環境毒性学会誌(Jpn. J. Environ. Toxicol.),21(2),21 -32,2018

維管束植物の感受性差を把握するための 5 種同時発芽生長試験法の開発

Development of the seed germination and seedling growth test method for determining the difference in species sensitivity of 5 vascular species simultaneously

上田紘司,永井孝志

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター/ 〒 305-8604 茨城県つくば市観音台 3-1-3

*Koji Ueda and Takashi Nagai Institute for Agro-Environmental Sciences, NARO/3-1-3 Kannondai, Tsukuba, Ibaraki, 305-8604, Japan

ABSTRACT Herbicides are used to control weeds, but they may also be highly toxic to nontarget aquatic , which play an important role in natural aquatic ecosystems. However, the difference in species sensitivity among aquatic vascular plants was not well known due to the lack of test method for wide range of species. In the present study, we developed the seed germination and seedling growth test method for determining the difference in species sensitivity of 5 species vascular plants simultaneously. Candidate test species were selected by considering the following 5 factors: 1) belonging to the 17 orders of Japanese major aquatic plants, 2) inclusion of a wide range of taxonomic groups, 3) constantly available for purchase, 4) suitability for culture experiment using a microplate, and 5) suitable seedling shape for quantifying plant biomass by an image analysis. The following 5 species were selected: Welsh onion Allium fistulosum (Asparagales), watercress Nasturtium officinale (), carnation Dianthus caryophyllus (Caryophyllales), lettuce Lactuca sativa (Asterales), and basil Ocimum basilicum (Lamiales). An efficient test method using the 5 species was developed based on a microplate assay using a 6-well microplate and a test duration of 7 days. Plant biomass was quantified as a green area, which can be automatically measured by image analysis. Test performance was evaluated by conducting bioassays of 3,5-dichlorophenol and 2,4-dichlorophenoxyacetic acid as standard test substances. The 5 species vascular plants were more sensitive than algal species and duckweed to herbicide 2,4-dichlorophenoxyacetic acid.

Key Words: herbicide, image analysis, microplate, seed, 2,4-dichlorophenoxyacetic acid, 3,5-dichlorophenol

*Corresponding author, Email: [email protected]; Tel: 029-838-8301

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1. はじめに てウキクサやホザキノフサモなどが試験生物に指 ) ) 農薬取締法に基づく「水産動植物の被害防 定されている 2 , 3 。 ) ) 止に係る農薬登録保留基準(以下,登録保留基 日本産の主な水生植物4 をAPG分類体系Ⅳ5 準)」の適用の下,新たな農薬の水産動植物に対 を基に目ごとにまとめると,原始的な被子植物 するリスク評価に基づいた基準値の設定が順次 や系統が未解明の2目,単子葉類5目,真正双子 ) 進められている1 。現行の登録保留基準におい 葉 類10目 の 計17目 で あ る(TABLE 1)。し か て,毒性に係る基準値(急性影響濃度)は,基本 しながら,経済協力開発機構(Organization for 的に魚類1種(メダカOryzias latipesもしくはコイ Economic Co-operation and Development, OECD) Cyprinus carpio),甲殻類のオオミジンコDaphnia による水生植物を用いたテストガイドラインで magna,藻類の緑藻Raphidocelis subcapitata(旧 は,この17目のうち単子葉類のオモダカ目(ウ ) Pseudokirchneriella subcapitata)のいわゆる「3点 キクサ)6 および真正双子葉類のユキノシタ目(ホ ) ) セット」の急性毒性試験結果による半数致死濃 ザキノフサモ)7 , 8 の2目しかカバーしていない 度(50% lethal concentration, LC50)もしくは半 (TABLE 1)。農薬の毒性は対象生物種によって ) 数影響濃度(50% effective concentration, EC50) 極端に異なることが知られているが 9 ,ウキクサ 値をそれぞれ種間の感受性差に関する不確実係数 およびホザキノフサモが水生植物全体の感受性を (魚類および甲殻類は10,藻類は1)で除したも 代表しているかどうかの比較例は非常に乏しい。 のの最小値と設定されている。一方で,3点セッ よって,水生植物などを対象に幅広い分類群の感 トのうち緑藻は,水域生態系における生産者の代 受性データを整理する必要がある。そのために ) 表として試験生物に指定されているが 1 ,欧米で は,複数種を同時に試験可能なハイスループット は除草剤など植物に対して生理活性を有する農薬 アッセイ系が有効である。 については,複数種の藻類に加え維管束植物とし 実際の主な水生植物で試験を実施するには,ま

TABLE 1. Species of aquatic plant in Japan and OECD test guidelines. Clade Order Aati plants of apan OECD test speies Nmphaeales Brasenia schreberi Ceratophllales Caratophyllum demersum 1 1 Monoots Poales Phragmites australis , Typha latifolia Oryza sativa , Hordeum vulgare Commelinales Monochoria vaginalis 1 Asparagales Iris laevigata Allium cepa 2 2 Alismatales Sagittaria trifolia Lemna minor , Lemna gibba Aorales Acorus calamus Ediots Rannlales Ranunculus nipponicus Proteales Nelumbo nucifera 1 Malpighiales Euphorbia adenochlora Linum ustiatissimum Mrtales Trapa japonica, T . natans 1 1 Brassiales lyrata, C. regeliana Brassica oleracea , Raphanus sativus 3 Saifragales Myriophyllum aquaticum Myriophyllum spicatum 1 Carophllales Persicaria hydropiper, P . amphibium Fagopyrum esculentum 1 1 Asterales Nymphoides peltata, N. indica Lactuca sativa , Helianthus annuus amiales Veronica undulata , Utricularia australis 1 Apiales Oenanthe javanica Daucus carota 1: 10), 2: 6), 3: 7, 8)

