CONTENTS 九谷ジズファンクラブ(KJFC)会報 GROOVY VOL.41 公式ホームページ : http://www.kjfc.info 2007.2.16

CONTENTS 〔KJFC 30周年記念ライブレポート〕 特集:30周年記念ライブレポートY.S. 1 『遠藤律子日誌』 2

H.S. 3 紅 我蘭堂 4 〔JAPAN JUNCTION〕 DISK 紅 我蘭堂 6 2006年上半期HMVジャズCD売り上げランキングの考察 高木 信哉7 〔連載〕 カドやんのジャズ教室 Vol.26 門倉 洸太郎10 気まぐれジャズマン第21回 水戸守敬一郎11 3 ハービー・ハンコック研究・第8回 高木 信哉 12 6 SOUL TLAIN Vol.3 M.T. 17 7 MEMBER'S ROOM 第5回 18 8 9 RED GARLANDの魅力について 第24回 紅 我蘭堂 20 例会レポート 23 10 紅 我蘭堂 H.S. 11 12 M.T. 他 13 16 表紙及び本文中イラスト制作・・・・・水戸守敬一郎 17 ※無断転載はかたくお断りいたします。 18 印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話03-3941-4508 21 22 24

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表紙及び本文中イラスト制作(各ロゴマークを除く)……水戸守敬一郎 ※無断転載はかたくお断りいたします。 本誌印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話03-3941-4508

このPDF版GROOVY-40号は、印刷物として発行したものを基に新たにレイアウトしています。 したがって、印刷物とは一部異なる部分があります。 KJFC30周年記念ライブ開催! 「KJFC 30周年記念LIVEを終えて」 Y.S.

遠藤律子さんがマイクに向い、いつものような軽 り、またご一緒に海水浴に行ったり、水戸・笠間のツ 妙なMCが終わり、いよいよ演奏がスタートしまし アーに同行したりと、私の中では一番身近な演奏家に た。今回は律子さんの演奏が間近で見られるよう、カ なりました。 ウンターの端のピアノに一番近い椅子に座っての鑑賞 そして1998年のKJFCの活動再スタートを記 です。最初の曲は「枯葉」。私がスタンダード・ナン 念する「JANOME」でのKJFC主催のライブに、出演を バーで一番好きな曲です。まだライブがスタートした お願いする事になりました。(詳細は会報Vol.39参 ばかりなのに、やっと念願のライブが出来たという感 照) 激がこみ上げて来ました。 昨年KJFCでは30周年の記念に向けて、何かイベ 律子さんとのお付き合いは、かれこれ10数年前 ントをやろうという話が持ち上がりました。私の中で 北千住のライブハウス「遊来区」のライブが始まりでし は既に構想が出来上がっていました。それは、律子さ た。当時は日本の演奏家のライブにはほとんど行った んにトリオ編成でハード・バップを中心に演奏して頂 事がなかったのですが、たまたまそのライブで初めて こうというものです。 律子さんの演奏を聴き、人柄も含めすっかりファンに 律子さんのライブには数多く行っていますが、最 なってしましました。 近はFRVの編成が多く、ピアノトリオでじっくりスタ それから「遊来区」や私の地元のライブハウス「JAN ンダード・ジャズを堪能する機会があまりありません OME」の定期的なライブには、欠かさず行くようにな でした。さっそくKJFCのメンバーに企画提案をする と了承されたので、準備にとりかかりました。 きなピアニストが間近で演奏している事に鳥肌がたつ 今年の4月にある酒宴の席で、律子さんにこのラ 思いでした。この様な幸せはなかなか味わえるもので イブの企画を説明し、出演のお願いをしたところ快諾 はありません。 され、さらに「リクエストがあれば早めに連絡して欲 第1部が5曲、第2部が7曲にエンディングの「C しい。今から練習しますから。」との事でした。この JAM BLUES」と、全13曲(そのうちリクエスト とても嬉しい言葉に、ライブの成功を確信しました。 が8曲も入っていました)、あの全身から溢れてくる そして会員の渋谷氏の協力も得て日程・会場も決ま パワフルでファンキーな演奏に酔いしれた、あっとい り、7月には会員から募った計14曲のリクエストの う間の3時間でした。 メールをうつ運びとなりました。 遠藤律子さん・山口彰さん・稲垣貴庸さん、素晴 「枯葉」「SOMETIME AGO」に続き、3曲目は私 らしい演奏本当にありがとうございました。そして渋 のリクエストの「WHO CAN I TURN TO」でした。 谷氏を含め今回のライブを支えてくださった会員の皆 この曲はビル・エバンスやピム・ヤコブスが演奏 様に、感謝の気持ちでいっぱいです。 している、最近のお気に入りの曲です。その曲を大好

『遠藤律子日誌』

9月10日 12時過ぎに、横浜DOLPHY着。九 は、浅草の 谷ジャズファンクラブ30周年記念ライブ。山口彰 じゃのめ b、稲垣貴庸drs。お弁当を頂いて、楽器セット、軽く で、大友義 音出しバランスのみ確かめる。 雄、細野義 14時から、ライブスタート。 彦他のバン 兜町に、九谷という名の喫茶店があって、そこに ドで出演さ 集ったジャズファンの皆様が結成したKJFC、月に2 せて下さっ 回の会合では、LPやCD等音源を持ち寄って鑑賞とお た。あれか 話で盛り上がる。 らもう10 続いて続いて今年で30年。20周年記念の時に 年、感慨ひ としお。 今日は、皆 さんからあ らかじめ頂い たリクエスト 曲を中心に、 ピアノトリオ でbe-bopを演 遠藤律子さん 奏しようという趣向だ。

新鮮な曲に演奏しながら気合いが入って、とても 楽しい時間となった。山口彰のウッドの豊かな音、稲 垣貴庸のストーリーのあるドラムソロ。素晴らしきK JFCメンバーリスナーの皆さんからのあたたかい拍

山口彰さん J.J.J. 手、熱いかけ声に、バンドも熱気を帯びて、宴たけな シャン、名アルバム、1950、60、70年代の わ。これぞライブの醍醐味だ。 話、ジャズ喫茶の事など、話題はつきない。美味しい 私が最初に発売したLP盤を持っておいで下さったお お料理とビールで天に登った気分。有難いことだ。酒 客様、嬉しい驚きだ。 井さん、渋谷さん、メンバーの皆々様、本当に有難う KJFCの会報誌にハービー=ハンコック研究を掲載 ございます。KJFCの益々の御発展をお祈りしてお別 しているジャズ評論家、高木信哉さんがいらして下 れした。 さって、久しぶりで嬉しくお迎えする。 ジャズを愛して、仲間を大事にする、素敵な素敵な 西田さん、南部御夫妻、蠣崎さん、従姉の美和子さ 大人の皆さんでした。 ん、有難うございます。 (遠藤律子オフィシャルウェブサイトより、ご本人 ライブ後、中華料理屋さんに場所を移して打ち上 の許可を得て転記) げ。ジャズの話、ジャズメンの話、好きなミュージ http://www.endoritsuco.com/top.cgi

遠藤 律子トリオを迎えて H.S.

KJFC第12回ライブが3年ぶり、9月10日横 * ファーストセット 浜のライブスポット「ドルフィー」で開催された。今回 1、「枯葉」 はKJFC30周年の節目のライブと言う事もあり殆 季節感を取り入れた選曲、好きなピアニスト んどの会員が万難を排して集い、加えて律子さんの 稲垣貴庸さん ファンの方々も多数参加して頂き、アットホームな雰 ウィント 囲気の中、大いに盛り上がったライブだった。 これ ン・ケリー ほど会員各位がリラックスしてライブを堪能したの に敬意を表 も、過ってなかった様に思われる。遠藤律子さんと言 するよう えばライブスポットでもジャズフェスティバルでもF に、格調高 RVが定番、でも'87年の初リーダーアルバム「ラ い律子さん ブ・レター」(オーディオラボ / クラウン)以来のファ のピアニズ ンの一人として、常々しなやかでジャズスピリットを ムが新鮮。 感じさせる、唄伴にも絶妙なテイストのある律子さん 2、「サ のピアノに傾注していた。この度、記念ライブの企画 ムタイム に上がった時、一も二もなくハードバップのコンセプ アゴー」 トをピアノトリオで演奏してほしいと念願していた。 ア 今回、実質的なプロデューサーであるY.S.氏と ルゼンチン ピッタリと意見が一致し、以降の交渉が実にスムース の歌手兼作 に運んだ。メンバーはピアノ遠藤律子、ベースは不動 曲家のセル の山口彰、そしてドラムスはシャープス&フラッツの ジオ・ミハ レギュラー、気鋭の稲垣貴庸と言うベストメンバー。 ノヴィッチ 当日の演奏曲目に関して、Y.S.氏の提案で我々の の作曲に依 リクエストも一部(と言うより殆んど)取り上げて頂く るバラードナンバー。アート・ファーマー、ジャッ 事になった。一瞬、曲目が著名なものに偏るのではな ク・ウイルソンのいい演奏がある。遠藤律子トリオは いかと危惧されたが、流石にジャズ歴30年以上の猛 バラード、ミデアム、ファストと三段階にテンポを変 者が集っているKJFC、そうした懸念は払拭され渋 化させ曲のラブリーな魅力の多くを引き出して秀逸。 めのスタンダードが揃い、理想的な展開となった。 3、「フー キャン アイ ターン トゥ」 では、当日の演奏曲目について紹介したいと思う。 イギリスの名コンビと言われた、アンソ ニー・ニューリーとレスリー・ブリッカスが1964

5 年のミュージカルで発表したナンバー。トニー・ベ も賞賛に値する。 ネットがヒットさせ、ビル・エバンス、日本では森本 5、「タイム フォー ラブ」 洋子の名演がある。歌詞を慈しむ前半から序々にイン "いそしぎ"で著名なジョニー・マンデルの傑 プロバイズさせて、高揚感ある展開が良い。 作。聴き手の琴線に触れる繊細なピアノ表現が素晴ら 4、「アイブ ネバー ビーン イン ラブ ビ しい。 フォアー」 6、「キャラバン」 フランク・レッサー作曲。メロディアスで 実に良い曲である。山本剛、ギタリスト菅野義孝の演 奏に引かれている。遠藤律子トリオの一体感溢れた"T HE TRIO"と称したくなるプレイ、改めてこの曲に惚 れこんだ。 5、「ザ マン アイ ラブ」 言わずと知れたアイラとジョージのガー シュ ウィン兄弟のナンバー。リズミックな前半か らフォービートに転調、トリオの燃焼度も最高度に達 する。後半フィーチュアーされる稲垣の溌剌としたド ラミングの心地よさ。

* セカンドセット 1、「ウイスパー ノット」 これもケリーに因んだ選曲。陰影に富んだ エリントンとファン・ティゾ-ルの共作。 律子 さんのピアノ、山口彰のベースも魅力的。 遠藤律子トリオのエンディングナンバー。エリントン 2、「ザ ボーイ ネキスト ドア」 に敬意を表するようにトリオの躍動感あふれた力演で ヴィンセント・ユーマンス作曲。ビル・エ 締め括った。 バンスも取り上げている、スタンダードナンバー。 7、「セント トーマス」 3、「ロング アゴー アンド ファラ アウエ 遠藤律子トリオと聴衆が一体となる演奏展 イ」 開によって大いに盛り上がった、当日のアンコールナ チャーミングなイントロのピアノから軽快でメロ ンバー。 ディアスなジェローム・カーン作曲による1944年 の映画主題歌。アート・ペッパーのオメガセッション 思えば1998年のKJFC再開記念ライブから が印象に残る。律子さんは歌詞をイメージしながら極 8年ぶりに遠藤律子さんをお迎えした本セッション。 めてリラックスした快演に終始している。 思った通り、その間の極めて多岐に渡る活動が自身の 4、「インビテーション」 ピアノにリズムとパワーが独自に育まれており、その ポーランドのブロニスラウ・ケイパーの作。 魅力を十分に感じ楽しむ事が出来た。正に、遠藤律子 ジャズメンが好んで取り上げるナンバー。起伏に富ん トリオは今が旬であると実感した。近い将来アルバム だピアノのアドリブ、イマジネイティブなドラミング として是非定着して欲しいものである。

素晴らしい記念ライブ、ありがとうございました。 紅 我蘭堂

KJFCが主催した遠藤さんのライブは、これで 藤節雄(ドラムス)クインテットプラス谷 由起子 2回目です。Y.S.氏のレポートにもありましたよ (ヴォーカル)という身の程知らずというか、もったい うに、前回は1998年10月に浅草『JANOME』 ない豪華なメンバーでした。その際律子さんから、 で行われた「KJFC活動再開記念ライブ」。大友義雄 「演奏中の掛け声は遠慮してね」というお願いがあった (アルト)、細野義彦(ギター)、酒井一郎(ベース)、佐 にもかかわらず、素晴らしい演奏に思わず「YEA H! YEAH!」を連発してしまったし、陶酔の境 した。 地から泥酔の天国へ駆け登ったことも記憶にありま また30周年記念ということで、今回のライブは す。それ以来はや8年の時が経ち、順調に例会も会を KJFC会員とごく親しい方、また律子さんのご関係 重ね、会員も少しずつ増え、30周年を迎えることが出 の方だけという少人数でゆったりと聴けたことも良 来て、節目となる記念ライブの出演が、またもや律子 かったと思います。採算を度外視して設定してくれた さん。何だか運命的なものを感じます。 幹事のY.S.さんと渋谷さんにあらためて感謝する 律子さんとKJFCとのお付き合いは、もちろん とともに、快く会場を提供してくださった『ドル Y.S.氏や渋谷秀夫氏が築き上げてくれた良好なコ フィー』のマスター、ツネさんにも感謝いたします。 ミュニケーションですが、忘れてはならないのは高木 たくさんある後日談から、ふたつ。 信哉氏が、このGROOVYに連載してくださってい 某会員は、このライブですっかり律子さんに魅了 る『ハービー・ハンコック研究』で楽曲解説を律子さん され、以来律子さんのCDを買いまくるわ、ライブに がしてくださっているという事です。ありがたいこと 出かけて握手してもらうわ、CDにサインしてもらう ですし、様々なご縁を感じます。 わと立派な"おっかけマン"になりました。 また律子さんが今回のライブで、事前に会員から またもうひとりの某会員は、律子さんの入手困難 リクエストを取ってくださったということも、通常で であった初リーダー・アルバム「ラブレター」を探し求 はありえないことで、いかに律子さんが私たちを大事 めて都内の中古レコード屋をしらみつぶしに探し回 に考えてくださっているかが分かりましたし、不慣れ り、とうとう都下近郊のジャズ専門店と言えないレ な曲については猛練習をしているということを事前に コード屋で発見して買い求めました。その執念や、恐 聞きましたので、感激しました。何という贅沢! 何 るべし。先日その某会員をなだめすかし、おだて上げ という光栄! ジャズ・ファン冥利につきるとはこの て、拝み倒し聴かせてもらいました。次ページの 事です。そして、当日ひたむきに演奏している姿と、 「ディスク」欄で思いっきり「ヨイショ」させていただき 曲と曲の合間での楽しいおしゃべり。 ます。 律子さんの熱意が充分に伝わりました。 私のリクエスト曲「INVITATION」を採用していただ ともあれ、今回の記念ライブの成功は、KJFC いて、イントロが始まった時は思わずうれしくて席か の伝説に新たな1ページが加わったと言わずして、ど ら立ち上がってしまいました。 う言えばいい? 山口さんも稲垣さんも、熱演ありがとうございま J.J.J.

