Color ユーザーズマニュアル K Apple Inc. Apple、 Apple ロゴ、DVD Studio Pro、 Final Cut、 © 2007 Apple Inc. All rights reserved. Final Cut Pro、 FireWire、LiveType 、Mac 、Macintosh 、 Mac OS 、 QuickTime、および Shake は、米国およびその他 本ソフトウェアは同梱のソフトウェア使用許諾契約書に記載 の国で登録された Apple Inc. の商標です。 の条件のもとでお使いください。Final Cut Studio ソフト ウェアの所有者または正当な複製の使用者は、これらのソフ Cinema Tools および Finder は、Apple Inc. の商標です。 トウェアの学習の目的のために本書を複製することができま 本書に記載のその他の社名、商品名は、各社の商標です。本 す。複製の販売や有料サポートサービスなどの商業的な目的 で、本書の一部または全部を複製または転載することはでき 書に記載の他社商品名は参考を目的としたものであり、それ らの製品の使用を強制あるいは推奨するものではありませ ません。 ん。また、Apple は他社商品の性能または使用につきまして Apple ロゴは米国およびその他の国で登録された Apple Inc. は一切の責任を負いません。 の商標です。キーボードから入力可能な Apple ロゴについ ても、これを Apple Inc. からの書面による事前の許諾なしに 商業的な目的で使用すると、連邦および州の商標法および不 正競争防止法違反になる場合があります。

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序章 9 のマニュアルとリソース 9 「 Color」とは 10 「 Color」のマニュアルを使う 10 「 Color」の Web サイト 11 アップルのサービス&サポート Web サイト

第 1 章 13 色補正の基本 13 色補正とは

16 色補正を行うタイミング 22 「 Color」での色補正 24 イメージのエンコーディング基準 27 色およびイメージングの基本的な考え方

第 2 章 35 色補正のワークフロー 35 「 Color」のワークフローの概要 37 「 Color」での制約 39 「 Final Cut Pro」を使ったビデオ仕上げワークフロー 47 ほかのビデオ編集アプリケーションからプロジェクトを読み込む 49 デジタル・インターメディエイト・ワークフローで「Color 」を使う 56 EDL、タイムコード、およびフレーム番号を使ってプロジェクトを適合する

第 3 章 59 Color のインターフェイスを使う 60 コントロールサーフェスを設定する 60 画面上のコントロールを使う 64 整理用のブラウザとビン 70 1 台または 2 台のモニタで「 Color」を使う

第 4 章 71 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 72 プロジェクトを作成する/開く 72 プロジェクトおよびアーカイブを保存する 75 「 Final Cut Pro」と「 Color」間でプロジェクトを移動する 79 プロジェクトを再適合する 80 EDL を読み込む

3 82 EDL を書き出す 82 QuickTime メディアを再リンクする 83 メディアを「Timeline 」に直接読み込む 84 互換性があるメディアフォーマット 88 Cineon および DPX イメージシーケンスを QuickTime に変換する 89 色補正を読み込む 89 JPEG イメージを書き出す

第 5 章 91 Setup 91 ファイルブラウザ 92 「 Shots」ブラウザ 97 「 Grades」ビン 98 「 Project Settings」タブ 102 「 Messages」タブ 102 「 User Preferences」タブ

第 6 章 111 モニタリング 111 「 Scopes」ウインドウ 113 ブロードキャストビデオ出力をモニタリングする 115 ディスプレイの LUT を使う 120 「 Still Store」をモニタリングする

第 7 章 121 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 122 「 Timeline」の基本的な UI 要素 123 「 Timeline」のインターフェイスをカスタマイズする 125 トラックを使って作業する 126 現在のショットを選択する 126 「 Timeline」の再生 128 「 Timeline」のナビゲーション 129 「 Timeline」でショットを選択する 131 「 Timeline」でグレードを使って作業する 132 設定タブ 133 編集コントロールと手順

第 8 章 141 ビデオスコープ 141 使用可能なスコープ 144 ビデオスコープのオプション 145 ビデオスコープを使ってイメージを分析する

第 9 章 163 Primary In 163 「 Primary In」ルームの用途 166 プライマリのコントラストコントロールを使う 168 シャドウ、中間色調、ハイライトのコントラストを調整する 179 カラーバランスのコントロールを使う

4 目次 183 シャドウ、中間色調、ハイライトの調整について理解する 189 カーブコントロール 201 「 Basic」タブ 204 「 Advanced」タブ 206 Auto Balance

第 10 章 209 Secondaries 209 「 Secondaries」ルームの用途 211 どこから始めるのか 212 HSL 限定子を使って補正する領域を選択する 219 「 Previews」タブ 221 ビネットコントロールを使って領域を分離する 228 選択部分の内側と外側を調整する 229 セカンダリーカーブを使う 234 リセットコントロール

第 11 章 235 Color FX 235 「 Color FX」のインターフェイス 236 「 Color FX」の作成方法 238 ノードを作成する/結合する 239 ノードパラメータを調整する 241 ノードを無効にする 242 「 Color FX」ルームでエフェクトを作成する 247 「 Color FX」をインターレースされたショットと一緒に使う 248 よく使うエフェクトを「Color FX Bin」に保存する 249 ノード・リファレンス・ガイド

第 12 章 259 Primary Out 259 「 Primary Out」ルームを使う 260 「 Primary In」ルームでさらに補正する 260 一連のイメージ処理について理解する 261 「 Ceiling」コントロールを使う

第 13 章 263 補正とグレードを管理する 263 補正とグレードの差異 264 補正とグレードを保存する/使う 268 保存した補正とグレードをショットに適用する 269 「 Timeline」でグレードを管理する 272 「 Primary In」/「 Primary Out」ルームの「 Copy To Selected」/「Copy To All」ボタンを 使う 273 「 Copy Grade」および「 Paste Grade」のメモリバンクを使う 274 「 Timeline」で Beauty Grade を設定する 274 すべてのグレードを無効にする

目次 5 274 「 Shots」ブラウザでグレードを管理する 281 「 Primary In」/「 Primary Out」、「 Secondaries」、および「Color FX」の各ルームを一緒に 使って各ショットの補正を管理する

第 14 章 285 キーフレーム 285 エフェクトにキーフレームを使う理由 286 各ルームでのキーフレームの動作 288 「 Timeline」でキーフレームを使って作業する 290 キーフレーム補間

第 15 章 293 Geometry 293 イメージプレビュー内を移動する 294 「 Pan & Scan」タブ 298 「 Shapes」タブ 306 「 Tracking」タブ

第 16 章 315 Still Store 315 「 Still Store」にイメージを保存する 317 「 Still Store」のイメージをサブディレクトリに保存する 317 「 Still Store」からイメージを削除する 318 「 Still Store」からイメージを呼び出す 318 「 Still Store」の表示をカスタマイズする 319 「 Still Store」のビンのコントロール

第 17 章 321 Render Queue 321 「 Color」のレンダリングについて 322 「 Color」でレンダリングできるエフェクト 323 「 Render Queue」のインターフェイス 324 プロジェクトのショットをレンダリングする方法 326 1 つのショットの複数のグレードをレンダリングする 328 Gather Rendered Media

付録 A 329 モニタを調整する 329 カラーバーについて 329 カラーバーを使ってビデオモニタを調整する

付録 B 333 キーボードショートカット 333 プロジェクトのショートカット 334 ルームおよびウインドウを切り替える 334 再生とナビゲーション 335 グレードのショートカット 335 「 Timeline」専用のショートカット 335 編集のショートカット

336 キーフレームのショートカット

6 目次 336 「 Shots」ブラウザのショートカット 336 「 Geometry」ルームのショートカット 337 「 Still Store」のショートカット 337 「 Render Queue」のショートカット

付録 C 339 コントロールサーフェスを設定する 339 JLCooper MCS-3000、MCS-Spectrum 、 MCS-3400、および MCS-3800 コントロールサー フェス 344 Tangent Devices CP100 コントロールサーフェス 346 Tangent Devices CP200 シリーズのコントロールサーフェス 351 コントロールサーフェスの感度をカスタマイズする

索引 353

目次 7

Color のマニュアルとリソース

序章

「Color 」によるビデオとフィルムのプロフェッショナルなグレーディ

ング操作の世界にようこそ。

「Color 」とは 「 Color」は、豊富な機能を備えた色補正環境として一から設計された製品で、プロジェクトが標 準解像度か、高精細度か、 2K デジタルインターメディエイトかを問わず、さまざまなポストプ ロダクションワークフローを補完します。「Final Cut Pro」を使ってプログラムを編集している 場合は、「Color 」にプログラムを送信することも簡単です。グレーディングが完了したら、最終 出力にするために「Final Cut Pro」に戻します。また、ほかの編集環境で EDL として作成され たプロジェクトの再適合も簡単にできます。

「 Color」には、プロのカラリストが必要とする以下のツールが用意されています: Â 3 ウェイのカラーバランスとコントラストコントロールを使ったプライマリ色補正(シャドウ、 中間色調、ハイライトを個別に調整可能) Â カラーおよびルミナンスチャンネルを細かく調整するためのカーブコントロール Â ショット当たり最大 8 つのセカンダリー色補正操作( HSL 限定子、ビネット、ユーザが作成し た図形、各セカンダリーの内側と外側の個別調整) Â カスタムのカラーエフェクトを作成するための Color FX ノードベースのエフェクト Â 「 Pan & Scan」のエフェクト Â ビネット、ユーザが作成した図形、その他のエフェクトのアニメーション表示に使用できる モーショントラッキング Â 品質管理標準に対する準拠を保証する放送規制設定 Â 色補正に特化したコントロールサーフェスのサポート Â その他

これらのツールはすべて、「 Color」のインターフェイスにある 8 つの「ルーム」に収められてい ます。ルームは、カラリストの一般的なワークフローと同じ順序で編成されています。「Color 」 は、プログラムの各ショットの補正、バランス調整、統一感のある外観作りのために、ポストプ ロダクションワークフローの最終ステップで使います。これまでなら高機能の施設でしかできな かったような最終仕上げを行うことができます。

9

「Color 」のマニュアルを使う 「 Color」には、製本版の設定ガイドと、画面で参照できるユーザーズマニュアルが付属してい ます。

Color 設定ガイド 「Color 設定ガイド」は、オンスクリーンのユーザーズマニュアルからの抜粋です。「 Color」を さまざまなポストプロダクションワークフローに組み込む方法や、ニーズに合わせて「 Color」の プロジェクト設定やユーザ環境設定を行う上で参考になる情報が収録されています。「 Color」を インストールしたばかりで、効率的に作業できるようにシステムをセットアップする方法を知り たい場合は、まずこのガイドを読むとよいでしょう。

「 Color ユーザーズマニュアル」(オンスクリーン) 「 Help」メニューから表示できる「Color ユーザーズマニュアル」は、アプリケーションに関す る包括的な情報を集めたマニュアルで、あらゆる経験レベルのユーザを対象としています。 Â 編集やポストプロダクションの専門家であるけれども色補正処理はまったくはじめてという 人のために、色補正について基礎から解説しています。また、すべてのコントロールの機能と そのように機能する理由について、詳しく説明しています。 Â 「 Color」以外のグレーディング環境での経験を持つカラリストは、「 Color」の内部的なしくみ に関する詳細な情報や、「 Color」のインターフェイスにある全ルームのパラメータの説明から 読み始めてもよいでしょう。

参考:オンスクリーンのユーザーズマニュアルには、「Color 設定ガイド」の情報がすべて収録さ れています。簡単に検索を実行できるほか、イラストがフルカラーで分かりやすくなっています。

チュートリアル DVD-ROM に収められているオンスクリーンのビデオチュートリアル集は、「 Color」をはじめて 使う人に最適です。インターフェイスの主要な部分を網羅しているので、ユーザーズマニュアル の詳細な説明を読む前に概要を把握できます。

「Color 」の Web サイト 次の Web サイトでは、「Color 」に関する一般情報、アップデート、サポート情報のほか、最新 情報、リソース、トレーニング教材を公開しています。

「 Color」の詳細: Â http://www.apple.com/jp/finalcutstudio/color

Apple プロトレーニングの詳細: Â http://www.apple.com/software/pro/training

「 Color」に関するご意見やフィードバックをお寄せいただく場合: Â http://www.apple.com/jp/feedback/color.html

10 序章 Color のマニュアルとリソース アップルのサービス&サポート Web サイト アップルのサービス&サポートの Web サイトには、「Color 」をはじめとするすべてのアップル 製品のソフトウェアアップデートや、よくある質問とその答えが掲載されています。また、製品 仕様、リファレンスマニュアル、アップル製品の技術記事にもアクセスできます: Â http://www.apple.com/jp/support

「 Color」のサポート情報: Â http://www.apple.com/jp/support/color

序章 Color のマニュアルとリソース 11

1 色補正の基本 1

「Color 」がどのような働きをするのかを知るには、色補正処理の全工 程を把握すると共に、SD 、HD 、およびフィルムのワークフローにお いてイメージ処理のポストプロダクションがどのように行われるか を理解することが重要です。

これまでに色補正の経験がないという方のために、この章の前半で色補正ワークフローに関する 予備知識がまとめられているので、「Color 」がなぜ必要で、どのような働きをするのか理解する 上での助けにしてください。後半では、「Color 」のインターフェイスの動作にとって重要な色お よびイメージ作成の考え方について説明します。

この章では以下について記載します: Â 色補正とは(13 ページ) Â 色補正を行うタイミング(16 ページ) Â 「 Color」での色補正( 22 ページ) Â イメージのエンコーディング基準( 24 ページ) Â 色およびイメージングの基本的な考え方( 27 ページ)

色補正とは どのようなポストプロダクションワークフローにおいても、色補正は通常、編集が終了したプロ グラムを仕上げるための最後の手順の 1 つとして行われます。プログラム内の各ショットのコン トラスト、色、ジオメトリを処理するための柔軟なツールおよび効率的なワークスペースを提供 することで、プロジェクト内のすべてのショットの外観を正確に制御できるように作られたのが 「 Color」です。

色補正の目的 プログラムの色補正を行う場合、このセクションに記載するタスクすべてではないにせよ、その 多くのタスクが必要です。「Color 」は、ここに記載するタスクはもちろん、それ以外にも多くの タスクに対応した、非常に広範な機能セットを備えています。通常、色補正セッションをどの程 度行うかは作業にかけることができる時間によって左右されますが、「 Color」の専用の色補正イ ンターフェイスにより迅速かつ効率的な作業が可能になります。

13 基本事項 どのようなプログラムの場合でも、少なくとも以下のステップが必要になります。慣れてくれば、 これらの大半はプライマリ色補正ツールを使うことで対応できます(詳細については、163 ペー ジの第 9 章「Primary In」を参照してください)。 Â プログラム内のキーエレメントを本来あるべき外観にする: プログラムのどのシーンにも、見 る人の注目を引き付けるキーエレメントがあります。ナレーション入りビデオやドキュメンタ リビデオでは、それぞれのショット内に登場する人物に焦点が置かれるはずです。コマーシャ ルビデオでは、製品(たとえば、ボトルのラベルや車の色)がキーエレメントになることは言 うまでもありません。このようなキーエレメントが何であろうと、見る側にとって、本来ある べき外観を期待するのは当然のことであり、プログラム内の色を当初そのエレメントを撮影し たときの色にする必要があります。 人物を撮影したショットの場合、プログラム内の肌の色合いを実際のものと同じに(または、 それ以上に)することが色補正を行う上での指針の 1 つです。ベクトルスコープで客観的に測 定した場合、人種や肌の色に関係なく、人間の肌の色合いはきわめて狭いに範囲に収まります (ただし、サチュレーションとブライトネスは多様です)。「 Color」には、編集が終了した完成 段階の作品に含まれる人物の肌の色合いを本来あるべき色合いにするために必要となる、あら ゆる調整を行うツールが装備されています。

 カラーバランスおよび露出の間違いを修正する: デジタルに取得したイメージの場合(アナロ グビデオやデジタルビデオで撮影したもであるか、フィルムから転送されたものであるかに関 係なく)、当初、露出やカラーバランスが最適なレベルになっていないことがあります。たと えば、ビデオカメラやデジタルシネマカメラの多くは、不注意によってデータがつぶされるこ とがないように、完全に 0パーセントでない黒の部分も意図的に録画するようになっています。 さらに、撮影時にアクシデントが起こることもあります。たとえば、撮影クルーが撮影状況下 でカラーバランスの合ったフィルムストックを持っていなかったり、蛍光灯照明の室内でイン タビューを撮影する際にビデオカメラのホワイトバランス補正を忘れたりすると、映像が緑が かった色合いになってしまうことがあります。「 Color」では、このような種類の誤りを簡単に 修正できます。

 シーン内ですべてのショットを考慮してバランスをとる: 編集が終了したプログラムのほと んどには、何日、何週間、または何カ月にもおよぶ制作においていくつもの場所で撮影した、 さまざまなソースの映像が組み込まれています。非常に高いスキルを持った照明クルーやカメ ラクルーであっても、色や露出の違いが生じるのは仕方のないことで、1 つのシーンに収まる はずのショット内でもこのような違いが生じることがあります。 一括編集した場合、色や照明のこのような変化によって特定のショットが目立ってしまい、編 集にむらが現れることがあります。色補正を入念に行うことで、1 つのシーンを構成する個々 のショットのバランスをとることができ、同時に同じ場所、同じ照明で撮影しているかのよう に見せることができます。これは通常、シーン間の色補正と呼ばれます。

14 第 1 章 色補正の基本 Â コントラストを作成する: 色補正は、2 つのシーン間でコントラストを作成し、より不調和な 効果を生み出すためにも使うことができます。青々と茂ったジャングルのシーンから赤や黄色 が目立つ荒涼とした砂漠の風景へのカットを想像してください。色補正を使えば、このような 違いをうまく際立たせることができます。 Â 「外観」の表現を実現する: 色補正処理は、作品内のビデオすべてを客観的な露出モデルに合 わせるだけではありません。色も音と同様に、微妙に組み合わせを変えることで、プログラム 全体を驚くほど変えることができる情報です。 色補正により、ビデオの色を鮮やかに濃くするのか、色を抑えた外観にするのかを制御するこ とができます。色合いを赤系にすることでショットの外観を暖かい感じにすることができ、青 系にすると冷たい感じにすることができます。シャドウ部分からディテールを引き出したりつ ぶしたりして、ピクチャのコントラストを上げると、荒涼とした感じに見せることができま す。このような細部の修正により、再生されるシーンに対しての視聴者の受け止め方が変わ り、プログラムの雰囲気に変化が生じます。作品、または個々のシーンの外観が決まったら、 色補正を使って、該当するシーン内のすべてのショットも同じ外観になるようにすることで、 スムーズなカットが可能になります。

 放送の合法性に関するガイドラインに準拠する: テレビ放送向けのプログラムの場合、最小黒 レベル、最大白レベル、およびクロマのサチュレーションとコンポジット RGB の最小/最大 限度の「適正な」値が規定された一連の品質管理(QC )ガイドラインが通常支給されます。 「非適正な」値を適用した場合、プログラムを転送するためにエンコードしたときにエラーが 発生する可能性があるため、このようなガイドラインに従うことは、プログラムの放送を許可 されるためには重要です。QC 基準はさまざまであるため、このようなガイドラインの内容を あらかじめチェックしておくことが重要です。「 Color」には、ビデオレベルが所定の限度を超 えないよう自動的に防止する放送安全設定(リーガライザとも呼ばれます)が内蔵されていま す。詳細については、 100 ページの「「 Broadcast Safe」設定」を参照してください。

詳細作業 時間が許すのであれば、「Color 」のツールセットでプログラムの外観をさらに調整することがで きます: Â 特定のエレメントを個々に調整する: 狭い範囲の色だけを選択的に対象として、その色値だけ を変更または置換することが必要になる場合があります。一般的な例としては、赤い車を青に 変えたり、衣料品のきつい色を抑えたりすることがあります。この種のタスクは「セカンダ リー色補正」と呼ばれる技術で対応でき、「Color 」にはこのような効果を得るためのツールが 数多く用意されています。詳細については、 209 ページの第 10 章「 Secondaries」を参照し てください。

第 1 章 色補正の基本 15 Â デジタル照明を調整する: 撮影時には適切と思えた照明の設定でも、ポストプロダクションで うまくいかないことがあります。ディレクターが構想を変更したり、編集段階でシーンの色調 を変更したり、ポストプロダクション段階で写真監督(DoP )が提案したりすることによっ て、イメージの全体的なコントラストを調整するだけでなく、シーン内の照明を変更すること が必要になる場合があります。「Color 」には、ユーザ定義可能なマスキングのための強力なコ ントロールが用意されているので、セカンダリー色補正のコントロールと組み合わせて使うこ とで、イメージ内の複数の領域を分離して照明を微調整することができます。これはデジタル リライティングとも呼ばれます。詳細については、 209 ページの第 10 章「Secondaries 」お よび 298 ページの「「 Shapes」タブ」を参照してください。 Â 特殊効果を作成する: 色や露出を集中的に処理して、昼間であっても夜間撮影したように見せ るといった効果をさらに加えて、フラッシュバックや幻覚の連続で異常な状態を作り出した り、音楽ビデオに変わった効果を作り出したりといったことがシーン内で必要になることがあ ります。「Color 」でこのような綿密な合成効果を効率的に作成するため、「 Color FX」ルーム には拡張可能なノードベースのツールセットが用意されており、これ以外のプライマリツール やセカンダリーツールと一緒に自由に使うことができます。詳細については、235 ページの 第 11 章「 Color FX」を参照してください。

このように、処理するべきことは数多くあります。ただ、幸いにも、「Color 」のインターフェイ スではこれらのタスクがきちんと整理されています。

色補正を行うタイミング ポストプロダクション処理の色補正段階まで、プログラムの色の忠実性を軽視しないでくださ い。どのプロジェクトの場合であっても、まず色の管理方針を決め、撮影時にこの方針を適用し たら、ポストプロダクション段階で行われるさまざまな転送および編集作業時にもこの方針を守 り、「 Color」で最終的な色補正を行うのが理想的です。このセクションでは、従来フィルムおよ びビデオのイメージがポストプロダクションでどのように処理されてきたかについて詳しく説 明します。

撮影時の色管理 フィルムやビデオを使ってプログラムを撮影するのであっても、別の手段で高解像度デジタルイ メージングを使って撮影するのであっても、プロダクション段階での各シーンの照明および撮影 と共に、プログラムの全体的な外観を決定するプロセスが始まるということを忘れなでくださ い。ポストプロダクション段階で最大限にショットを制御したり柔軟に処理できるようにしたり するには、最終目的を当初から念頭に置いて、映像を撮影するのが理想的です。ポストプロダク ションでの色補正は、適切な照明に代わるものではありません。

楽観的に言えば、色補正は、プロデューサー、ディレクター、写真監督( DoP)が当初想像して いたようにビジョンを広げ、展開していくための処理と見ることができます。写真監督自身が、 思い描いていた通りの外観にするために、色補正処理に加わることもあります。

16 第 1 章 色補正の基本 または、ディレクターやプロデューサーが完成作品の外観について考えを変えることもありま す。このような場合、色補正によって、作品の全体的な外観を変えることができます(たとえば、 冷たそうな映像を暖かく見せるなど)。「 Color」では映像を非常に詳細に制御することができま すが、正しい露出できれいに映像を撮影することが何よりも重要です。

さらに、使用するフィルムフォーマットやビデオフォーマット、カメラの設定など、プリプロダ クション時および撮影時に行った選択によって、最終的な色補正処理段階でどの程度柔軟な対応 が可能かが大きく左右されます。

フィルム転送時の初期色補正 プロジェクトをフィルムに撮影した場合、テレシネまたはデータシネ装置を使って編集およびデ ジタルポストを行う前に、まずカメラのネガをビデオテープまたは目的のデジタルビデオフォー マットに転送する必要があります。テレシネとはフィルムをビデオテープに転送するための装置 で、データシネはフィルムを直接デジタルフォーマット(通常は、イメージシーケンス)に転送 するよう設定されます。

カメラネガ テレシネ ビデオテープ

通常、フィルム転送セッションを行うカラリストは、編集者が最適なピクチャを編集できるよう に、ある程度の色補正を行います。この段階での色補正の目的は、プロジェクトの長さおよび決 定されているポストプロダクションのワークフローの両方によって決まるのが一般的です。

 短いプロジェクト、コマーシャル、スポット、および非常に短いビデオの場合は、この場で詳 細な色補正を行うことができます。カラリストはまず、テレシネ自体の色補正を調整し、白い 部分、黒い部分、およびカラー部分のバランスを調整します。次に、写真監督、ディレクター、 またはプロデューサーと相談の上、プロジェクトのニーズに合わせて各ショットの外観を 1 ショットずつ決めていきます。これによって、編集者は補正済みの映像を処理することができ ます。  長編フィルムや長いテレビ番組などの長時間プロジェクトでは、この場で詳細な色補正を行う ことはまずありません。テレシネで変換した映像を編集に適したイメージにするためには、映 像のバランスを調整して、露出や色をほぼ理想的なものにするだけで、それ以外については何 も行いません。詳細な色補正はその後別の段階で行います。

第 1 章 色補正の基本 17 Â ポストプロダクションをデジタルインターメディエイトとして行うプロジェクトは、その長さ に関係なく、最大量のイメージデータを保持するように色補正した上で転送されます。ポスト プロダクション処理の最後でもう一回最終的なデジタル色補正処理を行うので、イメージデー タを高品質にして、ハイライトやシャドウといったディテールができる限り保持されるように しておくことが不可欠です。興味深いことに、ここで目的としているのは、プログラムの最終 的な外観を作ることではなく、イメージデータを保持することであるため、グレーディングの 最高品質のイメージが、外観的に最も魅力あるイメージであるとは限りません。

いずれにしても、テレシネまたはデータシネの初期転送時に色補正処理を行っても、色補正処理 が終了した段階で、通常のポストプロダクション処理に映像が渡されて、オフラインおよびオン ラインの編集が行われます。

フィルム/ビデオを色補正する 「Color 」は、ビデオとフィルム両方のデジタル・インターエディエイト・ワークフローに合わ せて設計されています。すべての映像は、最初に QuickTime フォーマットまたはイメージシー ケンスフォーマットに転送してから「Color 」に読み込む必要があるため、同じツールと方法 でフィルムとビデオのイメージを補正します。

プログラムで使われるメディアの品質は、主に以下の 3 つの属性によって左右されます。これ らの属性はすべて、「 Color」に映像を読み込む前に、映像を取り込むかまたは転送したときに 定義します:

 メディアに適用される圧縮のタイプおよびレベル  エンコードされるときのビット深度  使われるクロマのサブサンプリング比率

色補正では、圧縮によって調整の品質が犠牲にされることがあるため、空間的および時間的な 圧縮は最小限度に抑えてください。また、通常はビット深度の高いメディアが適しています (26 ページの「ビット深度」を参照してください)。

何よりも重要なことは、補正の品質および柔軟性を最大限に引き出すために、クロマのサブサ ンプリング比率が高い方が適している( 4:4:4 または 4:2:2 など)ということです。4:1:1 また は 4:2:0 でサブサンプリングされた映像を使ってはいけないわけではありませんが、圧縮率が 高い色空間では極端なコントラストの調整やスムーズな二次選択がかなり難しくります。

詳細については、 25 ページの「クロマのサブサンプリング」を参照してください。

最終的な色補正の従来の方法 編集を完了してピクチャをロックしたら、色補正(フィルムの世界ではカラーグレーディングと 呼ばれます)を開始します。従来、この処理は、フィルムの場合はカラータイミングセッション、 ビデオの場合はテープ間色補正セッションで行われてきました。

18 第 1 章 色補正の基本 フィルムの場合のカラータイミング 従来、フィルムで色補正が行われるプログラムは、カラータイミングの前にネガの適合処理を行 います。編集が完了したら、カットリストまたはプルリストを使い、編集済みのプログラムの ワークプリントまたはビデオカットに合わせて、オリジナルのカメラネガの適合を行います。 カットリストまたはプルリストは、「 Final Cut Pro」を使ってプログラムが編集された場合に 「 Cinema Tools」から生成することができ、編集済みのプログラムで使われる各ショットがリス トされ、そのショットをどのように合わせるかが示されています。ネガを間違ってカットした場 合には修正に高いコストが必要となるため、適合には長い時間と細かい作業が必要です。

カメラネガの適合を行い、A ロールと B ロールに交互に異なるショットを物理的に貼り付けた ら、専用の光学プリンタでネガのカラータイミングを行うことができます。この光学プリンタは、 オリジナルのネガをフィルタ処理したライトで照射することで、インターメディエイトポジプリ ントを露光させ、この過程で色補正された 1 本のフィルムを作り上げます。

各ショットのカラー制御とシーン間の色補正は、3 つのコントロールを使うだけで実行できます。 これらのコントロールはそれぞれ、一連のオプティカルフィルタとシャッターを使ってフィルム に露光する赤、緑、青の光の量を個別に調整します。赤、緑、青のダイヤルはそれぞれ、プリン タポイント(それぞれのポイントが、フィルムの露光の測定に使われる尺度である F ストップ の分量に対応します)と呼ばれる離散的なインクリメントで調整されます。通常、全体で 50 ポ イントあり、ポイント 25 はそのカラーチャンネルのオリジナルの中間色の状態になります。 3 つのカラーチャンネルすべての値を大きくするとイメージが暗くなり、値を小さくするとイメー ジが明るくなりますが、3 つのチャンネルに対して不均衡な調整を行った場合、それに応じてイ メージのカラーバランスが変わります。

各ショットに使った装置の設定を保存しておけば(紙テープテクノロジーを使って一度に保存で きます)、随時呼び出すことができ、それ以降のタイミング変更や調整作業を軽減できます。一 度手動でタイミングを設定すれば、プリント処理は自動的に行われます。インターメディエイト プリントを露光すると、現像して最終的な結果を投影することができます。

カメラネガ ネガの適合 オプチカル ・カラー・ タイミング 最終的なフィルム出力

このような色補正システムは、現在イメージ処理に使われているデジタルツールと比べると面倒 に思えるかもしれませんが、このシステムをマスターした人にとっては、非常に効率的なプライ マリ色補正方法と言えます。

第 1 章 色補正の基本 19 参考:「Color 」には、この色補正方法に慣れたカラリストのために、プリンタのポイントコント ロールが組み込まれています。詳細については、204 ページの「「 Advanced」タ ブ 」を参照して ください。

テープ間の色補正 ビデオテープに撮影したプロジェクト(および再度テレシネ処理を行うことができないフィルム に撮影したプロジェクト)では、色補正処理は従来のビデオのためのオフライン/オンライン ワークフロー内に含まれています。編集をロックしたら、当初オフライン処理に使われたシステ ムで再適合処理を行うか、または EDL およびオリジナルのソーステープをソーステープのフォー マットと互換性があるオンラインスイートに取り込むことで、最終的なマスターテープがアセン ブルされます。

オンラインでのアセンブルをハイエンドのオンラインスイートで行う場合、マスターテープのア センブル時またはアセンブル後に、色補正セッションでマスターテープを実行して色補正を行う ことができます。

ビデオテープ テレシネ オフライン編集 テープスイート 最終的なマスターテープ

参考:最終的なマスターテープの色補正を行う場合、カラリストはプログラムに生じているビデ オのディゾルブとワイプに合わせて、ディゾルブおよびワイプの色補正操作を入念に行う必要が あります。

いずれにしても、ビデオの色補正専用のハードウェアおよびソフトウェアでビデオ信号が処理さ れ、カラリストはテープのマスタータイムコードを使って、シーンごと、ショットごとに色補正 設定を行い、その設定を保持します。

ビデオの色補正には当初、フィルムのカラリストが使用する程度のコントロールしかありません でしたが、オンラインの色補正スイートの普及により、離散的な色調帯に対する個別の補正、キー イングおよび図形のコントロールによる特定のサブジェクトのセカンダリー色補正、そのほかこ れまではフィルムカラリストでは不可能であった数多くのクリエイティブなオプションといっ た、さまざまなツールが色補正処理に導入されました。

テレシネの再処理による色補正

いくつかのエピソードから構成される放送シリーズなど、ビデオマスタリングを目的としてフィ ルムに撮影されたプログラムの場合、テレシネスイートに戻して、最終的な色補正処理を行うこ とがあります。編集を完了してピクチャをロックすると、編集済みのプログラムの EDL に合わ せて、カットリストまたはプルリスト(ネガの適合で使ったものと似ています)が作成されます。

20 第 1 章 色補正の基本 ポストプロダクションの責任者は、カットリストを使って、実際に編集で使ったフィルムネガだ けを抜き出します。多くの場合当初撮影された映像の数は少ないため、カラリストは特定の映像 に時間をかけ(もちろん、ショーの予算にもよりますが)、選択した映像により詳細な色補正処 理を行った上で、最終的なテレシネ段階で最終的なビデオプログラムにアセンブルします。

この処理は不要に思えるかもしれませんが、フィルムネガから直接色補正を行うことには、いく つかの利点があります。フィルムはビデオよりも黒から白への露光範囲が広いため、カラリスト がその場でテレシネ処理を行うことで、ビデオだけを処理する場合よりも、描写される色および 露出の範囲を広げることができます。

さらに、テレシネのカラリストに提供される色補正装置も、オンラインビデオのカラリストが使 用可能なツールに合わせて進化し、テレシネから提供される圧縮されていない状態のイメージを カラリストが直接処理することができるようになりました。

再度色補正処理を行うことで、本来の編集作業に合わせて色補正された部分が再度アセンブルさ れ、プロジェクトがテープにマスタリングされます。

オフライン編集 コストのかからない ベストライトの カメラネガ ワンライトテレシネ処理 オフラインメディア テレシネ処理 最終マスターの再適合

補足すると、たとえテレシネスイートでプログラムを色補正するつもりがなくても、オリジナル のカメラネガから直接変更した方が簡単であるかまたは品質が高いような場合には、特定の ショットを再度転送して必要な変更を行ってもかまいません。たとえば、「Final Cut Pro」のシー ケンスで再度転送するショットを特定したら、「 Cinema Tools」を使って選択リストを作成し、 たとえば光学的に拡大したいショットなどで、転送処理にかかる時間を短縮できます。

第 1 章 色補正の基本 21 テレシネ転送のその他の利点 テレシネを使うカラリストは、編集中に生じる問題の種類に応じて、色補正以外にも多数のオ プションを利用することができます。 Â テレシネを使ってフィルムネガから直接イメージを抜き出すことで、カラリストはイメージ の配置を変更し、ビデオのアクションセーフエリアの範囲に収まらないフィルムイメージの 部分を含めることができます。 Â また、テレシネにより、見ためが歪むことなく、最大 50 パーセントほどイメージを光学的に 拡大することができます。 Â テレシネ内でショットのフレームを変更できるため、ディレクターまたはプロデューサー は、ミディアムショットをクローズアップして劇的な効果を生み出したり、間違ってショッ ト内に入ってしまったマイクを切り取るためにフレーム全体を上に移動させたりして、シー ンを大幅に変更することができます。

「Color 」での色補正 これまで、ほかのポストプロダクション環境で色補正がどのように行われるかを見てきました。 このセクションでは、「 Color」が通常のフィルムまたはビデオのポストプロダクション処理にど のように適応しているかについて説明します。

「 Color」では、これまでハイエンドのテープ間色補正スイートおよびテレシネ色補正スイートで 提供されていたものと同じハイエンドの色補正ツールを多数デスクトップに用意しています。さ らに、「 Color」では、専用の合成アプリケーションに通常見られるような補足ツールが「 Color FX」ルームに備えられているので、プログラム内のイメージをさらに詳細に制御することができ ます(詳細については、235 ページの第 11 章「 Color FX」を参照してください)。

「 Color」は、フィルムとビデオいずれの色補正環境にもなるよう設計されています。解像度には 依存せず、標準精細度のビデオから 2K のフィルムスキャンに至るまであらゆるものに対応して います。また、複数のメディアフォーマットをサポートし、さまざまなイメージシーケンスフォー マットおよび QuickTime コーデックを使用したイメージデータとも互換性があります。

さらに、「Color 」はデジタル・インターメディエイト・ワークフローに組み込まれるように設計 されています。「デジタルインターメディエイト」とは、テープレコーダや光学プリンタではな く、コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアを使って、編集、色補正、およびそれ以外 のデジタル処理を行うことができる高品質のデジタルバージョンのプログラムを意味します。

テープレスでビデオプログラムを仕上げる編集者、エフェクトアーティスト、カラリストはこれ までも長年にわたってデジタルインターメディエイトを行ってきましたが、この用語は通常、編 集の適合、エフェクト、色補正をすべてデジタル処理するために、フィルムフレームをデジタル にスキャンする処理を指します。この場合、デジタルイメージデータをフィルムに直接プリント したり、デジタル映写用にファイルとしてコンパイルしたりします。