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ず室内での安定的な栽培方法から確立する必要が 方法を新たに開発することを目的とした。除草剤 あり,これには多くの手間がかかる。ジュンサイ, の選択性と植物の系統分類に関連があることが知 ) クワイおよびハスなどの作物として栽培されてい られているため 12 ,必ずしも水生植物ではないも る水生植物の場合は,栽培方法がすでに確立して のの同じ目に属する水生植物の近縁種で水耕栽培 いるという利点があるが,栽培するには大型の試 可能な作物を試験に用いた。また,開発した手法 験系が必要となる。ホザキノフサモも試験方法が に適する試験生物種を5種類選定し,新たな試験 ) すでにOECDテストガイドライン2387 で確立さ 法の適用性を,基準物質3,5-ジクロロフェノール れているが,無菌系で大量の植物体を用意する必 (DCP)および除草剤2,4-ジクロロフェノキシ酢 要があるなど,非常に煩雑で手間がかかり,複数 酸(2,4-D)を使って評価した。 種の試験を同時に実施するのは困難である。一方 で,植物の種子を用いるOECDテストガイドラ 2. 材料および方法 ) イン20810 は,種子を被験物質で処理した土壌に 2.1 試験の概要 曝露させ,被験物質が発芽率やバイオマス(地上 6穴のマイクロプレートのウェル中の試験液に 部の乾燥重あるいは新鮮重)に及ぼす影響を調べ 播種した5種植物の種子を22°C(もしくは25°C), る陸域生態影響評価用のテストガイドラインであ 照度3000 lux,明暗12:12時間条件下の恒温器内 る。種子の入手のしやすさから作物の種子を使用 で同時に発芽・生長させた。連数はOECDテス ) することが多いが,作物への薬害を調べることが トガイドライン2216 に準じ,濃度区の連数を3 目的の試験ではなく,維管束植物の代表として生 連,対照区の連数を濃度区の2倍の6連とした。 態影響評価を行うことが目的である。この試験法 オーバーヘッドのスキャナで上部からマイクロプ は購入した種子を利用できるため試験生物の維持 レートの画像を撮影し,画像解析によって植物バ 管理が必要ないという利点がある。また,土を使 イオマスを緑色部分の面積として測定した。緑 わず水耕栽培すれば水系の試験にもなりうると考 色部分の面積の減少率をエンドポイントとして えられる。そこで,OECDテストガイドライン EC10およびEC50を求めた。 208での推奨種も含めて試験生物を整理すると, イネ目(イネ,オオムギなど),キジカクシ目(タ 2.2 試験生物の選定 マネギ),キントラノオ目(アマ),アブラナ目 試験生物の選定条件は,1)日本産の主な水生 (キャベツ,ダイコンなど),ナデシコ目(ソバ), 植物と近縁種(同じ目の種)である,2)多様な キク目(ヒマワリ,レタス),セリ目(ニンジン) 分類群から選定,3)種子を容易に購入可能であ があり,オモダカ目およびユキノシタ目を併せて る,4)6穴のマイクロプレート内の試験液中で 9目をカバーできることになる(TABLE 1)。さ 発芽および生長が可能である,5)上部から撮影 らに,OECDテストガイドライン208を簡易化し した画像からバイオマスが定量可能な形状である ) た試験法としてISO18763: 201611 がある。この こととした。 試験法では,縦長の薄い透明なプレート内に土壌 これらの条件を考慮し,本研究では試験生物と と種子を植え,横から根および芽の生長を観察で して単子葉類のネギ(キジカクシ目,小ネギ「緑 きるように工夫されている。試験期間は3日間で, 秀」),真正双子葉類のクレソン(アブラナ目,「ク 横からデジタルカメラで画像を撮影し,画像解析 レソン」(ウォータークレス)),カーネーション で根や茎の長さを測定する簡便な試験法である。 (ナデシコ目,カーネーション シャボージャイ このような簡易試験法を用いることで,労力を増 アントミックス),レタス(キク目,レタス「エ やさずに試験種数を増やすことができる。本研究 ムラップ231」)およびバジル(シソ目,「バジ では,この簡易試験法を参考とし,土耕栽培から ル」)の5目から成る5種の維管束植物を選定し 水耕栽培とすることで水系の試験に改変した。 た(TABLE 2)。 本研究では,水系における維管束植物の感受性 差を把握するために,エンドポイントを統一し 2.3 被験物質 て5種同時に毒性試験を行うという効率的な試験 開発した生物検定方法の適用性をDCP(和光