D I S K 紅 我蘭堂

LOVE LETTERS/遠藤律子(AUDIO LAB.RECORD PLW-202) 遠藤律子(p) 山口 彰(b)田中ヒロシ(ds) 1987年3月27日録音 SideA 1.アントニオの歌 2.ALL THE THINGS YOU ARE 3.THE LOOK OF LOVE 4.SOMEBODY LOVES ME 5.オ・モロ SideB 1.LOVE LETTERS 2.YOU MAKE ME FEEL BAND NEW 3.おいしい水(AQ UA DE BEBER)4.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO 5.IF 6.TO SAY GOOD-BY

遠藤律子さんの初リーダー・アルバム。初リーダーとい 語が得意で歌詞を解釈しなが うことで気負いもあったでしょうが、ごく自然体に近いプレ ら演奏するという律子さん。 イです。現在でも遠藤さんが好まれているボサノヴァをうま なるほどラブレターをもらっ く取り入れています。その中でも、やはり基本となるウイン た女性は、こう舞い上がるように飛び跳ねてしまうのかなと トン・ケリーに良く似た歯切れの良いタッチも快いです。 感心しました。こうみえて、私も若い頃ディスコに通ったこ 選曲もバート・バカラックやスタイリスティックスなど とがあります。B-2は懐かしいスタイリスティックスのバ の曲も収録され、律子さんと同年代の私は思わずニンマリし ラード。よくチークタイムに掛かっていました。そんな思い てしまいました。 出はさておき、常々誰かジャズメンが演奏してくれないかな A-1は魅惑的なメロディーの曲ですが、後半は盛り上げ、 あ、と思っていました。律子さんはこの名曲を淡々と唄いあ また静かにエンディングするというドラマティックな演出が げています。B-3はおなじみのボサノヴァ曲ですが、律子さ 見事です。A-2では、左手が単にコード(和音)を押えるだけ んはスピードを上げて疾走しています。まるでマラソンラン でなく、右手が奏でる旋律にからむ“第2旋律”ともいえるメ ナーが給水するときに飲む水が一番おいしく感じられるよう ロディーを繰り出し、その綾取りのような繊細なタッチが名 に。B-4はいきなり『家路』のメロディーが出てきたので、ど 曲を更に美しく仕立て上げています。A-3はセルジオ・メン うなるかと心配しましたが、これも力強い部分と繊細な部分 デスとブラジル‘66でヒットした曲。前半はゆったりと唄い を織り交ぜて見事な演奏です。B-5もポピュラー・ソングと 上げ、後半一気に疾走していく盛り上げ方がうまい。A-4は いえばそうなのですが、律子さんは軽やかに、そして楽しげ キュートなイントロから、山口 彰のベースに導かれるよう にプレイしています。エンディングを飾るB-6はスロー・バ に軽やかな旋律の舞を披露してくれています。A-5は田中ヒ ラード。律子さんは情感を込めてピアノを弾きます。それこ ロシのズンドコリズムに煽られるように、律子さんが飛び跳 そ一音一音に愛情が詰まっています。本当はLPが希望です ねます。影響を受けたと言うケリーの姿が垣間見えます。B- が、この見事なレコードの、CDでもいいから再発を切に望 1のタイトル曲は、珍しくラテンリズムで進行しますが、英 みます。

SPIRITS/宮之上貴昭(SFC RECORD SFC-103) 宮之上貴昭(g)、滝本 博之(p)、稲垣 護(b)、太田耕平(ds)2005年12月6日7日録音 1.FUNK IN DEEP FREEZE 2.TWO BASS HIT 3.SUGAR RAY 4.YOU GO TO MY HEAD 5.EQUANIMITY 6.ON GREEN DOLPHIN STREET 7.WIVES & LOVERS 8.HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON? 9.MAKE ME DRE AM MAKE ME ROAM

リーダー・アルバムとしては恐らく4年ぶりとなる宮之 えです。ウェス・モンゴメリー直伝という下地の上に、さら 上さんの新譜。2002年7月に発売された『LIVE AT KIT に磨きあげられたグルーヴ感が表現されています。そして全 TY KITTY BROWN』(KRS レコード、稲垣 譲との 演奏に流れている、そのグルーブ感の上にオクターブ奏法は デュオ)以来となります。もっともこの間2004年にはDVD もちろんのこと、独特のアドリブフレーズを基にしたテク がでているが、随分と待たされたような気がします。また2 ニックが散りばめられて、素晴らしい出来映えになっていま 005年11月20日に「映画館」で行なわれた伊藤 潮さんと す。でもミヤさんはきっと、まだまだ満足していないのだろ のデュオ・ライブもあっただけに本当に待望久しかったで うなぁ。次回作はさらに数年待たなければいけないかもしれ す。 ないが、よりゴキゲンなものになっているのだろうな。ファ 理由は分かる気がします。常に進化を求めてきたギター ンとしては、この寡作のジャ マンなので、納得できないものは発表したくなかったので ズ野郎に、せめて1年に1作の しょう。『映画館』でのライブの際、入店した宮之上さんを迎 アルバムを発表し続けてもら えるために過去のレコードを掛けていたところ、「すぐ止め いたいのですが。余談です てほしい。自分の昔の演奏は聴きたくない」と断固として言 が、このアルバムは昨年発売 われていたのが印象に残っています。つまり、過去にこだわ された日本人ジャズCDの中 らずに常に進化していこうという姿勢を持たれていると感銘 で、私が聴いた範囲という条 しました。 件付ですが、一番優れていま さて期待が大きかった本アルバムですが、期待にたがわ す。 ない内容で最初からミヤ節炸裂!といったゴキゲンな出来映

8 2006年 HMVジャズCD売り上げランキングの考察 解説:高木信哉 <総合ランキング> 1. メセニー・メルドー/ パット・メセニー&ブラッド・メルドー(輸入盤) 2.10cD Wallet Box/ マイルス・デイビス(輸入盤) 3. リトル・ウイリーズ/リトル・ウイリーズ(輸入盤) 4. X/フォア・プレイ(輸入盤) 5.10cD Wallet Box/ チャーリー・パーカー(輸入盤) 6. ユアーズ/サラ・ガザレク(輸入盤) 7.キャッチング・テイルズ/ジェイミー・カラム(輸入盤) 8. オーバーシーズ/トミー・フラナガン(輸入盤) 9. フローム・ジス・モーメント・オン/ダイアナ・クラール(輸入盤) 10.ラッハ・ドッホ・マール/山中千尋(国内盤) 11.ワルツ・フォー・デビー/ビル・エバンス(輸入盤) 12.ソフィー・ミルマン/ソフィー・ミルマン(輸入盤) 13.デイ・イズ・ダン/ブラッド・メルドー(輸入盤) 14.アンダー・カレント/ビル・エバンス(輸入盤) 15.ノラ・ジョーンズ(輸入盤) 16.カインド・オブ・ブルー/マイルス・デイビス(輸入盤) 17.スパイラル/上原ひろみ(輸入盤) 18.カーネギー・ホール・コンサート/キース・ジャレット(輸入盤) 19.フォアキャスト:トゥモロウ/ウエザー・リポート(輸入盤) 20.ジャンゴロジー/ジャンゴ・ラインハルト(輸入盤) 21.ギブン・イット・アップ/ジョージ・ベンソン&アル・ジャロウ(輸入盤) 22.ライブ・アット・トニック/クリスチャン・マクブライド(輸入盤) 23.スタンダード・ライブ/ウイントン・マルサリス(輸入盤) 24.デュエッツ/トニー・ベネット(輸入盤) 25.ハウス・オン・ヒル/ブラッド・メルドー(輸入盤)

<新譜ランキング・海外アーティスト> 1.メセニー・メルドー/ パット・メセニー&ブラッド・メルドー(輸入盤) 2.リトル・ウイリーズ/リトル・ウイリーズ(輸入盤) 3.X/フォア・プレイ(輸入盤) 4.ユアーズ/サラ・ガザレク(輸入盤) 5.キャッチング・テイルズ/ジェイミー・カラム(輸入盤) 6.フローム・ジス・モーメント・オン/ダイアナ・クラール(輸入盤) 7.ソフィー・ミルマン/ソフィー・ミルマン(輸入盤) 8.カーネギー・ホール・コンサート/キース・ジャレット(輸入盤) 9.フォアキャスト:トゥモロウ/ウエザー・リポート(輸入盤) 10.ギブン・イット・アップ/ジョージ・ベンソン&アル・ジャロウ(輸入盤) 11.ライブ・アット・トニック/クリスチャン・マクブライド(輸入盤) 12.デュエッツ/トニー・ベネット(輸入盤) 13.ハウス・オン・ヒル/ブラッド・メルドー(輸入盤) 14.インダストリアル・ゼン/ジョン・マクラフリン(輸入盤) 15.スーパー・トリオ/ チック・コリア/スティーブ・ガッド/クリスチャン・マクブライド(国内盤) 16.ハーフ・ザ・パーフェクト/マデリン・ペルー(輸入盤) 17.ライブ・イン・パリ/エンリコ・ピエラヌンツィ(輸入盤) 18.アウト・ラウダー/メデスキ、マーティン&ウッド/ジョン・スコフィールド(輸入盤) 19.チュースディ・ワンダーランド/E.S.T.(輸入盤) 20.スモーク・アンド・ミラーズ/リー・リトナー(輸入盤) 21.ホワット・ラブ・イズ/エリン・ボーエム(輸入盤) 22.セラー・ドア・セッションズ/マイルス・デイビス(輸入盤) 23.サンダーバード/カサンドラ・ウィルソン(輸入盤) 24.ライブ・アット・クラブ・モザンビーク/グラント・グリーン(輸入盤) 25.フィーリング・グッド/ジョー・サンプル&ランディ・クロフォード(輸入盤) <新譜ランキング・国内アーティスト> 1.ラッハ・ドッホ・マール/山中千尋(国内盤) 2.トゥルース:20th Anniversary/ T-square(国内盤) 3.スマイリン/noon(国内盤) 4.コラージュ/ akiko(国内盤) 5.ミュージック・プライド/フライド・プライド(国内盤) 6.以心伝心/ピラピッド(国内盤) 7.司/本田雅人(国内盤)

<10cD Wallet Boxランキング> 1.10cD Wallet Box/ マイルス・デイビス(輸入盤) 2. 10cD Wallet Box/ チャーリー・パーカー(輸入盤) 3.ジャンゴロジー/ジャンゴ・ラインハルト(輸入盤) 4.ビッグ・バンド10cD Wallet Box(輸入盤) 5.10cD Wallet Box/ グレン・ミラー(輸入盤) 6.ピアノ・マスターズ・ジャズ(輸入盤) 7.10cD Wallet Box/ エラ・フィツジェラルド(輸入盤) 8.10cD Wallet Box/ フランク・シナトラ(輸入盤) 9.10cD Wallet Box/ ベニー・グッドマン(輸入盤) 10.10cD Wallet Box/ ビリー・ホリディ(輸入盤)

<旧譜ランキング・海外アーティスト> 1.オーバーシーズ/トミー・フラナガン(輸入盤) 2.ワルツ・フォー・デビー/ビル・エバンス(輸入盤) 3.デイ・イズ・ダン/ブラッド・メルドー(輸入盤) 4.アンダー・カレント/ビル・エバンス(輸入盤) 5.ノラ・ジョーンズ(輸入盤) 6.カインド・オブ・ブルー/マイルス・デイビス(輸入盤) 7.スタンダード・ライブ/ウイントン・マルサリス(輸入盤) 8.ブレイム・イット・オン・ザ・ボサ・ノバ/イーディ・ゴーメ(輸入盤) 9.ボサ・ノバ/キャノンボール・アダレイ(輸入盤) 10.フィールズ・ライク・ホーム/ノラ・ジョーンズ(輸入盤) 11.スペイン/ ミシェル・カミロ/トマティート(輸入盤) 12.ナイト・ライツ/ジュリー・マリガン(輸入盤) 13.コンプリート・ライブ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード1961/ビル・エバンス(輸入盤) 14.ポッシビリティーズ/ハービー・ハンコック(輸入盤) 15.スルー・フォー・オール/テオ・サンダース(輸入盤) 16.ライブ・イン・パリ/ダイアナ・クラール(輸入盤) 17.サクソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズ(輸入盤) 18.アフィニティ/ビル・エバンス(輸入盤) 19.スティル・ライフ/パット・メセニー(輸入盤) 20.アガルタ/マイルス・デイビス(輸入盤) <旧譜ランキング・国内アーティスト> 1. スパイラル/上原ひろみ(輸入盤) 2. マイ・フェイリー・テイル/noon(国内盤)

<考察> る額だ。私もマイルスを買ってみたが、録音DATA HMVから2006年上半期のジャズCD売り上げ のないこと以外は不満がない。これなら国内得意の1, ランキング(100位まで発表)が発表された。1位 500円安価シリーズも歯が立たないであろう。別表の は、パット・メセニーとブラッド・メルドーのデュオ 10cD Wallet Boxのランキングを参考にして頂きた 作品『メセニー・メルドー』だった。今年のメルドーの い。 活躍は、目を瞠るものがあった。2005年11月に発売さ さて3位は、『リトル・ウイリーズ』である。これ れた『デイ・イズ・ダン』からわずか8ヶ月後にトリ は、ノラ・ジョーンズが参加しているので、結局ノラ オ・アルバム『ハウス・オン・ヒル』をリリース。9月1 のファンが買っている。ノラ・ジョーンズの根強い人 6日に東京のオペラ・シティ・ホールで行われたコン 気には驚かされるが、今年もまだ彼女の作品がトップ サートでは、アンコールを5回した。またクラシック 30(15位と30位)に残っている。4位は、フォア・プ のルネ・フラミングとのデュオ作品『ラブ・サブライ レイの新作『X』である。フォア・プレイには、人気者 ム』を発表し、更にはパット・メセニーとの『メセ のギタリスト、ラリー・カールトンとベーシストのネ ニー・メルドー』を発表。今後もメルドーの快進撃は イザン・イーストが居るので、根強い。BLUENOTE 続くであろう。2位は、マイルス・デイビスの『10c 東京公演もいつも満席だ。ボーカルは、優れた新人女 D Wallet Box』である。5位は、チャーリー・パー 性シンガーが颯爽と登場した。6位のサラ・ガザレク カーの『10cD Wallet Box』である。この2作で、2006 と12位のソフィー・ミルマンには、ぜひ注目して頂き 年の輸入盤市場で、異変が起きていることを感じる。 たい。ベテラン勢では、21位のジョージ・ベンソンと マイルス・デイビスの『10cD Wallet Box』は、ドイ アル・ジャロウの『ギブン・イット・アップ』と24位の ツのDocumentsレーベルから輸入され、国内では1月 トニー・ベネットの『デュエッツ』が良かった。 30日に発売された。10枚組で、なんと1,550円で 日本人アーティストは、相変わらず売り上げが悪 ある!収録曲は、1956年以前(著作権の切れたも く、ベスト100の中に新譜で7枚、旧譜で2枚しか の)の代表作20枚からセレクトされているが、驚い 入っていない。10位の山中千尋の『ラッハ・ドッホ・ たことに8枚分は全曲が揃っている。解説文や録音D マール』は、発売日(9月13日発売)を考えると大健闘で ATAはついてないが、十分調べられる。音質は、まっ ある。人気の上原ひろみは、今年は新譜がなかった。 たく問題なく結構いい音で聞ける。これで1枚あたり その代わり旧作『スパイラル』が17位と人気をキープし 155円なので、口コミで噂が流れ自然と火がついて売 ている。来年は新作も発表されることになっているの れ始めた。さらに驚いたのは、マイルスだけでなく で、上位に食い込むことだろう。結局、日本人アー チャーリー・パーカー、グレン・ミラー、ベニー・ ティストで毎年売れているのは、上原ひろみ、山中千 グッドマン、フランク・シナトラ、 エラ・フィツ 尋、noon、akikoの4人しかいない。 ジェラルド、 ビリー・ホリディなど豊富なライン 海外アーティストの旧譜を見ると、不動の名盤が ナップが揃えられていることだ。これは実に有り難 ずらっと並んでいる。日本のレコード会社も生き残り い!例えばチャーリー・パーカーを聞いてみたいが、 を賭けて、BLUENOTEの「1,500円 当たり外れもありそうだし、録音状態 シリーズ」を発売し好評を博した にもバラつきがありそう、でもチャン が、最近ではとうとう「1,000円シ スがあれば聞いてみたいという潜在 リーズ」まで発売し始めた。低価 ユーザーの購買意欲に火をつけたの 格戦争も益々激化している。 だ。なんせ1,550円である。失敗しても いいと思え カドやんのジャズ教室 Vol.25

