会報 Groovy 41号 2007年 2月16日発行
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CONTENTS 九谷ジズファンクラブ(KJFC)会報 GROOVY VOL.41 公式ホームページ : http://www.kjfc.info 2007.2.16 CONTENTS 〔KJFC 30周年記念ライブレポート〕 特集:30周年記念ライブレポートY.S. 1 『遠藤律子日誌』 2 H.S. 3 紅 我蘭堂 4 〔JAPAN JAZZ JUNCTION〕 DISK 紅 我蘭堂 6 2006年上半期HMVジャズCD売り上げランキングの考察 高木 信哉7 〔連載〕 カドやんのジャズ教室 Vol.26 門倉 洸太郎10 気まぐれジャズマン第21回 水戸守敬一郎11 3 ハービー・ハンコック研究・第8回 高木 信哉 12 6 SOUL TLAIN Vol.3 M.T. 17 7 MEMBER'S ROOM 第5回 18 8 9 RED GARLANDの魅力について 第24回 紅 我蘭堂 20 例会レポート 23 10 紅 我蘭堂 H.S. 11 12 M.T. 他 13 16 表紙及び本文中イラスト制作・・・・・水戸守敬一郎 17 ※無断転載はかたくお断りいたします。 18 印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話03-3941-4508 21 22 24 26 表紙及び本文中イラスト制作(各ロゴマークを除く)……水戸守敬一郎 ※無断転載はかたくお断りいたします。 本誌印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話03-3941-4508 このPDF版GROOVY-40号は、印刷物として発行したものを基に新たにレイアウトしています。 したがって、印刷物とは一部異なる部分があります。 KJFC30周年記念ライブ開催! 「KJFC 30周年記念LIVEを終えて」 Y.S. 遠藤律子さんがマイクに向い、いつものような軽 り、またご一緒に海水浴に行ったり、水戸・笠間のツ 妙なMCが終わり、いよいよ演奏がスタートしまし アーに同行したりと、私の中では一番身近な演奏家に た。今回は律子さんの演奏が間近で見られるよう、カ なりました。 ウンターの端のピアノに一番近い椅子に座っての鑑賞 そして1998年のKJFCの活動再スタートを記 です。最初の曲は「枯葉」。私がスタンダード・ナン 念する「JANOME」でのKJFC主催のライブに、出演を バーで一番好きな曲です。まだライブがスタートした お願いする事になりました。(詳細は会報Vol.39参 ばかりなのに、やっと念願のライブが出来たという感 照) 激がこみ上げて来ました。 昨年KJFCでは30周年の記念に向けて、何かイベ 律子さんとのお付き合いは、かれこれ10数年前 ントをやろうという話が持ち上がりました。私の中で 北千住のライブハウス「遊来区」のライブが始まりでし は既に構想が出来上がっていました。それは、律子さ た。当時は日本の演奏家のライブにはほとんど行った んにトリオ編成でハード・バップを中心に演奏して頂 事がなかったのですが、たまたまそのライブで初めて こうというものです。 律子さんの演奏を聴き、人柄も含めすっかりファンに 律子さんのライブには数多く行っていますが、最 なってしましました。 近はFRVの編成が多く、ピアノトリオでじっくりスタ それから「遊来区」や私の地元のライブハウス「JAN ンダード・ジャズを堪能する機会があまりありません OME」の定期的なライブには、欠かさず行くようにな でした。さっそくKJFCのメンバーに企画提案をする と了承されたので、準備にとりかかりました。 きなピアニストが間近で演奏している事に鳥肌がたつ 今年の4月にある酒宴の席で、律子さんにこのラ 思いでした。この様な幸せはなかなか味わえるもので イブの企画を説明し、出演のお願いをしたところ快諾 はありません。 され、さらに「リクエストがあれば早めに連絡して欲 第1部が5曲、第2部が7曲にエンディングの「C しい。今から練習しますから。」との事でした。この JAM BLUES」と、全13曲(そのうちリクエスト とても嬉しい言葉に、ライブの成功を確信しました。 が8曲も入っていました)、あの全身から溢れてくる そして会員の渋谷氏の協力も得て日程・会場も決ま パワフルでファンキーな演奏に酔いしれた、あっとい り、7月には会員から募った計14曲のリクエストの う間の3時間でした。 