモニタリングを行う。拡幅改良事 業後の道路施設の日常的な維持管理は、事業主体かつ維持管理機関である NHIDCL が維持管理 会社を調達して行う計画である。植生が減少した場合は、すぐに追加的な植林、緑化を行う。 また、排水溝が流水で影響を受けないよう、排水溝はコンクリートで建設する。 水文、水象 流出量検討は、インド国の道路設計で一般的に用いられる横断排水に関する基準書 IRC:SP:13 “Guidelines for the design of small bridges and culverts” および道路排水に関する基準書 IRC:SP42 “Guidelines of road drainage”に基づいて行った。また、長期的な降雨強度を下記の通りモデル化 し、排水溝やカルバートはこれに耐えうるデザインとした。 表 12.5-5 国道 54 号各区間に適用する降雨強度 50 年- 24 時間 区間始点 区間終点 降雨強度 Aizawl (起点) Tlungvel (50k 付近) 280mm/hr Tlungvel (50k 付近) Chhingchhip (75k 付近) 320mm/hr Chhingchhip (75k 付近) Serchhip(100k 付近) 360mm/hr Serchhip (100k 付近) Tuipang (終点) 400mm/hr 出典: 調査団

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出典: ATLAS of Statewise Generalised ISOPLUVIAL (Return Period) Maps of Eastern India (Part – II) 図 12.5-7 国道 54 号周辺の降雨強度マップ (再現期間 50 年) 建設工事前および建設工事中 工事は既存の河川の流れを変更するものではなく、水文への影響は小さいが、建設工事中に は、既存の排水路が影響を受ける。この事業実施による、自然の水の流れへの影響は非常に小 さい。 供用後 舗装路面が増えることで、流出水の量や勢いが若干増える可能性があり、またその結果、道 路近くの水源に土砂が堆積すると考えられる。 緩和策 水文計算により得られた流水横断位置や流水量、将来の降雨強度に基づき、カルバートや側 溝の通水断面や設置位置を計画する。適切に排水構造物を設置することで、道路の排水機能を 十分に確保して、道路舗装の損傷を防止する計画とする。カルバートのタイプ・サイズについ ては、経済性、施工性、メンテナンス性の観点からふさわしい構造とする。以下に各タイプの カルバートについての評価を整理する。カルバート構造は、流量が比較的小さな箇所について はパイプカルバート、比較的大きな箇所についてはボックスカルバートとして、水文計算で得 られた流量を満足するサイズを確保するように計画する。 表 12.5-6 各タイプのカルバートの評価 パイプカルバート ボックスカルバート スラブカルバート 図

経済性 ◎ ○ △ 施工性 ◎ ○ △ 耐久性 ○ ○ △ 許容流量 ○ ◎ ◎ その他 流量が比較的小さな箇所 流量が比較的大きな箇所に 適用なし に適用する 適用する 出典: 調査団

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地下水 本事業ではトンネル建設は予定されておらず、事業による地下水への影響は想定されない。 事業者が地下水利用を提案する場合は、事前の調査および許可取得が必要である。事業者は、 工事現場からの排水を適切に管理し、排水が地下水を汚染することがないよう配慮する。 生態系/生物相/生物多様性 建設工事前および建設工事中 ミゾラム州の森林はインドービルマ・ホットスポットを構成し、豊かな生態系を育んでいる。 一方、ミゾラムの主要幹線道路である国道 54 号沿道やその周辺地域には原生林は残っておらず、 州内の国立公園や保護区と比較すると、自然環境、生物多様性には大きな違いがある。植物相 への主な影響は、道路脇の植生の伐採や林冠の喪失、土捨て場での森林伐採、工事車両や機材 からの排ガスや粉塵による影響等である。 植物相の調査は、道路の両側の斜面にランダムにコドラートを設置して行った。樹木種の調 査は、10m 四方、低木は 5m 四方、草本については 1m 四方の枠を置いて調査を実施し、種類や 密度、頻度を記録した。動物相については、およそ 20km 間隔で斜面の踏査を実施し、目視や鳴 き声の観測による調査を行った。調査地域では、ICUN カテゴリーで絶滅危惧Ⅱ類 (VU)に分 類されるスローロリスが観察されたが、上述のような事情もあり、地域固有の種や希少種は発 見されていない。 また、本事業による河川への影響は小さいと考えられるが、国道 54 号が横断する Tuirial River および Mat River については、文献調査により魚相を整理した(Tuirial River:34 種、Mat River: 17 種 )。 供用後 交通量の増加、排出量の増加が生態系に悪影響をおよぼすおそれがある。また、交通網の改 善が、密漁の増加につながる懸念がある。 緩和策 伐採された樹木に対して、森林法に定める補償植林の方針に従い、植林を行う。補償は、伐 採される樹木一本に対して、新規の植林 3 本と比率で行う方針とする。また、植林を行う場所、 樹木種については、森林伐採許可を取得する手続きの過程で、ミゾラム州森林局と協議し、同 局の指導のもと決定する。事業者は、指定された場所(放棄された焼畑の家、劣化した林地等) に、苗木の植林を行う。また、植林の状態は定期的にモニタリングを行い、必要であれば追加 的な植林を実施する。 また、森林伐採を最小化するために、拡幅幅および工事、土捨て場用地に必要な分以上の伐 採は行わない。また、土捨て場については、可能であれば表土および植生を残し、埋め立てを 行った後で戻すこととする。また、工事用車輌や機材は、出来る限り拡幅の幅内で作業を行う。 工事用ヤードなど、短期的な用地取得および植生の伐採が必要な場所については、地面を荒ら すことを控え、工事終了後には植生を戻す、あるいは植林を行う。 生態系への影響の緩和策として、標識の設置を行い、絶滅危惧種の目視情報に関する報告制 度等の推進について州政府環境森林局と協議を行う。また、生態系に関するモニタリングを EIA 調査同様の調査手法で実施する。密漁対策として、現在は、啓発活動やレンジャーによる見回 りや罠の撤去等が行われており、また、農作物被害に対して政府が金銭保証をすることで、農 民が野生動物を駆除するインセンティブを減らす、という施策がとられている。密猟対策は、 本事業の実施機関の管轄ではないが、今後の交通状況の改善による密猟増加の可能性、及び、 希少な野生動物の取引の規制等の適切な対策の必要性について関連機関に提言を行う。

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保護区、森林 建設工事前および建設工事中 国道 54 号の対象区間は、国立公園や野生生物保護区、保護林を横断または隣接しないが、上 述したように、事業により路肩および土捨て場での森林伐採が発生する。フィールド調査およ び衛星画像データからの推定では、用地取得の対象となる土地のおよそ 60%が森林である。 供用後 交通量が増加し、排出ガスが増えることで、森林生態系への負の影響がある。 緩和策 設計段階において、森林伐採を最小化するような線形を検討する。また、植林を実施する際 には、その効果が最大限になるように植林の場所を選定するとともに、植生工の植物種は、草 本類の在来種を利用することで、生態系への影響を最小限に留める。供用後の交通量の増加に よる森林への影響および、植林の状況についてモニタリングを行い、必要に応じて追加的な植 林等の対策がとられるよう配慮する。 景観 沿道の景観が良い地点では、下図のようにカーブの改良によって生まれる平地を展望台や駐 車場として活用することで、ミゾラム州の観光資源の向上が期待できる。概略設計では、国道 54 号の対象区間で約 20 箇所の候補地を選定した。

Realignment

Possible Parking Space

出典: 調査団 図 12.5-8 展望台、駐車場のコンセプト

これに加えて、IRC:35-1997 に従って交通標識を設置することで、交通の流れを円滑化、渋滞 を緩和し、道路の景観改善につなげる。バスの乗客が乗り降りする際に路上にそのまま停車す ると、渋滞につながるだけでなく事故の危険がある。そのため、交通量が比較的多いエリアで は、バス停を設置し、バスの運行が他の車輌の通行の妨げにならないようにすることが望まし い。また、観光客が利用することを鑑み、場指定には公衆トイレやマーケットなどの施設を併 設することを検討する。公衆トイレのし尿・汚排水の処理方法は、維持管理が容易な汚水処理 タンクの設置、あるいは汲み取り式タンクの設置を提案する。バス停を設置する候補地点を以 下に示す。

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表 12.5-7 国道 54 号沿いのバス停候補地 Distance from Section Length Distance from Section Length No. Section Location No. Section Location Aizawl (km) (km) Aizawl (km) (km) 1 1 Aizawl - 22 2 Dawn 206 16 2 1 Zemabawk 4 4 23 2 Zobawk 219 13 3 1 Tuirial 22 18 24 2 Hrangchalkawn 222 3 4 1 Seling 38 16 25 2 Bualte 231 9 5 1 Thingsulthliah 42 4 26 2 Thualthu 243 12 6 1 Darlawng 53 11 27 3 Tawipui N-II 251 8 7 1 Tlungvel 57 4 28 3 Tawipui N-I 256 5 8 1 Phulmawi 61 4 29 3 Tawipui S 264 8 9 1 Khumtung 63 2 30 3 Thingfal 277 13 10 1 Baktawng 67 4 31 3 Lawngtlai 292 15 11 1 Chhingchhip 77 10 32 3 Saikah 311 19 12 1 Chhiahtlang 97 20 33 3 Paithar 314 3 13 1 Serchhip 107 10 34 3 Chawitlangpui I 316 2 14 2 Keitum 122 15 35 3 Sihtlangpui 319 3 15 2 Bungtlang 130 8 36 3 Kawlchaw 324 5 16 2 Rawpui 135 5 37 3 Zero Point 337 13 17 2 Pangzawl 148 13 38 3 Maubawk 354 17 18 2 Thiltlang 158 10 39 3 Theiva 355 1 19 2 Hnahthial 169 11 40 3 Theiri 363 8 20 2 Leite 182 13 41 3 Tuipang 379 16 21 2 Maudarh 190 8 出典: 調査団

自然災害 風化岩で構成される急勾配の既存の切土法面で多くの斜面崩壊が確認されており、斜面崩壊、 特に雨季における地滑りなどのリスクが高い。道路沿い擁壁工より上方の斜面の切土勾配は、 斜面の地質・土質状況により決定するが、軟岩斜面は IRC 基準より緩い勾配の 1:0.5 から 1:0.8 の 勾配で切土をするものとする。硬質な岩盤斜面は、より急な切土勾配が適用可能である。すな わち非常に硬質な岩盤斜面は、1:0.2 勾配で切土をする。一方で、脆弱化した風化岩や土砂で構 成される斜面は、緩い勾配で慎重に切土をする。浸食や表層崩壊の防止のため、また景観の向 上のために、切土法面のほとんどは、植生基材吹付工や播種工等を実施し、緑化する。生態系 への影響を最小化するため、植生工の植物種は、草本類の在来種を予定する。 表 12.5-8 切土勾配および斜面保護工に関する設計基準 IRC 基準* JICA 調査団による 切土 斜面保護工 分類 Cut Grade 岩盤/土砂分類 勾配 超硬岩 1:0.2 無処理 80 ~ 90 硬岩 リスクなし 無処理 degree 硬岩 1:0.3 岩盤 斜面リスクあり 法枠工 通常の 1:0.25 ~ 流れ盤以外 1:0.5 無処理 軟岩 軟岩 1:0.125 流れ盤 1:0.8 植生基材吹付工(t=5 cm) 通常の土/ 1:1.0 ~ 締まった土 1:1.0 播種工 土砂 重粘土 1:0.5 ルーズな土 1:1.2 播種工 *IRC: SP:48:1948 Clause 7.4 出典: 調査団

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Hard Rock Soft Rock Soil

出典: 調査団 図 12.5-9 切土法面標準断面図

気候変動により、対象地域の降雨強度は増加すると想定される。2021 年から 2050 年にかけて、 国道 54 号では 5-15%の年降水量の増加が予測されている。降雨強度の増加や頻度の増加、それ に伴う地下水位の上昇や浸食の発生は、斜面崩壊や地すべりを誘発し、直接道路に被害を与え るほか、道路排水機能を低下させ、降雨時の冠水被害や道路構造物の不安定化を引き起こす可 能性がある。こうした影響を緩和するため、斜面対策や排水溝などは予想される降水量の増加 に耐えうるデザインとする。以下に、道路設計に考慮にいれた気候変動に対する適応策を示す。

表 12.5-9 国道 54 号における気候変動適応策 項目 適応策を講じた設計方針 · 擁壁工を路線全線に設置する。 · 斜面保護工を風化・軟弱化している斜面に実施する。 · 切土斜面には、浸食・崩壊防止のため緑化工で覆う。 道路斜面 · 地すべり安定解析における目標安全率は、地下水位の上昇を考慮にいれ設定す る。 · 不安定な地すべりに対しては、抑止工を含む対策工を検討する。 盛土 · 盛土内には排水材を配置する。 · 降雨強度は、公認資料(ATLAS of Statewise Generalised ISOPLUVIAL MAPs of 橋梁および Eastern India, インド気象庁)をもとに慎重に決定する。等雨指数は、等雨線コ 排水系統 ンター間において高い方の数値を採用する。 · 全ての構造物の容量は、50 年確率流量に適した形で決定する。 · 片勾配を適正に設定する。 舗装 · 舗装材料は、表面温度が 60°C を超えないようなるものを検討する。 道路標識 · 風荷重と可視性を考慮する。 出典: 調査団

生活環境 大気質 高地に位置するという地形上、国道 54 号沿いの集落の大気質は全般的に良好である。対象区 間沿いには、大気汚染源となるような工業施設はない。大きな集落では渋滞が発生し、排気ガ スによる大気汚染が発生しているが、拡幅事業によりこれが改善されることが期待される。 インド国側で実施したフィージビリティ調査(DPR)では、2011 年 2 月に、対象区間沿いの 8 箇所で大気質調査が実施された。乾季の調査では、全ての項目で CPCB の基準を満たす数値とな っている。この先行調査を補完するため、本調査では、雨季直前となる 2015 年 4 月に、沿道 15 箇所で大気質の調査を行った。測定は、CPCB および環境森林省のガイドラインに従って行われ た。測定を行った地点の GPS 情報を以下に示す。

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表 12.5-10 大気質調査実施箇所 測定地点コード 場所 GPS 0 AAQ1 Puspak Junction 23 44'23"N 92044'30"E 0 AAQ2 Tuirial Village 23 43'08"N 92047'56"E 0 AAQ3 Tiungvel Village 23 36'22"N 92051'14"E 0 AQ 4 Baktawng 23 32'11"N 92050'57"E AAQ 5 Chhiahtlang 23022'39"N 92050'35"E AAQ 6 Serchhip 23019'57"N 92051'17"E AAQ 7 Keitum 23013'55"N 92054'40"E AAQ 8 Rawpui 23008'44"N 92053'52"E AAQ 9 Thiltlang 23001'14"N 92055'16"E AAQ 10 Leite 23054'06"N 92054'41"E AAQ 11 S. Tawipui 22040'22"N 92050'43"E AAQ 12 Thingfal 22037'08"N 92050'20"E AAQ 13 Lawngtlai 22031'33"N 92053'47"E AAQ 14 Kawlchaw E 22024'01"N 92057'28"E AAQ 15 Zero Point 22027'48"N 92057'27"E 出典: 調査団

対象地域の大気質は概ね良好である。下表に示す通り、PM10 の数値が基準をわずかに上回っ ている一箇所(AAQ1)を除けば、全ての数値は国の基準内におさまっている。PM2.5 の最大値 3 3 3 3 は 52.00µg/m 、最小値は 20.80 µg/m であった。SO2 は、最大が 7.30 µg/m 、最小が< 4.0 µg/m で ある。 表 12.5-11 大気質調査結果 パラメータ (µg/m3)・測定手法

測定地点 PM2.5 PM10 SO2 NOX CO 観測日 コード Jacob NDIR Gravimetric Gravimetric Improved West &Hochheiser Spectroscopy Method Method &Gaeke Method Modified Method Method AQ1 15.04.15 to 52.00 120.50 7.30 30.00 0.6 16.04.15 22.04.15 to 48.50 118.50 6.80 28.50 0.45 23.04.15 AQ2 15.04.15 to 32.50 65.20 <4.0 15.00 <100 16.04.15 22.04.15 to 30.00 65.20 <4.0 12.50 <100 23.04.15 AQ3 16.04.15 to 35.00 72.50 <4.0 12.50 <100 17.04.15 21.04.15 to 31.50 68.10 <4.0 10.00 <100 22.04.15 AQ4 16.04.15 to 38.50 72.50 <4.0 16.50 <100 17.04.15 21.04.15 to 32.80 68.20 <4.0 15.00 <100 22.04.15 12-43

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パラメータ (µg/m3)・測定手法

測定地点 PM2.5 PM10 SO2 NOX CO 観測日 コード Jacob NDIR Gravimetric Gravimetric Improved West &Hochheiser Spectroscopy Method Method &Gaeke Method Modified Method Method AQ5 17.04.15 to 32.50 72.50 <4.0 15.00 <100 18.04.15 20.04.15 to 28.50 68.20 <4.0 12.50 <100 21.04.15 AQ6 17.04.15 to 36.80 80.10 5.30 20.10 0.3 18.04.15 20.04.15 to 32.10 72.50 4.50 15.00 0.2 21.04.15 AQ7 18.04.15 to 28.10 62.10 <4.0 12.50 <100 19.04.15 19.04.15 to 24.50 58.10 <4.0 10.00 <100 20.04.15 AQ8 18.04.15 to 28.50 58.20 <4.0 12.50 <100 19.04.15 19.04.15 to 21.50 52.80 <4.0 9.50 <100 20.04.15 AQ9 24.04.15 to 31.50 72.50 <4.0 15.00 <100 25.04.15 30.04.15 to 28.50 65.20 <4.0 11.50 <100 01.05.15 AQ10 24.04.15 to 23.50 56.20 <4.0 10.00 <100 25.04.15 30.04.15 to 22.80 51.80 <4.0 8.50 <100 01.05.15 AQ11 25.04.15 to 28.50 56.20 <4.0 12.50 <100 26.04.15 29.04.15 to 21.80 51.80 <4.0 10.00 <100 30.04.15 AQ12 15.04.15 to 25.10 68.50 <4.0 11.50 <100 16.04.15 22.04.15 to 20.80 61.40 <4.0 8.50 <100 23.04.15 AQ13 15.04.15 to 36.50 86.50 5.10 20.10 0.35 16.04.15 22.04.15 to 32.80 76.20 4.50 15.00 0.2 23.04.15 AQ14 15.04.15 to 23.50 52.80 <4.0 11.50 <100 16.04.15 22.04.15 to 20.10 56.10 <4.0 9.50 <100 23.04.15 AQ15 15.04.15 to 31.20 81.20 4.80 18.50 0.3 16.04.15 22.04.15 to 28.50 76.50 4.50 16.50 0.25 23.04.15 24 Hourly National 60 100 80 80 2000 Ambient Air Quality (NAAQ) Standards & CO (8 Hourly) 出典: 調査団

工事前および工事中 建設資材の運搬などによる粉塵、工事用車輌や重機からの排ガス、砕石やアスファルト打設 などにより、工事中は局所的に大気質に悪影響がある。特に、アスファルトプラントは Sox や PM 等の排出源である。工事車輌の運行による排ガスも大気質に悪影響を及ぼす。現状の大気質 は、中央汚染管理局の定める基準内である。建設期間中、これらの数値が悪化することが予想

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されるが、影響は短期的、局所的なものに留まる。また、工事期間中の風向きによっては、工 事現場よりもその風下の場所でより大きな影響が発生する可能性がある。 供用後 交通量の増加に伴う排ガスの排出増は、大気質に負の影響を与える。また、車輌の速度が増 すことにより、走行による粉塵の発生も増えると考えられる。 緩和策 アスファルトプラントなどの排出源は、近隣集落から最低 500m 離れた場所に設置し、また法 令に従って粉塵や排ガスの発生を最小限にするように操業する。工事用車輌や重機は定期的に 点検を行い、州汚染管理局の基準を満たしているかどうかを確認する。また、工事現場やアス ファルトプラントの近くで定期的に大気質のモニタリングを行う。粉塵の発生を抑えるために 水撒きを行うとともに、建設物資を運搬する車輌には覆いをかける。また、建設現場の周辺に は植林/緑化を行う。 供用後も定期的な大気質のモニタリングを行い、また沿道の植生への影響を確認する。長期 的には、交通量の増加、特に大型車輌の増加は、沿道住民の健康に悪影響を及ぼすと考えられ る。交通量モデルから見積もった排出量を考慮しても、2035 年時点の大気質パラメータは基準 内に収まると予測されるが、影響緩和策として、速度制限の導入や渋滞緩和のための施策を検 討する。また、大気汚染による健康被害リスクについて、周辺コミュニティに周知し、マスク の配布などの対策を行う。今後の交通量増加の見通しについて州政府と交通需要や大気汚染増 加見通し等に関する情報共有を行い、上記施策の実施の必要性について協議を行う。モニタリ ング地点・頻度は、モニタリング計画に準ずる。 水質 国道 54 号の対象区間は、大小 4 つの河川(River Tuirial, Tuichang, Mat, ChimTui Pui およびその 支流)を横断し、また雨水が自然に流れる斜面を通過する。また、沿道には水路や池があり、 工事によって影響を受ける可能性がある。 インド国による準備調査では、乾季(2011 年 2 月)の水質調査が実施された。また、雨季前の 水質調査として、2015 年 4 月から 5 月にかけて、表流水、地下水、コミュニティの水タンクそれ ぞれについて調査を行った。乾季、雨季前どちらの調査においても、表流水については鉄分や 大腸菌等の数値が基準値を超えており、飲用には適さない水質であった。水質調査を行った箇 所と調査結果を下表に示す。 表 12.5-12 水質調査結果(表流水) Tuichang river Mat river ChimTuiPui river Limits IS: パラメータ Tuirial river (Near Keitum (Near Leite (Kalchaw E) 10500 village village) pH 6.78 6.82 7.17 6.68 6.6 to 8.5 Color (Hazen unit) 1 1 1 1 - Suspended Solid (mg/l) 11 12 <10 18 - DO 5.4 5.6 5.6 5.2 - BOD (mg/l) 23 20 18 25 - COD (mg/l) 87.48 68.04 68.04 87.48 - Total Kjeldahl Nitrogen (mg/l) 6.5 4.5 5.5 7.5 - Total Hardness (mg/l) 40 30 20 30 300 Calcium (mg/l) 8.42 6.41 4.41 7.21 75 Magnesium (mg/l) 4.56 3.36 2.16 2.88 30 Ammonia (mg/l) 2.5 1.8 2 2.8 - Electric Conductivity 277.7 154.3 107 169.6 - Chloride (mg/l) 16.97 11.32 11.32 10.37 250 Sulphate (mg/l) 39 5 6 17.5 200 Phosphate (mg/l) 0.8 0.7 0.75 0.9 - 12-45

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Tuichang river Mat river ChimTuiPui river Limits IS: パラメータ Tuirial river (Near Keitum (Near Leite (Kalchaw E) 10500 village village) Nitrate (mg/l) 4.8 3.5 5.2 3 45 Fluoride (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 1 Arsenic (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 0.05 Lead (mg/l) <0.088 <0.088 <0.088 <0.088 - Mercury (mg/l) <0.0001 <0.0001 <0.0001 <0.0001 0.05 Phenols (mg/l) <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 - Cyanides (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 - Total Dissolved solid (mg/l) 178 99 69 109 500 Iron (mg/l) 0.3 0.49 0.31 0.36 4.34 Total Coliform / 100 ml 1.6 x 103 1.2 x 103 1.5 x 103 1.8 x 103 Faecal Coliform/ 100 ml 5.1 x 102 4.3 x 102 4.8 x 102 6.2 x 102 Note: <1 indicate No Colony developed in 1 ml. Sample <10 indicate No Colony developed in 0.1 ml. Sample <100 indicate No Colony developed in 0.01 ml. Sample 出典: 調査団

地下水は、現地で日常的に利用されており、事業によって地下水が汚染されることがあれば、 現地コミュニティに大きな影響がある。沿道 5 村落で実施した地下水の水質調査結果を以下に示 す。鉄分の含有率が基準以上であるが、その他のパラメータは概ね基準内の数値であった。カ ドミウムや鉛、ヒ素といった重金属による汚染は無く、また大腸菌も無く、表流水と比較して 水質は良好である。 表 12.5-13 水質調査結果(地下水) Desirable Permissible limit as Tuirel Keitum Thiltlang Leite Lawngtlai Limit as per per BIS 10500 in パラメータ village village village village village BIS 10500 absence of alternate source pH 7.02 6.25 6.69 7.34 6 6.5-8.5 No Relaxation Color - - 1 1 1 1 1 (Hazen unit) Odor Odorless Odorless Odorless Odorless Odorless - - Electric - - 510.9 170 461 503.1 213.3 Conductivity Total Dissolved 500 2000 327 109 295 322 250 solid (mg/l) Bicarbonate - - 59.78 30.5 51.24 74.42 80 (mg/l) Total Hardness 300 600 45 40 50 60 50 (mg/l) Calcium (mg/l) 10.02 8.82 11.2 14.03 11.62 - - Magnesium 30 100 4.8 4.32 5.28 6 5.04 (mg/l) Chloride (mg/l) 14.14 16.97 17.92 10.37 15.08 250 1000 Sulphate (mg/l) 4.5 5.5 5.5 10 19.5 200 400 Phosphate - - 0.6 0.8 0.86 0.5 0.8 (mg/l) Nitrate (mg/l) 4.5 3.8 4 3.5 4 45 100 Fluoride (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 1.0 1.50 Arsenic (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 - - Lead (mg/l) <0.088 <0.088 <0.088 <0.088 <0.088 0.05 No relaxation Mercury (mg/l) <0.0001 <0.0001 <0.0001 <0.0001 <0.0001 - - Phenols (mg/l) <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 - -

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Desirable Permissible limit as Tuirel Keitum Thiltlang Leite Lawngtlai Limit as per per BIS 10500 in パラメータ village village village village village BIS 10500 absence of alternate source Cyanides - - <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 (mg/l) Iron (mg/l) 7.4 9.74 1.56 4.05 13.82 0.30 1.00 Total Colirom / - - <100 <100 <100 <100 <100 100 ml Faecal - - Coliform/ 100 <100 <100 <100 <100 <100 ml Note: <100 indicate No Colony developed in 0.01 ml. Sample 出典: 調査団

3 村落に設置してある、コミュニティの水タンクの水質結果を以下に示す。調査した全ての地 点で、良好で、飲用にも適する水質であった。 表 12.5-14 水質調査結果(コミュニティの水タンク) Standard パラメータ Serchhip Tawpui village Zero point (IS10500) pH 7.49 7.47 7.38 6.5-8.5 Color (Hazen unit) 1 1 1 5 Odor Odorless Odorless Odorless Unobjectionable Electric Conductivity 170.9 408.5 173.6 Total Dissolved solid (mg/l) 110 262 111 500 Bicarbonate (mg/l) 29.28 50.02 29.28 Total Hardness (mg/l) 20 30 20 300 Calcium (mg/l) 4.81 7.21 4.01 75 Magnesium (mg/l) 1.92 2.88 2.4 30 Chloride (mg/l) 7.54 7.54 12.26 250 Sulphate (mg/l) 6 30 6.5 150 Phosphate (mg/l) 0.81 0.68 0.86 Nitrate (mg/l) 1.5 2.8 1.5 45 Fluoride (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 0.6-1.2 Arsenic (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 0.05 Lead (mg/l) <0.088 <0.088 <0.088 0.1 Mercury (mg/l) <0.0001 <0.0001 <0.0001 0.001 Phenols (mg/l) <0.001 <0.001 <0.001 0.001 Cyanides (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 0.05 Iron (mg/l) 0.3 0.06 0.15 0.21 Total Colirom / 100 ml Must not be <100 <100 <100 detected Faecal Coliform/ 100 ml Must not be <100 <100 <100 detected Note: <100 indicate No Colony developed in 0.01 ml. Sample 出典: 調査団

工事前および工事中 国道 54号の対象区間は、4 つの河川およびその支流を通過する。工事期間中は、河川への流出 が増える可能性があり、河川や水路での土砂の沈殿が発生する可能性があるが、工事を行う橋 梁は規模が非常に小さく、乾期には枯れ川となる小さな水流であり、また工事は乾季に実施す るため、河川への影響は無いと考えられる。工事期間中の工事キャンプからの排水、また工事 用車輌からの燃料や油の漏出が水質へ悪影響を及ぼさないよう、適切に処理を行う必要がある。

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また、自然の水路や排水路が工事によって影響を受け、水の流れが変更される可能性があるが、 影響は短期的であり、それによる水質への影響は小さいと考えられる。 工事中の水の利用−コンクリート打設や工事労働者による水の利用−が、地元の水需要を逼迫 させないよう、水道水は飲用のみに限って利用することとし、それ以外の水は表流水や溜池の 水を利用することが望ましい。 供用後 供用後は、通行車両からの廃棄物や漏れた燃料や油が水質汚染を引き起こす可能性があるが、 その影響は小さい。また、既存の概略設計による自然の水路の改変は最小限であり、それによ る水質への影響も非常に小さいと考えられる。 緩和策 工事による水質への影響を防止するためにも、雨季の工事、特に河川や水路近くの工事は避 けるべきである。また、工事期間中には、沈殿や水質汚濁を防止するためのトラップなどを設 置し、影響緩和を行う。工事から生じる廃棄物は、州汚染管理局の定める規則に従って処理し、 それらが水路を塞いだり、また水質に悪影響を及ぼさないようにする。燃料や油の漏れを防止 するためにも、工事用車輌や重機は定期的にメンテナンスを行い、また給油は定められた場所 で、適切に行うとともに、オイルバリアなどのトラップを設置する。水路に繋がる斜面では、 廃棄物や排水が直接流れ出さないように配慮する。もし油が流出した場合は、吸着剤や土の入 れ替えなどにより、影響拡大を防止する。 工事キャンプに設置するトイレからの排水が直接河川や水路へ流れ込まないよう、トイレの デザインや設置場所に配慮する。また、事業によって現地コミュニティの水利用に影響が出な いよう、事業者は適切な配慮を行う。工事のために必要な水が現地で得られず、井戸を掘る必 要がある場合は、事前に地下水管理機構の許可を取得する。 底質 河川や水場近辺での工事の際には、土砂の流出を防ぐためのトラップを設置する等の配慮を 行う。概略設計では、2橋の架替えが予定されているが、どちらも規模が非常に小さく、乾期 には枯れ川となる小さな水流であるため、河川底質への影響は無い。また、新設が提案されて いる橋梁は河川ではなく谷地形部の橋梁であり、こちらも河川への影響はない。 土壌汚染 工事前および工事中 建設工事中に出る廃棄物により、土壌汚染が起きる可能性がある。特に、建設キャンプでの 作業員の生活から発生する廃棄物や排水、資材置場やアスファルトプラントからの廃棄物は、 適切に処理されなければ大きな汚染源となる。工事用車輌や重機が駐車している場所では、燃 料や油の漏れによる汚染リスクがある。 供用後 供用後は、交通事故で生じる燃料や油の漏れによって土壌が汚染される可能性がある。発生 する可能性は低いが、大きな事故が起きた場合の影響は大きい。 緩和策 工事現場での車輌や重機の給油は、燃料漏れが起きないよう定められた場所で、定めれらた 手順で適切に行う。また、燃料の保管は、水場や排水溝から離れた場所で行う。また、給油、 燃料保管ともに、農地の近隣は避ける。油や石油製品は規則に従って廃棄し、現地環境に影響 が出ないように配慮する。また、土壌への影響を最小限にするため、切土盛土は設計に従って 行い、不要な残土が発生しないようにする。また、再利用可能な廃棄物は、アスファルト素材 等として可能な限り再利用する。 供用後は、沿道の給油所や洗車場からが土壌汚染の源とならないよう、適切にモニタリング を行うとともに、燃料漏れが発生した場合は、吸着剤や土の入れ替えなどにより、影響拡大を