門倉洸太郎

BUT NOT FOR ME ぼくには縁の無いこと

Their're writing songs of love but not for me 恋の歌は多いけど、ぼくには縁の無い事 A lucky star above but not for me 頭上に幸せの星が、でもぼくには縁のないこと With love to lead the way, 愛に導かれて進む道 I found more clouds of gray でもぼくには灰色の雲がさえぎり Than any Russian play could guarantee ロシアの悲劇よりもっと悲しい定め I was a fool to tall and get that way つらい定めを行く愚かな自分 I hoe a lass and also lack a day 彼女といさかいし 日も過ぎた Although I can't dismiss でも彼女を忘れることはできない The memory of her kiss あの娘のキスの味 I guess she's not for me でもあの娘は本気じゃなかった I was a fool to fall and get that way つらい定めを行く愚かな自分 I hoe a lass and also lack of day 彼女といさかいし 日も過ぎた Although I can't dismiss でも彼女を忘れることはできない The memory of her kiss あの娘のキスの味 I guess she's not for me でもあの娘は本気じゃなかった

ジョージ・ガーシュインとアイラ・ガーシュインが1930年に発 表した曲。ミュージカル『GIRL CRAZY』の中の一曲で当時フレッ ド・アスティアとよく映画で共演した金髪美人女優ジンジャー・ ロジャースが唄った。その後大勢の歌手に歌われている名曲。 気まぐれジャズマン 第20回 水戸守敬一郎 〈ジャズもアートも女性にはかなわないか?〉

今、私のリスニングルームに女性の作家のアートが7点ある。版画が主にしめているが、気になる作品を集 めたものだ。(ちなみに男性は4点) 「あーっ。あいつの作品、もう一度、観たいな」と思うような時があるので、じゃあ買っておこうということ になる。すると作品を買ったりする楽しさもわかってきた。

二十代の頃知り合った、ムサ美、タマ美、芸大大学院だなんていう人たちが、今は一人、二人、年賀状を やりとりするくらいで、ほとんどつき合いがない。僕が美大で学んでいないから、友人がいないのかも知れな いが、頭のいい人たちは絵をやめてしまったようだ。 芸術じゃ、もうからないのだ。 ジャズの世界も同じじゃないかな。 よっぽどの信念がなければ続けていられないよ。 美大、音大の同窓会ほど、なさけないものはないんじゃないか?

今、仲間も若い女性の方が多い。ある時なんて、グループ展で、男子は僕一人だけという時さえあった。

学校出て、バイトしながら絵を描いて、ナントカ賞を取って、個展して、結局結婚して、ダンナにかせがせ て、これが今の女性の作家の生き方か? 主婦でもいるんです。ダンナにかせがせて自分は、何とか会の会員になっちゃっていそがしく、作家ですと 名乗って、そのくせ、目はこえてくるので、人の作品をえらそうに平気で批評している女性が。 男性ときたら、やれ経営戦略だビジネスチャンスだとセコイことばかり考えていて、ろくなセンスを持って いない作家ばかりだ。

ネ.今のアートの世界ってジャズの世界と同じでしょ。 作家は結局、いい仕事をするしかないのだが。

東京で一番良い音を目指す

ジャズ スポット『映画館』 東京都文京区白山5-33-19 phone:03-3811-8932 営業時間:PM16:00-23:30 定休日:日曜日、祝日 交通:都営三田線「白山」駅A3出口(またはエレベーター出口)、坂上に向かって徒歩20メートル 東京メトロ南北線「本駒込」駅より徒歩3分

メニュー:コーヒー、紅茶¥500、ココア¥600 ビール(中)¥600、本格焼酎¥600より、タンカレージン¥500、スコッチ&バーボン¥500より、 シングルモルト¥700より、スコッチ&バーボンボトルキープ¥6,000より、軽食:¥650より

ホームページ:http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/ ハービー・ハンコック研究・第7回 (“Retrospective of The Music of Herbie Hancock”) 高木信哉 (1968:(美しき抒情詩『スピーク・ライク・ア・チャイルド』完成) HERBIE 1968

録音日/タイトル/演奏者 (レーベル)

1968.1.8、1.15 、1.17、2.28 Have You Met Miss Jones? / Artie Butler (A&M) 1668.1.11 Directions / (Columbia) 1668.1.16 Circle In The Round / Miles Davis (Columbia) 1968.1.16、5.15、5.16、5.17 Miles In the Sky / Miles Davis (Columbia) 1668.1.25、2.15Miles Davis Quintet.1965-68(ボックス・セット) / Miles Davis (Columbia) 1968.2. 5 、2.6、2.7 Gilbert Gravy / (Verve) 1968.2.19、3.4 Israel / & J.J.Johnson (A&M) 1968.2.22、3.13 Trust In Me / Soul Flutes (A&M) 1968.3.5、3. 6 Speak Like A Child / Herbie Hancock (Blue Note) 1968.5.7、5.8 Road Song / (A&M) 1968.6.19、6.20、6.21 Filles De Kilimanjaro / Miles Davis (Columbia) 1968.6.20 Stome Soul Picnic / Roy Ayers (Atlantic) 1968.6.24̃6.28 Windmills Of My Heart / Grady Tate (Skye) 1968.7. 2 Charles Tolliver And His All Stars (Blak Lion) 1968.8.16 Tyrone Washington →未発表 1968.8.27 Shape Of Things To Come / George Benson (A&M) 1968.10.10 、10.16、10.24、11.5、11.20 Summertime / (A&M) 1968.10.14、10.28 Always Somethig There / (Blue Note) 1968.10.22、10.29、11.15、11.26、12.5 Betwixt&Between / Kai Winding & J.J.Johnson (A&M) 1968.11.13 The Little Giant / Louis Gasca (Atlantic) 1968.12.19 、1969.2.26、2.27 Courage / Milton Nasciment (A&M) 1968Blue Benson / George Benson (A&M) 1968Toots / Toots Thielmans (Columbia) 1968後半or1969前半 Late Again / Peter,Paul & Mary (Warner) 1968Here,0 Israel / Rabbi David Davis(NFTY)

1968年のハービー・ハンコック(27歳~28 の兆しが現れた。日本では、12月に府中で、3億円 歳)は、結婚し、栄光のマイルス・デイビス・クイン 強奪事件が勃発し、川端康成がノーベル文学賞を受賞 テットを脱退した。ハービーにとってターニング・ポ した。 イントになった年である。時代もジャズ界もハービー 1968年1月~2月のハービーは、大忙しだっ も、大きな変化を迎えようとしていた。 た。たった2ヶ月の間に12のものセッションに参加 1968年4月、黒人指導者のキング牧師が暗殺 している。1月8日~2月28日の内、4回は、アー され、6月にはロバート・ケネディも暗殺された。ニ ティ・バトラーのアルバム『ハブ・ユー・メット・ミ クソンが第37代米大統領に選出され、11月には北 ス・ジョーンズ?』の録音に参加した。バトラーは、 爆が全面停止となり、ようやくベトナム戦争にも集結 1990年に「ヒアズ・トゥ・ライフ」という曲を書 き、それをシャーリー・ホーンが歌い、アルバム化し る。 ている。 マイルス・クインテットは、5月~6月は再びスタ 2月5日~7日は、ジョージ・ベンソンのアルバム ジオに入り、『マイルス・イン・ザ・スカイ』と『キリ 『ジブレット・グレイビー』 の録音に参加した。「ロ マンジャロの娘』の録音を行う。ここで注目すべき ウ・ダウン・アンド・ダーティ・ブルース」は、8分 は、5月17日の「スタッフ」(『マイルス・イン・ザ・ に及ぶスロー・ブルースだが、ハービーのアーシーな スカイ』に収録)の録音時、ハービーが初めてフェン ソロが秀逸。ジョージ・ベンソンのアルバムには、こ ダーのエレクトリック・ピアノ、ローズを弾いている の年、あと2枚(『シャイプ・オブ・シングス・トゥ・ ことだ。ロン・カーターもエレクトリック・ベースを カム』、『ブルー・ベンソン』)参加している。 弾いている。また6月19日は、「リトル・スタッフ」 カイ・ウインディング(tb)とJ.J.ジョンソン (『キリマンジャロの娘』に収録)を録音したが、アルバ (tb)のアルバムには、2枚(『イスラエル』、『どっちつ ムにはチック・コリアが弾いていると誤って表示され かずで』)参加した。 てしまった。この5月~6月セッションの後、マイル 2月22日と3月13日は、ジョージ・マージ(f ス・クインテットの人員は徐々に変わり始めた。ミロ l)とロメオ・ペンケ(fl)率いるソウル・フルートのア スラフ・ビトウスが7月に参加し、8月にはデイブ・ ルバム『トラスト・イン・ミー』の録音に参加する。 ホランドがイギリスのロンドンから移ってバンドに入 団した。つまりロン・カーターが辞めたのである。 一方、前年の12月から始まったマイルス・デイビ ハービーは、『スピーク・ライク・ア・チャイルド』 スのスタジオ録音は、2月まで続いた。1月11日 のジャケットに写っていた美しい女性ジジと1968 は、ギターのバッキー・ピザレリが参加し、1月16 年の8月末に結婚して、ブラジルに新婚旅行に行っ 日にはジョージ・ベンソンが参加した。また16日に た。2週間の予定でハネムーンに行ったが、食中毒に は、ハービーのオリジナル「コレクター」が録音された なってしまい帰れなくなってしまった。結局ブラジル が、誤ってマイルス作曲「テオズ・バッグ」と記録され には、3週間いた。医者が診察するたびに、医者は た。1月25日には、ハービーのオリジナル「スピー ハービーに「君の肝臓がどんどん肥大している」とか ク・ライク・ア・チャイルド」(2ヵ月後にハービー自 言って脅かした。「今、思えばさ、その医者は僕のお金 身が自己のアルバム『スピーク・ライク・ア・チャイ が目当てで言っていたような気がする。膨大な治療費 ルド』に録音)とキング牧師に捧げた「アイ・ハブ・ を請求されたよ。おかげでマイルス・デイビスの『キ ア・ドリーム」(1969年にハービー自身が自己のア リマンジャロの娘』の2度目の録音には、帰れなかっ ルバム『ザ・プリズナー』に録音)を録音した。マイル たので、替わりにチックが弾いたんだよ。あの医者に スのアドバイスを受けながら、曲が進化していってい はひどい目にあって、本当にまいったよ」とハービー る様子が記録されている。2月12日には、ギターの は語っている。 ジョー・ベックが参加し、2月15日にはジョージ・ 結果的に、チック・コリアにバトンタッチする形 ベンソンが参加した。2月15日、ハービーは、ワー で、ハービーは、マイルス・クインテットを辞めた。 リツァ-・ピアノを弾いている。いずれにしてもエレ トニー・ウイリアムスは、1969年3月、「ライフ クトリックに目覚めたマイルスが3人のギタリストを タイム」結成のため脱退し、ウェイン・ショーターは 起用し、様々な実験を行っている。 その1年後の1970年、ジョー・ザビヌルと「ウェ マイルス・クインテットは、3月~4月にワシント ザー・リポート」結成のため、脱退した。ここに黄金 ンD.C.の「ボヘミア・キャバーンズ」(ベースは のクインテットは、ついに解散したのである。 ポール・チェンバース)、ニューヨークのビレッジ・ マイルス・クインテットを退団したハービーは、自 バンガード、カルフォルニアのシェリーズ・マンホー 分のバンドを結成した。 ル(ベースはマーシャル・ホーキンス)、バークレーの メンバーは、ジョニー・コールズ(tp)、ガーネッ グリーク・シアター、サンフランシスコのボース・ア ト・ブラウン(tb)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、バス ンドなどに出演した。 ター・ウイリアムス(b)、アルバート・ヒース(ds)に その合間を縫って、ハービーは、3月5日~ 6 よるセクステットである。68年11月、ハービーの 日、6枚目のリーダー作『スピーク・ライク・ア・ セクステットは、ニューヨークのビレッジ・バンガー チャイルド』を録音した。 この美しい作品は、ハー ドでデビューを飾った。 ビーのアレンジャーとしての才能が結実した傑作であ 新婚のハービーは、新たな自分の未来のため、積極 的な活動を開始した。 る)が好きになっていたが、ミルトンの個性的な歌声 この時期のレコーディング・セッションも多彩で とギターには、痺れ、その後、長きに渡る交流が始ま ある。まず10月10日に、ポール・デスモンドの る。 『サマータイム』の録音に参加。ここには、ロン・カー それ以外にもハービーは、トゥーツ・シールマン ターも参加している。 ス(hca)の『トゥーツ』に参加。ここには、ロン・カー 10月14日は、スタンリー・タレンタインの ターも参加している。また驚くのが、人気フォーク・ 『オールウエイズ・サムシング・ゼアー』に参加。12 グループ、ピーター・ポール&マリーの『レイト・ア 月19日には、ミルトン・ナシメントの『コーリッジ』 ゲイン』にも参加している。 に参加。ミルトンは、ブラジルのミナスジュライス州 の出身で、1967年、国際歌謡祭で「トラベシア」を 1968年のハービーは、マイルス・デイビスの 歌い入賞した。それを聴いていたデオダートが惚れ込 電化サウンド貢献のために、フェンダーのエレクト み、CTIのクリード・テイラーに紹介し、新人ミル リック・ピアノ、ローズを弾いた。またマイルス・ク トンにデビューの場を与えたのだ。その後、ミルトン インテットを脱退し、自己のバンドを結成した。個人 は、ウェイン・ショーターと親しくなるが、まだウェ 的には、結婚し、ハービーの新たな冒険の旅が始まっ インはこのアルバムには参加しておらず、二人はまだ た。 出会ってない。ハービーは、既にボサノバなどブラジ ハービー、まだ28歳である。 ル音楽(ハービーは、新婚旅行にブラジルを選んでい