22 第 1 章 色補正の基本 フィルムプログラムまたはビデオプログラムをデジタルに仕上げることで、カラリストはフィル ムおよびテープ駆動機構の制約から解放され、ノンリニア編集アプリケーションの場合と同じく らい迅速にプロジェクト内を移動できるようになり、作業にかかる時間を短縮することができま す。さらに、デジタルイメージデータの処理には安全のために余白が確保され、ネガに傷を付け たり、ソーステープを破損したりといったリスクがありません。

「 Color」の色補正を行うタイミング 「 Color」を使った色補正は、通常、オンライン編集またはプロジェクトの適合の終了時またはそ の前後に行われ、多くの場合これと同時に最終的なオーディオミックスが行われます。ピクチャ をロックするまで待つことが得策であることに変わりはないものの、「 Color」では XML ファイ ルまたは EDL を介して編集中のプロジェクトを同期化するためのツールが用意されているため、 必須というわけではありません。

「 Color」は「 Final Cut Pro 」のような編集アプリケーションと連携するように設計されています。 「 Final Cut Pro」は入力、編集、出力を担当し、「Color 」では色補正および関連するエフェクト を重点的に行うことができます。

「 Color」へのプロジェクトおよびメディアの読み込みについて 「 Color」でプログラムを処理するには、以下の 2 つのファイルセットが必要です: Â 「 Color」に読み込むことができるフォーマットで編集済みのプロジェクトファイル(プログラ ムが複数のリールに渡る場合は、プロジェクトファイルも複数になります)。互換性がある フォーマットとしては、ほとんどすべての編集環境で作成された「Final Cut Pro」の XML ファ イルおよび EDL ファイルが含まれます。同じコンピュータに「Final Cut Pro」がインストー ルされている場合、「 Send to Color」コマンドを使って「 Final Cut Pro」のシーケンスデータ を「Color 」に直接送信することもできます。 Â また、オリジナルのソースメディアの高品質バージョンが、互換性のある QuickTime フォー マットまたはイメージシーケンスフォーマットで用意される必要もあります。

「Color 」で処理される映像 「Color 」では、さまざまな解像度および圧縮率で、フィルムショットまたはビデオショットを QuickTime ファイルまたはイメージシーケンスとして処理することができます。これは、8 ビットまたは 10 ビット(リニアまたは対数)で、圧縮率が高い QuickTime DV-25 ショットか ら圧縮されていない 2K の .tif イメージシーケンスまで、クライアントから支給されるものすべ てに対処できることを意味します。

プロジェクトおよびメディアフォーマットの柔軟性は、多様なポストプロダクションワークフ ローに「 Color」を組み込むことができることを意味します。「Color 」を使ったさまざまな色補 正ワークフローの概要については、35 ページの第 2 章「色補正のワークフロー」を参照してく ださい。

「 Color」からのプロジェクトの書き出しについて 前述したように、「Color 」自体でビデオの取り込みやテープへの出力が処理されるわけではあり ません。「Color 」でプロジェクトの色補正を終了したら、プロジェクト内のすべてのショットを 色補正されたメディアファイルの代替セットとしてディスクにレンダリングした後、 Color プロ ジェクトを「 Final Cut Pro」に戻すか、または別のソフトウェア環境に引き渡してテープを一時 的に保管しておいたりフィルムアウトを行ったりします。詳細については、321 ページの第 17 章 「 Render Queue」を参照してください。

第 1 章 色補正の基本 23 イメージのエンコーディング基準 以降のセクションでは、「Color 」でサポートされるイメージのエンコーディング基準について重

要な情報を提供します。色補正を行うイメージデータは、通常、RGB フォーマットまたは Y´C BCR ( YUV と呼ばれることもあります)フォーマットを使ってエンコードされます。「Color 」は非常 に柔軟性に富み、どちらのタイプのイメージデータにも対応しています。

RGB 加法カラーモデル RGB カラーモデルでは、3 つのカラーチャンネルを使って、再現可能なそれぞれの色を表現する ために、赤、緑、青それぞれの値がそれぞれ異なる量で収容されます。これらのカラーチャンネ ルの相対的な値のバランスを調整することで、表現する色を調整できます。3 つの値すべてが同 じであると、黒からグレイ、白までの中間的な色調になります。

通常は、これらの比率は「 Color」のパレードスコープまたはヒストグラムにデジタルなパーセ ント値として示されます。たとえば、3 つのカラーチャンネルすべてが 0 %であれば、ピクセル は黒になります。3 つのカラーチャンネルがすべて 50%であれば、ピクセルは中間のグレイにな ります。3 つのカラーチャンネルがすべて 100 %(最大値)であれば、ピクセルは白になります。

RGB を使用したビデオ(最も一般的に使われるものの 1 つはアニメーションです)をエンコー ドするための高品質の QuickTime コーデックもいくつかありますが、RGB でエンコードされた イメージは、通常、圧縮されていないイメージシーケンスとして格納されます。

Y´CBCR カラーモデル ビデオは、通常、Y´C BCR カラーモデルを使って録画されます。Y´C BCR カラーコーディングでも、 3 つのチャンネル、つまり成分が使われます。ショットのイメージは、1 つのルミナンス成分(放 送用にガンマ補正されたイメージのルミナンス)と、クロマ(クロミナンス)をエンコードする 2 つの色差成分に分けられます。この 3 つの成分が一緒になり、ビデオを再生したときに表示さ れるピクチャを構成します。 Â Y´ 成分は、イメージの色調範囲の白黒部分を表します。スペクトルの赤、緑、青の部分に対す る人間の目の感度は異なるため、Y´ 成分によって再現されるイメージの「明度」は、(ガンマ 補正された)R 、G 、B のカラーチャンネルの加重比率から導き出されます。Y´ 成分だけを見た 場合には、モノクロのイメージです。 Â 2 つの色差成分 C Bと C Rは、イメージデータの 3つのカラーチャンネルが 2つに収まるように、色

情報をエンコードするために使われます。Y´ 成分にはイメージの緑色の情報も含まれることを 活かすために、数式が使われます。それぞれの色の成分を導き出すために実際に使われる数式

は C B = B´ – Y´、 C R = R´ – Y´ です。

参考:この方式は、本来、昔の白黒テレビをカラーテレビ放送と互換性を持たせるために作られ たものです。

24 第 1 章 色補正の基本 クロマのサブサンプリング

Y´CBCR でエンコードされたビデオでは、カラーチャンネルは通常ルミナンスチャンネルよりも 低い比率でサンプリングされます。人間の目は色の違いよりも明るさの違いにより敏感なため、 イメージの欠損を認識しない範囲で、必要とされるビデオ帯域幅(またはデータレート)を削減 するための 1 つの方法として使われてきました。

Y´、 C B、および CR それぞれのチャンネル間のサンプリング比率は、3 つの値の比率として示さ れます。一般的なクロマのサブサンプリング比率は以下の通りです:

 4:4:4 でクロマがサブサンプリングされたビデオの場合、まったく圧縮されていない色がエン コードされ、色差チャンネルがルミナンスチャンネルと同じ比率でサンプリングされるため、 最大限に高い品質が得られます。 4:4:4 でサブサンプリングされたイメージデータは、通常、 ビデオマスタリングまたはそれに対応するイメージシーケンスフォーマットへのテレシネま たはデータシネを介して取得されます。RGB でエンコードされたイメージは常に 4:4:4 です。 4:4:4 ビデオの録画が可能なビデオ取り込みフォーマットはほとんどありませんが、HDCAM SR をはじめ、Thompson Viper FilmStream カメラや Genesis デジタルカメラシステムといっ た一部のデジタルシネマカメラなどがこれに対応しています。  4:2:2 は、Beta SP、Digital Betacam、Beta SX、IMX 、DVCPRO 50、DVCPRO HD、HDCAM など、高品質のビデオフォーマットに通常使われるクロマのサブサンプリング比率です。  4:1:1 は、DVCPRO 25(NTSC および PAL)、DV 、DVCam ( NTSC)など、民生用およびプロ向 けの製品の購入者向けのビデオフォーマットで通常使われます。  4:2:0 も民生用のサブサンプリング比率で、DV と DVCAM( PAL)、HDV 、XDCAM HD、および MPEG-2 で使われます。

参考:Apple Uncompressed 8 ビット 4:2:2、Apple Uncompressed 10 ビット 4:2:2、Apple ProRes 422(SQ )、および Apple ProRes 422( HQ)はいずれも、名前から分かるように、4:2:2 のクロマサブサンプリングを使います。

色補正処理では、クロマのサブサンプリング比率を上げたときの利点を忘れないようにすること が重要です。プロジェクトの最終的な転送フォーマットを指定する場合は必ず、システムが処理 できる最も高い品質のフォーマットを指定するようにしてください(高品質の最終コーデックの 詳細については、40 ページの「テープベースのワークフロー」を参照してください)。

ご存知のように、色補正を行うには、色情報が多い方が有利です。たとえば、 4:1:1 または 4:2:0 でサブサンプリングされたビデオに対してコントラストを大きく調整すると、イメージのフィル ムの粒子やビデオノイズが強調されます。このような状況は、露光不足の映像に多く見られます。 一方、4:2:2 でサブサンプリングされたビデオに同程度、またはそれ以上の調整を行っても、イ メージの粒子やノイズはそれほど多くなりません。コントラストを大きくしてノイズを抑える と、イメージを全体的に鮮やかにすることができます。

第 1 章 色補正の基本 25 また、補正のために、クロマキーイング操作を使ってピクチャの特定の領域を分離することが一 般的に行われています。この操作を行うには、「Secondaries 」ルームの HSB 限定子を使います。 4:2:2 でサブサンプリングされたビデオでは、このキーイング操作を行ったときに滑らかでノイ ズの少ないエッジが得られます。4:1:1 または 4:2:0 でサブサンプリングされたビデオでは、クロ マ圧縮が使われているので、クロマを分離する際に濃淡のむらが生じます。その結果、HSB 限定 子で作成されたマットに影響を及ぼします。

しかし、圧縮率の高いビデオを強引に補正できることを覚えておくことは重要です。露光不足の 映像のコントラストを広げる際にイメージのノイズに注意を払うことで、ノイズが最小化される ピクチャの領域に対する補正に集中することができます。イメージの特定の部分だけを補正する ためにセカンダリー色補正を実行する場合に、スムーズなセカンダリーキーを引き出すには時間 がかかることがあります。しかし、あせらずに取り組めば、すばらしい結果を得ることができます。

フィルムとビデオの比較およびクロマのサブサンプリング 通常、フィルム映像では、最大量のイメージデータが保持された状態で転送されます。特に、 十分管理されたデジタル・インターメディエイト・ワークフローの一部で、まったく圧縮され ていないイメージシーケンス( 4:4:4)として転送される場合、イメージデータの量は多くなり ます。これが、平均的なフィルムワークフローの品質が高いことの 1 つの理由です。

これに対して、標準精細度および高精細度のビデオでは通常、クロマのサブサンプリング比率 は低く(高品質のビデオフォーマットであっても 4:2:2 が一般的で、プロ向けのフォーマット では 4:1:1 および 4:2:0 が通常使われます)、圧縮率は高い状態で録画されますが、これはどの 録画フォーマットおよびビデオ取り込みフォーマットを使うかによって決まります。ビデオ フォーマットの選択により撮影時の圧縮品質が決まるため、イメージデータが欠損したとして も対処法はなく、与えられた状態で最善を尽くすしかありません。

とは言え、少し注意すれば、圧縮されたビデオフォーマットやイメージシーケンスフォーマッ トはほぼどれでも色補正が可能で、十分な結果を得ることができます。「 Color」は 、DV 、HDV 、 DVCPRO HD など、高圧縮率のソースフォーマットに柔軟に対応できます。

ビット深度 ビデオイメージの品質を左右し、イメージの調整品質を左右するもう 1 つの要素は、使用してい

るソースメディアのビット深度です。 RGB と Y´C BCR のどちらでエンコードされたメディアで あっても、ビット深度が高いほど多くのイメージデータを使用することができ、イメージと補正 どちらもよりスムーズになります。

ソースメディアのビット深度は、ソースメディアをどのように取得したかによって大きく左右さ れます。

26 第 1 章 色補正の基本 受信するメディアの大半は以下のいずれかのビット深度となり、これらすべてのビット深度を 「 Color」はサポートしています:

 8 bit: 標準精細度および高精細度の民生用およびプロ向けのデジタルビデオフォーマットの ほとんどで、DV と DVCPRO-25、DVCPRO 50、HDV 、DVCPRO HD、HDCAM などの、8 ビッ トのイメージデータが取り込まれます。  10 bit: ビデオ取り込みのインターフェイスの多くが、10 ビット解像度のアナログビデオおよ びデジタルビデオを圧縮されていない状態で取り込むことができます。  10 ビット log: データをリニアではなく対数的に記録することで、より広いコントラスト比率 (フィルムの場合のコントラストなど)を 10 ビットデータ空間に収めることができます。 10 ビット log のファイルは、通常、Cineon および DPX のイメージシーケンスフォーマットを 使って、データシネスキャンから記録されます。  16 bit: 10 ビット log で保存できるコントラスト比率に合わせるには、16 ビットのリニアデー タが必要になります。リニアデータはコンピュータが簡単に処理できるため、一部のイメージ フォーマットではこのデータ空間も使用することができます。

ビット深度が高いと、使用可能な色調範囲を表現するためにより多くの数値範囲を使用できるた め、より多くのイメージデータを収容することができます。これは、ビデオに通常該当する 2 つ のビット深度によって使われる数値範囲を見ると明らかです。 Â 8 ビットのイメージは、0 ~ 255 の全範囲を使ってそれぞれのカラーチャンネルを収容します

( Y´C BCR ビデオは、スーパーブラックとスーパーホワイトを収容するために 16 ~ 235 の狭い 範囲を使用します)。値の数は 255 で、それほど多くはないので、ピクチャの狭いグラデーショ ンの領域がかすかに「階段状」に見える可能性があります(空など)。 Â これに対して、10 ビットのイメージは 0~ 1023の全範囲を使ってそれぞれのカラーチャンネル

を収容します(この場合も同じく、 Y´C BCR ビデオは、スーパーブラックとスーパーホワイト を収容するために 64 ~ 940 の狭い範囲を使用します)。数値範囲が広がったことで、グラデー ションがよりスムーズになり、ビット深度に関係したアーチファクトが事実上除去されます。

ソースメディアのビット深度は必ずしも制御できるわけではないものの、幸いなことに「Color 」 で使用するビット深度は個々に制御することができます。これは、ソースメディアのビット深度 がたとえ低い場合であっても、ビット深度を上げて処理を行うと、補正の品質を最大限に高めら れることを意味します。特に、「 Color」がより高いビット深度でレンダリングするように設定さ れている場合、多くのエフェクトおよびセカンダリー補正の外観はかなり向上します。詳細につ いては、 106 ページの「再生、処理、および出力の設定」を参照してください。

色およびイメージングの基本的な考え方 色補正では、イメージのコントラストと色の両方を制御する必要があります(イメージのヒュー とサチュレーションをそれぞれ制御します)。このセクションでは、「 Color」のツールでどのよ うにイメージを変えることができるか十分理解できるように、このようなイメージングの重要な 考え方について説明します。

第 1 章 色補正の基本 27 コントラスト コントラストの調整は最も基本的なもので、通常は調整のなかでも最初に行われるものです。コ ントラストは、イメージの色調を描写するための 1 つの方法です。一連のグレイスケール階調に して、イメージからすべての色を取り除いた場合、ピクチャのコントラストはイメージ内での暗 い色調、中間の色調、明るい色調の分布として現れます。

コントラストを制御するには、イメージの色調の 3 つのアスペクトを調整する必要があります: Â ブラックポイントは、イメージで最も暗いピクセルです。 Â ホワイトポイントは、イメージで最も明るいピクセルです。 Â 中間色調は、ブラックポイントとホワイトポイントの中間にあるすべての色調値の分布です。

白 黒 中間

28 第 1 章 色補正の基本 イメージのコントラスト比率とは、そのイメージ内での最も暗い色調値と最も明るい色調値の差 です。一般的に、2 つの差が大きくなっている、コントラスト比率が高い状態の方が好まれます。 特にコントラスト比率が低い外観を望まない限りは、コントラスト比率が高い方が、一般的にク リアではっきりしたイメージになります。次の 2 つのイメージとそのヒストグラムは、このこと を示したものです。ヒストグラムの左から右に、シャドウ、中間色調、ハイライトの分布がグラ フとして示されています。

さらに、イメージのコントラスト比率をできる限り上げると、3 つの色調帯全体でイメージの色 を均一に分散させて色補正処理を行うことができ、「 Primary In」、「Secondaries 」、および 「 Primary Out」の各ルームの 3 つのカラーバランスコントロールを使って調整できます。これに よって、シャドウ、中間色調、およびハイライトに対する個々の補正がより簡単になります。

イメージのコントラストの調整の詳細については、166 ページの「プライマリのコントラストコ ントロールを使う」を参照してください。

第 1 章 色補正の基本 29 セットアップとは カラリストを始めたばかりのときには、デジタルビデオの黒レベルとセットアップを混同する ことがあります。セットアップとはアナログビデオ信号の黒レベルを表しますが、アナログビ デオの場合に限ったものです。他社製のアナログビデオインターフェイスを使ってアナログ テープフォーマットに出力する場合、ビデオインターフェイスに付属のマニュアルをチェック して、ビデオインターフェイス規格を北米用( 7. 5 IRE)または日本用( 0 IRE)に設定する方法 を調べてください。市販のアナログビデオインターフェイスのほとんどは、使用する黒レベル をコントロールパネルで選択できるソフトウェアが付属しています。大半のベンダーはこれに 「7. 5 Setup」または「 0 Setup」というラベルを付けています。このほかに、「NTSC 」または 「NTSC-J 」というラベルが付いていることもあります。

SDI を使ってデジタルに送信されるビデオには、セットアップはありません。Y´C BCR の黒レベ ルは、ビデオ信号のビット深度に応じたデジタル値が保持されます(ビデオスコープでは 0 パーセントで表現されます)。

ルミナンス ルミナンス(技術的に言えば、ガンマ補正されたルミナンス)は、純黒からグレイ色調の分布を 経て、最も明るい白まで、ビデオショットの露出(明度)を描写します。ルミナンスはイメージ の色から切り離すことができます。実際、イメージのサチュレーションを完全に落とした場合に 残るグレイスケールイメージがルミナンスです。

ルミナンスは 0 から 100 までのデジタルの割合として「Color 」によって測定されます。ここで、 0 は純黒を、100 は純白を意味します。「 Color」では、ショット内に存在する場合、スーパーホ ワイトレベル(101 ~ 109 %のレベル)もサポートしています。スーパーホワイトのビデオレベ ルはブロードキャスト用に安全とはみなされていませんが、多くのカメラではこのレベルでビデ オを録画しています。

0% ルミナンス 100% 109%

スーパーホワイト

黒 白

参考:「 Broadcast Safe」設定がデフォルト設定でオンになっている場合、調整されていないスー パーホワイトレベルはクランプされます。つまり、ルミナンスが 100% を超えるイメージのピク セルは 100% に設定されます。

30 第 1 章 色補正の基本 ガンマ ガンマには、2 つの異なる考え方があります。ビデオ信号では、ガンマは、ブロードキャストモ ニタまたはコンピュータモニタに表示されるピクチャにおけるルミナンスを非リニアに表現し

たものです。人間の目は光に対して非リニアに反応するため(24 ページの「 Y´C BCR カラーモデ ル」を参照)、ガンマ補正を適用しながらイメージを録画することで、限られた帯域幅のビデオ 信号で認知できる細部を増やすことができます。再生時に、テレビまたはモニタが逆ガンマを適 用して、イメージを「本来の」状態に戻します。

「 Final Cut Pro」から「 Color」にメディアを送信するときに、想定外のガンマ調整が行われない ようにする必要があります。編集処理で「Final Cut Pro」との間でクリップの書き出しや読み込 みを行うときに、可能性のあるガンマ調整をすべて把握しておくことが重要です。なぜそのよう な調整が行われるかを突き止めて、「Final Cut Pro」から「 Color」へのラウンドトリップでは行 われないようにするためです。「Final Cut Pro」でのガンマ処理の詳細については、 「Final Cut Pro ユーザーズマニュアル」を参照してください。

ガンマは、イメージ内の中間色調の分布に対して行われる非リニアの調整を表現するためにも使 われます。たとえば、ガンマ補正を行ってもイメージのブラックポイントとホワイトポイントは そのままですが、調整のタイプに応じて中間色調が明るくなったり暗くなったりします。ガンマ および中間色調の調整の詳細については、163 ページの第 9 章「Primary In」を参照してください。

クロマ(クロミナンス) クロマ(クロミナンスとも呼びます)は、ショット内のカラーチャンネルを、無色から表現可能 な最大レベルの色までの範囲で描写します。個々のクロマ値は、ヒューとサチュレーションの 2 つの情報を使って表すことができます。

ヒュー ヒューは、赤や緑または黄色など、実際の色そのものを描写します。ヒューはカラーホイールで 角度として測定されます。

第 1 章 色補正の基本 31 サチュレーション サチュレーションは、鮮やかな赤、薄い赤など、色の強度を描写します。完全にサチュレーショ ンがないイメージにはまったく色がなく、グレイスケールのイメージになります。サチュレー ションはカラーホイールでも測定され、ホイールの中心から端までの距離として表されます。

カラーホイールを見ると、ビデオを構成しているのは赤、緑、青の原色の混合であることに気付 くはずです。それらの間には、原色の等分混合である黄色、シアンおよびマゼンタの二次色があ ります。

色の関係 カラーホイールの相互作用を理解することは、「Color 」のコントロールがイメージの色に実際に どのように影響を与えるのかを把握する上で役に立ちます。

原色 どのような加法カラーモデルでも、原色は赤、緑、青です。いずれかのカラーチャンネルを 100 %に設定し、残りの 2つのカラーチャンネルを 0 %に設定することで、3 つの単色を表現できます。

二次色 原色を 2 つ混ぜると、二次色ができます。言い換えると、いずれか 2 つのカラーチャンネルを 100 %に設定し、もう 1 つを 0 %に設定することで、二次色になります。 Â 赤+緑=黄 Â 緑+青=シアン Â 青+赤=マゼンタ

加法カラーモデルでは、次のことも重要です: Â 赤+緑+青=白

これらの組み合わせはすべて、以下の 3 色の円の図に現れています。2 つの原色が重なっている ところが二次色、3 つの原色が重なっているところが白になっています。

32 第 1 章 色補正の基本 補色 ホイール上でお互いに 180 度反対に表示される 2 つの色を補色と呼びます。

お互いに同じサチュレーションの 2 つの補色を組み合わせることで、サチュレーションが中和さ れ、グレイスケールの色調になります。このことは、以下の図で 2 つのカラーホイールが重なり あっている部分に現れています。赤とシアンが正確に重なっているところでは、両方の色が中和 されています。

それぞれの色とその補色の関係を理解することは、「Color 」のプライマリ色補正コントロールま たはセカンダリー色補正コントロールを使って、イメージ内のカラーキャストを除去または導入 するための方法を学ぶ上で不可欠です。たとえば、バランスされていない昼光のハイライトに見 られる青系のキャストを排除するには、すべての色を中和状態に近付けるためにオレンジを少し 加えます。このことについては、163 ページの第 9 章「Primary In」で詳しく説明します。

HSL 色空間モデル HSL 色空間モデルも色を表現する方法の 1 つで、一般にユーザインターフェイスで色を選択また は調整するためのコントロールとして使われます。 HSL は Hue(ヒュー)、Saturation (サチュ レーション)、 Lightness(明度)(ルミナンスとほぼ同じ)の頭文字をとったもので、ルミナン ス、ヒュー、サチュレーションの関係を視覚的に表現します。

第 1 章 色補正の基本 33 HSL 色空間モデルは、3 次元の円錐と表すことができます。下の図に示すように、ヒューは円錐 の底面の偏角で表し、サチュレーションは円錐の中心からエッジまでの色の距離で表します(中 心はサチュレーションが完全に取り除かれた状態で、エッジは最大輝度までサチュレーションが 適用された状態です)。色のブライトネスは、円錐の底面から頂点までの距離で表すことができ ます。

実際、「 Color」では、イメージの分析のために、押し出された HSL 空間内のイメージの色を表 示することができる 3 次元のビデオスコープが提供されています。詳細については、157 ページ の「3D 色空間スコープ」を参照してください。

34 第 1 章 色補正の基本 2 色補正のワークフロー 2

「Color 」の利点を最大限活かすには、ワークフローを十分管理する必 要があります。この章では、ポストプロダクションワークフローにお ける「Color 」の位置付けについて概説します。

「 Color」は、XML および QuickTIme メディアサポートを介して「 Final Cut Pro 」のような編集 アプリケーションと連携したり、EDL やイメージシーケンスサポートを介してほかの編集環境と 連携したりするように設計されています。いずれの場合でもビデオやフィルムの入力および編集

については随所で管理されていますが、「Color 」では色補正および関連エフェクトに的を絞った 専用の環境を用意しています。

この章では、「 Color」を使った色補正など、プロジェクトの一連のワークフローの概要を示しま す。標準精細度と高精細度両方のブロードキャストビデオのワークフローのほか、2K デジタル・ インターメディエイト・ワークフローを取り上げます。

この章では以下について記載します: Â 「 Color」のワークフローの概要(35 ページ) Â 「 Color」での制約( 37 ページ) Â 「 Final Cut Pro」を使ったビデオ仕上げワークフロー(39 ページ) Â ほかのビデオ編集アプリケーションからプロジェクトを読み込む(47 ページ) Â デジタル・インターメディエイト・ワークフローで「Color 」を使う( 49 ページ) Â EDL、タイムコード、およびフレーム番号を使ってプロジェクトを適合する(56 ページ)

「Color 」のワークフローの概要 「 Color」のコントロールはタブ化された 8 つのルームに分かれており、標準的な色補正ワークフ ローのさまざまなステージにそれぞれのルームが対応しています。いずれかのルームを選択する と、そのルームのコントロールに合わせてコントロールサーフェス(装備されている場合)のボ タン、ダイヤル、トラックボールが再配置されます。

35 各ルームでは、色補正処理の特定のステップに該当するすべてのコントロールが 1 つの画面に収 められています。標準的な色補正ワークフローの順番にルームが並んでいるため、「Primary In」 のコントロール、「Secondaries 」のコントロール、「 Color FX」、「 Primary Out」、そ して 「 Geometry」と順番に進みながら、プロジェクト内の各ショットを処理していくことができます。 Â Setup: プロジェクトはすべて「 Setup」ルームから始まります。このルームでは、プログラ ム内のショットの読み込みと管理を行います。「Grades 」ビン、「Project Settings」、アプリ ケーション環境設定もすべて「Setup 」ルーム内にあります。ビデオカラリストの場合、「Setup 」 ルームの「 Project Settings」領域内にある「 Broadcast Safe」コントロールを使って、プロ グラム全体に色域の制限を適用できます。 Â Primary In: プライマリ色補正はイメージ全体に反映されるため、このルームでは各ショット の色およびコントラストの全体的な調整を行います。カラーバランスとカーブのコントロール を使って、イメージのシャドウ、中間色調、ハイライトの色を調整できます。リフト、ガン マ、ゲインの各コントロールで、コントラストを詳細に調整することができます。これは、ピ クチャのさまざまな領域のブライトネスに反映されます。また、全体的なハイライトとシャド ウのサチュレーションのためのコントロール、およびカラリストがフィルムのカラータイミン グに使うプリンタポイント(またはプリンタライト)のコントロールもあります。 Â Secondaries: セカンダリー色補正は、イメージの特定の領域を対象として行う調整です。こ のルームには、補正の対象となるイメージ部分を分離する(限定する)ための方法が数多く用 意されています。シェイプマスクを使って領域を分離するためのコントロールが提供されてい ます。さらに、別のコントロールにより、クロマキーが設定されたマットを使って、ヒュー、 サチュレーション、ルミナンスの対象となるピクチャ領域を分離することができます。各 ショットで最大 8 つのセカンダリー補正処理を行うことができます。さらに、専用のセカンダ リーカーブにより、スペクトルの特定部分内のヒュー、サチュレーション、ルミナンスを調整 できます。 Â Color FX:「 Color FX」ルームでは、「Shake 」のように、ハイエンドの合成アプリケーショ ンで通常使われるノードベースのインターフェイスで独自のカスタムエフェクトを作成する ことができます。個別のエフェクトを何千もの組み合わせでリンクできるので、さまざまなタ イプのカラーエフェクトを簡単に作成できます。作成したカスタムエフェクトを「Color FX」 ビンに保存しておき、今後のプロジェクトに適用できます。 Â Primary Out:「 Primary Out」ルームは「 Primary In」ルームと同じですが、色補正がショッ トに適用されるのは、ほかのすべてのカラー・グレーディング・ルームで処理が終わった後で ある点が異なっています。このため、ほかの処理をすべて行った後に、イメージの後処理を行 うことができます。

36 第 2 章 色補正のワークフロー Â Geometry:「 Geometry 」ルームでは、必要に応じてショットのパンとスキャン、回転、反転 を行うことができます。また、「Geometry 」ルームにはカスタムマスクを作成するためのツー ル、モーショントラッキング分析を適用および管理するツールもあります。「Geometry 」の 処理方法はワークフローに応じて異なります: Â 「 Final Cut Pro」からラウンドトリップされるプロジェクトでは、「Geometry 」ルームでの 変形は、補正済みのプロジェクトメディアの出力時に「Color 」でレンダリングされること はありません。代わりに、「 Color」で作成した幾何学的な変形はすべて、プロジェクトが 「 Final Cut Pro」に戻されるときに「Final Cut Pro」のモーション設定に変換されます。レ ンダリングおよび出力を行う前に、「Final Cut Pro」でこれらのエフェクトをさらにカスタ マイズすることもできます。 Â 2K デジタルインターメディエイトの場合、「Geometry 」ルームでの変形は、出力メディア のレンダリング時に「 Color」で処理されます。 参考:「 Final Cut Pro」から「Color 」にプロジェクトを送信した場合、互換性がある「モー ション」タブのエフェクトは「 Geometry」ルームの設定に変換されるので、変形をプレビュー して調整しながら色補正を行うことができます。詳細については、 293 ページの第 15 章 「 Geometry」を参照してください。 Â Still Store:「 Still Store」を使えば「Timeline 」のどこからでもフレームを保存することがで き、プログラムの静止画を集めた参照ライブラリを作成し、その中からイメージを呼び出して 別のショットと比較することができます。「Still Store」からメモリに一度に 1 つずつイメージ を読み込んで、「 Still Store」メニューのコントロールを使って再生ヘッドの位置にある現在の フレームとの間で切り替えることができます。「 Still Store」には、ショット間のバランスを取 るために分割画面を作成し、カスタマイズするためのコントロールもあります。「Still Store」 での比較はすべて、プレビューおよびブロードキャストモニタ出力に送信されます。 Â Render Queue:「 Color 」でプログラムのグレーディングを終了したら、「 Render Queue」を 使ってプロジェクト内のショットのレンダリングを管理します。

「Color 」での制約 「 Color」は「 Final Cut Pro 」のような編集アプリケーションと連携するように設計されています。 「 Final Cut Pro」は入力、編集、出力を担当し、「Color 」では色補正および関連するエフェクト を重点的に行うことができます。ただし、「 Color」に機能が豊富にあるとは言え、サポートして いないものもあります: Â 録画: フィルム映像やビデオ映像のスキャンや取り込みはできません。このため、別のアプリ ケーションから「Color 」にプロジェクトおよびメディアを読み込む必要があります。 Â 編集:「 Color 」は本来編集アプリケーションではありません。提供されている編集ツールは、 主として、「Color 」プロジェクトが最終バージョンであり、そのままデジタルマスターとなる 2K ワークフローで作業するカラリストを対象としています。デフォルトでは、読み込まれた XML プロジェクトファイルのトラックはロックされ、「 Final Cut Pro」にプロジェクトを戻し たときに、新たな編集作業によってエラーが発生しないようになっています。

第 2 章 色補正のワークフロー 37 編集上の変更に対処するために、EDL または「 Final Cut Pro」のシーケンスと、「Color 」で グ レーディングされているプロジェクトのバージョンの同期をとる再適合ツールが用意されて います。詳細については、79 ページの「プロジェクトを再適合する」を参照してください。 Â フィルタ:「 Final Cut Pro」の FXScript フィルタまたは FxPlug フィルタは、「Color 」ではプレ ビューもレンダリングもされません。ただし、プロジェクト内には保持されているので、 「 Final Cut Pro」にプロジェクトを戻したときに再度表示されます。 参考:通常、「 Color」に送信したときに Final Cut Pro プロジェクト内に色補正フィルタを保 持しておくことは得策ではありません。「Color 」の作業に影響がなくても、プロジェクトを 「 Final Cut Pro」に戻したときに突然再表示されることで、予期しない結果が生じるおそれが あります。

 トランジション:「 Color」では、読み込んだ EDL ファイルまたは XML ファイル内に存在するト ランジションデータは保持されますが、プレビュー時にトランジションは再生されません。ど のようにレンダリングされるかは、プロジェクトをどのように処理するかによって決まりま す:  「 Final Cut Pro」からラウンドトリップされるプロジェクトでは、「 Color」での出力時にト ランジションはレンダリングされません。プロジェクトを「 Final Cut Pro 」に戻すと、それ らのエフェクトがレンダリングされます。  2K デジタルインターメディエイトの場合、ビデオトランジションはすべて無視されます。  スーパーインポーズ: スーパーインポーズされたショットは「Timeline 」に表示されますが、 不透明度を伴う合成処理は表示もレンダリングもされません。  速度エフェクト:「 Color 」には速度エフェクトを加えるためのインターフェイスはなく、その 代わりにプロジェクトの元になった編集アプリケーションを利用します。「 Final Cut Pro」で 追加したような、プロジェクト内にすでに存在するリニア速度エフェクトおよび可変速度エ フェクトは再生時にプレビューされますが、「Color 」での出力時にはレンダリングされませ ん。その代わり、このようなエフェクトのレンダリングにはラウンドトリップワークフローで 「 Final Cut Pro」が利用されます。  「Final Cut Pro」のジェネレータ、および Motion プロジェクトまたは LiveType プロジェクト のショット:「 Final Cut Pro」のジェネレータ、Motion プロジェクト、および LiveType プロ ジェクトは、「 Color」では完全に無視されます。このようなタイプのエフェクトの処理方法も ワークフローによって異なります:  「 Final Cut Pro」と「 Color」の間でプロジェクトをラウンドトリップしていて、このような エフェクトを「 Color」でグレーディングする場合、独立再生形式の QuickTime .mov ファ イルとしてエフェクトをレンダリングします。その後、この新しい .mov ファイルをシーケ ンスに組み込んでオリジナルのエフェクトを置き換えた後、プロジェクトを「 Color」に送 信します。  「 Final Cut Pro」と「 Color」の間でプロジェクトをラウンドトリップしていて、このような エフェクトのグレーディングが必要ない場合は何の処理も必要ありません。このようなエ フェクトが「 」で表示されなくても、「 」における位置は保持され、プロジェ Color Timeline クトを「 Final Cut Pro」に戻すと再度表示されます。通常グレーディングを必要としないエ フェクトのよい例はタイトルです。  2K デジタルインターメディエイトの場合は、「Shake 」や「 Motion」のような合成アプリ ケーションで、イメージシーケンスデータを使ってエフェクトを合成する必要があります。

38 第 2 章 色補正のワークフロー 重要:メディアのフレームを合成アプリケーションに送信する場合は、新たに生成するイメー ジシーケンスメディアのファイル名でフレーム番号を保持することが重要です。各イメージ ファイルのフレーム番号はプログラムの「 Timeline」における位置を示すので、 2K デジタル インターメディエイトのワークフローの一部としてエフェクトを作成する場合は、入念なファ イル管理が必要です。

 フリーズ・フレーム・クリップと静止画ファイル: .tiff や .jpg、「 Final Cut Pro」で作成された フリーズ・フレーム・クリップなど、 Final Cut Pro プロジェクトで使われる静止フレームも 「 Color」では無視されます。「 Color」で静止フレームをグレーディングする場合は、独立再生 形式の QuickTime .mov ファイルとしてレンダリングし、「 Final Cut Pro」のシーケンスに戻し てオリジナルのショットを置き換えた後、「 Color」にプロジェクトを送信する必要があります。  ビデオまたはフィルム出力:「 Color 」ではプレビューする目的でプロジェクトの再生をブロー ドキャスト出力することができますが、本来プログラムをテープに出力するために使うもので はありません。このため、テープまたは別のフィルム出力環境に出力するには、「Color 」で プ ロジェクトの色補正が終了したら、レンダリングされた出力を「Final Cut Pro」に移動する必 要があります。