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TABLE 2. Test organisms used in this study. Order Famil Sientifi name apanese name Asparagales Amarllidaeae Allium fistulosum Negi Brassiaales Brassiaeae Nasturtium officinale Kreson Carophllales Carophllaeae Dianthus caryophyllus Kaneshon Carnation(Kaneshon, カーネーション) Asterales Asteraeae Lactuca sativa Retas amiales amiaeae Ocimum basilicum Bajir

純薬工業株式会社;純度98.0%)および2,4-D(和 を用いて画像解析することにより,緑色部分の面 光純薬工業株式会社;純度99.7%)を用いて毒性 積をバイオマスとして測定した。 試験で評価した。DCPは感受性検定のための標 まず初めに,5種植物の培養に適した試験液量 ) ) 準有機化学物質として使用される 6 , 7 。水溶解度 について検討した。水道水をオートクレーブ処 が高く,分解性や吸着性も少ないため濃度を一定 理(121°C,15分間)した滅菌水を試験液として, に維持するのが容易で再現性の高い物質である。 試験液を2.0,2.5,3.5および5.0 mL/wellと変え, 2,4-Dはホルモン型の選択性除草剤で,広葉 試験は3連(複数の種子を播種したウェルを1連 雑草を枯らし,イネ科の作物には害作用がな とする)で行い,培養開始7日後にウェルあたり ) い物質である13 。登録保留基準値(案)は,3 の緑色部分の面積を測定した。 種 の 毒 性 値( 魚 類LC50>98600 µg/L, 甲 殻 類 次に,5種植物の培養に適した試験期間につい EC50>98600 µg/L,藻類EC50=63600 µg/L)よ て検討した。試験液は2.5 mL/wellとし,試験は ) り9800 µg/Lと提案されている 14 。また,2,4-D 6連で行い,14日間培養した。培養開始0,3,5,7, は藻類に対して毒性が非常に弱い(>78000~ 10および14日後のウェルあたりの緑色部分の面 >582200 µg/L)が,水生植物のホザキノフサモ 積を測定した。 に対して毒性が強い(EC50=11 µg/L)ことが知 農薬は水中で不安定で,水に難溶なものが多 ) られている 15 。 く,試験液の調製には助剤の使用が有効である。 試験液の調製に使用するジメチルスルホキシド 2.4 試験方法 (DMSO;和光純薬工業株式会社;純度>99.9%) 2.4.1 試験法の開発 が植物の生長に及ぼす影響を調べるために,試験 試験法の開発のため,まず初めに5種植物の培 液2.5 mL/wellでDMSO濃度を0.01,0.1,1およ 養に適した試験液量,試験期間,助剤濃度の検 び10%と設定して5種植物を14日間培養し,培 討を行った。6穴のマイクロプレート(Falcon, 養開始7日および14日後のウェルあたりの緑色 #351146)を試験容器として使用した。試験生物 部分の面積を測定した。連数は対照区(DMSO の種子は,全て(株)サカタのタネで購入した。 濃度0%)6連,濃度区3連で試験を行った。 ウェルに播種した種子数は,種子の大きさを勘 案しネギ,カーネーションおよびレタスが5粒/ 2.4.2 DCPを用いた毒性試験 well,クレソンが10粒/well,バジルが8粒/well DCPの標準液は,DMSOを用いて作成し,試 とした。試験は全て22°C,照度3000 lux,明暗 験液中のDMSOの最終濃度が0.1%となるように 12:12時間条件下の恒温器内でマイクロプレート 滅菌水で試験液を調製した。DCPの曝露濃度を に蓋をして実施した。植物体のバイオマスを測 公比2.5 の0.5,1.3,3.2,7.9,20および50 mg/ 定するために,試験終了時にオーバーヘッド型 L の6濃度区として設定し,5種植物の種子を ス キ ャ ナ( 富 士 通,ScanSnap SV600) を 用 い 播種後,2.5 mL/wellの試験液中で14日間培養 て600 dpiの解像度で蓋を外したマイクロプレー し,培養開始7日および14日後のウェルあたり トを上部から撮影し,カラー 24 bit画像を得た。 の緑色部分の面積を測定した。対照区(DCP濃 オープンソースの画像解析ソフトウェアImageJ 度0 mg/L)は6 連,濃度区は3 連で試験を行っ