「SPEAK LIKE A CHILD」楽曲解説 by 遠藤律子

(9)・Am7/ 1968年にBLUE NOTEレーベルのリーダー作と B♭7(13)/B♭7(♭13)/B♭m7(9)/E♭7(13)/ して録音されたアルバム「SPEAK LIKE A CHILD」のタ A♭7sus(13)/A♭7sus(13)・A♭7(♭9,13)/G7alt イトル曲。 /G7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F#dim(add HERBIE HANCOCK 、RON CARTER bass、MI 9)/F#dim(add9)/E♭7sus(9)/E♭7(13)/E♭m7(9) CKEY ROKER drumsのリズムセクションに、THAD J /D7(#9)/NC(C#7alt)/FM7・B♭m7/Am7(9) ONES fluegelhorn、PETER PHILLIPS basstrombone,JE /Esus(9)/Am7(9)/Esus(9)/Am7(9)/Esus(9)/ RRY DODGION alt fluteの3菅が加わった6人編成のコ (B) C#7alt/C#7alt/G#7alt/E7sus(9)・Am7/ ンボ演奏。 B♭7(13)/B♭7(♭13)/A7(#5、# 3菅は、副旋律とハーモニーに徹していて、楽器の 9)/A7(13、#9)/A♭7sus(13)/A♭7(♭9,13)/ 選択の妙で,全て輝きを押さえた低めの音色が美しくリ G7alt/G7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F#di リカルなハービーのピアノを引き立てている。 m(add9)/F#dim(add9)/D♭M7(♭5)onF/D♭M7 ライナーノーツでハービーが「子供の時の純粋、自 (♭5)onF/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/ 由をまた呼び戻した」「トーナリティはない」と語って ConD♭・B♭onC/ConB・B♭m7/Am7(9)/Esus いる通り、この曲にはかちっとした従来のコード進行 (9)/ は見られない。何のキー(調)とも定められない。 (C) piano solo {Am7(9)/Esus(9)/Am7(9)/Esus(9) かといって、フリージャズではなく、メロディ音と }×8times それをおしゃれに聴かせる和音の組み合わせをつなげ (A')piano solo C#7alt/C#7alt/G#7alt/E7sus て、情緒、風情といったものを絵画的に色彩感豊かに (9)・Am7/B♭7(13)/B♭7(♭13)/B♭m7(9)/E♭7 音に流している。 (13)/A♭7sus(13)/A♭7sus(13)・A♭7(♭9,13)/G いわゆる新主流派の面目躍如の、憂いを帯びたセク 7alt/G7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F#dim シーなサウンドは完璧だ。 (add9)/F#dim(add9)/ E♭7sus(9)/E♭7(13)/E♭m7(9)/D7(#9)/ * 曲進行 NC(C#7alt)/FM7・B♭m7/Am7(9)/Esus(9)/ (A) 1st theme C#7alt/C#7alt/G#7alt/E7sus Am7(9)/Esus(9)/Am7(9)/Esus(9)/

16 (B')piano solo (C‘’)の繰り返しでfade outして行く。 C#7alt/C#7alt/G#7alt/E7sus(9)・Am7/ B♭7(13)/B♭7(♭13)/A7(#5、#9) *コード分析 /A7(13、#9)/A♭7sus(13)/A♭7(♭9,13)/G7 C#7からG#7への動きはそれまでの「-・等では alt/G7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F#dim(a 説明のつかない進行で、オルタードテンションの音を dd9)/F#dim(add9)/D♭M7(♭5)onF/D♭M7(♭ 楽しむための仕掛けと言えるだろう。 5)onF/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/ オルタードテンションとは、変化したテンションの ConD♭・B♭onC/ConB・B♭m7/Am7(9) ことで、9thが♭9、#9、13thが♭13、11th /Esus(9)/ が#11になる。 (C')piano solo {Am7(9)/Esus(9)/Am7(9)/Esus(9) これを用いたスケールを、オルタードテンションス }×5times ケールという。 (A‘')‘2st theme C#7alt/C#7alt/G#7alt/G#7al 構成音は、1、♭9、#9、3、♯11(♭5)、♭ tB♭7(13)/B♭7(♭13)/B♭m7(9)/E♭7(13)/A♭ 13、♭7だ。 7sus(13)/A♭7sus(13)・A♭7(♭9,13)/G7alt/G アドリブソロも、テンションの入ったサウンドを聴 7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F#dim(add9)/ かせることにとどまっている。曲構成からして、簡単 F#dim(add9)/ な「-・進行で、アウトした音を使って自由自在にア E♭7sus(9)/E♭7(13)/E♭m7(9)/D7(#9)/NC ドリブするというのではなく、ここに定められたサウ (C#7alt)/FM7・B♭m7/Am7(9)/Esus(9)/Am7 ンド主体でメロディをテンションに持って行った作り (9)/Esus(9)/Am7(9)/Esus(9)/ 上げられたテーマからそうは離れず、なぞるようにサ (B‘‘)C#7alt/C#7alt/G#7alt/E7sus(9)・Am7/ ウンドの美しさを聴かせている。 B♭7(13)/B♭7(♭13)/A7(#5、 B♭7では、比較的わかりやすい5度のメロディ、 #9)/A7(13、#9)/A♭7sus(13)/A♭7(♭9,13) そしてB♭m7-E♭7では、A♭のキーの「-・になり、 /G7alt/G7alt/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/F# ほっとする。 dim(add9)/F#dim(add9)/D♭M7(♭5)onF/D♭M 。になるA♭は7コードで、D♭のキーを感じさせ 7(♭5)onF/G♭M7(#11)/G♭M7(#11)/Con る。2つ目のA♭7はコンビネーションディミニッ D♭・B♭onC/ConB・B♭m7/Am7(9)/Esus(9)/ シュスケールに乗ったサウンドだ。 (D)(C ‘’)Ending piano solo {Am7(9)/Esus(9)/Am7 (9)/Esus(9) }×6times fade out 構成音は、1、♭9、#9、3、#11、5、1 3、♭7だ。 曲は、イントロなしで、始まる。 しかし、次のG7で、A♭7はCmのキーのヲ♭だった テーマは(A)(B)。ピアノで始まるメロディは、A♭ のかと考えさせられる展開をみせる。 7sus(13)のところから入って来る3管の旋律とか だが、G♭M7とF#ディミニッシュでは、D♭の、 らみ合いながら、流麗に展開していく。 度と・度なのか、となる。 (B)は(A)のメロディを少し展開させて、3管のハー F#dimは実質、A♭7のコンビネーションディミ モニーの柔らかいサウンドに乗ったピアノが美しく響 ニッシュ系のサウンドだ。 いて、(C)に向かってConD♭・B♭onC/ConB・B♭ E♭7を「度としてE♭m7が「度m、D7がA♭7の代 m7と従来のコード進行で言えば・度的終止形を作っ 理裏コード。 てAm7に降りて行き、(C)のAm7とEsus9のくり返し 増4度離れた二つの7thコードは同じ3度と7度を からピアノアドリブソロが始まる。 持つので、替えて使う事が出来る。これを代理コード ここでは、Am7とEsus9(Em7にも聴こえる)の2コー という。 ドで3管がリズムパターンをくり返す。これをVamp しかししかし、次のNCとはnon chord 和音がない と呼んでいる。 こと。 ピアノソロは、ファンキーでわかりやすいブルース FM7とB♭m7は和音の動きでAm7に解決する感じ フレーズで盛り上がっている。ピアノソロは(A‘) を出している。 (B’)と続いて、また(C‘)に戻って繰り返す。 Am7とEsus9(Em7)は、ナチュラル・マイナース そして最後のテーマは(A‘’(B) ‘’)、エンディング ケールの。度マイナーと・度マイナーとも解釈出来 17 る。・7を使わず、ソフトな終止感を演出している。 だ。非常に 調性感がない和音が続いた後のこの2コードの部分 優しい温か でほっとする安定感がバランスを取る。アドリブソロ い気持ちに もここでは動きを見せて、テーマ部分のソロの緊張感 させられる とのバランスを取っている。 作品であ る。印象的 * リズム なジャケッ ドラムスは、これだけ聴けばシンプルで古っぽいい トがまた美 わゆるジャズのドラマーが叩くボサノバのリズムパ しい。夕暮 ターンで終止しているのだが、ベースの動きが、ジャ れときに、 ズを感じさせて重厚感を出している。 恋人たちが ボサノバとも8ビートともいえない、ジャズの自由 キスをして な菜表現の典型リズムだ。 いる写真だ。男性は主役のハービー、女性はフィアン セのジジ(のちのハービー夫人である)である。私は、 この事実を知らなくて、初めてハービーの奥様に会っ <アルバム解説 by 高木信哉> たとき、彼女から「一番好きなハービーのアルバムは 『スピーク・ライク・ア・チャイルド/Herbie Hanc 何?」と尋ねられ、私が偶然にも「『スピーク・ライ ock』 ク・ア・チャイルド』が一番好きです」と答えたとき、 1. Riot ハービー夫人からこの事実を教えてもらった。録音当 2. Speak Like A Child 時、ハービーは婚約中であり、とても幸せで、すごく 3. First Trip 優しい気持ちにあったのだろう。標題曲「スピーク・ 4. Toys ライク・ア・チャイルド」は、イントロなしで、ミッ 5. Goodbye To Childhood キー・ロッカーの叩く軽快なボサノバのリズムに乗っ 6. The Sorcerer て、いきなりトリオで始まる。重厚なベースは、ロ Herbie Hancock(p),Ron Carter(b),Mickey Roker (ds), ン・カーターだ。憂いを帯びた美しいハービーのタッ (fluegelhorn), チが、最初から聴ける。すぐに3管によるテーマにな Peter Philips(bass ),Jerry Dodgion(alto flut るが、その3管がフリューゲルホーン、バス・トロン e) ボーン、アルト・フルートと地味な楽器を選んでいる ため、派手なキラキラと輝くような音にならない。抑 ハービー(当時27歳)の6作目のリーダー作。前作 制されたハーモニーが、ハービーのピアノを引き立て 『処女航海』から3年振りの作品で、さすがのハービー る。そのままリリカルにハービーの演奏が続く。情景 もジャズ史に残る傑作『処女航海』を作ってしまうと次 が浮かび上がってくるような絵画的な曲である。1曲 の作品に取り組むのは、難しかったのではと推測す 目の「ライオット」は、『処女航海』に入っていた「ザ・ る。充分な時を経て、ハービーが放った本作は、前作 アイ・オブ・ザ・ハリケーン」によく似たメロディを からとても想定出来ない内容だ。本作は、ハービーの 持つアップ・テンポの曲。「ファースト・トリップ」だ すべてのアルバムの中でも、特にハービーのきれいな け軽快で、なんか曲調が違う感じがするが、この曲だ ピアノの音が聴けるまさに“美しき抒情詩”と呼ぶにふ けロン・カーターのオリジナルだ。「ザ・ソーサラー」 さわしい作品である。 は、マイルス・デイビスのアルバムのタイトル・ト 3管を含む6人編成だが、ソロを取るのは、ハー ラックになった曲。マイルス版は、クインテットで演 ビーだけである。3管も変わった楽器選択をしてお 奏しているが、本作品ではトリオで演奏しており、3 り、フリューゲルホーン(なんとサド・ジョーンズ)、 管も加わらない。その代わりに、トリオでのハービー バス・トロンボーン、アルト・フルートで、すべて低 のエネルギーとアイデアに満ちたハービーの素晴しい めの抑制された音色になっており、そのぶん、ハー ピアノがたっぷり聴ける。 ビーのリリカルなピアノが際立って聴こえてくる。そ 以上 ういうアレンジをハービー自身がわざと行っているの

18 SOUL TRAIN Vol.3 撮影:M.T.

19 MEMBER'S ROOM 第5回 今回はKJFCの会報『GROOVY』の編集長である、紅 我蘭堂さんの登場です。

1. 血液型・星座 6.レコード、CDの所有枚数 A型 さそり座 ついでに言えば二黒土星 へび年 少ない方でしょう。ジャズはLPが1,000枚くらいで で13日の金曜日生まれです。どうです、これ以上最低 CDが300枚 なものはないでしょう。 くらいで しょう。そ 2.ジャズ歴 の他にロッ 中学校まで自宅に同居していた年上の従兄弟がラム クやユーミ ゼイ・ルイスの『The In Crowd』のLPを持っていて、 ンなどのL ビートルズやグループサウンズばかり聴いていた私 PやCDが1 に、「これからは、ジャズを聴かなきゃだめよ」などと 00枚くらい 言っていました。高校に入ってからヘビメタ・ロック あります。 やシカゴやBSTなどのブラス・ロックを聴いていま 内容も普通 したが、クラスメイトにお茶の水の『ナル』とか のコレク 『ニューポート』、『響』などのジャズ喫茶に連れていか ションです れたのが本格的に聴きだした時です。ですから、もう が、ハードバップ系のものに偏っています。日本人プ かれこれ35、6年聴いていることになります。驚きで レイヤーのLPとCDが200枚くらいあります。レ すね。 コード屋にも月に1,2回しか行きませんし、買うの も1~3枚くらいです。けっしてコレクターではない 3.初めて聴いたジャズレコード ので、マニアックな話しやオリジナル盤を売った買っ ですから最初のレコードはラムゼイ・ルイスの『The たというようなお話しはご容赦ください。 In Crowd』です。高校時代にジャズ喫茶でいいと思っ たのはキャノンボール・アダレイの『Mercy, Mercy, M 7.ジャズ以外の趣味 ercy』でした。一番最初に自分で買ったジャズのレ 読書です。今は理由があって、あまり本を読むこと コードは、ウェス・モンゴメリーの「The Incredible ができませんが、一時は活字中毒者みたいでした。 Jazz Guitar」(RIVERSIDE)で、多分高校3年生の時だ ジャズの本や軽い推理小説、冒険小説が好きですが、 と思います。いまでも聴き続けています。 愛読書は何と言っても池波正太郎さんの『鬼平犯科帳 シリーズ』。年に一回以上はランダムに読み返してい 4.座右の名盤 ます。読むたびに新発見がありますし、下手な哲学書 う~ん、たくさんあり過ぎて困ります。今はソ より生きていくことに役立つことが多いです。登場人 ニー・クラーク『Cool Struttin'』(BLUE NOTE)とセル 物で模範になりそうな魅力的な“男”が多く、真似して ダン・パウエルとチャーリー・ラウズの『We Paid Our みたくなり、最近日本酒と蕎麦を好んで食べるように Dues』(Epic)、レッド・ガーランドの『The P.C.Blue なりました。自宅の近所に、巣鴨だとか、鬼子母神と s』、ブッカー・アーヴィンの『The Song Book』、小西 か目白台とか鬼平ゆかりの場所が多いので、随分歩き 徹『A Life』でしょうか。 回りました。よろしかったらご案内します。おいしい お蕎麦屋さんも少しずつですが開拓しています。 5.好きなジャズ・プレイヤー あっ、そう言えば『映画館』がある白山周辺も、かなり クリフォード・ブラウン、レッド・ガーランド、吉 頻繁に登場しています。 岡秀晃、ジョニー・グリフィン、ウェス・モンゴメ リー、ソニー・クラーク、ブッカー・アーヴィン他 8.ジャズに対する意見 ハードバップ系のプレイヤーです。 最近ジャズが定着し、街のいたるところで聴ける ようになりましたし、若い人が聴き始めているような