「Final Cut Pro 」を使ったビデオ仕上げワークフロー 「 Final Cut Pro」を使ってプログラムを編集した場合、「 Color」へ移動する処理はかなり単純で す。「Final Cut Pro」でプログラムを編集した後、可能な限り最高の品質でオリジナルのソース メディアを使用するために、必要に応じてプログラムの適合が再度必要になります。

それが済めば、プロジェクトデータとファイルを「Color 」に送信して色補正を行うことができ ます。色補正処理が終了したら、結果をレンダリングしてプロジェクトを「Final Cut Pro」に戻 し、最終的にテープに出力するかまたは QuickTime ファイルとして出力する必要があります。

ソースメディア

Final Color Final 新しい Cut Pro Cut Pro オンライン 色補正済みの メディア メディア Color 最終的な 編集 レンダリング XML Correction色補正 XML エフェクトと 出力

最終マスターの出力 Color へ Final Cut Pro へ 送信 送信

メディア データ

第 2 章 色補正のワークフロー 39

「 Final Cut Pro」でのソースメディアの適合方法は、使用するメディアのタイプによって異なり ます。

テープベースのワークフロー 従来のオフライン/オンラインでのテープベースのワークフローの場合、処理は単純です。初期 編集作業を軽減するため、できれば低品質のオフライン解像度で「 Final Cut Pro」にテープを取 り込みます。このためには、ハードドライブの容量をそれほど占有せず、広範にわたるコンピュー タにも簡単に対応できるメディアを使います。

オフライン編集が終了したら、編集したプログラムで使うメディアをソーステープから最高品質 で再度取り込む必要があります。こうして作られたオンラインメディアは、「 Final Cut Pro」か ら「Color 」へのラウンドトリップに使われます。

ソースメディア

オフライン複製

Final Color 新しい Final Cut Pro オンライン 色補正済みの Cut Pro メディア メディア 最終的な オフライン オンライン レンダリング 色補正 編集 再適合 XML XML エフェクトと 出力

最終マスターの出力 Final Cut Pro へ Colorへ 送信 送信 メディア データ

以下の手順は、この処理をより明示的に分割したものです。

手順 1 :オフライン解像度またはオンライン解像度でソースメディアを取り込みます 編集前にメディアをどのように取り込むかは、メディアのフォーマットによって決まります。 DV、DVCPRO-50 、DVCPRO HD、HDV などの圧縮フォーマットは、記憶装置のリソースをそれ ほど必要とすることなく、最高品質で取り込むことができます。このため、ネイティブの解像度 およびコーデックでメディアを取り込んで編集すると、後でメディアを再取り込みするときに (適合とも呼ばれます)時間のかかる手順を省略することができます。

40 第 2 章 色補正のワークフロー 圧縮されていないビデオフォーマット、つまりソースメディアのリールが非常に多いプロジェク トの場合は、低い解像度または圧縮率が高いコーデックで取り込むことができます。これによっ て、ドライブ容量の節約になると共に、それほど高価な装置を使わなくても編集を行うことがで きます。その後、色補正を行う前に、メディアを再度取り込む必要があります。

手順 2 :「 Final Cut Pro」でプログラムを編集します ほかのプロジェクトの場合と同じように、「Final Cut Pro」でプログラムを編集します。編集時 にプログラムでエフェクトを大量に使用する予定がある場合は、 37 ページの「「Color 」での制 約」のトピックをよく読んでおいてください。

手順 3 :必要に応じて、オンライン解像度でソースメディアを再度取り込みます オフラインフォーマットを使ってソースメディアを取り込んでいた場合は、「 Color」に送信する 前に、プロジェクトで使われるメディアを可能な限り最高の品質で再度取り込む必要があります。 Â メディアを最初に録画するときに圧縮フォーマット( DV、DVCPRO-50 、DVCPRO HD、HDV など)を使っていた場合は、本来のソースコーデックおよび解像度で再度取り込むことに問題 はありません。「Color 」は圧縮されたメディアに対応しているので、イメージデータのモニタ リングおよびレンダリング時は自動的に非圧縮の高いビット深度になり、イメージングの品質 が上がります。 Â 高帯域幅のビデオフォーマット( Betacam SP、Digital Betacam、HDCAM 、HDCAM SR)を 取り込むときに、高品質が求められるが、ハードドライブの容量を節約して特定のコンピュー タでのパフォーマンスを高めるために圧縮フォーマットを使う必要がある場合は、Apple ProRes 422 コーデック、またはより高品質の Apple ProRes 422( HQ)コーデックを使って 再取り込みできます。 Â 高帯域幅のビデオを取り込むときに、記憶容量の要件に関係なく最高品質の非圧縮ビデオデー タが必要な場合は、Apple Uncompressed 8 ビット 4:2:2 または Apple Uncompressed 10 ビット 4:2:2 を使ってメディアを再取り込みしてください。

特に圧縮されていないメディアを再度取り込む場合などには、メディアを再度取り込む前に、 「 Final Cut Pro」の「メディアマネージャ」を使って使用されていないメディアを削除すると、貴 重なディスク容量を節約することができます。詳細については、「 Final Cut Pro」のマニュアル を参照してください。

参考:HDV など、コーデックによっては、プロセッサに大きな負荷がかかる場合があります。こ のような場合は、Apple ProRes 422 や Apple ProRes 422(HQ )といったプロセッサにあまり 大きな負荷がかからないコーデックでメディアを取り込む、または圧縮し直すことで、高品質か つ少ない記憶容量という要件を満たしながら「Color 」での作業パフォーマンスを向上させるこ とができます。

第 2 章 色補正のワークフロー 41 手順 4 :「 Color」でグレーディングしたい静止画またはエフェクトをプリレンダリングします 「 Color」では、静止画、特定のモーション設定、 FXScript フィルタ、FxPlug フィルタ、 「 Final Cut Pro」のジェネレータ(タイトルも含む)、Motion プロジェクトファイル、LiveType プロジェクトファイルを表示または処理することができません。「 Color」でこれらのエフェクト を使ってクリップをグレーディングする場合は、これらのショットを「 Final Cut Pro 」で独立再 生形式の QuickTime .mov ファイルとしてレンダリングし、「 Final Cut Pro」シーケンスに戻し てオリジナルのクリップを置き換えた後、「 Color」にプロジェクトを送信する必要があります。 「 Color」と互換性がないエフェクトおよび機能の詳細については、37 ページの「「 Color」での 制約」を参照してください。

手順 5 :「 Final Cut Pro」のシーケンスを準備します 編集済みのシーケンスを「 Color」での効率的なワークフローに使用するよう準備するには、 75 ページの「 Final Cut Pro プロジェクトを書き出す前に」に示す手順を実行します。

手順 6 :シーケンスを「 Color」に送信するか、または XML ファイルを書き出します 編集済みのシーケンスの準備ができたら、以下の 2 つの方法で「Color 」にシーケンスを送信で きます。 Â 「 Color」が「 Final Cut Pro」と同じコンピュータにインストールされている場合は、「Color へ 送信」コマンドを使って編集済みのシーケンス全体を「 Color」に移動し、新しいプロジェク トファイルを自動的に作成することができます。 Â プロジェクトを別のソフトウェア環境に渡す場合は、編集済みシーケンスをまず XMLファイル として書き出してから、最終的に「Color 」に読み込みます。この場合、受け渡しを簡単にす るため、「Final Cut Pro」の「メディアマネージャ」を使って、プロジェクトのメディアを持 ち運び可能な 1 つのハードドライブボリュームにコピーすることもできます。

手順 7 :「 Color」でプログラムをグレーディングします 「 Color」を使ってプログラムをグレーディングします。「Final Cut Pro」からのラウンドトリッ プで作業を行う場合は、「 Timeline」でトラックのロックが解除されたり、ショットが再編集さ れたりしないようにすることが不可欠です。そのようなことをした場合には、「 Final Cut Pro」に プロジェクトを戻すことが難しくなります。

グレーディングの開始後にクライアントから再編集を要求された場合は、「 Final Cut Pro 」に一 度戻してから更新したシーケンスの XML バージョンを書き出します。このシーケンスを使って、 「 Reconform」コマンドで Color プロジェクトを簡単に更新することができます。詳細について は、79 ページの「プロジェクトを再適合する」を参照してください。

手順 8 :新しいソースメディアをレンダリングし、更新したプロジェクトを「Final Cut Pro 」 に送信します グレーディングが終了したら、 「Color 」の「 Render Queue」を使って、グレーディング済みメ ディアファイルの別の新しいセットとしてプロジェクト内のすべてのショットをレンダリング します。

その後、更新したプロジェクトを以下のいずれかの方法で「 Final Cut Pro」に送信する必要があ ります: Â 「 Color」が 「 Final Cut Pro 」と同じコンピュータにインストールされている場合は、「 Send to Final Cut Pro 」コマンドを使うことができます。 Â 色補正したプロジェクトを元のソフトウェア環境に戻す場合は、後で「Final Cut Pro」に読み 込むことができるように、XML ファイルとしてColor プロジェクトを書き出す必要があります。

42 第 2 章 色補正のワークフロー 重要:「 Setup」ルームの「 Project Settings」タブにあるいくつかのパラメータは、「 Color」で のメディアのレンダリグ方法に反映されます。これらの設定には、「 Deinterlace Renders」、 「 QuickTime Export Codec」、「Broadcast Safe」、および「 Handles」の設定が含まれています。 最終的な出力をレンダリングする前に、これらの設定をはじめ、ほかの設定も必ず確認してくだ さい。

手順 9 :「 Final Cut Pro」でトランジション、スーパーインポーズ、およびタイトルを 調整します プロジェクトを出力するには、 XML プロジェクトを「Final Cut Pro」に再度読み込む必要があ ります。「 Send to Final Cut Pro」コマンドを使用すると、自動的に読み込まれます。ここで、プ ログラムの最終マスターを作成するため、「 Final Cut Pro」であらかじめ適用したその他のエフェ クトを追加して調整することができます。この段階でのプログラムの準備で考慮する事項として は、以下のようなものがあります: Â プログラムの「テキストのない」マスターを作成するのか、それともタイトルとイメージがレ ンダリングされたマスターを作成するのか。 Â 読み込みおよび色補正の必要性があるエフェクトが「Final Cut Pro」内に残っているか。

手順 10 :最終的なビデオマスターをテープに出力するか、またはマスター QuickTime ファイ ルをレンダリングします 「 Final Cut Pro」で最後の調整を完了したら、「ビデオにプリント」コマンド、「テープに編集」コ マンド、または「QuickTime ムービーを書き出す」コマンドを使って、プログラムの最終バー ジョンを作成することができます。

テープレスのデジタルビデオワークフローでオンラインメディアを再適合する プログラムでテープレスのビデオフォーマットを使う場合も、手順は前述の手順とほとんど同じ ですが、QuickTime ファイルセットが複数存在する可能性があります。1 つはオンライン解像度 のオリジナルのメディア、もう 1 つは編集をしやすくするためにオフライン解像度にダウンコン バートされたメディアファイルのセットです。オフライン編集後、「Final Cut Pro」から「Color 」 へのラウンドトリップを実行する前に、オンライン適合でオリジナルのソースメディアとリンク し直す必要があります。

ソースメディア

オフライン 複製

Final Color 新しい Cut Pro オンライン 色補正済みの メディア メディア 最終的な オフライン オンライン レンダリング 色補正 エフェクトと 編集 再適合 XML XML 出力 Final Cut Pro 最終マスターの出力 Final Cut Pro へ Color に送信 送信 メディア データ

第 2 章 色補正のワークフロー 43 以下で、このワークフローのうちオフラインからオンラインへの部分についてさらに詳しく説明 します。

手順 1 :すべてのソースメディアを撮影してバックアップを作成します 選択したいずれかのテープレスフォーマットを使って、プロジェクトを撮影します。撮影時には、 メディアのプライマリ記憶装置に障害が発生した場合に備えて、すべてのメディアのバックアッ プを作成しておいてください。

手順 2 :オフライン解像度の複製を作成し、オリジナルの解像度メディアをアーカイブします 必要に応じて、お使いのシステムに最適なフォーマットで、ソースメディアのオフライン解像度 の複製を作成します。その後、できるだけ安全にオリジナルのソースメディアをアーカイブし ます。

重要:テープレスメディアのオフライン複製を作成する場合、ソースファイルの作成に使ったオ リジナルのファイル名とタイムコードを複製して保持しておくことが重要です。こうすること で、オフライン編集が終了したときに、オリジナルの高解像度ソースファイルに簡単にリンクし 直すことができます。

手順 3 :「 Final Cut Pro」でプログラムを編集します ほかのプロジェクトの場合と同じように、「Final Cut Pro」でプログラムを編集します。編集時 にプログラムでエフェクトを大量に使用する予定がある場合は、 37 ページの「「Color 」での制 約」のトピックをよく読んでおいてください。

手順 4 :編集したシーケンスをオリジナルのソースメディアにリンクし直します オフライン編集が終了したら、オリジナルのオンライン品質のソースメディアを復元し、高解像 度ファイルにプロジェクトをリンクし直す必要があります。

手順 5 :エフェクトをプリレンダリングし、「 Color」にシーケンスを送信してグレーディング します この時点でのワークフローは、40 ページの「テープベースのワークフロー」の手順 7 と同じです。

44 第 2 章 色補正のワークフロー フィルムからテープへのワークフローでオンラインメディアを再適合する フィルムに撮影してビデオでマスタリングを行うプロジェクトの場合、先にテレシネを使って フィルムからテープに転送(テレシネ処理)してから、「Final Cut Pro」に取り込んで編集する 必要があります。この場合、オフライン編集とオンライン編集の残りの操作は、その他のテープ ベースのフォーマットの場合と同じです。

カメラネガ

テレシネ

転送されたビデオメディア

Final Color 新しい Final Cut Pro オンライン 色補正済みの Cut Pro メディア メディア オフラインおよび レンダリング 最終的な 色補正 オンラインの編集 XML XML エフェクトと 出力

最終マスターの出力 Final Cut Pro へ Color へ送信 送信 メディア データ

以下で、このワークフローのうちオフラインからオンラインへの部分についてさらに詳しく説明 します。

手順 1 :フィルムを撮影します ほかのフィルムプロジェクトの場合と同じように、プロジェクトを撮影します。

手順 2 :編集用の下見フィルムをテレシネ処理します フィルムを撮影したら、ワークフローに適したビデオフォーマットに編集用の下見フィルムをテ レシネ処理します。

第 2 章 色補正のワークフロー 45 Â プロダクションによっては、初期オフライン編集について、すべての映像の安価な「ワンライ ト」転送をコストの安いオフラインビデオフォーマットに対して行うことで、コストの削減を 望む場合があります(ワンライト転送とは、1 つの色補正設定で映像の全シーンを転送する処 理のことです)。こうすることで、初期作業にかかる時間と費用を節約することができますが、 もう一度テレシネ処理を行って、編集で使った映像だけをより高い画質で転送し直す必要があ ります。 Â また、編集用の下見フィルムすべて(または、少なくともディレクターが選択したテイクだ け)を「ベストライト」転送で転送することもできます。この転送では、テレシネ処理する ショットごとに個別に色補正設定を調整して、各クリップに最高の色と露出を実現できます。 イメージデータを最大限に保持できる高品質のビデオフォーマットに、映像が転送されます。 この場合、初期コストが大幅にかかる可能性がありますが、テレシネ処理をもう一度行う必要 がないため、以降の費用を節約することができます。

手順 3 :オフライン解像度またはオンライン解像度でソースメディアを取り込みます 編集前にメディアをどのように取り込むかは、ワークフローによって決まります。オフライン品 質のメディアをテレシネ処理している場合は、取り込みにもオフライン品質のコーデックを使用 することをお勧めします。

逆に、オンライン品質のメディアをテレシネ処理している場合は、「オフライン/オンライン」 ワークフローを実行するか、またはオンラインコーデックで取り込んでプログラム全体をオンラ イン品質で処理するかを選択できます。

手順 4 :「 Final Cut Pro」でプログラムを編集します ほかのプロジェクトの場合と同じように、「Final Cut Pro」でプログラムを編集します。編集時 にプログラムでエフェクトを大量に使用する予定がある場合は、 37 ページの「「Color 」での制 約」のトピックをよく読んでおいてください。

手順 5 :必要に応じて、オンライン解像度でメディアを再度取り込むかまたは転送します オフラインプロジェクトをオンライン品質のメディアにどのように適合するかは、ビデオの初期 転送処理の方法によって異なります。 Â 当初オンラインビデオフォーマットへ高品質のテレシネ処理を行ったものの、編集作業ではオ フラインフォーマットを使ってソースメディアを取り込んだ場合、お使いのコンピュータで対 応可能な最高品質の圧縮されていない QuickTime フォーマット( Apple ProRes 422 や Apple Uncompressed)を使ってオリジナルのテレシネソーステープからメディアを再度取り込み、 この新しいメディアをプロジェクトにリンクし直す必要があります。 Â オフラインビデオフォーマットに対してさほどコストのかからないワンライトテレシネ処理 を行った場合は、プログラムで使ったメディアだけを高品質で転送するテレシネ処理をもう一 度行うことができます。「 Cinema Tools」を使ってプルリストを生成できるので、これを使っ て慎重に必要な映像をオンライン品質のビデオフォーマットに再度転送します。その後、お使 いのコンピュータで対応できる最高品質の圧縮されていない QuickTime フォーマットを使っ て、このメディアの新しいオンライン転送を再度取り込む必要があります。

46 第 2 章 色補正のワークフロー 重要:カメラのネガのことを指すオフラインメディアの場合は、「メディアマネージャ」を使っ てプロジェクト内のメディアの名前を変更したり、使っていないメディアを削除したりしないで ください。「Cinema Tools」で正確なプルリストを作成できなくなります。

手順 6 :エフェクトをプリレンダリングし、「 Color」にシーケンスを送信してグレーディング します この時点でのワークフローは、40 ページの「テープベースのワークフロー」の手順 7 と同じです。

ほかのビデオ編集アプリケーションからプロジェクトを読み込む 「 Color」では、Edit Decision List( EDL)を読み込むことで、ほかの編集環境からプロジェクト を読み込むこともできます。EDL は、プログラムを構成するすべての編集およびトランジション のイベントベースのリストです。

プロジェクトファイルを「Color 」に読み込み、適切なパフォーマンスの記憶装置にプログラム メディアをコピーしたら、「 Color」の「 Timeline」のショットを対応するメディアとリンクさせ ることができます。

EDL を「Final Cut Pro 」から「 Color」へのラウンドトリップに読み込む 編集済みプログラムの EDL とソースメディアのボックスが提供されている場合、この EDL を 「 Final Cut Pro」に読み込んでプロジェクトのメディアを取り込み、「Color 」へプロジェクトを 送信する準備を行うことができます。映像を再度取り込めるだけでなく、「 Final Cut Pro」は 「 Color」よりも多くの EDL フォーマットと互換性があります。また、「Final Cut Pro」はビデオ 編集のほかにも、スーパーインポーズやオーディオ編集も読み取ることができます。

参考:「 Color」では EDL を直接読み込むことができますが、読み込まれるのはトラック V1 の編 集のビデオ部分だけです。ビデオトランジション、オーディオ、およびスーパーインポーズは無 視されます。

ソースメディアと EDL ファイル

EDL

Final Color Final 新しい Cut Pro オンライン 色補正済みの Cut Pro メディア メディア EDL を メディアの レンダリング 最終的な インポートして 色補正 再取り込み XML XML エフェクトと プロジェクトを作成 出力

最終マスターの出力 Final Cut Pro へ Color へ送信 送信 メディア データ

手順 1 :「 Final Cut Pro」にプロジェクトを読み込みます 編集したプロジェクトの EDL を「Final Cut Pro」に読み込みます。

第 2 章 色補正のワークフロー 47 手順 2 :オンライン解像度でメディアを取り込みます EDL を読み込んだときに作成されたシーケンスは、お使いのコンピュータで対応できる最高品質 の QuickTime フォーマット( Apple ProRes 422、Apple Uncompressed など)を使って再度取 り込む必要があります。

手順 3 :エフェクトをプリレンダリングし、「 Color」にシーケンスを送信してグレーディング します この時点でのワークフローは、40 ページの「テープベースのワークフロー」の手順 7 と同じです。

あらかじめ編集されたプログラムマスターを読み込む/ノッチを設定する 色補正用のプログラムを取得するために通常使われるもう 1 つの方法は、編集済みのマスターを 使ってテープ、 QuickTime ムービー、またはイメージシーケンスの形で、付随する EDL と共に 入手することです。EDL を使うことで、「Color 」のマスターメディアファイルに編集を自動的に 加えることができ(メディアの「ノッチ設定」と呼ばれます)、プログラム内の各ショット別に 簡単にグレーディングを行うことができます。

テープマスター EDL

Color 新しい Final プログラム EDL から「ノッチ」 色補正済みの Cut Pro 全体を オンライン オンライン メディア 取り込み メディア メディアに レンダリング 最終的な カラー 色補正 XML エフェクトと プロジェクトを作成 出力

Final Cut Pro 最終マスターの出力 Final Cut Pro へ 送信 メディア データ

手順 1 :「 Final Cut Pro」にプロジェクトを読み込みます 編集したプロジェクトの EDL を「Final Cut Pro」に読み込みます。

手順 2 :必要に応じてプログラムマスターを取り込みます プログラムマスターがテープで提供されている場合は、お使いのコンピュータで対応できる最高 品質の QuickTime フォーマット( Apple ProRes 422、 Apple Uncompressed など)を使って、 プログラム全体を取り込む必要があります。プログラムマスターが QuickTime ファイルとして 提供されている場合は、メディアの提供先に同じものを要求します。

この処理を正しく行うために、メディアの先頭フレームのタイムコードが EDL のタイムコード の先頭フレームと一致しているとよいでしょう。

手順 3 :EDL を「Color 」に読み込み、マスターメディアファイルにリンクし直します 「 Color」を最初に開いたときに表示される「Projects 」ダイアログから「 EDL」を選択するか、 または「 File」>「Import 」>「EDL 」コマンドを使用します。「 EDL Import Settings」ダイア ログが表示されたら、EDL フォーマット、プロジェクト、 EDL、およびソースメディアのフレー

ムレートを選択します。

48 第 2 章 色補正のワークフロー マスターメディアファイルに「ノッチ」を適切に設定するには、「Use as Cut List」をオンにし た後、取り込んだかまたは提供されたマスターメディアファイルを選択する必要があります。詳 細については、 80 ページの「EDL を読み込む」を参照してください。

手順 4 :「 Color」でプログラムをグレーディングします 「 Color」を使ってプログラムをグレーディングします。

手順 5 :新しいソースメディアをレンダリングし、更新したプロジェクトを「Final Cut Pro 」 に送信します グレーディングが終了したら、「Color 」の「 Render Queue」を使って、グレーディング済みメ ディアファイルの別の新しいセットとしてプロジェクト内のすべてのショットをレンダリング します。

その後、更新したプロジェクトを以下のいずれかの方法で「 Final Cut Pro」に送信する必要があ ります: Â 「 Color」が 「 Final Cut Pro 」と同じコンピュータにインストールされている場合は、「 Send to Final Cut Pro 」コマンドを使うことができます。 Â 色補正したプロジェクトを元のソフトウェア環境に戻す場合は、後で「Final Cut Pro」に読み 込むことができるように、XML ファイルとしてColor プロジェクトを書き出す必要があります。

参考:当初「 Color」に読み込んだプロジェクトを「 Final Cut Pro」に送信した場合、「 Color」で 使用可能なショットだけが送信されます。通常は、トラック V1 のショットだけに限定されます。 「 Color」では、オーディオトラックやスーパーインポーズされたエフェクトはサポートしていま せん。

手順 6 :「 Final Cut Pro」でトランジション、スーパーインポーズ、およびタイトルを 調整します プロジェクトを出力するには、 XML プロジェクトを「Final Cut Pro」に再度読み込む必要があ ります。「 Send to Final Cut Pro」コマンドを使用すると、自動的に読み込まれます。これで、プ ログラムの最終マスターを作成する前に、「Final Cut Pro」で別のエフェクトを追加することが できます。

手順 7 :最終的なビデオマスターをテープに出力するか、またはマスター QuickTime ファイル をレンダリングします 「 Final Cut Pro」で最後の調整を完了したら、「ビデオにプリント」コマンド、「テープに編集」コ マンド、または「QuickTime ムービーを書き出す」コマンドを使って、プログラムの最終バー ジョンを作成することができます。

デジタル・インターメディエイト・ワークフローで「 Color」を使う 「 Color」は、 2K デジタル・インターメディエイト・ワークフローのグレーディングをサポート しています。デジタルインターメディエイトとは、簡単に言うと、オリジナルのカメラネガの高 解像度デジタルバージョンを使ってすべてのエフェクトおよび色補正を実行する処理を指しま す。「Color 」はデータシネスキャナで生成される 2K の 10 ビット log のイメージシーケンスに 対応できるので、非常に高い品質でイメージデータを処理して、この結果をフィルム出力に適し たイメージシーケンスとしてレンダリングすることができます。

以降のセクションでは、使用可能なさまざまな 2K ワークフローについて説明すると共に、イメー ジデータの追跡方法を 1 ステップずつ示します。

第 2 章 色補正のワークフロー 49 オンライン/オフラインのデジタル複製を使ったテープレス DI ワークフロー 最も簡単なデジタル・インターメディエイト・ワークフローは、オフライン編集に必要とされる すべての映像をスキャンした後、プロジェクトの編集用のオフラインメディアの複製セットを作 成することです。オフライン編集が終了したら、「 Color」でオリジナルの 2K ソースフレームに プログラムをリンクし直します。

オリジナルのデジタルメディアからオフラインメディアを取り出すことで、ワークフローは単純 になり、後でソースフィルムを転送し直す必要もありません。この方法の唯一の欠点は、プロジェ クトの長さおよび撮影比率によっては、非常に多くの記憶容量が必要になる場合があることです。

カメラネガ

2K 解像度の オフラインの DPX イメージ QuickTime シーケンス 変換

DPX

データシネ転送

オフライン 適合 EDL 編集

Final Cut Pro 色補正

レンダリング

レンダリング DPX された メディアの収集

Color 最終出力の フィルムレコーダー フィルム出力 シーケンス メディア データ

50 第 2 章 色補正のワークフロー 以下の手順は、この処理をより明示的に分割したものです。

手順 1 :フィルムを撮影します 理想としては、本撮影の前に何度かテストを行い、フィルムスキャナから「 Color」、そしてフィ ルムレコーダへのパイプラインが、選択したフィルムフォーマットおよびフィルム素材とどのよ うに対応するか確認することをお勧めします。一緒に処理を行うフィルムラボとあらかじめ相談 の上、できるだけ多くの情報を入手することが常に最善の方法です。

手順 2 :すべてのフィルムを 2K DPX イメージシーケンスとしてスキャンします どのように撮影を行ったかによって、選択したものだけにベストライトのデータシネ処理を行う ことも、または余裕があれば、カメラネガすべてについてデータシネ処理を行うこともできます。 スキャンした 2K デジタルソースメディアは、DPX または Cineon のイメージシーケンスとして 保存しておきます。

オリジナルの静止フレームと、編集用に作成するオフラインの QuickTime ファイルの対応を確 認するには、以下が必要になります: Â 各フレームの番号(フレームのファイル名で使用される番号)のノンドロップフレームのタイ ムコード変換は、スキャンした各イメージのヘッダ内に保存する必要があります。 Â また、スキャンしたフレームすべてを個々のディレクトリに整理できるので、ネガの各ロール のフレームすべてを個々のディレクトリに(ロール名を付けて)保存することができます。

手順 3 :DPX イメージシーケンスをオフライン解像度の QuickTime ファイルに変換します 編集システムに最適なフォーマットで、ソースメディアのオフライン解像度の複製を作成しま す。その後、できるだけ安全にオリジナルのソースメディアをアーカイブします。

DPX ファイルをオフラインの QuickTime ファイルに変換する場合: Â 各イメージシーケンスのロール番号を、各 .mov ファイルのリール番号として使用します。 Â 各フレームファイルのヘッダに保存されているタイムコード値を、各 .mov ファイルのタイム コードとして使用します。

このダウンコンバートを実行するには、「Color 」を使って新しいプロジェクトを作成し、「Render File Type」を「 QuickTime 」に設定し、「 Export Codec」を使用したいコーデックに設定します。 その後、変換するすべてのショットを「Timeline 」に組み込み、「Render Queue」に追加して 「 Start Render」をクリックするだけです。詳細については、 88 ページの「Cineon および DPX イメージシーケンスを QuickTime に変換する」を参照してください。

∏ ヒント: Apple ProRes 422 や Apple ProRes 422(HQ )などの圧縮高精細度フォーマットにダ ウンコンバートすれば、コンピュータシステムの装備に費用をかけずにプロジェクトをオフラ イン処理できるだけでなく、編集処理段階でも、クライアントおよび視聴者向けの高品質での 映写に適した解像度で出力および映写することができます。

手順 4 :「 Final Cut Pro」でオフライン編集を行います オフラインショットのタイムコードまたは継続時間を変更しないように注意しながら、 「 Final Cut Pro」でプロジェクトを編集します。

第 2 章 色補正のワークフロー 51 手順 5 :「 Final Cut Pro」のシーケンスを準備します 編集済みのシーケンスを「 Color」での効率的なワークフローに使用するよう準備するには、 75 ページの「 Final Cut Pro プロジェクトを書き出す前に」に示す手順を実行します。

手順 6 :EDL を書き出します 編集が終了したら、CMX 340、 CMX 3600、または GVG 4 Plus いずれかのフォーマットで EDL を生成する必要があります。

重要:「Color へ送信」コマンドを使って、2K プロジェクトを「Color 」に移動することはできません。

手順 7 :EDL を「Color 」に読み込み、オリジナルの DPX メディアにリンクし直します 「 File」>「 Import」>「EDL 」コマンドを使って EDL を読み込みます。さらに、「 Import EDL」 ダイアログで、オリジナルの高解像度のソースメディアが置かれているディレクトリを指定しま す。これによって、EDL の読み込みとソースメディアの再リンクが 1 ステップで行われます。

手順 8 :「 Color」でプログラムをグレーディングします ほかの場合と同じように、「 Color」でプログラムをグレーディングします。

重要:スキャンしたフィルムフレームをグレーディングする場合は、入念にプロファイルした LUT をモニタの補正に体系的に使用すると共に、「 Color」で調整しながらフィルムにプリントア ウトして、プロジェクトの最終的な外観をエミュレートすることが不可欠です。詳細については、 115 ページの「ディスプレイの LUT を使う」を参照してください。

手順 9 :トランジション、エフェクト、およびタイトルを適合します 2K ワークフローでは、「Shake 」などの合成アプリケーションで 2K イメージシーケンスデータ を使ってトランジションやレイヤー化されたエフェクト(スーパーインポーズ、タイトル、その 他の合成など)を作成することも必要です。

重要:各イメージファイルのフレーム番号は、プログラムの「 Timeline」における位置を示しま す。このため、合成アプリケーションにフレームを送信する場合、新たにレンダリングされたメ ディアのファイル名に含まれるフレーム番号は、オリジナルのソースメディアと同じにすること が重要です。これには、入念なファイル管理が必要になります。

手順 10 :「 Color」からメディアをレンダリングします 「 Color」でプロジェクトをグレーディングし終わったら、「 Render Queue」を使って最終的に メディアをレンダリングします。「Render Queue」は、プロジェクトをインクリメンタルに簡 単にレンダリングできるように設定されています。たとえば、昼間にグレーディングしたプログ ラムのショットをすべて夜間にレンダリングすることで、プロジェクト全体を一度にレンダリン グしないようにすることができます。

ただし、 2K イメージシーケンスのスキャンを使用したプロジェクトの場合は、メディアのレン ダリングは単なる第一のステップにすぎません。レンダリングされた出力は、 Color プロジェク トのメディアを簡単に管理および再レンダリングできる方法で、指定したレンダリングディレク トリに整理されますが、次のステップを実行しないとフィルム録画業者に配信することはできま せん。

52 第 2 章 色補正のワークフロー 手順 11 :「Gather Rendered Media」コマンドを使って、最終的なイメージシーケンスを 配信できるようアセンブルします プログラム内の各ショットがすべてレンダリングされたら、「Gather Rendered Media」コマン ドを使って、レンダリングされたすべてのフレームを整理統合して、のりしろを取り除き、プロ グラムで使われるすべてのフレームを 1 つのディレクトリにコピーし、連番のイメージシーケン スとして各フレームの番号を付け直す必要があります。これが終われば、レンダリングされたメ ディアはフィルム録画業者に配信できる状態になります。

テレシネ処理されたオフライン/オンラインワークフローを使ったデジタル インターメディエイト これまで、プロジェクトを編集および色補正する方式として、編集用の下見フィルムをコストの 安いテレシネ転送を使ってオフライン編集した後、編集で使ったショットのみデータシネ・フィ ルム・スキャンを行い、オンラインメディアを作成してきました。

カメラネガ

シネマツール Final Cut Pro

取り込み FLEx

テレシネ データベースの 作成

オフライン 編集

データシネ プルリストの 書き出し

DPX DPX イメージ シーケンス

適合 EDL

色補正

レンダリング

レンダリング DPX された メディアの収集

Color 最終出力の フィルムレコーダー フィルム出力 シーケンス

メディア データ

第 2 章 色補正のワークフロー 53 以下の手順は、この処理をより明示的に分割したものです。

手順 1 :フィルムを撮影します 理想としては、本撮影の前に何度かテストを行い、フィルムスキャナから「 Color」、そしてフィ ルムレコーダへのパイプラインが、選択したフィルムフォーマットおよびフィルム素材とどのよ うに対応するか確認することをお勧めします。一緒に処理を行うフィルム業者とあらかじめ相談 の上、できるだけ多くの情報を入手することが常に最善の方法です。

手順 2 :編集用の下見フィルムをテレシネ処理します フィルムを撮影したら、編集用の下見フィルムをテレシネ処理して、オフライン編集に適したビ デオフォーマットにします。高精細度のビデオフォーマットをオフライン用にテレシネ処理する かどうかは、使用する編集システムの設定およびハードドライブの空き容量によって決まります。

さらに重要なのが、編集用の下見フィルムをテレシネ処理するフレームレートです。 Â メディア管理処理全体を省略するには、23.98 fpsビデオフォーマットに直接フィルムをテレシ ネ処理することをお勧めします。 Â それ以外の場合は、29.97 fps ビデオフォーマットにテレシネ処理し、別のステップで 「 Cinema Tools」を使って 3:2 プルダウンを削除することができます。

テレシネ処理したビデオと後でスキャンする 2K フィルムフレーム間の対応付けを容易に維持す るには、以下が必要になります:

 オフラインテレシネ中にテープに記録されるタイムコードはノンドロップフレームです。  ネガロールごとに別のテープリールにテレシネ処理します。こうすることで、EDL で指定され るリールが、ショットのスキャンに使われるカメラネガロールと一致します。

手順 3 :「 Cinema Tools 」および「 Final Cut Pro」を使ってオフライン編集を行います ほかのフィルム編集の場合と同様、テレシネオペレータから提供された FLEx ファイルから 「 Cinema Tools」のデータベースを生成した後、対応するメディアを取り込んでプログラムを編 集します。

重要:カメラのネガのことを指すオフラインメディアの場合は、「メディアマネージャ」を使っ てプロジェクト内のメディアの名前を変更したり、使っていないメディアを削除したりしないで ください。「Cinema Tools」で正確なプルリストを作成できなくなります。

手順 4 :「 Final Cut Pro」のシーケンスを準備します 編集済みのシーケンスを「 Color」での効率的なワークフローに使用するよう準備するには、 75 ページの「 Final Cut Pro プロジェクトを書き出す前に」に示す手順を実行します。

手順 5 :「 Color」用の EDL およびデータシネ用のプルリストを書き出します オフライン編集が終了したら、2K 解像度で最終的なデータシネ転送を行うためにプルリストが 生成され、「Color 」での読み込みおよび適合のためにプロジェクト全体が EDL として書き出さ れます。