メールをうつ運びとなりました。 遠藤律子さん・山口彰さん・稲垣貴庸さん、素晴 「枯葉」「SOMETIME AGO」に続き、3曲目は私 らしい演奏本当にありがとうございました。そして渋 のリクエストの「WHO CAN I TURN TO」でした。 谷氏を含め今回のライブを支えてくださった会員の皆 この曲はビル・エバンスやピム・ヤコブスが演奏 様に、感謝の気持ちでいっぱいです。 している、最近のお気に入りの曲です。その曲を大好 『遠藤律子日誌』 9月10日 12時過ぎに、横浜DOLPHY着。九 は、浅草の 谷ジャズファンクラブ30周年記念ライブ。山口彰 じゃのめ b、稲垣貴庸drs。お弁当を頂いて、楽器セット、軽く で、大友義 音出しバランスのみ確かめる。 雄、細野義 14時から、ライブスタート。 彦他のバン 兜町に、九谷という名の喫茶店があって、そこに ドで出演さ 集ったジャズファンの皆様が結成したKJFC、月に2 せて下さっ 回の会合では、LPやCD等音源を持ち寄って鑑賞とお た。あれか 話で盛り上がる。 らもう10 続いて続いて今年で30年。20周年記念の時に 年、感慨ひ としお。 今日は、皆 さんからあ らかじめ頂い たリクエスト 曲を中心に、 ピアノトリオ でbe-bopを演 遠藤律子さん 奏しようという趣向だ。 新鮮な曲に演奏しながら気合いが入って、とても 楽しい時間となった。山口彰のウッドの豊かな音、稲 垣貴庸のストーリーのあるドラムソロ。素晴らしきK JFCメンバーリスナーの皆さんからのあたたかい拍 山口彰さん J.J.J. 手、熱いかけ声に、バンドも熱気を帯びて、宴たけな シャン、名アルバム、1950、60、70年代の わ。これぞライブの醍醐味だ。 話、ジャズ喫茶の事など、話題はつきない。美味しい 私が最初に発売したLP盤を持っておいで下さったお お料理とビールで天に登った気分。有難いことだ。酒 客様、嬉しい驚きだ。 井さん、渋谷さん、メンバーの皆々様、本当に有難う KJFCの会報誌にハービー=ハンコック研究を掲載 ございます。KJFCの益々の御発展をお祈りしてお別 しているジャズ評論家、高木信哉さんがいらして下 れした。 さって、久しぶりで嬉しくお迎えする。 ジャズを愛して、仲間を大事にする、素敵な素敵な 西田さん、南部御夫妻、蠣崎さん、従姉の美和子さ 大人の皆さんでした。 ん、有難うございます。 (遠藤律子オフィシャルウェブサイトより、ご本人 ライブ後、中華料理屋さんに場所を移して打ち上 の許可を得て転記) げ。ジャズの話、ジャズメンの話、好きなミュージ http://www.endoritsuco.com/top.cgi 遠藤 律子トリオを迎えて H.S. KJFC第12回ライブが3年ぶり、9月10日横 * ファーストセット 浜のライブスポット「ドルフィー」で開催された。今回 1、「枯葉」 はKJFC30周年の節目のライブと言う事もあり殆 季節感を取り入れた選曲、好きなピアニスト んどの会員が万難を排して集い、加えて律子さんの 稲垣貴庸さん ファンの方々も多数参加して頂き、アットホームな雰 ウィント 囲気の中、大いに盛り上がったライブだった。 これ ン・ケリー ほど会員各位がリラックスしてライブを堪能したの に敬意を表 も、過ってなかった様に思われる。遠藤律子さんと言 するよう えばライブスポットでもジャズフェスティバルでもF に、格調高 RVが定番、でも'87年の初リーダーアルバム「ラ い律子さん ブ・レター」(オーディオラボ / クラウン)以来のファ のピアニズ ンの一人として、常々しなやかでジャズスピリットを ムが新鮮。 感じさせる、唄伴にも絶妙なテイストのある律子さん 2、「サ のピアノに傾注していた。この度、記念ライブの企画 ムタイム に上がった時、一も二もなくハードバップのコンセプ アゴー」 トをピアノトリオで演奏してほしいと念願していた。 ア 今回、実質的なプロデューサーであるY.S.氏と ルゼンチン ピッタリと意見が一致し、以降の交渉が実にスムース の歌手兼作 に運んだ。メンバーはピアノ遠藤律子、ベースは不動 曲家のセル の山口彰、そしてドラムスはシャープス&フラッツの ジオ・ミハ レギュラー、気鋭の稲垣貴庸と言うベストメンバー。 ノヴィッチ 当日の演奏曲目に関して、Y.S.氏の提案で我々の の作曲に依 リクエストも一部(と言うより殆んど)取り上げて頂く るバラードナンバー。アート・ファーマー、ジャッ 事になった。一瞬、曲目が著名なものに偏るのではな ク・ウイルソンのいい演奏がある。