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防止する。展望台やバス停に設置される公衆トイレについては、環境影響を最小化するよう、 維持管理が容易な汚水処理タンクの設置、あるいは汲み取り式タンクの設置を検討する。 地盤沈下 道路インベントリ調査では、多くの箇所で地盤沈下が起きていることが確認された。改良工 事では、コンクリートの厚みを十分にとり、また排水溝を整備することで対策を行う。地盤沈 下対策の標準断面図を以下に示す。

1m Replacement of Subgrade Subsurface Drainage

出典: 調査団 図 12.5-10 地盤沈下対策の標準断面図 騒音、振動 道路事業では、工事に伴う騒音は重要な環境影響である。インド側の DPR 作成時には、19 箇所で騒音測定が実施された(2011 年 2 月)。これに加え、雨季前の測定として、以下の 15 箇所 で騒音測定を行った。両期とも、一部の箇所で騒音レベルが中央汚染管理局の定める基準を超 えており、特に病院や学校などの施設近隣では速度制限や防音壁などの騒音対策が必要である ことが確認された。 表 12.5-15 騒音測定結果 騒音レベル Leq.dB(A) Sr. No. 調査地点 日中 (07.00 AM to 11.00 PM) 夜間 (10.00 AM to 12.00 PM)

Lmin Lmax Leq Lmin Lmax Leq 1 Pushpak Junction 58.4 70.5 66.51 46.2 53.8 48.16 2 Tuirel village 52.5 64.2 60.22 35.1 46.3 35.28 3 Tlungvel village 52 66 61.22 36.8 47.2 38.5 4 Bktawang village 52.9 65.3 60.52 37.8 46.5 40.18 5 Chhiahtlang village 50.4 65.7 60.81 34.2 43.8 36.28 6 Serchhip (NT) 54.6 65.1 60.25 42.3 51.2 46.2 7 Keitum village 56.5 65 61.79 35.2 41.8 36.28 8 Rawpui village 55.8 64.7 61.13 34.2 48.5 38.12 9 Thiltlang village 50.4 60.4 56.78 32.5 41.8 37.5 10 Leite village 45.9 54.8 50.66 34.2 42.6 38.12 11 S. Tawipui village 53 59.1 56.48 32.5 41.5 35.18 12 Thingfal village 51 61.3 57.25 34.8 43.5 37.78 13 Lawngtlai (NT) 54.3 62.4 58.68 46.2 53.2 48.5 14 Zero point village 52.8 64.5 58.88 32.8 43.8 35.12 15 Kawlchaw village 54.8 64.5 59.63 38.5 42.5 40.18 出典: 調査団

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表 12.5-16 インド国の騒音基準(LeqdB(A) 日中 夜間 エリア/ (6.00 AM to 9.00 PM) (9.00 PM to 6.00 AM) 分類 Standard Standard 工業 75 70 商業 65 55 住宅 55 45 静謐 50 40 出典: CPCB

工事前および工事中 工事期間中の主な騒音、振動源は、工事用車輌や重機、アスファルトプラントなどである。 下表に示すように、工事期間中の騒音レベルは、80 - 95 dB (A)程度と想定される。

表 12.5-17 工事用車両および機材の騒音 建設機械 騒音レベルdB(A) Bulldozer 80 Front end loader 72-84 Jack hammer 81-98 Crane with ball 75-87 Crane 75-77 Bulldozer 80 Backhoe 72-93 Front end loader 72-84 Cement & Dump trucks 83-94 Jack hammer 81-98 Scraper 80-93 Welding generator 71-82 Grader 80-93 Roller 73-75 Concrete mixer 74-88 Concrete pump 81-84 Concrete vibrator 76 Paver 86-88 Truck 83-94 Tamper 74-77 Air compressor 74-87 Pneumatic tools 81-98 出典: U.S. Environmental Protection Agency, noise from Construction Equipment and Operations. Building Equipment and Home Appliance. NJID. 300.1. December 31, 1971

現在の騒音レベルは、一部の箇所を除けば基準内であるが、工事期間中には短期的ではある が基準を超える騒音が発生すると考えられる。一シフト8時間として、ACGIH (American Conference of Government Industrial Hygienists) では、8 時間の騒音を 85 dB(A)内にすることが提言 されており、労働者の健康対策としても、出来る限り上記基準を順守することが望ましい。

供用後 供用後は、拡幅による渋滞緩和により、エンジン音やクラクションなどによる騒音は低減す ることが期待される。一方で、交通量が増加、特に大型トラックが増加は、騒音の増加につな がると考えられる。 12-50

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緩和策 騒音は、近隣の住民や作業員に負の影響をおよぼす。緩和策として、以下の対策を実施する。 • アスファルトプラント等の機材は、全て中央汚染管理局の基準を満たすものを使用する。 また車輌は定期的にモニタリングを行い、基準以上の騒音が発生しないよう配慮する。 • 大きな騒音が発生する現場で働く作業員は、耳栓やヘルメットなどを装着する。また、 同じ作業員が大きな騒音が発生する現場で働き続けることがないような作業シフトとす る。 • 建設現場が村落から150m以内にある場合は、夜間の工事は出来る限り行わない。また、 アスファルトプラント等の騒音源は、学校や病院等の施設から 500m 以上離れた場所に 設置し、必要に応じて防音壁などの対策をとる。 • 建物の解体や土工などを行う時間を分散することで、同じ時間帯に騒音が発生しないよ う配慮する。また、騒音が発生する諸作業を分散して行うことで振動を抑える。 • 工事期間中は、仮の標識等を設置することで渋滞の発生、またクラクションによる騒音 が発生しないよう配慮する。 • 騒音振動のバリアとして、沿道緑化を行う。

廃棄物/有害物質 建設工事では、アスファルトやコンクリート、廃材や残土、また作業員のゴミなどの廃棄物 が発生する。環境管理計画では、一般的な建設事業における廃棄処理手続きを提案しているが、 その内容は最終的な線形デザインや工事のスケジュールに応じて更新される必要がある。

国道 54 号についての概略設計の結果、必要な残土処理量は、下表に示すとおり Sec.I~Sec.III についてそれぞれ約 2.40 百万 m3, 2.44 百万 m3, 2.47 百万 m3 となった。

表 12.5-18 残土処理量

発生土量 変化率 締固め後の 道路 工区 項目 単位 必要な残土処理量 (ほぐした土量) (締固め) 土量

Cu.m Cu.m Cu.m 切土 cu.m 3,442,909 0.9 3,098,618 I 2,400,495 盛土 cu.m 698,123 切土 cu.m 3,710,629 0.9 3,339,566 II 2,437,522 国道 盛土 cu.m 902,044 54号線 切土 cu.m 3,560,596 0.9 3,204,536 III 2,465,129 盛土 cu.m 739,407 合計 7,303,146

出典:調査団

本調査では以下の条件にて上記必要となった残土処理として土捨て場の選定を行った。  平均して約 5km ごとに以下の条件にて適切な候補地を選定した。  地形の形状がく凹型地形となっていること  地山の傾斜が 22 度未満であること(想定する土捨て場の盛土傾斜角(小段を含む)よ りも勾配が緩いこと)  市街化されていない地域であること  自然保護区がないこと  高さ 30m 以下の規模で土捨て場が建設できること

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上記条件にて 381km の総延長に対し、沿道に 115 ヵ所の土捨て場候補地を選定した。この内、 Sec.I、Sec.II 及び SecIII ごとに、41、32、42 ヵ所を選定しており、土捨て場の許容量はそれぞれ 2.43、2.90、2.51m3 と想定している。場所の詳細については、7 章を参照のこと。

社会環境 非自発的住民移転 概略設計に基づいた用地取得では、合計 2,037 世帯が事業によって影響を受ける。そのうち、 1,971 世帯が住居、66 世帯はティーストールやレストランなどの商業施設である。被影響住民の 総数は 8230 人である。これらの世帯のうち、1,307 世帯(1,265 世帯が住民、42 の商業施設)が 非自発的住民移転の対象となる。残りの 730 世帯は、影響を受けるが、移転の必要はないと考え られる。 土地利用 本事業は既存道路の拡幅であり、地域の土地利用を大規模に改変するものではない。一方、 残土処理のための土捨て場では、森林が伐採されるなど、既存の土地利用が変更となり、焼畑 やその他住民の生計に影響が発生する可能性がある。また、供用後に、道路脇の斜面で焼畑農 業が行われた場合、斜面の緑化等の斜面対策の効果が損なわれる恐れがある。道路に隣接する 箇所での焼畑は避けることが望ましいが、これについては、住民および村落の VC との協議が必 要である。 地域資源利用、地域経済と生活・生計 本事業では、砂や石など、大量の地域資源が利用される。短期的には、建設工事にこうした 資源が使われることで、他の需要を圧迫する可能性がある。また、拡幅工事が完了し、外部か らの物資や人の流入が活発化すれば、地元の雇用や商店の営業に負の影響が発生する可能性が ある。交通網の改善は、長期的には地域経済を活性化させ、現地住民の生活に資するものであ るが、上記のような短期的、中期的なリスクには十分な配慮が必要であり、生計回復案の作成 に際しては、こうした点に注意を払う必要がある。 また建設工事中は、コミュニティ林や焼畑、プランテーションを通過する区間については、 住民のアクセスが阻害されないような工事計画にするとともに、工事による排水や土砂流出に よる悪影響が出ないよう配慮する。 基本計画、地域/都市計画 交通網の改善は、村落や地区の開発にとって新たな機会となる。特に、大量に発生する残土 を活用すれば、村落に平地を造成し、グラウンドやコミュニティホールなどの用地として利用 することが可能となる。また、交通網の改善は様々な経済開発を呼びこむことが予想されるが、 無秩序な商工業目的あるいは住居目的での開発による累積的な自然生態や森林への影響に対し て、秩序ある土地利用が維持できるよう VC と協議を行う。 社会組織や地域の意思決定組織 国道 54 号の対象区間では、様々なミゾ部族および少数民族が平和的に共存している。事業が 既存の社会組織に混乱をもたらすことのないよう、住民移転は出来る限り、同じ村落内で行う ようにする。部族社会であることから、VC や地域の慣習的なリーダーは地域の意思決定に大き な影響力を持ち、事業の円滑な実施には彼らの支持が不可欠である。環境管理計画の実施や、 住民移転、生計回復策の実施にあたっては、外部の専門家主導ではなく、既存の社会組織を活 用し、現地住民にとって馴染みのある形で行うことが望ましい。 社会インフラや社会サービス 国道沿いの住民にとっては、国道は唯一のインフラであり、病院や学校などのサービスを利 用するのに不可欠なものである。建設工事により、渋滞が発生し、こうしたサービスへのアク セスが短期的に阻害されることが予想されるが、工事の日程や時間は、地元住民の生活への影

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響が最小限になるように策定される必要がある。発破作業を行う際など、道路を塞いで作業を 行う必要がある場合は、周辺村落に事前に周知し、影響が最小限になるよう配慮する。 被害と便益の偏在、地域内の利害対立 現地で商業を営む人間にとっては、国道に直接面した土地は非常に重要であり、沿道からよ り内側の土地への移転は、レストランや小売店などにとって致命的な影響を及ぼす可能性があ る。この点で、商業従事者は、農家よりもより大きな影響を受けることが予想される。また、 どの場所へ移転できるか、という点によっても、長期的な経済的影響に大きな違いが出ること が予想され、これが利害の対立を生む可能性がある。VC などの協力を得て、公平に移転および 生計支援を推める必要がある。 水利用、水利権及び共同体の権利 対象地域では灌漑は行われておらず、水利権が地域内の衝突原因になるとは考えられない。 文化的・歴史的遺産 対象道路沿いには、重要な文化、歴史的遺産は確認されていない。 宗教施設、配慮を要する施設(例:病院、学校、,精密機械工場) 本事業により、合計8つの小規模な教会など宗教施設が影響を受けると予想される。ミゾ族 社会での宗教の重要性を考えれば、詳細設計段階で、こうした施設への影響を避ける、あるい は最小限にするための線形を検討すべきであり、また工事期間中には、こうした施設へのアク セスが阻害されないよう配慮が必要である。特に、日曜日の礼拝時に、教会へのアクセスが塞 がれないようにすることは重要である。また、学校や病院の近隣では、通常よりも厳しい騒音 や振動基準を適用することを検討する。 貧困層 ベースライン調査では、公的な統計による貧困層の数と、聞き取り調査で自分を貧困層とす る世帯数に大きなギャップがあった。生計回復策の策定にあたっては、一回の金銭支払で終わ らせるのではなく、貧困層のキャパシティに十分配慮し、彼らが持続的に生計を回復できるよ うな案を検討する。 少数民族/先住民族 ミゾラム州では、指定部族(ST)に属する住民が全人口の 95%であり、また被影響住民の大 多数も ST である。このことから、インドの他の地域とは異なり、ST は「少数」民族ではない。 また、彼らは焼畑や伝統的な慣習、祝祭といった文化を保持しているものの、他部族とも自由 に交流しており、決して外部から隔絶された集団ではない。 ジェンダー 女性の高い識字率からも明らかであるように、ミゾラム州を含む北東州では、民族にかかわ らず男女格差は比較的小さく、社会で重要な位置に付いている女性も多い。ミゾ族の女性は、 家庭での仕事、森での採集、薪や水の収集などの作業に従事していることが多いが、特に後者 については、道路事情が改善することにより作業の労力が軽減されることが期待される。女性 が特に大きな影響を受けないよう、EIA 報告書では女性についての方針や配慮をまとめた章を作 成し、工事に伴い発生する雇用機会のうち、女性でもできる仕事については優先的に女性を雇 用するなどの施策を提言している。 公衆衛生、労働安全衛生 設計、工事中、および供用後の対策例を下表に示す。

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表 12.5-19 公衆衛生関連の施策例 設計段階 カーブの改良 カーブのデザインを、IRC-86-1983 “ Geometric Design for Road in Plains”に沿って改良する 工事中 水の汚染や不衛生な状態か 全ての現場で、良質な飲用水を用意し、またキャンプでの水質汚染 ら起きる作業員の健康被害 防止のため、生活排水が水場や河川を汚染しないように側溝を設け るなど配慮する。また、現場には常備薬と救急キットを用意する 女性作業員へのセクハラや 建設キャンプでの女性と男性の宿泊地を分ける 性的暴力 建設現場の衛生 作業員が宿泊するキャンプやトイレなどの衛生状態を良好な状態に 保ち、また生活排水が水場や河川を汚染しないように側溝を設ける など配慮する。また、工事中は廃棄物を適切に処理し、終了後は建 物を解体し、現場の植生等の回復を行う 砕石場や土砂の採取場の穴 作業終了後は、埋め立て、植林等を行い、水がたまらないように配 が、マラリアを媒介する蚊 慮する。 などの発生源となる 事故 作業員は、ヘルメットや手袋など、適切な防具を身につけて作業を 行う。また、作業は全て安全上の基準や手続きに従って行う 爆発物の管理 現場責任者の許可がある場合のみ、発破作業を行う。爆発物の管理 や輸送には十分な注意を払い、また使用に必要な許認可は事前に取 得する。また、周辺住民にも事前に周知する。

マラリア 蚊の発生源となる水たまりを埋めるなどの対策を講じる 供用後 交通事故 住宅密集地には、交通標識を設置するなどして事故防止につとめ る。また、歩行者の安全確保のために横断歩道などを用意する。 出典: 調査団

その他

事故 工事前および工事中 建設工事中の様々な活動—道路脇の植生の伐採、構造物の撤去などは、適切に実施されなけれ ば事故の原因となりうる。車輌の運行についても同様である。工事中、特に周辺村落の住民に とっては、交通安全は重要な問題であり、資材を運ぶトラックなどによって視界が遮られたり、 また渋滞が発生したりすることが事故に繋がらないよう、配慮が必要である。事故が発生した 際に即時対応できるよう、作業員には近隣の病院の場所などを周知し、また救急キットを現場 に用意しておく。 供用後 供用後は、本事業で実施される標識やカーブミラーの設置など、またカーブの改良などによ り、交通安全は向上する一方、通過交通の速度が増せば、事故のリスクも増大すると予想され る。

緩和策 国道 54 号は山岳道路であり、ヘアピンカーブなど視界が悪い箇所が存在する。そうした箇所 ではカーブにはミラーを設置し、またガードレールを設置するなどの安全対策を通じて、事故 のリスクを軽減する。また、ヘアピンカーブでは時速 20km の速度制限を導入し、事故防止につ とめる。

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既存の橋梁をそのまま利用する箇所では、道幅が一時的に狭くなるが、路肩に標識を設置す るなどしてドライバーに周知し、事故につながらないよう配慮する。国道が通過する村落区間 では、バス停や横断歩道などの位置がはっきり分かるような標識を設置し、ドライバーが十分 に注意して走行できるようにする。 気候変動 工事期間中、工事用車輌の運行や渋滞により、温室効果ガスの排出量が増加すると予想され るが、影響は小さい。供用後は、交通量が増えることで、長期的な排出量増加が予想されるが、 道路の舗装状況や排水施設などの適切に維持管理を通じて、排出量の増加を軽減する。また、 大気質、交通量にかかる情報を SPCB 等関連機関と共有し、影響緩和策について協議を行う。

12.5.9 環境管理計画 上記の影響評価結果および緩和策の検討に基づき、事業の各段階における環境管理計画を下 表のように策定した。

12-55 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.5-20 環境管理計画(工事前) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督  RAP で定めた住民移転にかかる全ての作業 対象区間全域 工事前 P1 が、建設工事開始前に終了する。これに 州政府、地区政 府、VC, NGO 非自発的住民移転 は、用地の取得、ユティリティの移転、補 PIU, SC 償の支払い、移転支援の提供などが含まれ

る  最終線形確定時に、植生の伐採が最小限と 対象区間全域 工事前 P2 なるように配慮する (植林作業や管理は  森林伐採許可を取得してから伐採を行う 工事開始後も継続し PIU, Contractor, PIU, SC, Forest 植生の伐採  森林局と合意した内容で植林を行う て行う) Forest Dept. Dept.  密漁を防止するため、作業を適切に監督す る  集落から最低 500m 離れたところに建設す 建設キャンプ予定 工事開始前、工事 P3 る 地全て 中、建設終了後の解  作業員の宿舎からの排水や廃棄物が土壌や 体 建設キャンプの造成 水源を汚染することがないような設計とす Contractor PIU, SC る。特に、地下水を汚染することがないよ うに配慮する  集落や農地から十分離れた場所に設置する 全てのアスファル 工事開始前、工事 P4 アスファルトプラントの設置  可能な限り、集落から 1000m以上離れた場 トプラント 中、建設終了後の解 Contractor PIU, SC 所とする 体  VC 等と協議の上、候補地を最終化する 土捨て場として選 工事開始前 P5  希少な生物種が観察された場所は避ける。 定された箇所 土捨て場の最終決定 水の流れへの影響が最小限となるようにす Contractor PIU, SC る 対象区間全域 工事開始前  地すべり等のリスクが高い場所を(改め Contractor P6 地すべり等災害リスクが高い場所 て)確認し、SC および PIU へ報告する PIU, SC の 必要に応じて追加の斜面対策を講じる  P7  土地の補償を希望する住民や VC と協議の 村落近郊で選定さ 工事開始前 移転地の決定と造成(金銭でな 上、場所を最終化する れた場所 PIU PIU く、土地—土地の補償を行う場合)  造成し、電気や水道などのユーティリティ を備え付ける 出典: 調査団 12-56 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.5-21 環境管理計画(工事中) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 土壌 C1 土取場での土壌侵食  土取場の深さを制限し、斜面が急に 土取場 建設工事中 Contractor and PIU なりすぎないようにする Supervision Consultant C2 土取場での表土の喪失  農地や生産性の高い土地は避ける 土取場 建設工事中 Contractor and PIU  やむを得ずそうした土地で作業する Supervision 場合は、表土を保全し、のちに埋め Consultant 戻す C3 土の圧迫  工事用車輌や重機の移動が、農地な 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU どの土壌を固めてしまわないように Supervision 配慮する Consultant C4 盛土の土壌侵食  IRC のガイドラインに則って作業を 盛土箇所 建設工事中 Contractor and PIU 行う Supervision Consultant C5 燃料や潤滑油による土壌汚染  車輌から燃料や油が漏れないよう適 建設現場他 建設工事中 Contractor and PIU 切に管理する Supervision  燃料や油は、排水路や水場から十分 Consultant 離れた場所で保管する C6 工事で発生する廃棄物による土壌汚染  既存の舗装やカルバートなどは、可 土捨て場、廃棄物処 建設工事中 Contractor and PIU 能な限り再利用する 分場 Supervision  廃棄する場合は、現地の定められた Consultant 処分場で処分する  残土は、土捨て場へ運ぶ C7 用地取得に伴う表土の喪失  可能な限り、表土は保全し、後に埋 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU め戻す Supervision Consultant 水質 C8 燃料や潤滑油による水質汚染  車輌から燃料や油が漏れないよう適 建設キャンプ、建設 建設工事中 Contractor and PIU 切に管理する 現場 Supervision  燃料や油は、排水路や水場から十分 Consultant 離れた場所で保管する

12-57 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C9 建設現場の汚水による水質汚染  建設作業員の宿舎は、水場近くに設 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 置しない Supervision  維持管理が容易な汚水処理タンクの Consultant 設置、あるいは汲み取り式タンクを 設置し、汚水を垂れ流しにしない C10 建設工事で発生する埃や粉塵が井戸に  井戸に蓋を取り付け、粉塵が井戸水 道路脇の井戸 建設工事中 Contractor and PIU 悪影響 を汚染することを防止 Supervision Consultant C11 飲料水を建設工事に利用(し、近隣村  工事で水を利用する場合は、近隣村 建設現場および作業 建設工事中 Contractor and PIU 落の水需要を逼迫) 落の水需要を逼迫しないよう配慮す キャンプ Supervision る Consultant  建設作業員の宿舎についても同様 C12 道路脇の井戸が拡幅で影響を受ける  移転/移築する、あるいは代替となる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU ものを提供する Supervision Consultant C13 道路脇の貯水槽が拡幅で影響を受ける  移転/移築する、あるいは代替となる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU ものを提供する Supervision Consultant C14 自然の水の流れ、水文の改変  水文分析に基づいて排水施設を設置 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU し、影響を緩和する Supervision Consultant C15 建設作業員の宿泊所からの排水、廃棄  作業員の宿泊所は、集落から離れた 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 物 場所に建設する Supervision  汚水は垂れ流しにせず、適切に処理 Consultant する 大気質 C16 工事用車輌や重機からの排気ガス  全ての車輌や機材は定期的にメンテ プラント設置場所、 建設工事中 Contractor and PIU ナンスを行い、良好かつ環境基準を 建設現場 Supervision 満たす状況であることを確認する Consultant  無鉛のガソリンやディーゼルのみを 使用する C17 アスファルトプラント他からの排出  アスファルトプラント等は、集落か プラント設置場所 建設工事中 Contractor and PIU ら 500m 以上離れた風下の場所に設置 Supervision する Consultant C18 大気汚染が CPCB の定める基準を超え  定期的に大気質のモニタリングを実 モニタリング計画に 建設工事中 Contractor and PIU るリスク 施し、状況を確認する 準じる Supervision Consultant 12-58 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C19 埃や粉塵  水撒き等により、埃や粉塵の発生を 埃が発生する作業、 建設工事中 Contractor and PIU 抑える また病院や学校など Supervision の近隣 Consultant 騒音 C20 車輌やアスファルトプラントからの騒  工事には、CPCB の基準を満たす車輌 建設工事現場、プラ 建設工事中 Contractor and PIU 音 や機材のみを使用する ント Supervision  使用していないときはエンジンを止 Consultant める  教会や学校などの近くで作業を行う 際には作業時間や日程などに十分配 慮する  定期的に騒音モニタリングを実施 し、騒音基準を超える場合は防音壁 の設置などの対策をとる C21 発破作業の騒音  発破作業は法に定める手続きに則っ 発破作業を行う場所 建設工事中 Contractor and PIU て実施する 全て Supervision  近隣集落の住民には事前に周知する Consultant  作業員は耳栓を着用し、影響緩和す る C22 防音壁  センシティブな区間について防音壁の 学校や病院、その他 建設工事中 Contractor and PIU 設置をおこなう。 のコミュニティ施設 Supervision 周辺 Consultant 生態系 C23 拡幅にともなう樹木の伐採  伐採する樹木一本に対して 3 本の植林 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU を行う Supervision  樹木の伐採は、森林伐採許可を取得し Consultant

た後に行う Forest Dept.  植林の実施は、森林法に則り、また森 林局とガイダンスの元に行う

12-59 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C24 希少な生物種への影響  建設工事中に希少種が確認された場合 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU は、作業を一時中止し、影響緩和の対 Supervision 策を取る Consultant  標識の設置を行い、絶滅危惧種の目視 情報に関する報告制度等の推進につい て州政府環境森林局と協議を行う  生態系に関するモニタリングを EIA 調 査同様の調査手法で実施する。 衛生 C25 水の汚染による健康被害  基準を満たす飲料水を建設現場に常備 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU し、水由来の疾患を予防する Supervision  作業現場やキャンプのトイレには汚水 Consultant 処理タンクの設置、あるいは汲み取り 式タンクの設置し、衛生環境に配慮す る  建設キャンプには常備薬を備え付ける C26 建設工事中の事故や罹患  作業中は、手袋やゴーグルなどの防具 建設現場 建設工事中 Contractor and PIU を適切に使用する Supervision Consultant C27 性的暴力やハラスメント  建設キャンプでは男性と女性の宿泊所 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU を分ける Supervision Consultant C28 建設キャンプの衛生  建設キャンプの衛生状況には十分に配 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 慮する Supervision  生活排水が健康被害や水質汚染を引き Consultant 起こさなよう、適切な排水施設を用意 する  ゴミ箱を各所に設置し、ポイ捨てを防 止する  軽い疾患や怪我などの手当を受けられ る仕組みを用意する C28 建設キャンプの解体  建設作業終了時には、全ての建物を解 建設キャンプ 建設作業終了時 Contractor and PIU 体し、廃棄物や排水が現地の環境に悪 Supervision 影響を及ぼさないよう配慮する Consultant

12-60 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C29 放置された採石場に水がたまり、マラ  利用が終わった採石場は埋め戻し、植 採石場 建設工事中 Contractor and PIU リアを媒介する蚊等の発生源となる 林する Supervision Consultant 安全 C30 建設工事中の交通事故  作業開始前に、歩行者の通行路などを 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 確保し、標識などを設置する Supervision  特に集落内および周辺での工事では、 Consultant 渋滞緩和、事故防止のための対策を事 前に策定し、道路の閉鎖等について住 民に周知する C31 建設作業中の事故  事故防止のために十分な予防措置をと 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU り、また作業員の訓練、教育を行う Supervision  作業員は、手袋などの防具を着用して Consultant 作業を行う。またこれらが適切に利用 されているか監督する

C32 感電リスク  感電リスクのある機材を使用する際に 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU は適切な事故予防策をとる。 Supervision  標識などを設置し、危険について通行 Consultant 人や近隣の住民に周知する C33 危険物の取り扱い  危険物を扱う作業を行う作業員には、 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 事前にリクスについて十分に説明し、 Supervision 防具を着用して作業を行う Consultant  除草剤や化学薬品を使用する際は、使 用マニュアルを厳格に順守する。また 使用前に必要な許認可を取得し、住民 にも周知する C34 鉛害  18 歳未満、また女性は、鉛を含む素材 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU を扱う作業を行わない Supervision  スプレー噴霧などを行う際には、マス Consultant クを装着する C35 フォース・マジュール  火事や水害に対する予防策を講じる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU  緊急事態に備え、応急処置キットを常 Supervision 備するとともに、近隣の病院の連絡先 Consultant やアクセスを確認する

12-61 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C36 爆発物  契約にそう定めない限り、またエンジ 爆発物を使用する現 建設工事中 Contractor and PIU ニアからの許可がない限り、爆発物は 場 Supervision 使用しない Consultant  使用の際は、関係機関からの許可を取 得するとともに、近隣集落の住民に周 知する C37 マラリア  マラリア予防手段について作業員に説 対象区間全域、特に 建設工事中 Contractor and PIU 明する ルングレイ以南 Supervision  土取場の穴を埋め戻すなどの対策を講 Consultant じる C38 応急処置  応急処置キットを全ての現場に常備す 建設現場、キャンプ 建設工事中 Contractor PIU る。  応急処置のやり方について作業員に説 明、訓練する アクセスの阻害 C39 アクセスの喪失  工事による住民の生計(農地へのアク 対象区間全域、特に 建設工事中 Contractor Engineer セス等)への影響が最小限となるよ 集落近隣 う、工事日程や時間に配慮する  病院や学校へのアクセスが阻害されな いよう配慮する、また教会、特に日曜 日の礼拝に影響が出ないよう注意する C40 交通渋滞  交通渋滞を緩和するための計画を事前 対象区間全域、特に 建設工事中 Contractor Engineer に策定し、エンジニアに提出する 集落近隣  必要に応じて、迂回路や歩道を設置す る。また計画について、住民に周知す る。 C41 交通整理と安全  標識や横断歩道の設置など、歩行者の 対象区間全域、特に 建設工事中 Contractor Engineer 安全確保のため十分な予防策を講じ 集落近隣 る。またその内容について事前にエン ジニアの承認を得る  また工事の内容やその影響について住 民に説明し、注意を促す 正の影響の強化、促進 C42 沿道の井戸の移転  井戸が事業で影響を受ける場合は、別 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU の場所に新たに井戸を掘る Supervision Consultant 12-62 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C43 景観の改善  生け垣や顕花植物などで道路脇を緑化 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU し、景観を改善する Supervision Consultant C44 バス停の改善  バス停には屋根を設置する 交通計画に基づく 建設工事中 Contractor and PIU Supervision Consultant C45 待合所  ベンチ等を設置し、利便性を高める 交通計画に基づく 建設工事中 Contractor and PIU Supervision Consultant C46 交差点の改善  植木を植えるなどして交差点を緑化、 交差点 建設工事中 Contractor and PIU 改善する Supervision Consultant C47 採石場の穴などがマラリアを媒介する  砕石した後の穴は埋め戻し、植林を行 放棄される採石場 建設工事中 Contractor and PIU 蚊の繁殖地となる う Supervision Consultant C48 盛土や斜面の土壌侵食、舗装の劣化  適切な斜面保護により、長期的に安定 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU した道路を建設。また斜面緑化により Supervision 侵食を防止 Consultant  カルバートのアウトレットには、処理 水による法面浸食を抑えるため、水衝 部対策として Gabion及び Apron concrete 等の対策をする 出典: 調査団

表 12.5-22 環境管理計画(供用後) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 O1  希少な水場周辺には沈泥フェンス、油ト モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, SPCB PIU 道路からの排水による水質汚染 ラップなどを設置 じる 準じる

 水質のモニタリングを実施 O2 モニタリング計画に準 供用後早期に、州、 PIU, SPCB, Local PIU  事故が起きた際の対策マニュアルを策定 事故による土壌や水質汚染 じる 地区レベルで計画を Government Bodies  モニタリングを実施 策定