54 第 2 章 色補正のワークフロー Â プルリストでは、編集の最終バージョンでどのショットが使われたか(通常、これは当初撮影 された映像の全体量のサブセットになります)が指定されます。理想としては、編集したプロ ジェクト内の各クリップに対応するタイムコードのイン点とアウト点も含まれるプルリスト を書き出すことをお勧めします。こうすることで、データシネ転送時にスキャンされる各フ レームにタイムコードデータを書き込むことができ、「Color 」での適合が容易になります。 Â EDL によってプロジェクトの編集データが「 Color」に移動されます。EDL には、スキャンした イメージシーケンスのフレームを正しい順序に適合する上で必要となるタイムコードデータ が含まれます。

手順 6 :選択したショットについて、ネガから DPX にデータシネ転送を行います 「 Cinema Tools」によって生成されたプルリストを使って、プロジェクトで使われるすべての ショットについてデータシネ転送を行います。

データシネ転送時には、ネガの各フレームのタイムコードをフレームに変換し、スキャンした各 DPX ファイルのファイル名を生成するために使用するよう指定すると共に、各ショットの DPX ヘッダにタイムコードを書き込むよう指定します。こうして生成されたイメージシーケンスの名 前は以下の形式になります: reel_number.0632368.dpx

フィルムスキャナの各イメージシーケンスは、スキャンに使われたカメラネガのロールの名前が 付いたディレクトリに配置されます。スキャンされるカメラネガのロールごとに固有のディレク トリを作成しておくと便利です。

手順 7 :EDL を「Color 」に読み込み、オリジナルの DPX メディアにリンクし直します 「 File」>「 Import」>「EDL 」コマンドを使って EDL を読み込みます。さらに、「 Import EDL」 ダイアログで、オリジナルの高解像度のソースメディアが置かれているディレクトリを指定しま す。これによって、EDL の読み込みとソースメディアの再リンクが 1 ステップで行われます。

手順 8 :「 Color」でプログラムをグレーディングします ほかの場合と同じように、「Color 」でプログラムをグレーディングします。

重要:スキャンしたフィルムフレームをグレーディングする場合は、入念にプロファイルした LUT をモニタの補正に体系的に使用すると共に、「 Color」で調整しながらフィルムにプリントア ウトして、プロジェクトの最終的な外観をエミュレートすることが不可欠です。詳細については、 115 ページの「ディスプレイの LUT を使う」を参照してください。

手順 9 :トランジション、エフェクト、およびタイトルを適合してメディアをレンダリングし、 レンダリングされたメディアを収集します この時点での処理は 50 ページの「オンライン/オフラインのデジタル複製を使ったテープレス DI ワークフロー」と同じです。

第 2 章 色補正のワークフロー 55 EDL、タイムコード、およびフレーム番号を使ってプロジェクトを 適合する 入念なデータ管理により、オリジナルのカメラネガとビデオの関係や、タイムコードを使うオフ ライン編集用に作成されたデジタル転送を追跡することができます。

「 Color」で DPX/Cineon フレームを EDL にリンクし直す方法 「 Color」での適合を問題なく実行するには、EDL のタイムコードデータを、再リンク先であるス キャン済みの DPX フレームまたは Cineon フレームに確実にミラーリングすることが重要です。 「 Color」は、ファイル内で使用可能な情報に応じて、いくつかの方法でイメージシーケンスメ ディアへの再リンクを試行します: Â まず、「 Color」では DPX または Cineon のフレームファイルのヘッダ内でタイムコード値を探 します。これで見つかれば、最も信頼できる再リンクが可能です。 Â ヘッダデータに対応するタイムコード番号がない場合、「 Color」はファイル名の中でタイム コード値を探します。それでもタイムコード値が見つからなければ、その上位ディレクトリ内 で対応するリール番号を探します。 Â 上位ディレクトリにリール番号がない場合、「 Color」はタイムコード番号だけを使ってすべて のショットをリンクし直します。

デジタルインターメディエイトの適合に使用する EDL を解析する このセクションでは、 EDL のタイムコード値と、個々のイメージシーケンスフレームのタイム コードヘッダまたはファイル名で使われるフレーム番号との間を「 Color」でどのように対応付 けるかについて説明します。

下記は EDL のサンプル行です: 001 004 V C 04:34:53:04 04:35:03:04 00:59:30:00 00:59:40:00

どの EDL でも、 8 つの列に情報が分割されます: Â 最初の列には、編集番号が含まれます。これは EDL の最初の編集であるので、001 というラベ ルが付けられます。 Â 2 番目の列には、リール番号として 004 が示されます。この番号を使って、このショットに対 応するスキャン済みの 2K イメージファイルのディレクトリに名前を付ける必要があります。 Â 次の 2 列には、ビデオ/オーディオのトラックおよび編集情報が含まれます。この情報は 「 Color」でプログラムのアセンブルに使われますが、メディアの適合には関係ありません。

最後の 4 列には、イン点とアウト点のペアとなっているタイムコードが含まれます。 Â 最初のタイムコード値のペアは、オリジナルのソースメディア(一般的には、通常のオンライ ン編集でテレシネ処理されたテープ)のイン点とアウト点です。デジタル・ インターメディエ イト・ワークフローでは、データシネから出力されるスキャン済みフレームの命名および識別 に使われます。 Â イン点とアウト点の 2 番目のペアは、編集済みのプログラムにおけるショットの位置を示しま す。これは、メディアを「Timeline 」の所定の位置に配置するために使われます。

56 第 2 章 色補正のワークフロー デジタルインターメディエイトの適合に使うイメージシーケンスファイルの 命名 上記に示した EDL イベントに対応する最初のイメージシーケンスファイルには、たとえば以下 のようなファイル名が付けられます: my_file_name.0494794.dpx

スキャン済みの各フレームのファイル名の先頭部分(アルファ文字)は無視されますが、ファイ ルのフレーム番号をリストした数値拡張子は、EDL に示される値の(ノンドロップフレーム)タ イムコード変換と同じになります。

たとえば、タイムコードが 05:51:18:28 のフレームの場合、数値拡張子は 632368 になります。数 値拡張子は必ず 7 桁にされるので、この場合は、以下のように先頭に 0 を 1 つ追加します: my_file_name.0632368.dpx

ファイル名の先頭のアルファ文字は「 Color」では無視されるので、厳密に言えば、必要となる のは数値拡張子と .dpx または .cin だけです。たとえば、上記のファイル名は以下のようにする こともできます: 0632368.dpx

または、ファイル名の先頭の未使用部分を利用して、フレームファイルの元となったリール番号 を記録することもできます: reel_004.0632368.dpx

第 2 章 色補正のワークフロー 57

3 Color のインターフェイスを使う 3

「Color 」での作業には、マウスで画面上のインターフェイスを使う か、またはもっと直接的にプロの色補正作業用に作成された専用のコ ントロールサーフェスを使うことができます。

この章では、「 Color」で使われる一般的なインターフェイスの仕様を取り上げます。複数のイン ターフェイス領域で共有されるコントロールのほか、色補正アプリケーション固有の特別なコン トロールについても使いかたを説明します。

この章では以下について記載します: Â コントロールサーフェスを設定する ( 60 ページ) Â 画面上のコントロールを使う( 60 ページ) Â 整理用のブラウザとビン(64 ページ) Â 1 台または 2 台のモニタで「 Color」を使う(70 ページ)

59 コントロールサーフェスを設定する 「 Color」は、特に Tangent や JL Cooper Designs といったメーカーの色補正を対象としたコン トロールサーフェスをサポートするよう、土台から作成されています。このようなコントロール サーフェスには、通常、プライマリおよびセカンダリー・カラーバランス・コントロールの重複 する 3 つの色調ゾーン(シャドウ、中間色調、ハイライト)に対応する 3 つのトラックボール、 コントラストの 3 つのコントロール(黒レベル、ガンマ、ホワイトポイント)用の 3 つの回転コ ントロール、そのほか選択したルームに応じて異なる機能をサポートする回転のコントロールと ボタンがいくつか含まれています。

PAGE

PAGE 1 PAGE 5 12345678 BANK 1

PAGE 2 PAGE 6 BANK 2

PAGE 3 PAGE 7 BANK 4

PAGE 4 PAGE 8 BANK 4

ASSIGN UTILITY

R1 B1 R3 B3 HOURS MINUTES SECONDS FRAMES F1

TIME CODE DISPLAY F2 M1 M2 M3 M4 M5

F3 R2 B2 F4 W4 W3 W5 F5

F6 W2 W6

F7

F8 W1 W7

JOG SHUTTLE

MORE

F1 F2 F3 F7 F8 F9

DO UNDO REDO 7 8 9 CLEAR

F4 F5 F6 4 56 + CUE PREV NEXT

1 23 - MARK IN OUT

00 0 MODE MEM GRACE DELETE

ALT

「 Color」を起動したときに使用するコントロールサーフェスを選択することも、または「Setup 」 ルームの「User Prefs」タブにある「 Show Control Surface Dialog」をクリックして、使用可能 なコントロールサーフェスを随時選択することもできます。コントロールサーフェスの設定の詳 細については、付録 C 「コントロールサーフェスを設定する」を参照してください。「Color 」内 からのコントロールサーフェスの設定の詳細については、103 ページの「コントロールサーフェ スの設定」を参照してください。

画面上のコントロールを使う コントロールサーフェスが装備されていない場合は、画面上のコントロールを使って「 Color」の すべての機能を利用できます。「 Color」では、ほとんどのアプリケーションで共通して使われる 標準的なボタン、チェックボックス、ポップアップメニューに加えて、このセクションで説明す るカスタムコントロールも使います。

60 第 3 章 Color のインターフェイスを使う マウスを使う 「 Color」で は 3 ボタンマウスの使用がサポートされているので、ショートカットメニューや各種 の移動用ショートカットに簡単にアクセスできます。また、「 Color」で は 3 ボタンマウスの真中 のスクロールホイールまたはスクロールボールを、スクロールに使ったりボタンとして使ったり することができます。

マウスボタン 本書で使用する表記法 マウスの左ボタン クリックする マウスの中ボタン マウスの中ボタンをクリックする、またはミドルクリックする マウスの右ボタン 右クリックする(1 ボタンマウスの場合は、 Control キー を押しながらク リックする)

オプションキーを使ってコントロールの速度を上げる 多くのコントロールは、Option キーを押しながらドラッグすることで、通常の速度の 10 倍に速 めることができます。

タブ 「 Color」の 8 種類の「ルーム」間を移動するためにタブが使われます。各ルームはインターフェ イスの区別された部分であり、特定のタスクを行うために必要なすべてのコントロールが含まれ ています。ルームを変更すると、使用可能なインターフェイス、キーボードショートカット、コ ントロールサーフェスのコントロールのマッピングが変わります。

さらに、ルームによっては機能が追加されており、そのルーム内の追加タブセットを使って表示 することができます。

テキストフィールドとバーチャルスライダ 「 Color」では、以下の 4 つのタイプのデータを編集フィールドに指定できます: Â タイムコード Â ファイル名、ディレクトリパスなどのテキスト。 Â 整数。整数が表示されるフィールドに分数や小数を入力することはできません。 Â 0.25 や 1.873 などのパーセント値および小数値。

テキストフィールドを修正するには、 3 つの方法があります。

キーボードを使ってフィールドにテキストを入力するには: 1 編集したいテキストフィールドをクリックします。

フィールド内のテキストがハイライトされます。 2 新しくテキストを入力します。 3 Return キーを押して変更内容を確定します。

第 3 章 Color のインターフェイスを使う 61 バーチャルスライダを使って数値またはパーセントベースのテキストフィールドの値を変更す るには: 1 編集したいフィールドにポインタを移動します。

2 ミドルクリックしたまま、左にドラッグして値を小さくするか、右にドラッグして値を大きくし ます。

3 終わったらマウスボタンを離します。

スクロールホイールを使って数値またはパーセントベースのテキストフィールドの値を変更す るには: 1 編集したいフィールドにポインタを移動します。 2 フィールドをクリックしないで、スクロールホイールまたはスクロールボールを上に動かして フィールドの値を大きくするか、下に動かしてフィールドの値を小さくします。

ショートカットメニューを使ってフィールドを調整するには: m いずれかのフィールドを Control キーを押したままクリックするかまたは右クリックして、 ショートカットメニューから以下のいずれかのオプションを選択します:

 Reset: フィールドをデフォルト設定にリセットします。  Min: フィールドで使用できる最小値を選択します。  Max: フィールドで使用できる最大値を選択します。  Set as Default: 該当パラメータをデフォルト値に設定します。

タイムコードフィールド タイムコードフィールドには、メディアのイン点とアウト点、再生ヘッドの位置など、タイミン グ情報が表示されます。「Color 」では時間は以下のいずれかの方法で示されます: Â フィールド内では、ほとんどの時間値は標準的な SMPTE タイムコードで示されます。SMPTE タイムコードは、4 つのコロンで区切られた数字の組み合わせである hh:mm:ss:ff で示されま す(ここで、hh は時間、mm は分、ss は秒、 ff はフレームです)。 Â 「 Timeline」のルーラの時間値は、ノンドロップフレームタイムコード、ドロップフレームタ イムコード、またはフレームとして表示できます。

参考:ドロップフレームタイムコードは、秒とフレームの位置の間がセミコロンで区切られます。

タイムコードを使って移動する タイムコードフィールドの時間、分、秒、フレームの位置に値を入力する上での指針を示します: Â 時間値は左から右に入力します(電子レンジに時間を入力する場合と同じです)。ただし、最 後に入力した値がフレーム位置の最後の桁とみなされます。 Â タイムコード値を入力し終わったら必ず Returnキーを押して、新たに入力した値を確定します。 Â 数値の一部しか入力しなかった場合、右端の 2 桁がフレームとみなされ、そこから左に向かっ て 2 桁ごとに秒、分、時間の位置とみなされます。入力しなかった数値は、デフォルトで 00 に設定されます。 たとえば「 1419 」と入力した場合、「Final Cut Pro」ではそれを「00:00:14:19 」と解釈します。

62 第 3 章 Color のインターフェイスを使う Â フィールドにタイムコードを入力するときに、区切り文字(コロンなど)をすべて入力する必 要はありません。各数字のペアの間に自動的に追加されます。 Â 長い時間を入力する場合には、ピリオドを 1 つ入力すると、ゼロが 2 つ表示されます。 たとえば、タイムコード 00:00:03:00 を指定するには、「3. 」( 3 とピリオド)と入力します。 「 Color」ではピリオドは自動的に 00 として解釈されます。 Â 00:03:00:00 を指定するには、「 3..」( 3 とピリオドを 2 つ)と入力します。 2 つのピリオドによって、秒とフレームの位置の両方にそれぞれゼロが 2 つずつ挿入されます。 Â 03:00:00:00 を指定するには、「 3...」と入力します。 Â それぞれの時間位置に 1 桁の値を入力するには、プラス( +)記号を使います。 たとえば、タイムコード 00:01:05:08 を指定するには、「 1+5+8」と入力します。

カラーコントロール HSL モデルを使って色を選択および変更できるように、「Color 」のいくつかのルームでカラーコ ントロールが使われます。

 メインのカラーホイール内でドラッグすると、選択した色のヒューとサチュレーションを同時 に調整できます。

カラーホイール内の十字形は、現在選択されている色値を示します。その他のコントロールは、 表示されているカラーコントロールのタイプによって異なります。 Â マルチカラーの「Hue 」スライダ内を上下にドラッグすると、ヒューを調整できます。 Â 単色の「Saturation 」スライダ内を上にドラッグすると、現在のヒューのサチュレーションが 上がり、下にドラッグするとサチュレーションが下がります。 Â 単色の「 Brightness」スライダ内を上にドラッグすると、現在の色のブライトネスが上がり、 下にドラッグすると、ブライトネスが下がります。

カラーコントロールをカスタマイズする これまで使っていた別の色補正システムのインターフェイスに合わせて、カラーコントロールの カラーホイールに色が表示される角度をカスタマイズすることができます。さらに、コントロー ルサーフェスのジョイボールを使って、対応する「Color 」のカラーコントロールを調整する速 度も調整することができます。詳細については、103 ページの「コントロールサーフェスの設定」 を参照してください。

第 3 章 Color のインターフェイスを使う 63 整理用のブラウザとビン 「 Color」では、共通のコントロールを共有するショット、メディア、およびグレードを整理する ためのブラウザおよびビンがいくつか提供されています。これらのブラウザおよびビンを使っ て、「 Color」のプロジェクトファイル自体の中に格納されたデータではなく、ハードドライブ上 にあるファイルを管理します。このため、 Finder の場合と同じように、コントロールを使って ハードドライブのディレクトリ構造を移動および整理します。

ファイルブラウザ 「 Setup」ルームの左半分を占めるブラウザを使うと、コンピュータのディスクドライブ(広く言 えば、現在マウントされている RAID、DAS 、および SAN の各ボリュームも)のディレクトリ構 造を移動し、互換性がある QuickTime および静止画のメディアファイルを探して読み込むこと ができます。

いずれにしてもファイルブラウザはプロジェクトビンでないことを忘れないようにすることが 重要です。ファイルブラウザ内に表示されるファイルは、手動で「 Timeline」にドラッグする か、または読み込んだプロジェクトのショットを「Relink Media」コマンドか「 Reconnect Media」コマンドを使ってディスク上の関連するメディアファイルにリンクし直さない限り、 Color プロジェクトに関連付けられることはありません。

参考:ファイルブラウザでは、「 Color」と互換性があるディレクトリおよびメディアファイルだ けしか表示されません。

ファイルブラウザでメディアファイルを選択すると、右側にパネルが表示され、そのファイルの 先頭のフレームが下記に示すような情報と共に示されます:

 Shot Name: ファイル名  Duration: 合計継続時間  Codec: ファイルをエンコードするために使われるコーデック  Resolution: ファイルのフレームサイズ(幅×高さ)  Frame Rate: ファイルのフレームレート  Timecode: ファイル内の先頭フレームのタイムコード値

このパネルの下部に表示されている「 Import」ボタンを使って、現在選択されているショットを 「 Timeline」内の再生ヘッドの現在の位置に組み込むことができます。

ファイルブラウザを折りたたむ 随時ファイルブラウザを折りたたんで、右側にあるタブ化された領域を Color ウインドウいっぱ いに表示することができます。

64 第 3 章 Color のインターフェイスを使う ファイルブラウザを隠すには: m ファイルブラウザの右側にあるファイルブラウザの境界線まで、ポインタを移動します。青くハ イライトされたら、一度クリックすれば折りたたむことができます。

ファイルブラウザを展開するには: m ウインドウの左側にあるファイルブラウザの境界線までポインタを移動します。青くハイライト されたら、一度クリックすれば展開できます。

「 Setup」ルームの詳細については、 91 ページの第 5 章「 Setup」を参照してください。

「 Shots」ブラウザ 「 Setup」ルームの 2 つ目のブラウザは、「Setup 」ルーム内にある「 Shots」タブです。このブラ ウザでは、現在のプロジェクト内のすべてのショットをリスト表示またはアイコン表示で示すこ とができます。

アイコン表示では、ショットのグループを作成して、複数のショットへ一度にグレードをコピー &ペーストすることもできます。詳細については、274 ページの「「Shots 」ブラウザでグレード を管理する」を参照してください。

第 3 章 Color のインターフェイスを使う 65 リスト表示では、さまざまな情報フィールドを使ってすべてのショットをソートすることができ ます。「 Shots」ブラウザの使いかたの詳細については、 92 ページの「「Shots 」ブラウザ」を参 照してください。

「 Grades」ビン 「 Setup」ルーム内の「Grades 」ビンでは、プライマリ補正、セカンダリー補正、および Color FX 補正を組み合わせて 1 つのユニットにまとめたグレードを保存したり、整理したりすること ができます。

このビンを使って、保存しておいたグレードを「 Timeline」内の別のショットに適用することが できます。「Grades 」ビンの内容は、このユーザアカウントにログインしている間に開かれるす べての Color プロジェクトで使用できます。グレードの保存および適用の詳細については、 265 ページの「グレードを「 Grades」のビンに保存する」を参照してください。

補正ビン 「 Primary In」、「 Primary Out」、「Secondaries 」、および「Color FX」の各ルームではすべて、こ れらのルーム内部で行われた補正を個別のプリセットとして保存しておき、以降のショットに適 用することができます。補正ビンの内容は、このユーザアカウントにログインしている間に開か れるすべての Color プロジェクトで使用できます。 Â 「Primary In」および「PrimaryOut」: プライマリ補正を保存および整理できます。「Primary In」ルームと「 Primary Out」ルームはどちらも、保存されている同じ補正グループを共有し ます。 Â Secondaries: セカンダリー補正を保存および整理できます。 Â Color FX: Color FX 補正を保存および整理できます。

66 第 3 章 Color のインターフェイスを使う グレードと補正 「Color 」では、グレードと補正の間に明確な違いがあります。補正は、1 つのルーム内で行わ れる調整を指します。「 Primary In」、「Primary Out」、「 Secondaries」、および「 Color FX」の 各ルーム内で個々の補正を保存し、ショットに個別に適用することもできます。

グレードは、いくつかのルームにまたがる複数の補正を取り込んで、 1 つまたは複数のプライ マリ補正、セカンダリー補正、Color FX 補正を一緒に保存することができます。補正グループ を 1 つのグレードとして保存することで、 1 つのプリセットとしてまとめて適用できます。

Still Store 「 Still Store」はグレードビンでも補正ビンでもありませんが、管理方法はほとんど同じです。こ のルームは、さまざまなショットから静止画フレームを保持しておくための 1 つの大きなビン で、プログラム内のほかのショットと比較するために使用できます。「 Still Store」の使いかた の詳細については、315 ページの第 16 章「Still Store」を参照してください。

ブラウザ、「 Grades」ビン、補正ビンのコントロール すべてのブラウザおよびビンは以下のコントロールを共有しています:

表示コントロール すべてのブラウザおよびビンに表示コントロールがあり、内容をどのように表示および整理する かを選択することができます。

 リスト表示ボタン: 現在のディレクトリの内容をファイル名のリストとして表示します。  アイコン表示ボタン: 現在のディレクトリの内容をアイコンとして表示します。  「Icon Size」スライダ: アイコン表示に限り表示されます。アイコンのサイズを縮小/拡大し ます。

ディレクトリ・ナビゲーション・コントロール ファイルブラウザ、「 Grades」ビン、補正ビンにはディレクトリ・ナビゲーション・コントロー ルがあり、ハードドライブに保存されているグレードと補正を整理およびブラウズするために使 用できます。

 Go Up: 親ディレクトリに移動し、その内容を表示します。

第 3 章 Color のインターフェイスを使う 67 Â Go Home: ブラウザまたはビンのホームディレクトリに移動します。移動先のディレクトリ は、Mac OS X ユーザのホームディレクトリ ではありません: Â ファイルブラウザ: ホームボタンを使って、現在指定されている「 Color」のメディアディ レクトリに移動します。 Â 「Primary In」、「Secondaries」、「Color FX」、および「Primary Out」: ホームボタンをク リックすると、「 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color」ディレクトリ 内の該当するサブディレクトリに移動します。ルームごとに対応するサブディレクトリがあ り、後で使用できるように保存した補正がすべて格納されています。 Â Still Store: ホームボタンを使って、現在のプロジェクトのディレクトリ構造内にある 「 StillStore」ディレクトリに移動します。

ファイルコントロール ファイルブラウザ、「 Grades」ビン、補正ビンには、ディレクトリを作成および移動するための コントロールも下部に用意されています。 Â 「File」フィールド: 現在表示されているディレクトリのファイルパスを表示します。 Â 「Directory」ポップアップメニュー: このポップアップメニューを使うと、現在のディレクト リ階層の上位階層および下位階層、またはルームのデフォルトの Color ディレクトリに簡単に 移動することができます。 Â 「New Folder」ボタン: 現在指定されているパス内に新しいディレクトリを作成できます。 ディレクトリはいくつでも作成できるので、ルームのグレードおよび補正を整理することがで きます。 Â 「Save」ボタン: 上記のテキストフィールドで指定したディレクトリで現在再生ヘッドが置か れている位置に、ショットのグレードまたは補正の設定を保存します。 Â 「Load」ボタン: 選択されているグレードまたは補正を、現在再生ヘッドが置かれている位置 にあるショット(これ以外に選択されているショットがない場合)、または選択した複数の ショット(再生ヘッドにあるショットでも、選択されていない場合は無視されます)に適用し ます。「 Color」のほかのビンの場合と同様、表示されている項目をビンから「Timeline 」に ド ラッグ&ドロップできます。

グレードおよび補正の保存方法 「 Color」で「 Grades」ビンおよび補正ビンを使って保存するグレードと補正は、「 /Users/ <ユー ザ名> /Library/Application Support/Color」ディレクトリにある「Color 」の環境設定ディレ クトリに保存されます。

保存対象の補正カテゴリ ディスク上の位置 グレード /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/Grades/ プライマリ補正 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/Primary/ セカンダリー補正 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/Secondary/ Color FX 補正 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/Effects/

これらのビンに保存したグレードおよび補正は、開いたすべてのプロジェクトで使用できます。

68 第 3 章 Color のインターフェイスを使う 上記の各ディレクトリ内の補正はそれぞれ、.lsi ファイルと補正タイプ固有のファイルのペアと して保存されます。 .lsi ファイルにはグレードを視覚的に識別するためのサムネールが含まれて おり、補正タイプ固有のファイルで実際の設定が定義されます。名前をカスタマイズしていない 限り、これらのファイルはどちらも同じ名前で、ファイル名の後に、ドット、日時(日月年時 . 分 . 秒タイムゾーン)、保存する補正のタイプを示すファイル拡張子が続きます。

 Grade_Name.date.lsi: アイコン表示にグレードを表示するために使われるサムネールイ メージ  Grade_Name.date.pcc: プライマリ補正ファイル  Grade_Name.date.scc: セカンダリー補正ファイル  Grade_Name.date.cfx: Color FX 補正ファイル

保存したグレードは実際にはファイルバンドルで、そのグレードを構成する補正ファイルすべて が取り込まれます。たとえば、プライマリ補正、セカンダリー補正、および Color FX 補正の組 み合わせから成るグレードの場合、そのグレードに付けられた名前( Grade_Name.date.grd)を 使ってディレクトリが作成され、以下のファイルが含められます:  Grade_Name.date.lsi  Grade_Name.date.pcc  Grade_Name.date.scc  Grade_Name.date.cfx

保存した補正およびグレードを Finder で整理し直す 「 Color」の各補正ビンには、「/Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color」デ ィ レクトリの対応するサブディレクトリの内容がそのまま反映されています。これまでに保存した 補正やグレードを、Finder で整理し直すことができます。たとえば、新しいサブディレクトリを 作成して移動します。

保存した補正を別のディレクトリに移動する場合は、そのグレードの .lsi サムネールイメージと、 実際にグレード情報が含まれる .pcc、 .scc、.cfx いずれかのファイルを一緒にコピーすることが 重要です。

保存したグレードおよび補正を「 Color」が開いている状態で Finder で整理し直す場合、変更し た「Grades 」ビンと補正ビンの内容を手動でリフレッシュして、現在の内容が正しく表示され るようにする必要があります。

現在表示されている補正ビンの内容を更新するには: m 「 Home」ボタンをクリックします。

補正ビンの内容が更新され、 Finder の現在の状態が表示されます。

第 3 章 Color のインターフェイスを使う 69 保存した補正およびグレードを別のコンピュータに移動する 保存した補正およびグレードを「Color 」がインストールされている別のコンピュータに移動す る場合、 68 ページの説明にあるようにフォルダを移植可能な記憶装置にまずコピーし、その内 容を新しいシステムの対応するフォルダにコピーするだけです。次に「 Color」を開いたときに は、保存した補正およびグレードがそれまでと同じように表示されます。

1 台または 2 台のモニタで「Color 」を使う 「 Color」は、1 台のモニタと 2 台のモニタ両方のコンピュータ設定に対応しています。画面を広 く使える上に、2 台目のモニタの「Scopes 」ウインドウにプレビューやビデオスコープを表示し て柔軟に使用できるため、モニタ 2 台を使用するデュアル・ディスプレイ・モードで「Color 」 を利用すると、ほとんどのユーザにとって有益です。

ただし、「 Color」はシングル・ディスプレイ・モードでも使用できるので、ディスプレイをもう 1 台使用できない場合でも「Color 」の操作が可能です。 30 インチのシネマディスプレイでは、 シングル・ディスプレイ・モードのみが推奨されています。

参考:「 Color」では、シングルディスプレイとデュアルディスプレイどちらのモードであっても、 最低限 1680x1050 の解像度が必要です。

シングル・ディスプレイ・モードとデュアル・ディスプレイ・モードを切り替えるには、以下の いずれかの操作を行います: m 「 Window」>「 Single Display Mode」または「 Dual Display Mode」と選択します。 m Shift + 0 キーを押して両モードを交互に切り替えます。

変更を有効にするには、「Color 」を一度終了してから再度開く必要があります。

70 第 3 章 Color のインターフェイスを使う 4 プロジェクトおよびメディアを 読み込む/管理する 4

「Color 」は、作業時にプロジェクトおよびメディアを管理するための 強力なツールを装備しています。

35 ページの第 2 章「色補正のワークフロー」で説明しているように、プロジェクトとそのメディ アを読み込むには、主として 3 つの方法があります。つまり、「 Final Cut Pro」から XML プロ ジェクトデータを読み込む(または送信する)ことも、EDL を読み込んでそのメディアを再接続 することも、またはメディア自体を手動で「 Timeline」に直接取り込むこともできます。

この章では、プロジェクトの作成および保存、別のアプリケーションからのプロジェクトデータ とメディアの読み込み、および「Color 」内でのプロジェクトの管理に使われるコマンドおよび 方法について説明します。

この章では以下について記載します: Â プロジェクトを作成する/開く(72 ページ) Â プロジェクトおよびアーカイブを保存する( 72 ページ) Â 「 Final Cut Pro」と「 Color」間でプロジェクトを移動する(75 ページ) Â プロジェクトを再適合する( 79 ページ) Â EDL を読み込む( 80 ページ) Â EDL を書き出す( 82 ページ) Â QuickTime メディアを再リンクする(82 ページ) Â メディアを「Timeline 」に直接読み込む(83 ページ) Â 互換性があるメディアフォーマット( 84 ページ) Â Cineon および DPX イメージシーケンスを QuickTime に変換する(88 ページ) Â 色補正を読み込む(89 ページ) Â JPEG イメージを書き出す( 89 ページ)

71 プロジェクトを作成する/開く 「 Color」を最初に実行すると、既存のプロジェクトを開くかまたは新しいプロジェクトを作成す るためのダイアログが表示されます。

「 Color」を最初に開いたときに新しいプロジェクトを作成するには: 1 「 Color」を開きます。 2 「 Projects」ウインドウが開いたら、プロジェクトの保存場所を選択します。 デフォルトでは、「Color 」を最初に起動したときに選択したデフォルトのプロジェクトディレク トリに「 Create Project」ダイアログが開かれます。 3 「 File」フィールドにプロジェクトの名前を入力し、「 Save」をクリックします。

選択したディレクトリに新しいプロジェクトが作成され、開かれます。

「 Color」の実行中に新しいプロジェクトを作成するには: 1 必要に応じて、現在のプロジェクトを保存します。

「 Color」では一度に 1 つしかプロジェクトを開いておくことができないので、新しいプロジェク トを作成すると、現在開いているプロジェクトは閉じられます。 2 「 File」>「New 」と選択します(または、コマンド+ N キーを押します)。 3 「 Create Project」ダイアログからプロジェクトの名前と保存場所を選択して、「Save 」をクリッ クします。

空のプロジェクトが表示され、使用できる状態になります。

既存のプロジェクトを開くには、以下のいずれかの操作を行います: m Finder で Color プロジェクトファイルをダブルクリックします。 m 「 File」>「 Open」と選択して(または、コマンド+ O キーを押して)、「Projects 」ウインドウか らプロジェクトを選択し、「 Open」をクリックします。

「 Color」では、一度に 1 つしかプロジェクトを開いておくことができないので、もう 1 つプロ ジェクトを開くと、それまで開いていたプロジェクトは閉じられます。

プロジェクトおよびアーカイブを保存する ファイルを保存する過程で重要なタスクは、プロジェクトファイルに対して行った更新内容自体 を保存することと、プロジェクトファイルのアーカイブを保存することの 2 つです。

「 Color」でのプロジェクトの保存方法は、ほかのアプリケーションの場合と同じです。どのよう

なアプリケーションの場合でも、作業内容が失われることがないよう、できるだけ頻繁に保存し てください。

プロジェクトを保存するには: m 「 File」>「Save 」と選択します(コマンド+ S キーを押します)。

参考:プロジェクトを手動で保存した場合、アーカイブも自動的に保存され、保存日時がアーカ イブ名として使われます。

72 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 最後に保存した状態にプロジェクトを戻すには: m 「 File」>「Revert To Saved」と選択します(コマンド+ R キーを押します)。

アーカイブを保存する/開く アーカイブとは、プロジェクトバンドル内部に保存されたプロジェクトの圧縮された複製です。 効率上の理由で、アーカイブファイルには、フルバージョンのプロジェクトに存在するサムネー ルおよび「Still Store」のイメージファイルがありません。圧縮を容易にし、占有スペースを節 約するために、内部のプロジェクトファイルの状態、「Timeline 」、ショット設定、グレード、補 正、キーフレーム、パンおよびスキャン設定だけしか保存されません。

プロジェクトを手動で保存した場合、アーカイブが自動的に作成され、保存日時に基づいてアー カイブ名が付けられます。特定の状態のプロジェクトのアーカイブを簡単に識別できる名前で保 存するには、「 Save Archive As」コマンドを使うことができます。

固有の名前でプロジェクトのアーカイブを保存するには: 1 以下のいずれかの操作を行います:

 「 File」>「Save Archive As」と選択します。  コマンド+ Option + S キーを押します。 2 「 Archive Name」フィールドに名前を入力して、「 Archive」をクリックします。

保存できるアーカイブの数に制限はないので、アーカイブリストが非常に長くなる可能性があり ます。しかし、アーカイブは .tar と .gzip(「tarball 」)を使って圧縮されるので、スペースをほ とんど必要としません。特定のプロジェクトのアーカイブファイルはすべて、プロジェクトバン ドル内部の「Archives 」サブディレクトリに保存されます。

その後、プロジェクトファイルの設定に何らかの変更が発生した場合、または以前にアーカイブ した状態にプロジェクトを戻す必要が生じた場合、いずれかのアーカイブファイルを読み込むこ とができます。

アーカイブを開くには: 1 「 File」>「Open Archive」と選択します(コマンド+ Option + A キーを押します)。 2 「 Load Archive」ウインドウで開きたいアーカイブを選択し、「Load Archive」をクリックします。

アーカイブを開くと、プロジェクトの現在の状態がアーカイブの状態に上書きされます。

自動保存 「 Color」の自動保存メカニズムをオンにすると、「 Setup」ルームの「User Prefs」タブで「Auto Save Time (Minutes)」パラメータで設定された間隔で現在のプロジェクトが保存されます。プ ロジェクトが自動的に保存される場合は、アーカイブは作成されません。これは、アーカイブリ ストがエントリーでいっぱいにならないようにするためです。デフォルトでは、自動保存はオン になっていて、 5 分間隔で保存が行われます。

詳細については、109 ページの「自動保存の設定」を参照してください。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 73 Color プロジェクトとは プロジェクト内にあるショットは「 Timeline」内にあるショットだけです(これらのショットは 「 Shots」ブラウザにも反映されます)。Color プロジェクトには、1 つのショットシーケンスだけ が含まれます。さらに、 Color プロジェクトでは、実際に「 Timeline」にはないショットについ て組織的な観念を持たないため、使用されていないメディアが取り込まれることはありません。

