IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を MacOS 10.15 (Catalina) で使用する際の注意点

IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 から、MacOS 10.15(Catalina)は公式のサポート対象プラ ットフォームとなりました。しかしながら、Catalina のセキュリティが強化されているた め、以前のバージョンの MacOS では見られなかった追加の課題が生じる可能性が指摘され ています。 このドキュメントでは、MacOS Catalina のユーザが IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を正 常に使用できるようにする手順を説明します。以下、それぞれのケースに応じて、注意点を ご確認ください。

 MacOS10.14(Mojave)以前のバージョンで IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を使用して いて、MacOS10.15(Catalina)にアップグレードする場合

 MacOS10.15(Catalina)で新たに IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を使用する場合

 MacOS10.15(Catalina)でコマンドラインのみの IDL 8.7.3 を使用する場合

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1. MacOS10.14(Mojave)以前のバージョンで IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を使 用していて、MacOS10.15(Catalina)にアップグレードする場合

MacOS10.14(Mojave)以前のバージョンで IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を使用していて、 MacOS10.15(Catalina)にアップグレードする際に問題が発生している場合、この手順に従 ってください。

注:IDL または ENVI については、最新のリリースである IDL 8.7.3 または ENVI 5.5.3 にアップグレードすること

をお勧めします。IDL 8.7.2 または EMVI 5.5.2 より前のバージョンは Catalina と互換性がありません。

macOS 10.15 Catalina へのアップグレード中に、IDL または ENVI が Mac 用に最適化 されていないという図 1 のような警告が次のように表示される場合があります。

図 1:IDL または ENVI が Mac 用に最適化されていないという警告

ここで「Continue」を選択し、その後 MacOS が Catalina にアップグレードされた場合、 IDL または ENVI の使用に追加の手順が必要となります。 開発段階の社内テストでは、このアップグレードにより、X11 ビューアー XQuartz が破 損し、IDL または ENVI、あるいはその両方に必要なレガシーJava 6 SE ランタイムライブ ラリが削除されることがわかりました。これらの問題を解決する基本的な手順は「 XQuartz のインストール/再インストールについて」および「Legacy Java 6 SE Runtime のインス トールについて」です。以下に詳細を示します。

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1.1. XQuartz のインストール/再インストールについて Catalina にアップグレードされると、Desktop ディレクトリに Relocated Items という 名前のディレクトリ(ショートカット)が含まれます。 Catalina にアップグレードする前か ら XQuartz を使用していた場合は、この Relocated Items ディレクトリ内に XQuartz が隔 離された可能性があります。テストでは、これらのファイルの再配置が問題を引き起こすこ とはありませんでしたが、X11 ビューアーで問題が発生した場合は、XQuartz を再インス トールする必要があります。その場合は、次の手順に従ってください。

1. XQuartz のダウンロードサイト(https://www.xquartz.org/)に移動し、XQuartz 2.7.11 をインストールします。Catalina では、ダウンロードが制限されている場合があり、 その際には、ユーザ側でダウンロードを許可する必要があります。

図 2:XQuartz のインストール画面

2. 製品がダウンロードされたら、XQuartz-2.7.11.dmg ファイルを右クリックし、[Open With]を選択して、ディスクイメージのデフォルトインストーラーを選択します。これ により、XQuartz.pkg へのアクセスが提供されます。

図 3:XQuartz-2.7.11.dmg の pkg 取得

3. XQuartz.pkg ファイルを右クリックし、[Open With]を選択して、パッケージファイル のデフォルトインストーラーを選択します。これにより、XQuartz インストーラーが 開きます。

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図 4:XQuartz インストーラーを開く

4. XQuartz インストーラーのステップを実行し、使用許諾に同意します。 「Install Type」 のステップで、「Install」を選択します。インストールの許可を求めるプロンプトが表 示されますので、パスワードを入力します。

図 5:XQuartz のインストール

5. インストーラーがシステムの特定の部分にアクセスできるように求められますので、 許可します。「OK」を押下して XQuartz をデフォルトの X11 サーバに設定します。

図 6:特定のディレクトリに対するアクセス許可

6. インストールが成功したら、インストーラーを閉じます。 マシンを再起動することを お勧めします。

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1.2. Legacy Java 6 SE Runtime のインストールについて Java 6 は、IDL ワークベンチ、ENVI、ブリッジプロセス、およびいくつかの新しいグラ フィックルーチンで使用されます。現在このレガシーJava 6 の依存関係をなくすために取 り組んでいますが、現時点では、MacOS にこのバージョンの JavaSE ランタイムをインス トールする必要があります。

