1) 胴 甲 動 物(Loricifera)の 分 類 、 生 態 、 生 物 地 理 学 2) 3) 白 山 義 久 ・R.M.Kristensen 2)東 京大 学海 洋研 究 所 3)コ ペ ンハ ーゲ ン大 学細 胞 生物 学 、解 剖 学教 室 Taxonomy,Ecology and Biogeography of Loricifera 2) 3)Y oshihisa SHIRAYAMA and Reinhardt Mobjerg KRISTENSEN 2) Ocean Research Institute,Universityof Tokyo 3) Instituteof Call Biology and Anatomy,University of Copenhagen Abstract SHIRAYAMA,Yoshihisa(Ocean Research Institute,University of Tokyo) and ReinhardtM.KRISTENSEN (Universityof Copenhagen).1988.Taxonomy,ecology and biogeography of Loricifera. Benthos Research (Bull.Jap.Assoc. Benthology),32:18-20. A new species of the most recently described phylum,Loricifera Kristensen,1983,was discoveredfrom the red clay collected at ST.9 of a cruise of RV Hakuho Maru,ORI,UT.The station was situated close to the axis of the Izu-OgasawaraTrench at a depth of 8260 m. The present species was found to belong to the genus Pliciloricus (Pliciloricidae)and is the most closely related to P.profundus Higgins and Kristensen,1986 in the presence of single pair of P-flosculi,the type of mouth cone and clavoscalids,and the claw-shaped spinoscalids.Unique to the present species is its bulb-like shape of the lorica,the mucous coat of the larval lorica and the 30 sculptured plates in the adult thorax. This is the first record of loriciferansfrom the Indo-Western Pacific area. In addition,the habitat of the present species is completely different from the other congeneric species. Though the former was discovered from very fine sediment of the hadal depth,all described species so far have been callectedexclusively from sublittoral coarse sands off the southeastern coast of the USA. Moreover,in contrast to the interstitial nature of the other species,the present species probably burrows within the sediment. These findings suggest that loriciferans have great abiilityto adapt to various kinds of habitat and the phylum is distributed ubiquitously throughoutmarine environments.A cladistic tree was made using the Farris' Wagner method for six species of Pliciloricus collected from Atlantic as well as Pacific.The tree suggested that the dispersions of loricifera between two oceans have occurred at least twice or for two species before. 胴 甲 動 物(Loricifera)は 、1983年 にR.M.Kristensen 1)本 稿 は1987年11月14~15日 に東京 大学海 洋研 究所 で (1983)に よ っ て 記 載 さ れ た 、 袋 形 動 物 の 特 徴 を持 つ も っ と 開 催 され た日本ベ ン トス 研究会 第1回 大会 で 講演 した もの も 新 しい 動 物 門 の 一 つ で あ る 。 胴 甲 動 物 に は 、 現 在 ま で に2 であ る。 科 、3属 、9種 が 知 られ て い るが(Higgins and Kristensen, 18 No.32. Benthos Research. May.1988. 1986)、 筆 者 ら は 新 た に 、 伊 豆 小 笠 原 海 溝 の8260mの 地 点 よ 幼 生 は 、 典 型 的 なPliciloricus属 のHiggins幼 生 の 形 態 り、 未 記 載 種 の 標 本 を ♂ ♀お よ び 幼 生 の 合 計3個 体 発 見 した 。 を して い る 。toeが 大 変 長 い と い う 特 徴 か ら み る と 、 未 記 載 本 報 告 で は 、 そ の 分 類 、 生 態 、 生 物 地 理 学 に つ い て 述 べ る。 