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た。培養開始および終了時にpHメーター(Horiba, に,発芽種子を用いたDCPの毒性試験を実施し, LAQUA twin)で対照区のpH値を測定した。 未処理の種子を用いた試験結果と比較した。プラ スチックシャーレ内において水道水を3日間吸水 2.4.3 2,4-Dを用いた毒性試験 させ発芽させた種子を発芽種子として使用した。 試験中の試験液の pH 値を安定させるために,pH 曝露濃度は,公比1.4の5,7,9.8,13.7,19.2お バッファーとして50 g/LのMOPS溶液(pH 7.0) よび26.9 mg/Lの6濃度区として設定し,5種植 を 1/100量加えた滅菌水を用いた。2,4-Dを用 物の発芽種子および未処理の種子をそれぞれ播 いた毒性試験での試験液はDMSOを使わず, 種後,2.5 mL/wellのMOPSを加えた試験液中で MOPSを加えた滅菌水に2,4-Dを直接溶解させ 7日間培養し,培養開始7日後のウェルあたりの て調製した。2,4-Dの曝露濃度は公比2.5 の10, 緑色部分の面積を測定した。対照区(DCP濃度0 25,63,159,398お よ び1000 µg/L の6濃 度 mg/L)は6 連,各濃度区は3 連で試験を行った。 区として,5種植物の種子を播種後,試験液2.5 ただし,発芽種子のネギの各濃度区は,発芽数が mL/wellで14日間培養し,培養開始7日および 少なかったため2連で行った。培養開始および終 14日後のウェルあたりの緑色部分の面積を測定 了時に対照区のpH値を測定した。発芽種子を用 した。対照区(2,4-D 濃度0 µg/L)は6 連,濃 いた毒性試験を行う前の予備実験にて,植物の生 度区は3 連で試験を行った。培養開始および終了 育が培養温度22°Cに比べ25°Cで良好であったた 時に対照区のpH値を測定した。 め,この試験のみ培養温度は25°Cとした。なお, 被験物質濃度の経時変化を確認するため,分 未処理種子を用いたDCPの毒性試験は25°Cでも 析用のマイクロプレートを別途用意した。分析 行っており,毒性値は22°Cのときと同様である 用のマイクロプレートには各濃度区の試験液2.5 ことを確認している。 mL/wellを1連ずつ分注し,種子を播種しなかっ た。培養開始時,培養開始7日および14日後に 2.4.5 データ解析 各濃度区の試験液を一定量ずつ回収し,分析用サ R(red)G(green)B(blue)の各256階調で ンプルとした。被験物質濃度は液体クロマトグラ 色を表した際に,葉の緑色はgreenとblueの値 フィ-飛行時間型質量分析(LC/TOF-MS)を の差が大きくなることを利用して,画像から緑 用いて分析した。LCにはLC-30(島津製作所), 色の部分を抽出して面積を測定した。ImageJを TOF-MSに はTriple TOF® 5600+ System(AB 用いた画像解析の手順を以下に示す。Gaussian Sciex)を用いた。LCカラムには,Atlantics T3 Blurフィルタを用いて画像をスムージングした Column(Waters 2.1 mm×50 mm, 3 µm) を 用 後,red,green,blueの各グレースケール画像(8 いた。カラム温度は40°Cに設定した。移動相は bit)に分割した。次に,greenの画像からblueの A液にアセトニトリル,B液に5 mmol/L酢酸ア 画像を引き算した。グレースケールを反転させた ンモニウムを用いた。グラジエント条件は流速 後,もう1度Gaussian Blurフィルタを用いて画 0.2 mL/minでA液5%(B液95%)から13分間 像をスムージングし,閾値を作物毎に一定値に設 のグラジエントで95%(B液5%)とし,2分間 定して二値化した。最後にウェルごとに緑色部分 保持後にA液5%(B液95%)で5分間平衡化さ の面積を測定した。これらの操作によって,目視 せた。試料注入量は10 µLとした。TOF-MSに によるものとほぼ同じ領域(緑色の部分)を自動 おけるイオン化はエレクトロスプレーイオン化法 的に設定し,面積を測定することができた。また (Electrospray ionization, ESI)による負イオン これらの操作を自動で行うマクロを作成し,解析 モード(m/z 218.9610)で行った。定量限界は2.9 を完全に自動化した。 µg/Lであった。回収率は濃度10 ~ 1000 µg/Lで 緑色部分の面積を対照区の緑色部分の面積の平 77 ~ 110%であった。 均値で除して,最大値を1とする相対緑色面積に 変換した。被験物質濃度との濃度反応関係は,以 2.4.4 DCPを用いた発芽種子の毒性試験 下に示す2パラメータの対数ロジットモデルに, 生育段階が感受性に及ぼす影響を評価するため 最小二乗法による非線形回帰を行って決定した。

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被験物質濃度として,DCPは設定濃度を使用し に比べ3.5 mLおよび5.0 mLの生長は有意に減少 た。また,2,4-Dを用いた毒性試験の培養開始7 した(P < 0.05)。これより,試験時の試験液量 日後の被験物質濃度は,開始時と7日後の濃度の を2.5 mLと決定した。 幾何平均値を使用し,培養開始14日後の被験物 次に,試験期間を検討するために5種植物の生 質濃度は,開始時と14日後の濃度の幾何平均値 長曲線をFig. 2に示した。播種後5日目くらいか を用いた: ら緑色部分の面積は検出でき,14日目まで直線 的に増加した。これより,試験期間はテストガイ 1 ) 相対緑色面積 = (1) ドライン2216 のウキクサの試験期間の7日間あ 1 ep(fa fbln(C)) ) るいはテストガイドライン2387 のホザキノフサ