Color プロジェクトの内容 Color プロジェクトは実際にはバンドルです。各 Color プロジェクトバンドル内はディレクト リの階層構造になっていて、それぞれのディレクトリに、プロジェクトに属する個々のコン ポーネントがイメージファイルまたは XML ファイルとして含まれます。 Color バンドルは、 Finder の「パッケージの内容を表示」コマンドを使って開くことができます。このセクション では、このバンドルのディレクトリ構造と内容について概説します。 Â 「Archives」ディレクトリ: 保存されているプロジェクトのすべてのアーカイブが含まれま す。各アーカイブは .tar と .gzip の両方の圧縮(「tarball 」)を使って圧縮され、拡張子 .tgz が付けられます。 Â .lsi ファイル: 最後に保存したときに再生ヘッドの位置にあるフレームが含まれるイメージ ファイルです。 Â .pdl ファイル: XML ベースのプロジェクトファイル自体です。プロジェクトで使われる ショット、タイミング、およびグレードを構成するすべての情報が含まれます。 Â 「Shots」ディレクトリ: プロジェクトの「 Timeline」内の各ショットに対応するサブディ レクトリが置かれています。各サブディレクトリには、さらに以下のサブディレクトリや ファイルの一部が含まれます: Â 「Grade1(~ 4)」サブディレクトリ: グレードに関係するすべての補正ファイルが含ま れます。 Â ShotName.lsi ファイル:「 Timeline」に表示されるショットのサムネールです。 Â ShotName.si ファイル: ショットの名前、メディアパス、およびタイミング情報が含まれ ます。 Â Grade_Name.date.pcc: プライマリ補正の説明です。 Â Grade_Name.date.scc: セカンダリー補正の説明です。 Â Grade_Name.date.cfx: Color FX 補正の説明です。 Â 「PanAndScan」サブディレクトリ: キーフレームデータが保存された .kfd ファイル、お よびパンとスキャンのデータが保存された .pns ファイルが含まれます。 Â shot_notes.txt ファイル: ショットに注釈が存在する場合、このファイルに保存されます。 Â 「StillStore」ディレクトリ: 参照用としてプロジェクト内に保存した「 Still Store」のイメー ジすべてが含まれます。参照静止画にはそれぞれ、イメージのサムネールアイコンである .lsi ファイルと、フル解像度イメージである .sri ファイル( DPX イメージフォーマットを使って 保存)の 2 つの対応ファイルがあります。

重要:変更内容に十分な確信がない限り、Color プロジェクトファイルの内容は変更しないよ

うお勧めします。手動で変更を行うと、予期しない問題が発生するおそれがあります。

74 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 「Final Cut Pro 」と「 Color」間でプロジェクトを移動する プロジェクトを読み込む最も簡単な方法の 1つは、いずれかの XML ベースのワークフローを使っ て、「Final Cut Pro」のシーケンスを「Color 」に送信することです。このセクションでは、 「 Final Cut Pro」でのプロジェクトの準備方法と XML を使ってプロジェクトを送信する方法につ いて説明します。

「 Final Cut Pro」から「 Color」へのラウンドトリップワークフローの全般的な情報については、 39 ページの「「Final Cut Pro」を使ったビデオ仕上げワークフロー」を参照してください。

Final Cut Pro プロジェクトを書き出す前に 固有のプロジェクトに取り組む場合でも、また「 Color」のグレーディングセッションに先立っ てクライアントのプロジェクトを準備する場合でも、最良の結果を引き出し、円滑なワークフ ローを実現するためには、送信する「 Final Cut Pro」のシーケンスの準備にある程度の時間をか けてください。推奨される処理は以下の通りです。

合成の対象でないクリップを「 Timeline」のトラック V1 に移動する 編集者は、頻繁に複数のビデオトラックを使ってシーンをアセンブルします。この場合、 「 Final Cut Pro」のトラック順序規則に基づいて、現在どのクリップが表示されているのかを判 断します。通常、すべてのクリップが 1 つのビデオトラックに集められている方が、プロジェク トの移動および処理ははるかに高速かつ容易です。このため、合成処理の一環としてスーパーイ ンポーズされていないビデオクリップはすべて、トラック V1 に移動することをお勧めします。

プロジェクトを複数のリールに分割する プロジェクトに編集点が多いと、「 Color」のパフォーマンスが低下するおそれがあります。最適 なパフォーマンスを実現するには、おおまかな目安として、「Color 」に送信するプロジェクトの 編集点を 200 個以下にしてください。

作業パフォーマンスを最大限に向上させるには、「Color 」に送信する前に、長いプロジェクトを およそ 22 分間のリールに分割してください。この長さは任意ですが、22 分間がフィルムリール の標準的な長さであり、プロジェクト内の編集点が多くなければ、22 分間が適切な長さです。編 集点の数が多い場合は、プログラムをさらに短いセグメントに分割することを考慮してください ( 10 分間のセグメントを好むエディタもいます)。各セグメントは、最初のショットのイン点ま たはシーンの最後のショットのアウト点、あるいは「黒になるまでフェード」の最後のフレーム の末尾など、適切なカット点で開始および終了するようにしてください。

重要:リールを作成する場合は、各リール間で間違ってフレームを抜かさないようにしてくだ さい。

エフェクトクリップを色補正するために独立再生形式 QuickTime ファイルを書き出す 「 Color」では、次のタイプのクリップを表示したり処理したりすることはできません。 Â ジェネレータ Â Motion プロジェクト Â LiveType プロジェクト

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 75 Â フリーズフレーム(「 Final Cut Pro 」内のクリップから作成) Â 静止画ファイル(.tiff ファイル、.jpg ファイル、 .bmp ファイルなど)

このようなクリップを「 Color」でグレーディングする場合は、「Color 」にシーケンスを送信す る前に、独立再生形式の QuickTime ファイルとして書き出し、「 Final Cut Pro」のシーケンスの 「 Timeline」に再度組み込んでオリジナルのエフェクトを置き換える必要があります。

これらのエフェクトを「 Color」でグレーディングする必要がない場合は、クリップをそのまま にした状態でプロジェクトを送信できます。「Color 」では、このタイプのクリップが存在する場 所にギャップが表示されますが、これは無視します。このようなエフェクトは、「 Color」に表示 されなくても Color プロジェクトの XML 内に保持されており、「Final Cut Pro」にプロジェクト を戻したときに再度表示されます。

∏ ヒント:「 Final Cut Pro」からプロジェクトを書き出す前に、プログラム全体の独立再生形式の QuickTime ムービーを 1 つ書き出した後、プロジェクトに再度読み込み、編集したシーケンス のその他すべてのクリップにスーパーインポーズすることもできます。その後、プロジェクト を「Color 」に書き出すと、オフライン編集時に作成したオフラインのエフェクトまたは色補正 を確認する必要性が生じた場合に、トラック表示を使ってこのプログラムの「参照」バージョ ンをオン/オフに切り替えることができます。

プロジェクトをメディア管理する Final Cut Pro プロジェクトを別のソフトウェア環境の Color スイートに配信する場合、ドライブ のスペースを節約するために(特に、圧縮されていないメディアを再取り込みする場合)使用さ れていないメディアを取り除き、プロジェクトで使われていないソースメディアをすべて 1 つの ディレクトリにまとめると、持ち運びおよび再リンクが容易になります。これは、メディアを再 取り込みする前に推奨される手順です。

オンライン品質でオフラインメディアを再取り込みする プロジェクトをオフライン解像度で編集した場合は、可能な限り最高の品質ですべてのソースメ ディアを再取り込みする必要があります。ソース映像の録画に使われたネイティブのコーデッ ク、またはサポート対象となっている圧縮されていないコーデックのいずれかを使い、必ず高品 質のコーデックを選択してください。「Color 」でサポートされるコーデックの詳細については、 84 ページの「互換性があるメディアフォーマット」を参照してください。

重要:もともと Y´C BCR フォーマットで録画されているビデオクリップを再取り込みする場合は、 再取り込みに使うコーデック、およびメディアの書き出しまたは整理に使う書き出し方法によっ て、もともと補正されていないメディアのスーパーホワイト成分およびクロマ値の高い成分がク ランプされないようにしてください。通常、このようなクリップは、前もってレベルをクランプ して大切なイメージデータが失われる危険を冒すよりも、「 Color」内で補正する方が良いで しょう。

「 Final Cut Pro 」で「 Color へ送信」コマンドを使う 「 Final Cut Pro」と「Color 」が同じコンピュータにインストールされている場合、「Final Cut Pro」

で「 Color へ送信」コマンドを使うことで、シーケンスを「 Color」に自動的に移動することがで きます。

76 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 「 Final Cut Pro」から「 Color」にシーケンスを送信するには: 1 「 Final Cut Pro」でプロジェクトを開きます。 2 ブラウザでシーケンスを選択し、シーケンス全体を送信します。

3 以下のいずれかの操作を行います:

 「ファイル」>「送信」>「 Color」と選択します。  Control キーを押したまま選択項目をクリックして、ショートカットメニューから「送信」> 「 Color」と選択します。 4 「 Color」で作成するプロジェクトの名前を選択してから、「OK 」をクリックします。

新しい Color プロジェクトが、「 User Preferences」で指定したデフォルトのプロジェクトディ レクトリに自動的に作成されます。「 Timeline」に表示されるショットは、送信されたオリジナ ルの「Final Cut Pro 」のシーケンスに対応しています。

XML ファイルを「 Color」に読み込む 「 Final Cut Pro」のシーケンスとそのメディアを別のソフトウェア環境に配信し、「Color 」を使っ てグレーディングする必要がある場合も、「 Final Cut Pro 」で「XML の書き出し」コマンドを 使って、グレーディングするシーケンスを書き出すことができます。「 Final Cut Pro」からの XML の書き出しの詳細については、「Final Cut Pro ユーザーズマニュアル」を参照してください。

その後、「 Color」で「 Import XML」コマンドを使って、XML ファイルを Color プロジェクトに 変換します。この処理を迅速化するには、読み込みたい XML ファイルを、「 Color」で指定され ているデフォルトのプロジェクトディレクトリにコピーすることができます。

XML ファイルを「 Color」に読み込むには: 1 以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Color」を開きます。 Â 「 File」>「Import 」>「XML 」と選択します。 2 「 Projects」ウインドウから XML ファイルを選択します。 3 「 Load」をクリックします。

新しい Color プロジェクトが、「 User Preferences」で指定したデフォルトのプロジェクトディ レクトリに自動的に作成されます。「 Timeline」に表示されるショットは、書き出されたオリジ ナルの「 Final Cut Pro」のシーケンスに対応しています。

読み込んだ XML プロジェクトは「 Color」で再編集しない デフォルトでは、読み込んだ XML プロジェクトのビデオトラックはすべてロックされます。プ ロジェクトをグレーディングする場合、プロジェクトを「Final Cut Pro」に問題なく戻すため には、「 Color」の「Timeline 」でショットのロックを解除したり、編集によって変更を加えた りしないようにすることが重要です。

編集による変更を行う必要がある場合は、「Final Cut Pro」でオリジナルのシーケンスを再編 集し、新しい XML ファイルを書き出して、変更内容に合わせて「 Color」の「Timeline 」を 「Reconform 」コマンドを使って更新します。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 77 プロジェクトを「 Final Cut Pro 」に戻す 「 Final Cut Pro」から「 Color」へのラウンドトリップを行う場合、色補正したメディアを「Color 」 からレンダリングした後(321 ページの第 17 章「Render Queue」を参照)、 Color プロジェク トを再度「Final Cut Pro」に書き出す必要があります。

重要:Cineon または DPX のイメージシーケンスを使うプロジェクトは、「 Final Cut Pro」に戻 すことができません。

「 Color」で「Send to Final Cut Pro」コマンドを使うには: 1 「 Timeline」を確認し、プロジェクト内の各クリップに使うグレードを選択します。 プログラム内の各ショットでは、個々にレンダリングしたバージョンのメディアを最大 4 つまで レンダリングディレクトリに取り込むことができるので、書き出した XML プロジェクトファイ ルで各ショットのリンク先となるレンダリング済みメディアは、現在選択されているグレードに よって定義されます。 2 「 File」>「Send To」>「Final Cut Pro」と選択します。

参考:この時点で「 Color」のすべてのショットがまだレンダリングされていない場合は、警告 が表示されます。このような場合は、 Final Cut Pro にプロジェクトを戻す前に、一度「No 」を クリックして操作をキャンセルし、ショットをすべてレンダリングしてください。

新しいシーケンスが、オリジナルの Final Cut Pro プロジェクトに自動的に追加されます。ただ し、プロジェクトの送信元の Final Cut Pro プロジェクトが使用できない場合、たとえば、名前 が変更されていたり、別の場所に移動していたりする場合は、新しい Final Cut Pro プロジェク トが作成されて、そのプロジェクトに新しいシーケンスが追加されます。いずれの場合でも、新 しいシーケンス内のすべてのクリップは、「 Color」からレンダリングした色補正済みメディアに 自動的にリンクされます。

「 Final Cut Pro 」に読み込むために XML を書き出す 別のソフトウェア環境の担当者のためにプロジェクトを書き出す場合は、Color プロジェクトの XML バージョンを書き出す必要があります。

最終出力のために XML ファイルを再度「 Final Cut Pro」に書き出すには: 1 「 Timeline」を確認し、プロジェクト内の各クリップに使うグレードを選択します。 プログラム内の各ショットでは、個々にレンダリングしたバージョンのメディアを最大 4 つまで レンダリングディレクトリに取り込むことができるので、書き出した XML プロジェクトファイ ルで各ショットのリンク先となるレンダリング済みメディアは、現在選択されているグレードに よって定義されます。 2 「 File」>「Export 」>「 XML」と選択します。 3 「 Export XML Options」ダイアログが表示されたら、「 Browse」をクリックします。 a「 Export XML File」ダイアログの「File 」フィールドに、書き出す XML ファイルの名前を入力 します。 b ファイルの保存場所を選択して、「Save 」をクリックします。

78 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 4 「 OK」をクリックします。 新しい XML プロジェクトファイルが作成され、その中に含まれるクリップは、「Setup 」ルーム の「Project Settings」タブで指定したメディアディレクトリに自動的にリンクされます。

参考:レンダリングしたメディアを Color プロジェクトからまだ書き出していない場合は、オリ ジナルのプロジェクトメディアに XML ファイルがリンクされます。

プロジェクトを再適合する 「 Final Cut Pro」で生成された XML または EDL からプロジェクトを読み込んだ場合、オリジナル の「Final Cut Pro 」のシーケンスに対して行った編集による変更に合わせて、Color プロジェク トを自動的に再適合することができ、退屈な仕事にかかる時間を節約することができます。

XML ベースの Color プロジェクトを再適合するには: 1 再編集した「 Final Cut Pro」のシーケンスの更新済み XML ファイルを「 Final Cut Pro」から書き 出します。 2 更新する必要がある Color プロジェクトを開き、「 File」>「Reconform 」と選択します。 3 「 Reconform XML」ダイアログで、手順 1 で書き出した XML ファイルを選択して、「 Load」をク リックします。

読み込んだ変更内容に合わせて「 Timeline」のショットが更新され、再適合処理によって影響を 受けたすべてのショットのステータスに基づいて「 Shots」ブラウザの「 Reconform」列が更新 されます。

また、当初 EDL を使って読み込んだプロジェクトを再適合することもできます。

EDL ベースの Color プロジェクトを再適合するには: 1 再編集したシーケンスの更新済み EDL を元のアプリケーションから書き出します。 2 更新する必要がある Color プロジェクトを開き、「 File」>「Reconform 」と選択します。 3 「 Reconform」ダイアログで、手順 1 で書き出した EDL ファイルを選択して、「 Load」をクリック します。

XML ベースのプロジェクトを再適合する場合と同様、再適合処理によって変更された各ショッ トのステータスに基づいて「Setup 」ルームの「 Shots」ブラウザにある「 Reconform」列が更 新されます。これによって、この変更の結果として再調整が必要となるショットを識別でき、タ イプ別にソートされるため、迅速な操作が可能です。詳細については、 94 ページの「列のヘッ ダ」を参照してください。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 79 EDL を読み込む EDL を「 Color」に直接読み込むことができます。 XML ファイルの代わりに EDL を使用するに は、以下の 2 つの理由があります: Â ビデオ・マスター・ファイルを色補正する: EDL を読み込み、「Use As Cut List」オプション を使って対応するマスターメディアファイル(QuickTime の .movファイルまたは DPX イメー ジシーケンス)とリンクさせることで、テープ間の色補正ワークフローに近づけることができ ます。

参考:この方法を使う場合は、圧縮されていないメディアを使うことと、リールの長さを 20 分以下にすることが最善の方法です。「 Timeline」の編集点が 200 個を超えたときに生じるパ フォーマンスのボトルネックを回避するためです。

 2K デジタル・インターメディエイト・プロジェクトを読み込む: EDL は、フィルムスキャン から DPX イメージシーケンスにプロジェクトをリンクし直すときに、2K デジタル・インター メディエイト・ワークフローの一部としてプロジェクトを読み込むための唯一の方法でもあり ます。詳細については、 49 ページの「デジタル・インターメディエイト・ワークフローで 「 Color」を使う」を参照してください。

「 Color」は以下の EDL フォーマットを読み込みます:  Generic  CMX 340  CMX 3600  GVG 4 Plus

EDL の読み込み処理を迅速化するために、「Color 」で指定されているデフォルトのプロジェクト ディレクトリにすべての EDL ファイルをコピーすることができます。

EDL を読み込むには: 1 以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Color」を開きます。 Â 「 File」>「Import 」>「EDL 」と選択します。 2 「 Projects」ウインドウから EDL ファイルを選択します。

80 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 「 EDL Import Settings」ダイアログが表示されます。デフォルトでは、「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブで指定したデフォルトのプロジェクトディレクトリに設定されます。

3 使用可能なリストおよびポップアップメニューから、以下のプロジェクト情報を選択します: Â EDL Format: 読み込む EDL ファイルのフォーマット。 Â Project Frame Rate: 作成する Color プロジェクトのフレームレート。ほとんどの場合、これ は読み込む EDL のフレームレートと同じになります。 Â EDL Frame Rate: 読み込む EDL のフレームレートを選択します。 EDL のフレームレートが 29.97 fps の場合に、プロジェクトのフレームレートを 24 fps に設定すると、「 Color」ではプ ロジェクト内のショットから 3:2 プルダウンを削除するために必要な変換が自動的に行われ ます。 参考:これによって、読み込んだ EDL をテレシネ処理した 29.97 fps ビデオを使ってプロジェ クトのオフライン編集から生成し、それ以降にスキャンされた 2K イメージシーケンスをフィ ルム固有の 24 fps で再取得するというワークフローを扱うことができます。 Â Source Frame Rate: リンク先のディスク上のソースメディアのフレームレート。 Â Use As Cut List: 対応するビデオ・マスター・ファイルに「ノッチ」を設定するためのカッ トリストとして、EDL を使用するように指定できます。 Â Project Resolution: 作成する Color プロジェクトの解像度。通常、これはリンク先のソース メディアの解像度と同じにします。 Â Width: 選択したフレームサイズの幅。 Â Height: 選択したフレームサイズの高さ。 Â Source Directory: ここで指定したディレクトリによって、プロジェクトに関連する DPX ス キャンまたは QuickTime ファイルが置かれている正確なパスに EDL パーサが設定されます。 4 以下のいずれかの操作を行うことで、プロジェクトとリンクさせるソースメディアの場所を指定 する必要があります: Â 「 Source Directory」フィールドにディレクトリパスを入力します。 Â 「 Browse」をクリックし、「 Source Directory」ダイアログでディレクトリを選択して「 Choose」 をクリックします。

参考:選択するソースディレクトリは、ローカルボリュームであっても、プロジェクトのメディ アのデータレートに対応できるだけのパフォーマンスを持つ SAN または LAN上であってもかま いません。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 81 5 必要な設定をすべて選択し終えたら、「Import 」をクリックします。 新しいプロジェクトが作成され、「Timeline 」のショットシーケンスに EDL が変換されます。こ のショットは、オリジナルのプロジェクトの「Timelines 」と一致します。

EDL を書き出す 「 Color」から EDL を書き出すことができます。これは、別の編集アプリケーションにプロジェ クトを戻す上で有効な方法です。 EDL を書き出した場合、「Color 」からレンダリングされたメ ディアに問題なく再リンクできるかどうかは、 EDL の読み込みに使うアプリケーションしだい です。

参考:メディアの再リンクを容易にするため、書き出された EDL のコメント列にメディアパス が書き込まれます。ただし、この変換は必ずしもすべての編集アプリケーションがサポートして いるわけではありません。

EDL を書き出すには: 1 「 File」>「Export 」>「 EDL」と選択します。 2 「 Export EDL」ダイアログが表示されたら、「 Browse」をクリックします。 3 書き出す EDL の名前を「Export EDL File」ダイアログの「File 」フィールドに入力し、ファイル の保存場所を選択して「Save 」をクリックします。 4 このプロジェクトの最終的なレンダリングされたメディアを書き出したときに、ショット名を まったく変更しなかった場合は、「Use original media name」をオンにします。 5 「 OK」をクリックします。

新しい EDL ファイルが作成され、その中のクリップは指定したメディアディレクトリにリンク されます。

QuickTime メディアを再リンクする 必要に応じて、手動で Color プロジェクトにメディアを再度リンクさせることができます。再リ ンクコマンドを使用した場合、「 Color」では以下の基準を使って「Timeline 」の各ショットを対 応するメディアファイルと突き合わせます: Â 開始タイムコード Â ファイル名

どちらの基準も一致しなかった場合は、次の警告が表示されます:

82 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 「 Yes」をクリックして別のファイルへの再リンクを続けた場合、ショットのオリジナルの「 Source In」と「 Source Out」の値は新しいクリップの値で上書きされます。

「 Timeline」のすべてのショットを再リンクするには: 1 「 File」>「Reconnect Media」と選択します。 2 「 Choose Media Path」ダイアログで、プロジェクトのメディアが保存されているディレクトリ を選択して「Choose 」をクリックします。 プロジェクトで使われるすべてのメディアがこのディレクトリに含まれていれば、「Timeline 」 のすべてのショットが自動的に再リンクされます。メディアファイルが足りない場合は、警告が 表示され、そのショットはオフラインのままになります。再度「 Reconnect Media」コマンドを 使って再リンクする必要があります。

単一のショットを再リンクするには: 1 「 Timeline」で目的のショットを Control キーを押しながらクリックするか、または右クリックし てショートカットメニューから「Relink Media」を選択します。 2 「 Select Media To Relink」ダイアログで再リンクするクリップを選択して、「 Load」をクリック します。

メディアファイルのファイル名および開始タイムコードが「 Timeline」のショットと一致してい る場合は、メディアリンクが復元されます。

メディアを「 Timeline」に直接読み込む メディアファイルを「Timeline 」に直接読み込むこともできます。ただし、通常、これは講習の 場合やデジタル編集用の下見フィルムの場合に限り有効です。

「 Timeline」にショットを読み込むには: 1 「 Setup」タブをクリックするか、または「File 」>「Import 」>「 Clip」と選択して、「Setup 」 タブを開きます。 2 ファイルブラウザの左上にあるナビゲーションコントロールを使って、読み込みたいメディアが 含まれるディレクトリを探します。

3 「 Timeline」に読み込みたいメディアファイルをクリックして選択します。 4 以下のいずれかの操作を行います: Â ファイルブラウザでショットをダブルクリックして、「 Timeline」の再生ヘッドの位置にショッ トを組み込みます。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 83 Â ショットを直接「Timeline 」にドラッグします。 Â ショットのプレビューの下にある「Import 」ボタンをクリックして、「 Timeline」の再生ヘッ ドの位置にショットを組み込みます。

ショットを「Timeline 」に取り込んだら、プロジェクトを保存します。

互換性があるメディアフォーマット 「 Color」は、さまざまな種類の QuickTime ファイルおよびイメージシーケンスと互換性があり ます。

読み込みについて互換性がある QuickTime コーデック 「 Color」でサポートされているコーデックは、メディア交換やマスタリングに最適な高品質の コーデックのみです。コーデックのサポートは、次の 3 つのカテゴリに分類されます: Â 「 Color」でのプロジェクトとメディアの読み込み時にサポートされる、QuickTime コーデック。 Â 「 Setup」ルームの「Prjct Settings」タブの「Export Codec」ポップアップメニューで「Original Format」が選択されている場合に最終出力のレンダリングで使える、コーデックのサブセッ ト。「Original Format」を使用できるのは、「Final Cut Pro 」の「Color へ送信」コマンドを 使った場合、または XML ファイルとして書き出された Final Cut Pro ファイルを読み込んだ場 合のみです。 Â ソースメディアをより高品質のフォーマットにアップコンバートする際に「Export Codec」 ポップアップメニューから選択できるコーデックは、デフォルトでは 4 つだけです。この 4 つ とは、Apple ProRes 422 コーデックと Apple ProRes 422(HQ )コーデック、および Apple Uncompressed 8 ビット 4:2:2 コーデックと Apple Uncompressed 10 ビット 4:2:2 コーデッ クです。 参考:AJA 製のビデオインターフェイスがインストール済みの場合は、そのほかに「AJA Kona 10-bit RGB」も選択肢として表示されます。

オリジナルフォーマットとして 書き出しコーデックとして 読み込み時にサポートされる サポートされる サポートされる アニメーション No No Apple Intermediate Codec Yes No Apple Pixlet Yes No Apple ProRes 422 (HQ) Yes Yes Apple ProRes 422 (SQ) Yes Yes DVCPRO 50 - NTSC Yes No DVCPRO 50 - PAL Yes No DV-PAL Yes No DV/DVCPRO - NTSC Yes No DVCPRO-PAL Yes No DVCPRO HD 1080i50 Yes No DVCPRO HD 1080i60 Yes No DVCPRO HD 1080p25 Yes No

84 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する オリジナルフォーマットとして 書き出しコーデックとして 読み込み時にサポートされる サポートされる サポートされる DVCPRO HD 1080p30 Yes No DVCPRO HD 720p50 Yes No DVCPRO HD 720p60 Yes No DVCPRO HD 720p Yes No H.264 No No HDV 720p24 No No HDV 720p25 No No HDV 720p30 No No HDV 1080p24 No No HDV 1080p25 No No HDV 1080p30 No No HDV 1080i60 No No HDV 1080i50 No No Photo - JPEG Yes No MPEG IMX 525/60 (30 Mb/s) No No MPEG IMX 525/60 (40 Mb/s) No No MPEG IMX 525/60 (50 Mb/s) No No MPEG IMX 625/50 (30 Mb/s) No No MPEG IMX 625/50 (40 Mb/s) No No MPEG IMX 625/50 (50 Mb/s) No No

圧縮されていない 8 ビット 4:2:2 Yes Yes 圧縮されていない 10 ビット 4:2:2 Yes Yes XDCAM HD 1080i50 (35 Mb/s VBR) No No XDCAM HD 1080i60 (35 Mb/s VBR) No No XDCAM HD 1080p24 (35 Mb/s VBR) No No XDCAM HD 1080p25 (35 Mb/s VBR) No No XDCAM HD 1080p30 (35 Mb/s VBR) No No

読み込みについて互換性がある他社製 QuickTime コーデック 「 Color」では、読み込み時に以下の他社製コーデックもサポートされます。 Â AJA Kona 10-bit Log RGB Â AJA Kona 10-bit RGB

参考:AJA Kona コーデックは、デフォルトでは QuickTime によってインストールされないの で、必要な場合は AJA 社から入手してください。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 85

書き出しについて互換性がある QuickTime コーデック 「 Color」の目的は、「 Final Cut Pro」に再度読み込むことができるように色補正した高品質のメ ディアを作成して、テープへの出力や QuickTime 変換を行ったり、「DVD Studio Pro」で使用 できるよう圧縮したりすることです。このため、「Color 」からのレンダリングがサポートされて いるコーデックのリストは、メディアのやりとりやマスタリングに適した高品質コーデックに限 られています。 Â Apple ProRes 422: 取り込みおよび書き出しで使う低帯域幅で高品質の圧縮コーデック。 チャンネル当たり 10 ビットでビデオをエンコードし、4:2:2 のクロマサブサンプリングを行い ます。標準解像度ビデオのマスタリングに最適な 35 ~ 50 mbps の可変ビットレート( VBR) をサポートしています。あらゆるフレームサイズに対応しています。 Â Apple ProRes 422(HQ): Apple ProRes 422 の高帯域幅バージョンです。高精細度ビデオ のマスタリングに最適な 145 ~ 220 mbps の可変ビットレート( VBR)をサポートしていま す。あらゆるフレームサイズに対応しています。 Â Uncompressed 8 ビット 4:2:2: まったく圧縮しない、チャンネル当たり 8 ビットのコーデッ クです。 4:2:2 のクロマサブサンプリングを行います。あらゆるフレームサイズに対応してい ます。あらゆるビデオフォーマットのマスタリングに適しています。 Â Uncompressed 10 ビット 4:2:2: まったく圧縮しない、チャンネル当たり 10 ビットのコー デックです。4:2:2 のクロマサブサンプリングを行います。あらゆるフレームサイズに対応し ています。あらゆるビデオフォーマットのマスタリングに適しています。

「 Color」は、レンダリングについて以下の他社製コーデックもサポートしています。 Â AJA Kona 10-bit RGB

参考:AJA Kona コーデックは、デフォルトでは QuickTime によってインストールされないの で、必要な場合は AJA 社から入手してください。

プロジェクトを「Color 」からレンダリングするときに、ソースメディアで使われているコーデッ クや圧縮レベルに関係なく、高品質のマスタリングコーデックを使うことができます。これを利 用すれば、「 Color」に圧縮メディアを読み込んで、補正済み出力を非圧縮メディアとして書き出 してから「Final Cut Pro」にプロジェクトを送信するというワークフローが、容易に実現します。 この方法には、ハードドライブの容量を節約できるうえに、再レンダリング時間が必要なくなる ほか、「 Final Cut Pro」にプロジェクトを戻す前の出力メディアのレンダリング時に高ビット深 度の調整の品質をすべて維持できるという利点があります。

86 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 書き出し時に使うコーデックの選択 最終出力のレンダリングに使うコーデックを選択するときは、以下の 3 つの点を考慮してくだ さい: Â 出力フォーマットが高帯域幅のビデオフォーマット( Betacam SP、 Digital Betacam、 HDCAM、HDCAM SR など)で、記憶容量やシステム要件に関係なくできる限り高い品質の ビデオデータが必要な場合は、Apple Uncompressed 10- ビット 4:2:2 コーデックを使って メディアを書き出します。 Â 出力先が前述のいずれかのビデオフォーマットで、高品質が求められるけれども、ハードド ライブの使用量節約とコンピュータのパフォーマンス向上のために圧縮フォーマットを使 う必要がある場合は、Apple ProRes 422 コーデック(標準解像度の場合)または高品質の Apple ProRes 422(HQ )コーデック(高精細度の場合)を使って書き出します。これらは いずれも、 10 ビット 4:2:2 コーデックです。 Â システムがこのような高帯域幅ビデオを出力するように設定されていない場合に、プログラ ムで使用されているソースフォーマットが「Setup 」ルームの「Prjct Settings」タブにある 「QuickTime Export Codecs」ポップアップメニューの「Original Format」オプションでサ ポートされているフォーマットならば、Final Cut Pro シーケンスで使われているオリジナル のコーデックにレンダリングし直すことができます。サポートされていないコーデックの場 合は、「QuickTime Export Codecs」ポップアップメニューはデフォルトで「 Apple ProRes 422」に設定されます。

互換性があるイメージフォーマット イメージシーケンスの読み込みについて、RGB でエンコードされた以下のイメージフォーマット が「Color 」と互換性があります: イメージシーケンスのレンダリングについては、 Cineon と DPX だけしかサポートされていません。 Â Cineon(読み込みおよび書き出し): フィルムに撮影されたイメージをデジタルでスキャン、 処理、およびプリントするために Kodak で開発された高品質イメージフォーマット。フィル ムの露出寛容度を大きくするように、 10 ビット log フォーマットとして開発されています。 Â DPX(読み込みおよび書き出し): Digital Picture eXchange フォーマットは Cineon フォー マットから派生したものであり、圧縮されていない高品質のデジタルインターメディエイト ワークフローに使われます。「 Color」では、8 ビットおよび 10 ビット log の DPX および Cineon イメージファイルをサポートしています。 Â TIFF(読み込みのみ): TIFF(Tagged Image File Format)は、さまざまなプラットフォーム 上で RGB グラフィックスのイメージフォーマットとして一般的に使用されています。「Color 」 は 16 ビット TIFF シーケンスと互換性があります。 Â JPEG(読み込みのみ): Joint Photographic Experts Group で作られた圧縮率の高いイメー ジフォーマット。適用できる圧縮の量は可変ですが、圧縮率を高くすると視覚的なアーチファ クトが作成されて、同じような色の認識可能なブロックとして表示されます。 JPEG は通常イ メージシーケンスのオフラインバージョンに使われますが、場合によっては(圧縮率を最低限 にした場合)オンラインワークフローで使われることもあります。JPEG は 8 ビットエンコー ディングに限られます。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 87 Â JPEG 2000(読み込みのみ): JPEG 2000 はプロダクションおよびアーカイブを目的とした高 品質の圧縮フォーマットとして開発され、ウェーブレット圧縮法を採用しているため、可視の アーチファクトを回避しながらイメージを圧縮することができます。高い表示品質を維持した 高圧縮率、非可逆の圧縮方法か無損失の圧縮方法を選べるオプション、 8 ビットと 16 ビット 両方のリニア方式のカラーエンコーディングのサポート、エラーチェック機能、色空間および その他のデータのためのメタデータヘッダの標準化といった利点があります。

Cineon および DPX イメージシーケンスを QuickTime に変換する 「 Color」を使って Cineon および DPX イメージシーケンスを QuickTime ファイルに変換でき、 さまざまなワークフローが容易になります。 Â 高解像度の 2K データシネ・フィルム・スキャンまたはデジタルカメラ出力からプロジェクトを 開始した場合、オフライン編集に使用する対応する QuickTime メディアファイルをダウンコ ンバートできます。 Â プロジェクトメディアが QuickTimeフォーマットのときに、一連の Cineonまたは DPXイメー ジシーケンスを出力する場合も、この変換を行うことができます。

Cineon および DPX から高精細度または標準精細度の QuickTime ビデオに変換する場合(およ びその逆の変換の場合)、「 Color」は必要とされる色空間の変換をすべて自動的に行います。対 Rec. 701 601 数メディアはリニアに変換され、 および の色空間が考慮されます。

Cineon または DPX イメージシーケンスを QuickTime に変換するには: 1 空のプロジェクトを作成します。 2 「 Setup」ルームの「 Prjct Settings」タブを開いて、以下の操作を行います: a「 Project Render Directory」をクリックし、変換メディアのレンダリングディレクトリを選択 して「Choose 」をクリックします。 b「 Render File Type」ポップアップメニューから「 QuickTime」を選択します。 c「 Resolution Presets」ポップアップメニューから解像度を選択します。 d「 Export Codec」ポップアップメニューから、イメージシーケンスの変換後のコーデックを選 択します。 3 ファイルブラウザを使って、変換するすべてのショットを「Timeline 」に組み込みます。 4 必要に応じてショットをグレーディングして、生成するオフラインメディアについて補正を行い ます。

ある特定のカメラまたは特定の転送処理をソースメディアとして利用した場合、編集時にメディ アをまずまずの外観に整えるために、そのカメラや転送処理に合った色補正またはコントラスト 調整が必要になる場合があります。このような場合、1 回の補正で、変換するすべてのショット を調整できます(ワンライト変換に相当)。また、編集処理のためにできるだけよい外観のメディ アにするために、変換を行う前に、各ショットを個々に補正することもできます(ベストライト 変換に相当)。

88 第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する ∏ ヒント: 1 つの補正を「Timeline 」内のすべてのショットに迅速に適用するには、代表のショッ トを「Primary In」ルームでグレーディングして、「 Copy to All」をクリックします。 5 「 Render Queue」を開いて、「 Add All」をクリックします。 6 「 Start Render」をクリックします。

すべてのショットが変換され、現在指定されているレンダリングディレクトリにレンダリング出 力が書き込まれます。

色補正を読み込む 「 Import」>「 Color Corrections」コマンドを使用すると、あるプロジェクトファイルのショッ トのグレードおよび色補正を、別のプロジェクト内のショットに適用することができます。これ は同じソースをベースとする Color プロジェクトで使用するためのもので、すでに作業していた プロジェクトの新しいバージョンを読み込んだときに、それまでに適用されていたすべてのグ レードを新しいバージョンに反映させることができます。

色補正をあるプロジェクトから別のプロジェクトに読み込むには: 1 補正の読み込み先の Color プロジェクトを開きます。 2 「 File」>「Import 」>「Color Corrections」と選択します。 3 「 Projects」ダイアログで、読み込む補正が含まれている Color プロジェクトを選択し、「 Load」 をクリックします。

別のプロジェクトファイルの色補正に基づいて、現在開かれているプロジェクトのショットが更 新されます。

JPEG イメージを書き出す 「 Color」には、再生ヘッドの位置にあるフレームの JPEG イメージを書き出すための方法も用意 されています。

再生ヘッドの現在の位置にあるフレームの JPEG イメージを書き出すには: 1 書き出したいフレームに再生ヘッドを移動します。 2 「 File」>「Export 」>「 JPEG Still」と選択します。 3 「 File」フィールドに名前を入力し、「 Save Still As」ダイアログでディレクトリを選択します。 参考:デフォルトでは、プロジェクトバンドル内部の「Still Store」サブディレクトリに設定さ れています。 4 「 Save」をクリックします。 選択した場所に JPEG イメージとしてフレームが保存されます。