遠藤律子トリオは いかと危惧されたが、流石にジャズ歴30年以上の猛 バラード、ミデアム、ファストと三段階にテンポを変 者が集っているKJFC、そうした懸念は払拭され渋 化させ曲のラブリーな魅力の多くを引き出して秀逸。 めのスタンダードが揃い、理想的な展開となった。 3、「フー キャン アイ ターン トゥ」 では、当日の演奏曲目について紹介したいと思う。 イギリスの名コンビと言われた、アンソ ニー・ニューリーとレスリー・ブリッカスが1964 5 年のミュージカルで発表したナンバー。トニー・ベ も賞賛に値する。 ネットがヒットさせ、ビル・エバンス、日本では森本 5、「タイム フォー ラブ」 洋子の名演がある。歌詞を慈しむ前半から序々にイン "いそしぎ"で著名なジョニー・マンデルの傑 プロバイズさせて、高揚感ある展開が良い。 作。聴き手の琴線に触れる繊細なピアノ表現が素晴ら 4、「アイブ ネバー ビーン イン ラブ ビ しい。 フォアー」 6、「キャラバン」 フランク・レッサー作曲。メロディアスで 実に良い曲である。山本剛、ギタリスト菅野義孝の演 奏に引かれている。遠藤律子トリオの一体感溢れた"T HE TRIO"と称したくなるプレイ、改めてこの曲に惚 れこんだ。 5、「ザ マン アイ ラブ」 言わずと知れたアイラとジョージのガー シュ ウィン兄弟のナンバー。リズミックな前半か らフォービートに転調、トリオの燃焼度も最高度に達 する。後半フィーチュアーされる稲垣の溌剌としたド ラミングの心地よさ。 * セカンドセット 1、「ウイスパー ノット」 これもケリーに因んだ選曲。陰影に富んだ エリントンとファン・ティゾ-ルの共作。 律子 さんのピアノ、山口彰のベースも魅力的。 遠藤律子トリオのエンディングナンバー。エリントン 2、「ザ ボーイ ネキスト ドア」 に敬意を表するようにトリオの躍動感あふれた力演で ヴィンセント・ユーマンス作曲。ビル・エ 締め括った。 バンスも取り上げている、スタンダードナンバー。 7、「セント トーマス」 3、「ロング アゴー アンド ファラ アウエ 遠藤律子トリオと聴衆が一体となる演奏展 イ」 開によって大いに盛り上がった、当日のアンコールナ チャーミングなイントロのピアノから軽快でメロ ンバー。 ディアスなジェローム・カーン作曲による1944年 の映画主題歌。アート・ペッパーのオメガセッション 思えば1998年のKJFC再開記念ライブから が印象に残る。律子さんは歌詞をイメージしながら極 8年ぶりに遠藤律子さんをお迎えした本セッション。 めてリラックスした快演に終始している。 思った通り、その間の極めて多岐に渡る活動が自身の 4、「インビテーション」 ピアノにリズムとパワーが独自に育まれており、その ポーランドのブロニスラウ・ケイパーの作。 魅力を十分に感じ楽しむ事が出来た。正に、遠藤律子 ジャズメンが好んで取り上げるナンバー。起伏に富ん トリオは今が旬であると実感した。近い将来アルバム だピアノのアドリブ、イマジネイティブなドラミング として是非定着して欲しいものである。 素晴らしい記念ライブ、ありがとうございました。 紅 我蘭堂 KJFCが主催した遠藤さんのライブは、これで 藤節雄(ドラムス)クインテットプラス谷 由起子 2回目です。Y.S.氏のレポートにもありましたよ (ヴォーカル)という身の程知らずというか、もったい うに、前回は1998年10月に浅草『JANOME』 ない豪華なメンバーでした。その際律子さんから、 で行われた「KJFC活動再開記念ライブ」。大友義雄 「演奏中の掛け声は遠慮してね」というお願いがあった (アルト)、細野義彦(ギター)、酒井一郎(ベース)、佐 にもかかわらず、素晴らしい演奏に思わず「YEA H! YEAH!」を連発してしまったし、陶酔の境 した。 地から泥酔の天国へ駆け登ったことも記憶にありま また30周年記念ということで、今回のライブは す。それ以来はや8年の時が経ち、順調に例会も会を KJFC会員とごく親しい方、また律子さんのご関係 重ね、会員も少しずつ増え、30周年を迎えることが出 の方だけという少人数でゆったりと聴けたことも良 来て、節目となる記念ライブの出演が、またもや律子 かったと思います。採算を度外視して設定してくれた さん。何だか運命的なものを感じます。 幹事のY.S.さんと渋谷さんにあらためて感謝する 律子さんとKJFCとのお付き合いは、もちろん とともに、快く会場を提供してくださった『ドル Y.S.氏や渋谷秀夫氏が築き上げてくれた良好なコ フィー』のマスター、ツネさんにも感謝いたします。 