ここで,Cは被験物質濃度,fa とfb は係数である。 モの試験期間の14日間のどちらかに合わせて試 EC50およびEC10は以下のように,式(1)にお 験可能と考えられた。 いて相対緑色面積が0.5,0.9のときのCと表現さ 5種植物に対するDMSOのNOECは全種1%で れる。 あったが,1%では有意差はつかなかったものの カーネーションおよびバジルの2種の緑色部分の EC50 ep(−fa / fb) (2) 面積は減少傾向を示した。これより,試験液中の EC10 ep ((−2.197−fa) / fb) (3) DMSOの濃度は0.1%以下に抑えることが望まし 植物の生長に対するDMSOの影響は,Dunnett いと考えられた。 の多重比較法によって,対照区と比較して統計学 的に有意な差が認められない最も高い試験濃度 3.2 DCPを用いた毒性試験 を無影響濃度(no observed effect concentration, 培養開始7日後および14日後の対照区の平均発 NOEC)として評価した。濃度反応解析および 芽率は,全種80%以上であった。5種植物に対す Dunnettの多重比較法は統計解析ソフトR version るDCPの毒性試験の結果をTABLE 3に示した。 3.2.3を用いた。 培養開始7日後のEC10およびEC50の範囲は, それぞれ2.6 ~ 15 mg/L ,8.3 ~ 17 mg/Lであっ 3. 結果 た。感受性はカーネーション(D. caryophyllus) 3.1 試験の開発 お よ び バ ジ ル( O. basilicum)が高く,クレソン(N. Fig. 1にスキャナで撮影したレタスのカラー画 officinale)が最も低かった。培養開始14日後の 像およびImageJを用いた画像解析の過程を14日 EC10およびEC50の範囲は,それぞれ7.3 ~ 15.3 間の経時変化で示した。まず,スキャナで撮影 mg/L ,8.4 ~ 25 mg/Lであった。感受性は,カー したカラー画像をjpg形式で保存した(Fig. 1A)。 ネーション(D. caryophyllus)が最も高く,バジル 次にImageJを用いてカラー画像をグレースケー (O. basilicum)が最も低かった。培養開始14日後 ル画像のRGBの各成分に分割し,greenの画像か の5種植物の感受性は,培養開始7日後のものに らblueの画像を引き算すると,緑色の部分だけ 比べてほぼ同じか若干低下した。培養開始7日後 が残り,マイクロプレートや背景などのグレー および14日後のネギとカーネーションのEC10お の部分を除去することができた(Fig. 1B)。最後 よびEC50の95%信頼区間は,ロジットモデルの に閾値を作物毎に一定値に設定して二値化した カーブが急なため算出できなかった。クレソンの (Fig. 1C)。 EC10およびEC50の95%信頼区間は,培養開始 マイクロプレートの各ウェルの試験液量につい 7日後のみ同様の理由で算出できなかった。 て条件検討を行った。ネギ,クレソンおよびレタ 培養開始時の対照区の試験液(pHバッファー スの3種の培養開始7日後の緑色部分の面積は, なし)のpH値は7.0であったが,培養開始14日後 試験液量の違いで有意差は認められなかった。一 の対照区の試験液のpH値は,ネギ6.7,クレソン 方で,残りのカーネーションおよびバジルの2種 6.9,カーネーション4.4,レタス5.3,バジル4.4 では,2.0 mLおよび2.5 mLの試験液量間で生長 で培養開始時に比べ減少していた。 に有意差は認められなかったが,2.0 mLの生長

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A 0DAS 3DAS 5DAS

7DAS 10DAS 14DAS

B 0DAS 3DAS 5DAS

7DAS 10DAS 14DAS

C 0DAS 3DAS 5DAS

7DAS 10DAS 14DAS

Fig. 1 Transition of 14-day seedling growth (A), images after green area was extracted by subtracting blue image from green image (B), and binarized images using a threshold value (C) using lettuce seeds (control group). DAS=Days after seeding.

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120000 120000 120000 A. fistulosum N. officinale D. caryophyllus 100000 100000 100000 ) l e 80000 80000 80000 i p ( 60000 60000 60000 ea r a 40000 40000 40000 ee n r G 20000 20000 20000

0 0 0 0 7 14 0 7 14 0 7 14 Das after seeding

120000 120000 L. sativa O. basilicum 100000 100000 ) l e

80000 80000 i p ( 60000 60000 ea r a 40000 40000 ee n r G 20000 20000

0 0 0 7 14 0 7 14 Das after seeding

Fig. 2 Fourteen days time course of seedling growth of each tested species after seeding. Y-axis shows plant biomass measured as green area.

3.3 2,4-Dを用いた毒性試験 く,バジル(O. basilicum)が最も低かった。培 培養開始7日後および14日後の対照区の平均 養開始14日後の5種植物の感受性は,培養開始 発芽率は,全種80%以上であった。5種植物に対 7日後のものに比べてほぼ同じか若干低下した する2,4-Dの毒性試験の結果をTABLE 3に示し (TABLE 3)。 た。培養開始7日後のEC10およびEC50の範囲 培養開始時の対照区のpH値(pHバッファーあ は,それぞれ6.3 ~ 290 µg/L,100 ~ 2100 µg/L り)は7.5であったが,培養開始14日後の対照区 であった。培養開始14日後のEC10およびEC50 のpH値は,ネギ5.7,クレソン7.1,カーネーショ の 範 囲 は, そ れ ぞ れ25 ~ 300 µg/L,130 ~ ン4.7,レタス4.9,バジル4.8で培養開始時に比 1600 µg/Lであった。感受性は,培養開始7日お べ減少していた。 よび14日後ともにレタス(L. sativa)が最も高 2,4-Dの 設 定 濃 度 は,10,25,63,159,398