1.2.1 Jave6 インストール時の問題 現在、Java 6 は macOS 10.15 Catalina にインストールできません。これは、MacOS 10.15 (Catalina)では、システムに新しいバージョンの Java がすでにインストールされて いるためです。 OS のアップグレード時にレガシーJava ライブラリを再インストールしよ うとすると、インストールを制限するエラーが発生する場合があります。図 7 は、新しい バージョンのパッケージがすでにインストールされているため、ディスクに Java を配置で きないことを示す警告アイコンの例です。

図 7:レガシーJava ライブラリのインストールに関する警告

あるいは、IDL 8.7.3 または ENVI 5.5.3 をインストールし、 で IDL または ENVI アイコンをダブルクリックすると、次のようなエラーが表示されます。

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図 8:レガシーJave に依存した ENVI / IDL 起動時のエラー

ENVI / IDL を開くには、レガシーJava ライブラリをインストールする必要があります。 「More Info...」 をクリックして、Apple ダウンロードサイトにアクセスし、このレガシ ーJava 依存関係にアクセスしてください。

1.2.2 Jave6 インストール時の問題の回避策 以下へ、この問題の回避策を示します。方法としては、macOS 2017-001 の Java からイ ンストール制限を削除する AppleScript を作成します。 ※本回避策について、OS の設定変更に関わるため、ユーザ様での作業となり、弊社で変 更内容やシステム・他のアプリケーションへの影響については保証を致しかねますので、 予めご了承ください。

AppleScript を使用して、新しく変更された Java インストーラーパッケージファイル (JavaPackageforModifiedforCatalina.pkg)を作成します。このパッケージファイルを使用 することで、Java 6 のインストールが可能です。(注:この記事は、ユーザが Apple サポー トから OS X 2017-001 のレガシーJava をインストールしていることを前提としています)。

1. Script Editor を起動します。これは、Finder から Applications > Utilities > Script Editor を選択するか、Launchpad から探します。 2. 新しいドキュメントが自動的に開かない場合は、「New Document」を選択します。

図 9:Script Editor

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3. 以下のコードを Script Editor にペーストします。

set theDMG to choose file with prompt "Please select javaforosx.dmg:" of type {"dmg"}

do shell script "hdiutil mount " & quoted form of POSIX path of theDMG

do shell script "pkgutil --expand /Volumes/Java¥¥ for¥¥ macOS¥¥ 2017-001/JavaForOSX.pkg ~/tmp"

do shell script "hdiutil unmount /Volumes/Java¥¥ for¥¥ macOS¥¥ 2017-001/"

do shell script "sed -i '' 's/return false/return true/g' ~/tmp/Distribution"

do shell script "pkgutil --flatten ~/tmp ~/Desktop/ModifiedJava6Install.pkg"

do shell script "rm -rf ~/tmp"

display dialog "Modified ModifiedJava6Install.pkg saved on desktop" buttons {"Ok"}

4. メニューから[Script]> [Compile]を選択するか、[ハンマー]アイコンをクリックして、 上記の貼り付けられたコードがコンパイルされるようにします。コンパイルされると、 テキストの色が変更されます。

図 10:コンパイルの実施 5. メニューから[Script]> [Run]を選択するか、メニューバーの[右向き矢印]の実行アイコ ン を ク リ ッ ク し ま す 。 こ れ に よ り 、 JavaForOSX.dmg フ ァ イ ル を 選 択 し JavaForOSX.pkg ファイルを作成するよう求めるウィンドウが開きます。

6. このファイルの場所に移動します。以下の例では /Download 配下に JavaForOSX.dmg を選択し、「Choose」をクリックします。ModifiedJava6Install.pkg ファイルはデスク トップに自動的に保存されます。

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図 11:ModifiedJava6Install.pkg ファイルの作成

7. ModifiedJava6Install.pkg ファイルを右クリックし、「Open With」を選択してデフォ ルトのインストーラーで開きます。

8. インストーラーの手順を実行し、使用許諾に同意し、警告ののちインストール先ディス クを選択できるようになります。[Continue and install]をクリックします。途中、パ スワードの入力を求められます。インストールが成功したら、インストーラーを閉じま す。 これにより、レガシーJava を Catalina Mac OS デバイスに追加できるようにな り、最終的に ENVI / IDL を使用できるようになります。上記の手順を完了しても、再 起動は必要ありません。