12-63 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 O3  モニタリングを実施 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, SPCB PIU  他関連機関と交通量や大気汚染に じる 準じる 交通量増加による大気汚染の増加 SPBC かかる情報を共有し、対策について協議 する Q4  モニタリングを実施 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, SPCB PIU 交通量増加による騒音増  必要に応じて、防音壁などを設置 じる 準じる O5  集落内での速度制限などを導入 対象区間全域 供用後 PIU, Local PIU 交通安全  無秩序な開発により渋滞や事故が増えな Government Bodies いよう、村落や地区へ申し入れる O6  有害廃棄物(管理・処理)規則(1989 対象区間全域 供用後早期に、マニ PIU PIU 危険物を伴う事故 年)に則って処理す ュアルを作成 O7  植林後、3 年間モニタリングを行い、苗 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, NGO PIU 木の成長を確認するとともに、必要に応 じる 準じる じて追加的な植林やフェンスの設置など 植林、動植物相、生態系 を行う  生態系のモニタリングを行い、事業前の ベースラインとの変化を確認する 出典: 調査団

12-64 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.5.10 環境管理計画の実施費用 上記環境管理計画の実施費用は以下のとおりである。 表 12.5-23 環境管理計画実施費用 項目 詳細 単位 単価 数量 合計 (Rs) I. モニタリング 大気質 CPCB の基準に基づいて、アスフ No. 5,000 80 400,000 ァルトプラント近くや建設現場で 実施。 水質 モニタリング計画で示された場所 No. 5,000 60 300,000 で実施。手法は、IS 10,500 & IS 2296 に準じる 騒音 CPCB ガイドラインに沿って、資 No. 2,000 80 160,000 材置き場や建設現場近くで実施 生態系 生態系への影響を評価し、事業 No. 50,000 24 1,200,000 前のベースラインと比較。 小計 (I) 2,060,000 II. 植林 森林保全法の規定に基づき、事 No. 200 50,000 10,000,000 業で伐採される樹木に対する補 償植林を実施。 小計 (II) 10,000,000 III. 経費 専門家雇用 ランプサム 6,000,000 スタッフの訓練 ランプサム 1,500,000 外部モニタリング ランプサム 2,000,000 情報公開 ランプサム 500,000 小計 (III) 10,000,000 小計(I+II+III) 22,060,000 予備費 (10%) 2,206,000 合計 24,226,000 出典: 調査団

12.5.11 モニタリング計画 環境管理計画が適切に実施されているかを確認するために、定期的なモニタリングを実施す る。モニタリングは、緩和策の効果を評価し、また追加的な施策が必要であるかを判断するた めに必要である。モニタリングの種類は、目視から様々なパラメータの測定まで様々であるが、 その概要を以下の表に示す。

12-65 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.5-24 環境モニタリング計画 Sl. No 責任者 項目 事業の段階 パラメータ 内容 基準 場所 頻度 計測期間 実施者 監督 M1 SPM, RSMP,  プラントの風下 50m に測 Air (P&CP) アスファル 年二回、三 連続 24 時間 Contractor PIU SO2, NOx, CO, 定器を設置して測定 Rules, CPCB, トプラント 年間 through approved 建設中 HC  測定手法は、CPCB のガイ 1994 設置地点 monitoring ドラインに準じる agency M2 SPM, RSPM  工事現場の風下 50m に測 Air (P&CP) 建設現場 年二回、三 連続 24 時間 Contractor PIU 大気質 定器を設置して測定 Rules, CPCB, 年間 through approved 建設中  測定手法は、CPCB のガイ 1994 monitoring ドラインに準じる agency M3 SPM, RSMP, Air (P&CP) EIA 調査での 年二回、一 連続 24 時間 PIU  CPCB のガイドラインに基 Operation SO2, NOx, CO, Rules, CPCB, 調査地点 年間 PIU づいてモニタリングを実施 HC 1994 調査での 年二回、三 M4 pH, BOD,  表流水や排水等を取得し、 Water quality EIA Contractor PIU COD, TDS, standards by 調査地点 年間 through approved 建設中 CPCB の水質基準に基づい TSS, DO, Oil & CPCB monitoring て評価 Grease and Pb agency 供用後 調査での 年二回、一 M5 pH, BOD,  表流水や排水等を取得し、 Water quality EIA PIU COD, TDS, standards by 調査地点 年間 水質 CPCB の水質基準に基づい TSS, DO, Oil & CPCB PIU て評価 Grease and Pb M6 供用後 排水溝や水場 To the 全域 モンスーン PIU の状況  カルバートや水路の沈泥や satisfaction of 後 ゴミ他の堆積物を確認 the engineer PIU (PWD) M7 騒音レベル Noise 建設現場 三ヶ月ごと 毎時、15分 PIU  建設現場、特に学校や病院 Contractor (dB (A) ) standards by (最大)、 間の測定 through approved 建設中 等に近い場所で騒音・振動 CPCB 三年間 monitoring を測定 騒音、 agency M8 振動 供用後 騒音レベル Noise EIAの報告書 年二回、一 毎時、15分  道路脇、特に学校や病院等 ( ) standards by に示す場所 年間 間の測定 dB (A) に近い場所で騒音・振動を CPCB 他、最大15 PIU PIU 測定 箇所 M9 沿道の水路や  現地調査による目視 As specified 河川横断箇 モンスーン PIU 土壌 水場の濁度、 by the 所、水場付 前後、三年 建設中 engineer / Contractor 侵食 沈泥 近 間 Water quality standards

12-66 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Sl. No 責任者 項目 事業の段階 パラメータ 内容 基準 場所 頻度 計測期間 実施者 監督 M10 供用後 沿道の水路や  現地調査による目視 As specified エンジニア モンスーン PIU 水場の濁度、 by the の指示に準 前後、一年 沈泥 engineer / じる 間 PIU Water quality standards M11 資材保管エリ  エンジニアの監督のもと、 To the 資材置き 建設工事 PIU 建設 ア、排水施 目視確認 satisfaction of 場、建設キ 中、各期 PIU the engineer キャン 建設中 設、衛生状態 ャンプ and Water プ のモニタリン quality グ standards M12 植林の生育状  植林の生育状況を ヶ月、 全域 植林後、最 PIU 建設中およ 6 植林 況 12 ヶ月、18 ヶ月ごとに確 低三年間 び供用後 認 NGO, PIU M13 動植物 建設中およ 生態系の状況  事業前のベースラインとの TORに準じ TORに準じ 年二回、三 PIU 相 び供用後 比較 る る 年間 PIU 出典: 調査団

12-67 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.5.12 用地取得および住民移転 本事業では、拡幅や斜面保護、また工事で発生する残土処理のために用地取得が必要である。 インド国の National Rehabilitation and Resettlement Policy, 2007 では、部族社会あるいは丘陵地にお いて、200 世帯以上の住民移転が発生する場合は、ベースライン調査を実施し、住民移転計画お よび生計回復を行うことが求められる。最終的なセンサス調査は、最終線形が確定した後に州 政府によって実施されるが、本調査では、概略設計の暫定 ROW に基づいてベースライン調査を 実施し、RAP 報告書が作成された。本調査で作成した RAP は、今後州政府が行う住民移転およ び生計回復のベースとなるものである。 ミゾラム州では、指定部族(ST)に属する住民が全人口の 95%であり、また被影響住民の大 多数も ST である。このことから、インドの他の地域とは異なり、ST は「少数」民族ではない。 また、彼らは焼畑や伝統的な慣習、祝祭といった文化を保持しているものの、他部族とも自由 に交流しており、決して外部から隔絶された集団ではない。 地域内の主要な人口が指定部族で あることから、彼らを対象として作成された RAP には、世銀の OP4.10 に含まれる要素が反映さ れている。そのため、IPP 報告書を作成されていない。

12.5.13 用地取得、住民移転にかかる法的枠組み インド国では、1894 年の土地収用法がこれまで用地取得手続きを定めた基本法であったが、 2014 年 1 月には新用地取得法(Right to Fair Compensation and Transparency in Land Acquisition, Rehabilitation and Resettlement Act, 2013)が発効し、新法が適用されるようになった。一方、ミゾ ラム州政府は、同州では新法を適用しないという通告(No. H. 11018/8/2010-REV, dated January 5th, 2015)を出し、現在、同州での用地取得手続きを規定する独自法(Draft Mizoram (Land Acquisition, Rehabilitation and Resettlement) Bill, 2015)を策定中であるが、現時点で法案は施行されていない。 法案のドラフト案の内容は、概ね新用地取得法の内容に沿ったものになっているが、農村部へ の追加的な補償のレベルなどで若干の違いがある。JICA ガイドラインを満たした住民移転を実 施するため、本事業では、RAP で提案する移転方針を採用する。本事業に関連する法令とその 概要を下記にしめす。

表 12.5-25 用地取得関連法令 No. 法令 概要 Right to Fair Compensation and 旧法と比較して補償内容、範囲を拡充し、また事業実 Transparency in Land Acquisition, 施に住民の合意を求める等、より参加型の手続きを採 1 Rehabilitation and Resettlement Act, 用。2014 年から施行されているが、ミゾラム州では適 2013 (LARR 2013) 用されていない。 住民移転が発生する事業に適用されるが、政策であり National Rehabilitation & Resettlement 2 強制力はない。土地所有者が土地や生計手段を失う際 Policy, 2007 ((NRRP 2007) の支援などについて規定。 指定部族などの先住民の文化や生活を保護、保全を促 3 The National Tribal Policy, 2006 進するための政策 The Scheduled Tribes and Other 2005 年 12 月 13 日以前から森林に居住する指定部族 Traditional Forest Dwellers 4 や、3 世代以上に渡って居住する住民が持つ諸権利を (Recognition of Forest Rights) Act, 定める。この権利は移転できない。 2006 透明性を高めるために策定された、市民に対する情報 5 The Right to Information Act, 2005 公開の手続きを定める。

12-68 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

No. 法令 概要 世銀が実施する事業での住民移転手続きや補償要件を World Bank OP 4.12 – Involuntary 定める。再取得価格での補償、被影響住民は、土地所 6 Resettlement 有のステータスにかかわらず補償対象となること、住 民協議の手続きなどを規定。 世銀が実施する事業で、FPIC の原則等先住民の権利 や文化に配慮するため手続きを定める。なお、本事業 では地域内の主要な人口が指定部族であり、彼らを対 7 OP 4.10 – Indigenous Peoples 象として作成された RAP には世銀の OP4.10 に含まれ る要素が反映されているため、別途 IPP 報告書の作成 は行っていない。 JICA が実施する事業で適切な環境社会配慮を実施す 8 JICA ガイドライン るためのガイドライン 出典: 調査団

JICA ガイドラインで定める要件と、インド国の法令のギャップ、またギャップを埋めるため の施策を下表にまとめる。 表 12.5-26 インド国法令と JICA ガイドラインの比較 Sl. JICA ガイドライン インド国内法令 (LARR and ギャップ 対応策 No. (2010) NRRP) 1 Involuntary resettlement Stated aim to minimize large ギャップなし - should be avoided scale displacement. wherever possible. Encourages projects to be set up on waste land, degraded land, Un-irrigated land. (NRRP 2007, #1.4, Chap 1) 2 When population If unavoidable, Govt. to ギャップなし - displacement is consider different alternatives unavoidable, effective to minimize displacement, measures to minimize total land acquired and total impact and to agricultural land acquired for compensate for losses non agricultural use (NRRP should be taken. 2007, #1.4, Chap 1), LARR has provision for compensation for losses incurred. 3 People who must be Provisions made for R&R 非正規住民が補償を受 居住年数にかかわらず、 settled involuntarily and benefits to all; but subject to けるには、3年以上居 非正規住民も補償対象と people whose means of condition that non titleholders 住するか、継続的にそ する livelihood will be must be residing or drawing の土地から生計を得て hindered or lost must be livelihood in the affected area いなければならないと sufficiently compensated for a period not less than 3 いう規定があり、それ and supported, so that years preceding date of they can improve or at declaration of the affected 以下の年数しか居住し least restore their area. (NRRP, #3.1.b.iii) ていない非正規住民に standard of living, 対する補償規定がない income opportunities and production levels to pre0project levels. 4 Compensation must be Compensation made on 政府が計算する市場価 再取得価格に追加の支援 based on the full market rate as determined or 格が、再取得価格に満 を加えた金額を補償とし replacement cost as recognized by state たない事例が多い て支払う much as possible 5 Compensation and other Provisions exist in NRRP ギャップなし - kinds of assistance must be provided prior to displacement 6 For projects that entails Requirement for RAP is 平地で 400 世帯以上の large-scale involuntary mentioned subject to number 住民移転、山岳地/部 resettlement, of displaced exceeding 400 族社会で 200 世帯以上 resettlement action plans families in plains or 200 in

12-69 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Sl. JICA ガイドライン インド国内法令 (LARR and ギャップ 対応策 No. (2010) NRRP) must be prepared and hilly/tribal areas or Desert の住民移転が発生する made available to the Development Programme 場合のみ RAP を作成 public. (DDP) blocks. する。

本事業では、被影響世 帯が大きいのため、ギ ャップは生じない 7 In preparing a Specific mention provided in ギャップなし - resettlement action plan, NRRP consultations must be held with the affected people and their communities based on sufficient information made available to them in advance. 8 When consultation held, Provision made ギャップなし - explanation must be given in a form, manner, and language that are understandable to the affected people 9 Appropriate Specified ギャップなし - participation of affected people must be promoted in planning, implementation, and monitoring of resettlement action plans 10 Appropriate and Specified 平地で 400 世帯以上の accessible grievance 住民移転、山岳地/部 mechanisms must be 族社会で 200 世帯以上 established for the の住民移転が発生する affected people and their 場合のみ にかか communities R&R る活動を実施する

本事業では、被影響世 帯が大きいのため、ギ ャップは生じない 11 Affected people are to Specified under NRRP for ギャップなし - be identified and identification of all affected recorded as early as persons possible in order to establish their eligibility through an initial baseline survey (including population census that serves as an eligibility cut-off date, asset inventory, and socio-economic survey), preferably at the project identification stage, to prevent a subsequent influx of encroachers of others who wish to take advantage of such benefit. 12 Eligibility of benefits Specified- R&R benefits to 居住期間が 3 年に満た - 支援は居住年数、正規不 includes, the PAPs who non titleholders provisioned ない非正規住民は、生 正規にかかわらず、全て have formal legal rights by subject to them residing/ 計回復等の支援を受給 の住民を対象とする to land (including drawing livelihood for period 資格がない

12-70 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Sl. JICA ガイドライン インド国内法令 (LARR and ギャップ 対応策 No. (2010) NRRP) customary and not less than 3 years in the traditional land rights project affected area (from the recognized under la), date formal declaration) the PAPs who do not have formal legal rights to land at the time of census but have a claim to such land or assets and the PAPs who have no recognizable legal right to the land they are occupying 13 Preference should be Specified ギャップなし - given to land –based resettlement strategies for displaced persons whose livelihoods are land-based. 14 Provide support for the Specified 居住期間が 3 年に満た - 居住年数、正規不正規に transition period ない非正規住民は、生 かかわらず、全ての住民 (between displacement 受給資格がない を対象とする and livelihood restoration) 15 Particular attention must Mentioned for vulnerable ギャップなし be paid to the needs of groups as defined under the vulnerable groups NRRP. Specific mention of among those displaced, additional provisions for SC especially those below and ST community mentioned the poverty line, under #7.21 of the NRRP. landless, elderly, women Requirement of a separate and children, ethnic tribal development plan to be minorities etc. prepared if number of tribal displaced families exceeds 200 families. 出典: 調査団

12.5.14 住民移転規模 人口統計 国道 54 号の対象区間は、総延長 381km で、5 地区、48 村落を通過する。各地区ごとの被影響 村落数は、それぞれアイゾール:11、サーチップ:8、ルングレイ:17、ロンクライ:6、サイハ:6 であ る。概略設計に基づいた用地取得では、合計 2,037 世帯が事業によって影響を受ける。そのうち、 1,971 世帯が住居、66 世帯はティーストールやレストランなどの商業施設である。被影響住民の 総数は 8230 人である。世帯の平均人数は 4.1 人であるが、これは州の平均値 4.8 人よりも少ない。 これらの世帯のうち、1,307 世帯(1,265 世帯が住民、42 の商業施設)が非自発的住民移転の対象 となる。残りの 730 世帯は、影響を受けるが、移転の必要はないと考えられる。下表に示すよう に、被影響世帯のほとんどが指定部族(ST、ミゾ族)である。 表 12.5-27 地区別の人口とカースト OBC General Prefer not 地区 ST SC 合計 to answer アイゾール 421 0 0 0 215 636 サーチップ 244 0 1 1 238 484 ルングレイ 415 0 0 0 252 667 ロンクライ 40 0 0 0 49 89 サイハ 119 0 0 0 42 161 合計 1,239 0 1 1 796 2,037 出典: ベースライン調査

12-71 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

宗教的信条の調査結果は、カーストの調査結果とほぼ重なっている。ミゾ族のほとんどはキ リスト教徒であり、調査結果はそれを裏付ける内容となった。 表 12.5-28 地区別の信仰 している宗教 Muslim Buddhist Other Prefer not 地区 Christian Hindu Total to answer アイゾール 419 2 0 0 0 215 636 サーチップ 246 0 0 0 0 238 484 ルングレイ 413 1 0 0 1 252 667 ロンクライ 40 0 0 0 0 49 89 サイハ 119 0 0 0 0 42 161 合計 1,237 3 0 0 1 796 2,037 出典: ベースライン調査

被影響世帯の世帯主の教育水準を以下に示す。 表 12.5-29 世帯主の教育水準 教育水準 Aizawl Serchhip Lunglei Lawngtlai Saiha 合計 教育なし 30 16 43 3 13 105 小学校未満 138 92 191 13 24 458 小学校卒業 64 35 45 10 20 174 高校卒業未満 136 70 72 5 27 310 高校卒業 27 16 27 6 17 93 大学卒業未満 8 9 12 2 10 41 大卒以上 18 8 25 1 8 60 無回答 215 238 252 49 42 796 合計 636 484 667 89 161 2,037 出典: ベースライン調査

脆弱性 統計によれば、ミゾラム州の農村部では 23%が貧困層、都市部では 7.3%が貧困層である 9。一 方で、ベースライン調査では、回答した世帯の 40%以上が自分たちは貧困層であると回答してお り、ショックに対応する能力が低い世帯が多い可能性を示している。また、233 世帯が女性が世 帯主の世帯であり、生計回復計画を策定する際には、女性の参加を確保するとともに、そうし た世帯のニーズに十分に配慮することが必要である。 表 12.5-30 脆弱な世帯とその種類 HH head Poverty Line* Women-headed Widow in District over 50 Below Above Don’t know HH HH Poverty Line Poverty Line / Not Aware アイゾール 77 155 14 145 240 36 サーチップ 46 131 24 81 162 3 ルングレイ 84 204 21 147 256 12 ロンクライ 11 18 0 17 21 2 サイハ 15 54 7 56 62 1 合計 233 562 66 446 741 54 Note: BPL figure is based on self-judgment of respondents and may not be accurate. 出典: ベースライン調査

9 Number and Percentage of Population Below Poverty Line, Reserve Bank of India, Sep 16, 2013 (accessed August 11, 2015), https://www.rbi.org.in/scripts/PublicationsView.aspx?id=15283

12-72 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

土地所有形態 ミゾラム州を含む北東州の土地所有形態は、大きく以下のカテゴリーに分類される。

 サティフィケートによる個人所有(Land settlement certificates:LSC)  ピリオディック・パッタによる、期限付き所有。政府が発行するパッタで、期限付きの土地所有が認め られている  VC パスーVC の領域内で発行されるパスで、慣習的に、その土地の利用権として機能してきた  政府所有の土地

被影響世帯の土地所有形態を以下にしめす。

表 12.5-31 土地所有形態 形態 アイゾール サーチップ ルングレイ ロンクライ サイハ 合計 LSC 272 140 262 27 99 800 Periodic Patta 49 15 39 7 6 116 Home Site 18 36 5 1 1 61 Village Council Pass 82 55 108 4 13 262 Government Land 0 0 1 1 0 2 No Answer 215 238 252 49 42 796 Total 636 484 667 89 161 2,037 出典: ベースライン調査

ベースライン調査では、住民の多くが現在の土地に11年以上居住していることが確認され た。これは、ミゾラム州において土地の売買取引が一般的ではないということを裏付けるもの である。長期に渡って居住していた土地から移転することに対して、solatium として追加的な補 償も検討する必要がある。 職業と収入 表 12.5-32 職業 職業 アイゾール サーチップ ルングレイ ロンクライ サイハ 合計 Agriculture 73 42 117 5 1 238 Allied Agriculture 54 6 10 0 0 70 Dairy 2 4 20 0 4 30 Forestry 5 15 20 0 5 45 Household/Cottage 1 3 3 1 1 9 Industry Business/Trader/Shop 108 40 36 4 4 192 Owner Skilled Profession 74 36 32 4 6 152 Unskilled Labor 38 38 91 14 59 240 Pvt. Service 19 6 12 4 3 44 Govt. Service 32 20 47 5 29 133 Retired/Pensioner 13 17 18 2 5 55 Unemployed but 0 17 2 0 2 21 capable to work Too Young to 1 0 3 1 0 5 work/disabled/Student Other 1 2 2 0 0 5 Total 421 246 413 40 119 1,239 出典: ベースライン調査

被影響世帯の平均月収を以下に示す。住民のおよそ 40%が、月収 Rs.5,000〜10,000 であり、ま た 20%以上が、月収 Rs.5,000 以下であった。

12-73 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.5-33 平均収入 地区 平均月収(Rs.) アイゾール 9,879 サーチップ 12,791 ルングレイ 14,024 ロンクライ 15,515 サイハ 12,736 平均 12,989 出典: ベースライン調査

カットオフデート 用地取得に適用する暫定的なカットオフデートは、ベースライン調査が完了した 2015 年 5 月 14 日であり、その旨は調査期間中に被影響住民に周知した。正式なカットオフデートは、線形 が確定し、事業による影響範囲が確定、更新された段階で改めて通知される。 被影響世帯および構造物 事業によって、1,971 世帯の住居、66 の店舗(ティーストールやレストランなど)が影響を受 ける。これらのうち、1,307(1,265 世帯が住民、42 の商業施設)が非自発的住民移転の対象とな る。残りの 730 世帯は、影響を受けるが、移転の必要はないと考えられる 10。被影響世帯および 構造物の内訳を以下に示す。ベースライン調査では、ルングレイとロンクライの各一世帯を除 いて、全てがタイトルホルダーである(LSC やピリオディックパッタ、VC パスを所有)してい ると回答している。

表 12.5-34 被影響構造物の数と種類 地区 世帯 店舗 1 公共施設 宗教施設 ユティリティ 2 合計 アイゾール 602 34 29 2 35 702 サーチップ 473 11 19 2 19 524 ルングレイ 658 9 25 2 45 739 ロンクライ 86 3 3 1 5 98 サイハ 152 9 6 1 20 188 合計 2 1,971 66 82 8 124 2,251 Note: 1 Tea stall, restaurant, petty shop; 2 Well and Toilet 出典: ベースライン調査

土地への影響 本事業では、595.8ha の用地取得が必要となる。うち、435.5ha は拡幅に、そして 160.3ha は残 土の土捨て場として必要である。土捨て場の選定基準については、EIA の概要で概説した通りで あるが、候補地については、今後、追加の測量および周辺村落、地区および州政府と協議の上 で最終決定する必要がある。現地調査および衛星画像から推定した、取得する用地の現在の用 途を以下に示す。

10 概略設計の ROW による推定。最終 ROW 確定後に、確認、更新する。

12-74 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: ベースライン調査 図 12.5-11 取得する用地の状況

樹木および作物 国道 54 号の沿道は、主に焼畑農地、竹林や自然の植生であり、これが事業によって影響を受 ける。。バナナやマンゴー、ジャックフルーツなどの果樹も影響を受ける。最終的な線形が未確 定であるため、本調査では影響を受ける樹木や果樹の本数の集計は行っていない。また、焼畑 農地は、時期によって状況が異なるため(火入れをした直後は植生がない等)、どのタイミング で調査を行い、補償対象とするかも今後検討すべき点である。現時点での用地取得、補償コス トの算定にあたっては、州政府によるベース価格および、農地の面積から暫定的に樹木、作物 の補償費を推定 11した。

12.5.15 住民移転方針 ミゾラム州における同様の道路改良事業として、世界銀行の資金で実施されているルングレ イおよびロンクライ地区の州道改良事業があり、同事業の RAP が 2014 年に策定されている。こ の RAP は、世銀のセーフガードポリシーに沿って作成されており、JICA ガイドラインの要件も 満たす内容となっている。本事業の RAP は、世銀事業で作成された RAP およびエンタイトルメ ントマトリックスを参考に、また現地の社会経済状況の違い、また新土地収用法が発効してい る状況を考慮して作成した。本事業での住民移転は、以下の原則に則って実施されるものとす る。

・ 非自発的住民移転は、可能な限り避ける。やむを得ず住民移転が発生する場合は、それを 最小化するための手段を講じる。また、文化財や宗教施設、現地住民の生活への影響を最 小化する ・ 住民移転の対象となる世帯については、事業前を比べて改善、あるいは少なくとも同等水 準の生計を維持できるように生計回復の支援を行う ・ 被影響住民対して、用地取得の必要性や規模、影響の度合いについて情報開示し、また協 議を行う ・ FPIC の原則に基づきコンサルテーションを行い、事業に対する現地住民の支持を獲得する ・ 負の影響に対する対応能力が低い脆弱層に対して、十分な配慮を行う ・ 工事が始まる前に、再取得価格での補償を支払う

11 Weighted average price of tree/crops is derived as follows. 1) derive average price of tree/crop based on the Basic Schedule Rate. (e.g. Cashew: 1,000-2,000; Teak: 3,000-6,000, Rubber: 1,500-3,000; Banana: 100-200) 2) estimate the average number of such trees/crops per ha.

12-75 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

・ 影響をうける公共施設は可能な限り近隣へ移築し、また金銭補償となる場合は、再取得価 格での補償を行う ・ 農地の取得にあたっては、農民が事前に収穫を行えるよう、事前に周知する ・ 児童労働は行わない ・ 雇用機会および給与水準については男女平等を原則とするが、女性でもできる仕事につい ては優先的に女性を雇用する。

12.5.16 エンタイトルメントマトリックス 上記原則に基づき、また予想される影響に基づいて、エンタイトルメントマトリックスを作 成した。同マトリックスは、影響の種類や規模、また影響を受けるグループごとに、受けられ る補償や支援の種類を整理したものであり、補償および支援の実施の前提となるものである。

12-76 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.5-35 エンタイトルメントマトリックス 影響の種類 被影響者 単位 エンタイトルメント 詳細 農地 土地所有者 世帯 再取得価格での補償 a) 再取得価格での金銭補償。金額は、District Collector が決定する および支援 b) DC が決定した金額が再取得価格に満たない場合は、その差額を支援として支払う c) 買収後の残った土地が、農地として小さすぎる場合は、以下の選択肢から補償内容を選 ぶ  補償額を貰った後、残った土地で引き続き生活  残った土地も用地取得・補償の対象として、移転  同程度に生産性のある代替地がある場合は、それを提供 d) 移転手当として Rs. 50,000/- e) 生計手当として、月 Rs. 3000 を 6 ヶ月 f) 所有する農地から離れた場所へ移転する場合は、追加で 10%の手当を支払う g) 作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合 は、作物の再取得価格での補償を行う ピリオディックパッ 支援 a) 再取得価格での金銭補償。金額は、District Collector が決定する タ、ヴィレッジパス所 b) 移転手当として Rs. 50,000/- 有者 c) 生計手当として、月 Rs. 3000 を 6 ヶ月 d) 所有する農地から離れた場所へ移転する場合は、追加で 10%の手当を支払う e) 作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合 は、作物の再取得価格での補償を行う 農地以外の空地 土地所有者 世帯 再取得価格での構造 a) 基準価格に基づいて算出した、再取得価格での補償(最低 Rs. 1,50,000.00)。減価償却は (住居地区、商業 物の補償および支援 考慮しない 地区、その他) b) 構造物の撤去に二ヶ月の事前通知 c) 部分的に影響をうける構造物にそのまま居住する場合は、補修費として構造物の再取得 価格の 25%を支払う d) 撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利 e) 残った住居や建物が使えない場合、以下の支援を提供する  12 ヶ月の生計手当、月 Rs. 3,000/-  移転手当として Rs. 50,000/-  引っ越し手当として Rs. 50,000.00  新居での電気や水道の設置費用として Rs. 7,500/-  構造物を新たに購入する際の税金や登録料 f) 15 世帯以上が希望する場合、代替地を有償(社会的弱者に対しては無償)で提供 ピリオディックパッ 土地 タ、ヴィレッジパス所  生計手当として、6 ヶ月間、月 Rs. 3,000.00 有者  作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合 は、作物の再取得価格での補償を行う 構造物

12-77 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

影響の種類 被影響者 単位 エンタイトルメント 詳細  基準価格に基づいて算出した、再取得価格での補償(最低 Rs. 1,50,000.00)。減価償 却は考慮しない  構造物の撤去に二ヶ月の事前通知  撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利  引越し費用として Rs.50,000 作物/樹木の喪失 所有者/利用者 世帯 補償 Revenue Department /DC が現在の価値を算出して補償 豚舎、鶏小屋など 所有者/利用者 世帯 補償 藁葺き屋根の小屋は Rs. 600 per m2 、GCI シートの小屋は Rs. 1000 per m2 (基準価格の改定に 家畜小屋 応じて価格は更新する) 住居/店舗の喪失 テナント 世帯 支援 a) テナントが支払ったデポジットや前払金の返還 b) 12 ヶ月間、月 Rs. 3,000/- の生計手当 c) 引っ越し費用として Rs. 15000/- キオスクの喪失 所有者/利用者 世帯 支援 a) 引っ越し費用として Rs. 7500/- b) 撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利 雇用の喪失 被雇用者 世帯 支援 a) 3 ヶ月間の賃金相当額の提供 b) 建設事業で生じる雇用機会の優先的提供 c) 職業訓練等を受ける支援として Rs. 20,000/- 生計手段の喪失 土地所有者、ピリオデ 世帯 支援 a) 建設事業で生じる雇用機会の優先的提供 ィックパッタ、ヴィレ b) 職業訓練等を受ける支援として Rs. 20,000/- ッジパス所有者 社会的弱者 土地所有者、ピリオデ 世帯 支援 追加的な支援として、Rs. 25,000/- ィックパッタ、ヴィレ ッジパス所有者 焼畑農地の喪失 村落 村落 再取得価格での補償 再取得価格で VC に支払い。PIC は再建の手続きのモニタリングを行う

公共物の喪失 村落 村落 移築、あるいは再取 現地のニーズに応じて移築、あるいは新設 得価格での補償 アクセス阻害 村落 村落 迂回路等代替手段の 村落での協議に基づいて、迂回路や歩道を設置 提供 短期的かつ予期せ 被影響者 世帯 移転方針に基づき支 移転方針に基づき、苦情処理メカニズムを活用して適切に対応する ぬ影響 援を検討 出典: 調査団

12-78 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.5.17 苦情処理メカニズム 苦情処理メカニズム(Grievance Redress Mechanism: GRM)は、苦情処理委員会(Grievance Redress Committee: GRC)を通じて、用地取得および住民移転のプロセスで生じる異議や苦情を 処理する仕組みである。メカニズムの目的は、村落や地区など、様々なレベルでの苦情処理メ カニズムを構築することで、住民の異議が速やかかつ適切に処理されることを担保することで ある。 メカニズムの第一レベルは村落であり、そこで解決出来ない場合は、地区ごとに設置される GRC で議論される。GRC のメンバーは、NHIDCL のプロジェクト・ディレクター、VC 代表、 NGO、申立て人等で構成され、申立てがあってから 7 日以内に回答を行う。NGO は、住民が申 立てを行う際の支援を行う。GRC は月二回を目処の開催するが、申立ての数や頻度に応じて、 より頻繁に開催することも検討する。また、申立てを行った住民は、GRC の決定に拘束されな い。すなわち、決定に不服であれば、法的手続きに則って訴訟を起こすことも可能である。