TABLE 3. Effective concentrations( 10% and 50%) with 95% confidence intervals of each tested species 7 and 14 days after seeding (DAS). 3,5dihlorophenol 2,4D Das after Speies EC50 95%Cl EC10 95%Cl EC50 95%Cl EC10 95%Cl seeding (mg/) (g/) A. fistulosum 16 15 560 2601200 68 12390 N. officinale 17 15 720 3801400 150 38580 7DAS D. caryophyllus 8.3 7.2 250 130470 6.3 1.234 L. sativa 13 6.824 8.1 3.121 100 63170 43 1999 O. basilicum 8.3 4.316 2.6 0.6011 2100 28016000 290 213900 A. fistulosum 17 15.3 1100 7501500 300 140620 N. officinale 11 5.822 8.0 4.913 710 3601400 150 38620 14DAS D. caryophyllus 8.4 7.3 720 3501500 200 46830 L. sativa 20 1626 13.5 0.74247 130 83200 25 9.667 O. basilicum 25 1640 15.2 8.129 1600 24011000 31 1.5630 EC10/EC5010 and 50 effetive onentration Clonfidene interval.

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および1000 µg/Lの6段階であった。培養開始時 低下する傾向にあった。DCPに対する感受性は, の2,4-Dの 分 析 濃 度 は,10,26,55,200,385 曝露時の生育段階に関わらずカーネーション(D. および1147 µg/Lであった。培養開始7日後の caryophyllus)が高く,バジル(O. basilicum)が 2,4-Dの 分 析 濃 度 は,12,27,93,265,546お 最も低かった。発芽種子におけるネギのEC50の よび1623 µg/Lで,幾何平均による解析濃度は 95%信頼区間は,ロジットモデルのカーブが急 11,26,71,230,458および1364 µg/Lであっ なため算出できなかった。 た。培養開始14日後の2,4-Dの分析濃度は,27, 培養開始時の対照区の試験液(pHバッファー 41,151,699,784および3116 µg/Lで,幾何平 あり)のpH値は,7.6,7.7(未処理の種子,発 均による解析濃度は16,32,91,374,549およ 芽種子)であったが,培養開始7日後の対照区の び1891 µg/Lであった。試験液の蒸発などで濃縮 試験液のpH値は,ネギ6.6,6.2,クレソン7.2, が起こった可能性が高い。 7.3,カーネーション4.6,4.8,レタス4.6,6.8, バジル4.6,4.9で培養開始時に比べ減少していた。 3.4 DCPを用いた発芽種子の毒性試験 培養開始7日後の未処理の種子の対照区の平均 4. 考察 発芽率は,全種80%以上であった。生育段階が 4.1 マイクロプレート検定法 感受性に及ぼす影響の結果をFig. 3に示した。未 本研究では5種の維管束植物を用いたマイクロ 処理の種子にDCPを曝露させた場合の培養開始 プレート内での水耕栽培および画像解析を組み合 7日後のEC50の範囲は,9.6~ 18 mg/Lであった。 わせた毒性試験の妥当性を示した。マイクロプ 一方で,発芽種子にDCPを曝露させた場合の培 レート検定は,藻類増殖阻害試験に広く適用され ) 養開始7日後のEC50の範囲は8.6 ~ > 26.9 mg/L ており 16 ,ウキクサ生長阻害試験においても適用 ) ) であり,発芽させてから曝露させるとレタス(L. されている17 , 18 。マイクロプレート検定の利点 sativa)とバジル(O. basilicum)で特に感受性が は,(1)試験液の容量が少ない,(2)小型の経

40 Untreated seeds Germinated seeds

30 ) / g m (

20 0 5 C E

10

0 A. fistulosum N. officinale D. caryophyllus L. sativa O. basilicum Test speies Fig. 3 Effect of exposed life stage (untreated seeds and germinated seeds) on DCP toxicities to each test species. Error bars indicate 95% confidence intervals. Arrows indicate >26.9 mg/L (more than maximum exposure concentration).