20 のでファン層が拡大しているのかと感じています。本 拍手パチパチに録音されたものが本当にジャズなの 当はうれしいのですが、ちょいと気になることがあり か? むしろジャズなんだから多少“音”がはずれてい ます。それは最近の新譜ジャズに聴きたいと思えるア たっていいじゃないか、と思います。ジャッキー・マ ルバムが少ないことです。わざわざ新譜CDをレコー クリーンが上手だったでしょうか。むしろピーとはず ド屋に買いに行く気がしません。何故か。プレイヤー した音にジャズを感じました。コルトレーンにしても は確かにテクニックも理論も上手になったかもしれま “マイ・フェイバリット・シングス”や“チム・チム・ せんが、“熱い”ものが50年代・60年代のアメリカ・ チェリー”などのミュージカル曲をレパートリーに取 ジャズあるいは60年代以降のヨーロッパ・ジャズに比 り入れようと何度も試行錯誤を繰り返していたように べて足りません。私はバークリー音楽院の卒業証書を 思います。 聴きたいのではありません。その音にのめりこめるも 今、ピアノトリオのCDが、かなり売れていると のが聴きたいのです。おっさん、何ほざいとるんじゃ 聞いています。それはそれで結構です。私も好きで と言われそうですが、私がジャズ喫茶で聴いた50、60 す。でも、私としては、たとえ楽器がマイクに当たっ 年代のジャズには下手でも“熱い”ものがありました。 て「ゴン!」という音がしたり、アホな客がスイッチを コルトレーンの『My Favorite Things』(アルバムSelfless 切り忘れた携帯電話の呼出音が入っていたり、これま nessA面 IMPULSE)やソニー・クラークの『Cool St た無神経な聴衆が食器をガチャガチャいわせたりして ruttin'』(Blue Note)、フレディ・ハバートの『Back Lu いる音が入っていても、演奏そのものが“熱い”ライブ sh』(Atlantic)など、帰りかけて立ち上がろうとしてい 盤がほしいです。もっとも私が今ある“ライブ名盤”も る客を席に引き戻す力がありました。 しくは“熱気のある名盤”を聴いていないことだけなの ジャズがパワーを失ってしまったのは何故だろう かもしれませんが。 と考えたことがありました。答えは、良いライブ盤が なくなったことだと結論に達しました。前出のコルト 9.その他 レーンにしてもニューポート・ジャズ・フェスティバ 音楽を聴くということ、“音”を楽しむということ ルのライブだし、マイルス・デイビスにはライブの名 は、本当にごくごく個人的な作業です。そうなのです 盤がたくさんあります。アート・ブレイキーの『サ が今の私にはKJFCの仲間がいて、『映画館』に出入 ン・ジェルマン』3枚組を聴いて興奮もしました。ビ りを許されていることが無上の幸せです。KJFCや ル・エバンスの『Waltz For Debby』もライブ盤でし 『映画館』と出会わなかったら、今でもごく狭い範囲の た。そしてKJFCのテーマ曲といえる大友義雄の ハードバップ系のレコードしか聴いていなかったで 『男が女を愛する時』。数え切れないほどのライブの名 しょう。これは恐ろしい事実なのです。ここに『名盤1 盤があったのに、現在では皆無といっていいです。 00選』みたいなしょうもないカタログがあったとする ここに長崎・波佐見『DOUG』の立石聰オーナー と、多分60枚くらいしか聴いたことがありません。い からいただいたライブの音源があります。吉岡秀晃の や下手をすると50枚を切るかもしれません。実際 ライブの模様ですが、中には吉岡さんが40度近い高熱 デューク・エリントンは1枚も持っていませんし、カ にうなされながら、満員の観衆のために文字通り熱演 ウント・ベイシーも1枚だけ。マイルスの『ビッチェ したものがあります。この音源を聴くだけでも興奮と ズ・ブリュー』もパーカーの『オン・サボイ7枚組』『オ 感動が味わえます。このパワーがジャズなんだと痛感 ン・ダイアル6枚組』も持っていませんし、買う気もし しました。 ません。ここだけの話しですがミンガスも1枚しか 10代の“うまい”プレイヤーが続出するのはいいで 持っていません。ビッグ・バンドもの、ヴォーカルの す。街中のいたるところでジャズが聴けるのは、もっ お姉様たち、フリー系ジャズにめっぽう弱いのです。 とうれしいです。ジャズを聴く方が増えて底辺が広が ですから、もし一人でレコード屋めぐりなどをしてい るのは大変結構です。でも“熱さ”を失ってほしくはあ たら、100選のうち25枚くらいしか聴かなかったかも りません。これまで、そのプレイヤーのライブを聴い しれません。そう思うとゾッとします。これからもわ て、いいと思ったからCDを買ってがっかりしたこと がままや言いたい放題だと思いますが、よろしくお願 がたくさんあります。確かにCDは作品として後世に いいたします。 残るから大事に創りたいという気持ちは分かります。 でもスタンダード曲をズラーと並べ、何回もテイクを 重ねて、録音キレイキレイ・演奏ジョウズジョウズ・ 21 RED GARLANDの魅力について 第24回 リバーサイド時代 1961年6月~1962年3月 紅 我蘭堂

プレステッジ時代のピアノ・トリオをご紹介してき 込まれていました。ハービー・マンの大ヒット『カミ ましたが、この辺で先を急ぐ意味もあり、ガーランド ン・ホーム・ベイビー』もこの年に録音されていると のリバーサイドレコード時代のレコードを紹介させて いえば、ガーランドの立場がないということはお分か いただくことにします。ガーランドは前回紹介した りいただけるでしょうか。 『AT THE PRELUDE』ライブ録音の後も、更に6,7枚の レコードをプレステッジに残しました。どれもまあま 58年にプレステッジのボブ・ワインストックがプロ あの出来映えかと思いますが、余裕があれば紹介させ デューサーから身を引いてしまいました。改めて言う ていただきます。 ことではありませんが、良いアルバムはプレイヤーだ さてガーランドは1961年にリバーサイドレコードに けで出来上がるのではありません。そのプレイヤーの 録音を行ないます。どうもこの頃は不遇の時代を迎え 力を最大限に引き出せる企画力を持ったプロデュー ていたようです。というか、モダンジャズ界そのもの サーがいてこそ、名盤は誕生します。良きにつけ悪し が、あまり景気が良くなかったようです。「そんなこ きにつけ56年の初リーダー・アルバムからの付きあい とはないよ。50年代の終わりから60年代の始めにかけ だったワインストックが第一線から身を引いてしまっ て、ハードバップの傑作アルバムがたくさんあるじゃ たことは、ガーランドにとって大きな痛手だったと想 ない」という声もあるでしょうが。確かにざっと見て 像が付きます。 も1958年10月にはアート・ブレイキーが『モーニン』、 ワインストックの後任プロデューサーであるエズモ 59年3月にはマイルス・デイビスが『カインド・オブ・ ンド・エドワーズは売れ筋のソウル・ジャズにプレス ブルー』を、同じく59年10月にはキャノンボール・ア テッジを方向転換しました。アーネット・コブやエ ダレイが『イン・サンフランシスコ』を、59年4月・5 ディ・ロックジョー・ディビス、ジミー・フォレス 月・12月にはジョン・コルトレーンが『ジャイアン ト、ウィルス・ジャクソンなどのテナー・サックス ト・ステップス』を吹き込んでいます。多くの名盤が 陣。ジャック・マクダフ、ジョニー・ハモンド・スミ 誕生した時期であることは私も同感です。ですがアル ス、シャーリー・スコットなどのオルガン陣。ピアノ バムが残ったのと実際のジャズシーンが好況だったの にしても、よりソウル色が強いジョン・ライトのアル とは別問題だったのかもしれません。 バムを続発するなど、いわゆる“濃い”アルバムが7100 実際にマイルスは『カインド・オブ・ブルー』を録音 番台の後半から7200番台にかけてゴロゴロしていま した後は、59年から60年にかけてダラダラと『スケッ す。 チス・オブ・スペイン』を吹き込んだり、ヨーロッパ ガーランドも59年頃までは、前回ご紹介した『アッ へのツアー(60年)に出かけたりしています。ソニー・ ト・ザ・プレリュード』などの小粋なピアノトリオの ロリンズは2回目の雲隠れの真っ最中でした。バド・ アルバムを制作してもらっていたのですが、それ以降 パウエルは50年代の終わりにはヨーロッパへ渡り、こ はバッタリと録音数も減り、また数少ないアルバム の後に続くジャズメンの“大量輸出”の口火になってい も、ソロ・アルバムやアーネット・コブ、エディ・ ました。モダン・ジャズのミュージシャンには住みづ ロックジョー・ディビスと組んだもの、そしてあろう らい世の中だったのかもしれません。オルガン・ジャ ことかオルガンを弾かされているもの(もっともアル ズやソウル・ジャズのレコードは売れていたというこ バム中1曲だけですが)などと変化しています。 とも聞かれます。 そしてジャズ界も大きな変化に動いている時であっ この当時のガーランドは、59年1月まではマイル たかもしれません。試みに60年の主だったレコード録 ス・デイビスのグループに参加してツアーを行なって 音を振り返ってみると、マル・ウォルドロン『レフ いましたし、そこそこ仕事はあったようですが、60年 ト・アローン』、ボビー・ティモンズ『ジス・ヒ になるとばったりとだめになったようです。当時につ アー』、ウェス・モンゴメリー『ジ・インクレディブ いて「ガックリきてたよ。クラブはどこもつぶれちゃ ル・ジャズ・ギター』、ハンク・モブレー『ソウル・ス うし、ミュージシャンは仕事にあぶれていたから」と テーション』、ソニー・クラーク『トリオ』(タイム 話しています。 盤)、ズート・シムス『ダウンホーム』などなど名盤人 そんなガーランドに救いの手を差し伸べたのがリ 気盤が目白押しなのですが、同時にオーネット・コー バーサイド・レコードのプロデューサーをしていたオ ルマン『フリージャズ』、チャールス・ミンガス『ミン リン・キープニューズだったと思います。彼は61年7 ガス・プレゼンス・ミンガス』、セシル・テイラー 月から62年3月までの1年弱の間に4枚のレコードを録 『ザ・ワールド・オブ・セシル・テイラー』なども吹き 音するほどガーランドを厚遇しました。これはガーラ ンドにとって、大変有り難いことだったと想像できま では、リバーサイド時代の4枚を振り返ってみま す。このオリン・キープニューズとの付き合いが、晩 しょう。 年のガーランドに大きな影響を与える伏線となってい ます。

BRIGHT AND BREEZY(JAZZLAND《RIVERSIDE》948) RED GARLAND(p) (b) CHARLIE PERSIP(ds) 1961年7月19日録音 Side A 1)On Green Dolphin Street 2)I Ain't Got Nobody 3)You'll Never Know 4) Blues In The Closet

Side B 1)What's New 2)Lil' Darlin' 3)What Is There たスロー・バラードもガー To Stay? 4)So Sorry Please ランドならではという演奏 4枚の冒頭を飾るのは、ガーランドが最も得意とす です。そして最後にバド・ るピアノトリオによるアルバムです。曲は全てスタン パウエル作の『ソー・ソー ダードといっていいくらいおなじみの曲です。軽やか リー・プリーズ』で軽快に にスイングする『オン・グリーン・ドルフィン・スト 締めくくるあたりは、ガーランドの快作となりまし リート』からガーランド節が散らばる快演です。『ア た。このアルバムはガーランドの持ち味であるミ イ・エイント・ノーバディ』や『ブルース・イン・ザ・ ディアム・テンポでの乗りの良さ、スロー・バラー クローゼット』のスイング感も堪りませんし、『ユー ドでの情感の濃さ、そしてブルース曲での粘っこさ ル・ネバー・ノー』や『ホワッツ・ニュー』、『ホワッ という3点が見事に表現されています。 ト・イズ・ゼアー・トゥー・ステイ』のしっとりとし

THE NEARNESS OF YOU(JAZZLAND《RIVERSIDE》962) RED GARLAND(p) LARRY RIDLEY(b) FRANK GANT(ds) 1961年11月30日録音 Side A 1)Why Was I Born? 2)The Nearness Of You 3)Where Or When 4)Long A go And Far Away Side B 1)I Got It Bad And That Ain't Good 2)Don't Worry About me 3)Lush Life 4)All Alone

かつて寺島靖国氏はこのアルバムを評して、「マイ メリハリを付けていたもの ルスはガーランドを寵愛したが、ぼくはどうもだめ です。このアルバムを聴い だ。ひと口で言えば男一匹スピーカーに対峙して聴く ていると、どうしても眠くなってしまいます。このア に足る品格に欠ける。「グルービー」は特にいけない。 ルバムの聴き方としては、それこそ読書か恋人と愛を ただしこの一枚は気が向くと読書のつれづれに聴く。 ささやくときのBGMとして聴くのは、確かに正し バラッドの「ロング・アゴー」に耳が吸いつく。バラッ い。1曲1曲はいいのですが、アルバムとしては単調 ドはジャズを超えて音楽として価値がある」と述べら すぎます。そもそも、このような企画をしたオリン・ れた。 キープニューズとガーランドが一番悪い。このアルバ ガーランドを“男一匹スピーカーに対峙"するよう ムはガーランドの魅力を3分の1しか伝えていません。 に聴こうとした寺島さんは正しくない。ガーランド でもあえて二人を弁護すると、この時はJ.F.ケ に、いやジャズという音楽に品格を求めるのも、いか ネディが登場し、米ソの冷戦が表面化した時でした。 がなものかと思う。ただしこのアルバムをBGMとし 実際に翌62年10月にはキューバ危機が起こり、すわ第 て聴かれているのは正しい。 3次世界大戦か、核戦争かと危惧されていました。ア ガーランド好きの私でも、さすがにこのアルバムは メリカ人は相当な緊張感を持っていたのでしょう。二 ガーランドには珍しい“駄盤”だと思っています。全て 人が、あえてそういう時代に安らぎを求めて、この の人にお薦めできません。 甘ったるいアルバムを制作した気持ちも分かる気がし 何がいけないか。副題に“Ballads Played By Red Garlan ます。 d”と打たれているから仕方ないのかもしれないが、全 編同じ調子のスロー・バラードで8曲も固めることはな かったです。甘~くて、甘~くてどうしようもありま せん。これまでのピアノトリオものは例外なくス ロー・テンポとミディアム・テンポを交互に配置して SOLAR(JAZZLAND《RIVERSIDE》973) RED GARLAND(p) LES SPAN N(g,fl) SAM JONES(b) FRANK GANT(ds) 1962年1月30日録音 Side A 1)Sophisticated Swing 2)Solar 3)Where Are You? 4)Marie's Delight Side B 1)This Can't Be Love 2)The Very Thought Of You 3)Blues For 'News 4)I Just Can't See For Looking