第 4 章 プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する 89

5 Setup 5

プロジェクトを使った作業に取り掛かる前に、「 Setup」ルームで 「Color 」の作業環境の設定とプロジェクトの設定を行ってください。

「 Setup」ルームは、多数の目的を果たします。「 Setup」ルームでは、メディアファイルの読み 込み、保存したグレードのソートおよび管理、プログラムで使われるショットの整理および検索、 プロジェクトのレンダリングおよびブロードキャストセーフの設定の選択、ユーザ環境設定の調 整を行います。

この章では以下について記載します: Â ファイルブラウザ(91 ページ) Â 「 Shots」ブラウザ(92 ページ) Â 「 Grades」ビン(97 ページ) Â 「 Project Settings」タブ( 98 ページ) Â 「 Messages」タブ( 102 ページ) Â 「 User Preferences」タブ(102 ページ)

ファイルブラウザ ファイルブラウザは「 Setup」ルームの左半分にあり、ハードドライブのディレクトリ構造を直 接移動することができます。「 Setup」ルームに小型の Finder があるようなものです。ファイル ブラウザはビンでないことを覚えておいてください。ファイルブラウザ内に表示されるファイル は、手動で「 Timeline」にドラッグするか、または読み込んだプロジェクトのショットを「 Relink Media」コマンドか「 Reconnect Media」コマンドを使ってディスク上の該当するメディアファ イルにリンクし直さない限り、 Color プロジェクトと関連付けられることはありません。

91 デフォルトでは、「 Color」を起動すると、デフォルトのメディアディレクトリの内容が表示され ます。

 1 つ上のディレクトリボタン: 現在のファイルパスの 1 つ上のディレクトリに移動します。  ホームディレクトリボタン: 現在指定されているデフォルトのメディアディレクトリに移動 します。

ファイルブラウザの使用方法の詳細については、83 ページの「メディアを「Timeline 」に直接 読み込む」を参照してください。別のアプリケーションからのプロジェクトデータの読み込みの 詳細については、71 ページの第 4 章「プロジェクトおよびメディアを読み込む/管理する」を 参照してください。

「Shots 」ブラウザ 「 Shots」ブラウザには、「Timeline 」に現在表示されているプログラムで使われるすべてのショッ トがリストされます。このビンは、プログラム内のショットをさまざまな基準を使ってソートし たり、操作を適用するショットグループを選択したり、または「 Timeline」に表示されているか どうかに関係なくショットを選択したりするために使うことができます。

 アイコン表示ボタン: クリックすると、ショット領域がアイコン表示になります。  リスト表示ボタン: クリックすると、ショット領域がリスト表示に取り込まれます。  「Shots」ブラウザ: プロジェクト内のそれぞれのショットが、サムネールアイコンまたはエ ントリー(リスト表示)としてここに表示されます。

92 第 5 章 Setup 現在のショットおよび選択状態のショット 「 Shots」ブラウザでは、アイコンやエントリーは選択状態に基づいて色分けされます。

 濃いグレイ: このショットは現在表示も選択もされていません。  明るいグレイ: 再生ヘッドの現在の位置にあるショットが現在のショットとみなされ、 「 Timeline」と 「Shots 」ブラウザのタイムラインの両方がグレイでハイライトされます。現在 のショットとは表示されているショットで、いずれかのルームのコントロールが調整されたと きに補正されます。  シアン: 現在のショット以外のショットも選択できます。選択状態のショットは、「Timeline 」 と「Shots 」ブラウザ両方がシアンでハイライトされます。選択した複数のショットに一度に グレードおよび補正を適用することで、作業時間を短縮できます。

「 Goto Shot」と検索フィールド 「 Goto Shot」フィールドおよび検索フィールドで、プロジェクト内の特定のショットにジャン プしたり特定のショットを検索したりすることができます。これらのフィールドは、「 Shots」ブ ラウザがアイコン表示モードとリスト表示モードのどちらになっていても使用できます。

特定のショットにジャンプするには: m 「 Goto Shot」フィールドに番号を入力して、 Enter キーを押します。 リストがスクロールされてこの番号のショットが表示され(自動的に選択されます)、「Timeline 」 のこのショットの先頭フレームに再生ヘッドが移動します。

特定のショットを検索するには: 1 検索するデータの列のヘッダをクリックします。 2 検索フィールドに名前を入力します。

入力を開始すると同時に、「 Shots」ブラウザは検索基準と一致する項目以外を非表示にします。 入力を続けると、これに合わせて「Shots 」ブラウザがダイナミックに更新され、対応する項目 が更新されたリストが表示されます。

参考:検索はすべて、選択した列のデータの先頭文字から行われ、左から右へ読み出されます。 検索機能では、大文字/小文字は区別されません。

第 5 章 Setup 93 検索処理後にすべてのショットを表示するには: m 検索フィールド内のテキストをすべて選択して、 Delete キーを押します。 これで、すべてのショットが「 Shots」ブラウザに再度表示されます。

列のヘッダ 「 Shots」ブラウザがリスト表示になっている場合、最大 9 つの情報列を表示することができます。 Â Number: 編集におけるショットの位置をリストします。最初のショットは 1、2 番目のショッ トは 2 というようになります。 Â Shot Name: ショットの名前。ファイル名がベースになります。 Â Colorist: ショットを最後に補正したときに「 Project Settings」の「 Colorist」フィールドに 表示されていた名前をリストします。この列は、プロジェクトに複数のカラリストが割り当て られている場合に、どのショットをだれが担当しているのか管理するのに便利です。 Â Status: ショットのレンダリング状況を示します。選択したショットについてこの列を右ク リックして、ショートカットメニューから新しい状態を選択できます。以下の 5 つのショット 状態があります: Â Queued: レンダリングキューにショットが追加されています。 Â Rendering: ショットが現在レンダリングされています。 Â Rendered: ショットが正常にレンダリングされています。 Â To Do: ショットはまだどのルームでも補正されていません。 Â Aborted: このショットのレンダリングは停止されています。 Â Reconform: ショットに再適合処理が反映されているかどうかをリストします。たとえば、こ の列を基準にしてソートすることで、再適合処理によって「Timeline 」に追加されたためにま だグレーディングされていない新しいショットを簡単に見つけ、移動することができます。プ ロジェクトの再適合の詳細については、79 ページの「プロジェクトを再適合する」を参照し てください。再適合メッセージには以下のものがあります: Â Shorten: ショットが短縮されています。 Â Content Shift: ショットの継続時間および「Timeline 」の位置は同じですが、 内容がスリップされています。 Â Moved: ショットが「 Timeline」の別の位置に移動しています。 Â Added: このショットがプロジェクトに追加されています。 Â Time Spent:「 Shots 」ブラウザの下の「 Show Time」ボタンがオンになっている場合に限 り、この列が表示されます。特定のショットのグレーディングにどれだけの時間がかかってい るかが示されます。「Color 」で各プログラム内の各ショットを処理するのにどれだけ時間がか かったのかを追跡することで、作業の処理速度が分かります。 Â Notes:「 Notes」列は、特定のショットについてテキスト注釈を保存したり呼び出したりす るためのインターフェイスを提供します。注釈が設定されたショットは、この列にチェック マークが付いた状態で表示されます。

94 第 5 章 Setup 「 Shots」ブラウザをカスタマイズする 以下の手順では、「Shots 」ブラウザをソートおよび変更するための方法について説明します。

いずれかの列を基準にして「 Shots」ブラウザをソートするには: m ソートの基準とする列のヘッダをクリックします。

降順でのみショットがソートされます。文字よりも数字が優先され、小文字よりも大文字が優先 されます。

「 Shots」ブラウザの列のサイズを変更するには: m サイズを変更する列の右側の境界をドラッグします。

「 Time Spent」列の表示/非表示を切り替えるには: m 「 Shots」ブラウザの下にある「Show Time」をクリックします。

ショットに注釈を追加する 「 Color」では、プロジェクトで作業しながら、特定のショットについてのクライアントまたは責 任者の注釈を追跡するためのインターフェイスが用意されています。

ショットへの注釈の追加、既存の注釈の読み出しまたは編集を行うには: 1 「 Setup」ルームで「 Shots」ブラウザを開きます。 2 「 Shots」ブラウザの「 Notes」列を、 Control キーを押したままクリックするかまたは右クリッ クして、ショートカットメニューから「Edit File」を選択します。 標準テキスト編集ウインドウが表示されます。 3 目的のテキストを入力します。

第 5 章 Setup 95 4 注釈を保存して閉じるには、以下のいずれかの操作を行います:

 コマンド+ S キーを押して、ウインドウを閉じます。  ウインドウを閉じ、ドロップシートから「 Save」をクリックします。

ショットに注釈を追加すると、「Notes 」列にチェックマークが表示されます。

ショットから注釈を削除するには: m 「 Shots」ブラウザの「 Notes」列を、 Control キーを押したままクリックするかまたは右クリッ クして、ショートカットメニューから「Delete File」を選択します。

参考:プロジェクトバンドル内部の /shots/ サブディレクトリ内の、このショットのサブディレ クトリに注釈が保存されます。注釈を削除すると、注釈ファイルが削除されます。

「 Shots」ブラウザを使ってショットを選択する/「 Timeline」を移動する 「 Shots」ブラウザを使って特定のショットを簡単に見つけ出し、選択することができます(これ によって、たとえば、ショットのグループに 1 つのグレードを適用することができます)。また、 「 Shots」ブラウザを使って「 Timeline」内の特定のショットに簡単に移動することもできます。 このような処理は、「Shots 」ブラウザがアイコン表示とリスト表示のどちらになっていても使用 できます。

1 つまたは複数のショットを選択するには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Shots」ブラウザでいずれかのショットをクリックして、そのショットを選択します。 m 不連続のショットのグループを選択する場合は、コマンドキーを押したままショットのグループ をクリックします。

96 第 5 章 Setup m 連続する範囲内にあるショットを選択する場合は、いずれかのショットをクリックした後、Shift キーを押したままもう 1 つ別のショットをクリックして、最初に選択したショットから 2 番目に 選択したショットまでのすべてのショットを選択します。

シアンがオーバーレイされた状態で、選択したショットが表示されます。

「 Shots」ブラウザを使って「 Timeline」内の特定のショットに移動するには: m ショットをダブルクリックします。 m 「 Goto Shot」フィールドに番号を入力します。 新しい現在のショットが「Shots 」ブラウザでグレイになり、「 Timeline」のこのショットの先頭 フレームに再生ヘッドがジャンプします。これで、このショットは「Color 」のどのルームでで も補正できる状態になります。

「Grades 」ビン 「 Grades」ビンでは、グレードを保存および管理して、をプログラムでグレード使うことができ ます。第 3 章で説明したように、グレードには以下の個々の補正を 1 つまたは複数適用すること ができます:  Primary In  Secondaries  Color FX  Primary Out

1 つまたは複数のショットにグレードを適用することで、複数の補正をすべて一度に適用するこ とができます。「 Grades」ビンに保存されたグレードは、このユーザアカウントにログインして いる間に開かれるすべての Color プロジェクトで使用できます。「Grades 」ビンではアイコン表 示でもリスト表示でもグレードを表示することができ、「 Color」のほかのビンと同じコントロー ルを共有し、サブディレクトリを使ってグレードを整理し、ファイル構造内を移動することがで きます。「 Grades」ビンのコントロールの使いかたの詳細については、64 ページの「整理用のブ ラウザとビン」を参照してください。

グレードの保存および適用の詳細については、 265 ページの「グレードを「Grades 」のビンに 保存する」を参照してください。

第 5 章 Setup 97 「Project Settings」タブ 「 Project Settings」タブのオプションは、プロジェクトごとに個々に保存されます。プロジェク トに関する追加情報を保存したり、プロジェクトの表示方法やプロジェクト内のショットのレン ダリング方法を調整したりすることができます。

情報およびレンダリングディレクトリの設定 これらの設定は「Color 」およびプロジェクトに関する情報を提供し、プロジェクトで生成され たメディアをどのディレクトリに書き込むかを設定することができます。 Â Project Name: プロジェクトの名前。デフォルトでは、ディスク上のプロジェクトファイル の名前に設定されていますが、これは自由に変更できます。プロジェクト名を変更しても、プ ロジェクトファイルの名前は変更されません。 Â Render Directory: このプロジェクトについてレンダリングされたメディアファイルが保存 されるデフォルトのディレクトリパスです。Color プロジェクトのレンダリングの詳細につい ては、321 ページの第 17 章「Render Queue」を参照してください。 Â 「Project Render Directory」ボタン: このボタンをクリックすると、 「 Choose Project Render Directory」ダイアログを使って新しいプロジェクトのレンダリング ディレクトリを選択できます。 Â Colorist: このフィールドには、現在プロジェクトで作業しているカラリストの名前を保存す ることができます。この情報は、マルチスイートポストプロダクション業者でだれが何を担当 しているのか確認したり、あるソフトウェア環境から別のソフトウェア環境にプロジェクト ファイルを移動したりする場合に便利です。 Â Client: このフィールドには、このプロジェクトのクライアントの名前を保存することができ ます。

解像度およびコーデックの設定 これらの設定で、プロジェクトの表示およびレンダリングに関する情報を設定することができま す。これは、表示を目的とした場合のプログラムのレンダリング方法、および最終出力のレンダ リングのタイミングに反映されます。 Â Display LUT: 表示 LUT(ルックアップテーブル)は、プレビューディスプレイおよびブロー ドキャストディスプレイに表示されるモニタイメージを変更するために通常使われる色調整 情報が含まれたファイルです。LUT を生成することで、ハードウェアプローブを使ってディス プレイを補正することができます。また、デジタル映写システムやフィルム・プリント・ワー クフローなど、別の特性を示すイメージングメディアにディスプレイを合わせることもできま す。色管理ワークフローの一部として表示 LUT が読み込まれている場合、どの LUT ファイル が使われているかをこのフィールドで確認できます。LUT 管理の詳細については、111 ページ の第 6 章「モニタリング」を参照してください。 Â Frame Rate: プロジェクトに設定されているフレームレートが表示されます。プロジェクト のフレームレートはプロジェクトの作成時に設定されますが、「Timeline 」に表示されている ショットがなければ、ポップアップメニューで変更できます。「 Timeline」に 1 つまたは複数 のショットが追加されている場合は、プロジェクトのフレームレートは変更できません。 Â 「Resolution Presets」ポップアップメニュー: このメニューには、PAL および NTSC の標準精 細度、高精細度、2K フレームサイズなど、 「Color 」でサポートされているすべてのプロジェ クト解像度がリストされます。現在選択されている QuickTime Export Codec によって、この メニューで使用可能なオプションが制限される場合があります。

98 第 5 章 Setup 現在選択されている QuickTime Exportコーデックでフレームサイズをカスタマイズできる場 合は、下記の幅と高さのフィールドを編集することができます。それ以外の場合は、編集でき ません。これらのフィールドをユーザ指定のフレームサイズに設定した場合、「 Resolution Presets」ポップアップメニューに「Custom 」が表示されます。

 Width: フレームサイズの現在選択されている幅。  Height: フレームサイズの現在選択されている高さ。  Printing Density: このポップアップメニューは、Cineon または DPX イメージシーケンスを 使うように現在のプロジェクトが設定されている場合に限り表示されます。ポストプロダク ションのパイプラインとの互換性を確保するために、色の処理に使われる値の数値範囲を明示 的に選択することができます。このオプションで、「Color 」からレンダリングしたメディアで ブラックポイントとホワイトポイントをどのように設定するかを定義します。3 つのオプショ ンがあります:  Film(95 ブラック- 685 ホワイト:対数)  Video( 65 ブラック- 940 ホワイト:リニア)  Linear(0 ブラック- 1023 ホワイト)  Render File Type: このパラメータは、プロジェクトが使用するメディアのタイプに基づいて、 自動的に設定されます。「 Final Cut Pro」からプロジェクトを送信した場合、このパラメータ は「 QuickTime」に設定され、変更することはできません。 Color プロジェクトを一から作成 する場合は、このポップアップメニューで、最終メディアをレンダリングするときのフォー マットを選択できます。イメージシーケンスを使った 2K フィルムプロジェクトでは「Cineon 」 または「 DPX」を選択する場合が多く、ビデオプロジェクトではほとんどの場合 QuickTime ファイルとしてレンダリングされます。  Deinterlace Renders: このオプションをオンにすると、プレビューディスプレイおよび ブロードキャストディスプレイに表示されているすべてのショットがインターレース除去さ れると共に、「 Color」からレンダリングされたメディアもインターレース除去されます。  Deinterlace Previews: このオプションをオンにすると、プレビューディスプレイおよび ブロードキャストディスプレイに表示されているショットはすべてインターレース除去され ますが、「 Color」からレンダリングされたメディアはインターレースされたままです。

インターレース除去について 「Color 」のインターレース除去は非常に簡単であり、両方のフィールドを平均化して、 1 つの フレームを作成します。これによって、柔らかい外観のイメージを作成できます。

参考:「Timeline 」の隣りにあるショットの「Settings 」タブにショットごとにインターレース 除去パラメータが用意されています。このため、プログラム全体をインターレース除去するこ となく、特定のショットを選択的にインターレース除去することができます。詳細については、 133 ページの「「Settings 2」タブ」を参照してください。

第 5 章 Setup 99 Â 「QuickTime Export Codecs」ポップアップメニュー:「 Render File Type」ポップアップメ ニューで「QuickTime 」が選択されている場合、プロジェクトからメディアをレンダリングす るためのコーデックをこのメニューで選択することができます。このメニューが「Original Format」に設定されている場合は、書き出しコーデックは自動的に元の Final Cut Pro シーケ ンスで指定されているコーデックと同じになります(このオプションを使用できるのは、 「 Color へ送信」コマンドを使うとき、または Final Cut Pro で書き出された XML ファイルを 読み込むときのみです)。 QuickTime Export コーデックを、ソースメディアで使われるコーデックと一致させる必要は ありません。このことを利用すると、圧縮を最小限に抑えた、またはまったく圧縮しないフォー マットにメディアをアップコンバートすることができます。このポップアップメニューのオプ ションとして表示されるのは、 QuickTime コーデックのうち、「 Color」からのメディアのレ ンダリングのために現在サポートされているものだけです。

書き出し時に使う QuickTime コーデックの選択 プロジェクトを「Color 」からレンダリングするときに、ソースメディアで使われているコー デックや圧縮レベルに関係なく、高品質のマスタリングコーデックを使うことができます。 「QuickTime Export Codecs」ポップアップメニューを利用すれば、「 Color」に圧縮メディア を読み込んで、補正済み出力を非圧縮メディアとして書き出してから「 Final Cut Pro」にプロ ジェクトを送信するというワークフローが、容易に実現します。この方法には、ハードドライ ブの容量を節約できるうえに、再レンダリング時間が必要なくなるほか、「Final Cut Pro 」に プロジェクトを戻す前の出力メディアのレンダリング時に高ビット深度の調整の品質をすべ て維持できるという利点があります。

マスタリングに最適なコーデックには、Apple Uncompressed 8 ビット 4:2:2、 Apple Uncompressed 10 ビット 4:2:2、 Apple ProRes 422、および Apple ProRes 422(HQ )があ ります。詳細については、 86 ページの「書き出しについて互換性がある QuickTime コーデッ ク」を参照してください。

「 Broadcast Safe」設定 プログラムのショットについて、ルミナンス、クロマ、コンポジットの最小値と最大値を制限す るよう「 Color」を設定することができます。これらの設定はすべて完全にカスタマイズ可能で あるため、品質管理( QC)基準に合わせて設定でき、 QC 違反を防ぐことができます。 Â 「Broadcast Safe」ボタン:「 Broadcast Safe」をオンにすると、プロジェクト全体でブロー ドキャストの適正化が有効になり、セカンダリーディスプレイやブロードキャストモニタでの 表示形態および最終出力のためのレンダリング形態に反映されます。このボタンによって、以 下の設定のオン/オフが切り替わります: Â Ceiling IRE: 許容される最大ルミナンスをアナログ IRE 単位で指定します。この上限を上回 るルミナンスの信号は、この最大値に合わせて制限されます。 Â Floor IRE: 許容される最小ルミナンスをアナログ IRE 単位で指定します。この下限を下回る ルミナンスの信号は、この最小値に合わせて制限されます。 Â Amplitude: これは制限をする機能ではありません。クロマの振幅に対して調整を適用でき ます。デフォルト値の 0 の場合は、変更は行われません。

100 第 5 章 Setup  Phase: クロマの位相を調整できます。「 Amplitude」が「 0」に設定されている場合は、変 更は行われません。  Offset: クロマ調整のオフセットを調整できます。「 Amplitude」が「0 」に設定されてい る場合は、変更は行われません。  Chroma Limit: 最大許容サチュレーションを設定します。サチュレーションがこの上限を 上回る信号のクロマは、この最大値に合わせて制限されます。  Composite Limit: ルミナンスとクロマに最大限許容される組み合わせを設定します。この 上限を上回る信号は、この最大値に合わせて制限されます。

ブロードキャストセーフを設定することで、プロジェクト内で補正されていないソースメディア の範囲を制限できると共に、補正処理時に非適正な値が間違って指定されないようにすることが できます。プログラムでブロードキャストレベルを制限するには 3 つの方法があります。

「 Broadcast Safe」をオンにして、常にオンの状態で作業する 最も安全な作業方法(および新しいプロジェクトのデフォルトの動作)は、作業の開始時に 「 Broadcast Safe」をオンにし、色補正処理全体を通じてオンのままにしておくことです。慣れ れば、モニタのイメージを見て、波形スコープのグラフの上下にクランプがないかチェックする ことで、ハイライトまたはシャドウが必要以上につぶれていないか判断することができます。必 要以上にイメージがクリップされている場合は、補正を行って信号を調整することができます。

「 Broadcast Safe」をオフにした状態で補正を行い、出力時にオンに戻す すぐに「 Broadcast Safe」をオンにした場合、信号の非適正な部分がただちに制限されるため、 どれだけのデータがクリップされているのか正確に判断することが難しくなります。これまで ずっとスーパーホワイトレベルおよび高クロマで録画してきたメディアを色補正する場合、信号 のどの部分が範囲を外れているのか簡単に見分け、どのように適正化すればよいか慎重に判断で きるように、色補正の初期作業では「Broadcast Safe」設定をオフにすることが望ましいことが あります。

初期作業を終えたら、逸脱したレベルとならないように「 Broadcast Safe」をオンに戻せば、 必要以上にイメージを制限しないようにできます。

プログラムの個々のショットに対して「Enable Clipping」をオンにする 「 Primary Out」ルームの「Basic 」タブにある「Enable Clipping」ボタンで、プログラムの個々 のショットに対して赤、緑、青のチャンネルの天井値を設定することができます。これによって、 プログラム全体に対して「Broadcast Safe」をオンにすることなく、「 Primary」、「 Secondaries」、 または「 Color FX」の極端な補正を適用しているショット内で非適正なブロードキャスト値を防 止することができます。「 Enable Clipping」と「 Broadcast Safe」の両方を有効にすると、最も 低い基準が適用されます。詳細については、 261 ページの「「Ceiling 」コントロールを使う」を 参照してください。

第 5 章 Setup 101 重要:「 Color」で採用されているブロードキャストセーフの適正化では、イメージの細部を保持 しながら、非適正レベルを防止するしかありません。その他の色補正システムの場合と同様に、 一定のポイントを超えて無理に調整を行うと、黒い部分が不均一につぶれたり、白い部分が消え たり、カラー領域が一様になったりします。それでも、スタイリッシュなエフェクトを作るため に頻繁に使われています。

「Broadcast Safe」について ブロードキャスト向けのプログラムの色補正を行う場合、放送事業者から固有の品質管理( QC) ガイドラインを入手することが重要です。IRE 、クロマ、合成の振幅として許容される最大値お よび最小値にはさまざまな基準があり、放送事業者によって許容レベルが異なります。

ブロードキャストセーフのパラメータは、必要とされる QC ガイドラインに合わせて設定でき ます。パラメータを有効にすることで、プログラムのモニタ時および最終補正済みのメディア のレンダリング時に、確実に基準を超えることがないようにできます。

レンダリング設定 この設定は、「 Color」からどのようにメディアをレンダリングするかに反映されます。 Â Handles: このフィールドでは、「 Color」からレンダリングされる各メディアファイルの先頭 および末尾に追加する付加的なメディアの継続時間を指定することができます。のりしろを設 定することで、「Final Cut Pro」にプロジェクトを戻したときに、編集者は補正済みのメディ アが不足するようなことなく、微調整を行うことができます。デフォルト値は 00:00:01:00 です。

「Messages 」タブ 「 Messages」タブには、「Color 」の処理時に生成されたすべての警告メッセージおよびエラー メッセージの実行リストが含まれています。黄色でハイライトされたメッセージは警告メッセー ジです。赤でハイライトされたメッセージは、エラーが発生したことを示します(たとえば、 「 Directory not writable trying to re-save a project」というメッセージがあります)。 「 Messages」タブにはコントロールはありません。

「User Preferences」タブ 「 User Preferences」タブには、開いているプロジェクトを使った「 Color」の処理に反映される 設定が含まれています。コントロールサーフェスの感度、「Timeline 」の表示、再生動作、ビデ オ出力、および表示とレンダリング両方に使われるビット深度をカスタマイズするためのオプ ションが用意されています。

これらの設定はそれぞれ変更されると自動的に状態が保存されます。必要に応じて、設定をオリ ジナルのデフォルト値に戻すことができます。

デフォルトのユーザ環境設定をリセットするには: m 「 User Preferences」タブの下部にある「Revert 」をクリックします。

102 第 5 章 Setup メディアディレクトリとプロジェクトディレクトリ メディアディレクトリとプロジェクトディレクトリで、新しいファイルがデフォルトで保存され る場所を制御することができます。 Â Default Project Dir.:「 Color」の新しいプロジェクトすべてが保存されるデフォルトのディ レクトリ。また、「 Import EDL」コマンドと「 Import XML」コマンドを実行したときにダイ アログボックスに表示されるデフォルトのディレクトリでもあります。新しいディレクトリを 選択するには、「 Browse」ボタンをクリックします。 Â Default Media Dir.: ファイルブラウザのデフォルトのディレクトリ。また、「 Import EDL」 コマンドと「Import XML」コマンドで使われるデフォルトのメディア位置でもあります。新 しいディレクトリを選択するには、「 Browse」ボタンをクリックします。 Â Default Render Dir.:「 Color」で書き出しのためにレンダリングされるメディアのデフォル トのディレクトリ。新しいディレクトリを選択するには、「 Browse」ボタンをクリックします。

コントロールサーフェスの設定 「 Color」でコントロールサーフェスを使う場合、以下のパラメータによって、特定のコントロー ルに適用されているモーションを、調整を行ったときにこの調整にどのように対応させるかを調 整することができます。 Â Hue Wheel Angle: このパラメータでは、「Color 」のインターフェイスにあるカラーコント ロールのカラーホイールに色が表示される角度、およびコントロールサーフェスのジョイボー ルを使ったときにそれに合わせて色が調整される角度を指定します。異なるシステムの操作に 慣れたカラリストにも対応できるよう、カスタマイズが可能です: Â 「 122」は DaVinci 色補正システムの場合の赤のデフォルトの角度です。これは、ベクトルス コープに赤が表示される角度に相当します。これは、「Color 」のデフォルトの設定です。 Â 「 0」は Pogle 色補正システムの場合の赤のデフォルトの角度です。これは、従来の Mk III テ レシネのコントロールの方向に相当します。

「Hue Wheel Angle」が 122 の場合 「Hue Wheel Angle」が 0 の場合

 Encoder Sensitivity: このパラメータは、コントロールサーフェスのノブの回転によって、対 応する「 Color」のコントロールの値が変更される速度を制御します。

第 5 章 Setup 103 Â Jog/Shuttle Sensitivity: このパラメータは、コントロールサーフェスのジョグ/シャトルホ イールに適用された回転の量に応じて再生ヘッドが移動する速度を制御します。 Â Joyball Sensitivity: このパラメータは、「 Primary In」、「Secondaries 」、および「 Primary Out」の各ルームでコントロールサーフェスのジョイボールを使って「 Shadows」、 「 Midtones」、「Highlights 」のカラーコントロールを調整する場合に、どれだけ迅速にカラー コントロールが調整されるようにするかを制御します。デフォルトは「 1」に設定されていま すが、これは非常に低速です。この値を大きくすると、ジョイボールの動く量は同じでも、補 正が行われる速度が速くなります。

ユーザインターフェイスの設定 以下の設定で、「 Color」のインターフェイスをカスタマイズすることができます。 Â UI Saturation: この値によって、「Color 」のユーザインターフェイをどの程度のサチュレー ションで表示するかを制御します。眼精疲労を防止し、セッション中に色の認知が偏ることが ないようにするため、カラリストの多くは、「UI saturation」を低い値に抑えています。「UI saturation」はまた、「Monochrome Scopes」オプションをオフにすると、「Scopes 」ウイン ドウで表示される色の輝度にも影響を及ぼします。 Â Frames / Seconds / Minutes / Hours: これらのボタンで、「Timeline 」のルーラでの時間 の表示方法を選択できます。「 Color」のほかのタイムコードフィールドにおける時間の表示に は影響しません。 Â Show Shots Name: この設定をオンにすると、各ショットの名前が「 Timeline」に表示され ます。 Â Show Shots Number: この設定をオンにすると、「Timeline 」に各ショットのショット番号 が表示されます。 Â Show Thumbnail: この設定をオンにすると、「Timeline 」のすべてのショット内にシングル フレームのサムネールが表示されます。 Â Loop Playback: この設定をオンにすると、「Timeline 」の現在のイン点からアウト点まで再 生がループされます。再生にどのように影響するかは、再生モードの設定状態によって異なり ます。詳細については、127 ページの「再生モードを切り替える」を参照してください。 Â Maintain Framerate: 再生時にプロジェクトのフレートレートを維持するために、ドロップ フレームを行うかどうかを設定します。 Â 「 Maintain Framerate」がオンの場合(デフォルト)、現在のフレームレートは現在の処理 作業負荷に関係なく維持されます。現在再生しているグレードがプロセッサに過大な負荷を かける場合、プロジェクトのフレームレートを維持するためにドロップフレームが発生しま す。それ以外の場合は、リアルタイムで再生が行われます。 Â 「 Maintain Framerate」をオフにすると、常にすべてのフレームが再生されます。現在再生 しているグレードがプロセッサに大きな負荷をかけている場合、ドロップフレームを回避す るため、再生速度が遅くなります。負荷が大きくない場合、再生は実際の時間よりも高速で 実行されることがあります。 Â Synchronize Refresh (slower): このオプションをオンにすると、モニタイメージでビデオ のリフレッシュアーチファクトが取り除かれます(ビデオイメージを「切り離したもの」とし て表示される可能性があります)。再生パフォーマンスにごくわずかながら影響があり、およ そ 1 fps の再生の低下が生じます。

104 第 5 章 Setup 以下のパラメータは、179 ページの「カラーバランスのコントロールを使う」で説明されている ものと同じように機能する小型のカラーコントロールを使います。

 「Grade Complete」カラーコントロール:「 Timeline」のレンダリングバーで、レンダリング されたショットの表示に使う色。デフォルトの色は緑です。  「Grade Cued」カラーコントロール:「 Timeline 」のレンダリングバーで、レンダリングキュー に追加されたものの、まだレンダリングされていないショットの表示に使う色。デフォルトの 色は黄色です。  「Grade Aborted」カラーコントロール:「 Timeline」のレンダリングバーで、レンダリング が停止されているショットの表示に使う色。デフォルトの色は赤です。  Monochrome Scopes: このオプションをオンにすると、ビデオスコープの目盛りが単色(色 は、その下にある「 Scope Color」オプションで指定)で描画されます。眼精疲労を防ぐため、 カラリストの多くがこの表示を使っています。ただし、それと同時にベクトルスコープもフル カラー表示ではなくなってしまいます。このため、スコープでカラーフィードバックを必要と する場合には、「 UI Saturation」の設定値を下げ、輝度を抑えることもできます。  Scope Color:「 Monochrome Scopes」がオンの場合に、このカラーコントロールでビデオ スコープの目盛りの描画に使う色を調整できます。  Limit Shadow Adjustments: このオプションをオンにすると、シャドウの色およびコントラ ストの調整に減衰が適用されます。0 パーセント値(純黒)では補正が 100 パーセント適用さ れ、100 パーセント値(純白)では適用される補正は 0 パーセントです。このオプションをオ フにすると、シャドウの色およびコントラストのコントロールに対して行われた調整はイメー ジ全体に均一に適用されます。  Show Control Surface Dialog: このオプションをオンにすると、すぐに「Control Surface Startup」ダイアログが開かれ、操作に使う「Color 」と互換性があるコントロールサーフェス を選択することができます。このオプションをオンにしておくと、「 Color」を開くたびに、 「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されます。コントロールサーフェスを持ってい ない場合は、このオプションをオフにします。

プロキシを使う Cineon または DPX イメージシーケンスを使うプロジェクトの場合、プロキシメカニズムを利用 して、高解像度で処理速度を上げることができます。「Color 」のプロキシメカニズムは、 QuickTime メディアを使うプロジェクトでは利用できません。 Â Enable Proxy Support: このボタンをオンにすると、プロジェクトのソースメディアの代わ りに、プロキシと呼ばれる低解像度の代替メディアを使用することができます。プロキシを使 うことで、たとえプロジェクト内のショットを低品質で表示している間であっても、再生、グ レーディング、およびレンダリングのパフォーマンスを上げることができます。プロキシを使 うには、プロキシを生成しておく必要があります。プロキシの生成方法の詳細については、 106 ページの「プロキシを生成する/削除する」を参照してください。 Â Render Proxy: 出力メディアのレンダリングに使うプロキシ解像度を選択します。これは、 ラウンドトリップワークフローのリターントリップをテストするために、メディアのセット を迅速にレンダリングする場合に有効です。このメニューはデフォルトでは「 Full Resolution」に設定されています。ほとんどの場合はこの設定のままにしておいてください。

第 5 章 Setup 105 Â Grading Proxy: いずれかのルームでコントロールを調整するときに使うプロキシ解像度を 選択します。これによって、ユーザインターフェイスの対話性が向上すると共に、異なるグ レーディングコントロールの調整時にイメージが更新される速度も速くなります。調整が終 了すると、イメージはフル解像度に戻ります。 Â Playback Proxy: 再生時に使うプロキシ解像度を選択します。イメージの品質を下げると、 再生フレームレートが向上します。再生が停止すると、イメージはフル解像度に戻ります。

プロキシを生成する/削除する プロジェクトの処理時にプロキシを使うには、まずプロジェクトに対して 1/2 および 1/4 の解 像度のプロキシメディアのセットを生成する必要があります。 Â プロジェクトに対してプロキシメディアのセットを生成するには、「File 」>「 Proxies」> 「Generate Proxies」と選択します。 Â プロジェクトに対して生成されているプロキシをすべて削除するには、「File 」>「Proxies 」 >「 Delete Proxies」と選択します。

再生、処理、および出力の設定 以下の設定は、再生の品質および速度に反映されます。 Â Video Output: このポップアップメニューのオプションは、コンピュータにインストールさ れているブロードキャストビデオインターフェイスで使用可能なビデオ出力オプションに相 当します。「Disabled 」を選択すると、ビデオ出力全体がオフになります。 参考:現時点では、Digital Cinema Desktopのプレビューと Apple FireWire の出力は、「Color 」 からの出力のモニタリングには使用できません。

 Force RGB: このオプションは、標準解像度のプロジェクトでは選択できません。この設定

は、高精細度の Y´C BCR ソースメディアを使い、ブロードキャスト・ビデオ・インターフェイ スを介して外部のブロードキャストモニタでモニタリングを行うときのために用意されてい ます。この設定によって、「 Color」で内部的に計算された RGB イメージデータが、どのよう

に Y´C BCR イメージデータに変換され、表示されるかが決まります: Â 「 Force RGB」をオフにすると、この変換は「Color 」によりソフトウェア内で実行されます。 この場合、プロセッサリソースが消費され、その結果リアルタイムパフォーマンスが著しく 低下するおそれがあります。 Â 「 Force RGB」をオンにすると、「 Color」ではコンピュータにインストールされているブロー ドキャストビデオインターフェイスに直接 RGB イメージデータを送信し、インターフェイ スを介して専用のハードウェアを使って変換を行います。この場合、コンピュータに与える 処理負荷が軽減されるので、リアルタイムパフォーマンスを最適化するにはお勧めです。 0 ~ 100 IRE で適正化されたビデオをモニタリングする場合は、「Force RGB」をオンにしても オフにしても表示されるイメージの違いはほとんどありません。