−29− 5 種同時発芽生長試験法の開発

済的なインキュベーターが使用できる,(3)容器 の継続的な研究が必要である。 や試験器具は殆どが使い捨てできるものを使用す あらかじめ発芽させた発芽種子を毒性試験に使 るため作業効率が高い,(4)画像解析を用いて測 用することは,元々発芽しない種子を試験から取 定を自動化できるため多数の試験を同時に実施可 り除くことができるため,未処理の種子を使用す ) 能なことである 16 。これらのマイクロプレート検 る試験に比べ,生長のばらつきを抑えられる利 定の利点を活かすことで,5種同時に,試験条件 点がある。しかし,DCPを用いた毒性試験では, やエンドポイントを統一して,水系における維管 未処理の種子に比べ発芽種子の感受性が低下する 束植物の感受性差を把握するための試験法を開発 傾向にあった(Fig. 3)。よって,曝露開始時の することに成功した。農薬に対する維管束植物の 試験生物の適切な生育段階は,発芽種子より未処 感受性は,エンドポイントの測定部位(根,茎, 理の種子であると考えられた。 葉)や項目(長さ,重さ)によって異なることが 指摘されているが,感受性差を比較する際の種毎 4.2 試験生物種 ) ) のエンドポイントは不統一であった 19 。また,試 日本産の主な水生植物は17目にまたがるが 4 , 験条件も試験種ごとに最適化されているため不統 OECDによる水生植物を用いたテストガイドラ ) 一である。一方で本試験を活用することで,エン インはそのうちのオモダカ目 6 およびユキノシタ ) ) ドポイントや試験条件の差を排除した形で,種の 目 7 , 8 の2目のみをカバーしている。本研究では, 感受性差を把握することが可能になった。 除草剤の選択性と植物の系統分類に関連があるこ ) 実験終了時のpH値が実験開始時より減少して とが知られているため 12 ,陸生か水生かというこ いたが,植物は根から有機酸などさまざまな浸 とよりもむしろ幅広い分類群をカバーすることに ) 出物を出すことが知られており 20 ,これらの浸出 注目した。そこで,必ずしも水生植物ではないも 物がpH値の減少に影響したのかもしれない。pH のの日本産の主な水生植物の近縁種(同じ目の 変動を抑えるためにpHバッファーとして50 g/L 種)として,新たに5目をカバーする試験種を選 のMOPS溶液(pH 7.0)を添加したがpH変動を 定した。この5種の植物は種子の状態で容易に購 抑制できなかった。また,被験物質(2,4-D)濃 入可能で,6穴のマイクロプレート中の試験液を 度が培養開始7日後に比べ14日後で上昇したが, 用いた水耕栽培系で発芽および生長し,上部から 試験期間中に試験液は蒸発するため,被験物質が 撮影した画像からバイオマスが定量可能な形状で 濃縮したと考えられる。DCPは安定な物質であ あった。ネギは単子葉類のキジカクシ目に属し, るため濃度の経時変化を分析しなかったが,2,4-D 同じ目に水生植物のカキツバタなどがある。クレ と同様に試験液の蒸発が原因で被験物質濃度が経 ソンは真正双子葉類のアブラナ目に属し,クレソ 時毎に濃縮されている可能性がある。そのため, ン自体が水生植物であるが,それ以外にミズタガ DCPの各試験植物のEC50値は過大評価されて ラシやオオバタネツケバナなどがある。カーネー いるかもしれない。さらに,発芽生長試験の感受 ションは真正双子葉類のナデシコ目に属し,同じ 性は,試験期間を7日間から14日間に延ばして 目に水生植物のヤナギタデやエゾノミズタデなど もほぼ同じか若干低下する程度であった。培養開 がある。レタスは真正双子葉類のキク目に属し, 始14日後のDCPのバジルのEC50値は,培養開 同じ目に水生植物のアサザおよびガガブタなどが 始7日後に比べ3倍増加しているが,バジル特有 ある。バジルは真正双子葉類のシソ目に属し,同 の現象もしくはデータのばらつきによる見かけ上 じ目に水生植物のカワヂシャやイヌタヌキモなど の変化と考えられる。よって,このような水質の がある。このように,試験生物の5種植物は日本 変化および感受性が大きく変化しないことを考慮 産の主な水生植物と同じ目であり,より幅広い分 して,毒性試験の試験期間は14日より7日が適 類群の感受性差をカバーできるようになった。た 切であると考えられた。一方で,各試験生物の生 だし,目レベルの中でも感受性差が当然あるた 長量にばらつきが認められたため(Fig. 2),ば め,目レベルで1種試験すればそれで良いという らつきを抑えるための試験条件を精査する必要が わけではない。本研究では,これまで2目しかカ ある。加えて,クライテリアの設定のため,今後 バーできなかった状態から,目レベルでカバーで

