マ ウス に おけ るfebarbamate(MS-543)

マ ウス に おけ るfebarbamate(MS-543)

マ ウ ス に お け るFebarbamate(MS-543)の 行 動 薬 理 作 用 移 所 運 動 , 能 動 的 回 避 反 応 お よび 受 動 的 回 避 反 応 に よ る評 価 栗 原 久 , 田所 作 太 郎 群馬大学医学部附属行動医学研究施設行動分析学部門* (1991年7月12日 〔特〕) 要 約:febarbamate(MS-543);1-(3-butoxy-2-carbamoyloxypropyl)-5-etllyl-5-phellyl(1H,3 H,5H)-pyrimidine-2,4,6-trioneの 行 動 薬 理 作 用 を , マ ウ ス の 移 所 運 動 , シ ャ トル 型 非 連 続 回 避 反 応 お よ び ス テ ップ ス ル ー 型 受 動 的 回 避 反 応 を 指 標 に 検 討 した .MS-543(100お よ び1000mg/kg,P.o.)は 単 独 投 与 時 に 移 所 運 動 に 影 響 せ ず , ま たmethamphetamine(2m8/k8,s.c.),apomorphine(0.5 mg/kg,s.c.)お よ びscopolamine(0.5mg/kg,s.c.)と 併 用 投 与 し て も , そ れ ぞ れ の 移 所 運 動 促 進 効 果 に 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た . 十 分 な 訓 練 に よ っ て 確 立 し た シ ャ トル 型 非 連 続 回 避 反 応 はMS-543(100 お よ び1000mg/kg)に よ っ て 変 化 し な か っ た . し か し ,MS-543(1000mg/kg)は ,chlorproma zine(2mg/kg,s.c.)に よ る 反 応 率 お よ び 回 避 率 の 低 下 を 増 強 す る 傾 向 が あ り,physostigmine(0.2 mg/kg,s.c.)に よ る 回 避 率 の 低 下 を 軽 度 で は あ る が 有 意 に 増 強 し た 。1試 行 に よ る 受 動 的 回 避 反 応 の 獲 得 訓 練 前 にscopolamine(0.5mg/kg,s.c.)を 投 与 す る こ と に よ っ て 生 じ た 再 生 試 行 時 の 成 績 悪 化 は , MS-543(100お よ び1000mg/kg)をscopolamine投 与 に 先 行 し て 処 置 し た 際 に は 軽 減 さ れ た が , 訓 練 後 の 処 置 は 無 効 で あ っ た . さ ら に , 反 復 訓 練 を 実 施 し た 際 に は ,MS-543は 受 動 的 回 避 反 応 に 著 しい 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た . 本 実 験 結 果 は ,MS-543は 軽 度 の 鎮 静 作 用 と , コ リ ン 作 動 神 経 系 に 対 す る 鷺 活 作 用 を 有 す る こ と を 示 唆 し て い る . 非 連 続 回 避反 応 , お よび ス テ ップ ス ル ー型 受 動 的 回 避 反 緒 言 応 を 指 標 に ,MS-543の 単 独 投 与 時 , お よび 代 表 的 な 中 febarbamate(MS-543);1一(3-butoxy-2-carbamoyloxy- 枢 作 用 薬 との 併 用 投 与 時 の効 果 に つ い て検 討 した . propyl)一5-ethyl-5-phenyl(1H,3H,5H)一pyrimidine-2,4, 実 験 材 料 お よ び 実 験 方 法 6-trione(図1)は , 化 学 構 造 か ら み てphenobarbitalの 誘 導 体 で あ る . 本 薬 物 は ス イ スSAPOS社 に よ っ て 開 1. 実 験動 物 発 さ れ ,hypermotility,agitationな ど の 老 人 の 精 神 疾 患 , 実 験 動 物 はddY系 雄 マ ウ ス(日 本 医 科 学 動 物 資 材 研 あ る い は 痴 呆 に 伴 う各 種 精 神 症 状 に 対 す る 効 果 が 期 待 さ 究 所)で ,6週 齢 で購 入後 , ポ リカ ーポ ネ ー ト製 の飼 育 れ て い る 新 規 薬 物 で あ るD. 本 薬 物 は 中 枢 性 の 抗 コ リ ン ケ ー ジ(30×20×10cm)内 で10匹 ず つ , 固 形 飼 料 作 用 や 錐 体 外 路 症 状 は ほ と ん ど 誘 発 せ ずD, 神 経 化 学 的 (MF:オ リエ ンタ ル酵 母)と 水 道 水 を与 えて 飼 育 した . 実 験 に よ っ て も セ ロ トニ ン 代 謝 を 若 干 促 進 す る 以 外 は , 動 物 飼 育 室 は12時 間 ご との 明 暗(明 期:午 前6時 ~ 午 後 ノ ル ア ド レ ナ リ ン, ドパ ミ ン お よ び ア セ チ ル コ リ ソ神 経 6時), お よび 室 温23±2。Cに 調 節 した . マ ウ ス が7 系 に 対 す る 効 果 は 弱 い と さ れ て い る2). し か し , 本 薬 物 週 齢 , 体 重28~34gに 達 した 時 点か ら実 験 に使 用 した . の 臨 床 応 用 の 可 能 性 , お よ び 使 用 し た 際 の 中 枢 作 用 に 由 2. 薬 物 来 す る 効 果 に つ い て ほ と ん ど 検 討 さ れ て い な い . 