12.5.18 RAP 実施体制 インド国の法的枠組みに則り、本事業における用地取得および住民移転、生計回復計画の実 施は、ミゾラム州政府によって実施される。現在、NHIDCL はグワハティに事務所があるが、今 後アイゾールに設置される事務所を通じて、州政府と必要な協議や支援を行い、JICA ガイドラ インを満たす形で住民移転が実施されるよう確認する。RAP 実施体制図を以下に示す。

出典: 調査団 図 12.5-12 住民移転の実施体制

12-79 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.5.19 モニタリングおよび評価 インフラ事業においてモニタリングおよび評価は重要な要素であり、特に住民移転が適切に 実施されているかを確認するためには不可欠である。モニタリングを通じて、進捗を定期的に 確認し、必要に応じて計画に変更を加えることで、住民移転が適切に実施されることを担保す る。評価は、整形医回復策などの施策が想定された効果を生んだかどうかを精査する作業であ り、モニタリングと同様、事業が適切に実施されることを担保する重要な手続きである。RAP 実施にかかるモニタリングおよび評価の概要を以下にしめす。

表 12.5-36 RAP 実施にかかるモニタリング 活動 頻度 実施者 提出先 内容 RAP 内部モ 各期 PIU NHIDCL/ 10-15頁程で、RAPの進捗をまとめる。報 ニタリング 州政府 告書には、課題や解決案、苦情処理の状 況、住民協議の議事録などが含まれる

外部モニタ 半年ごと 専門家パネル NHIDCL/ 25-35 頁程で、RAPおよび生計回復の進捗 リング 州政府 をまとめる。報告書には、住民移転や生計 回復の進捗の他、JICAガイドラインの順 守、RAP実施における課題、問題点や解決 策が含まれる

終了後の監 終了後、一回 専門家パネル NHIDCL/ RAP報告書に定めた通りに、またJICAガイ 査 州政府 ドラインに準拠する形で住民移転が完了し たことを確認する

出典: 調査団

12.5.20 生計回復計画 ベースライン調査では、被影響住民の主要な生計手段は農業およびスモールビジネスである ことが確認された。また、道路網の改善によって生じる経済機会から最大限に裨益する十分な 技能や能力がない住民も多い。RAP の基本原則の一つは、被影響世帯の生計が、事業実施前と 比べて改善、あるいは少なくとも同等水準を維持することであり、そのためには、住民が実際 に活用できる生計回復支援を実施する必要がある。 生計回復支援はミゾラム州政府によって実施されるが、その策定にあたっては、JICA ガイド ラインおよび世銀のセーフガードポリシーを満たす内容とし、また被影響住民と十分な協議を 行い、彼らのニーズが反映された計画とすることが重要であるが、現時点での施策候補は以下 の通りである。 公共の市場スペース

道路網の改善により、域内および地域外との物やサービスの移動が活発化することが予想さ れる。農作物や商品を販売する住民にとっては、大きな経済機会が生じるが、一方で、住民移 転により国道沿いの有利な立地から離れることで、ビジネスに負の影響が発生する世帯も多い と考えられる。こうした問題への対策として、沿道に公共の市場スペースを用意し、住民が共 同で利用できるようにすることで、道路網の改善による商業機会をより多くの住民が活用でき るようにすることがが考えられる。 空きスペースでの養鶏 多くの世帯で、裏庭などの空きスペースで鶏を飼育しているが、商業規模で実施している世 帯は非常に少ない。これを商業化するための支援があれば、養鶏を通じた生計回復が可能とな る。

12-80 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

プランテーション拡大支援 国道 54 号のプランテーション規模の拡大の阻害要因の一つに、苗木の数や品質が限られてい ることがある。良質の苗木を提供することで、ゴムやカシューなどのプランテーションを拡大、 また生産性を向上することができる。

12.5.21 用地買収および住民移転費用 ベースライン調査や政府資料、既往調査に基づき、本事業における用地買収および住民移転 費用を概算した。これは、概略設計の暫定 ROW に基づいたものであり、追加測量後のインベン トリ調査後に、費用を更新する必要がある。現時点での費用見積もりは、Rs. 2,983,574,000 であ り、その内訳は以下の通りである。 表 12.5-37 用地取得、住民移転費用(暫定) 項目 単位 単価 数量 合計 (Rs) I. 補償 土地 (拡幅) ha. 900,000 435 391,500,000 土地 (土捨て場) ha. 700,000 160.3 112,210,000 *the land price will be double for compensation of rural 503,710,000 農村部のマルチプライヤー area land 構造物 Sq. m 7,500 20,000 150,000,000 公衆トイレ、水場 No. 50,000 20 1,000,000 農作物 No. 90,000,000 Solatium *100% of compensation as per LARR 2013 1,248,420,000 小計 (I) 2,496,840,000 II. 手当、支援 引越し手当 Household 50,000 1500 75,000,000 生計手当 Household 18,000 2000 36,000,000 弱者への追加しえん Household 20,000 1000 20,000,000 職業訓練 Household 20,000 2000 40,000,000 小計 (II) 171,000,000 III. 経費 専門家雇用 Lump sum 20,000,000 スタッフ訓練 Lump sum 3,000,000 外部モニタリング Lump sum 5,000,000 情報公開 Lump sum 1,500,000 生計回復 Lump sum 15,000,000 小計 (III) 44,500,000 合計 (I+II+III) 2,712,340,000 予備費 (10%) 271,234,000 総計 2,983,574,000 出典: 調査団

12.5.22 実施スケジュール 用地取得および住民移転では、以下のような作業が発生する。

 PIU で、担当者の雇用  コンサルテーションや資料の配布を通じた情報開示および住民協議  最終線形確定後に、詳細なインベントリ調査を通じて、被影響住民および構造物、資産のリストの 更新  各地区、村落別の、生計回復案の実施計画の策定

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 補償および支援の支払い、提供。これには、ID カードの作成、配布や銀行口座の開設が含まれる  被影響住民や公共施設の移転

住民移転の実施スケジュールを以下にしめす。 表 12.5-38 用地取得および住民移転実施スケジュール

出典: 調査団

12.5.23 ステークホルダー協議 FPIC の原則に基づき、また現地住民のニーズや懸念を事業内容に反映させるため、ステーク ホルダー協議を実施した。参加にあたっては、事前にレターや電話で開催を通知し、住民の参 加を促した。協議では、事業の内容や予想される影響について説明し、また用地取得などにか かる今後の手続きや住民の権利などについて説明を行い、住民からの意見や疑問に回答した。 交通網の改善は、住民にとっても優先度が高い事業であり、協議では事業に対する支持が得ら れた。各地区ごとに二回実施された協議の内容を以下に概説する。

(1) 第一回住民協議 第一回目の住民協議を、対象路線が通過する 5 地区で実施した。被影響村落の代表や住民、 NGO などが参加し、活発な議論が行われた。参加者の人数と属性を以下に示す。

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表 12.5-39 第一回住民協議参加者数と属性 参加者属性 District Date 政府関 タクシー 合計 男 女 VC NGO MCHP* 住民 係者 組合 Aizawl 2015/5/14 25 22 3 4 3 3 3 1 11 Serchhip 2015/5/08 90 75 15 6 12 14 8 2 48 Lunglei 2015/5/05 144 110 34 7 25 22 19 2 69 Lawngtlai 2015/5/16 46 40 6 2 11 10 6 1 16 Saiha 2015/5/13 58 42 16 3 8 7 12 1 27 注: * Mizo Hmeichhe Inswikhawm Pawl (MHIP) は、ミゾラム州全域で活動する女性団体 出典: 調査団

(2) 第二回住民協議 二度目の住民協議は、下表の日程で実施された。Lunglei 地区では被影響村落の数が多いこと から、Lunglei 地区では二度の協議を実施した。

表 12.5-40 第二回住民協議参加者数と属性 参加者属性 地区 日時 政府関 タクシー 合計 男 女 VC NGO MCHP* 住民 係者 組合 Aizawl 2015/8/26 37 34 3 2 13 9 6 2 15 Serchhip 2015/8/24 85 60 25 3 26 22 14 1 32

Lunglei 2015/8/13 78 55 23 4 28 19 10 2 34 2015/8/17 90 64 26 1 31 28 22 1 38 Lawngtlai 2015/8/16 56 40 16 2 18 18 8 2 18 Saiha 2015/8/20 52 39 13 3 19 14 6 1 16 注: * Mizo Hmeichhe Inswikhawm Pawl (MHIP) は、ミゾラム州全域で活動する女性団体 出典: 調査団

(3) 協議結果 地区レベルで実施された住民協議の結果を下表にまとめた。事業に対しては前向きな発言が 主であり、対象村落の賛同は得られた。RAP 実施段階のステークホルダー協議でも引き続きコ ンサルテーションを実施していくが、その中で女性の意見が十分反映されるよう女性団体等の 参加に配慮する。また、VC レベルでの聞き取りでは、土地に対して金銭補償を望む住民が大多 数であるとの結果が得られたが、今後の RAP 実施段階においてはステークホルダー協議以外に も資産調査等を通じて住民移転・用地取得の内容に関する個々の影響住民の補償選択肢の希望 を改めて確認する。

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表 12.5-41 住民協議結果概要 主なコメント、提案 対応策 全般:事業、線形、影響一般について • 参加者、特に州政府関連機関の参加者は、事業の重要性や拡幅 の経済効果を強調 • 住民代表の一人が、拡幅の幅は一律にすべきではなく、集落の 拡幅幅および拡幅の方向は、現場の状 密度や人口に応じて柔軟に対応するべき(住民) 況に応じて判断する。 • 拡幅により住民移転が発生するが、事業の重要視や便益を考慮 し、事業への協力を約束(Tlangnuam 村の VC 代表) • 被影響住民は法に則って補償されるのだから、住民は今後の生

活の変化を見越した準備を始めるべき(Tuirial 村住民)。

地域に大きな利益をもたらす事業に賛成する( 村住 • Tlangnuam 民他) • Serchhip は住宅密集地帯であり、バイパス建設を検討して欲し い(Serchhip 住民) • 用地取得や補償の困難さは、こうした事業実施の大きな弊害に なる。住宅密集地については、バイパスを検討する方が良い Serchhip 他 4 区間を、バイパス候補区 (YMA) 間として検討している。

用地取得、補償、生計回復関連 • 住民移転による影響は大きい。新しい家を自分で建てるのは難 しい(寡婦) 寡婦など、事業でより大きな影響を受 事業実施を決定する前に、住民の合意を取り付けるべき(数 • けると考えられるグループに対して 名) は、金銭補償や生計回復などの面で、 コミュニケーションの円滑化のため、各村落に、本事業の担当 • 追加的な支援を行う。生計回復案の内 となる人間を任命するべき(また、適切な謝礼も支払われるべ 容は、今後の住民協議を通じて決定す き) る。

• 補償は、再取得価格でなされるべき(多数) RAP 実施体制の中で検討する。

その他 補償は、再取得価格でなされる。 • 事業実施を監督する委員会を設置し、不当な利益を得ようとす

る人間が出ないよう監督する必要がある。運転手組合は事業に

賛成する。(運転手組合) • 事業の円滑実施には住民の協力が必要であり、住民の理解を深 めるためのキャンペーンを実施すべき。また、住民の賛同を得 るためにも、適切な補償は必須(数名) • 住民に事業内容を周知することが必要。またこうした事業につ きものの政治的な介入や不当な利益を得ようとする試みに注意

が必要である(YMA)

• 事業の実施の前に、各村落で同様の住民協議が実施されるべき 今後、住民移転の実施、生計回復案の (数名) 策定時に各村落での住民協議が実施さ 拡幅、改良にあたり、視界の悪いカーブなどを直して欲しい。 • れる。 また、周辺環境や集落の生活への配慮も必要。 出典: 調査団

12-84 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

アイゾールでの住民協議 サーチップでの住民協議

ルングレイでの住民協議 ロンクライでの住民協議 出典: 調査団 図 12.5-13 住民協議の様子

12.6 国道 51 号の EIA および RAP 調査

12.6.1 調査の背景 12 章 2 節で概説した通り、インド国法令によれば、国道 51 号の拡幅事業では EIA の実施およ び環境許認可の取得は必要とされない。しかし、JICA ガイドラインで本案件がカテゴリーA で あり、また 200 人以上の住民移転が発生することから、EIA がおよび RAP 報告書が作成された。 本調査で対象とするのは、下図に示す国道 51号のトゥーラからダルまでのおよそ 54km である。 既存道路の状況および拡幅事業の概要については、8 章を参照のこと。

12-85 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: 調査団 図 12.6-1 道路平面線形と道路現況(国道 51 号)

12.6.2 自然環境 1) 気候 メガラヤは温帯気候であり、多雨と多湿な気候である。5 月から 9 月は雨季であり、州西部の ウェスト・ガロ・ヒル地区の年間降雨量は 2000-4000mm であるが、そのほとんどが 5 月から 9 月 にかけての雨季に降る。夏季の平均気温は 26℃程度であるが、最高気温が 35℃近くになる日も ある。また、冬季の平均気温は 9℃程度である。州中部は特に多雨地域であり、チャランプンジ 近郊では年間 12,000mm の雨量が観測されている。トゥーラ市の気温と雨量を下図に示す。

40.0 700 35.0 600 30.0 500 25.0 400 20.0 300 15.0 10.0 200 5.0 100 0.0 0 Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Total Rainfall (mm) Daily Max. (degree C) Daily Min. (degree C)

出典:West Garo Hills District Statistical Handbook 2015 図 12.6-2 トゥーラ市の最低・最高気温および月雨量(2011-2013)

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2) 地形、地質、土壌 国道 51 号の位置するメガラヤ州は、ブラマプトラ川の南方のシロン高原内に位置し、山岳地 形が多い。シロン高原は、先カンブリア紀から最近の沖積層までさまざまな地質体で構成され ているが、国道 51 号が位置する高原の西側では第三系から第四紀層が分布している。第三系は、 石灰岩や礫岩を狭在する泥質・砂質片岩や砂岩からなる Shella および Baghmara 層で構成されて いる。バングラデッシュ国境付近の国道 51 号の南側では、沖積層が第三系を覆っており、この 未固結層は、浸食や崩壊に弱く、斜面崩壊や道路沈下の要因となっている。 標高は 350m に位置するトゥーラ市は、Tura hill および Tura Peak のふもとに位置する扇状地で あり、ウェスト・ガロ・ヒル地区の中心地である。国道 51 号の終点のダルで、国道は NH62 と 交差する。ダルは標高 20m、Tura から 33km 離れた都市である。以下に、メガラヤ州の地質図を 示す。

NH51

出典:メガラヤ州鉱山地質局 図 12.6-3 メガラヤ州地質図

3) 生物相 メガラヤ州は世界でも最も湿潤な地域の一つであり、様々な独特かつ貴重な種の宝庫である。 Meghalaya Biodiversity Board により、139 種の哺乳類、540 種の鳥類、94 種の爬虫類、33 種の両 生類、152種の魚類が確認されている。国道 51号の対象区間の両側には、プランテーションや森 林が広がり、多様な生物相を育んでいる。

4) 保護区および森林 ウェスト・ガロ・ヒル地区の森林は、熱帯、亜熱帯、温帯林に分類される。下図に示すよう に、国道 51 号の対象区間は、保護区や保護林を横断あるいは隣接しない。村落が管理するコミ ュニティ林があるが、住民協議では、適切な補償がなされるのであれば、国道拡幅のために森 林を伐採することに賛成であるとの意見を得ている。

12-87 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

出典: メガラヤ州森林環境局

図 12.6-4 メガラヤ州の保護区、保護林図

12.6.3 社会環境 2011 年の統計によれば、メガラヤ州の人口は 296 万 7,000 人である。このうち、86%が指定部 族に属する。メガラヤ州では、合計 17 の指定部族が登録されているが、なかでもカシ族、ガロ 族、ジャンティア族の人口が多い。指定部族の全人口の半数以上(56.4%)がカシ族であり、ガ ロ族が三割強(34.6%)となっている。三大部族あわせて、指定部族の人口の 9 割以上を占める が、彼らは 19 世紀に英国の支配下に入るまで、それぞれ独自の王国を形成していた。この他の 少数部族に、Koch, Biate, Boro, Hajong, Dimasa, Hmar, Paite, Kuki, Lakhar, Karbi, Rabha などがいる。 メガラヤ州の公用語は英語であるが、この他、カシ語、ガロ語、ヒンディー語、ベンガル語な どが広く使われている。 ウェスト・ガロ・ヒル地区は、メガラヤ州でも大きな地区の一つである。一般にガロ・ヒル と呼ばれる地域は、1976 年にウェスト・ガロ・ヒル地区とイースト・ガロ・ヒル地区に分割さ れ、その後 1992 年に、ウェスト・ガロ・ヒルからサウス・ガロ・ヒル地区が分離した。トゥー ラ市はウェスト・ガロ・ヒル地区の中心地であり、また州都シロンに次ぐ第二の都市である。 2011 年の統計によれば、トゥーラ市の人口は 74,858 人である。国道 51 号の対象区間は、地区内 の 3 ブロック(Rongram, Dalu, Gambegre)を通過する。地区の人口を以下に示す。

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表 12.6-1 ウェスト・ガロ・ヒル地区の人口と男女比 ブロック 男性 女性 合計 Rongram 67,114 66,642 1,33,756 Selsella 88,349 86,857 1,75,206 Dalu 27,351 26,744 54,095 Dadenggre 20,842 20753 41,595 Betasing 36,340 35,763 72,103 Zikzak 37,867 36,735 74,602 Tikrikilla 29,267 29,121 58,388 Gambegre 17,029 16,517 33,546 Total 3,24,159 3,19,132 6,43,291 注: 対象区間がある地区を強調表示した 出典: District Statistical Handbook 2015

表 12.6-2 ウェスト・ガロ・ヒル地区のカースト分布 地区 ST SC その他 合計 Rongram 106,987 2,701 24,068 13,3756 Selsella 78,715 3,046 93,445 175,206 Dalu 47,108 464 6,523 54,095 Dadenggre 40,351 41 1,203 41,595 Betasing 65,776 305 6,022 72,103 Zikzak 49,862 1,703 23,037 74,602 Tikrikilla 52,729 507 5,152 58,388 Gambegre 32,484 43 1,019 33,546 Total 474,012 8,810 1,604 643,291 出典: District Statistical Handbook 2015

メガラヤ州の主要産業は農業であり、労働人口の 62.8%が農業か関連産業に従事している。ま た、人口の 80%が農村部に住む。

12.6.4 環境社会配慮にかかる法的枠組み これまでに説明したインド国の法令がメガラヤ州でも適用される。州独自の法令で、追加的 な許認可や手続きを要するものはない。

12.6.5 組織体制 環境配慮にかかる組織体制は、ミゾラム州と同様である。

12.6.6 代替案の検討 既存道路の拡幅という事業の性質上、代替案の検討余地は限られているが、丘陵地帯という 地形上、また既存道路の拡幅という事業の性格上、概略設計の検討にあたり、ゼロオプション を含む 3 案を比較検討した。各代替案のコンセプトを表 12.6.3 に示す。

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表 12.6-3 代替案の比較 比較項目 ゼロオプション No.1 (DPR) No.2 社会影響 DPR 案では、ROW を 30m 道幅 の拡幅を基本と 短期的には影響なし。し 12 m とする案が提案されてお する。必要な用地面積は かし、渋滞の悪化や舗装 り、用地取得規模が No.2 拡幅分で 、残土処理 状況の劣化は、インフラ 67ha 案と比べて非常に大きく に で、 の世帯や サービスの長期的な劣化 11.6ha 367 なる。また、教会や交 ビジネスが影響を受け をもたらす 番、消防署といった施設 る。

も影響を受ける。 拡幅規模 山側のみを拡幅 現場状況に応じて、両側 N/A を検討 残土 非常に多い 切り盛りのバランスをと N/A ることで最小化 地滑り 案では斜面対策が提 地すべりリスクが高い場 既存のリスクがそのまま DPR 案されておらず、リスク 所では適切な斜面対策を 残る は大きい 実施 拡幅幅、処理する残土量 切り盛りのバランスをと 森林 N/A が多いため、森林伐採面 ることで残土を最小化 積も大きくなる し、森林への影響を緩和 既存のリスクがそのまま 提案なし 交通標識や横断歩道など 安全 残る を設置 バス停やキロ表示などを バス停やキロ表示などを 道路施設 N/A 設置 設置 劣悪な道路状態や渋滞に 交通量が増えることで大 交通量が増えることで大 大気汚染 より、大気汚染は悪化 気汚染は悪化 気汚染は悪化 出典:調査団

住宅や様々な施設が密集するトゥーラ地区を避けるため、本事業の拡幅は二区間(85 km–95 km and 101 km to 148 km)に分けて実施する。当初、DPR で提案されていた案では、上記の拡幅に加 えて、トゥーラ市を迂回する長大なバイパスおよび、市内のフライオーバーが提案されていた が、特に後者のフライオーバーは市内の宗教施設や学校への影響が多く、市民からの反対の声 が挙がっていた。本調査では、バイパスおよびフライオーバーの建設はその環境社会影響の大 きさからスコープ外とした。今後、市内の交通需要がより逼迫し、改めてバイパスおよびフラ イオーバーを検討することになった場合は、改めて環境配慮調査を実施し、適切な環境配慮を 行う。

12.6.7 スコーピング 表 12.3.1 に示した山岳道路の汎用スコーピング案および、国道 51 号の拡幅の概略設計に基づ いて、スコーピング案を作成した。汎用スコーピング案と比較して、より大きな負の影響があ ると結論付けられた箇所を強調表示した。

表 12.6-4 国道 51 号拡幅事業のスコーピング 結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) 自然環境 1.1 気候/気象現象 D D D P: 事業による気候への影響は無い。 C/O: 本事業は既存道路の拡幅であり、大規模な建造 物の建設は伴わない。事業により地域の気象や風 量、風道等に影響が出ることはない。

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結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) 1.2 地形 D B- D P: 事業による影響は無い。 C: 切土、盛土により地形が改変される。残土の量を 最小化するために、土工量のバランスを取る設計に することが望ましい。 O: 供用後は、適切な斜面対策が実施されるため、地 形は安定する。 1.3 地質 D D D P/C/O: 事業による影響は無い。 1.4 土壌侵食 D B- B+/B P: 事業による影響は無い。 C: 土壌侵食、特に雨季の土壌侵食リスクがあるた め、雨季の工事は避けるべきである。 O: 既存道路の排水施設の劣化により、土壌侵食が発 生している。事業により道路の舗装、排水機能は向 上するため、土壌侵食リスクは減少する。一方、雨 季の土砂崩れリスクを管理するため、適切な斜面対 策およびそのモニタリングが必要である。 1.5 水文/水象 D B- B- P: 事業による影響は無い。 C: 土木工事により水象に微小な影響が出る可能性が ある。 O: 切土、盛土により、水象に変化が出る可能性があ る。道路横断排水施設(カルバート)のアウトレッ トには、処理水による法面浸食を抑えるため、水衝 部対策として Gabion 及び Apron concrete 等の対策を 行う。 1.6 地下水 D D D P: 事業による影響は無い。 C: 本事業では地下水の利用を想定しておらず、影響 も無いと考えられる。今後、バイパス等でトンネル を建設する場合には、地下水への影響を調査し、適 切な対応をとる必要がある。 O: 本事業による影響は無い。 1.7 生態系/生物相 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 /生物多様性 C: 本事業は既存の道路の拡幅であり、原生林や希少 な生態系には影響しないが、拡幅により山岳地帯の 生態系および地域の森林や焼畑、プランテーション 等への影響がある。 O: 交通量の増加により、長期的には現地の生態系や 森林へ悪影響があると考えられる。 1.8 保護区/森林 D B- B- P: 国道 51 号の対象区間は国立公園や保護林を横断ま たは隣接しない。 C: 工事により、路肩の植生および土捨て場の森林が 伐採される。 O: 交通量の増加により、長期的には路線近隣の生態 系や森林へ悪影響があると考えられる。モニタリン グを実施すると共に、必要に応じて植林などを行 う。 1.9 沿岸域 D D D P/C/O: 対象路線は沿岸部から離れており、沿岸部へ の影響は無い。 1.10 景観 D D B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中の影響は小さく、また短期的である。 拡幅の際には、景観が優れた所に展望台を建設する など、北東州の観光資源を強化することも検討され るべきである。

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結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) O: 交通網の改善により、州内の観光地や景勝地への アクセスが容易になり、結果、地域の観光が活性化 することが期待される。 1.11 自然災害 D B- B+ P: 本事業による影響は無い。 C: 対象路線の多くの場所で地滑りが発生しており、 工事期間中の事故を防ぐために適切な対策が必要で ある。雨季の工事はリスクが大きいので、避けるべ きである。 O: 斜面対策と適切な排水機構の設置により、災害リ スクは大きく減少すると考えられる。 生活環境 2.1 大気質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機械や車輌による大気汚染が発生する。特 に、乾季の土木工事で粉塵が発生する。 O: 交通量の増加に伴い、大気汚染も増えると考えら れる。モニタリングを実施するとともに、大気質、 交通量にかかる情報を SPCB 等関連機関と共有し、 影響緩和策について協議を行う。 2.2 悪臭 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 2.3 水質 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 土木工事による濁水、橋梁の橋桁工事、また建設 キャンプからの排水等による水質汚染が発生する。 O: 道路利用者やメンテナンス作業で発生する排水に よる影響がある。 2.4 底質 D B- D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事期間中、セメントや砂などが、雨により河川 に流出するが、河川底質への影響はほとんど無いと 考えられる。また、橋梁の工事は小規模であり、河 床および河川生態系への影響はほとんど無い。 O: 道路のメンテナンス作業により多少の排水が発生 するが、河川底質への影響はほとんど無い。 2.5 土壌汚染 D D D P: 本事業による影響は無い。 C: 工事現場由来の土壌汚染リスクは低い。また、対 象地域には大きな産業はなく、既存の土壌が汚染さ れているとは考えにくい。 O: 本事業による影響は無い。 2.6 地盤沈下 D D B+ P/C/: 本事業による影響は無い。 O: 本事業で地盤沈下箇所を修復、改善し、また今後の 地盤沈下リスクを減らすような対策を行う。 2.7 騒音/振動 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事用機材や車輌による騒音が発生するが影響は 短期的である。工事のスケジュールをたてる際に は、学校や病院、宗教施設等の位置やイベント等に 配慮が必要である。 O: 交通量の増加により、沿道の騒音は増加する。学 校等、配慮を要する施設の近隣では、追加的な防音 対策が必要となる可能性がある。 2.8 日照阻害 D D D P/C/O: 本事業による影響は無い。 B- P: 本事業による影響は無い。

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結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) 2.9 廃棄物/有害物 D B- C: 工事キャンプからの廃棄物が発生する。既存のカ 質 ルバート等を交換する際にも廃棄物が発生するた め、現地法に則り適切に処理する必要がある。 O: 道路の利用者から、またメンテナンス業務で廃棄 物が発生する。 社会環境 3.1 非自発的 A- D D P: 本事業により大規模な住民移転が発生する。特 住民移転 に、起点と終点近辺で道路の両側に住居などの構造 物が連続する箇所で影響が大きい。住民移転を最小 化することを優先した設計とする C: 住民移転は工事開始前に終了するため、この段階で の移転は発生しない。 O: 住民移転は工事開始前に終了するため、この段階で の移転は発生しない。 3.2 土地利用 A- A- D P: 用地買収および住民移転により、既存の土地利用 が改変される。 C: 事業は既存道路に沿って実施されるため、建設工 事に伴う土地利用の改変は小規模であり、また工事 用ヤード等の確保のために必要な土地利用の変化は 短期的なものである。 O: 適切な斜面対策を実施することで、自然災害等による 土地利用への悪影響を防止する。無秩序な商工業目的 あるいは住居目的での開発による累積的な自然生態 や森林への影響に対して、秩序ある土地利用が維持 できるよう、Nokma や District Council に申し入れ る。 3.3 地域資源利用 D A- D P: 本事業による影響は無い。 C: 砂や岩石などの現地で大量に調達した場合、現地 での需要が逼迫する可能性がある。 O: 供用後は、地域資源の利用は発生しないため、影響 はない。 3.4 基本計画、地 D D D P: 本事業による影響は無い。 域/都市計画 C: 本事業による影響は無い。 O: 交通網の改善は、外部からの住民の流入や経済発 展をもたらす可能性がある。 3.5 社会組織や地 D D D P/C/O: 事業は既存の社会組織や地域の意思決定組織 域の意思決定 を変更するものではなく、影響は無い。 組織 3.6 社会インフラ A- A- B+ P: 公民館などの施設が影響を受ける可能性がある。 や社会サービ C: 工事やそれに伴う渋滞により、社会インフラやサ ス ービスへのアクセスが阻害される。 O: 長期的には、交通網の改善はこうしたサービスへ のアクセス向上をもたらす。 3.7 地域経済と生 A- A- B+ P: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が発 活・生計 生する。 C: 住民移転による生計手段の喪失による悪影響が発 生する。 一方、建設工事は現地に雇用を生み、地元 経済に正の影響をもたらす。 O: 長期的には、交通網の改善は地域経済に正の影響 をもたらす。

12-93 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) 3.8 被害と便益の A- A- D P: 用地取得、住民移転の対象となった住民と、そう 偏在 でない住民で、事業による影響および裨益の度合い が大きく異なる。 C: 移転対象となる住民が大きく影響を受ける一方、 近隣の住民は建設工事による雇用機会の創出などに より便益を受ける可能性がある。 O: インフラ網の改善により地域全体が裨益することで、 被害と便益の偏在は解消される。 3.9 地域内の利害 D D D P/C/O: 事業は既存道路の拡幅であり、また影響を受け 対立 る施設等は移転あるいは補償対象となるため、事業が地 域内の利害対立を引き起こすことはない。 3.10 水利用、水利 D D D P/C/O: 事業は水利用の仕組みを変更するものではな 権及び共同体 く、事業による影響はない。 の権利 3.11 文化的・歴史 C- D D P: 対象路線沿いには、重要な文化的、歴史的遺産は 的遺産 ない C/O: 重要な文化的、歴史的遺産はないため、影響は ない。 3.12 宗教施設 A- A- D P: 道路沿い記念碑や墓などが影響を受けるが、その 規模は拡幅幅による。拡幅の規模によっては、集落 にある小規模な宗教施設も影響を受ける可能性があ る。 C: 道路沿いの宗教施設は、工事中の騒音や振動、ま た渋滞の影響を受ける。 O: 適切な騒音対策を実施することで、影響が出ないよう に配慮する 3.13 配慮を要する B- B- D P: 集落内でも拡幅では、公民館などの施設が影響を 施設(例:病 受ける可能性がある。 院、学校、,精 C: 道路沿いの学校や病院等が、工事中の騒音や振 密機械工場) 動、また渋滞の影響を受ける。 O: 交通量が増えると、配慮を要する施設での騒音が 増えるが、適切な対策を実施することで影響が発生 しないように配慮する。 3.14 貧困層 A- A- D P: 貧困層の脆弱性を考慮し、彼らが裨益することが できるような生計回復支援を策定、実施する必要が ある。 C: 貧困層は負の影響をより大きく受ける可能性がある が、彼らも事業で発生する雇用機会から利益を受けること ができる。 P: 長期的には、事業が生み出す地域の経済発展により、 貧困層にも正しいの影響があると考えられる。 3.15 少数民族/先住 A- A- D P/C: 対象区間には様々なミゾ部族が居住していえるが、 民族 彼らは平和裏に共存している。ロンクライとサイハ地区に は、それぞれライとマラ(ミゾの部族)が多く住んでおり、住 民移転の実施や生計回復計画の策定には、彼らの固有 の文化や風習に配慮する。 O: 事業は、被影響住民の文化や社会に影響をもたらす ものではない。 ジェンダー B+ P: 本事業による影響は無い。