3枚目の録音は、ギターとフルートを使い分けるレ 奏法を取り入れるなど、モ ス・スパンを入れた少し変則的なカルテット演奏にな ダンなスタイルです。 りました。レス・スパンとはあまり有名ではない人か このレス・スパンとの共 と思います。1932年にアーカンソー州で生まれ、高校 演が成功し、このアルバム 時代にギターを、テネシー州立大学でフルートを学び は好盤に仕上がりました。全体にまろやかな音で、バ プロ入り。58年にはデジー・ガレスピー楽団に加入。 ラード曲である『ウエアー・アー・ユー?』と『ザ・ この60年にはクインシー・ジョーンズ楽団に加わって ヴェリー・ソート・オブ・ユー』ではスパンがフルー います。59年ころからリバーサイドにサイドメンとし トを吹き、情感が盛り上がっています。 てボチボチと吹き込みを始め、60年12月には唯一?の ガーランドとギター奏者の相性は良かったと感じま リーダー・アルバム『GEMINI』(JAZZLAND35)を した。またまた、ないものねだりをするようですが 吹きこんでいます。ベースのサム・ジョーンズとの共 ウェスやケニー・バレルというブルージーでスイング 演が多かったようです。結構スイングするギター演奏 感にすぐれているギタリストとの共演盤も欲しかった で、早くもウェス・モンゴメリーと同じくオクターブ です。 RED'S GOOD GROOVE(JAZZLAND《RIVERSIDE》987) RED GARLAND(p) BLUE MITCHELL(tp) (bs) SAM JONES(b) (ds)1962年3月22日 Side A 1)Red's Good Groove 2)Love Is Here To Stay 3)This Time The Dream's On Me Side B 1)Take Me In Your Arms 2)Excerent! 3)Falling In Love With Love リバーサイド時代の最後は、当時売り出し中のトラ 全編にわたって好演奏が ンペッター、ブルー・ミッチェルとゴリゴリに吹き鳴 続きますが、特に私はB面 らすペッパー・アダムスの2管を加えたクインテット が好きです。魅惑的なメロ で、典型的なハードバップ演奏となりました。まるで ディーの『テイク・ミー・ ブルーノートの1,500番台を意識したような演奏です イン・ユアー・ハンド』やアダムスのオリジナル『エク が、ガーランドは二人の管楽器奏者を全面的に押し立 セレント!』、そして最後はスタンダードの『フォーリ てるようでいて、自分のソロパートもしっかりと取 ン・イン・ラブ・ウィズ・ラブ』に続く一連の流れが り、きちんとリーダーの役割を果たしています。また ハードバップの魅力に溢れています。ガーランドに 久々にマイルス・クインテット時代に共演したフィ とって惜しむらくは、このような演奏を3,4年早く リー・ジョーがドラムスを叩いていることも好結果に やっていれば、もっと運命が変わったのではないかと つながっています。 いうことです。 アナログにこだわる、銀座の老舗

東京都中央区銀座6-2-6 TEL 03-3572-7684

営業時間:コーヒータイム PM0:00~5:00(土曜日のみPM2:00~) バータイム PM7:00~11:00 休み:日曜祝日(バータイムは土曜日も)

交通:営団銀座線、丸の内線、日比谷線「銀座」駅、JR「有楽町」駅他 メニュー:コーヒータイム 珈琲・紅茶500円、ビール700円 バータイム ボトル8000円(チャージ3000円)

24 RECORD CONCERT( 例会) REPORT 2006年7月22日ジャズ・カントリー 特集:個性派テナー、ブッカー・アーヴィン」 紅 我蘭堂 ユニーク、ストロング・テナー。ブッカー・アーヴィン ブッカー・アーヴィンについては“うねうねテナー”“曲者”“タフテナー”“テキサステ ナーとコルトレーンテナーの合いの子”などと様々な呼び方がされています。確かにど の先人にも類を見ないワンアンドオンリーの吹き方であると思います。また実動期間 がわずかに10余年だったことも影響して大スターの列に並ぶことはないだろうが、意 外にファンは多いです。本日はそのアーヴィンの魅力を少しでもご理解いただけれ ば、幸いです。 ルーツはテキサス。ミンガス・グループで鍛えられた“武闘派”? アーヴィンは1930年10月31日にテキサス州デニソンで生まれました。ハイスクール 時代にはトロンボーンを演奏、49~53年の空軍バンド在籍中にテナーサックスに転 向。54年バークリー音楽院に学んだ後、55年アーニー・フィールズのグループでツ アーを行い、ダラス、デンバー、ピッツバーグを経て58年にニューヨークに進出。 チャーリー・ミンガスグループに参加。数々のレコーディングをしています。59年にはローランド・ハナ、60年 と64年にはランディ・ウェストンのグループに参加。60年からは自己のバンドを率いたり、ミンガス・グループ で共演したホレス・パーランと双頭コンボ「プレイハウス4」を結成。1970年8月31日にガンのためニューヨークで 死去、享年39歳でした。実質的な活動期間はわずか11年あまりでした。 その短い期間は大別すると次の3つに分けられます。 ○ミンガス時代 1958年~1964年頃 (56枚中19枚のレコード) ○プレイハウス4 (ホレス・パーラン) 時代 1961~1963年 (活動期間短く、レコードも少ない) ○リーダー・アルバム時代(9番勝負時代) 1960~68年 (56枚中17枚) 本日はこの9番勝負時代を中心にし て、彼の個性的な魅力をお伝えしたいと思っています。

先輩もいなければ、後継者もいない“超個性派テナー” 個性的なテナーと言えます。派閥分けが好きな日本の評論家も困っているようです。聴いていただければ少 なくともデクスター・ゴードンやズート・シムスとは格段の差がありますし、いわんやロリンズでもない。コル トレーンにも影響されつくしている気配は少ない。多少フリー掛かったプレイもないわけではありませんが、テ キサスの泥臭いブルース感覚に独自の節回しを加えて、このスタイルが完成したのでしょう。基本はブルース・ スピリットがやや強いハードバッパーであったといえます。ややマンネリ気味だったハードバップに一石を投じ たと言えます。 個性的すぎて、スタイルを受け継いでいる人が見当たりません。この辺も“孤高のテナーマン”たる由縁で しょうか。

本日お聴きいただく予定のレコード JAZZ PORTRAITS//・NO PRIVATE INCOME BLUES 最初はレコードデヴュー盤です。ミンガス・グループのアルバムですが、さほどミンガス色が出ていないで す。曲の出だしの疾走感がたまりません。アルトのジョン・ハンディとのバトルが熱い。

THE BOOK/BOOKER ERVIN/・POOR BUTFLY ・THE BOOK COOKS 甘いバラード曲を1曲。そして真剣勝負シリーズ第2弾としてズート・シムスとの延々と続く掛け合いが聴き物 です。 METRONOME PRESENTS JAZZ IN THE GARDEN AT THE MUSEAM OF MODERN ART/・SCOOCHE・STARD UST 共に早く亡くなった二人のブッカーのたった一度の共演。音は良くないが両ブッカーのプレイには・・・。 COOKIN'/BOOKER ERVIN/・AUTUMN LEAVES リーダー2作目ではホレス・パーラン、リチャード・ウイリアムスらと共演しています。1曲だけ「枯葉」をお聴 きください。 THAT'S IT/ BOOKER ERVIN ・SPEAK LOW リーダー3作目はワンホーンでカルテット演奏です。名盤だと思い ますがやはりスタンダードの「スピーク・ロー」をお聴きください。

SOUL/BARBARA LONG(SAVOY)/・TROLLEY SONG ・WHEN YOU SMILING ちょっと一服という感じで、唄伴ものはいかがでしょうか。

HOT LINE/BILL BARRON(SAVOY)/ ・BILL'S BOOGIE ・WORK SONG 個性的なテナーで、唯一無二と思っていたアーヴィンですが、似 たテナーがいました。ピアニストであるケニー・バロンのお兄さん であるビル・バロン。二人の共演ですが、どちらがどちらか聞き分 けが難しいです。

SOUL PEOPLE/(PRESTIGE) /・C JAM BLUES 御大ソニー・スティットとの共演は、さすがに御大に軽く受け流されている感じがします。

HIP CAKE WORK/DON PATTERSON(PRESTIGE)/・SISTER RUTH もう1枚オルガンとの共演盤をお聴きください。ドン・パターソンとは4枚付き合っていますが、この歯切れが いい格好よさをお聴きください。

NURIA FELIU(PDI) ・LULLABY OF BIRDLAND ・BYE BYE BLACKBIRD ・MISTY もう1枚、唄伴をお聴きください。私は全然しらないヴォーカリストです。唄伴とインスト演奏を交互にして いますがテテとの共演がうれしい1枚です。

SETTIN' THE PACE/BOOKER ERVIN(PRESTIGE) /・SETTIN' THE PACE ヨーロッパ・ツアーに出た時にミュンヘンで吹き込まれました。ソロの先発はデクスター。後から追うアー ヴィンも“持ちフレーズ”を連発してデクスターに襲いかかります。はたして勝敗の行方は?

BOOKER 'N' BRASS/BOOKER ERVIN(PACIFIC) /・EAST DALLAS SPECIAL ・DO YOU KNOW WHAT I T MEANS TO MISS NEW ORLEANS 豪華なバックでアーヴィンが朗々と吹き上げています。都市名を入れた曲だけ集めたアルバム。「ミス・ ニューオーリンズ」では聴いたことないような甘い調べです。

GRASS ROOTS/ANDREW HILL(BLUE NOTE) /・GRASS ROOTS(5:39) アーヴィンは後期ブルーノートへよく吹き込みました。そのど れもが、従来のハードバップに変革を加えていこうという意欲作 に聴こえます。その中でアンドリュー・ヒルのアルバムから1曲聴 いてください。リー・モーガンとの共演も珍しいです。

IN THE LAND OF THE GIANTS(PRESTIGE)/・SUMMERTIME 最終吹き込みは盲目のアルトサックス、エリック・クロスで す。このSUMMERTIMEはちょいと一味もふた味も違っていま す。 THE SONG BOOK/BOOKER ERVIN(PRESTIGE) /・THE L AMP IS LOW 最後は代表作の大名盤「THE SONG BOOK」で締めくくりましょう。この曲の作者が日本での発売を制限し ていたために長らく国内盤がでませんでした。時間が許すかぎりアルバムをお聴きください。

26 2006年8月18日「映画館」 特集:DUKE JORDANを偲んで 8月8日に亡くなったピアニスト、デューク・ジョーダンの 特集を急きょ行ないました。80歳を超えていたとはいえ、突然 の訃報にメンバー一同深い悲しみに包まれました。アメリカでは 不遇であり、ヨーロッパに渡り、70年代に日本で人気が出た ジョーダンですが、会員の中にも密かなファンが大勢います。 1. SEPTEMBER SONG/CHET BAKER TRIO WITH DUKE JORD AN(MASHMALLOW MMLP-105) 2. JOR-DO/DUKE JORDAN(VPL-3010) 3. SUMMERTIME SPECIAL EDITION/アーチー・シェップ他 4. EAST AND WEST OF JAZZ/DUKE JORDAN他 5. SO NICE DUKE/DUKE JORDAN(PAP-25028) 6. TRUE BLUE/(BLUE NOTE) DUKE JORDAN piano 7. QUARTET,QUINTET&SEXTET/(LPJT-60) 8. DUKE JORDAN(SAVOY MG-12149) 9. FLIGHT TO DENMARK/DUKE JORDAN(STEEPLECHACE)

2006年8月26日「ジャズ・カントリー」 特集:SUMMER 夏にちなんで“SUMMER”が付いた曲を集めてみました。 SUMMERTIME以外という条件がありましたが、それに してもさすがに会員が多ければたくさん集まるものです。 1. SCENT OF SUMMER/石井 彰(SCENE OF JAZZより) 2. A SUMMER ROMANCE/ BEVERLY KENNEY (SING FOR PL AYBOYSより) 3. EARLY SUMMER/森 剣治、市川秀男(LIVE IN 5DAYS IN J AZZ 1974より) 4. INDIAN SUMMER/GEORGE WARLINGTON(NEW YORK SC ENE〈PRESTIGE NEWJAZZ〉より) 5. SUMMERWIND/ 6. THE THINGS WE DID LAST SUMMER/(NIGERIA〈BLUE NOTE LT-1032〉より) 7. SUMMER MADNESS/CRUSADERS 8. THE LONG THAT SUMMER/JOHNNY SOMMERS(SOMMER'S SEASON〈WARNER BROTHERS1504〉より) 9. SUMMER KNOWS/ 10. SUMMER NIGHT/CHICK COREA(TRIO MUSIC LIVE IN E UROPE〈ECM1310〉より) 11. ONCE UPON A SUMMERTIME/BARNEY WILEN(FRENCH BALLADS〈VENUS TKJV-19028〉より) 12. GREENLEAVES OF THE SUMMER/WES MONTGOMERY (ROAD SONG(CTI)より) 13. SUMMER MIST/椎名 豊 14. SUMMERWIND/MAKE LOVE NANA & ROLF IN ACTION〈I NTERCORD714-080〉より) 15. CTI SUMMER JAZZ FESTIVAL SIDE B-1 16. THE LAST SUMMER/松岡直也

27 2006年9月15日「映画館」 今回は特にテーマもなく、持ち寄りでレコードを鑑賞しました。 1. ISE/古野光昭 2. LIKE A LOVER/EMILIE-CHAIRE PARLOW(EMG 44) 3. MUSIC OF CHARLIE PARKER(SIGNAL S1204) 4. SENTIMENTAL JOURNEY/PHIL URSO(REGENT MG6003) 5. ON TOUR WITH/(ARTISTRY 111) 6. TADEUSZ NESLOROWICZ SEXTET 7. BORDERLINES/ANTONIO FARGO(澤野工房)

2006年9月23日「ジャズ・カントリー」 特集:貴方も今日はジャズ喫茶マスター Vol.3 ・・・水道橋スイングのように・・・ 担当:H.S.