106 第 5 章 Setup 重要:「 Force RGB」がオンの場合、スーパーホワイトおよび色域外のクロマ値がブロードキャ ストディスプレイで表示されることはありません。また、ブロードキャストビデオインター フェイスの出力を分析する外部のビデオスコープにも表示されません。この制限が適用される のはモニタリングの場合だけです。「Color 」で行われる内部のイメージ処理では、この種の データは保持されます。

このため、スーパーホワイトのイメージデータが存在する場合は、Color ソフトウェアのス コープに必ず表示され、最終的なメディアの書き出し時にはスーパーホワイトと色域外のクロ マのレベルが補正されていない状態で常に保持されます。

「 Project Settings」で「 Broadcast Safe」がオンの場合は、「Color 」によって制限されている ため、このような「非適正」レベルの表示の違いに気付かないかもしれません。

 Disable Vid-Out During Playback: このオプションをオンにすると、再生時にブロードキャ ストインターフェイスを介したビデオ出力が無効になります。一時停止状態では、再生ヘッド の位置にあるフレームがビデオに出力されます。これは、プロジェクトでエフェクトを多く 使っているためにビデオの再生速度が遅すぎて使いものにならない場合に有効です。このオプ ションをオンにすると、一時停止にしたイメージを調整およびモニタした後、プレビュー表示 でプログラムのモーションを確認した方が、通常は再生速度が速くなります。  Update UI During Playback: このオプションをオンにすると、「 Color」のインターフェイ スの特定ウインドウをプロジェクトの再生に合わせてダイナミックに更新することができま す。これによって、再生時にグレード間でコントロールおよびスコープを更新できますが、再 生パフォーマンスが低下するおそれがあるため、デフォルトではオフに設定されています。こ こには以下の 2 つのオプションがあります:  Update Primary Display:「 Primary」、「 Secondaries」、「 Color FX」、「Primary Out」、お よび「Geometry 」の各ルームのメインのインターフェイスコントロールを更新します。こ のオプションをオンにすると、グレード間でコントロールがどのように変更され、キーフ レーム設定されたグレードの場合どのようなアニメーションになるかを確認することがで きます。  Update Secondary Display:「 Scopes 」ウインドウを更新します。これによって、再生時 にビデオスコープを更新することができます。このオプションをオフにすると、ビデオのプ レビューは再生されますが、ビデオスコープは表示されなくなります。  Radial HSL Interpolation: この設定によって、キーフレーム設定された色調整がヒュー間で どのように補間されるかを指定します。  この設定がオフの場合(デフォルト)、キーフレーム設定されたヒューの変化は、カラーホ イールのあるポイントから別のポイントへ直接リニアにアニメーション表示されます。この 結果、非常にダイレクトに調整がアニメーション表示され、不要な色循環を最小限に抑える ことができます。この方法は、DaVinci および Pogle で色調整のアニメーション表示に使わ れます。

第 5 章 Setup 107

 この設定をオンにすると、キーフレーム設定されたヒューの変化は、放射状にアニメーショ ン表示され、現在のヒューとターゲットのヒューまでの間のカラーホイール上のすべての ヒューが順に変化します。この結果、カラーホイールで直接隣接していない別のヒューへの 変化をアニメーション表示した場合、色循環として表示されます。 この方法は、「Final Cut Pro」で「色補正」および「色補正( 3 ウェイ)」の各フィルタでの 色調整をアニメーション表示する場合に使われます。

リダイアル補間をオンにした状態の リダイアル補間をオンにした状態の アニメーション表示されたカラー アニメーション表示されたカラー コントロール調整 コントロール調整

 Internal Format: このポップアップメニューから選択するオプションによって、リアル タイム再生時および最終出力のレンダリング時に色の内部処理に「Color 」が使用するビット 深度が決まります。ビット深度は、カラーチャンネル当たりのビット数として示され、イメー ジのピクセルごとに色の範囲を表示するために使われる合計数です。ビット数が高いとイメー ジは高品質になりますが、再生およびレンダリングに対するプロセッサの負荷が大きくなり ます。  8 bit:「 Color」で対応可能な最小ビット深度。プロセッサの負荷を最も小さく抑えること ができます。  10 bit: ソースに関係なく、セカンダリー色補正およびビネット処理を伴うプロジェクトに 推奨される最小ビット深度。  12 bit: 一部のビデオカードでサポートされている高いビット深度。  16 bit: 非常に高品質のビット深度。フィルムスキャンからのイメージを処理する場合に、 16 ビットは 10 ビット log に匹敵する最良のリニア版と言われています。  Floating Point:「 Color」で使用可能なイメージ処理品質の最高レベル。「 Floating Point」 では、浮動小数点演算を使って小数データを保存および計算します。つまり、1 よりも大き い値を使うことができ、整数ベースの 8 ビット、10 ビット、12 ビット、および 16 ビット の深度では切り捨てされるデータを保存することができます。「 Floating Point」はプロセッ サに非常に大きな負荷がかかるビット深度であるので、レンダリング時間が長くなることを 考慮してください。 参考:「 Floating Point」は、NVidia 製のグラフィックカードを使っている場合は選択できま せん。

108 第 5 章 Setup ∏ ヒント:システムのパフォーマンスによっては、リアルタイムパフォーマンスを最大限にする ために、ビット深度を下げて作業した方が望ましい場合があります。その場合には、最終出力 をレンダリングする前に、イメージ品質を最大限にするために必要なビット深度に切り替える ことができます。

ビット深度とチャンネルデータの対応 所定のビット深度でピクセルごとに各チャンネルで実際に使われる値の範囲は、 2 を n 乗(こ こで、n はビット深度)することで算出されます。たとえば、 8 ビットの色に使われる値の範 囲は 2 の 8 乗、つまりチャンネル当たりの値の数は 256 個になります。16 ビットの色に使わ れる値の範囲は 2 の 10 乗、つまりチャンネル当たりの値の数は 65536 個です。

ただし、これだけではありません。有効な数値範囲のうち実際にどの程度の値が使われるかは、 イメージデータのエンコード方法によって変わります。 Â 全範囲: RGB 色空間を使うイメージデータは、有効な数値範囲全体を使って、各カラーチャ ンネルをエンコードします。つまり、8 ビットビデオのカラーチャンネルは 0 ~ 255 の範囲 にある値を使い、10 ビットチャンネルは 1 ~ 1023 の範囲を使います。 Â スタジオ範囲: Y´C BCR色空間を使って保存される 8ビットおよび 10 ビットビデオのイメージ データは、各チャンネルにスタジオ範囲の値を使います。つまり、ビデオ規格で必要とされ るスーパーブラックおよびスーパーホワイト用のヘッドルームを確保するために、有効な値 の範囲のうちサブセットだけが実際に使われます。

たとえば、 8 ビット Y´C BCR のルミナンスの場合は 16 ~ 236 の範囲が使われ、 1 ~ 15 およ び 235 ~ 254 は信号のヘッドルームのために確保されます。10 ビット Y´C BCR のルミナンス の場合は、 64 ~ 940 の範囲が使われ、4 ~ 63 および 941 ~ 1019 はヘッドルームのために 確保されます。

さらに、最小値と最大値はイメージデータ以外のデータ用に確保され、クロマ成分(C B およ び C R)で使われる値の範囲はこれよりも広くなります( 8 ビットビデオの場合は 16 ~ 240、 10 ビットビデオの場合は 64 ~ 960)。

自動保存の設定 以下の 2 つの設定によって、「 Color」で自動保存を有効または無効にすることができます。 Â Auto Save Projects: このオプションをオンにすると、自動保存が有効になります。 Â Auto Save Time (Minutes): プロジェクトが次に保存されるまでの時間(分)を指定します。 デフォルトでは、5 分に設定されています。

自動保存されるのは、現在のプロジェクトだけです。プロジェクトのアーカイブ済みコピーは作 成されません。アーカイブの作成および呼び出しの詳細については、 72 ページの「プロジェク トおよびアーカイブを保存する」を参照してください。

第 5 章 Setup 109

6 モニタリング 6

作業のモニタで使用する機器や方法は、正確な結果を得るために非常 に重要です。

特に、カラー補正では適正なモニタリングを行うことが不可欠です。この章では、「Color 」で 使 用できるモニタリングオプションについて説明します。たとえば、「Scopes 」ウインドウの構成、 ブロードキャストビデオ出力のオプション、補正やシミュレーションで使用する LUT の作成など のほか、「Still Store」でモニタリングや評価用のビデオを出力する方法などについて取り上げ ます。

この章では以下について記載します: Â 「 Scopes」ウインドウ( 111 ページ) Â ブロードキャストビデオ出力をモニタリングする( 113 ページ) Â ディスプレイの LUT を使う(115 ページ) Â 「 Still Store」をモニタリングする(120 ページ)

「Scopes 」ウインドウ 「 Color」での作業のモニタリングは、「 Scopes」ウインドウから実行する方法が最も簡単です。 「 Scopes」ウインドウは、「Color 」のインターフェイスを構成する 2 つのウインドウのうちの 2 番目のウインドウです。「Color 」は、1 台または 2 台のディスプレイを使うように設定できます。

2 台のディスプレイを使うと、「 Scopes」ウインドウのみが 2 番目のディスプレイに表示されま す。ディスプレイが 1 台の場合、「Scopes 」ウインドウと「Color 」ウインドウとで画面が共有 されます。

シングル・ディスプレイ・モードとデュアル・ディスプレイ・モードを切り替えるには、以下の いずれかの操作を行います: m 「 Window」>「 Single Display Mode」または「 Dual Display Mode」と選択します。 m Shift + 0 キーを押して両モードを交互に切り替えます。 「 Scopes」ウインドウには、作業しているイメージをプレビューするプレビューディスプレイが あります。このディスプレイは、2 つまたは 3 つのビデオスコープを追加して表示できるため、 イメージを評価する際に便利です。

111 プレビューディスプレイ プレビューディスプレイには、「 Timeline」にある再生ヘッドの現在位置のフレームが、すべて のルームで適用されたすべての補正を反映させて表示されます(「 Grade」>「Disable Grade」 と選択していない場合)。または、現在有効にしている「Still Store」のイメージが表示されます。

プレビューディスプレイに表示されるイメージは、使用しているコンピュータのビデオ出力に接 続されているブロードキャストモニタに同じように表示されます。プレビューディスプレイは、 Color プロジェクトに読み込んだ LUT も反映されます。

参考:そのほかに現在のフレームが表示されないのは、「 Secondaries」ルームの「Previews 」タ ブで代替セカンダリーディスプレイ方法のいずれか 1 つが有効な場合のみです。詳細について は、219 ページの「「 Previews」タブ」を参照してください。

「 Scopes」ウインドウのプレビューディスプレイは、フルスクリーンモードと分割スクリーン モードで切り替えることができます。

プレビューイメージをフルスクリーンと 4 分割スクリーンで切り替えるには: m 「 Scopes」ウインドウのプレビューイメージをダブルクリックします。 m 「 Scopes」ウインドウのプレビューイメージを Control キーを押しながらクリックするか右ク リックし、ショートカットメニューから「 Full Screen」を選択します。

プレビューディスプレイがフルスクリーンモードになると、すべてのビデオスコープが非表示に なります。

プレビューディスプレイを評価用モニタとして使う 「Scopes 」ウインドウのプレビューディスプレイが評価用モニタとして適切かどうかはいくつ かの要因によって決まりますが、その中で最も重要なのは、プレビューディスプレイの品質に どの程度の信頼性を置くかということです。

多くのユーザは、特に 2K のワークフローでスキャンフィルムをグレーディングする際、プレ ビューディスプレイを評価モニタとして使います。しかし、利用する業者の標準を満たす精度 を維持するために必要なコントラストやカラーの範囲を表示できる機能があるモニタを使用 していることを確認する必要があります。また、正しい結果が得られるかどうかは、適正なモ ニタの補正に加えて、カラープロファイリングと LUT 管理を使った最終フィルム出力のシミュ レーション(この章の後半で説明します)によって決まります。

ビデオスコープ 表示できるスコープの数は、使っているウインドウのレイアウトによって決まります。つまり、 シングル・ディスプレイ・モードでは 2 つのビデオスコープ、デュアル・ディスプレイ・モード では 3 つのビデオスコープを表示できます。詳細については、 141 ページの第 8 章「ビデオス コープ」を参照してください。

112 第 6 章 モニタリング ブロードキャストビデオ出力をモニタリングする ブロードキャストプログラムのモニタリングをできるだけ正確に行うために、「 Color」はサポー トしている他社製インターフェイスを使って標準精細度と高精細度のビデオを出力します。外部 のモニタに出力できる解像度、ビット深度、フレームレートは、お使いのインターフェイス用に インストールされているドライバによって決まります。

外部のビデオモニタリングを有効にするには: m 「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブにある「Video Output」ポップアップメニューからオプ ションを選択します。

外部のビデオモニタリングを無効にするには: m 「 Video Output」ポップアップメニューから「 Disabled」を選択します。

プログラムをミキシングする/マッチングする、解像度を表示する 理想としては、プログラムはネイティブの解像度でモニタするようにしてください(ソースメ ディアの解像度)。ただし、「 Color」は「 User Prefs」タブの「Video Output」ポップアップメ ニューに設定されている解像度に関係なく、そのビデオで最高の解像度で出力します。「 Video Output」ポップアップメニューに設定されている解像度が、現在選択している解像度プリセッ トと異なる場合、「Color 」はディスプレイのサイズに合わせてイメージを自動的に拡大または縮 小します。

ビット深度とモニタリング 作業しているビット深度は、モニタイメージの品質に大きく影響します。モニタするビット深度 は、次の 3 つの要素によって決まります: Â ソースメディアのビット深度 Â 「 Video Output」ポップアップメニューで選択しているビット深度 Â 「 Internal Pixel Format」ポップアップメニューで選択しているビット深度

最初の撮影や転送のフォーマットがほかに指定または選択されていると、ディスク上のソースメ ディアのビット深度があらかじめ設定されます(通常は、 8 ビット、10 ビット、または 10 ビッ ト log)。ビット深度が低いと、カラー補正処理中にバンディングやほかのアーチファクトが生じ やすくなるため(特にグラデーションが含まれている場合)、ビデオを処理する際には、オリジ ナルのソースメディアよりも高いビット深度を使う方が便利です(セカンダリー補正やビネット では特に有利)。

「 Color」は、選択したビット深度でビデオを処理して出力します。ただし、ほとんどのブロード キャストビデオインターフェイスの最高解像度は 10 ビットです。モニタリングしながら最高品 質を得るには、「Internal Pixel Format」を作業する最高のビット深度に設定し、「 Video Output」 ポップアップを必ず 10 ビットに設定します。

参考:ビデオのノイズやフィルムのグレインは、カラー補正操作によって生じるタイプのアーチ ファクトをビット深度が低ければ最小化するため、高いビット深度での作業の利点が肉眼では はっきりしない場合もあります。

第 6 章 モニタリング 113 高いビット深度でのモニタリングはプロセッサの負荷が高くなり、リアルタイムのパフォーマン スを低下させる場合があります。このため、作業時にはビット深度を低くし、プロジェクトの最 終出力でレンダリングする際にビット深度を高くするという選択肢もあります。

「 User Prefs」タブで選択できるモニタリングオプションの詳細については、 106 ページの「再 生、処理、および出力の設定」を参照してください。

モニタを慎重に選択する グレーディングするイメージのタイプに不可欠な評価に合わせて適切なモニタを選択すること が大切です。CRT ベースのディスプレイ、新世代のフラットパネル LCD ベースのディスプレイ、 多様なテクノロジーを駆使したハイエンドのビデオプロジェクタなど、さまざまな高機能ディス プレイから選択できます。

予算と必要性に合わせて慎重に選択してください。ただし、重大なカラー評価を行うためには次 の点が重要です:

 モニタリングするビデオフォーマットと互換性がある  モニタリングするビデオ信号と互換性がある。たとえば、Y´P BPR、SDI 、HD-SDI 、HDMI など  適切な黒レベル(つまり、無地の黒がグレイに見えないこと)  コントラスト範囲が広い  適切なブライトネス  ユーザが選択可能なカラー温度  適切な Rec.601(SD )または 709( HD)の色空間標準に適合している  適切なガンマ( Rec.709 でも定義)  プロ向けの補正や調整に適切なコントロール

参考:これらすべての理由から、通常、民生用のテレビやディスプレイは、プロ向けの作業には 適切ではありません。ただし、作成したプログラムは平均的なリビングルームでどのように見え るのかを確認するプレビューには十分に使用できます。

表示環境を注意してセットアップする モニタを見る環境も、イメージを正しく評価できるかどうかに大きく影響します。 Â モニタの正面に直接光が入らないようにします。 Â 室内の照明は明るすぎないように、間接的にします。また、視界内に直接光源を置かないよう にします。 Â 室内の照明は、モニタの色温度と一致させます(北南米およびヨーロッパは 6500K、アジアは 9300K)。 Â 表示するモニタの背後からの間接照明とし、明るさはモニタが表示する純白の 10 ~ 25 %にし ます。

114 第 6 章 モニタリング Â モニタまでの理想的な距離は、モニタ画面の縦の約 5 倍です。 Â 作業場所となる室内の色は、淡いグレイにします。

このような対策を取れば、作業中の眼の疲労が抑えられ、間違ったカラーバイアスを避けられる ほか、イメージをできる限り高い品質でディスプレイに表示できます。

モニタを定期的に補正する 最後に、モニタは定期的に補正するようにします。できるだけ高い精度を得るために、一部のモ ニタには自動補正用のプローブが組み込まれています。組み込まれていないタイプのモニタの場 合、他社製のプローブと補正ソフトウェアを使って測定値を合わせることができます。ブロード キャストのみの設定では、使いなれた標準のカラーバー手順を使うこともできます。

モニタリング環境に合わせて「 Color」のインターフェイスを調整する 「 Color」のインターフェイスは、デスクトップに不要な光が入らないようにあえて暗く表示され ています。インターフェイスの明るさをさらに抑えたい場合は、「Setup 」ルームの「 User Prefs」 タブの「 UI Saturation」設定で、「Primary In」、「 Secondaries」、「Primary Out」の各ルームの ほとんどのコントロール、およびビデオスコープで表示される色のサチュレーションを下げるこ とができます。

ディスプレイの LUT を使う 「 Color」では、ディスプレイの補正で 3D Look Up Table(LUT )を使うことができます。これ により、適切なブロードキャスト用の標準規格に合わせることやターゲットの出力デバイスの特 性をシミュレートすること(たとえば、フィルムに出力するときに補正するイメージがどのよう に表示されるか確認すること)ができます。

CRT、LCD フラットパネル、ビデオプロジェクタ、フィルムプロジェクタでは、さまざまなテク ノロジーを使って色が表現されます。 2 種類の異なるディスプレイ、たとえば、ブロードキャス トディスプレイやビデオプロジェクタで同じテストイメージを表示する場合、2 台のディスプレ イの間では必ず色に相違があります。この相違は、普通の人の場合は気付かないかもしれません。 しかし、カラリストとしては、作成しているフォーマットに必要な標準規格に合わせて予想され る表示環境を整えて、非適正な色を表示するディスプレイでだれかがプログラムを表示しようと したために、変更が必要になるような事態に煩わされないようにする必要があります。

さらに、 1 つのカテゴリのデバイスにもさまざまな種類があります: Â メーカーごとに、CRT モニタの蛍光コーティングが異なります。 Â デジタルプロジェクタで採用されているイメージングシステムには多数の種類があります。 Â 投影されるフィルムはさまざまな出力方法やフィルムストックを使って出力されます。

どの場合でも、ある表示環境から別の表示環境に変わると、イメージに重大な色の相違が生じる ことは避けられません。この問題の解決方法の 1 つが、LUT を使った補正です。

第 6 章 モニタリング 115 LUT とは 簡単に言えば、 Look Up Table( LUT)は、デバイス A の色域と色度で表示されるイメージの色 を、デバイス B の色域と色度を使って同じように表示するために使われる、あらかじめ計算され たデータのセットです。

特定のデバイスの色域は、そのデバイスで表示できる色再現域を表します。ディスプレイのタイ プによっては、ほかのタイプのものよりも広範囲に渡る色を表示できるものがあります。さらに、 ビデオやフィルムの標準が異なれば、指定される色再現域も異なります。つまり、あるイメージ 媒体で簡単に再現できる色でも、別の媒体では色域外である場合があります。たとえば、フィル ムはブロードキャストビデオ標準よりも多くのカラー値を表現できます。

色度は、三原色のそれぞれを表現するためにディスプレイが使う正確な値を指します。ディスプ レイが異なると原色の値も異なります。これは、可視スペクトル内のヒューとサチュレーション を表す二次元グラフ上の点として三原色をプロットする色度ダイアグラムで分かります。ディス プレイで表現されるすべての色は三原色を混合しているため、三原色の点がディスプレイごとに 異なると、色域全体が変わってしまいます。

上記の色度図は、理論上ディスプレイを比較するのに便利ですが、すべての色域を定義する ヒュー(色)、サチュレーション(色の強度)、および明度(黒から白までのルミナンス)を正確 に表現するには、3D 色空間を使う必要があります。

116 第 6 章 モニタリング 3D 空間内に押し出すと、異なるデバイスごとに色域と色度から作成される形状も異なります。 たとえば、標準の RGB 色空間は単純な立方体で表されます( ColorSync ユーティリティアプリ ケーションで表示されます):

立方体の各コーナーは、三刺激値である r、g 、b をさまざまに混合した色を表します。黒のコー ナーは( 0,0,0)、白のコーナーは反対の( 1,1,1)、青のコーナーは( 0,0,1)、赤のコーナーは ( 1,0,0)です。この RGB カラー立方体は、理想化して抽象的に表現したものです。実際の表示デ バイスの形状は、それぞれの色域と色度に合わせて大きく異なります。

あるデバイスの色域を別のデバイスの色域に合わせて正確に変換するには、その色域をそのまま 3D 表現にしてから、形状をほかのデバイスや標準の形状に合うように数学的に変形します。こ の処理は、デバイスのキャラクタライズと呼ばれ、カラー管理業界で使われている標準的な方法 です。いったん計算されると、変換方法は 3D LUT ファイルとして保存されます。

デバイスのキャラクタライズが済んで必要な LUT が計算されると、複雑な演算作業が実行され、 「 Color」内で LUT を使ってリアルタイムのパフォーマンスに大きな影響を与えずに出力イメー ジを修正できるようになります。

第 6 章 モニタリング 117 LUT が必要な場合とは 次の例では、LUT を使うことを検討すべき状況について示します: Â 施設内の複数のディスプレイをマッチングしている場合: LUT は、共通の視覚基準に合わせる ために複数のディスプレイを補正する場合に便利です。プログラムを別の部屋に移動しても必 ず同じように表示されます。 Â ブロードキャスト用ではないモニタで SD または HD ビデオを表示している場合: LUT を使っ て、表示しているビデオの標準に適切な Rec.601( SD)または 709(HD )色空間とガンマ設 定をエミュレートできます。 Â ビデオプロジェクタを使ってビデオまたはフィルムのイメージを表示している場合: LUT を 使って、作業しているブロードキャストやフィルム標準の色域にできる限り近くなるようにデ バイスを補正できます。 Â フィルムに出力予定のイメージをグレーディングしている場合: LUT を使って、最終的な出 力を行う際に使用するフィルム出力デバイスやフィルムストックの特性をプロファイルし、 作業しながら最終的な投影イメージの見ために近づけることができます。

重要:LUT は、高品質ディスプレイの代わりにはなりません。特に、にごった黒を鮮明すること もできなければ、本質的に低いコントラスト範囲を改善することも、狭すぎる色域を広げること もできません。

LUT を必要としない場合とは ビデオのカラー補正を行う際に、表示しているビデオの標準と互換性のある正しく補正されたブ ロードキャストディスプレイを使ってモニタリングしている場合、通常 LUT を使う必要はありま せん。

LUT を生成する LUT を生成する方法はいくつかあります。

他社製ソフトウェアを使って自分で作成する できる限り忠実に色を再現できるように、ハードウェア・モニタ・プローブと組み合わせて各 ディスプレイの特性を分析し、LUT を作成できる他社製アプリケーションがあります。モニタ設 定や特性は時間の経過と共に変わるため、ディスプレイは 1 ~ 2 週間ごとに定期的に補正し直す のが一般的です。

別のタイプのディスプレイをブロードキャストの標準(デジタルプロジェクタなど)に合わせる ために LUT を作成する場合、追加のソフトウェアを使って、必要とするターゲットのディスプレ イの特性に合わせて補正 LUT を修正することになります。

LUT を作成してもらう フィルムワークフローの中で、ハイエンドのデジタルインターメディエイトの場合、フィルム出 力を行うラボやモニタ補正ソフトウェアを作成する企業と協力し、プロジェクトで使う特定の フィルムレコーダやフィルムストックのプロファイルに基づいたカスタム LUT を作成できます。

118 第 6 章 モニタリング 通常このプロセスでは、ラボでフィルムにテストイメージが出力され、結果として得られたイ メージを分析してターゲットの LUT が作成されます。この LUT と使用するディスプレイの補正 LUT(モニタプローブとシステムのソフトウェアで作成)を使って、 3 番目の LUT が作成されま す。「Color 」で作業しながらプログラムをモニタリングする際には、この 3 番目の LUT が使わ れます。

「 Color」で LUT を作成する いざというときには、「 Primary In」ルームのコントロールを使って自分の目で 2 台のモニタを マッチングして LUT を作成し、「 Color」を直接使わずにそのマッチングを直接エミュレートで きます。

また、特定の補正が撮影時にデジタル保存されたイメージにどのように影響するのかを確認する ために、「参照用」LUT としてグレードを書き出すことができます。このためには、撮影スタッ フは.mga フォーマットで LUTを読み込むことができるフィールドモニタを使う必要があります。

自分で LUT を作成するには: 1 「 Color」のプレビューディスプレイとターゲットモニタの両方が同時に見えるように配置します。 2 適切な評価用イメージ(マクベスチャートなど)を「Timeline 」に読み込みます。 3 別の信頼できるビデオソースを使ってターゲットディスプレイに同じイメージを表示します。 4 「 Primary In」ルームを開き、適切なコントロールを調整して 2 つのイメージをマッチングします。 5 「 File」>「Export 」>「 Display LUT」と選択します。 6 「 Save LUT As」ダイアログが表示されたら、「File 」フィールドに LUT の名前を入力し、ファイル の保存場所を選択して「Save 」をクリックします。 デフォルトでは、 LUT は「 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/LUTs」 ディレクトリに保存されます。

重要:新しい LUT を書き出す際、プロジェクトですでに LUT が使われている場合、現在読み込 まれている LUT に新たに実行された調整が追加され、その組み合わされたものが新しい LUT と して書き出されます。

LUT を使う 「 Color」で作成および使用されるすべての LUT は 3D LUT です。「Color 」は、 .mga LUT フォー マット(もともとは Pandora が開発)を使います。このフォーマットは、Rising Sun Research、 Kodak などで開発されたソフトウェアと互換性があります。必要であれば、LUT をあるフォー マットから別のフォーマットに変換できるアプリケーションもあります。

LUT は、処理パフォーマンスにまったく影響しません。

LUT を使うには: 1 「 File」>「Import 」>「Display LUT」と選択します。 2 「 Load LUT」ダイアログを使って LUT ファイルを選択し、「Load 」をクリックします。

第 6 章 モニタリング 119 参考:デフォルトでは、 LUT は「/Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/ LUTs」ディレクトリに保存されます。

LUT は即座に有効になるため、イメージはプレビューディスプレイやブロードキャストディスプ レイに表示される際に修正されます。読み込んだ LUT は、プロジェクトから明確に消去されない 限りそのプロジェクトの設定に保存されます。

LUT を使うのをやめるには: m 「 File」>「Clear Display LUT」と選択します。

LUT をほかの Color ユーザと共有するには、ほかのユーザに LUT ファイルのコピーを渡す必要 があります。使いやすさを考えて、すべての LUT ファイルを「 /Users/ <ユーザ名> e/Library/ Application Support/Color/LUTs」ディレクトリに格納するとよいでしょう。

「Still Store」をモニタリングする 「 Still Store」によって、プロジェクトの異なる部分からイメージを保存して呼び出すことができ るため、作業しているショットとの比較に使うことができます。基本的に、「Still Store」は現在 読み込まれている「Still Store」のイメージと、再生ヘッド位置にある現在のイメージを切り替え ることができるイメージバッファです。フルイメージとカスタマイズ可能な分割スクリーン ビューを切り替えるオプションがあるため、両方のイメージをすぐに確認できます。

「 Still Store」を有効にすると、フルスクリーンまたは分割スクリーンのイメージがプレビュー ディスプレイとブロードキャストディスプレイに送信されます。再生ヘッドの位置にあるフレー ム表示に戻るには、「 Still Store」を無効にする必要があります。

有効にした「Still Store」のイメージは、ビデオスコープで分析され、LUT の影響を受けます。 「 Still Store」の使いかたの詳細については、 315 ページの第 16 章「 Still Store」を参照してく ださい。

120 第 6 章 モニタリング 7 Timeline での再生、ナビゲーション、 編集 7

「Timeline 」は、プロジェクト内のナビゲーション、グレーディング するショットの選択、制限付きの編集などを実行できるインターフェ イスを提供します。

「 Timeline」と「 Shots」ブラウザ(「Setup 」ルーム内)のどちらからでも、プロジェクト内の ショットを表示できます。ただし、「 Shots」ブラウザはショットをノンリニアでソートおよび整 理できるのに対して、「Timeline 」はプログラム内のすべてのショットを時間通りに並べてシー ケンシャルに表示します。この章では、「Timeline 」でプログラムのショットにナビゲーション して再生する方法、および簡単な編集作業を実行する方法について説明します。

この章では以下について記載します: Â 「 Timeline」の基本的な UI 要素( 122 ページ) Â 「 Timeline」のインターフェイスをカスタマイズする( 123 ページ) Â トラックを使って作業する( 125 ページ) Â 現在のショットを選択する( 126 ページ) Â 「 Timeline 」の再生 (126 ページ) Â 「 Timeline」のナビゲーション( 128 ページ) Â 「 Timeline」でショットを選択する(129 ページ) Â 「 Timeline」でグレードを使って作業する(131 ページ) Â 設定タブ(132 ページ) Â 編集コントロールと手順(133 ページ)

121 「Timeline 」の基本的な UI 要素 「 Timeline」は、プログラムで使われているショット、グレード、キーフレームをはじめとする いくつかのトラックに分割されています。

 レンダリングバー:「 Timeline 」のルーラの上にあるレンダリングバーは、ショットがレンダ リングされていない状態(赤)とレンダリングされている状態(緑)のどちらであるかを示し ます。  「Timeline」のルーラ:「 Timeline」の時間スケールを表示します。「Timeline 」のルーラ内を ドラッグすると、プログラム内をスクラブしながら再生ヘッドを移動できます。  再生ヘッド: 現在表示されているフレームの「Timeline 」上の位置を示します。再生ヘッドの 位置によって、作業している現在のショットも決まります。  ビデオトラックとショット: プログラムの各ショットは、「Timeline 」のルーラのすぐ下にある ビデオトラックの 1 つに表示されます。「Color 」では、最初からプロジェクトを組み立てる際 に作成できるビデオトラックは 5 つまでですが、読み込んだプロジェクトでそれより多くのビ デオトラックがスーパーインポーズされている場合にも対応できます。 参考:現在、「 Color」では合成操作はサポートされていません。再生時、スーパーインポーズ されたクリップは、下にあるトラックのクリップよりも上に表示されます。

 トラックのサイズ変更ハンドル: トラックは、サイズ変更ハンドルを上下にドラッグして高 く、または低くすることができます。  ロックアイコン: ロックアイコンは、トラックがロックされているかどうかを示します。  グレードトラック:「 Color 」では、各ショットに 4 つまでのプライマリグレードを切り替えて 適用することができます。これにより、前の作業を失うことなく、同じショットに異なる外観 を適用して即座にプレビューできます。各グレードには、Grade 1~ 4のラベルが付いています。

122 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 4 つの各グレードには、1 つまたは複数の「Primary In」、「Secondaries 」、「 Color FX」、「Primary Out」の補正が含まれています。各グレードは、デフォルトでは 1 つのプライマリ・グレー ド・バーで表示されますが、そのグレードに対してほかのいずれかのルームで調整を行った場 合は、一番下に追加の補正バーが表示されます。各補正バーの色は異なります。

 P(Primary)バー: プライマリ補正が適用されているかどうかを示します。  S(Secondaries)バー: 1 つまたは複数のセカンダリー補正が適用されているかどうかを 示します。  CFX(Color FX)バー: Color FX 補正が適用されているかどうかを示します。  PO(Primary Out)バー: Primary Out 補正が適用されているかどうかを示します。  トラッカー領域: ショットにモーショントラッカーを追加して処理する場合、この領域にはト ラッカーのイン点とアウト点、および現在選択しているトラックの処理がどの程度進んでいる かを示す緑のバーが表示されます。「 Geometry」ルームの「 Tracking」タブでトラッカーが 選択されていない場合は、この領域には何も表示されません。詳細については、306 ページの 「「 Tracking」タブ」を参照してください。  キーフレームグラフ: このトラックには、キーフレームと、あるキーフレームの値から別の キーフレームの値への変化を補間する曲線が含まれます。キーフレーム補正とエフェクトの詳 細については、 285 ページの第 14 章「キーフレーム」を参照してください。

「Timeline 」のインターフェイスをカスタマイズする 「 Timeline」のインターフェイスの外観をカスタマイズする方法はいくつかあります。

「 Timeline」のルーラで使われている単位を変更するには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Setup」ルームタブ、「 User Prefs」タブの順にクリックし、使用する単位に合わせて「 Frames」、 「 Seconds」、「Minutes 」、「 Hours」ボタンをクリックします。 m 次のキーのうちいずれかを押します: Â フレーム単位に変更するには、 F キーを押します。 Â 秒単位に変更するには、S キーを押します。 Â 分単位に変更するには、M キーを押します。 Â 時間単位に変更するには、H キーを押します。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 123 「 Setup」ルームの「User Prefs」タブにあるその他のオプションでは、「Timeline 」でショット の表示方法を変えることができます。

「 Timeline」でショットの表示方法をカスタマイズするには: 1 「 Setup」ルームタブをクリックしてから、「User Prefs」タブをクリックします。

2 次の設定をオンまたはオフにします:

 Show Shot’ s Name:この設定をオンにすると、各ショットの名前が「Timeline 」に表示さ れます。  Show Shot ’s Number: この設定をオンにすると、各ショットの番号が「Timeline 」に表示 されます。  Show Shot ’s Beauty Frame: この設定をオンにすると、「 Timeline」のすべてのショット内 にシングルフレームのサムネールが表示されます。

「 Timeline」のトラックの高さを任意に変えてサイズを変更することもできます。ビデオトラッ ク、グレードトラック、キーフレームグラフは、それぞれ個別にサイズ変更されます。

すべてのビデオトラック、グレードトラック、キーフレームグラフのサイズを変更するには: m 「 Timeline」のトラックの下にあるグレイのバーの中央ハンドルを、トラックの高さを設定した い高さになるようにドラッグします。

m

トラックごとにサイズ変更するには: m Shift キーを押しながら、サイズを変更するトラックの下にあるグレイのバーの中央ハンドルを、 設定したい高さになるまでドラッグします。

参考:次にすべてのビデオトラックを一緒にサイズ変更すると、個別にサイズ変更されたトラッ クは新しく調整されたトラックサイズに合わせて一瞬で変更されます。

124 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 トラックを使って作業する ここでは、「Timeline 」で作業しながらトラックの状態を変更するさまざまな方法について説明 します。

トラックをロックおよびロック解除するには: m トラック内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、以下のいずれかを選択し ます:

 Lock Track: 移動や編集ができないようにすべてのショットをロックします。  Unlock Track: ショットの移動や編集ができるようにします。

参考:読み込まれた XML プロジェクトのトラックは、自動的にロックされます。アプリケーショ ン間のラウンドトリップでできるだけ良い結果が得られるように、これらのトラックのロックは 解除しないでください。

トラックの可視性を切り替えるには: m トラック内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、以下のいずれかを選択し ます:

 Hide Track: 再生ヘッドの移動時に、スーパーインポーズされているショットが見えなくなり、 選択できなくなるようにトラックを無効にします。  Show Track: トラックを再度見えるようにします。スーパーインポーズされているショット は、下にあるトラックより優先されます。また、そのトラックが見える場合は必ず、デフォル トで選択されています。