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結果 工事 工事 供用 Sl.. 項目 評価理由 前 中 後 (P) (C) (O) 3.16 D C- C: 建設工事の際の男女に雇用機会の均等に配慮する 一方、工事に伴い発生する雇用機会のうち、女性で もできる仕事については優先的に女性を雇用する。 同時に、ジェンダーに由来する衝突が起きないよう 現地の文化的、社会的な規範に配慮する。 O: 道路の拡幅、改善により、水や薪を運ぶ役割を担 う女性や女の子の作業負担が軽減されることが期待 される。 3.17 子どもの権利 D D D P: 本事業による影響は無い。 C/O:児童労働はインド国憲法で禁止されている。本 事業では大人のみを雇用して建設工事を行う。 3.18 公衆衛生(伝染 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 病) C: 作業員が外部から流入することによる健康リス ク、特に性感染症のリスクの増大が予想される。マ ラリアが発生している地域で工事を行う際には、マ ラリア対策も必要である。 O: 交通量の増加は、沿道住民の健康に負の影響をも たらす。 3.19 労働安全衛生 D B- B- P: 本事業による影響は無い。 C: 工事現場の衛生、労働者の健康や安全は、環境管 理計画の実施を通じて適切に管理される必要があ る。 O: メンテナンスや補修作業を担当する作業員の衛生 や安全にも十分に配慮する。 その他 4.1 事故 D B- B+/ P: 本事業による影響は無い。 B- C: 重機や工事用車輌による交通事故リスクが増大す る。 O: 交通量の増加および通行速度の上昇により事故リ スクは増大する。一方、交通安全標識やミラーの設 置等の対策により、リスクは減少する。 4.2 気候変動 D B- B+/B P: 本事業による影響は無い。 - C: 工事用機材や車輌からの GHG 排出が発生する が、影響は小さく、短期的である。 O: 交通量の増加により、GHG 排出も増加する。長期 的な気候変動の影響(雨量、雨量強度の変化等)を 考慮した斜面対策の実施等により、気候変動に対す るレジリエンスは増すと考えられる。 注:A-比較的重大な影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) B-ある程度の影響が想定される(+:正の影響、-負の影響) C-この段階では影響の程度が不明なため、更なる調査が必要とされる(+:正の影響、-負の影響) D-影響は予想されない P-工事前、C-工事中、O-供用時 出典:調査団

12.6.8 予想される影響および緩和策 本事業の実施により、様々な正負の影響が生じることが予想される。本節では、事業の各段 階における様々な影響およびその緩和策を概説する。影響評価は、既存情報およびフィールド 調査を元に行った。

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自然環境 気候/気象現象 建設工事前および建設工事中 本事業は、一車線の既存道路を二車線に拡幅するものであり、この事業によって降水パター ンや気温等の現地の気候に変化が生じるとは考えられない。一方、事業による植生の伐採や舗 装路面の増加により、日中の気温の上昇などの短期的、局所的な影響が生じる可能性がある。 こうした影響は、大規模な森林伐採が行われる箇所で発生する可能性が高い。 供用後 供用後は、交通量の増加に伴う排出により気温の増加する可能性があるが、その影響は小さ い。 地質、地形 建設工事前および建設工事中 二車線へ拡幅するための切土、盛土工事、また工事に伴う砕石により、道路脇の地形はある 程度改変される。また、土捨て場では、植生の伐採から残土の埋め立てにより、地形が大きく 改変される。工事用ヤードなどの建設等による変更は短期的なものである。 供用後 供用後は、観光業や商業の活発化による経済効果が生じると予想されるが、地形への変更は 小さい。また、雨季には地滑りなどによって地形が変化する危険がある。斜面の緑化や植林な どにより、斜面は安定し、また景観も改善する。 緩和策 切土や盛土工事が行われる場所以外では、既存の植生は維持される。土取場は、MORTH の道 路工事マニュアルに沿って適切に運営、また閉鎖される。工事後は、土捨て場は埋め立て、既 存の植生が回復するように表土を盛り、植林や緑化を行う。また、土壌侵食防止のため、適切 な維持管理を行う。地滑り等により斜面崩壊が起きた場合は、迅速にこれを修復する。また、 定期的な植林を行うことにより、斜面の安定性を維持、向上させる。 土壌侵食 建設工事前および建設工事中 工事開始前には、既存の植生の伐採や既存構造物の取り壊しを行うが、これにより表土が露 出することで土壌侵食のリスクが高まる。土壌侵食は、斜面や工事現場、排水エリア、土取場 など様々な箇所で発生する可能性がある。 供用後 供用後の道路脇斜面で、特に雨季に土壌侵食の危険がある。特に橋梁や交差点の近辺で注意 が必要である。 緩和策 道路脇での土壌侵食防止策として、IRC ガイドラインに則って斜面緑化を行う。また、急斜面 には適切な対策を行い、安定化させる。建設工事中、土壌侵食リスクを減らすため、表土が露 出する箇所は出来る限り小さくする。また、土壌侵食や土砂の流出による周辺構造物の被害、 河川への影響を防止するため、事業者はトラップの設置や工事現場周辺の緑化等適切な対策を とる。植生工の植物種は、草本類の在来種を予定している。 供用後は、斜面緑化などの対策を講じると共に、定期的なモニタリングを行う。拡幅改良事 業後の道路施設の日常的な維持管理は、事業主体かつ維持管理機関である NHIDCL が維持管理 会社を調達して行う計画である。植生が減少した場合は、すぐに追加的な植林、緑化を行う。 また、排水溝が流水で影響を受けないよう、排水溝はコンクリートで建設する。

12-96 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

水文、水象 流出量検討は、インド国の道路設計で一般的に用いられる横断排水に関する基準書 IRC:SP:13 “Guidelines for the design of small bridges and culverts” および道路排水に関する基準書 IRC:SP42 “Guidelines of road drainage”に基づいて行った。また、長期的な降雨強度を下記の通りモデル化 し、排水溝やカルバートはこれに耐えうるデザインとした。

表 12.6-5 国道 51 号各区間に適用する降雨強度 50 年- 24 時間 区間始点 区間終点 区間始点 降雨強度 KP90 of NH51, Tura KP148, Dalu 360 mm 400 mm 出典:調査団

出典: ATLAS of Statewise Generalised Isopluvial (Return Period) Maps of Eastern India (Part – II) 図 12.6-5 国道 51 号周辺の降雨強度マップ (再現期間 50 年)

建設工事前および建設工事中 工事は既存の河川の流れを変更するものではなく、水文への影響は小さいが、建設工事中に は、既存の排水路が影響を受ける。この事業実施による、自然の水の流れへの影響は非常に小 さい。 供用後 舗装路面が増えることで、流出水の量や勢いが若干増える可能性があり、またその結果、道 路近くの水源に土砂が堆積すると考えられる。 緩和策 水文計算により得られた流水横断位置や流水量、将来の降雨強度に基づき、カルバートや側 溝の通水断面や設置位置を計画する。適切に排水構造物を設置することで、道路の排水機能を 十分に確保して、道路舗装の損傷を防止する計画とする。カルバートのタイプ・サイズについ ては、経済性、施工性、メンテナンス性の観点からふさわしい構造とする。カルバート構造は、 流量が比較的小さな箇所についてはパイプカルバート、比較的大きな箇所についてはボックス カルバートを原則として、水文計算で得られた流量を満足するサイズを確保するように計画す る。 地下水 本事業ではトンネル建設は予定されておらず、事業による地下水への影響は想定されない。 事業者が地下水利用を提案する場合は、事前の調査および許可取得が必要である。事業者は、 工事現場からの排水を適切に管理し、排水が地下水を汚染することがないよう配慮する。

12-97 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

生態系/生物相/生物多様性 メガラヤ州は世界でも最も湿潤な地域の一つであり、様々な独特かつ貴重な種の宝庫である。 国道 51 号の対象区間の両側には、プランテーションや森林が広がり、多様な生物相を育んでい るが、拡幅また残土処理のための土捨て場造成により沿道の植生が伐採されることが主要な影 響である。 植物相の調査は、道路の両側の斜面にランダムにコドラートを設置して行った。樹木種の調 査は、10m 四方、低木は 5m 四方、草本については 1m 四方の枠を置いて調査を実施し、種類や 密度、頻度を記録した。動物相については、プランテーション、焼畑、コミュニティ林、水田 の 4 箇所での踏査を実施し、目視や鳴き声の観測による調査を行った。調査では、地域固有の種 や希少種は確認されていない。 建設工事にかかる影響の他、供用後には交通量の増加、排出量の増加によって生態系に悪影 響を発生するおそれがある。また、交通網の改善が、密漁の増加につながる懸念がある。 緩和策 伐採された樹木に対して、森林法に定める補償植林の方針に従い、植林を行う。また、植林 を行う場所、樹木種については、森林伐採許可を取得する手続きの過程で、メガラヤ州および ウェスト・ガロ・ヒル地区の森林局と協議し、同局の指導のもと決定する。事業者は、指定さ れた場所(放棄された焼畑の家、劣化した林地等)に、苗木の植林を行う。また、植林の状態 は定期的にモニタリングを行い、必要であれば追加的な植林を実施する。 また、森林伐採を最小化するために、拡幅幅および工事、土捨て場用地に必要な分以上の伐 採は行わない。また、土捨て場については、可能であれば表土および植生を残し、埋め立てを 行った後で戻すこととする。また、工事用車輌や機材は、出来る限り拡幅の幅内で作業を行う。 工事用ヤードなど、短期的な用地取得および植生の伐採が必要な場所については、地面を荒ら すことを控え、工事終了後には植生を戻す、あるいは植林を行う。 生態系への影響の緩和策として、生態系に関するモニタリングを EIA 調査同様の調査手法で実 施する。密漁対策として、現在は、啓発活動やレンジャーによる見回りや罠の撤去等が行われ ており、また、農作物被害に対して政府が金銭保証をすることで、農民が野生動物を駆除する インセンティブを減らす、という施策がとられている。密猟対策は、本事業の実施機関の管轄 ではないが、今後の交通状況の改善による密猟増加の可能性、及び、希少な野生動物の取引の 規制等の適切な対策の必要性について関連機関に提言を行う。 景観 国道 51 号の対象区間には、景勝地として活用できるような見晴らしの良い場所はないが、 IRC:35-1997 に従って交通標識を設置することで、交通の流れを円滑化、渋滞を緩和し、道路の 景観改善につなげる。バスの乗客が乗り降りする際に路上にそのまま停車すると、渋滞につな がるだけでなく事故の危険がある。そのため、交通量が比較的多いエリアでは、バス停を設置 し、バスの運行が他の車輌の通行の妨げにならないようにすることが望ましい。また、観光客 が利用することを鑑み、場指定には公衆トイレやマーケットなどの施設を併設することを検討 する。公衆トイレのし尿・汚排水の処理方法は、維持管理が容易な汚水処理タンクの設置、あ るいは汲み取り式タンクの設置を提案する。バス停を設置する候補地点を以下に示す。 自然災害 風化岩で構成される急勾配の既存の切土法面で多くの斜面崩壊が確認されており、斜面崩 壊、特に雨季における地滑りなどのリスクが高い。道路沿い擁壁工より上方の斜面の切土勾配 は、斜面の地質・土質状況により決定するが、軟岩斜面は IRC 基準より緩い勾配の 1:0.5 から 1:0.8 の勾配で切土をするものとする。硬質な岩盤斜面は、より急な切土勾配が適用可能である。 すなわち非常に硬質な岩盤斜面は、1:0.2 勾配で切土をする。一方で、脆弱化した風化岩や土砂 で構成される斜面は、緩い勾配で慎重に切土をする。浸食や表層崩壊の防止のため、また景観 の向上のために、切土法面のほとんどは、植生基材吹付工や播種工等を実施し、緑化する。生 態系への影響を最小化するため、植生工の植物種は、草本類の在来種を予定する。

12-98 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

気候変動により、対象地域の降雨強度は増加すると想定される。2021 年から 2050 年にかけて、 国道 51 号では 5-10%の年降水量の増加が予測されている。降雨強度の増加や頻度の増加、それ に伴う地下水位の上昇や浸食の発生は、斜面崩壊や地すべりを誘発し、直接道路に被害を与え るほか、道路排水機能を低下させ、降雨時の冠水被害や道路構造物の不安定化を引き起こす可 能性がある。こうした影響を緩和するため、斜面対策や排水溝などは予想される降水量の増加 に耐えうるデザインとする。道路設計に考慮にいれた気候変動に対する適応策は、表 12.5.9 に示 したものと同様である。

生活環境 大気質 対象区間は農村地域であり、対象区間沿いには、大気汚染源となるような工業施設はない。 トゥーラ市で渋滞が発生し、排気ガスによる大気汚染が発生しているが、対象区間の大気質は 基準内であり、良好である、 表 12.6-6 大気質調査結果 3 測定地 パラメータ (µg/m ) Respirable Suspended Suspended Oxides of 点 観測日 Sulphur Dioxide Lead (as Pb) Particulate Matter (as Particulate 3 Nitrogen (as 3 コード 3 3 (as SO2) (μg/m ) 3 (μg/m ) PM10 (μg/m ) Matter (μg/m ) NO2) (μg/m ) AAQ1 5/30-5/31 75 190 22 24 0.05 6/1-6/2 70 165 22 24 0.06 6/2-6/3 72 185 22 24 0.07 6/11-6/12 68 179 22 23 0.08 6/12-6/13 77 168 22 23 0.05 6/18-6/19 71 155 18 21 0.03 6/20-6/21 52 164 19 23 0.03 6/25-6/26 68 165 17 23 0.06 6/27-6/28 72 188 20 23 0.04 6/29-6/30 69 176 22 25 0.04 AAQ2 5/30-5/31 75 190 22 24 0.05 6/1-6/2 65 155 23 25 BDL 6/2-6/3 52 130 21 23 BDL 6/11-6/12 59 148 22 25 BDL 6/12-6/13 50 134 17 21 BDL 6/18-6/19 47 150 12 17 BDL 6/20-6/21 39 140 15 23 BDL 6/25-6/26 48 130 19 22 BDL 6/27-6/28 44 136 14 18 BDL 6/29-6/30 75 190 22 24 0.05 AAQ3 5/30-5/31 78 170 24 26 0.03 6/1-6/2 75 185 24 26 0.05 6/2-6/3 68 160 21 23 0.06 6/11-6/12 70 185 22 24 0.04 6/12-6/13 70 155 20 28 0.06 6/18-6/19 70 170 19 21 BDL 6/20-6/21 70 170 19 21 0.05 6/25-6/26 70 170 19 21 0.05 6/27-6/28 69 166 20 24 0.06 6/29-6/30 78 170 24 26 0.03 CPCB Limit 100 200 80 80 1.0 出典:調査団

工事前および工事中 建設資材の運搬などによる粉塵、工事用車輌や重機からの排ガス、砕石やアスファルト打設 などにより、工事中は局所的に大気質に悪影響がある。特に、アスファルトプラントは Sox や 12-99 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

PM 等の排出源である。工事車輌の運行による排ガスも大気質に悪影響を及ぼす。現状の大気質 は、中央汚染管理局の定める基準内である。建設期間中、これらの数値が悪化することが予想 されるが、影響は短期的、局所的なものに留まる。また、工事期間中の風向きによっては、工 事現場よりもその風下の場所でより大きな影響が発生する可能性がある。 供用後 交通量の増加に伴う排ガスの排出増は、大気質に負の影響を与える。また、車輌の速度が増 すことにより、走行による粉塵の発生も増えると考えられる。 緩和策 アスファルトプラントなどの排出源は、近隣集落から最低 500m 離れた場所に設置し、また法 令に従って粉塵や排ガスの発生を最小限にするように操業する。工事用車輌や重機は定期的に 点検を行い、州汚染管理局の基準を満たしているかどうかを確認する。また、工事現場やアス ファルトプラントの近くで定期的に大気質のモニタリングを行う。粉塵の発生を抑えるために 水撒きを行うとともに、建設物資を運搬する車輌には覆いをかける。また、建設現場の周辺に は植林/緑化を行う。 供用後も定期的な大気質のモニタリングを行い、また沿道の植生への影響を確認する。長期 的には、交通量の増加、特に大型車輌の増加は、沿道住民の健康に悪影響を及ぼすと考えられ る。交通量モデルから見積もった排出量を考慮しても、2035 年時点の大気質パラメータは基準 内に収まると予測されるが、影響緩和策として、速度制限の導入や渋滞緩和のための施策を検 討する。また、大気汚染による健康被害リスクについて、周辺コミュニティに周知し、マスク の配布などの対策を行う。今後の交通量増加の見通しについて州政府と交通需要や大気汚染増 加見通し等に関する情報共有を行い、上記施策の実施の必要性について協議を行う。モニタリ ング地点・頻度は、モニタリング計画に準ずる。 水質 国道 51号の対象区間には工業施設などの大きな汚染源はなく、シロンの公衆衛生局での聞き 取りでは、沿道の水質は良好とのことであった。インド国による準備調査では、乾季(2011 年 2 月)の水質調査が実施された。また、雨季の調査として、2015 年 6 月から 7 月にかけて、水質調 査を行った。どちらの調査でも水質は概ね良好であったが、鉄分の含有率が高い結果となった。 これは現地の土壌の特性を反映したものと考えられる。

表 12.6-7 水質調査結果 Duragre River at Around Tibapara Locality (South Halfway Between Locality (Noth Dalu パラメーター Limits IS: of Tura) Tura and Dalualu of Dalu) 10500 GW1 SW1 GW2 SW2 Temperature 32.1 32.1 32.3 32.1 pH 7.49 7.46 7.03 7.64 6.6 to 8.5 Color (Hazen unit) <5 <5 <5 <5 - Odor and Smell Agreeable Agreeable Agreeable Agreeable Suspended Solid (mg/l) 24 17 33 2.0 - BOD (mg/l) Nil Nil Nil Nil - COD (mg/l) Nil Nil Nil Nil - Total Hardness (mg/l) 68 24 80 20 300 Calcium (mg/l) 25.65 6.41 11.22 4.81 75 Magnesium (mg/l) 0.97 1.94 5.83 1.94 30 Electric Conductivity 174.6 85.7 126.9 73 - Chloride (mg/l) 8.11 2.02 6.08 2.02 250 Sulphate (mg/l) 4 5.71 33.52 3.24 200 Nitrate (mg/l) 1.2 1.51 0.37 0.37 45

12-100 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

Duragre River at Around Tibapara Locality (South Halfway Between Locality (Noth Dalu パラメーター Limits IS: of Tura) Tura and Dalualu of Dalu) 10500 GW1 SW1 GW2 SW2 Fluoride (mg/l) 0.17 0.12 0.04 0.19 1 Total Dissolved Solid (mg/l) 110 54 80 46 500 Iron (mg/l) 33.52 4.07 2.0 0.1 0.3 Coliform Organism / 100 ml Absent Absent Absent Absent 備考:GW は地下水、SW は表流水を指す 出典:調査団

工事前および工事中 国道 51号の対象区間は、途中で小川を越え、終点のダル近くで水田地域を通過する。工事期 間中は、河川への流出が増える可能性があり、河川や水路での土砂の沈殿が発生する可能性が あるが、工事を行う橋梁は規模が非常に小さく、また工事は乾季に実施するため、河川への影 響は無いと考えられる。工事期間中の工事キャンプからの排水、また工事用車輌からの燃料や 油の漏出が水質へ悪影響を及ぼさないよう、適切に処理を行う必要がある。また、自然の水路 や排水路が工事によって影響を受け、水の流れが変更される可能性があるが、影響は短期的で あり、それによる水質への影響は小さいと考えられる。 工事中の水の利用−コンクリート打設や工事労働者による水の利用−が、地元の水需要を逼迫 させないよう、水道水は飲用のみに限って利用することとし、それ以外の水は表流水や溜池の 水を利用することが望ましい。 供用後 供用後は、通行車両からの廃棄物や漏れた燃料や油が水質汚染を引き起こす可能性があるが、 その影響は小さい。また、既存の概略設計による自然の水路の改変は最小限であり、それによ る水質への影響も非常に小さいと考えられる。 緩和策 工事による水質への影響を防止するためにも、雨季の工事、特に河川や水路近くの工事は避 けるべきである。また、工事期間中には、沈殿や水質汚濁を防止するためのトラップなどを設 置し、影響緩和を行う。工事から生じる廃棄物は、州汚染管理局の定める規則に従って処理し、 それらが水路を塞いだり、また水質に悪影響を及ぼさないようにする。燃料や油の漏れを防止 するためにも、工事用車輌や重機は定期的にメンテナンスを行い、また給油は定められた場所 で、適切に行うとともに、オイルバリアなどのトラップを設置する。水路に繋がる斜面では、 廃棄物や排水が直接流れ出さないように配慮する。もし油が流出した場合は、吸着剤や土の入 れ替えなどにより、影響拡大を防止する。 工事キャンプに設置するトイレからの排水が直接河川や水路へ流れ込まないよう、トイレの デザインや設置場所に配慮する。また、事業によって現地コミュニティの水利用に影響が出な いよう、事業者は適切な配慮を行う。工事のために必要な水が現地で得られず、井戸を掘る必 要がある場合は、事前に地下水管理機構の許可を取得する。 底質 河川や水場近辺での工事の際には、土砂の流出を防ぐためのトラップを設置する等の配慮を 行う。概略設計では、6m の橋の架替え、7つの小橋の上部工の交換が予定されているが、どれ も規模が非常に小さく、河床に杭を打つような工事はないため、河川底質への影響は無い。 土壌汚染 工事前および工事中 建設工事中に出る廃棄物により、土壌汚染が起きる可能性がある。特に、建設キャンプでの 作業員の生活から発生する廃棄物や排水、資材置場やアスファルトプラントからの廃棄物は、

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適切に処理されなければ大きな汚染源となる。工事用車輌や重機が駐車している場所では、燃 料や油の漏れによる汚染リスクがある。 供用後 供用後は、交通事故で生じる燃料や油の漏れによって土壌が汚染される可能性がある。発生 する可能性は低いが、大きな事故が起きた場合の影響は大きい。 緩和策 工事現場での車輌や重機の給油は、燃料漏れが起きないよう定められた場所で、定めれらた 手順で適切に行う。また、燃料の保管は、水場や排水溝から離れた場所で行う。また、給油、 燃料保管ともに、農地の近隣は避ける。油や石油製品は規則に従って廃棄し、現地環境に影響 が出ないように配慮する。また、土壌への影響を最小限にするため、切土盛土は設計に従って 行い、不要な残土が発生しないようにする。また、再利用可能な廃棄物は、アスファルト素材 等として可能な限り再利用する。 供用後は、沿道の給油所や洗車場からが土壌汚染の源とならないよう、適切にモニタリング を行うとともに、燃料漏れが発生した場合は、吸着剤や土の入れ替えなどにより、影響拡大を 防止する。展望台やバス停に設置される公衆トイレについては、環境影響を最小化するよう、 維持管理が容易な汚水処理タンクの設置、あるいは汲み取り式タンクの設置を検討する。 地盤沈下 道路インベントリ調査では、多くの箇所で地盤沈下が起きていることが確認された。改良工 事では、コンクリートの厚みを十分にとり、また排水溝を整備することで対策を行う。地盤沈 下対策の標準断面図は、国道 54 号の節で示した通り(図12.5.10)。 騒音、振動 道路事業では、工事に伴う騒音は重要な環境影響である。インド側の DPR 作成時には、6 箇所 で騒音測定が実施された(2011 年 2 月)。これに加え、雨季前の測定として、2015 年 5 月から 6 月に、以下の地点で騒音測定を行った。騒音はおおむね基準内であるが、ダルの学校近くでは、 騒音基準が「silence zone」の基準を超えており、工事中に学校の活動に影響が出ないような対 策を取る必要がある。 表 12.6-8 騒音測定結果 騒音レベル Leq.dB(A) Sr. 調査地点 日中 (07.00 AM to 11.00 PM) 夜間 (10.00 AM to 12.00 PM) No. Lmin Lmax Leq Lmin Lmax Leq Monitoring 1. Date: May 30, 2015 to May 31, 2015 1 GK Sangma Petrol Pump 70 52 60 58 46 47 Near Woodland School, 2 71 53 58 55 44 46 Barengapara, Dalu 3 Forest Gate, Chokpot, Tura 68 51 57 53 47.2 38.5 Monitoring 2. Date June 29, 2015 to June 30, 2015 1 GK Sangma Petrol Pump 70 46 52 54 41 43 Near Woodland School, 2 70 46 51 54 40 42 Barengapara, Dalu 3 Forest Gate, Chokpot, Tura 69 50 52 53 40 40 Standard for Commercial Area 65 55 For Residential Area - - 55 - - 45 For Silence Zone 50 40 出典:調査団

工事前および工事中 工事期間中の主な騒音、振動源は、工事用車輌や重機、アスファルトプラントなどである。 現在の騒音レベルは、一部の箇所を除けば基準内であるが、工事期間中には短期的ではあるが 12-102 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

基準を超える騒音が発生すると考えられる。一シフト8時間として、ACGIH (American Conference of Government Industrial Hygienists) では、8 時間の騒音を 85 dB(A)内にすることが提言 されており、労働者の健康対策としても、出来る限り上記基準を順守することが望ましい。 供用後 供用後は、拡幅による渋滞緩和により、エンジン音やクラクションなどによる騒音は低減す ることが期待される。一方で、交通量が増加、特に大型トラックが増加は、騒音の増加につな がると考えられる。 緩和策 騒音は、近隣の住民や作業員に負の影響をおよぼす。緩和策として、以下の対策を実施する。 • アスファルトプラント等の機材は、全て中央汚染管理局の基準を満たすものを使用する。 また車輌は定期的にモニタリングを行い、基準以上の騒音が発生しないよう配慮する。 • 大きな騒音が発生する現場で働く作業員は、耳栓やヘルメットなどを装着する。また、 同じ作業員が大きな騒音が発生する現場で働き続けることがないような作業シフトとす る。 • 建設現場が村落から 150m以内にある場合は、夜間の工事は出来る限り行わない。また、 アスファルトプラント等の騒音源は、学校や病院等の施設から 500m以上離れた場所に設 置し、必要に応じて防音壁などの対策をとる。 • 建物の解体や土工などを行う時間を分散することで、同じ時間帯に騒音が発生しないよ う配慮する。また、騒音が発生する諸作業を分散して行うことで振動を抑える。 • 工事期間中は、仮の標識等を設置することで渋滞の発生、またクラクションによる騒音 が発生しないよう配慮する。 • 騒音振動のバリアとして、沿道緑化を行う。

廃棄物/有害物質 建設工事では、アスファルトやコンクリート、廃材や残土、また作業員のゴミなどの廃棄物 が発生する。環境管理計画では、一般的な建設事業における廃棄処理手続きを提案しているが、 その内容は最終的な線形デザインや工事のスケジュールに応じて更新される必要がある。 表 12.6-9 土捨て場面積

出典:調査団

国道 51 号についての概略設計の結果、必要な残土処理量を如何に示す。国道 54 号での評価と 同様の基準で、9 箇所の候補地を選定した。それぞれの場所および容量を以下にしめす。

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表 12.6-10 残土処理量 Capacity of No. Section Sta. Spoil Bank

Cu.m 1 Sta. 85-94 88+000 47,120 2 105+805 4,620 3 110+000 86,190 4 110+550 58,260 5 119+340 16,856 STA.101-143 6 124+800 77,440 7 130+800 15,526 8 135+420 22,806 9 139+100 12,883 Total in NH-51 341,701 出典:調査団

社会環境 非自発的住民移転 概略設計に基づいた用地取得では、合計 367 世帯が事業によって影響を受ける。そのうち、 173 世帯が住居、194 世帯はティーストールやレストランなどの商業施設である。被影響住民の 総数は 1,820 人である。これらの世帯のうち、319 世帯(161 世帯が住民、158 の商業施設)が非 自発的住民移転の対象となる。残りの 48 世帯は、影響を受けるが、移転の必要はないと考えら れる。 土地利用 本事業は既存道路の拡幅であり、地域の土地利用を大規模に改変するものではない。一方、 残土処理のための土捨て場では、森林が伐採されるなど、既存の土地利用が変更となり、プラ ンテーション等の住民の生計に影響が発生する可能性がある。また、供用後に、道路脇の斜面 で焼畑農業が行われた場合、斜面の緑化等の斜面対策の効果が損なわれる恐れがある。 地域資源利用、地域経済と生活・生計 本事業では、砂や石など、大量の地域資源が利用される。短期的には、建設工事にこうした 資源が使われることで、他の需要を圧迫する可能性がある。また、拡幅工事が完了し、外部か らの物資や人の流入が活発化すれば、地元の雇用や商店の営業に負の影響が発生する可能性が ある。交通網の改善は、長期的には地域経済を活性化させ、現地住民の生活に資するものであ るが、上記のような短期的、中期的なリスクには十分な配慮が必要であり、生計回復案の作成 に際しては、こうした点に注意を払う必要がある。 また建設工事中は、コミュニティ林や焼畑、プランテーションを通過する区間については、 住民のアクセスが阻害されないような工事計画にするとともに、工事による排水や土砂流出に よる悪影響が出ないよう配慮する。 基本計画、地域/都市計画 交通網の改善は、村落や地区の開発にとって新たな機会となる。特に、大量に発生する残土 を活用すれば、村落に平地を造成し、グラウンドやコミュニティホールなどの用地として利用 することが可能となる。また、交通網の改善は様々な経済開発を呼びこむことが予想されるが、 無秩序な商工業目的あるいは住居目的での開発による累積的な自然生態や森林への影響に対し て、秩序ある土地利用が維持できるよう VC と協議を行う。 社会組織や地域の意思決定組織 国道 51号の対象区間は部族社会であり、ノクマ(Nokma)と呼ばれる慣習的なリーダーが地 域の意思決定に大きな影響力を持つ。事業の円滑な実施には彼らの支持が不可欠である。環境 管理計画の実施や、住民移転、生計回復策の実施にあたっては、外部の専門家主導ではなく、 既存の社会組織を活用し、現地住民にとって馴染みのある形で行うことが重要である。また、 12-104 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