種 は 、P.profundusとP.orphanusに 類 似 して い るが 、 な お 、 本 種 の 記 載 は 、Zoological Science Vol.5,No.4に 出 anterolateralお よ びanteroventral setaeが 単 純 で 枝 別 れ 版 さ れ る 予 定 な の で(Kristensen and Shirayama,1988) し て い な い こ と 、 ま た 胴 部 の 形 態 が 壷 状 を し て い る こ と な ど 分 類 に 関 す る 詳 細 に っ い て は 、 そ ち ら を 参 照 さ れ た い 。 か ら、 区 別 す る こ と が 出 来 る 。 胴 甲 動 物 門 は 、 以 下 の3項 目に よ っ て特 徴 付 け られ る 本 未 記 載 種 の 生 息 場 所 は 既 知 種 の もの と ま っ た く 異 な っ て (Kristensen,1983,1986)。1)体 全 体 が 口丘 部 、 頭 部 、 頸 お り、 興 味 深 い(表1)。 ま ず 海 域 に っ い て み て み る と、 本 種 部 、 胸 部 、 及 び 胴 部 の5っ の 部 分 か ら な る 。2)頭 部 か ら頸 は 胴 甲 動 物 の 太 平 洋 海 域 か ら の 初 記 録 で あ り、 ま た500m以 部 に い た る 範 囲 に 、 多 数 の 付 属 肢 を 有 す る 。3)綱 部 が 甲 ら 深 の 深 海 産 種 と し て も初 記 録 で あ る 。 更 に 、 粗 砂 以 外 の 堆 積 に よ っ て 覆 わ れ て い る 。 物 か ら胴 甲 動 物 が 発 見 さ れ た の も初 め て で あ る 。 そ の 上 、 本 本 未 記 載 種 の 分 類 に つ い て 簡 単 に述 べ る と 、 本 種 は 、 口 丘 種 は 堆 積 物 の1~2cm層 か ら も 発 見 さ れ て お り、 既 知 種 と 異 の 形 態 及 び 腹 部 の 甲 らの 小 片 の 数 か らFamily pliciloricidae な っ て 、 内 在 性 の 生 活 を して い る可 能 性 も 考 え ら れ る 。 一 つ に 属 す る こ と が 明 らか で あ る 。 ま た 、 頸 部 に あ るtrichosca- の 属 の 種 が 、 こ の 様 に 多 様 な 生 息 環 境 に分 布 して い る こ と は lidに 一 叉 型 の も の と 二 叉 型 の も の と の 二 種 類 あ る こ と か ら 胴 甲 動 物 が 高 い 適 応 能 力 を 持 っ て い る こ と を 示 唆 して い る と Genus Pliciloricus Higgins and Kristensen,1986に 属 言 え よ う 。 す る も の と 考 え られ る 。 本 属 に は 、P.enigmaticus,P. こ の 発 見 に よ り、 胴 甲動 物 は 海 洋 に 普 遍 的 に 分 布 して い る gracilis,P.dubius,P.orphanus,お よ びP.profundusの で あ ろ う こ と が 示 さ れ 、 ま た 、Pliciloricus属 は 、 も っ と も 5種 が 知 ら れ て い る が(Higgins and Kristensen,1986)、 広 い 生 息 海 域 と 生 息 深 度 範 囲 を 持 つ 、 メ イ オ フ ァ ウ ナ の 一 属 こ の 内 、P.dubiusは 成 体 の み 、ま たP.orphanus は 幼 生 と な っ た 。 この 様 な特 徴 か ら、 胴 甲動 物 は 、 分 岐 分 類 学 、 分 の み しか 知 ら れ て い な い 。 断 生 物 地 理 学 へ の 応 用 につ い て も、 有 望 な 分 類 群 で あ る と い 成 体 の 形 態 か ら み る と 、clavoscalidに 偏 平 な 部 分 が な い え る だ ろ う 。 そ こ で 、 試 み にPlicilorious属 の う ち 、幼 生 の こ と 、 ま た 口丘 が 円 錐 型 を し て お り、 管 状 の 部 分 を 持 た な い 知 ら れ て い る6種(大 西 洋 産 既 知 種4種;本 未 記 載 種;中 部 こ と か ら 、 本 未 記 載 種 は 、P.profundusに も っ と も類 似 し 太 平 洋 シ ャ ッキ ー ラ イ ズ 産 の 別 の 未 記 載 種)を 用 い て、 分 岐 分 て い る 。 しか し、double organお よ びtrichoscalidの 基 板 類 学 、 分 断 生 物 地 理 学 的 な 考 察 を し て み た 結 果 に つ い て も紹 の 形 態 が 異 な る こ と 、 ま た 未 記 載 種 に は 、P.profundusに 介 す る 。 見 ら れ る 、 嘴 状 のspinoscalidの 付 属 歯 が な い こ と か ら 、 明 一 般 に 分 岐 図 を 作 成 す る に は 、 各 形 質 の 系 列 を 原 始 的 な も らか に 区 別 さ れ る 。 更 に 、 胴 甲 部 の 前 方 にscalptured plate の か ら進 化 した も の へ と方 向 付 け し な け れ ば い け な い 。 こ の が 見 られ る の は 、 本 未 記 載 種 の み で あ る 。 方 向 付 け に 際 し て 最 も有 効 な 手 段 は 外 群 比 較 と 呼 ば れ る 方 法 表1.胴 甲動 物 門 に 属 す る 全11種 の 生 息 環 境 。 Table1. A list of habitats of Loricifera . 19 No.32. 日本 ベ ン トス研 究 会 誌 May.1988. で あ る。 今 回 は 、 外 群 と し てPliciloricidaeに 属 す る別 の 属 参 考 文 献 (Rugiloricus)を 選 び 、 形 質 と して は 、Rugiloricusと 比 較 が 可 能 な10項 目を 用 い て 、 分 岐 図 を 作 成 し た 。 Higgins,R.P.and R.M.Kristensen,1986.
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