近年ジャズに限らないが音楽を聴くという行為が随分変 わってきた。 ヘンリー・コカーの「ジャズを聴く」と言う著書の中で、 コカーは聴き方を三通りに分けている。 1,「批判的な聴き方」は欠点やミスを見つけな がら全体としてどうかを判断する。 2,「評価する聴き方」はいい所を見つけて評価 するという好意的聴き方。 3,「鑑賞する聴き方」はこの際欠点は無視し、 ちょっとした長所も見逃さず、批判とか評価に関係なく" 楽しむ“と言う聴き方。 さらにコカーは、演奏に対して意欲的かつ忍耐強く聴く 事を覚えなければならない、と言う。 鑑賞すると言う聴き方が出来て、初めて批判、評価が出来るのだと思う。 過ってのジャズ喫茶では"鑑賞“があつた。 振り返ってみれば、1964年の夏ジャズとの出会いがあり、最初は敷居が高かったが数年後には横浜では 「リンデン」、「ダウンビート」、「ちぐさ」、大学の関連で新宿、伊勢丹裏にオープンしたばかりの「ピットイ ン」、「木馬」、会社勤めからは八重洲の「ママ」、神保町「響」、「コンボ」、会社が水道橋に移転後は駅に近い「ス イング」に通っていた。こうしたジャズ喫茶体験の中で、一際印象的なのが水道橋「スイング」である。日本で唯 一トラッドジャズの専門店。店内は明るく左右のスピーカーが違っていて、厚いバインダー7-8冊のレコー ドリストがあった。古いジャズの入り口でうろうろしていた当時の自分にとって其処は、格好の場所となり何 時も一人で、虚心にジャズに浸り気に入った盤をリクエストしていた。そこでの思い出の一枚がレジュメの表 紙にレイアウトした中間派ジャズの逸品「SESSION AT RIVERSIDE」(CAPITOL)である。 近年、益々古いジャズに傾倒する昨今、そんな折“一日ジャズ喫茶マスターのシリーズ”に先陣をきった酒井 氏、布田氏を受けて企画に参加させていただくことになった。「スイング」での充たされた日々を追憶しなが ら、例会ではめったにターンテーブルにのらない素晴らしいジャズメン達の名演を“鑑賞”して頂けたらと思う。

一部 トラッド編 *PRIZED PRERS / LESTER YOUNG (OFFICIL) 1936年から1948年までの吹き込みの中から選曲したオムニバス。代表作が殆んど収録されている二 枚組。そこからアルバム単位で追って行く楽しみを誘ってくれる。監修はマーク・ガーディナーである。

28 * EARL HINES PARIS SESSION(DUCRET THOMSON) パリで吹き込まれたソロアルバム。ジャズピアノの父と言われる、“トランペットスタイル”のピアノが好録音 によって余す所無く記録されている。 * SESSION AT MIDNIGHT (CAPITOL) 後で取り上げる「SESSION AT RIVERSIDE」と対を成すアルバム。11人集ったより渋い人選。腕っこきの ミュージシャンの繰り広げるスイングに聴き惚れる。 * ART TATUM-BENNY CATER-LOUIS BELLSON VOL . 1 (PABLO) テイタムの神技に触れる事が出来るのは、ジャズファンになつたことを誇りに思うほど.....ここでは三人の巨人 達の自由闊達なプレイが楽しい。 * ROY ELDRIDGE / THE GREATEST "LITTLE JAZZ" (MCA) モダンへの橋渡し的存在。其のトランペットは情熱を滾らせる様なエキサイティングで煌びやかな魅力があ る。 * / HIS GREATEST YEARS VOL . 4 (ODEON) ジャズの骨格を創造したルイ黄金期の中で、最もスリルに富んだハインズとのコラボレイションを収めたアル バム。二人のデュオ、ウェザーバードは何時聴いても圧倒される。 * BIX BEIDERBECK / BIXOLOGY VOL . 4 . 7 . 8 ルイと同時代に独自な白人ジャズを創造したビックスの吹き込みを、クロノジカルに収めた(全14枚) イタリアのジョーカー盤。澄み切った音色のコルネットはルイとは全く違う個性を発揮している。 * SESSOIN AT RIVERSIDE (CAPITOL) 12人の集められたミュージシャンの溌剌としたソロが素晴らしい。ホーキンス、バターフィールド、ハッ コー、マガリティー、ジェローム、シェイバース....全部書き切れないのが残念。先のMIDNIGHTと「 IN 。で CD化されている。 * MILDRED BAILEY / SERENADE (COLUMBIA) スイング期の最も優れた白人ボーカリストの代表作。声質、フレージング、独自な解釈どれをとっても超一 流。 * JACK JENNY / SOFT LIGHT SWING MUSIC (CBS-SONY) トミー・ド-シーをしてあそこまで吹けたら....と感嘆させたと言うジャック・ジェニーの十八番"スターダスト "を収めたオムニバスLP。もっと聴けないものかと思っていた矢先、ジェニーの名演24曲を収めたイギリス のHEP盤を入手ドーシーの言、納得する。 * SIDNEY CATLETT / SAX SCENE (COMMODORE) 44年ベン・ウエブスターをフロントに据えたシドニー・カトレット。 カルテット唯一の録音を収めたオムニバス。モダンドラムはケニー・クラークからではなく、実はシドニー・ カトレットから始ったというのが正しい。

29 二部 モダン編 例会3時間をすべてトラッドで行うのもどうかと思い、休憩をはさんでモダンも少しかけさせて貰った。以 下の5枚のCD。 * JACK DEJOHNETTE / TRIO BEYOND (ECM) * JOHN HICKS / MUSIC IN THE KEY OF CLARK (HIGHT NOTE) * JOSHUA BREAKSTONE / REMEMBERRING GRANT GREEN (PADDLE WHEEL) * HIDEHIKO MATUMOTO AND HIS QUINTET (TEICHIKU) * MIYANOUE YOSHIAKI / SPIRITS (SFC)

2006年10月20日「映画館」 テーマ:「月」 仲秋の名月には少し遅いかもしれませんが、深まり行く“秋”を堪能するため“月”にちなんだ曲やアルバムを 集めてみました。それにしてもよく集まったものです。 1. メル・トーメ・スウイングズ・シューバート・アレイ<オールド・デヴィル・ムーン> 2. AUTUMN NOCTURNE / 宮之上貴昭&伊藤潮 3. IN NEW YORK/JACK WILSON 4.The Portfolio of Ahmad Jamal/Ahmad Jamal 5. Happy Afternoon /Dieter Reith<フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン> 6. Down Home Piano/ Mose Allison- 1965 7. Our Love's Here to Stay/Gene Harris 8. Winter Moon / Janet Seidel 9.LOVE LETTERS / Janet Seidel William Galison 10.マナクーラの月 / ジャネット・サイデル<マナクーラの月> 11.アート・オブ・ラウンジ~マイアミ・ビーチ・ルンバ / ジャネット・サイデル<ムーングロウ> 12.ヴィレッジ・ヴァンガードの夜/ソニー・ロリンズ 13.Mack The Knife - Ella In Berlin/Ella Fitzgerald <ハウ・ハイ・ザ・ムーン > 14.Star Bright/ 15.グレンミラー物語/ジョセフ・ガーシェンソン(指揮)ユニヴァーサルインターナショナルオーケストラ <ムーンライト・セレナーデ> 16.チェット+1/ チェット・ベイカー・ウィズ・ビル・エヴァンス<ハウ・ハイ・ザ・ムーン>

2006年10月28日「ジャズ・カントリー」 ビッグバンド特集 担当:M.T. 0.始めに 今回は大編成ものを採り上げさせていただく。咆哮するオーケスト ラとソロイストの対話、というのは、私の好むところである。普段コ ンボで演奏している人でもビッグバンドとの共演となると、いつもと 違った顔を見せることもある。実際、50-60年代のスター達にはたいて いビッグバンドと共演したレコードがある。(中には意外な人も混 じっている。)そこで今回は、普段コンボで演奏している人がビッグ バンドと共演したものをお聞かせしたい。編成が大きくなれば当然編 曲が必要になるので、アレンジャーの仕事ぶりにも注目願いたい。 ところで選曲のために聴き直してみると、60 年代の後半以降はややイージーあるいは雑な印象のものが増えていった印象が残った。 ジャズが華やかだった時代は、この辺りを境に完全に終わりを告げたのだろうか。 閑話休題。50-60年代のスター達の少年期、30-40年代はビッグバンド全盛時代であっ た。彼らはラジオから流れてくるビッグバンドの演奏を聴き、そこでソロをとるスター 達に憧れながら育ったに違いない。おそらく彼らはビッグバンドと競演の仕事には、心 躍らせながら参加したことであろう。

30 なお詳細データは文末にまとめたが、多くはジャズ・ホット・ソサエティのJazz Discography Project, http:// www.jazzdisco.org/を使わせていただいた。 では各曲ごとにコメントを記してレジメとする。

1. Stanley Turrentine / A Taste of Honey from 'Joyride' (Blue Note) 1965.4.14 まずは景気の良いところから。幾多の名盤を生んだブルーノート・レーベルも、この頃(1965年)になるとそ ろそろタガが緩んだアルバムが増えてきた印象がある。本アルバムも多少そんな傾向はあるが、うるさいこ とを言わなければ、勢いのある楽しい演奏と言えるだろう。編曲はオリバー・ネルソンで、商売人的な良さ を充分発揮している。

2. / Blap from 'Portuguese Soul' (Verve) 1973.2.8 ジミー・スミスはフルバンドとの共演が多いが、本日はジャズ度が高いアレンジメン トのもの、としてサド・ジョーンズのアレンジ~指揮のオーケストラとの共演をお届 けする。サドは私の最も好きなアレンジャーの一人で、モダンでありながら、ジャ ズ・スピリットを強く感じさせるアレンジを書く。それに煽られてか、ここではスミ スも気合の入ったところを聞かせる。オーケストラのミュージシャンは明らかにされ ていないが、当時のサド・ジョーンズ=メル・ルイス楽団のメンバーをサドが連れて きた由。ドラムスはメル・ルイス、ベースはリチャード・デイビスで間違いないと思 う。ソプラノとテナー・サックスのソロがが聞かれるが、これはジェローム・リ チャードソンとビリー・ハーパーであろう。

3. / Zambia from ' Morgan' (Blue Note) 1966.4.8 モーガンではちょっと凝って、ガレスピー楽団時代のものをかけようかとも思った (モーガンはガレスピー楽団の出身、僅か十代で入団)が、敬意を表してリーダー作で いくことにした。本アルバムはコンボものとオリバー・ネルソンがアレンジしたビッ グバンドものが収録されている。LP時代に出たビッグバンド曲はちょっと甘かったの だが、CD時代になって追加された未発表曲にはかなり気合の入った(ビッグバンドの) 曲があった。今回はその未発表曲からお聞かせする。印象としては当時のブルーノー ト・オールスターズみたいな感じで、モーガンの他にウェイン・ショーター、マッコ イ・タイナー、フィリー・ジョー・ジョーンズがソロを取る。

4. Thermo / from 'The Body and the Soul' (Impulse) 1963.3.11 インパルス・レーベルはコルトレーンの絶頂期の演奏を記録したことで有名だが、スイ ング派から前衛派まで幅広い内容のアルバム群を残している。(大雑把、という印象も ある。)発足当初の60年代初頭は意欲的な吹き込みが多い。 本作品はコンボ曲+オーケストラ曲のラインナップで、フレディの良さを全面に押し出 そうとしたものである。当時の彼に対する期待度の大きさが伺える。今回は珍しくも ウェイン・ショーターがアレンジした曲をお聞かせする。ピアノ・ソロは作曲者のシ ダー・ウォルトンである。この曲はジャズ・メッセンジャーズのレパートリーでもあっ た。

5. / Entre Amigos (Sympathy Between Friends) from ' Bossa Nova' (Ver ve) 1962.8.28 ゲッツは私の最大のアイドルなので、2回にわたって特集を組ませていただいた。今 回は彼としては軽めの作品で、ビッグバンドをバックにボサノバを吹いたものを採り 上げる。アレンジはゲイリー・マクファーランド。このあたりの作品はコマーシャル な匂いが漂うが、ゲッ ツのソロはいつもながら見事なものである。 6. / Nica's Dream from '' (United Artists) 1959.5 これは実質的にはアレンジを務めたベニー・ゴルソンのアルバムである。ブラス(金管 楽器)のオーケストラの演奏であるところは表題通り。ただしゴルソン・アレンジはや

31 や大人しいので、「シャウト」というのは必ずしも印象にそぐわない気もする。 曲はホレス・シルバー作の超有名曲で、テーマをフレンチ・ホルンに吹かせる編曲が 大変良い。ファーマーも30歳頃ということで、ソロも勢いがある。他にトロンボーン のジミー・クリーブランドがソロを取る。

7. / Manteca from ' / New Bottle, Old Wine' (World Pacific) 1958.5.26 ギル・エバンスのリーダー作より。アレンジももちろんギル。発売直後は「キャノンボールとギルでは相性が 悪い」といった批判が多かったそうだ。私にはそんなに悪いとも思えないのだが。キャノンボールはサックス で、ギルはアレンジで、それぞれ言いたいことは十分言っていると思う。他にポール・チェンバースが大活 躍している。現在のベーシスト達と比べるのは少し酷かも知れないが、当時としては 抜群に上手かったことはよく分る。

8. / Greensleeves from 'Guitar Forms' (Verve) 1965.4.6 引き続きギル・エバンスの編曲でお聞きいただく。本アルバムでは半数の曲がギル・ オーケストラとの共演。このときにはエバンス名義のアルバム「個性と発展」に収録さ れた曲も吹き込まれており、バレルはそちらでもソロを取っている。彼の代表作とす るファンも多い。

9. Charlie Christian / Solo Flight (Columbia) with Orchestra 1941.3.4 本日お聞かせする中では一番古い1941年の録音。クリスチャンはギタリストとして、 ジャズ史上最も偉大な革新者である。彼は23歳の若さで没したが、プロのミュージ シャンとしてのキャリアはほとんどがベニー・グッドマン(以下BG)楽団の一員として のものである。BGは彼に異例の待遇を与えていた由。 彼はBGコンボではソロイストとしてフィーチュアされたが、オーケストラでソロを 取った演奏はごく少ない。これは彼をソロイストとして全面フィーチュアした唯一の公式録音である。作編 曲はジミー・マンディで、オールド・ベイシー楽団のために多くの優れた編曲を提供したアレンジャーであ る。クラリネットのソロはもちろんBG。 10. Love Is a Simple Thing / 11. Grand Street / Sonny Rollins from 'Brass and Trio' (Verve) 1958.7.11 以前に書いたかも知れないが、往年のジャズのスター達はたいていビッグバンドで演 奏した経歴を持っている。それがなくてビッグになった最初の人が、このロリンズで はないだろうか。ロリンズの大編成ものは少なく、本作以外では「Alfee」などごく少 数。本作でも大編成はLPの片面だけである。異色の作品ながら、ロリンズはアー ニー・ウィルキンス編曲のオーケストラと見事に対話しており、この手のことをやら せても当時のロリンズの実力なら何の問題もなかったことが分る。ギター・ソロはル ネ・トーマ、コルネット・ソロはナット・アダレイ。何故か本トラックはカッティン グ・レベルが低い。

12. / Song of the Underground Railroad from 'The Africa/Brass Sessions, Vol. 2' (Impulse) 1961.5.23 コルトレーンの大編成作品、というとやはり「アフリカ/ブラス」(続編あり、本曲は続 編から)ということになろうか。アレンジはエリック・ドルフィが担当している。緻密 なアレンジ、というよりはヘッドアレンジ的な感じである。トレーンとしてはやや中 途半端に終わった試みなのかも知れない。その後彼はこういっ た演奏を残さなかった。ただし本作でもトレーンとエルビン は絶好調である。

13. / Cubano Chant from 'Swinging Brass' (Verve) 19 59.11.5 14. Oscar Peterson / Here's That Rainy Day from 'Bursting Out' (Ve rve) 1962.6.24

32 今回最大の異色作がこれである。ピーターソンは自己のトリオを率い、大スターとして君臨したが、その一 方で色々な人と競演している。ただし制作者側にコマーシャルな意図があったと思えるようなケース(本作で も多少その臭いあり)でも彼自身は毅然としていて、へつらったような印象はない。実はこのあたりを私は好 んでいるのである。 アレンジャーは(13)がラス・ガルシア、(14)がアーニー・ウィルキンス。後者に聞かれるアルト・サック ス・ソロが誰かお分かりだろうか?