事業が既存の社会組織に混乱をもたらすことのないよう、住民移転は出来る限り、同じ村落内 で行うようにする。 社会インフラや社会サービス 国道沿いの住民にとっては、国道は唯一のインフラであり、病院や学校などのサービスを利 用するのに不可欠なものである。建設工事により、渋滞が発生し、こうしたサービスへのアク セスが短期的に阻害されることが予想されるが、工事の日程や時間は、地元住民の生活への影 響が最小限になるように策定される必要がある。発破作業を行う際など、道路を塞いで作業を 行う必要がある場合は、周辺村落に事前に周知し、影響が最小限になるよう配慮する。 被害と便益の偏在、地域内の利害対立 現地で商業を営む人間にとっては、国道に直接面した土地は非常に重要であり、沿道からよ り内側の土地への移転は、レストランや小売店などにとって致命的な影響を及ぼす可能性があ る。この点で、商業従事者は、農家よりもより大きな影響を受けることが予想される。また、 どの場所へ移転できるか、という点によっても、長期的な経済的影響に大きな違いが出ること が予想され、これが利害の対立を生む可能性がある。VC などの協力を得て、公平に移転および 生計支援を推める必要がある。 水利用、水利権及び共同体の権利 対象地域では灌漑は行われておらず、水利権が地域内の衝突原因になるとは考えられない。 文化的・歴史的遺産 対象道路沿いには、重要な文化、歴史的遺産は確認されていない。 宗教施設、配慮を要する施設(例:病院、学校、,精密機械工場) 本事業による、教会などの宗教施設への直接の影響はないが、工事期間中には、こうした施 設へのアクセスが阻害されないよう配慮が必要である。特に、日曜日の礼拝時に、教会へのア クセスが塞がれないようにすることは重要である。また、学校や病院の近隣では、通常よりも 厳しい騒音や振動基準を適用することを検討する。 貧困層 ベースライン調査では、公的な統計による貧困層の数と、聞き取り調査で自分を貧困層とす る世帯数に大きなギャップがあった。生計回復策の策定にあたっては、一回の金銭支払で終わ らせるのではなく、貧困層のキャパシティに十分配慮し、彼らが持続的に生計を回復できるよ うな案を検討する。 少数民族/先住民族 ミゾラム州と同様、メガラヤ州の人口の大多数が指定部族(ST)であり、また被影響住民の 大多数も ST である。このことから、インドの他の地域とは異なり、ST は「少数」民族ではない。 また、彼らは焼畑や伝統的な慣習、祝祭といった文化を保持しているものの、他部族とも自由 に交流しており、決して外部から隔絶された集団ではない。 ジェンダー 女性の高い識字率からも明らかであるように、メガラヤ州を含む北東州では、民族にかかわ らず男女格差は比較的小さく、社会で重要な位置に付いている女性も多い。ガロ族の女性は、 家庭での仕事、森での採集、薪や水の収集などの作業に従事していることが多いが、特に後者 については、道路事情が改善することにより作業の労力が軽減されることが期待される。女性 が特に大きな影響を受けないよう、EIA 報告書では女性についての方針や配慮をまとめた章を作 成し、工事に伴い発生する雇用機会のうち、女性でもできる仕事については優先的に女性を雇 用するなどの施策を提言している。 公衆衛生、労働安全衛生 公衆衛生および労働安全については、国道 54 号の拡幅事業と同様の対策を実施する。詳細は、 表 12.5.19 を参照。

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その他

事故 工事前および工事中 建設工事中の様々な活動—道路脇の植生の伐採、構造物の撤去などは、適切に実施されなけれ ば事故の原因となりうる。車輌の運行についても同様である。工事中、特に周辺村落の住民に とっては、交通安全は重要な問題であり、資材を運ぶトラックなどによって視界が遮られたり、 また渋滞が発生したりすることが事故に繋がらないよう、配慮が必要である。事故が発生した 際に即時対応できるよう、作業員には近隣の病院の場所などを周知し、また救急キットを現場 に用意しておく。 供用後 供用後は、本事業で実施される標識やカーブミラーの設置など、またカーブの改良などによ り、交通安全は向上する一方、通過交通の速度が増せば、事故のリスクも増大すると予想され る。 緩和策 国道 51 号は山岳道路であり、一部視界が悪い箇所が存在する。そうした箇所ではカーブには ミラーを設置し、またガードレールを設置するなどの安全対策を通じて、事故のリスクを軽減 する。また、ヘアピンカーブでは時速 20km の速度制限を導入し、事故防止につとめる。 既存の橋梁をそのまま利用する箇所では、道幅が一時的に狭くなるが、路肩に標識を設置す るなどしてドライバーに周知し、事故につながらないよう配慮する。国道が通過する村落区間 では、バス停や横断歩道などの位置がはっきり分かるような標識を設置し、ドライバーが十分 に注意して走行できるようにする。 気候変動 工事期間中、工事用車輌の運行や渋滞により、温室効果ガスの排出量が増加すると予想され るが、影響は小さい。供用後は、交通量が増えることで、長期的な排出量増加が予想されるが、 道路の舗装状況や排水施設などの適切に維持管理を通じて、排出量の増加を軽減する。また、 大気質、交通量にかかる情報を SPCB 等関連機関と共有し、影響緩和策について協議を行う。

12.6.9 環境管理計画 上記の影響評価結果および緩和策の検討に基づき、事業の各段階における環境管理計画を下 表のように策定した。

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表 12.6-11 環境管理計画(工事前) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督  RAP で定めた住民移転にかかる全ての作業が、 対象区間全域 工事前 州政府、地区政 P1 建設工事開始前に終了する。これには、用地の 府、VC, NGO 非自発的住民移転 PIU, SC 取得、ユティリティの移転、補償の支払い、移 転支援の提供などが含まれる 対象区間全域 工事前  最終線形確定時に、植生の伐採が最小限となる P2 (植林作業や管理は ように配慮する 工事開始後も継続し PIU, Contractor, PIU, SC, Forest 植生の伐採  森林伐採許可を取得してから伐採を行う て行う) Forest Dept. Dept.  森林局と合意した内容で植林を行う

 密漁を防止するため、作業を適切に監督する

 集落から最低 500m 離れたところに建設する 建設キャンプ予定地 工事開始前、工事 P3  作業員の宿舎からの排水や廃棄物が土壌や水源 全て 中、建設終了後の解 建設キャンプの造成 を汚染することがないような設計とする。特 体 Contractor PIU, SC に、地下水を汚染することがないように配慮す る  集落や農地から十分離れた場所に設置する 全てのアスファルト 工事開始前、工事 P4 アスファルトプラントの設置  可能な限り、集落から 1000m 以上離れた場所と プラント 中、建設終了後の解 Contractor PIU, SC する 体  VC 等と協議の上、候補地を最終化する 土捨て場として選定 工事開始前 P5 土捨て場の最終決定  希少な生物種が観察された場所は避ける。水の された箇所 Contractor PIU, SC 流れへの影響が最小限となるようにする 対象区間全域 工事開始前  地すべり等のリスクが高い場所を(改めて)確 Contractor P6 地すべり等災害リスクが高い 認し、SC および PIU へ報告する PIU, SC 場所の 必要に応じて追加の斜面対策を講じる  P7  土地の補償を希望する住民や と協議の上、 村落近郊で選定され 工事開始前 移転地の決定と造成(金銭で VC 場所を最終化する た場所 なく、土地—土地の補償を行 PIU PIU  造成し、電気や水道などのユティリティを備え う場合) 付ける 出典:調査団

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表 12.6-12 環境管理計画(工事中) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 土壌 C1 土取場での土壌侵食  土取場の深さを制限し、斜面が急に 土取場 建設工事中 Contractor and PIU なりすぎないようにする Supervision Consultant C2 土取場での表土の喪失  農地や生産性の高い土地は避ける 土取場 建設工事中 Contractor and PIU  やむを得ずそうした土地で作業する Supervision 場合は、表土を保全し、のちに埋め Consultant 戻す C3 土の圧迫  工事用車輌や重機の移動が、農地な 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU どの土壌を固めてしまわないように Supervision 配慮する Consultant C4 盛土の土壌侵食  IRC のガイドラインに則って作業を 盛土箇所 建設工事中 Contractor and PIU 行う Supervision Consultant C5 燃料や潤滑油による土壌汚染  車輌から燃料や油が漏れないよう適 建設現場他 建設工事中 Contractor and PIU 切に管理する Supervision  燃料や油は、排水路や水場から十分 Consultant 離れた場所で保管する C6 工事で発生する廃棄物による土壌汚  既存の舗装やカルバートなどは、可 土捨て場、廃棄物処分場 建設工事中 Contractor and PIU 染 能な限り再利用する Supervision  廃棄する場合は、現地の定められた Consultant 処分場で処分する  残土は、土捨て場へ運ぶ C7 用地取得に伴う表土の喪失  可能な限り、表土は保全し、後に埋 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU め戻す Supervision Consultant 水質 C8 燃料や潤滑油による水質汚染  車輌から燃料や油が漏れないよう適 建設キャンプ、建設現場 建設工事中 Contractor and PIU 切に管理する Supervision  燃料や油は、排水路や水場から十分 Consultant 離れた場所で保管する

12-108 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C9 建設現場の汚水による水質汚染  建設作業員の宿舎は、水場近くに設 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 置しない Supervision  維持管理が容易な汚水処理タンクの Consultant 設置、あるいは汲み取り式タンクを 設置し、汚水を垂れ流しにしない C10 建設工事で発生する埃や粉塵が井戸  井戸に蓋を取り付け、粉塵が井戸水 道路脇の井戸 建設工事中 Contractor and PIU に悪影響 を汚染することを防止 Supervision Consultant C11 飲料水を建設工事に利用(し、近隣  工事で水を利用する場合は、近隣村 建設現場および作業キャ 建設工事中 Contractor and PIU 村落の水需要を逼迫) 落の水需要を逼迫しないよう配慮す ンプ Supervision る Consultant  建設作業員の宿舎についても同様 C12 道路脇の井戸が拡幅で影響を受ける  移転/移築する、あるいは代替となる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU ものを提供する Supervision Consultant C13 道路脇の貯水槽が拡幅で影響を受け  移転/移築する、あるいは代替となる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU る ものを提供する Supervision Consultant C14 自然の水の流れ、水文の改変  水文分析に基づいて排水施設を設置 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU し、影響を緩和する Supervision Consultant C15 建設作業員の宿泊所からの排水、廃  作業員の宿泊所は、集落から離れた 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 棄物 場所に建設する Supervision  汚水は垂れ流しにせず、適切に処理 Consultant する 大気質 C16 工事用車輌や重機からの排気ガス  全ての車輌や機材は定期的にメンテ プラント設置場所、建設 建設工事中 Contractor and PIU ナンスを行い、良好かつ環境基準を 現場 Supervision 満たす状況であることを確認する Consultant  無鉛のガソリンやディーゼルのみを 使用する C17 アスファルトプラント他からの排出  アスファルトプラント等は、集落か プラント設置場所 建設工事中 Contractor and PIU ら 500m 以上離れた風下の場所に設置 Supervision する Consultant C18 大気汚染が CPCB の定める基準を超  定期的に大気質のモニタリングを実 モニタリング計画に準じ 建設工事中 Contractor and PIU えるリスク 施し、状況を確認する る Supervision Consultant 12-109 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C19 埃や粉塵  水撒き等により、埃や粉塵の発生を 埃が発生する作業、また 建設工事中 Contractor and PIU 抑える 病院や学校などの近隣 Supervision Consultant 騒音 C20 車輌やアスファルトプラントからの  工事には、CPCB の基準を満たす車輌 建設工事現場、プラント 建設工事中 Contractor and PIU 騒音 や機材のみを使用する Supervision  使用していないときはエンジンを止 Consultant める  教会や学校などの近くで作業を行う 際には作業時間や日程などに十分配 慮する  定期的に騒音モニタリングを実施 し、騒音基準を超える場合は防音壁 の設置などの対策をとる C21 発破作業の騒音  発破作業は法に定める手続きに則っ 発破作業を行う場所全て 建設工事中 Contractor and PIU て実施する Supervision  近隣集落の住民には事前に周知する Consultant  作業員は耳栓を着用し、影響緩和す る C22 防音壁  センシティブな区間について防音壁 学校や病院、その他のコ 建設工事中 Contractor and PIU の設置をおこなう。 ミュニティ施設周辺 Supervision Consultant

生態系 C23 拡幅にともなう樹木の伐採  伐採する樹木一本に対して 3本の植林 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU を行う Supervision  樹木の伐採は、森林伐採許可を取得 Consultant

した後に行う Forest Dept.  植林の実施は、森林法に則り、また 森林局とガイダンスの元に行う

12-110 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C24 希少な生物種への影響  建設工事中に希少種が確認された場 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 合は、作業を一時中止し、影響緩和 Supervision の対策を取る Consultant  標識の設置を行い、絶滅危惧種の目 視情報に関する報告制度等の推進に ついて州政府環境森林局と協議を行 う  生態系に関するモニタリングを EIA 調査同様の調査手法で実施する。 衛生 C25 水の汚染による健康被害  基準を満たす飲料水を建設現場に常 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 備し、水由来の疾患を予防する Supervision  作業現場やキャンプのトイレには汚 Consultant 水処理タンクの設置、あるいは汲み 取り式タンクの設置し、衛生環境に 配慮する  建設キャンプには常備薬を備え付け る C26 建設工事中の事故や罹患  作業中は、手袋やゴーグルなどの防 建設現場 建設工事中 Contractor and PIU 具を適切に使用する Supervision Consultant C27 性的暴力やハラスメント  建設キャンプでは男性と女性の宿泊 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 所を分ける Supervision Consultant C28 建設キャンプの衛生  建設キャンプの衛生状況には十分に 建設キャンプ 建設工事中 Contractor and PIU 配慮する Supervision  生活排水が健康被害や水質汚染を引 Consultant き起こさなよう、適切な排水施設を 用意する  ゴミ箱を各所に設置し、ポイ捨てを 防止する  軽い疾患や怪我などの手当を受けら れる仕組みを用意する C28 建設キャンプの解体  建設作業終了時には、全ての建物を 建設キャンプ 建設作業終了時 Contractor and PIU 解体し、廃棄物や排水が現地の環境 Supervision に悪影響を及ぼさないよう配慮する Consultant

12-111 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C29 放置された採石場に水がたまり、マ  利用が終わった採石場は埋め戻し、 採石場 建設工事中 Contractor and PIU ラリアを媒介する蚊等の発生源とな 植林する Supervision る Consultant 安全 C30 建設工事中の交通事故  作業開始前に、歩行者の通行路など 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU を確保し、標識などを設置する Supervision  特に集落内および周辺での工事で Consultant は、渋滞緩和、事故防止のための対 策を事前に策定し、道路の閉鎖等に ついて住民に周知する C31 建設作業中の事故  事故防止のために十分な予防措置を 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU とり、また作業員の訓練、教育を行 Supervision う Consultant  作業員は、手袋などの防具を着用し て作業を行う。またこれらが適切に 利用されているか監督する C32 感電リスク  感電リスクのある機材を使用する際 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU には適切な事故予防策をとる。 Supervision  標識などを設置し、危険について通 Consultant 行人や近隣の住民に周知する C33 危険物の取り扱い  危険物を扱う作業を行う作業員に 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU は、事前にリクスについて十分に説 Supervision 明し、防具を着用して作業を行う Consultant  除草剤や化学薬品を使用する際は、 使用マニュアルを厳格に順守する。 また使用前に必要な許認可を取得 し、住民にも周知する C34 鉛害  18 歳未満、また女性は、鉛を含む素 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 材を扱う作業を行わない Supervision  スプレー噴霧などを行う際には、マ Consultant スクを装着する C35 フォース・マジュール  火事や水害に対する予防策を講じる 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU  緊急事態に備え、応急処置キットを Supervision 常備するとともに、近隣の病院の連 Consultant 絡先やアクセスを確認する

12-112 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 C36 爆発物  契約にそう定めない限り、またエン 爆発物を使用する現場 建設工事中 Contractor and PIU ジニアからの許可がない限り、爆発 Supervision 物は使用しない Consultant  使用の際は、関係機関からの許可を 取得するとともに、近隣集落の住民 に周知する C37 マラリア  マラリア予防手段について作業員に 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 説明する Supervision  土取場の穴を埋め戻すなどの対策を Consultant 講じる C38 応急処置  応急処置キットを全ての現場に常備 建設現場、キャンプ 建設工事中 Contractor PIU する。  応急処置のやり方について作業員に 説明、訓練する アクセスの阻害 C39 アクセスの喪失  工事による住民の生計(農地へのア 対象区間全域、特に集落 建設工事中 Contractor Engineer クセス等)への影響が最小限となる 近隣 よう、工事日程や時間に配慮する  病院や学校へのアクセスが阻害され ないよう配慮する、また教会、特に 日曜日の礼拝に影響が出ないよう注 意する C40 交通渋滞  交通渋滞を緩和するための計画を事 対象区間全域、特に集落 建設工事中 Contractor Engineer 前に策定し、エンジニアに提出する 近隣  必要に応じて、迂回路や歩道を設置 する。また計画について、住民に周 知する。 C41 交通整理と安全  標識や横断歩道の設置など、歩行者 対象区間全域、特に集落 建設工事中 Contractor Engineer の安全確保のため十分な予防策を講 近隣 じる。またその内容について事前に エンジニアの承認を得る  また工事の内容やその影響について 住民に説明し、注意を促す

12-113 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 正の影響の強化、促進 C42 沿道の井戸の移転  井戸が事業で影響を受ける場合は、 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 別の場所に新たに井戸を掘る Supervision Consultant C43 景観の改善  生け垣や顕花植物などで道路脇を緑 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 化し、景観を改善する Supervision Consultant C44 バス停の改善  バス停には屋根を設置する 交通計画に基づく 建設工事中 Contractor and PIU Supervision Consultant C45 待合所  ベンチ等を設置し、利便性を高める 交通計画に基づく 建設工事中 Contractor and PIU Supervision Consultant C46 交差点の改善  植木を植えるなどして交差点を緑 交差点 建設工事中 Contractor and PIU 化、改善する Supervision Consultant C47 採石場の穴などがマラリアを媒介す  砕石した後の穴は埋め戻し、植林を 放棄される採石場 建設工事中 Contractor and PIU る蚊の繁殖地となる 行う Supervision Consultant C48 盛土や斜面の土壌侵食、舗装の劣化  適切な斜面保護により、長期的に安 対象区間全域 建設工事中 Contractor and PIU 定した道路を建設。また斜面緑化に Supervision より侵食を防止 Consultant  カルバートのアウトレットには、処 理水による法面浸食を抑えるため、 水衝部対策として Gabion 及び Apron concrete 等の対策をする 出典:調査団

12-114 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-13 環境管理計画(供用後) 責任者 Sl. No 項目 緩和策 場所 期間 実施 監督 O1  希少な水場周辺には沈泥フェンス、 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU 道路からの排水による水質汚染 油トラップなどを設置 じる 準じる PIU, SPCB

 水質のモニタリングを実施 O2 モニタリング計画に準 供用後早期に、州、 PIU  事故が起きた際の対策マニュアルを じる 地区レベルで計画を PIU, SPCB, Local 事故による土壌や水質汚染 策定 策定 Government Bodies  モニタリングを実施

O3 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, SPCB PIU  モニタリングを実施 じる 準じる  他関連機関と交通量や大気汚染 交通量増加による大気汚染の増加 SPBC にかかる情報を共有し、対策につい

て協議する

Q4 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU, SPCB PIU  モニタリングを実施 じる 準じる 交通量増加による騒音増  必要に応じて、防音壁などを設置

O5  集落内での速度制限などを導入 対象区間全域 供用後 PIU  無秩序な開発により渋滞や事故が増 PIU, Local 交通安全 えないよう、村落や地区へ申し入れ Government Bodies る O6  有害廃棄物(管理・処理)規則 対象区間全域 供用後早期に、マニ PIU 危険物を伴う事故 PIU (1989 年)に則って処理す ュアルを作成 O7  植林後、3 年間モニタリングを行い、 モニタリング計画に準 モニタリング計画に PIU 苗木の成長を確認するとともに、必 じる 準じる 要に応じて追加的な植林やフェンス 植林、動植物相、生態系 の設置などを行う PIU, NGO  生態系のモニタリングを行い、事業 前のベースラインとの変化を確認す る 出典:調査団

12-115 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.6.10 環境管理計画の実施費用 上記環境管理計画の実施費用は以下のとおりである。 表 12.6-14 環境管理計画実施費用 項目 詳細 単位 単価 数量 合計 (Rs) I. モニタリング CPCB の基準に基づいて、アスフ 大気質 ァルトプラント近くや建設現場で 実施。 No. 5,000 30 150,000 モニタリング計画で示された場所 水質 で実施。手法は、IS 10,500 & IS 2296 に準じる No. 5,000 20 100,000 騒音 CPCB ガイドラインに沿って、資 材置き場や建設現場近くで実施 No. 2,000 30 60,000 生態系への影響を評価し、事業 生態系 前のベースラインと比較。 No. 50,000 12 600,000 小計 (I) 910,000 森林保全法の規定に基づき、事 業で伐採される樹木に対する補 II. 植林 償植林を実施。 No. 200 10,000 2,000,000 小計 (II) 2,000,000 III. 経費 専門家雇用 ランプサム 4,000,000 スタッフ訓練 ランプサム 500,000 外部モニタリング ランプサム 1,000,000 情報公開 ランプサム 300,000 小計 (III) 5,800,000 合計(I+II+III) 8,710,000 予備費 (10%) 871,000 総計 9,581,000 出典:調査団

12.6.11 モニタリング計画 環境管理計画が適切に実施されているかを確認するために、定期的なモニタリングを実施す る。モニタリングは、緩和策の効果を評価し、また追加的な施策が必要であるかを判断するた めに必要である。モニタリングの種類は、目視から様々なパラメータの測定まで様々であるが、 その概要を以下の表に示す。

12-116 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-15 環境モニタリング計画 責任者 Sl. No 項目 事業の段階 パラメータ 内容 基準 場所 頻度 計測期間 実施者 監督 M1  プラントの風下 50m に測 Air (P&CP) アスファル 年二回、三 連続 24 時間 Contractor PIU SPM, RSMP, 定器を設置して測定 Rules, CPCB, トプラント 年間 through approved 建設中 SO2, NOx,  測定手法は、CPCB のガイ 1994 設置地点 monitoring CO, HC ドラインに準じる agency M2  工事現場の風下 50m に測 Air (P&CP) 建設現場 年二回、三 連続 24 時間 Contractor PIU 大気質 定器を設置して測定 Rules, CPCB, 年間 through approved 建設中 SPM, RSPM  測定手法は、CPCB のガイ 1994 monitoring ドラインに準じる agency M3 SPM, RSMP, Air (P&CP) EIA 調査での 年二回、一 連続 24 時間 PIU  CPCB のガイドラインに基 Operation SO2, NOx, Rules, CPCB, 調査地点 年間 PIU づいてモニタリングを実施 CO, HC 1994 M4 pH, BOD, Water quality EIA 調査での 年二回、三 Contractor PIU 表流水や排水等を取得し、 COD, TDS,  standards by 調査地点 年間 through approved 建設中 TSS, DO, Oil CPCB の水質基準に基づい CPCB monitoring & Grease and て評価 agency Pb M5 供用後 pH, BOD, Water quality EIA 調査での 年二回、一 PIU PIU COD, TDS,  表流水や排水等を取得し、 standards by 調査地点 年間 水質 TSS, DO, Oil CPCB の水質基準に基づい CPCB & Grease and て評価 Pb M6 供用後 排水溝や水 To the 全域 モンスーン PIU PIU 場の状況  カルバートや水路の沈泥や satisfaction of 後 ゴミ他の堆積物を確認 the engineer (PWD) M7 騒音レベル Noise 建設現場 三ヶ月ごと 毎時、15分 PIU  建設現場、特に学校や病院 Contractor (dB (A) ) standards by (最大)、 間の測定 through approved 建設中 等に近い場所で騒音・振動 CPCB 三年間 monitoring を測定 騒音、 agency M8 振動 供用後 騒音レベル Noise EIAの報告書 年二回、一 毎時、15分 PIU PIU  道路脇、特に学校や病院等 ( ) standards by に示す場所 年間 間の測定 dB (A) に近い場所で騒音・振動を CPCB 他、最大15 測定 箇所

12-117 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

責任者 Sl. No 項目 事業の段階 パラメータ 内容 基準 場所 頻度 計測期間 実施者 監督 M9 沿道の水路  現地調査による目視 As specified 河川横断箇 モンスーン Contractor PIU や水場の濁 by the 所、水場付 前後、三年 建設中 度、沈泥 engineer / 近 間 Water quality 土壌 standards M10 侵食 供用後 沿道の水路  現地調査による目視 As specified エンジニア モンスーン PIU PIU や水場の濁 by the の指示に準 前後、一年 度、沈泥 engineer / じる 間 Water quality standards M11 資材保管エ  エンジニアの監督のもと、 To the 資材置き 建設工事 PIU PIU 建設 リア、排水 目視確認 satisfaction of 場、建設キ 中、各期 the engineer キャン 建設中 施設、衛生 ャンプ and Water プ 状態のモニ タリング quality standards M12 植林の生育  植林の生育状況を ヶ月、 全域 植林後、最 NGO, PIU PIU 建設中およ 6 植林 状況 12 ヶ月、18 ヶ月ごとに確 低三年間 び供用後 認 M13 動植物 建設中およ 生態系の状  事業前のベースラインとの TORに準じ TORに準じ 年二回、三 PIU PIU 相 び供用後 況 比較 る る 年間 出典:調査団

12-118 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.6.12 用地取得および住民移転 本事業では、拡幅や斜面保護、また工事で発生する残土処理のために用地取得が必要である。 インド国の National Rehabilitation and Resettlement Policy, 2007 では、部族社会あるいは丘陵地にお いて、200 世帯以上の住民移転が発生する場合は、ベースライン調査を実施し、住民移転計画お よび生計回復を行うことが求められる。最終的なセンサス調査は、最終線形が確定した後に州 政府によって実施されるが、本調査では、概略設計の暫定 ROW に基づいてベースライン調査を 実施し、RAP 報告書が作成された。本調査で作成した RAP は、今後州政府が行う住民移転およ び生計回復のベースとなるものであり、また住民移転にかかる諸手続きが、JICA ガイドライン を満たすものとなることを担保するものである。 ミゾラム州と同様、メガラヤ州においても住民の大多数が指定部族(ST)であり、また被影 響住民の大多数も ST である。このことから、インドの他の地域とは異なり、ST は「少数」民族 ではない。また、彼らは焼畑や伝統的な慣習、祝祭といった文化を保持しているものの、他部 族とも自由に交流しており、決して外部から隔絶された集団ではない。 地域内の主要な人口が 指定部族であることから、彼らを対象として作成された RAP には、世銀の OP4.10 に含まれる要 素が反映されている。そのため、IPP 報告書は作成されていない。

12.6.13 用地取得、住民移転にかかる法的枠組み インド国では、1894 年の土地収用法がこれまで用地取得手続きを定めた基本法であったが、 2014 年 1 月には新用地取得法(Right to Fair Compensation and Transparency in Land Acquisition, Rehabilitation and Resettlement Act, 2013)が発効し、新法が適用されるようになった。用地取得関 連法令および、新用地取得法 JICA ガイドラインの比較表を、表 12.5.25、表 12.5.26 に示した。

12.6.14 住民移転規模 人口統計 概略設計に基づいた用地取得では、合計 367 世帯が事業によって影響を受ける。そのうち、 173 世帯が住居、194 世帯はティーストールやレストランなどの商業施設である。被影響住民の 総数は 1,820 人である。これらの世帯のうち、319 世帯(161 世帯が住民、158 の商業施設)が非 自発的住民移転の対象となる。残りの 48 世帯は、影響を受けるが、移転の必要はないと考えら れる。下表に示すように、被影響世帯の多くが指定部族(ST、ガロ族)である。 表 12.6-16 地区別の人口とカースト Preferred ブロック ST SC OBC General Not to 合計 Answer ダル 103 2 17 33 7 162 ガンベグレ 75 0 0 0 3 78 ロングラム 116 0 1 2 8 127 合計 294 2 18 35 18 367 出典:ベースライン調査

宗教的信条の調査結果は、カーストの調査結果とほぼ重なっている。ミゾ族のほとんどはキ リスト教徒であり、調査結果はそれを裏付ける内容となった。

12-119 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-17 信仰 している宗教 Preferred ブロック Christian Hindu Muslim Not to Total Answer ダル 103 53 2 4 162 ガンベグレ 75 1 0 2 78 ロングラム 117 6 1 3 127 合計 295 60 3 9 367 出典:ベースライン調査

被影響世帯の世帯主の教育水準を以下に示す。 個人的な問いでもあり、回答なしの数が比較 的多い結果となったが、ベースライン調査を実施する際に、質問票が読めない回答者、あるい は自分の状況を言葉で説明することができない被影響住民はいなかった。

表 12.6-18 世帯主の教育水準 教育水準 Dalu Gambegre Rongram 合計 教育なし 16 6 9 16 小学校卒業 29 16 18 29 高校卒業未満 4 8 13 4 高校卒業 31 6 23 31 大学卒業未満 8 8 10 8 大卒以上 8 2 17 8 無回答 71 32 37 71 合計 167 78 127 167 出典:ベースライン調査

社会的弱者 統計によれば、ミゾラム州の農村部では12.5%が貧困層、都市部では 9.3%が貧困層である 12。 一方で、ベースライン調査では、回答した世帯の 40%以上が自分たちは貧困層であると回答して おり、ショックに対応する能力が低い世帯が多い可能性を示している。また、被影響世帯のお よそ 35%で女性が世帯主であり、生計回復計画を策定する際には、女性の参加を確保するとと もに、そうした世帯のニーズに十分に配慮することが必要である。 表 12.6-19 脆弱な世帯とその種類 高齢(50 歳以 障害者が 寡婦がい Below Poverty ブロック 世帯数 女性世帯主 上)世帯主 いる世帯 る世帯 Line* Dalu 167 43 55 1 2 92 Gambegre 78 37 33 2 0 30 Rongram 122 49 25 0 1 29 Total 367 129 113 3 3 151 Note: BPL の数値は自己判断による回答としての概数である。 出典:ベースライン調査

土地所有形態 メガラヤ州を含む北東州の土地所有形態は、大きく以下のカテゴリーに分類される。  サティフィケートによる個人所有(Land settlement certificates:LSC)  ピリオディック・パッタによる、期限付き所有。政府が発行するパッタで、期限付きの土地所有が認め

12 Number and Percentage of Population Below Poverty Line, Reserve Bank of India, Sep 16, 2013 (accessed August 11, 2015), https://www.rbi.org.in/scripts/PublicationsView.aspx?id=15283 12-120 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

られている  VC パスーVC の領域内で発行されるパスで、慣習的に、その土地の利用権として機能してきた  政府所有の土地

被影響世帯の土地所有形態を以下にしめす。 表 12.6-20 土地所有形態 形態 Dalu Gambegre Rongram 合計 LSC 55 30 16 101 Periodic Patta 41 9 54 104 Village Council Pass 16 7 3 26 Government Land 41 12 28 81 No Answer 9 20 26 55 Total 162 78 127 367 出典:ベースライン調査

職業と収入 沿道のカフェやレストラン、小売店が、被影響世帯の主要な収入源である。これは、国道 51 号がバングラデシュとの国境に近く、トラックの運転手などが休憩する場所であることを反映 している。被影響世帯の平均月収を表 12.6.22 に示す。 表 12.6-21 世帯主の職業 Retired/Une ブロック Agriculture Shop1 Business Government Misc2 mployed Dalu 16 101 7 9 6 7 Gambegre 4 43 9 4 1 3 Rongram 4 101 5 20 1 10 Total3 24 245 21 33 8 20 Note: 1 Tea stall, restaurant, petty shop; 2 Driver, cottage industry (craft); 3 This does not add up because several respondents answered more than one primary occupations while a few others did not answer this question. 出典:ベースライン調査 表 12.6-22 平均月収 平均世帯月収 Dalu Gambegre Rongram Total 2,500 and below 2 5 1 8 2,501 – 5,000 40 10 22 72 5,001 – 10,000 49 23 33 105 10,001 – 20,000 31 6 22 59 20,001 – 50,000 13 7 19 39 50,001 and above 2 3 2 7 No answer 25 24 28 77 Total 162 78 127 367 出典:ベースライン調査

カットオフデート 用地取得に適用する暫定的なカットオフデートは、ベースライン調査が完了した 2015 年 7 月 6 日であり、その旨は調査期間中に被影響住民に周知した。正式なカットオフデートは、線形が 確定し、事業による影響範囲が確定、更新された段階で改めて通知される。 被影響世帯および構造物 事業によって、173 世帯の住居、194 の店舗(ティーストールやレストランなど)が影響を受 ける。これらのうち、319(161 世帯が住民、158 の商業施設)が非自発的住民移転の対象となる。 残りの 48 世帯(12 世帯が住民、36 の商業施設)は、影響を受けるが、移転の必要はないと考え られる。被影響世帯および構造物の内訳を以下に示す。ベースライン調査では、被影響世帯の 75%がタイトルホルダーである(LSC やピリオディックパッタ、VC パスを所有)と回答してい る。