注:問題が解決せず、ENVI / IDL にアクセスできない場合は、macOS 10.15 Catalina にアップグレードした後

に XQuartz 2.7.11 を再インストールする必要があります。再インストールしていな場合は、「1.1 XQuartz のイン

ストール/再インストールについて」を参考に、実施してください。

推奨されるワークフローは次のとおりです。

A.上記の方法でレガシーJava を再インストールします

B. XQuartz 2.7.11 を再インストールします

C.マシンを再起動します

D. ENVI / IDL へのアクセスの試みます

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図 12:レガシーJave のインストール

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2. MacOS10.15(Catalina)で新たに IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を使用する場 合

IDL 8.7.3 および ENVI 5.5.3 を MacOS10.15(Catalina)で新たに使用する場合、この手 順に従ってください。

2.1. XQuartz をインストールします XQuartz のインストール方法については、「XQuartz のインストール/再インストールに ついて」をご参照ください。

2.2. ENVI5.5.3 または IDL 8.7.3 をインストールします インストール方法については、インストールガイドの入手方法についてをご参照くださ い。

2.3. Legacy Java 6 SE Runtime のインストールを行います Legacy Java 6 SE Runtime のインストール方法については、「Legacy Java 6 SE Runtime のインストールについて」をご参照ください。

2.4. Harris License Administrator を使用して ENVI/IDL のライセンス認証/ライセンスサーバ への接続設定を行います 上記の手順が完了すると、/Applications/harris ディレクトリ内の LicenseAdministrator アプリケーションをダブルクリックできるようになります。LicenseAdministrator が Finder およびシステムイベントへのアクセスを必要とすることを示すポップアップが表示 されますので、[OK]をクリックします。

図 13:LicenseAdministrator のアクセスに関するポップアップ

Harris License Administrator が起動後は、インストールガイドの入手方法についての手 順に従ってライセンス認証、あるいは、ライセンスサーバへの接続設定を行ってください。 インストールガイドの取得は「 インストールガイドの入手方法について」を参照してくださ

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い。 3. MacOS10.15(Catalina)でコマンドラインのみの IDL 8.7.3 を使用する場合 MacOS10.15(Catalina)で IDL 8.7.3 をコマンドラインでのみ使用する場合、この手順に 従ってください。これは、MacOS で IDL を使用するときに通常シェル、ターミナル、また はコマンドライン内で作業するユーザを対象としています。(注:ユーザが IDL ワークベン チ(idlde)を使用しない場合、レガシーJava 6 をインストールする必要はありません。)

3.1. XQuartz をインストールします XQuartz のインストール方法については、「XQuartz のインストール/再インストールに ついて」をご参照ください。

3.2. ENVI5.5.3 または IDL 8.7.3 をインストールします インストール方法については、インストールガイドの入手方法についてをご参照くださ い。

3.3. Harris License Administrator を使用して ENVI/IDL のライセンス認証/ライセンスサーバ への接続設定を行います 上記の手順が完了すると、/Applications/harris ディレクトリ内の LicenseAdministrator アプリケーションをダブルクリックできるようになります。LicenseAdministrator が Finder およびシステムイベントへのアクセスを必要とすることを示すポップアップが表示 されますので、[OK]をクリックします。

図 14:LicenseAdministrator のアクセスに関するポップアップ

Harris License Administrator が起動後は、インストールガイドの入手方法についての手 順に従ってライセンス認証、あるいは、ライセンスサーバへの接続設定を行ってください。 インストールガイドの取得は「インストールガイドの入手方法について」を参照してくださ い。

注:GUI がない環境でのライセンス認証/ライセンスサーバへの接続手順についても、インストールガイドの入手方法に

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ついてをご参照ください。

インストールガイドの入手方法について ENVI/IDL の最新のインストールガイドは、弊社ホームページより入手可能です。 以下のリンクから入手するか、難しい場合には以下のお問い合わせ先までご連絡ください。

弊社ホームページ(https://www.harrisgeospatial.co.jp/) → ナビゲーションバーにある 技術情報 → 技術資料(日本語) → 「ENVI5.5 日本語ドキュメントのダウンロード」または「IDL8.7 日本語ドキュメン トのダウンロード」 → 「IDL8.7/ENVI5.5 インストールガイド」

お問い合わせ Harris Geospatial 株式会社 技術サポート 03-6801-6147(東京) 06-6441-0019(大阪) [email protected]

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