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きる数を増やすことを優先的に行うべきと考え 2) EFSA PPR Panel (2013) Guidance on tiered た。科レベルなどのより細かい感受性差の把握は risk assessment for plant protection products 今後の課題である。 for aquatic organisms in edge-of-field surface DCPに対する5種植物の感受性差は,培養開 waters. EFSA J, 11(7), 3290. 始7日および14日後の両日ともに3倍以内と小 3) US Environmental Protection Agency (2017) さ か っ た(TABLE 3;EC50: 培 養 開 始7日 後 Technical Overview of Ecological Risk 8.3~17 mg/L,培養開始14日後8.4~25 mg/L)。 Assessment - Analysis Phase: Ecological 過去のDCPを用いたウキクサとホザキノフサ Effects Characterization, https://www. ) ) モの毒性試験 21 , 22 の結果(EC50:ウキクサ 2.5 epa.gov/pesticide-science-and-assessing- mg/L,ホザキノフサモ3.8 mg/L)と本研究を比 pesticide-risks/technical-overview- 較しても,感受性差が10倍以内と小さかった。 ecological-risk-assessment-0 一方で,農薬の毒性は,対象生物種によって 4) 角野康郎 (2014) 日本の水草, 文一総合出版. ) 極端に異なることが知られている 9 。2,4-Dに対 5) APG Ⅳ (2016) An update of the Angiosperm する5種植物の感受性差は,培養開始7日およ Phylogeny Group classification for the び14日後の両日ともに10倍以上と大きかった orders and families of flowering plants: APG (TABLE 3;EC50:培養開始7日後100 ~ 2100 Ⅳ. Bot J Linn Soc, 181(1), 1-20. µg/L,培養開始14日後130 ~ 1600 µg/L)。また, 6) OECD (2006) OECD guidelines for the 5種植物の中で最も感受性が高かった培養開始7 testing of chemicals: 221 Lemna sp. Growth 日後のレタスのEC50=100 µg/Lは,過去の2,4-D Inhibition Test. Organization for Economic を用いたウキクサの毒性試験のEC50=7080~ Cooperation and Development, Paris. ) ) 10660 µg/L15 , 23 と比較しても感受性が大幅に高 7) OECD (2014) OECD guidelines for the ) ) ) く,ホザキノフサモ15 やオオフサモ23 , 24 の毒性 testing of chemicals: 238 Sediment-Free 試験のEC50=11~50 µg/Lに比較的近い値であっ Myriophyllum spicatum Toxicity Test. ) た。さらに,2,4-Dを用いた藻類の毒性試験 15 の Organization for Economic Cooperation and 感受性(>78000 ~ >582200 µg/L)と比べると Development, Paris. 本研究で使用した5種植物の方が大幅に高感受性 8) OECD (2014) OECD guidelines for the であり,藻類に対して毒性が弱い除草剤を対象と testing of chemicals: 239 Water-Sediment した追加試験として,新たに開発した本試験方法 Myriophyllum spicatum Toxicity Test. が有用であることが示唆された。 Organization for Economic Cooperation and Development, Paris. 謝辞 9) Nagai, T. (2016) Ecological effect assessment 本研究は平成29年度環境省請負業務「平成29 by species sensitivity distribution for 68 年度農薬水域生態リスクの新たな評価法確立事 pesticides used in Japanese paddy fields. J 業(調査研究)業務」の一環として実施した。な Pestic Sci, 41(1), 6-14. お,内容については筆者らの責任に負うものであ 10) OECD (2006) OECD guidelines for the り,環境省の見解ではない旨を記す。鄭雅志氏に testing of chemicals: 208 Terrestrial Plant は2,4-Dの化学分析を行っていただいた。また, Test: Seedling Emergence and Seedling 2名の査読者並びに編集委員には有益なご指摘を Growth Test. Organization for Economic いただいた。ここに記して御礼申し上げる。 Cooperation and Development, Paris. 11) ISO (2016) ISO18763:2016(en) Soil quality- 参考文献 -Determination of the toxic effects of 1) 環境省 (2002) 水産動植物に対する毒性に pollutants on germination and early growth 係る登録保留基準の改定について, https:// of higher plants. www.env.go.jp/water/dojo/sui-kaitei.pdf 12) 竹松哲夫 (1982)除草剤研究総覧, 博友社.

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13) 日本植物防疫協会 (2016) 農薬ハンドブック 23) Tunić, T., Knežević, V., Kerkez, Đ., Tubić, 2016年版(改訂新版),日本植物防疫協会. A. (2015) Some arguments in favor of a 14) 環境省 (2018) 水産動植物の被害防止に係る Myriophyllum aquaticum growth inhibition test 農薬登録保留基準として環境大臣の定める in a water–sediment system as an additional 基準の設定に関する資料(案), http://www. test in risk assessment of herbicides. Environ env.go.jp/council/10dojo/y104-68/siryou3. Toxicol Chem, 34(9), 2104-2115 pdf 24) Turgut, C., Fomin, A. (2002) Sensitivity 15) EFSA PPR Panel (2014) Conclusion on the of the rooted macrophyte Myriophyllum peer review of the pesticide risk assessment of aquaticum (Vell.) Verdcourt to seventeen the active substance 2,4 ‐ D. EFSA J, 12(9), pesticides determined on the basis of EC50. 3812. Bull Environ Contam Toxicol, 69(4), 601-608 16) Blaise, C., Vasseur, P. (2005) Algal microplate toxicity test. In Blaise, C., Ferard, J. F. (Eds) Toxicity test methods, vol 1-Small-scale (受付:2018 年12月3日;受理 2019 年 3月14日) freshwater toxicity Investigations, Springer. 17) Michel, A., Johnson, R. D., Duke, S. O., Scheffler, B. E. (2004) Does-response relationships between herbicides with different modes of action and growth of Lemna paucicostata: an improved ecotoxicological method. Environ Toxicol Chem, 23(4), 1074-1079. 18) Cedergreen, N., Andersen, L., Olesen, C. F., Spliid, H. H. (2005) Does the effect of herbicide pulse exposure on aquatic plants depend on Kow or mode of action? Aquat Toxicol, 71(3), 261-271. 19) Maltby, L., Arnold, D., Arts, G., Davies, J., Heimbach, F., Pickl, C., Poulsen, V. (2009) Aquatic macrophyte risk assessment for pesticides, CRC Press. 20) de Kroon, H., Visser, E. J. W. (2003) Root Ecology, Springer. 21) 石原悟, 佃美和, 清野義人 (2010)アオウキク サ類を供試生物としたウキクサ生長阻害試験 の試験条件. 環境毒性学会誌. 13, 131-139 22) Mohr, S., Schott, J., Maletzki, D., Hünken, A. (2013) Effects of toxicants with different modes of action on Myriophyllum spicatum in test systems with varying complexity. Ecotox Environ Safe, 97, 32-39

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