12-121 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-23 被影響構造物の数と種類 Block 住居 店舗 1 作業場 公共物 2 合計 Dalu 53 88 5 1 147 Gambegre 35 31 1 0 67 Rongram 51 73 0 1 125 合計 3 139 192 6 2 339 注: 1 茶屋、レストラン、小売店; 2 井戸やトイレ; 3 一世帯が複数の建物を所有している場合、また 路上で商売をしているベンダーもあるため、被影響世帯数の数と一致しない 出典:ベースライン調査

土地への影響 本事業では、78.6ha の用地取得が必要となる。うち、67ha は拡幅に、そして 11.6ha は残土の土 捨て場として必要である。土捨て場の選定基準については、EIA の概要で概説した通りであるが、 候補地については、今後、追加の測量および周辺村落、地区および州政府と協議の上で最終決 定する必要がある。現地調査および衛星画像から推定した、取得する用地の現在の用途を以下 に示す。

10.40%

8% Built-up Area Paddy field 53.20% 28.40% Plantation Forest

出典:ベースライン調査 図 12.6-6 取得する用地の状況

樹木および作物 国道 51号の沿道は、主にアカシアやゴム、カシューナッツのプランテーションや自然の植生 であり、これらが事業によって影響を受ける。バナナやマンゴー、ジャックフルーツなどの果 樹も影響を受ける。最終的な線形が未確定であるため、本調査では影響を受ける樹木や果樹の 本数の集計は行っていない。また、焼畑農地は、時期によって状況が異なるため(火入れをし た直後は植生がない等)、どのタイミングで調査を行い、補償対象とするかも今後検討すべき点 である。現時点での用地取得、補償コストの算定にあたっては、地区政府によるベース価格お よび、農地の面積から暫定的に樹木、作物の補償費を推定 13した。

12.6.15 住民移転方針 国道 51号の拡幅事業では、国道 54 号の事業と同様の用地取得および補償の方針を採用した (12章 5.15 節を参照)。

13 Weighted average price of tree/crops is derived as follows. 1) derive average price of tree/crop based on the Basic Schedule Rate. (e.g. Cashew: 1,000-2,000; Teak: 3,000-6,000, Rubber: 1,500-3,000; Banana: 100-200) 2) estimate the average number of such trees/crops per ha. 12-122 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.6.16 エンタイトルメントマトリックス 同原則に基づき、また予想される影響に基づいて、エンタイトルメントマトリックスを作成 した。同マトリックスは、影響の種類や規模、また影響を受けるグループごとに、受けられる 補償や支援の種類を整理したものであり、補償および支援の実施の前提となるものである。

12-123 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-24 エンタイトルメントマトリックス エンタイト 影響の種類 被影響者 単位 詳細 ルメント 農地 土地所有者 世帯 再取得価格 h) 再取得価格での金銭補償。金額は、District Collector が決定する での補償お i) DC が決定した金額が再取得価格に満たない場合は、その差額を支援として支払う よび支援 j) 買収後の残った土地が、農地として小さすぎる場合は、以下の選択肢から補償内容を選ぶ  補償額を貰った後、残った土地で引き続き生活  残った土地も用地取得・補償の対象として、移転  同程度に生産性のある代替地がある場合は、それを提供 k) 移転手当として Rs. 50,000/- l) 生計手当として、月 Rs. 3000 を 6 ヶ月 m) 所有する農地から離れた場所へ移転する場合は、追加で 10%の手当を支払う n) 作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合は、作物の再取得価格 での補償を行う ピリオディック 支援 f) 再取得価格での金銭補償。金額は、District Collector が決定する パッタ、ヴィレ g) 移転手当として Rs. 50,000/- ッジパス所有者 h) 生計手当として、月 Rs. 3000 を 6 ヶ月 i) 所有する農地から離れた場所へ移転する場合は、追加で 10%の手当を支払う j) 作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合は、作物の再取得価 格での補償を行う 農地以外の空 土地所有者 世帯 再取得価格 g) 基準価格に基づいて算出した、再取得価格での補償(最低 Rs. 1,50,000.00)。減価償却は考慮しない 地(住居地 での構造物 h) 構造物の撤去に二ヶ月の事前通知 区、商業地 の補償およ i) 部分的に影響をうける構造物にそのまま居住する場合は、補修費として構造物の再取得価格の 25%を支払う 区、その他) び支援 j) 撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利 k) 残った住居や建物が使えない場合、以下の支援を提供する  12 ヶ月の生計手当、月 Rs. 3,000/-  移転手当として Rs. 50,000/-  引っ越し手当として Rs. 50,000.00  新居での電気や水道の設置費用として Rs. 7,500/-  構造物を新たに購入する際の税金や登録料 l) 15 世帯以上が希望する場合、代替地を有償(社会的弱者に対しては無償)で提供

12-124 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

エンタイト 影響の種類 被影響者 単位 詳細 ルメント ピリオディック 土地 パッタ、ヴィレ  生計手当として、6 ヶ月間、月 Rs. 3,000.00 ッジパス所有者  作物の収穫のため、土地の明け渡し 4 ヶ月前に通知する。事前の通知が出来ない場合は、作物の再取得 価格での補償を行う 構造物  基準価格に基づいて算出した、再取得価格での補償(最低 Rs. 1,50,000.00)。減価償却は考慮しない  構造物の撤去に二ヶ月の事前通知  撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利  引越し費用として Rs.50,000 作物/樹木の喪 所有者/利用者 Revenue Department /DC が現在の価値を算出して補償 失 世帯 補償 豚舎、鶏小屋 所有者/利用者 藁葺き屋根の小屋は Rs. 600 per m2 、GCI シートの小屋は Rs. 1000 per m2 (基準価格の改定に応じて価格は更新 など家畜小屋 世帯 補償 する)

住居/店舗の喪 テナント d) テナントが支払ったデポジットや前払金の返還 失 世帯 支援 e) 12 ヶ月間、月 Rs. 3,000/- の生計手当 f) 引っ越し費用として Rs. 15000/- キオスクの喪 所有者/利用者 c) 引っ越し費用として Rs. 7500/- 失 世帯 支援 d) 撤去する構造物から、必要/利用可能なものを持っていく権利 雇用の喪失 被雇用者 世帯 支援 d) 3 ヶ月間の賃金相当額の提供 e) 建設事業で生じる雇用機会の優先的提供 f) 職業訓練等を受ける支援として Rs. 20,000/- 生計手段の喪 土地所有者、ピ 世帯 支援 c) 建設事業で生じる雇用機会の優先的提供 失 リオディックパ d) 職業訓練等を受ける支援として Rs. 20,000/- ッタ、ヴィレッ ジパス所有者 社会的弱者 土地所有者、ピ 世帯 支援 追加的な支援として、Rs. 25,000/- リオディックパ ッタ、ヴィレッ ジパス所有者 焼畑農地の喪 村落 村落 再取得価格 再取得価格で VC に支払い。PIC は再建の手続きのモニタリングを行う 失 での補償 公共物の喪失 村落 村落 移築、ある 現地のニーズに応じて移築、あるいは新設 いは再取得 価格での補 償 12-125 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

エンタイト 影響の種類 被影響者 単位 詳細 ルメント アクセス阻害 村落 村落 迂回路等代 村落での協議に基づいて、迂回路や歩道を設置 替手段の提 供 短期的かつ予 被影響者 世帯 移転方針に 移転方針に基づき、苦情処理メカニズムを活用して適切に対応する 期せぬ影響 基づき支援 を検討 出典:調査団

12-126 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

12.6.17 苦情処理メカニズム 苦情処理メカニズム(Grievance Redress Mechanism: GRM)は、苦情処理委員会(Grievance Redress Committee: GRC)を通じて、用地取得および住民移転のプロセスで生じる異議や苦情を 処理する仕組みである。国道 51 号の事業では、村落、ブロック、地区のレベルでの苦情処理メ カニズムを構築することで、住民の異議が速やかかつ適切に処理されることを担保する。運用 の方針は、国道 54 号の GRM と同様である。

12.6.18 RAP 実施体制 インド国の法的枠組みに則り、本事業における用地取得および住民移転、生計回復計画の実 施は、メガラヤ州政府によって実施される。現在、NHIDCL はグワハティに事務所があるが、今 後トゥーラに設置される事務所を通じて、州政府と必要な協議や支援を行い、JICA ガイドライ ンを満たす形で住民移転が実施されるよう確認する。RAP 実施体制図を以下に示す。

出典: 調査団 図 12.6-7 住民移転の実施体制

12.6.19 モニタリングおよび評価 インフラ事業においてモニタリングおよび評価は重要な要素であり、特に住民移転が適切に 実施されているかを確認するためには不可欠である。モニタリングを通じて、進捗を定期的に 確認し、必要に応じて計画に変更を加えることで、住民移転が適切に実施されることを担保す る。評価は、整形医回復策などの施策が想定された効果を生んだかどうかを精査する作業であ り、モニタリングと同様、事業が適切に実施されることを担保する重要な手続きである。RAP 実施にかかるモニタリングおよび評価の概要を以下にしめす。

12-127 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-25 RAP 実施にかかるモニタリング 活動 頻度 実施者 提出先 内容 RAP 内部モ 各期 PIU NHIDCL/ 10-15頁程で、RAPの進捗をまとめ ニタリング 州政府 る。報告書には、課題や解決案、苦情 処理の状況、住民協議の議事録などが 含まれる

外部モニタ 半年ごと 専門家パネル NHIDCL/ 25-35 頁程で、RAPおよび生計回復の リング 州政府 進捗をまとめる。報告書には、住民移 転や生計回復の進捗の他、JICAガイド ラインの順守、RAP実施における課 題、問題点や解決策が含まれる

終了後の監 終了後、一回 専門家パネル NHIDCL/ RAP報告書に定めた通りに、またJICA 査 州政府 ガイドラインに準拠する形で住民移転 が完了したことを確認する

出典:調査団

12.6.20 生計回復計画 ベースライン調査では、被影響住民の主要な生計手段はスモールビジネスであることが確認 された。また、道路網の改善によって生じる経済機会から最大限に裨益する十分な技能や能力 がない住民も多い。特に、ダル近郊のベンガル族コミュニティには、非正規の(土地の権利を 持たない)住民も多く、事業による生計への影響が大きいことが予想される。RAP の基本原則 の一つは、被影響世帯の生計が、事業実施前と比べて改善、あるいは少なくとも同等水準を維 持することであり、そのためには、住民が実際に活用できる生計回復支援を実施する必要があ る。 生計回復支援はメガラヤ州政府によって実施されるが、その策定にあたっては、JICA ガイド ラインおよび世銀のセーフガードポリシーを満たす内容とし、また被影響住民と十分な協議を 行い、彼らのニーズが反映された計画とすることが重要であるが、現時点での施策候補は以下 の通りである。 公共の市場スペース 道路網の改善により、域内および地域外との物やサービスの移動が活発化することが予想さ れる。農作物や商品を販売する住民にとっては、大きな経済機会が生じるが、一方で、住民移 転により国道沿いの有利な立地から離れることで、ビジネスに負の影響が発生する世帯も多い と考えられる。こうした問題への対策として、沿道に公共の市場スペースを用意し、住民が共 同で利用できるようにすることで、道路網の改善による商業機会をより多くの住民が活用でき るようにすることがが考えられる。 空きスペースでの養鶏 多くの世帯で、裏庭などの空きスペースで鶏を飼育しているが、商業規模で実施している世 帯は非常に少ない。これを商業化するための支援があれば、養鶏を通じた生計回復が可能とな る。 プランテーション拡大支援 国道 51号のプランテーション規模の拡大の阻害要因の一つに、苗木の数や品質が限られてい ることがある。良質の苗木を提供することで、ゴムやカシューなどのプランテーションを拡大、 また生産性を向上することができる。

12-128 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

ベンガル族コミュニティとの協議では、公共、共有の市場スペース建設への期待が高いこと が分かっており、今後は同案を軸に詳細を検討することとする。

12.6.21 用地買収および住民移転費用 ベースライン調査や政府資料、既往調査に基づき、本事業における用地買収および住民移転 費用を概算した。これは、概略設計の暫定 ROW に基づいたものであり、追加測量後のインベン トリ調査後に、費用を更新する必要がある。現時点での費用見積もりは、Rs. 404,800,000 であり、 その内訳は以下の通りである。

表 12.6-26 用地取得、住民移転費用(暫定)

項目 単位 単価 数量 合計 (Rs)

I. 補償 土地 (拡幅) ha. 500,000 67 33,500,000 土地 (土捨て場) ha. 400,000 11.6 4,640,000 農村部のマルチプライヤ *the land price will be double for compensation of ー rural area land as per LARR 2013 38,140,000 構造物 Sq. m 4,000 3,000 12,000,000 公衆トイレ、水場 No. 50,000 5 250,000 農作物 No. 45,000,000 Solatium *100% of compensation as per LARR 2013 178,530,000 小計 (I) 312,060,000 II. 手当、支援 引越し手当 Household 50,000 330 16500000 生計手当 Household 18,000 380 6840000 弱者への追加しえん Household 20,000 200 4000000 職業訓練 Household 20,000 380 7600000 小計 (II) 34,940,000 III. 経費 専門家雇用 Lump sum 7,000,000 スタッフ訓練 Lump sum 1,000,000 外部モニタリング Lump sum 2,000,000 情報公開 Lump sum 1,000,000 生計回復 Lump sum 10,000,000 小計 (III) 21,000,000 合計 (I+II+III) 368,000,000 予備費 (10%) 36,800,000 総計 404,800,000 出典:調査団

12.6.22 実施スケジュール 用地取得および住民移転では、以下のような作業が発生する。

 PIU で、担当者の雇用  コンサルテーションや資料の配布を通じた情報開示および住民協議  最終線形確定後に、詳細なインベントリ調査を通じて、被影響住民および構造物、資産のリスト の更新

12-129 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

 各地区、村落別の、生計回復案の実施計画の策定  補償および支援の支払い、提供。これには、ID カードの作成、配布や銀行口座の開設が含ま れる  被影響住民や公共施設の移転

住民移転の実施スケジュールを以下にしめす。

表 12.6-27 用地取得および住民移転実施スケジュール

出典:調査団

12.6.23 ステークホルダー協議 FPIC の原則に基づき、また現地住民のニーズや懸念を事業内容に反映させるため、ステーク ホルダー協議を実施した。参加にあたっては、事前にレターや電話で開催を通知し、住民の参 加を促した。協議では、事業の内容や予想される影響について説明し、また用地取得などにか かる今後の手続きや住民の権利などについて説明を行い、住民からの意見や疑問に回答した。 交通網の改善は、住民にとっても優先度が高い事業であり、協議では事業に対する支持が得ら れた。各ブロックごとに二回実施された協議の内容を以下に概説する。

(1) 第一回住民協議 第一回目の住民協議を、対象路線が通過する 3 ブロックで実施した。主に被影響村落の代表が 参加し、活発な議論が行われた。参加者の人数と属性を以下に示す。

12-130 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-28 第一回住民協議参加者数と属性 属性 ブロック 日時 参加者数 Nokma/ 政府 被影響住民 村落代表 Dalu May 21st, 2015 17 2 11 4 Gambegre May 22nd, 2015 36 2 11 23 Rongram June 26th, 2015 11 3 8 0 Follow-up meeting 1 June 29th, 2015 67 2 4 61 Follow-up 2 0 72 meeting 2 July 4th, 2015 74 出典:調査団

(2) 第二回住民協議 二度目の住民協議は、下表の日程で実施された。3 ブロックでの開催に加え、非正規住民が多 いダル近郊のベンガリコミュニティを対象とした協議も別途開催した。

表 12.6-29 第二回住民協議参加者数と属性 属性 ブロック 日時 参加者数 Nokma/ 政府 被影響住民 村落代表

Dalu* Sep 27st, 2015 127 0 0 127 Rongram Oct 19th, 2015 109 2 12 95 Tura Oct 21st, 2015 80 2 8 70 Dalu Oct 27th, 2015 303 3 11 289 Gambegre Oct 31st, 2015 238 2 11 225 * A special session targeting Bengali vendors, including informal encroachers. 出典:調査団

(3) 協議結果 地区レベルで実施された住民協議の主要な論点および調査団からの回答を以下に示す。事 業に対しては前向きな発言が主であり、対象村落の賛同は得られた。RAP 実施段階のステーク ホルダー協議でも引き続きコンサルテーションを実施していくが、その中で女性の意見が十分 反映されるよう女性団体等の参加に配慮する。また、VC レベルでの聞き取りでは、土地に対し て金銭補償を望む住民が大多数であるとの結果が得られたが、今後の RAP 実施段階においては ステークホルダー協議以外にも資産調査等を通じて住民移転・用地取得の内容に関する個々の 影響住民の補償選択肢の希望を改めて確認する。

12-131 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 12.6-30 住民協議結果概要 主なコメント、提案 対応策 全般:事業、線形、影響一般について • 参加者、特に州政府関連機関の参加者は、事業の重要性や拡幅の 経済効果を強調 • Tura 住民からは、バイパスおよびフライオーバーも事業に含めて バイパスおよびフライオーバーは、 欲しいとの要望 本事業のスコープには含まれない。

用地取得、補償、生計回復関連 補償は、再取得価格でなされる。 • 補償は、再取得価格でなされるべき。過去の用地取得では、補償 費が再取得価格でないことが度々あった。(多数) 建設工事は、補償の支払いが終了し • また、補償や支援の金額や内容については、工事が始まる前に政 てから実施される 府と住民の間で合意がなされるべき。(多数) • 今の土地から立ち退いた後、新たに土地を見つけるのが困難かも 今後の住民協議を通じて、土地の所 しれない(ベンガリの非正規住民)。土地のオーナーがどういう 有者と住民の間での合意形成のため の協議の場を設ける 決定をするかに生活が左右される。 国道沿いから立ち退くことで、商売が上手くいかなくなる恐れが • 共有のマーケットスペースを用意す ある。 るなどして、生計回復の支援を行う

現在の概略設計による拡幅では、 • 慣習的な価値のある Sima (pillar)が事業によって影響を受ける可 Sima には影響は無いと考えている 能性がある。Sima の移転には、特別な祭礼などの準備が必要で が、最終 ROW が確定する段階でも十 ある。 分に配慮する

住民協議や情報公開を通じて、住民

には十分な情報が伝えられる。 その他 本調査終了後も、住民移転や生計回 • 事業実施にかかる様々な調査を行うときには、住民に事前に周知 復案の実施プロセスで住民協議は継 するべき。 続して実施される。 出典:調査団

12-132 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

プロジェクトの評価

13.1 事業評価 事業評価とモニタリングの実施は、インフラ投資プロジェクトにおいて重要かつ不可欠な事 項である。事業効果として特定した目標値に対して、事業期間において社会的に生じる便益を 評価することは、インフラ投資(現在検討中の 2 つの道路計画のような)を評価するうえでいっ そう重要となっている。

道路事業の場合、一般的に資本投資や事業実施の必要期間は大きく、事業における評価のタ イミングを設定することに加えて、適切な評価指標の選定が重要である。通常、評価指標(PAs) の確認は 3 段階で行われる:

(a) 事前評価(事業実施の直前) (b) 中間評価(事業実施実施中およびまたは事業実施と意図した事業目的に関連した問 題を決定する完成段階) (c) 事後評価(事業実施後 1 あるいは 2 年かそれ以上、通常ある特定の定義された間隔に おいて一度以上(反復的に))

通常、事前評価の期間においては、現時点と目標時点(事業実施 1 あるいは 2 年以上後に予期 された)の評価指標の値が設定される。評価指標の目標時点の値は、事後評価の期間に調査と 検討により評価され、事前評価で設定された目標値と比較される。この評価の実施は、事業者 に対して以下の貴重な情報を提供する:

(a) 評価指標について実際値と目標値の間の相違(もしあれば) (b) 事業の効果が及んだ範囲 (c) 評価のために採用される方法に関する今後類似事業にいて採用される評価手法のた めの経験(特に事前評価段階で PAs の目標値を定義することにおいて) (d) PAs 等の選択

本章で論じられている事業評価は、次の 2 つの道路区間の事前評価についてである。

1) Aizawl – Tuipang 道路区間 (約 381 km)国道 54 号の一部、Mizoram 州 2) Tura – Tuipang 道路区間(約 54 km)NH-51 の一部、Meghalaya 州

評価指標は、定量的および定性的な指標が考慮される。定量的な指標の現在値(2015 年)は、 調査団により実施された調査に基づいており、その値(2022 年、計画道路の建設後)は、調査 団により実施された検討と分析に基づいている。事後評価において設定される 2022 年の目標値 は 2022 年時点の調査と検討を基に推定される必要がある。

建設期間は、2017 年から開始して 4 年間と予想される。そのため、2020/21 年までに両方の道 路が建設され、2022 年までにこれら道路の事後評価が実施できる。計画道路建設の完成後、少 なくとも 4 年間は施工業者による修繕・維持管理及びコンサルタント(維持管理コンサルタント) による監理が実施される。そのため、建設後 4 から 5 年までは、道路の状態が良好であると想定 される。従って、事後評価はこれら 2 つの道路の運営・維持管理の契約完了後の期間も十分に含 むべきである。 上に示すように、2 つの道路事業の評価指標/目標便益は、(a)定量的な指標と(b)定性的な指標 の 2 種類である。 定量的な指標:調査や科学的な手段を通じて数値化することができる指標である。これらの 指標は、数値化することができて、長期において一定ではない道路の性能を全体的に評価する ことができるものである。事前評価のために使用される定量的な指標を表 13.1-1 に示す。

13-1 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

表 13.1-1 事前評価に使用される定量的指標 性能指標 事前評価手法 事後評価手法 平均日交通量(乗用車換 計画道路上の決められた場所で連続 事前評価の手法と同様。 算係数) して 7/3 日間分類別の交通量調査を実 施。 平均旅行速度(Km/hr) 計画道路でのスコーピオ(マヒンド 計画道路での調査(加速・減速)を ラ社)を使用した測定を実施。 実施。 平均車両走行費用(Km 車両あたり走行費用は、HDM-4 ソフ 事前評価の手法と同様。 当り) トウェアを使用して推定される。平 均車両走行経費は、車両あたり走行 経費に基づき算出する。 平均路面平坦度(IRI) 平均路面平坦度は、車両走行に直接 事前評価の手法と同様。 影響する路面荒さの指標であり、計 画道路における調査にて推定され る。 年間事故件数 対象道路区間における警察局/運輸局 事前評価の手法と同様。 のデータを利用可能。 年間地滑り件数 対象道路区間における公共事業局の 事前評価の手法と同様。 データを利用可能。 出典: 調査団

定量的な指標:これらの指標は本質的に主観的であり、数値化することが難しい。一般的に、 環境への悪影響の削減や道路設計の改善による騒音公害の削減等に関連した質的な便益である。

13.2 JICA 事業評価の構成 JICA の事業評価の構成には、以下の 3 つの主要要素が含まれる。

• 事前段階の評価(事前評価) • 実施段階の評価 • 事後段階の評価(事後評価と事後モニタリング)

上記の 3 つの要素については、次項にて詳しく述べる。

13.2.1 事前段階の評価(事前評価) 事前段階の評価(事前評価)は、事業概要と予測結果/性能指標の確認のみならず、事業の必 要性と優先順位を確認するために事業実施前に実施される。事前評価段階において、JICA もま た、過去の事業から得られた経験の反映のみならず、環境社会配慮のレビューを基に適切な予 防措置手順の実施を確認する。 事前評価からの結果は、次の事業設計及び事業アプローチに関する意思決定に反映される。 事業が開始されるとすぐに、評価計画と事前評価の時点で設定された指標に基づいて評価が実 施される。

13.2.2 実施段階の評価 JICA は、進行中の事業の中間レビューと最終評価(建設事業の完成間近に)を実施する。こ れらは、効率と能率に関するそれぞれの傾向のみならず、事業目的および事業実施における貢 献または緊迫した要因の可能性を検討することを意味する。評価結果は、事業の終了または継

13-2 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

続における事業計画及び事業管理システム並びに意思決定の修正に利用される。評価から得ら れた経験は、将来の類似事業の改善に使用される。

中間レビュー:技術協力事業と政府開発援助資金協力事業の中間レビューの目的は、最初か ら実施期間が比較的長く固定された事業の妥当性を確かめることである。また、事業促進要因 および障害並びにそれらの傾向のみならず、効率と能率に関する事業目標の実現性を確認し、 分析することである。中間レビューの結果は、レビュー事業構成及び設計に利用され、またそ れらは事業管理の改善に使用される。

最終評価:最終評価は、技術協力事業において事業終了の約 6 カ月前に実施される。目的は、 JICA が被援助国の政府と事業の残存期間のために事業計画を作成し、事業終了の適切性及び/ま たは他の問題の中にある将来必要となるフォローアップを決定できるように、主に事業目標及 び事業効果並びに持続性の実現可能性を確認することである。最終評価は、評価とモニタリン グであり、技術協力事業にとって独自の考えである。これは、事業実施段階の間に有効性を確 認するものである。

13.2.3 事後段階の評価(事後評価と事後モニタリング) JICA は、終了した事業を包括的に評価し、事業の有効性及び影響並びに持続性が事業完成後 に継続し続けるかどうかをモニタリングするために、事業終了後に事後評価と事後モニタリン グを行う。 他の評価と比較して、事後段階の評価とは説明責任の観点でさらに重要となる。そのため、 外部の第三者が評価判断を作ることによって、ある特定の規模以上の事業のために外部評価が 実施される。それぞれの事業終了後の段階において、JICA は OECD によって定式化された 5 つ の DAC 基準(表 13.2-1)を用いて総合評価を実施する。 詳細な事後評価の特有な特徴の一つは、容易に理解できる方法で評価結果を提供するための 評価システムの適用である。 表 13.2-1 開発援助評価のための 5 つの DAC 基準

優先的なドナーに対し援助活動の範囲が適しているかの調査:支援 妥当性 活動の目標は受益者の要求を満たしているか

有効性 計画または事業がその目的を達成するための範囲の測定

事業の結果として肯定的及び否定的な変化の調査 インパクト これは直接及び間接的な効果と、予想内及び予想外の効果を含む

支援において望ましい結果を達成することが可能な最少で高価な財 効率性 源を使うかどうか決定するためのインプットに関連するアウトプッ トの測定

持続可能性は、事業の利益が事業完了後に継続する可能性が高いか 持続性 どうかに関係する。 出典: 調査団

13-3 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

13.3 国道 54 号道路区間(Mizoram)の事業評価

13.3.1 事業の概要 Aizawl ~ Tuipang 道路区間(約 381km)は国道 54 号の一部であり、Mizoram 州に位置する。そ の立地より、東南アジアの国々との商品やサービスの取引が活性化する可能性が高いことから、 州政府は重要なインフラと位置付けている。Kaladan マルチモーダルコリドー事業の完成と本区 間との接続は、北東地域の第二の主要物流コリドーとして地域南部の活性化に寄与することが 期待される。

国道 54 号は丘陵地に位置しており、車道幅が主に 3.75m から 5.5m(1 車線/1.5 車線)まで変 化しており、円滑な交通流に制限をもたらしている。また州政府は、豪雨による地滑り発生に 起因した道路の損傷と交通流への影響に悩まされている。

道路改良後、道路幅員は改良により 12m となり、適切な斜面保護処理が実施される。そのた め、車両の交通容量と走行速度が向上し、車両走行費用が減少され、道路斜面は雨季の地滑り を生じないよう防護され、大気汚染と騒音被害が減少することが期待されている。

13.3.2 目標値 (a) 定量的効果 国道 54 号道路改良事業の定量効果は、表 13.3-1 のように設定された。6 つの評価指標パラメー タの値は基準年(2015)及び目標年(2022)について設定した。

表 13.3-1 国道 54 号道路区間検討の目標結果 評価指標 基準値 (2015 年) 目標値 (2022 年) 平均旅行速度 (km/hour) 12 40 平均年車両走行費用 24 15 (INR/ Veh - km) 交通量 (PCU / Day) 835 3,103 2013 年:データ無 地すべり発生件数(回/年) - 2014 年:データ無 交通事故件数 (交通量に対する死亡事 2013 年: 0.01268% 事故件数の 50%削 故件数の割合) 2014 年: 0.02052% 減 経済的内部収益率 (EIRR) (%) 12.43% 出典: 調査団

(b) 定性的成果

1) 道路の拡幅は、現況道路用地に沿った用地内で行われ、工事用地からの逸脱はほとんど ないと考えられる。よって、道路改良事業は、建設行為において環境社会問題とはなら ないと思われる。

2) 道路改良は車両の燃費削減をもたらし、それによって環境への悪影響を減少させると思 われる。

3) 道路改良はまた、車両走行による騒音公害を低減させる結果をもたらす。

13-4 インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

13.4 NH-51 道路区間(Meghalaya)の事業評価

13.4.1 事業の概要 Tura ~ Tuipang 道路区間(約 54km)は、国道 51 号の一部であり、Meghalaya 州に位置する。 その立地より、バングラデシュやアッサム州及びインドの他の地域との商品やサービスの取引 が活性化する可能性が高いことから、州政府は国道 51 号を重要なインフラと位置付けている。

国道 51 号は、丘陵地及び起伏地に位置しており、州政府は、豪雨による地滑り発生に起因し た道路の損傷と交通流への影響に悩まされている。

道路改良後、道路幅員は改良により 12m となり、適切な斜面保護処理が実施される。そのた め、車両の交通容量と走行速度が向上し、車両走行費用が減少され、道路斜面は雨季の地滑り を生じないよう防護され、大気汚染と騒音被害が減少することが期待されている。

13.4.2 目標値 (a) 定量的効果 国道 51 号道路改良事業の定量効果は、表 13.4-1 のように設定された。6 つの評価指標パラメー タの値は基準年(2015)及び目標年(2022)について設定した。

表 13.4-1 NH-51 道路区間検討の目標結果 評価指標 基準値 (2015 年) 目標値 (2022 年) 平均旅行速度 (km/hour) 15 40 平均年車両走行費用 30 15 (INR/ Veh - km) 交通量 (PCU / Day) 3,023 5,577 2013 年:15 地すべり発生件数(回/年) 90%への削減 2014 年:53 交通事故件数(交通量に対する死亡 2013 年:0.00041% 事故件数の 50% 事故件数の割合) 2014 年:0.00010% 削減 経済的内部収益率 (EIRR) (%) 14.38% 出典: 調査団

(b) 定性的成果

1) 道路の拡幅は、現況道路用地に沿った用地内で行われ、工事用地からの逸脱はほとんど ないと考えられる。よって、道路改良事業は、建設行為において環境社会問題とはなら ないと思われる。

2) 道路改良は車両の燃費削減をもたらし、それによって環境への悪影響を減少させると思 われる。

3) 道路改良はまた、車両走行による騒音公害を低減させる結果をもたらす。

13-5

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

結論と提言

14.1 本事業が北東州地域の開発および道路ネットワークへ与える影響 1) 国道 51 号および国道 54 号改善事業について、2015 年現在の交通状況を考慮しながら DPR 調 査内容のレビューをおこない、本事業の必要性を検討した。その結果、本事業は道路の接続 性を改善することで SARDP-NE で掲げる開発目標を達成できることを確認することができた。 また国道 54 号は Kaladan マルチモーダルコリドー事業との接続性があることも確認できた。 このように、国道 54 号 は本地域において道路ネットワークのみならず他の交通システムと の連携が期待される事業である。 2) 交通計画、事業費および経済分析を検討した結果、基本ケースとしての EIRR 値は国道 54 号 で 12.43%、国道 51 号で 13.64%とそれぞれ算出された。