実 験 に 使 用 した 薬 物 お よ び 投 与 用 量 は ,MS-543(三 そ こ で , 本 研 究 で は マ ウ ス の 移 所 運 動 , レ バ ー 押 し型 井 製 薬 工 業(株);100お よ び1000mg/kg),metham・ phetamineHCI(ヒ ロポ ン:大 日本 製 薬(株);2mg/kg), *〒371前 橋 市 昭 和 町3-39-22 apomorphineHC1(シ グ マ 社;0.5mg/kg),scopol一 Fig. 1 Chemical structure of febarbamate (MS-543). amineHBr(シ グ マ 社;0.5mg/kg),chlorpromazine 秒 , 警 告 刺 激(800Hz音)の 提 示 時 間=5秒 と した . 無 HC1(コ ソ ト ミ ン 注:吉 富 製 薬(株);2mg/kg)お よ び 条 件 刺 激 と して 与 え た シ ョ ックは ,100V,0.5mA,50 physostigmineH2SO4(シ グ マ 社;0.2mg/kg)で あ っ た . HzACで , 訓 練 時 に は 最 長3秒 間 と し,薬 物 効 果 の 検 MS-543は1%のTween-80を 添 加 し た 生 理 食 塩 水 中 に 討 時 に は0,5秒 間 に 固 定 した . な お , 回 避 反 応 が 行 わ れ 懸 濁 して 経 口 投 与 し , そ れ 以 外 の 薬 物 は い ず れ も 生 理 食 た場 合 ,残 りの警 告 期 間 お よび シ ョ ック提 示 時 間 は 次 の 塩 水 で 溶 解 ま た は 希 釈 し て 皮 下 投 与 した . 薬 物 懸 濁 液 ま 試 行 間 隔 に加 え られ ,回 避 試 行 は 常 に30秒 間 隔 で 行 わ れ た は 薬 物 溶 液 は , い ず れ も 投 与 容 積 が0.1ml/10g体 重 た . 回 避 反 応 の 指標 と して 反 応 率(シ ャ トル頻 度)お よ に な る よ うに 濃 度 を 調 節 し た . び 回避 率(回 避 成 功 数/試 行 数)を と った . 3. 移 所 運 動 測 定 実 験 本実 験 で は , あ らか じめ 十 分 な 訓 練 を マ ウス に 施 し, マ ウ ス の 移 所 運 動 は , 直 径20cmの プ ラ ス チ ッ ク製 安定 した好 成 績 の 回避 反 応 を 示 す よ うに な った マ ウス を 測 定 容 器 を 持 つ , 群 大 式 ア ン ピ ュ ロ メ ー タ ー(AMB- 反 復使 用 し,以 下 の薬 物 投 与 の 効 果 を 検 討 した . な お , 10:小 原 医 科 産 業)3)で 観 察 し た . 薬 物 未 経 験 の マ ウ ス 1実 験 あ た り9~19例 の マ ウス を用 い ,MS-543の 投与 を 測 定 容 器 の 中 に1匹 ず つ 入 れ ,30分 間 に わ た っ て 測 定 法 はcrossover方 式 で ,半 分 の マ ウス で は低 用量 か ら高 環 境 に 対 し て 順 応 さ せ た 後 , 以 下 の 薬 物 投 与 を 行 っ た . 用量 へ と, 残 り半 分 の マ ウ スで は 高 用 量 か ら低 用量 へ と 1)MS-543の 単 独 投 与:MS-543あ る い は 小 量 の 変 化 させ た . また , 薬 物 投 与 実 験 は3~4日 間 隔 と し, Tween-80を 添 加 し た 生 理 食 塩 水(用 量=0;対 照 実 験) 各 薬 物 投 与 の前 日に は 対 照 実 験 と してTween―80を 添 を 投 与 し , 以 後3時 間 に わ た っ て 移 所 運 動 を 観 察 し た . 加 した 生 理 食 塩 水 を 投 与 した . 2)MS-543と 中 枢 作 用 薬 と の 併 用 投 与:ま ずMS- 1)MS-543の 単 独 投 与=MS-543の 投 与 か ら1時 間 543あ る い はTween-80を 添 加 し た 生 理 食 塩 水 を 投 与 し 経 過 後 に 回 避 実 験 を 開 始 し,1時 間 に わ た って 回避 反 応 た30分 間 後 にmethamphetamine,apomorphineま た は を観 察 した . scopolamineを 投 与 し, そ れ 以 降 そ れ ぞ れ3時 間 ,1時 2)MS-543と 中枢 作 用 薬 と の 併 用 投 与:MS-543あ 間 お よ び2時 間 に わ た っ て 観 察 を 続 行 し た . る い はTween-80を 添 加 した 生 理 食 塩 水 を 投 与 し,1 4. シ ャ トル型 非 連 続 回 避 実 験 時 間 経 過 後 にchlorpromazineあ る い はphysostigmine 本 実 験 は , マ ウ ス 用 シ ャ トル 型 回 避 実 験 箱(GT- を投 与 し, そ の 直 後 か ら1時 間 に わ た って 回避 反 応 を観 8450:小 原 医 科 産 業), お よ び 自動 制 御 ・記 録 装 置(De 察 した . な お ,生 理 食 塩 水 処 置 後 にchlorpromazineあ CARESGT―M5お よ びTIDP―10:小 原 医 科 産 業)4)を る いはphysostigmhleを 投 与 す る実 験 は ,MS―543と そ 用 い て行 った . れ ぞ れ の 薬 物 の 併 用 実験 の前 後 に計2回 実 施 し, そ の平 非 連 続 回避 ス ケ ジ ュー ル5)の 時 間構 成 は試 行 間隔=25 均 値 を 活 性 対 照 値 と して 併 用投 与時 の値 と比 較 した . Fig.

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