ミュニケーションですが、忘れてはならないのは高木 たくさんある後日談から、ふたつ。 信哉氏が、このGROOVYに連載してくださってい 某会員は、このライブですっかり律子さんに魅了 る『ハービー・ハンコック研究』で楽曲解説を律子さん され、以来律子さんのCDを買いまくるわ、ライブに がしてくださっているという事です。ありがたいこと 出かけて握手してもらうわ、CDにサインしてもらう ですし、様々なご縁を感じます。 わと立派な"おっかけマン"になりました。 また律子さんが今回のライブで、事前に会員から またもうひとりの某会員は、律子さんの入手困難 リクエストを取ってくださったということも、通常で であった初リーダー・アルバム「ラブレター」を探し求 はありえないことで、いかに律子さんが私たちを大事 めて都内の中古レコード屋をしらみつぶしに探し回 に考えてくださっているかが分かりましたし、不慣れ り、とうとう都下近郊のジャズ専門店と言えないレ な曲については猛練習をしているということを事前に コード屋で発見して買い求めました。その執念や、恐 聞きましたので、感激しました。何という贅沢! 何 るべし。先日その某会員をなだめすかし、おだて上げ という光栄! ジャズ・ファン冥利につきるとはこの て、拝み倒し聴かせてもらいました。次ページの 事です。そして、当日ひたむきに演奏している姿と、 「ディスク」欄で思いっきり「ヨイショ」させていただき 曲と曲の合間での楽しいおしゃべり。 ます。 律子さんの熱意が充分に伝わりました。 私のリクエスト曲「INVITATION」を採用していただ ともあれ、今回の記念ライブの成功は、KJFC いて、イントロが始まった時は思わずうれしくて席か の伝説に新たな1ページが加わったと言わずして、ど ら立ち上がってしまいました。 う言えばいい? 山口さんも稲垣さんも、熱演ありがとうございま J.J.J. D I S K 紅 我蘭堂 LOVE LETTERS/遠藤律子(AUDIO LAB.RECORD PLW-202) 遠藤律子(p) 山口 彰(b)田中ヒロシ(ds) 1987年3月27日録音 SideA 1.アントニオの歌 2.ALL THE THINGS YOU ARE 3.THE LOOK OF LOVE 4.SOMEBODY LOVES ME 5.オ・モロ SideB 1.LOVE LETTERS 2.YOU MAKE ME FEEL BAND NEW 3.おいしい水(AQ UA DE BEBER)4.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO 5.IF 6.TO SAY GOOD-BY 遠藤律子さんの初リーダー・アルバム。初リーダーとい 語が得意で歌詞を解釈しなが うことで気負いもあったでしょうが、ごく自然体に近いプレ ら演奏するという律子さん。 イです。現在でも遠藤さんが好まれているボサノヴァをうま なるほどラブレターをもらっ く取り入れています。その中でも、やはり基本となるウイン た女性は、こう舞い上がるように飛び跳ねてしまうのかなと トン・ケリーに良く似た歯切れの良いタッチも快いです。 感心しました。こうみえて、私も若い頃ディスコに通ったこ 選曲もバート・バカラックやスタイリスティックスなど とがあります。B-2は懐かしいスタイリスティックスのバ の曲も収録され、律子さんと同年代の私は思わずニンマリし ラード。よくチークタイムに掛かっていました。そんな思い てしまいました。 出はさておき、常々誰かジャズメンが演奏してくれないかな A-1は魅惑的なメロディーの曲ですが、後半は盛り上げ、 あ、と思っていました。律子さんはこの名曲を淡々と唄いあ また静かにエンディングするというドラマティックな演出が げています。B-3はおなじみのボサノヴァ曲ですが、律子さ 見事です。A-2では、左手が単にコード(和音)を押えるだけ んはスピードを上げて疾走しています。まるでマラソンラン でなく、右手が奏でる旋律にからむ“第2旋律”ともいえるメ ナーが給水するときに飲む水が一番おいしく感じられるよう ロディーを繰り出し、その綾取りのような繊細なタッチが名 に。B-4はいきなり『家路』のメロディーが出てきたので、ど 曲を更に美しく仕立て上げています。A-3はセルジオ・メン うなるかと心配しましたが、これも力強い部分と繊細な部分 デスとブラジル‘66でヒットした曲。前半はゆったりと唄い を織り交ぜて見事な演奏です。