14.2 事業内容の妥当性確認 1) 国道 54 号および国道 51 号事業について、DPR の調査結果および環境関連書類のレビューを おこなったところ、いくつかの項目について JICA 調達ガイドラインの内容をしないことが 確認された。 2) DPR の概略設計についてレビューをおこなった結果、道路線形設計について環境への影響や 災害対策が十分に考慮されていないことが確認された。そこで JICA 調査団は、環境への影 響や災害対策の考慮、例えば土工バランスを考慮した線形や斜面対策工、捨土の有効活用と して平らな土地を整備する造成をなどを考慮した設計を提案した。 3) DPR の図面についてレビューをおこない、地形測量の範囲は幅方向に不十分であること、お よび地形の標高が不正確であることが判明された。今後、DPR コンサルタントによって地形 測量が補完および修正されることを推奨する。DPR コンサルタントは修正された地形測量図 および JICA 調査団の提案する設計コンセプトに基づき設計を修正するべきであり、DPR コ ンサルタントからは同意が得られている。 4) DPR の積算結果についてレビューをおこない、材料運搬費やその他いくつかの単価について、 統一性が見られないことが確認された。そこで JICA 調査団は、先進技術の斜面対策工のコ ストも含めて提案しており、DPR コンサルタントは JICA 調査団の提案を踏まえて積算コス トを修正している。 5) JICA 調査団は NHIDCL の意向等を踏まえ工事および事業実施工程を提案した。 6) 調査団は、NHIDCL の組織、予算、既設道路の維持管理状況に関する調査をおこない、 NHIDCL は設立されて間もない組織であり、維持管理はまだ十分に検討されていないことが 判明した。そのため JICA 調査団は、本事業の道路に対して災害対策を重視した維持管理体 制の設立を提案した。 7) 調査団は、EIA のレビューを行い、自然環境および社会環境配慮についての確認をおこなう とともに、水質、空気、騒音振動などの現状、また設計図面を基に現地調査を行い PAPs を 特定し、ドラフト RAP 作成のために PAPs へのインタビュー調査を行った。ドラフト EIA と RAP は JICA 環境社会配慮ガイドラインに準拠した。今後、事業実施中における RAP 作業の 円滑な実施をおこなうために、精度の高い RAP 図面を準備することが重要である。

14.3 提言 1) JICA 調査団は DPR コンサルタントにより実施された DPR 設計成果を全般にわたりレビュー した。本事業はインド国で初めての建設となる先進技術の斜面対策工が含まれているため、 NHIDCL は設計および施工に十分経験のある洗練された技術者を要する力量あるコンサルタ ントを調達し、修正された測量地形図を使用して入札図書を準備することが望まれる。 2) 修正された測量地形図を使用した入札図書作成に関して、事業実施中における RAP 作業の円 滑な実施をおこなうために、精度の高い RAP 図面を準備することが必須であると考える。

14-1

インド国北東州道路網改善事業準備調査 準備調査報告書(第 1 巻)

付 録

付録 - 1: 調査対象区間における過去の観測交通量

キロポ

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ID

道路区間 調査地点 スト 調査日 PCUs 普通車 バス 小型商業車 トラック 多軸トラック 二輪車 自転車 動物牽引車 農業トラクター その他

1 国道 54 号, Aizawl Aizawl/ Km 169 Jan - June 2004 5191 786 64 586 807 130 645 1 0 1 0 – Tuipang, ミゾラム, 389 km Vairengte/ Km 43 Jan - June 2004 1950 378 93 450 203 2 0 0 0 0 0 Silt Lawgtla/ Km 72 Jan - June 2004 1769 942 30 163 164 0 0 0 0 0 0 Hnathiar/ Km 172 Jan - June 2004 981 117 98 138 100 14 0 0 0 0 0 DPR 国道 54 号, Hnahthial/ Km 179 Feb. 2010 775 108 23 65 59 63 80 0 0 0 0 MORTH DPR 国道 54 号, Dawn/ Km 209 Feb. 2010 1378 330 23 88 219 25 154 0 0 0 0 MORTH DPR 国道 54 号, Hrangchal Kawn/ Feb. 2010 1270 404 25 135 161 2 192 0 0 0 0 MORTH Km 225 2 国道 62 号, Dainadur/ 20 Km July - Dec. 2003 3709 61 58 56 1057 0 67 30 10 20 0 'Dudhanal- Dalu, メ ガラヤ , 150 Km Barengapara/ 199 July - Dec. 2003 613 169 31 68 35 2 102 149 0 2 0 Km Siju/ 121 Km Jan - June. 2005 1420 66 35 33 367 4 55 25 0 9 0 Baghmara/ 141.200 Jan - June. 2005 2953 723 91 760 61 2 736 478 0 4 0 KM Barengapara/ 199 Jan - June. 2005 593 149 31 68 35 2 102 149 0 2 0 Km Karukol/ KM 121 07th - 14th March 1658 63 22 99 422 2 108 35 2 4 0 - 2006 Konegittim/ Km 04th - 11th March 2215 411 27 457 280 2 273 44 2 3 0 141 - 2006 Dimapara/ Km 199 04th - 11th March 948 182 30 47 57 2 151 304 23 3 0 - 2006 3 国道 51 号, Tura - Krishna/ 21.820 Km Jan - June. 2005 2720 702 150 125 115 0 530 735 34 9 2 メガラヤ 0 Dalu, , 60 Km Mankachar. 97.295 Jan - June. 2005 13766 9730 285 380 171 0 407 5 0 9 4 KM 4 Tura/ 117 Km Jan - June. 2005 838 228 54 96 59 0 173 45 0 0 4 Tura/ 146 Km Jan - June. 2005 1535 275 60 334 72 0 236 355 0 0 1 5 Bajengdoba/ Km 22 04th - 11th March 1316 291 88 126 121 0 373 45 0 0 0 - 2006 Rongram/ Km 83 04th - 11th March 1688 454 72 266 143 0 365 15 0 0 0 - 2006 Babupara/ Km 97 04th - 11th March 13972 8551 338 844 241 2 475 3 2 3 0 - 2006 6 13 mile/ Km 117 04th - 11th March 1212 188 61 93 195 0 174 58 0 0 0 - 2006 Dalu/ Km 146 04th - 11th March 1850 374 30 21 147 0 446 1381 0 0 0 - 2006 DPR 国道 51 号, Km 93 2010 3675 1177 335 258 238 1 712 0 0 7 0 MORTH DPR 国道 51 号, Km 104 2010 1095 607 48 35 0 0 583 0 0 0 0 MORTH DPR 国道 51 号, Km 144 2010 1565 679 49 58 81 4 781 0 0 0 0 MORTH 4 国道 40 号, Nongpoh/ 7 Km Jan - June. 2005 12896 3427 337 119 2465 36 360 644 0 23 2 Shillong – Dawki, メ 6 ガラヤ , 80 Km Shillong/ 47 Km Jan - June. 2005 16413 2488 136 250 3122 7 83 20 0 2 0 4 Shillong/75 Km Jan - June. 2005 30235 4977 249 774 5310 9 108 142 0 8 0 3 0 Shillong/ 82 Km Jan - June. 2005 30261 5833 220 541 5287 0 157 75 0 68 0 9 0 Shillong/ 102 Km Jan - June. 2005 7214 736 277 247 1281 272 271 120 0 3 0 Shillong/ 129 Km Jan - June. 2005 1207 220 123 117 142 0 24 8 0 0 0

付録- 1

キロポ

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ID

道路区間 調査地点 スト 調査日 PCUs 普通車 バス 小型商業車 トラック 多軸トラック 二輪車 自転車 動物牽引車 農業トラクター その他

Byrnihat/ 7 Km 06th - 13th March 18991 3888 418 403 4008 134 720 328 1 8 1 - 2006 1 Umran. 47 Km 08th - 15th March 15628 2933 324 139 3814 4 83 1 1 1 0 - 2006 Mawlai 07th - 14th March 19703 5587 691 374 3535 74 774 134 0 20 0 Noungkwar/ 75 Km - 2006 Umshyrpi/ 82 Km 17th - 24th March 9398 5629 435 250 530 0 996 1 0 0 0 - 2006 Umtyngar/ Km 102 07th - 14th March 5674 1173 226 377 905 94 181 30 0 3 0 - 2006 Pynursla/ Km 129 07th - 13th March 2502 1089 129 163 250 0 62 0 0 0 0 - 2006 5 国道 53 号, Imphal – Jiribam, マニプール, 220 Km 6 国道 39 号, Imphal Senapati / 260 Km 20th - 27th March 3460 1381 139 354 277 27 285 53 0 2 0 -Kohima, マニプール/ナ - 2006 ガランド , 125 Km Kangpokpi / 275 20th - 27th March 1672 289 143 104 228 8 90 22 1 3 0 Km - 2006 Chingmeirong / 21st - 28th March 24507 7325 719 1560 1695 6 860 6307 5 16 1 317.400 Km - 2006 5 Canchipur / 326 Km 21st - 28th March 10390 2945 478 769 447 2 510 1833 2 5 0 - 2006 4 Pallel / 366 Km 20th - 27th March 3321 760 149 209 233 2 882 1121 4 13 0 - 2006 Tengnoupal/ 390 20th - 27th March 1603 300 145 41 179 0 213 236 5 1 0 Km - 2006 国道 39 号, ナガラン Medziphema/ Km July - Dec. 2004 13766 1080 100 480 2885 0 157 453 0 0 0 ド 州 130 2 国道 39 号, ナガラン Kohima/ Km July - Dec. 2005 10942 836 762 330 2429 0 28 47 0 0 0 ド 州 164.500 国道 39 号, ナガラン Kohima/ Km 182 July - Dec. 2006 15186 1276 142 464 2976 0 40 0 0 0 0 ド 州 2 国道 39 号, ナガラン Kohima/ Km 199 July - Dec. 2007 11218 858 920 327 2352 0 88 19 0 0 0 ド 州 10 国道 37, Jakhalabanda/ 325 18th - 25th Feb - 7216 1163 410 388 1052 86 250 1077 2 4 0 Koliabhomora 橋, Km 2006 Tezpur 近郊. アッサム, 2.5 Km Behora, 20th - 27th March 9592 1526 616 481 1158 240 709 1043 1 11 2 Numaligarh/ 402 - 2006 Km 出典: 国道庁ホームページ

付録- 2

付録 - 2: 路側インタビュー調査のための設定ゾーン ゾーン 概要 県 州 No Dhuburi, Golakganj, South Salmara, Patakata, Mankachar, Dhuburi 1 Laughrabita, Fakirganj Gouripur, Tamarhat, Bilasipara, Salkocha, Chapar, Sapatgram, Agamani, Basbari, Bagripari Kokrajhar, Gossaigaon, Haltugaon, Detnia, Garubhasa, Raimana, Kokrajhar 2 Kochugaon, Patgaon, Ranikhata, Sidli, Anguri bazar, Bijni, Agrong, Kunda, Amtika, Deosri, Saralpara 3 Jogighopa,Bongaigaon, Abhayapuri, North salmaria Bongaigaon Lakhipur, Chunara, Agia, Kadomiola, Rangjuli, Dhupdhara, Gaolpara 4 Khutal, Tiplai, Dalgoma, Kharmousa, Gaolpara, Pancharatna, Dudhnai, Krishnai Baghbor, Bohari, Balikuri, Sorbhog, Raha, Houli, Burikhamar, Barpeta, Nalbari Sarthebari, Bhawampur, 5 Barbang,Hazuwa,Kunguri,Patacharkuchi,Tarabari, Nalbari,Tihu,Mukalmuva,Tamulpur,Dhamdhama,Barma,Jagar,Bel sor,Subhankhata Boko, Chhaygaon, Ranigodam, Bhodhpur, Barduwar, Palasbari, Kamrup 6 Guwahati, Noonmati, Khetri, Dispur, Sonapur, Paltanbazar, Jalukbari, Hazo, Kamalpur,Rangia Kalaighor,Dalgaon,Mangaldai,Mazbath,Udalguri,Paneri,Nalbari,R Darrang, Marigaon 7 awta, Marigaon,Nakhola,Jagiroad,Mayong,Aujari,Dharamtul Minser,Khainduli,Minser, Sirtiso, Baitha longso, Baut bazar, Hang Karbi Anglong, North Chacharhills 8 hahai, Haflong, Gunjong, Mahur, Maibong, Darangibra, Malanpa, Bagha,Langting, Garampani, Langding アッサム Dhalai, Silcha, Udarband, Lakhipur, Rajabazar, Katogora, Cachar 9 Barakhola, Lalsang, Kumbhir, Dwarband Karimgang, Sonbill, Ratabari, Anipur , Patarkhandi, Abdullapur, Karimgang 10 Chargola, Neelambazar 11 Hylakandi, Badarpur, Lala, Katlichara Hylakandi Kampur, Jamunamukh, Singinarigaon, Raha, Barrozpiya, Nagaon Khatetali, Lamding, Lankha, Murajhar, Moudanga, Mikirgaon, 12 Dhing, Bardhoa, Nagaon, Rupohi, Samaguri, Kalyabor, Silghat, Jakhalbanda ,Salana,Misa Tezpur, Dhekiajuli, Singri, Bihuguri, Rangpara, Balipara, Sonitpur 13 Bindukuri, Gohpur, Helem, Dirji, Beheli, Viswanath, Jamaguri, Gamani Diphu, Dhansipi, Dhangiri, Paklagaon, Burakek, Howraghat, Karbianglong, Golaghat Dengaon, Bokajal, Jengpata, Erdankrams, Sarhed, Kalyani, 14 Barphatar, Jangpeta, Merapani, Saruphatar, Rengmapathar, Barugaon, Golaghat, Garampani, Barjan, Bokhakhat, Dergaon, Numaligaon, Dhansirimukh Northlakhimpur,Bihipuria,Diju,Dulahatgaon,Dhakuakhana,Phatali Lakhimpur,Dhemaji 15 pum,Jagaldubhi,Makhova,Dhemaji,Jonai,Silapathar,Sonarigaon Jorhat,Teok,Anguri,Narmija,Sibsagar,Kokilamukh,Neemati,Marya Jorhat, Sibsagar, Dibrughar, Tinsukiya 16 ni,Anguri,Nazira,Sonari,Barhat, Dibrughar, Tinsukiya, Digboy, Margerita, Dandama, Bardubi, Sadiya, Bordubi Dalu, Barengapara, Dingkajhora, Adugachol, Rembigiri, West Garo Hills Rongohugiri, Rongram,Dadenggiri,Rongmachokgiri,Phulbari, 17 Tura, Selsella, Garobadha, Adugiri, Akongrre, Dobasipara, Anabagre, Chenguburigri, Rongbakre 18 Zikzak, Genapara, Kherapara, Jongohetpara, Batasing, Mankachar West Garo Hills Barengapara, Baghmara, Songmong, Ringkhap, Chokpat, South Garo Hills 19 Chengbagiri, Wacholgiri メガラヤ Rongra, Wagekona, Agatchikona, Badimbari, Taraibari, Nolbari, south Garo Hills 20 Rangasora WilliamNagar,Renggiri, Balsrigittim, Sampalgre, Songsak, East Garo Hills 21 Samanda, Resubelpara, Bangsi, Dhamra Dynadubi,Chibogh,Dumboo, Rongjeng,Cheran, Bajengdonba, East Garo Hills 22 Thikrikila, Raksamgre, Ajagar pahar 23 Panikunda, Sangaik, Riangdo, Patharkhnang West khasi Hills

付録- 3

ゾーン 概要 県 州 No Nongstoin,Phlangmauupra,Jakrem,Mawkyrwat, Rambrai, West khasi Hills 24 Nongkhlaw, Mawdob ,Mairang 25 Shella,Balat,Mawsynram,Mawphlang, Mylliem,Laitlyngkoi East Khasi Hills Barapani,Shillong,Mawlyngkneng, Nongroug,Pynursla, East Khasi Hills 26 Serrarim,Sohra, Pamramda, Wakhaliar, Mawdon 27 Nartiang,Nongbah,Thadlaskein,Laskein,Barato Jaintia Hills Jowai,Dauki,Jarain,Amlaren,Lakadong, Sutnga, Khliehriat, Jaintia Hills 28 Shangpung Barhnhat, Umling, Donmatia, Umsing, Nongpoh, Margang, Ri Bhoi 29 Diwon, Ksehkima Bazar, Mawhati, Kyrdem Bahadurpara,Kanchanpur, Sakhan, Serhmun, Dhalai 30 Gunamanipara,Rabiraipara, Chaumanu, Purba Chammanu, Jagannathpur, Kulai Ambasa,Manu, Kanchanpur, Dab bari, Michiuria, Dhumaccata, Dhalai 31 Karatichara, Halhali,Kamalpur,Salema Sakhan,Phuldungsei,Vangmuri, Damchera, Kanhmun, Narendra North トリプラ 32 nagar, Luimavi, Piplachara, Bhungtuem, Kailashnagar,Dharmanagar,Unakoti,Fatikrai,Kumarghat Khowai,Kalyanpur, Ganki, Chebri, Raj anagr, West トリプラ 33 Sidhai,Chnadrasachubari,Ranirbazar,Narayanpur, Teliamura, Uttar トリプラ Gakul nagar, Taidu Agartala, Takarjala, Jambai, Bisalgarh, Barjala, Melaghar, West トリプラ 34 Sonamura, Jatrapur, Kathalia Sipahijala, Udaipur, Nagraibari, Ampibazar, Sabedabari, South トリプラ 35 Mogiabari, Matraibari Puranrajbari Rajh nagar, Chauddragram, radha nagar, Krishna pur, South トリプラ 36 Laogangbazar,Lungthung,Manubazar,Sabrum, Palangphabari, Tirthamukh Belonia,Kakraban,Radhakishorepur, Nutanbazar, Dumbur, South トリプラ 37 Amarpur,Hirapur, Ampibazar ,Sabedabari,Mogiabari,Matraibari Aizawal, Paikhal, Zobawk, Bukpui, Tuirial, Melriat, Muallungthu, Aizawl Aibawk, Falkawn, Kelsei, Sateek, Seling,Lumtui,Khawthlir, 38 Ruallung, Keifang, Saitual, Rulchawn, Hnaltu,Hrnuntha, Maite, Mualpheng, Lenchim, Tawizo, Hmuntha, Khumtung Neihbawi,Nisapur,Tawkzawi, Sentlawng, Lungdai, Relek, Aizawl 39 Sairang, Thak,Sialsuk,Thenzawl Lurgpho,Vancheng,Khawhai, Chekawn,Vantaiphai, Sialsir, Serchip 40 Lungchhuan, Bawktlang, North Vanlaiphai, Rawpui, Serchip,Keitnnikawn, Matphai, Keitum, South zote Lunglei,Lungsen,Tiabung,Tuiehong,Hruizam,Laisawrai,Buarpur, Lunglei 41 Sairep,Tawipui,Thingeal,Chawngte Saza,Hawlawng,Ramlaitiu, Zotuitlang, Ralvawng, Hawlaung, Lunglei 42 Zobawk,Leite,Thingsai,Boinu Saiha, Sangau, Siachangkown, Tiosumpui, Rawmibauk, Chhimtuipui ミゾラム 43 Phalrrang, Mamte, South Langpher, Langban, Ainak, Tuipang, Zawngling Serkawn,Kaisi, Theiri, Lower Theiva, Vahal,Tawngkalawng, Chhimtuipui 44 Phura, Tongkolong, Lehri Kaladan,Lawngtelai,Saizawh, Shermun, Bungtlang, Diltlang, Lawngtlai 45 Uiphum, Mualbn, Kawnpui,Tuidang Champhai,Dilkawn,Lungdar,Khawbung,Farkawn,Tuisen, Champai 46 Ngur,Neihdawn,Kawlkulh,Hnahlan,Saichal 47 Phullen,Zawngin,Chiahpui,Phulbuang Champai Sabual,Sibutalang,Pukzing,Lallen,Phaileng, Mamit 48 Mamith,Tukkalh,Saitlaw,Rengdil,Hriphaw Kolasib,Chhimluang,Bilkhawtlair,Mualvum,Bhuvalpui, Kolasib 49 Phileng,Darlawn,Ratn,Thingsat Imphal, KanglaTonghi, Phumlou, Lamshang, Mongjam, Khamran, West Imphal Kangpokpi, Saparmania, Lhangjol, Keithelmangbi, Samurou, 50 マニプール Mayang, Buribazar, Wango, Meijrao, , Changangai, Taobungkhok, Ghari

付録- 4

ゾーン 概要 県 州 No Sagolmang,Yangangpokpi, Waiton, Sawombang, Keibi Heikak East Imphal 51 Mapal, Paurabi, Phaknang, Nungoi, Lamlai, Kangla sipai, Kharasom ,,Wangjing,Wabagai,Shuganu, Irengbam, Thoubal 52 Keirak, Kharungpat, Hiyanglam, Kakching, Hangool, Yairipok, poirou Thangkhul, Tulihal, Pechi, Top chinhta, Huikop 53 Kumbi,Thanga,,,Bishnupur, Bishnupur Lunhpou, Deurali, Daili, Tumuyon Khunou, Senapati 54 Wilong,Maosongsang,Kanchong, Khridziiphi, New Magaimai Maram,Karong,Tadubi,Gaziphema, Shajouba, Kaibi, Tungham Senapati 55 Khullen, Tunhjoy, Saranamai, Tungam Makhufii, Senapati,Khamson,Saikul,Laphulak Tallui,Ukhrul,Humpum,Leishan, Jessami,Chingai,Kuiri, Paorei, Ukhrul 56 Peh, Lunghar, tusam khullan Molvailup,Maiti,Mairing,Phungyar,Kamjong,Chassad, Ukhrul 57 Boljang,Kasom,Khullem,Bongubakhullen Palel, Kampang, Sebong, Chandel,Chalong,Moreh,Thengnoupal, Chandel 58 ,Mombinew,Khongtol Churachandrapur,Mulanil,Hangtam,Thinghat,Molnom,Tonglon,H Churachandrapur 59 anship,Senven,Thanlon,Mongzungkai, Phaiphengmun, Henglep, Tinaong, Parbung, Sangsong Lagairong,Tairenpokpi,Nungbah,Longpi,Oinamlong, Tamenglong 60 Tamenglong, Kataug,Tousem,Phellong,Pobram, Khebuching,Tamei,Tamma,Thouglang,Chaton,Langga Ankhasu, Jeikhan, Tuisen, Lower Kharkuplien, upper East Imphal 61 Kharkhupkien, Jirebam, Nghahmumpai, Kaiphundai Tasangki,Phikulum,Henima,Meehangbung, Peren, Intanki, Kohima 62 Lakema,Pulomi,Vishvema, Sechu, Jaluki, Khonoma Kohima,Tseminyu, Tesophenyu, Ziphenyu, Lazami,Narhema, Kohima 63 Zakhama, Tuophema Chimakudi, Dhansiripar, Chumukedima, Dimakur,Nichuguard, Dimapur 64 Chedumi Kekrima,Chizami,Chenwesumi,Dhulhami,Kilami,Chipeketemi,Ph Phek 65 ek, Meluri,Akhegwo ナガランド Rangazubmi,Wokha,Sanees, Longsa, Pangti,Bhandari, Lakhuti, Wokha, Zunheboto 66 Sakhalu,Zunheboto, Sakhai,Baimbo,Aoehugelime Sirere,Purorr,Cheshorr,Tuensang, Tuensang, Mokokchung Laruri,Sampure,Thonokyu,Panso,Noklak,Chen, Tamlu, 67 Kangching, Ungma,Chungtia,Mokokchung,Chongymsen, Chantogia,Merangkong Naginimara,Lapa,Borgan, Kongnyu, Wangla, Mon, Nyasia, Mon 68 Wakching Tawang, khat, Jang, Bomdila, Gohaintan, Seppa, Dirji, Noju, Tawang, West Kameng, East Kameng, Itanagar, Riang, Khereva, Palin, Ziro, Tali, Daporijo, Along, Lower subansiri, Upper subansiri, 69 Basar, Karko, Ingkong, Pasighat, Kebang, Komaing, Mariang, Papum pare, West siang, East siang, アルナチャルプラ Dalbuing, Anini, Roing, Embrongo Upper siang, Dibang valley デシュ Khonsa, Wakka, Pongchau, Changlang, Nampong, Manmao, Khonsa, Changlang, Lohit 70 Namdpah, Tezu, Wakro 州 71 Sikkim, West bengal, Bihar, Jharkhand Orissa, Chattisgarh, Andhra Pradesh, Telangana, Tamilnadu, 州 72 Kerala 州 73 Karnataka, Maharashtra, Gujarat 州 74 Madhya Pradesh, Uttar pradesh, Rajasthan, Haryana, Punjab 75 Uttarakhand, Himachal pradesh, Jammu and Kashmir 州 出典: 調査団

付録- 5

付録 -3 : Slope Inventory Survey

1. OBJECTIVE The slope inventory survey was conducted for the following purposes, - To identify existing landslide areas and potential landslide risks along the road, - To measure topography of slope on both side of the road, and - To clarify geological and geotechnical condition of the slope along the road. The result of the survey is utilized for design of road alignment and slope protection works. 2. METHODDORLOGY The survey was conducted by local engineers and geologists directly managed by the JICA study team from February to April 2015. The road of NH-54 is divided into four sections as shown below. Planned bypass sites are not included in this survey. Table 1 Survey Sections Section From To Length (km) NH-54 A Aizawl Serchhip 102.93 B Serchhip Hrangchalkawn 112.52 C Hrangchalkawn Lawngtlai 72.40 D Lawngtlai Tuipang 85.56 NH-51 - Tura Daru 57.84 Source: JICA Study Team The survey consists of 1) cross-section measurement, 2) verification of geological and geotechnical condition, and 3) identification of landslide risk. 2.1 Cross-Section Survey The cross-section measurement measured road width and length and height, and grade of slope on both right and left side along the road using a measuring tape, laser distance meter, and inclinometer. And we sketched the topography of slopes including specific features and recorded the location of cross-section by portable GPS device. Since DPR study, because they planned widening on hill side mainly, doesn’t include enough topographic data on valley side, these data in this survey is utilized for road design as well. Figure 1 shows an example of sketch in the survey.

Source: JICA Study Team Figure 1 Example of Sketch in Cross-section Survey

2.2 Verification of Geological/GEOTECHNICAL Condition For design of cut grade on hill side slope with widening, checking out outcrops along the road, the surveyors verified geology and geotechnical condition on each slope. In order to standardize the category of geology and classification of geotechnical condition, the training for the surveyors was held at the beginning of the survey and provided the chart for soil and rock classification as shown in Table 2. At the same time, they also inspected whether there are specific features which may

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cause landslide such spring water and dip slope or not. Dip slope means the slope which has same or almost same dip direction as that of geological layer.

Table 2 Example of Rock Classification Soft Hard Very Hard

Strongly weathered and very soft. Slightly weathered. Fresh and Intact Can Break easily. Can break by hammer Hard to break Many crack, joint and schistosity. Relatively gentle slope Steep slope Very steep slope Source: JICA Study Team

2.3 Identification of Landslide Risk To plan countermeasures against landslides which give the road severe damage, the surveyors checked location of landslide using portable GPS device, and drew a sketch and measure its dimensions (width, length, and height) as shown in Figure 2.

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Source: JICA Study Team Figure 2 Example of Sketch of Landslide

It is very important for appropriate design of landslide countermeasure to understand type of landslide properly; namely, mass movement, slope landslide, rockfall, and debris flow. Table 3 shows the landslide classification based on the landslide mechanism. The landslides identified in site were categorized by the classification in Table 3 which was given to the surveyors prior to the survey similarly. The Hill Road Manual (IRC: SP: 48-1988) also refers a classification by Vernes, 1978, which finely classified landslides by those mechanisms. However, because it does not connect to landslide countermeasure selection, the classification was simplified as shown in Table 4.

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Table 3 Landslide Type Classification

Type Schematic Image Example

Mass Movement (MM)

Slope Failure (SF)

Rock Fall (RF)

Debris Flow (DF)

Source: JICA Study Team

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Table 4 Comparison with Landslide Classification in IRC Type Classification in IRC (Verns, 1978) (Typical Countermeasure against each Landslide Type)

Mass Movement (MM) Rotational Slide Earth Slump Transitional Slides

Groundwater Drainage, Earth Removal, Counterweight Fill, Anchor work (Rock-bolt work), Pile

Earth Flow Lateral Spread

Debris Fall Rock Topple

Slope Failure (SF)

Debris Topple Earth Flow (Wet sand) Mud Flow Dry Sand Flow

Earth Removal, Rock-bolt work (Anchor work), Soil Retaining Wall, Vegetation work

Debris Avalanche

Rock Fall (RF) Rockfall Prevention Fence/Wall Wire Netting, Removal, Bonding

Rockfall

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Type Classification in IRC (Verns, 1978) (Typical Countermeasure against each Landslide Type)

Debris Flow Box Culvert, Bridge, (DF) Check Dum, Groundsill Rockfall-Debris Flow Debris Flow Source: JICA Study Team

3. SURVEY RESULT The survey results of cross-section measurement, verification of geological/geotechnical condition, and identification of landslide were summarized in tables attached at the end of this appendix. 3.1 NH-54 Due to steep mountainous and high rainfall area in NH-54, there are many landslides located along the road. Figure 3 presents the number of landslide and landslide soil volume assumed by its dimensions. The number of landslide identified along NH-54 exceeds 850 including very large mass movement (MM) and small rockfall (RF). Among them, slope failure (SF) is most frequent disaster along NH-54 followed by debris flow (DF). Because existing cut slope was excavated with steep grade of 60~80 degree without any protection work when the road was constructed, surface failure often occurs on dip slope and at where weathered rock is exposed. However, volume of most of slope failure is small and less than 100 m3. Large landslide which is more than 1000 m3 with volume and can be hazardous for road construction is mainly composed of mass movement. Those mass movement and large-scale slope failure need be taken care as the critical slope.

400 DF 350 RF 113 300 MM 45 13% 5% 250 SF

200 86 10% 150

620 SF of Landslide Number 100 72% MM 50 RF 0 DF ≦10 10~100 100~1000 10000~2000 >2000 La ndslide Volume (m3)

Source: JICA Study Team Figure 3 The Number (Left) and Volume (Right) of Landslide in NH-54

3.2 NH-51 Topography around NH-51 is relatively gentle and is composed of young geology such as tertiary and quaternary sedimentary layers. Therefore, there are less slope failures and large mass movements and no rockfall unlike NH-54. On the other hand, due to the unconsolidated, loose and erosive foundation layer, road subsidence (SB) and erosions can be identified along the road more frequently. The road subsidence has often occurred at where road embankment was built at valley or depressed area and cracks caused by the subsidence have occurred at the boundary between cut and fill. Therefore, subsidence is associated with soft foundation at the bottom of embankment and inflow of rainwater into subsurface loosing road embankment due to poor road drainage system.

付録- 11 9 10% 4 4 4% 4%

SF MM RF 76 DF 82% SB

Source: JICA Study Team Figure 4 Number (Left) and Volume (Right) of Landslide in NH-51

付録- 12 付録 - 4: 横断排水リスト

出典: 調査団

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付録- 49 出典: 調査団

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付録- 5: Summary of Preliminary Design Drawings

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付録- 53

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付録- 54

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Horizontal Alignment of NH54 (1 of 7)

出典: 調査団

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Horizontal Alignment of NH54 (2 of 7)

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Horizontal Alignment of NH54 (3 of 7)

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Horizontal Alignment of NH54 (4 of 7)

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Horizontal Alignment of NH54 (5 of 7)

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Horizontal Alignment of NH54 (6 of 7)

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Horizontal Alignment of NH54 (7 of 7)

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出典: 調査団

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