15.Sonny Stit / If You Could See Me Now from 'Sonny Stitt plays from the pen of ' (Roost) 1955.9.30 異色作に続いてはお馴染みの名盤より。クインシー・ジョーンズのアレンジは、書き過 ぎず、ソロイストを自由に泳がせる特徴がよく出ている。(本当に凝った大作は書けな かったのではないか、と言う人もいる)スティットは好編曲を得て、正しく縦横無尽に 泳いでいる。

16. Phil Woods / from 'Quincy Jones / The Quintessence' (Impulse) 1961. 12.22 ウッズは譜面に強いミュージシャンとして、編成の大小を問わず、実に色々なセッ ションに名を連ねた。今回のプログラミングのためにビッグバンドものを聴いている うちに、やはり彼の演奏がないのは寂しいと思うようになった。平凡ながら、クイン シー・ジョーンズ楽団でお聞かせする。コンボものももちろん良いが、ビッグバンド をバックに朗々と歌い上げるウッズもやはり素晴らしい。ここでのクインシーのアレ ンジも秀逸。

17. Zoot Sims / Apple Core 18. Zoot Sims / Come Rain or Come Shine from ' and the Concert Jazz Band on Tour' (Verve) 1960.10.1 & 1960.11.14 白人系サックスが好きな私としては、ズートはぜひご紹介したかった一人である。ここで はジェリー・マリガン楽団でツアーしたときの演奏を選んだ。本アルバムは「良いズー トが聴ける地図のジャケットのマリガン盤」として、一部のファンには知られている。 大変良く乗っていて、ズートとしても好演に数えられる一枚。アレンジももちろんマリ ガンである。

19.Roland Kirk / A Nightingale Sang in Berkeley Square from 'The Roland Kirk Quartet Mee ts the Orchestra'(Mercury) 1963.6.11 これもベニー・ゴルソンがアレンジを担当している。カークはマーキュリーに吹き込んで いたこの時代が「一聴奇妙に聞こえるが、実はオーソドックス」で、個人的には一番好き である。マーキュリーにはカークの良いアルバムがたくさんあるが、これもその一枚。

20. Dizzy Gillespie / Blues from '' (Verve) 1960.11.14-15 ガレスピーはビッグバンドをバックにしたときに最も輝く、というのは言い古された言 葉かも知れない。私も彼のビッグバンドものを大いに好んでいる。以前ミルト・ジャク ソン特集をやったときに、ディジーの40年代ビッグバンドをいくつかご紹介したの で、今回は音の良い60年代ものをかける。アレンジはラロ・シフリン。映画音楽分野 で鳴らした人で、大変カラフルなアレンジを書く。彼としても(ジャズとして)最高の 出来となった力作である。シフリンはピアニストとしても本作に参加。達者なところ を聞かせている。他にアート・デイビスのベースとレオ・ライトのフルートが活躍す る。 21.J.J.Johnson / Little Dave from 'The Total J.J.Johnson' (RCA Victor) 1966.12.2 J.Jは編曲者としても立派な業績を上げた人である。自己名義のオーケストラ作品を何 点も残しているが、本作品は最高作とされている。作曲、編曲、ソロをすべて一人で 行なったことからタイトルは名づけられた。今回お聴きいただく曲のタイトルのデイ ブとはマイルス・デイビスのことで、彼に敬意を表して作られている。

33 22.Miles Davis / Blues for Pablo from 'Miles Ahead' (Columbia) 1957.5.23 最後は「帝王」マイルスに締めてもらうことにする。マイルスはギル・エバンスとのコ ラボレーション作品を数枚残した。人気があるのは「スケッチ・オブ・スペイン」だ が、音楽的な密度から言えば初共演(アルバム単位で、それより前に「クールの誕生」が ある)の本盤が一番と思う。じっくり練られた編曲とアンサンブルをバックに吹くマイ ルスは今聴いても素晴らしい。後年になってリハーサルを全部収録したボックス・ セットが出たが、オーケストラもマイルスも膨大なダメ出しを繰り返して作り上げた 作品であることが改めて分った。大会社CBSでなければとても作れなかった作品である。

Discographical Details 1. Stanley Turrentine / A Taste of Honey from 'Joyride' (Blue Note) Stanley Turrentine Orchestra,, Snooky Young (tp) , (tp, flh) ,, J.J. J ohnson, Tony Studd (tb), Jerry Dodgion (as, fl, afl, cl, picc) ,Phil Woods (as, cl) ,Stanley Turrentine (ts), R obert Ashton (ts, cl) ,Budd Johnson (ts, ss, cl, bcl) , (bars, cl, bcl, fl, afl) ,Herbie Hancock (p), Kenny Burrell (g),Bob Cranshaw (b), Grady Tate (d), (arr, cond) Rudy , Englewood Cliffs, NJ, April 14, 1965 2. Jimmy Smith / Blap from 'Portuguese Soul' (Verve) Jimmy Smith with Thad Jones Orchestra Jimmy Smith (org) ,Thad Jones (cond), unidentified large orche stra NYC, February 8, 1973 3. Lee Morgan / Zambia from 'Delightfulee Morgan' (Blue Note) Lee Morgan Orchestra Lee Morgan, Ernie Royal (tp) ,Tom McIntosh (tb), Jim Buffington (frh), (tu) ,Phil Woods (a s, fl) , (ts) ,Danny Bank (bars, bcl, fl), McCoy Tyner (p) ,Bob Cranshaw (b) ,Philly Joe Jones (d) ,Oliver Nelson (arr) Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, April 8, 1966 4. Thermo / Freddie Hubbard from 'The Body and the Soul' (Impulse) Freddie Hubbard Orchestra Ed Armour, Al DeRisi, Freddie Hubbard, Ernie Royal, Clark Terry, Richard Williams (tp) , Melba Liston (tb) (frh) Robert Powell (tu) Eric Dolphy (as) Seldon Powell (ts) Charles Davis, Jero me Richardson (bars) Cedar Walton (p) Reggie Workman (b) Philly Joe Jones (d) Wayne Shorter (arr, con d) Capitol Studios, NYC, March 11, 1963 5. Stan Getz / Entre Amigos (Sympathy Between Friends) from 'Big Band Bossa Nova' (Verve) Stan Getz with Gary McFarland Orchestra Joe Farrante, Doc Severinsen, Nick Travis(tp) Tony Studd, Willie Dennis (tb) Ray Alonge (frh) Ed Caine, R omeo Ponque (fl) Walt Levinsky, Ray Beckenstein (cl) Stan Getz (ts) (p) Jim Hall (g) Tomm y Williams (b) Johnny Rae (d) Carmen Costa, Jose Paulo (per) Gary McFarland (arr) 30th Street Studios, NYC, August 28, 1962 6. Art Farmer / Nica's Dream from 'Brass Shout' (United Artists) Art Farmer, Lee Morgan , Ernie Royal (tp) Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb) James Haughton () (Frh) Don Butterfield () (b) (ds) Benny Golson (arr, con d) NYC, May, 1959 7. Cannonball Adderley / Manteca from 'Gil Evans / New Bottle, Old Wine' (World Pacific) Gil Evans and his Orchestra Johnny Coles, Louis Mucci, (tp) Joe Bennett, Tom Mitchell, (tb) Julius Wat kins (frh) (tu) Cannonball Adderley (as) Phil Bodner (reeds) Gil Evans (p, arr, cond) Chuck Way ne (g) (b) (d) Manhattan Towers, NYC, May 26, 1958 8. Kenny Burrell / Greensleeves from 'Guitar Forms' (Verve) Kenny Burrell and others Kenny Burrell (g) a.o. NYC, April 6, 1965 9. Charlie Christian / Solo Flight (Columbia) Benny Goodman Orchestra Benny Goodman (cl) Alec Fila, Jimmy Maxwell, Cootie Williams, Irving Goodman (tp) Lou McGarity, Cutty Cutshall (tb) Skippy Martin, Gus Bivona (as) George Auld, Pete Mondello (ts) Bob Snyder (bs) Johnny Gu arnieri (p) Charlie Christian (g) Artie Bernstein (b) Dave Tough (ds) Jimmy Mundy (arr) March 4, 1941 10. Love Is a Simple Thing / Sonny Rollins 11. Grand Street / Sonny Rollins from 'Brass and Trio' (Verve)

34 Sonny Rollins Orchestra (cor) Reunald Jones, Ernie Royal, Clark Terry (tp) Billy Byers, Jimmy Cleveland, Frank Rehak (tb) Don Butterfield (tu) Sonny Rollins (ts) Dick Katz (p) Rene Thomas (g) Henry Grimes (b) Roy Haynes (d) (arr, cond) Metropolitan Studios, NYC, July 11, 1958 12. John Coltrane / Song of the Underground Railroad from 'The Africa/Brass Sessions, Vol. 2' (Impulse) John Coltrane Orchestra Freddie Hubbard, Booker Little (tp) Jim Buffington, Donald Carrado, Bob Northern, Robert Swisshelm, Juliu s Watkins (frh) Charles Greenlee, Julian Priester (euph) Bill Barber (tu) John Coltrane (ss, ts) Eric Dolphy (a s, bcl, fl, arr, cond) Pat Patrick (bars) Garvin Bushell (reeds) McCoy Tyner (p, arr) Reggie Workman (b) Elvin Jones (d) Cal Massey (arr) Romulus Franceschini (cond) Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 23, 1961 13. Cubano Chant / Oscar Peterson from 'Swinging Brass' (Verve) Oscar Peterson Trio with Russ Garcia Orchestra Oscar Peterson (p) (b) Ed Thigpen (d) Russ Garcia (arr, cond) unidentified orchestra Los Angeles, CA?, November 5, 1959 14. Here's That Rainy Day / Oscar Peterson from 'Bursting Out' (Verve V/V6 8476) Oscar Peterson Trio with Ernie Wilkins Big Band Nat Adderley (cor) Roy Eldridge, Jimmy Nottingham, Ernie Royal, Snooky Young (tp) Clark Terry (tp, flh) J immy Cleveland, Paul Faulise, Slide Hampton, Melba Liston, (tb) Ray Alonge, Jim Buffingt on, Willie Ruff, Morris Secon, Julius Watkins (frh) Don Butterfield (tu) Cannonball Adderley, Norris Turney (as) James Moody, Jerome Richardson (ts) George Dorsey, Seldon Powell (bars) Oscar Peterson (p) Ray Brown (b) Ed Thigpen (d) Ernie Wilkins (arr, cond) NYC, June 24, 1962 15.Sonny Stit / If You Could See Me Now from 'Sonny Stitt plays from the pen of Quincy Jones' (Roost) Sonny Stitt with Quiny Jones Orchestra Jimmy Nottingham, Ernie Royal(tp), J. J. Johnson(tb), Anthony Ortega(fl, as), Sonny Stitt(as), Seldon Po well(ts), Cecil Payne(bs), Hank Jones(p), Freddie Green(g), (b), Jo Jones(ds). September 30, 1955 16. Phil Woods / The Quintessence from 'Quincy Jones / The Quintessence' (Impulse) Quincy Jones and his Orchestra Thad Jones, Joe Newman, Ernie Royal, Snooky Young (tp) Billy Byers, Paul Faulise, Curtis Fuller, Melba L iston, Tom Mitchell (tb) Ray Alonge, Jimmy Buffington, Earl Chapin, Julius Watkins (frh) Harvey Phillips (t u) Phil Woods (as) Jerome Richardson (as, ts) Oliver Nelson (ts) Gloria Agostini (harp) Patti Bown (p) Mil t Hinton (b) Osie Johnson (d) Quincy Jones (arr, cond) Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 22, 1961 17. Apple Core from 'Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band on Tour' (Verve) Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band Conte Candoli, Don Ferrara, Nick Travis (tp) Willie Dennis (tb) Alan Raph (btb) Bob (vtb) Bob Donovan (as) Gene Quill (as, cl) Jim Reider, Zoot Sims (ts) Gene Allen (bars, bcl) Gerry Mulligan (bars, ar r) Buddy Clark (b) (d) live in Milan, Italy, November 14, 1960 18. Come Rain or Come Shine from 'Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band on Tour' (Verve) Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band Conte Candoli, Don Ferrara, Nick Travis (tp) Willie Dennis (tb) Alan Raph (btb) (vtb, p) B ob Donovan (as) Gene Quill (as, cl) Jim Reider, Zoot Sims (ts) Gene Allen (bars, bcl) Gerry Mulligan (bars , arr) Buddy Clark (b) Mel Lewis (d) "Santa Monica Auditorium", Santa Monica, CA, October 1, 1960 19.Roland Kirk / A Nightingale Sang in Berkeley Square63.6.11 from 'The Roland Kirk Quartet Meets the Benny Golson Orchestra'(Mercury) Roland Kirk with Benny Golson Orchestra Virgil Jones, Richard Williams (tp) Charles Greenlea, Tom McIntosh (tb) Don Butterfield (tu) Roland Kirk (ts, mzo, str, cl, fl) (p) Richard Davis (b) Albert "Tootie" Heath (d) Benny Golson (arr, cond) A&R Studios, NYC, June 11, 1963 20. Dizzy Gillespie / Blues from 'Gillespiana' (Verve) Dizzy Gillespie and his Orchestra John Frosk, Dizzy Gillespie, Ernie Royal, Clark Terry, Joe Wilder (tp) , Frank Rehak, Britt Wood man (tb) Paul Faulise (btb) Jimmy Buffington, Al Richman, Gunther Schuller, Julius Watkins (frh) Don But terfield (tu) Leo Wright (as, fl) (p) Art Davis (b) Chuck Lampkin (d) Candido Camero (cga) Ja ck Del Rio (bgo) Willie Rodriguez (tim) NYC, November 14 & 15, 1960 21.J.J.Johnson / Little Dave from 'The Total J.J.Johnson' (RCA Victor) J.J.Johnson Orchestra Art Farmer, Ernie Royal, Bert Collins (tp) J.J.Johnson, Benny Powell, Paul Faulise (tb) Jerome Richardson, Phi l Bodner, Thomas Newson (reeds), Hank Jones (p) ,Ron Carter (b) ,Grady Tate, Bobby Rosengarden (ds)NYC, December 2, 1966 22.Miles Davis / Blues for Pablo from 'Miles Ahead' (Columbia) Gil Evans Orchestra Johnny Carisi, , Taft Jordan, Louis Mucci, Ernie Royal (tp) Miles Davis (flh) Joe Bennett, Jim my Cleveland, Frank Rehak (tb) Tom Mitchell (btb) Jim Buffington, Tony Miranda, Willie Ruff (frh) Bill Barb er (tu) Edwin Caine, Sid Cooper, Romeo Penque (fl, cl) Danny Bank (bcl) Lee Konitz (as) Paul Chambers (b) Art Taylor (d) Gil Evans (arr, cond) Columbia 30th Street Studios, NYC, May 23, 1957 今後の予定 ジャズスポット「映画館」 電話03-3811-8932 2007年2月16日(金)午後7時~午後10時 特集「TWO」が付く曲・アルバム 2007年3月16日(金)午後7時~午後10時 特集:未定 2007年4月20日(金)午後7時~午後10時 特集:未定 2007年5月18日(金)午後7時~午後10時 特集:未定

「JAZZ COUNTRY」電話03-3572-7684 2007年2月24日(土)午後7時~午後10時 特集:女性ヴォーカル聴き比べ Vol.5 担当:T.Y. 2007年3月24日(土)午後7時~午後10時 特集:ヨーロッパ盤 担当:K.I. 2007年4月28日 (土) 午後7時~午後10時 特集:中間派ジャズ 担当:T.S. 2007年5月26日(土)午後7時~午後10時 特集:あなたも今日は1日ジャズ喫茶マスター 担当:紅 我蘭堂

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編集後記 ・お待たせいたしました。GROOVY第41号が完成しました。今回は「30周年記念ライブ」のレポートを中心にしまし た。・とうとうメンバーズ・ルームに出てしまいました。照れくさいものです。次回は誰を指名するか決めていません が、指名された方どうかよろしく。・最近例会の盛り上がり方がすごいです。参加者もコンスタントに10名は超え、さ らにテキストも皆さん工夫されています。そこで次号では昨年12月の『映画館』例会にゲストで来られたマシュマロ・レ コードの上不三雄氏のお話しを中心に例会レポートの特集と、Y.S.さんのニューヨークレポートをご紹介いたしま す。・ご意見、ご質問その他ご提案をどんどんお寄せください。(紅)

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