B-5もポピュラー・ソングと 上げ、後半一気に疾走していく盛り上げ方がうまい。A-4は いえばそうなのですが、律子さんは軽やかに、そして楽しげ キュートなイントロから、山口 彰のベースに導かれるよう にプレイしています。エンディングを飾るB-6はスロー・バ に軽やかな旋律の舞を披露してくれています。A-5は田中ヒ ラード。律子さんは情感を込めてピアノを弾きます。それこ ロシのズンドコリズムに煽られるように、律子さんが飛び跳 そ一音一音に愛情が詰まっています。本当はLPが希望です ねます。影響を受けたと言うケリーの姿が垣間見えます。B- が、この見事なレコードの、CDでもいいから再発を切に望 1のタイトル曲は、珍しくラテンリズムで進行しますが、英 みます。 SPIRITS/宮之上貴昭(SFC RECORD SFC-103) 宮之上貴昭(g)、滝本 博之(p)、稲垣 護(b)、太田耕平(ds)2005年12月6日7日録音 1.FUNK IN DEEP FREEZE 2.TWO BASS HIT 3.SUGAR RAY 4.YOU GO TO MY HEAD 5.EQUANIMITY 6.ON GREEN DOLPHIN STREET 7.WIVES & LOVERS 8.HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON? 9.MAKE ME DRE AM MAKE ME ROAM リーダー・アルバムとしては恐らく4年ぶりとなる宮之 えです。ウェス・モンゴメリー直伝という下地の上に、さら 上さんの新譜。2002年7月に発売された『LIVE AT KIT に磨きあげられたグルーヴ感が表現されています。そして全 TY KITTY BROWN』(KRS レコード、稲垣 譲との 演奏に流れている、そのグルーブ感の上にオクターブ奏法は デュオ)以来となります。もっともこの間2004年にはDVD もちろんのこと、独特のアドリブフレーズを基にしたテク がでているが、随分と待たされたような気がします。また2 ニックが散りばめられて、素晴らしい出来映えになっていま 005年11月20日に「映画館」で行なわれた伊藤 潮さんと す。でもミヤさんはきっと、まだまだ満足していないのだろ のデュオ・ライブもあっただけに本当に待望久しかったで うなぁ。次回作はさらに数年待たなければいけないかもしれ す。 ないが、よりゴキゲンなものになっているのだろうな。ファ 理由は分かる気がします。常に進化を求めてきたギター ンとしては、この寡作のジャ マンなので、納得できないものは発表したくなかったので ズ野郎に、せめて1年に1作の しょう。『映画館』でのライブの際、入店した宮之上さんを迎 アルバムを発表し続けてもら えるために過去のレコードを掛けていたところ、「すぐ止め いたいのですが。余談です てほしい。自分の昔の演奏は聴きたくない」と断固として言 が、このアルバムは昨年発売 われていたのが印象に残っています。つまり、過去にこだわ された日本人ジャズCDの中 らずに常に進化していこうという姿勢を持たれていると感銘 で、私が聴いた範囲という条 しました。 件付ですが、一番優れていま さて期待が大きかった本アルバムですが、期待にたがわ す。 ない内容で最初からミヤ節炸裂!といったゴキゲンな出来映 8 2006年 HMVジャズCD売り上げランキングの考察 解説:高木信哉 <総合ランキング> 1. メセニー・メルドー/ パット・メセニー&ブラッド・メルドー(輸入盤) 2.10cD Wallet Box/ マイルス・デイビス(輸入盤) 3. リトル・ウイリーズ/リトル・ウイリーズ(輸入盤) 4. X/フォア・プレイ(輸入盤) 5.10cD Wallet Box/ チャーリー・パーカー(輸入盤) 6. ユアーズ/サラ・ガザレク(輸入盤) 7.キャッチング・テイルズ/ジェイミー・カラム(輸入盤) 8. オーバーシーズ/トミー・フラナガン(輸入盤) 9. フローム・ジス・モーメント・オン/ダイアナ・クラール(輸入盤) 10.ラッハ・ドッホ・マール/山中千尋(国内盤) 11.ワルツ・フォー・デビー/ビル・エバンス(輸入盤) 12.ソフィー・ミルマン/ソフィー・ミルマン(輸入盤) 13.デイ・イズ・ダン/ブラッド・メルドー(輸入盤) 14.アンダー・カレント/ビル・エバンス(輸入盤) 15.ノラ・ジョーンズ(輸入盤) 16.カインド・オブ・ブルー/マイルス・デイビス(輸入盤) 17.スパイラル/上原ひろみ(輸入盤) 18.カーネギー・ホール・コンサート/キース・ジャレット(輸入盤)