参考:「 Setup」ルームの「 Prjct Settings」タブにある「Reverse Track Ordering」設定によっ て、スーパーインポーズされているトラックやショットが上に表示されるのか、下に表示される のかが決まります。「Reverse Track Ordering」をオンにすると、スーパーインポーズされてい るビデオトラックは「 Final Cut Pro」の場合と同じように表示されます。

∏ ヒント:「 Final Cut Pro」からプロジェクトを書き出す前に、プログラム全体の独立再生形式の QuickTime ムービーを書き出し、編集済みシーケンスのほかのクリップ上にスーパーインポー ズすることができます。その後で、プロジェクトを「Color 」に書き出すと、トラック可視性を 切り替えてこのプログラムの「参照」バージョンをオンまたはオフにすることで、オフライン 編集時に作成したオフラインのエフェクトまたは色補正を確認できるようになります。

トラックを追加するには: m トラック内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示されるショットカッ トメニューから「New Track」を選択します。

トラックを削除するには: m トラック内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示されるショットカッ トメニューから「Remove Track」を選択します。

参考:一番下のトラックは削除できません。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 125 現在のショットを選択する 再生ヘッドのあるショットが現在のショットになります。現在のショットとは、「Primary In」、 「 Secondaries」、「Color FX」、「Primary Out」、「 Geometry」の各ルームのコントロールを操作 して調整しているショットです。現在のショットは一度に 1 つだけです。その 1 つのみが明るい グレイでハイライトされます。

「 Timeline」で再生ヘッドを移動すると、すべてのルームのコントロールやパラメータも、再生 ヘッドの位置にある現在のショットのグレードに合わせて自動的に更新されます。

「 Timeline」のショットを現在のショットにするには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Timeline」のショットをダブルクリックします。 m 再生ヘッドを新しいショットに移動します。

参考:ショットをダブルクリックすると、「 Timeline」はそのショットが中央になるように移動 します。また、そのショットが現在のショットになります。

「Timeline 」の再生 一般に、「Color 」での再生の目的は、作業しているショットに適用したさまざまな補正が動画と なったときにどのように表示されるのか、または一連のクリップに適用したさまざまなグレード が再生時にどのように見えるのかをプレビューすることです。このため、再生は「Final Cut Pro」 などのアプリケーションの場合とは多少異なります。

「 Color」の場合、再生されるのは必ず「 Timeline」のイン点とアウト点までの領域に制約されま す。再生ヘッドがすでにこの領域内にある場合、再生範囲は再生ヘッドの現在の位置からアウト 点までになります。再生ヘッドがこの領域外にある場合、再生を開始すると、再生ヘッドは自動 的にイン点に移動します。これにより、カラー補正セッションでよく実行される「 Timeline」の 特定のショットやシーンのループ再生を簡単に実行できます。

再生を開始する/停止する 次のコントロールを使って、プログラムの再生と停止ができます。

プログラムを再生するには、以下のいずれかの操作を行います: m 再生ボタンまたは逆再生ボタンをクリックします。 m スペースバーを押します。 m J キーを押して逆再生、L キーを押して再生します。

126 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 重要:再生を開始すると、再生を停止するまで「 Color」のコントロールを使った作業ができな くなります。

プログラムを停止するには、以下のいずれかの操作を行います: m プログラムの再生中にスペースバーを押します。 m Escape キーを押します。 m K キーを押します。

「Color 」と JKL 「Color 」には、ほかの編集アプリケーションで広く使われている JKL 再生コントロールが部分 的に実装されています。ただし、 JKL の細かい点、たとえばスローモーションやフレームごと の再生などは実装されていません。

再生モードを切り替える 再生モードによって、再生ヘッドを移動する際に現在のショットの継続時間に合わせてイン点と アウト点を自動的に変更するかどうか、イン点とアウト点の設定を変えずにプログラムの大部分 を再生するかどうかなどを選択できます。

ショットモード ショットモードは、デフォルトの再生方法です。再生ヘッドが新しいショットに移動すると、必 ず「 Timeline」のイン点とアウト点もそのショットのプロジェクトイン点とプロジェクトアウト 点に合わせて自動的に変更されます。結果として、再生はそのショットのみに限定されます。ルー プ再生が有効な場合は、再生を停止するまで、再生ヘッドは現在のショットをループします。

参考:「 Timeline」のほかのショットをクリックして選択することもできますが、イン点とアウ ト点は再生ヘッドが別のショットに移動するまで変更されません。

ムービーモード 初めてムービーモードにすると、「Timeline 」のイン点は「Timeline 」の最初のショットの最初 のフレームに設定され、アウト点は最後のショットの最後のフレームに設定されます。このため、 ショットはいくつでも再生できるため、プロジェクトのシーン全体のプレビューも可能です。 ムービーモードでは、独自のイン点とアウト点を好きな位置に設定できます。これらのイン点と アウト点は、再生ヘッドを別のショットに移動しても更新されません。

独自にイン点とアウト点を設定する 選択している再生モードに関係なく、いつでも新しいイン点とアウト点を手動で好きな位置に設 定できます。独自のイン点とアウト点を設定すると、再生モードは自動的にムービーモードに変 更されます。

再生モードを切り替えるには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Timeline」>「 Toggle Playback Mode」と選択します。 m Shift + Control + M キーを押します。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 127 再生の継続時間をカスタマイズするには: 1 イン点とする位置に再生ヘッドを移動し、 I キーを押します。 2 アウト点とする位置に再生ヘッドを移動し、 O キーを押します。

ループ再生 ループ再生が有効な場合は、再生中に再生ヘッドがアウト点に達すると即座にイン点に戻ります。

ループ再生を有効にするには: 1 「 Setup」ルームタブをクリックしてから、「User Prefs」タブをクリックします。

2 ループ再生ボタンをクリックしてオンにします。

フレームレートの維持 「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブの「 Maintain Framerate」設定で、再生時にプロジェクト のフレームレートを維持するためにドロップフレームを行うかどうかを定義します。 Â 「 Maintain Framerate」がオンの場合(デフォルト)、現在のフレームレートは現在の処理作 業負荷に関係なく維持されます。現在再生しているグレードがプロセッサに過大な負荷をかけ る場合、プロジェクトのフレームレートを維持するためにドロップフレームが発生します。負 荷が大きくない場合、再生は実際の時間で実行されます。 Â 「 Maintain Framerate」がオフの場合、必ずすべてのフレームが再生されます。現在再生して いるグレードがプロセッサに過大な負荷をかける場合、ドロップフレームを避けるため再生が 遅くなります。負荷が大きくない場合、再生は実際の時間よりも高速で実行されることがあり ます。

「Timeline 」のナビゲーション 次のコントロールを使って、「Timeline 」でプログラムをナビゲーションできます。プログラム のスクロール、ズームイン/ズームアウト、再生ヘッドのショットからショットへの移動など です。

「 Timeline」をズームイン/ズームアウトするには: 1 「 Timeline」上でズーム操作を行う位置に再生ヘッドを移動し中央に来るようにします。 2 「 Timeline」内にポインタを置き、以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Timeline」>「 Zoom In」と選択するか、コマンド+イコール記号( =)キーを押してズー ムインします。 Â 「 Timeline」> 「Zoom Out」と選択するか、コマンド+マイナス記号(-)キーを押してズー ムアウトします。

参考:数値キーパッドの+キーと-キーを使って「 Timeline」をズームすることもできます。

「 Timeline」にどの程度ズームインできるかは、「Timeline 」のルーラの表示設定の単位によって 決まります。「 Timeline」に設定されている単位が大きくなるほど、大きくズームアウトできま す。たとえば、「 Minutes」に設定されているタイムルーラを「 Frames」に設定してからさらに ズームアウトすれば、「 Timeline」で複数のショットを同時に表示できます。

128 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 「 Timeline」に、一度に表示できる数よりも多くのトラックがある場合は、小さな白い矢印が上、 下、またはその両方に表示されるため、矢印がある方向に非表示になっているトラックがあるこ とが分かります。

このような場合、マウスの中ボタンを使って縦方向にスクロールできます。

再生ヘッドを移動せずに「Timeline 」を横方向、または縦方向にスクロールするには: m 「 Timeline」をマウスの中ボタンでクリックし、そのまま左右上下にドラッグします。 m もっと速くスクロールするには、Option キーを押しながらマウスの中ボタンでクリックしてド ラッグします。

再生ヘッドをショットからショットに移動するには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Timeline」のルーラ内で再生ヘッドをドラッグし、ショットからショットにスクラブします。 m ↑キーを押すと、左側にある次のショットの最初のフレームに移動します。 m ↓キーを押すと、右側にある次のショットの最初のフレームに移動します。 m 次のショットまたは前のショットボタンをクリックします。 再生ヘッドは 1 フレームずつ移動することもできます。

フレームからフレームに移動するには、以下のいずれかの操作を行います: m ←キーを押すと、前のフレームに移動します。 m →キーを押すと、次のフレームに移動します。

プロジェクトの最初のフレームに移動するには: m Home キーを押します。

プロジェクトの最後のフレームに移動するには: m End キーを押します。

「Timeline 」でショットを選択する プライマリ補正のコピーなど、複数のショットを選択してから実行できる操作があります。 「 Color」には、1 つまたは複数のショットを「Timeline 」で選択する標準的な方法が用意されて います。

参考:「Shots 」ブラウザを使ってショットを選択することもできます。詳細については、92 ペー ジの「「 Shots」ブラウザ」を参照してください。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 129 「 Timeline」でショットを選択するには: m いずれかのショットをクリックします。

選択したショットは、シアンでハイライトされて「 Timeline」に表示されます。

連続する複数のショットを選択するには: 1 選択対象の連続する複数ショットの最初のショットをクリックします。 2 Shift キーを押しながら、選択対象の連続する複数ショットの最後のショットをクリックします。 最初に選択したショットと 2 回目に選択したショットの間にあるすべてのショットも選択され ます。

連続していない複数のショットを選択するには: m Control キーを押しながら、「 Timeline」で複数のショットを選択します。

「 Timeline」のすべてのショットの選択を解除するには: m 現在の選択を消去するには、直前に選択していなかったショットを選択します。 m 「 Timeline」の何もない領域をクリックします。

130 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 「Timeline 」でグレードを使って作業する 「 Timeline」の各ショットは、グレードトラックに表示されている 4 つまでの異なるグレードを 切り替えて適用することができます。

これら 4 つのグレードによって、同じショットで異なる外観を保存できます。たとえば、満足で きるグレードを作成できたが、「これとは別の処理」を実行してみたい場合、 3 つまでの異なる 外観を試すことができます。このため、最終的にオリジナルのグレードが一番よければ、そのオ リジナルのグレードを簡単に呼び出すことができます。

実際にあるショットに一度に反映することができるグレードは 1 つのみです。プレビューディス プレイやブロードキャストディスプレイに表示されるグレードは、「 Timeline」で選択している グレードです。選択していないグレードはすべて無効です。グレードの作成と管理の詳細につい ては、263 ページの第 13 章「補正とグレードを管理する」を参照してください。

デフォルトでは、新しいプロジェクトの各ショットは 1 つの空のグレードで始まりますが、いつ でも別のグレードを追加できます。

新しいグレードをショットに追加するには、以下のいずれかの操作を行います: m 新しいグレードを追加するショットに再生ヘッドを移動し、Control + 1 ~ 4 キーを押します。 m 切り替えたいグレードを Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示される ショートカットメニューから「 Add New Grade」を選択します。

入力したグレードの番号に一致するグレードがなくなっている場合は、新たに作成されます。新 しいグレードが追加されるとグレードトラックが拡張され、新しいグレードが選択されたグレー ドになります。新しいグレードは白紙の状態で、未補正ショットのオリジナルの状態から作業を 開始することができます。

現在のグレードを選択するには: 1 グレードを切り替えたいショットに再生ヘッドを移動します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â 切り替え先のグレードをクリックします。 Â Control + 1 ~ 4 キーを押します。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 131 Â 切り替え先のグレードを Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示される ショートカットメニューから「 Select Grade X」を選択します。この X は選択しているグレー ドの番号です。

「 Timeline」の該当ショットが、新しく選択されたグレードで更新されます。

「 Timeline」でグレードをリセットするには: 1 グレードを切り替えたいショットに再生ヘッドを移動します。 2 「 Timeline」のグレードトラックでリセットしたいグレードを Controlキーを押しながらクリック するか右クリックし、表示されるショートカットメニューから「 Reset Grade X」を選択します ( X はグレードの番号です)。

グレードをリセットすると、そのグレードに関連付けられているすべてのルームがリセットされ ます。たとえば、「 Primary In」、「Secondaries 」、「 Color FX」、「 Primary Out」の各ルームです。 「 Geometry」ルームには影響しません。

詳細については、 263 ページの第 13 章「補正とグレードを管理する」を参照してください。

設定タブ ショットの設定タブには、再生ヘッドの位置にある現在のショットの情報が表示されます。これ らの情報には、編集可能なものとそうでないものがあります。

「 Settings 1」タブ このタブに一覧されるタイミング情報は編集できません。代わりに、これらの情報は、「Timeline 」 の各ショットの位置および各ショットのリンク先ソースメディアの情報に基づいて決まります。 Â 「Project In」と「Project Out」:「 Timeline」のショットの位置を定義します。 Â 「Trim In」と「Trim Out」: ディスク上のソースメディアファイルで使用可能な総継続時間に 対して、実際にプロジェクトで使われているソースメディアの部分を定義します。「Trim In」 と「Trim Out」タイムコードは、「 Source In」と「Source Out」パラメータの範囲外にする ことはできません。 Â 「Source In」と「Source Out」: ディスク上のオリジナルのソースメディアの開始点と終了 点を定義します。「Trim In」と「 Trim Out」がそれぞれ「 Source In」と「Source Out」と等 しい場合、ディスクのソースメディアに使用可能な未使用ののりしろはありません。つまり、 使用可能なメディアをすべて使っています。 Â 「Frame Rate」ポップアップメニュー: このポップアップメニューでは、各クリップのフレー ムレートを個別に設定できます。この設定は、「Project Settings」タブのフレームレート設定 より優先されます。 QuickTime フォーマットのソースメディアを使っているほとんどのプロ ジェクトの場合、この設定はデフォルト設定のままにしてください。 DPX イメージシーケン

スをソースメディアとして使っているプロジェクトの場合、このポップアップメニューで DPX ヘッダデータにある不正なフレームレートを変更できます。

132 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 「 Settings 2」タブ この 2 つ目のタブには、DPX イメージファイルのヘッダデータを変更できる追加設定が含まれ ています。 Â Override Header Settings: この設定をオンにすると、DPX ヘッダの次の設定が現在の ショットに対して上書きされます。 Â Log: この設定では、ログからリニアへのイメージ変換を有効または無効にできます。この変 換は、「 Color」で 10 ビット log DPX や Cineon ファイルに自動的に実行されます。 Â Printing Density: このポップアップメニューを選択できるのは、Cineon または DPX イメー ジシーケンスを使うように現在のプロジェクトが設定されている場合のみです。ポストプロダ クションのパイプラインとの互換性を確保するために、色の処理に使われる値の数値範囲を明 示的に選択することができます。このオプションで、「 Color」からレンダリングしたメディア でブラックポイントとホワイトポイントをどのように設定するかを定義します。 3 つのオプ ションがあります: Â Film(95 ブラック- 685 ホワイト:対数) Â Video( 65 ブラック- 940 ホワイト:リニア) Â Linear(0 ブラック- 1023 ホワイト) 重要:通常、DPX フィルムスキャンのデフォルトのブラックポイントは 95、ホワイトポイン トは 685 です。「Black Point」設定と「 White Point」設定に誤ったデータが入力されていな いようにすることが重要です。ラボに設定が適切であることを確認してください。

 DeInterlace: このボタンをオンにすると、クリップを個別にデインターレースできます。こ の設定は、「 Project Settings」タ ブの「 Deinterlace Renders」設定および「 Deinterlace Previews」設定より優先されます。「DeInterlace 」をオンにすると、2 つのビデオフィールド が平均されて 1 つのフレームが作成されます。

編集コントロールと手順 「 Color」は編集環境としての用途は意図されていないため、「Final Cut Pro」などのアプリケー ションのようにあらゆるツールが揃った編集ツールセットが用意されているわけではありませ ん。実際、以下のようなさまざまな理由により、「Color 」ではプロジェクトに対していっさい編 集を加えたくないと考えるユーザが大勢です: Â XML から読み込まれたプロジェクトや「Final Cut Pro」から送信されたプロジェクトで、 「 Final Cut Pro」に戻す予定のプロジェクトのトラックのロックを解除すると、プロジェクト データが破壊される危険があるため、プロジェクトを問題なく「Final Cut Pro」に戻すことが できなくなる場合があります。 Â 「 Final Cut Pro」から送信されたプロジェクトに編集を加えると、そのプロジェクトの簡易バー ジョンしか「Final Cut Pro」に戻せなくなります。簡易バージョンには、トラック V1 のショッ トとトランジション、「 Geometry」ルームの「Pan & Scan」設定しか含まれません。 Â EDL を読み込んで編集を加える場合、その変更が反映された EDL は「Color 」から書き出すこと ができますが、 EDL にはトラック V1 のショットとトランジションしか含まれていません。 Â 読み込んだプロジェクトとオーディオミックスが同期されている場合、編集による変更によっ てオーディオとの同期が崩れる危険があります。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 133 ただし、これらの問題が重要ではないプロジェクトで作業しているのであれば、次のツールとコ マンドを使って「Timeline 」でロック解除されているトラックのショットを編集できます。

∏ ヒント:編集によって変更を加える必要がある場合、「Final Cut Pro」でオリジナルのシーケン スを再編集して新しい XML ファイルを書き出し、「 Reconform」コマンドを使って「Color 」 の「Timeline 」を更新してそれらの変更を反映することができます。

選択ツール 「 Color」のポインタは、デフォルトでは選択ツールになっています。名前が示すように、この ツールは「Timeline 」でショットを選択できるほか、編集作業でそれらを別の位置に移動するこ とや削除することができます。

「 Timeline」で誤って意図しない変更を続けてしまわないように、ほかのツールで編集を行った 後はすぐに選択ツールを選択し直すようにしてください。

「 Timeline」でショットの位置を変えるには: m 「 Timeline」で、ショットを別の位置にドラッグします。

「 Timeline」でショットを移動する場合、そのショットの終わりがどこになるのかは、イン点と すでに存在するショットとの関係によって決まります。「Color 」で移動するショットが、ほかの ショットを上書きすることはありません。代わりに、「 Timeline」のほかのショットは、移動し てきたショットの場所を確保するためにほかに移動するため、結果としてプログラムはリップル (順次修正)されます。

 移動するショットのイン点が別のショットの前半と重なる場合、移動するショットはその別の ショットのイン点に挿入され、「 Timeline」のその他のすべてのショットは場所を空けるため に右にリップルされます。  移動するショットのイン点が別のショットの後半と重なる場合、移動するショットはその別の ショットのアウト点の後に挿入され、「 Timeline」のその他のすべてのショットは場所を空け るために右にリップルされます。  「 Timeline」でほかのショットと重ならない領域にショットを移動する場合は、「Timeline 」の その領域にショットが移動されるだけで、ほかのショットがリップルされることはありません。

「 Timeline」でショットを削除するには: 1 「 Timeline」で 1 つまたは複数のショットを選択します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â Delete キーを押します。 Â Forward Delete キーを押します。

この操作はリフト編集を実行するため、「Timeline 」ではそのショットに使われていたギャップ が残ったままになります。ショットを削除しても、ほかのショットが移動してくることはありま せん。

134 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 Roll Tool ロールツールでは、2 つの隣り合うショットのアウト点とイン点を同時に調整できます。 2 つの ショットを「 Timeline」上に置きたいが、カット点を変更したい場合にロールツールを使うこと ができます。その結果、「Timeline 」上でショットはまったく移動せず、2 つのショット間の編 集点だけが移動します。これは双方向の編集で、2 つのショットの編集点が同時に影響を受け、 最初のショットのアウト点と次のショットのイン点が両方ともロール編集により調整されます。 ただし、シーケンス内のその他のショットは影響を受けません。

参考:ロール編集を実行する場合、シーケンス全体の継続時間は同じままですが、両方のショッ トの継続時間が変わります。一方のクリップは長くなり、もう一方のクリップはそれを補うため に短くなります。つまり、異なるトラック上のリンクされたショット項目間で、同期の問題が起 きることを心配する必要がありません。

編集前 A B C

編集後 A B C

上の例では、ショット B が短くなる一方でショット C が長くなっていますが、2 つのショットを 合わせた継続時間は同じままです。

ロール編集を実行するには: 1 ロール編集ツールを選択するには、以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Timeline」>「 Roll Tool」と選択します。 Â Control + R キーを押します。 2 ロールする 2 つのショット間の編集点にポインタを移動し、左または右にドラッグして編集を行 います。 「 Timeline」は、実行している変更を反映して更新されます。 Ripple Tool リップル編集では、ショットのイン点とアウト点を調整し、「 Timeline」にギャップを残さずに ショットを長くしたり、短くしたりします。調整したショットの継続時間の変更により、 「 Timeline」でプログラムの残りの部分がリップルされるため、「 Timeline」で短く、または長く 調整したショットの右側にあるショットはすべて移動します。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 135 リップル編集は一方向の編集です。つまり、 1 つのショットのイン点またはアウト点を編集する 場合にのみ使うことができます。調整したショット以降にあるすべてのショットは、ショットを 短く調整した場合は左に、長く調整した場合は右に移動します。この操作は、プログラム全体の タイミングに影響することになるため、注意する必要があります。

編集前 A B C

編集後 A B C

重要:「 Color」のプログラムと「Final Cut Pro」のシーケンスやソース EDL などのまったく別 のところでミックスされたオリジナルのオーディオとの同期を維持する場合、 Color プロジェク トのショットは外部で同期しているオーディオと関係なく前後に移動できるため、リップル編集 は危険です。

リップル編集を実行するには: 1 リップル編集ツールを選択するには、以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Timeline」>「 Ripple Tool」と選択します。 Â Control + T キーを押します。 2 短く、または長くしたいショットのイン点またはアウト点にポインタを移動し、左または右にド ラッグして編集を行います。 「 Timeline」は実行している変更を反映して更新されます。調整しているショット以降にあるす べてのショットは、変更されたタイミングに合わせて左または右に移動します。 Slip Tool スリップ編集を実行しても、「Timeline 」でのショットの位置や継続時間は変わりません。その 代わり、ショットのイン点とアウト点を同時に変更することによって、「Timeline 」でショット のメディアのどの部分が表示されるのかが変更されます。

つまり、「Timeline 」でのショットの位置は同じですが、「Timeline 」で再生されるショットの場 所が変わります。「Timeline 」のその他のショットはスリップ編集の影響を受けません。プロジェ クト全体の継続時間もそのままで変わりません。

00:00:10:00 00:00:30:00

編集前 A B C

00:00:17:00 00:00:37:00

編集後 A B C

上の例で、スリップ編集によりショット B のイン点とアウト点は変わりますが、継続時間やシー ケンス上での位置は変わりません。シーケンスを再生すると、ショット B のメディアの別の部分 が表示されます。

136 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 スリップ編集を実行するには: 1 作業しながら変更した内容が確認できるように、再生ヘッドを調整するショットに移動します。

2 スリップ編集ツールを選択するには、以下のいずれかの操作を行います:

 「 Timeline」>「 Slip Tool」と選択します。  Control + Y キーを押します。

3 ポインタをスリップ編集するショットに移動し、左または右にドラッグして編集を行います。

「 Final Cut Pro」と異なり、「 Color」ではこのツールで選択している新しいイン点とアウト点の フレームを示す視覚的なフィードバックは得られません。表示されるイメージは、ショットを前 後にドラックすると更新される再生ヘッドの現在位置のフレームのみです。このため、スリップ 編集を始める前に、再生ヘッドを調整するショットに移動しておくと良いでしょう。 Split Tool 分割ツールでは、ショットを 2 分割して編集点を追加できます。この編集点は、「 Timeline」で クリックしたフレームに追加されます。このツールは、ショットのある部分を削除する場合や ショットの特定の部分にエフェクトを適用する場合に便利です。

1 つのショットを 2 つに分割するには: 1 分割ツールを選択するには、以下のいずれかの操作を行います:

 「 Timeline」>「 Split Tool」と選択します。  Control + X キーを押します。 2 ポインタを「Timeline 」のルーラに移動し、分割オーバーレイ(「 Timeline」のショットと交差 する縦の白いライン)が表示されたら、編集点を追加したいショットのフレームまでドラッグし ます。 3 クリックして編集点を追加します。 「 Timeline」は実行した編集を反映して更新され、クリックしたフレームには新しい編集点が表 示されます。 Splice Tool 分割ツールでショットをカットすると、オリジナルのショットはスルー編集で分離された 2 つの ショットに分割されます。「Color 」の「 Timeline」ではスルー編集は視覚的に分かりませんが、 編集点(連続している一連のフレームを分割している)がスルー編集だと考えられ、結合ツール で結合し直すことができます。

スルー編集で分離されている 2 つのショットを結合すると、それら 2 つが 1 つのショットに結合 されます。スルー編集で分離されていない 2 つのショットは結合できません。結合しようとして も警告メッセージが表示されるだけです。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 137 重要:それぞれのグレードや補正が異なる 2 つのショットを結合する場合、左側のショットのグ レードや補正が右側のショットのものより優先されます。

2 つのショットを 1 つに結合するには: 1 結合ツールを選択するには、以下のいずれかの操作を行います:

 「 Timeline」>「 Splice Tool」と選択します。  Control + Z キーを押します。 2 ポインタを「Timeline 」のルーラに移動し、結合オーバーレイ(「 Timeline」のショットと交差 する縦の白いライン)が表示されたら、結合する編集点までドラッグします。

3 クリックして編集点を結合します。

「 Timeline」は実行している変更を反映して更新されます。スルー編集で分離されていた 2 つの ショットは 1 つのショットに結合されます。 Create an Edit 「 Timeline」メニューにある「 Create an Edit」コマンド( Control + V キー)は、分割ツールと 同様の機能を持ちます。「Timeline 」の再生ヘッドの現在位置にある 1 つのショットを 2 つにカッ トします。このコマンドを使えば、ツールを選択する必要がありません。

編集点を作成するには: 1 編集点を追加するフレームに再生ヘッドを移動します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Timeline」>「 Create an Edit」と選択します。 Â Control + V キーを押します。 「 Timeline」は実行した編集を反映して更新され、再生ヘッドの位置に新しい編集点が表示され ます。 Merge Edits 「 Merge Edits」コマンド(Control + B キー)は、結合ツールと同様の機能を持ちます。再生 ヘッドの現在位置にあるスルー編集で分離されている 2つのショットを 1 つのショットに結合し ます。このコマンドを使えば、ツールを選択する必要がありません。

スルー編集点で 2 つのショットを 1 つのショットに結合するには: 1 結合するスルー編集のあるフレームに再生ヘッドを移動します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Timeline」>「 Merge Edits」と選択します。 Â Control + B キーを押します。 「 Timeline」は実行している変更を反映して更新されます。スルー編集で分離されていた 2 つの ショットは 1 つのショットに結合されます。

138 第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 重要:それぞれのグレードや補正が異なる 2 つのショットを結合する場合、左側のショットのグ レードや補正が右側のショットのものより優先されます。 Snapping スナップをオンにすると、「Timeline 」でクリップは 00:00:00:00 の時間値に「スナップ」します。

スナップを切り替えるには: m 「 Timeline」>「 Snapping」と選択して、スナップのオン/オフを切り替えます。

第 7 章 Timeline での再生、ナビゲーション、編集 139

8 ビデオスコープ 8

適正に補正されたブロードキャストディスプレイに加えてビデオス コープが備えられているので、イメージを高速かつ正確な方法で定量 的に評価して比較することができます。

「 Color」は、ほかのオンラインビデオや色補正スイートで使われているほとんどのビデオスコー プ表示のほか、ソフトウェアベースのイメージ分析専用のビデオスコープもいくつか表示できま す。これらのスコープは、現在モニタしているイメージのルミナンス、クロマ、RGB レベルの測 定結果をグラフィカルに表示するため、ショット間の品質の差異を明確に評価することができま す。これによって、「 Color」でショットを適切に調整して比較しながら、豊富な情報を考慮した 決定が可能になります。

この章では以下について記載します: Â 使用可能なスコープ( 141 ページ) Â ビデオスコープのオプション( 144 ページ) Â ビデオスコープを使ってイメージを分析する(145 ページ)

使用可能なスコープ 「 Scopes」ウインドウで使用できるビデオスコープは次の通りです: Â 波形モニタ。次のオプションを選択できます: Â 「RGB Parade」表示 Â 赤、緑、青チャンネルの「Overlay」表示 Â 「Red」、「Green」、「Blue」チャンネルの個別表示 Â 「Luma」のみ Â 「Chroma」のみ

 パレード表示による「Y ´CBC R」

141 Â ベクトルスコープ Â ヒストグラム。次のオプションを選択できます: Â 「RGB」の同時表示 Â 「Red」、「Green」、「Blue」チャンネルの個別表示 Â 「Luma」のみ Â 3D カラー分析。次の色空間オプションを選択できます: Â RGB Â HSL Â Y´ CBCR Â IPT

ビデオスコープが表示される位置は、「Color 」がシングルとダブルのどちらのディスプレイモー ドに設定されているかによって変わります:

 シングル・ディスプレイ・モード:2 つのビデオスコープが「 Scopes」ウインドウのビデオプ レビューの下、「 Color」のインターフェイスウインドウの左側に表示されます。

142 第 8 章 ビデオスコープ Â ダブル・ディスプレイ・モード: ビデオプレビューのほかに、ビデオスコープが 3 つまで 「 Scopes」ウインドウに表示されます。

ビデオスコープの精度 ビデオ信号を(調整中や再生中を含めて)リアルタイムで分析するために、「 Color」は、現在 のイメージを 384 × 192 の解像度にダウンサンプリングします。ダウンサンプリングされたイ メージが分析され、現在選択しているスコープに結果データが表示されます。ソースメディア のオリジナルの解像度に関係なく、このダウンサンプリングされた解像度と同じ解像度が使わ れます。

この方法を使うと、すべてのピクセルがイメージの最終的な分析に関わるようになります。テ ストでは、専用のビデオスコープから得られたグラフとほぼ同じグラフが「Color 」のビデオ スコープから得られています。つまり、「 Color」で作業しながらショットを評価してマッチン グする際に便利に使うことができます。ただし、「 Color」の分析は総データの近似値にすぎな いという点に注意してください。専用のビデオスコープであれば、重大な評価にも十分役立ち ます。

参考:QC (品質管理)目的による調整時に、色域外のピクセルを取得してしまう懸念がある場 合は、「 Broadcast Safe」設定をオンにすれば QC 違反を回避できます。詳細については、 100 ページの「「 Broadcast Safe」設定」を参照してください。

第 8 章 ビデオスコープ 143 ビデオスコープのオプション 次の方法で、ビデオスコープのディスプレイや動作を変更することができます。

リアルタイムにビデオスコープを更新できるようにするには: 1 「 Setup」ルームにある「User Preferences」タブを開きます。 2 「 Update UI During Playback」を選択します。 3 再生しながらビデオスコープを更新するように設定するには、「 Update Secondary Display」を 選択します。

∏ ヒント:「 Update Primary Display」をオフにすれば再生時のパフォーマンスを高めることがで きます。

一部のスコープは、複数のモードを切り替えることができます。

スコープを異なるモードに変更するには: m スコープの上部で、変更したいモードに対応するボタンをクリックします。

また、ビデオスコープを含む象限を、異なる種類のスコープに切り替えることもできます。

「 Scopes」ウインドウの特定の領域に表示されているスコープを切り替えるには: m スコープ内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示されるショットカッ トメニューから別のスコープを選択します。

すべてのスコープは、ズームインしてグラフを拡大表示できます。

スコープの表示をズームするには、以下のいずれかの操作を行います: m マウスのスクロールホイールやスクロールボールを上下に動かします。スコープのディスプレイ の特定の領域にズームインするには下に、ズームアウトするには上に動かします。

m ベクトルスコープの左上コーナーにある比率のボタンのいずれかをクリックし、スコープの表示 を拡大縮小します。

3D ビデオスコープは空間内で回転させることもできるため、あらゆる角度から分析を表示でき ます。

3D スコープの位置を変えるには、以下のいずれかの操作を行います: m スコープモデルを目的の方向に合わせて横方向、または縦方向にドラッグします。

m マウスの中ボタンを押したまま、スコープモデルを目的の方向にドラッグして位置を変更します。

144 第 8 章 ビデオスコープ スコープを元の大きさと向きにリセットするには: m スコープ内を Control キーを押しながらクリックするか右クリックし、表示されるショットカッ トメニューから「Reset 」を選択します。

一部のスコープにはカラーで表示できるオプションがあります。

ビデオスコープのカラー表示のオンとオフを切り替えるには: 1 「 Setup」ルームにある「User Preferences」タブを開きます。 2 「 Monochrome Scopes」をクリックすると、スコープのカラー表示のオンとオフが切り替わり ます。

スコープの色は、次のカスタマイズ可能なパラメータの影響を受けます: Â 「 Monochrome Scopes」をオフにすると、「UI Saturation」パラメータによってスコープの 色の強度が指定されます。 Â 「 Monochrome Scopes」をオンにすると、すぐ下にある「Scope Color」コントロールによっ てスコープの目盛りの色が指定されます。

ビデオスコープを使ってイメージを分析する 以下では、「Color 」で表示できる各スコープの使いかたについて説明します。

波形 波形スコープは、実際には波形を使ってルミナンスとクロマのさまざまな分析を表示するスコー プファミリーです。

波形とは 波形を作成するために、「 Color」は左から右にイメージのラインを分析します。その結果得られ た値は、使用するスケールに合わせて波形の目盛り上に縦方向にプロットされます(たとえば、 ルミナンスグラフでは –20 ~ 110 IRE)。次の図では、イメージの 1 つのラインが分析されてこの 方法でプロットされています。

第 8 章 ビデオスコープ 145 イメージ全体の分析を作成するには、イメージの各ラインの個別のグラフを次々と重ねます。

波形の値は、イメージの分析部分と同じ水平方向の位置にプロットされるため、波形はある程度 までイメージを反映したものになります。これは、イメージの対象が左から右に移動する場合、 波形をリアルタイムに再生していれば分かります。

波形形式のすべてのスコープでは、ルミナンスやクロマのレベルが高いとスパイクが、低いと ディップが波形に現れます。このため、イメージのハイライトやシャドウの測定レベルを簡単に 読み取ることができます。

Parade 「 Parade」スコープには、イメージを構成する赤、緑、青の構成要素の波形が別々に並べて表示 されます。「 Monochrome Scopes」をオフにすると、波形に赤、緑、青の色を付けることがで きるため、簡単に見分けることができます。

146 第 8 章 ビデオスコープ 参考:「Parade 」スコープの分析を分かりやすく示すために、このセクションの例では「 Broadcast Safe」設定をオフにして 100% を超えるイメージ値と 0% 未満のイメージ値が切り取られないよ うにしています。

「 Parade」スコープでは、各波形の上下の輪郭を比較して、イメージのハイライトとシャドウに 見られるカラーキャストを簡単に見分けることができます。白、グレイ、黒は、赤、緑、青の分 量を正確に等しくすることで生成されているため、ピクチャの中間調領域を「Parade 」スコープ に表示すると、高さがほぼ同じの 3 つの波形になります。異なる場合は、3 つの波形のレベルを 調整すれば簡単に補正できます。

色補正前

色補正後

第 8 章 ビデオスコープ 147 「 Parade」スコープは、 2 つのショット間の赤、緑、青の相対レベルを比較する場合にも非常に 便利です。ショットの赤みがほかのショットよりも強い場合の違いは、一方のショットでは赤の 波形がほかのチャンネルよりも相対的に高く、もう一方では相対的に低くなることで表されま す。最初のスクリーンショットでは、イメージ全域にわたり赤の割合がかなり高くなっています。 それに比較して、2 番目のショットは赤が大幅に少なく、緑のレベルが非常に高くなっています。 このことが「Parade 」スコープではすぐに分かります。これらのショットの色を合わせる必要が ある場合は、これらの測定値を基準として補正を行います。

赤のチャンネルが高いことから、カラーキャストの度合いが分かる

緑のチャンネルが高いことから、別の補正が実行されたことが分かる

また、「 Parade」スコープでは、「 Broadcast Safe」設定がオフになっている場合に、ブロード キャストで適正に表示されるクロマ制限を超過しているカラーチャンネルを見分けることがで きます。これは、各チャンネルの波形に高く突き出している所や低く落ち込んでいる部分がある ため分かります。

148 第 8 章 ビデオスコープ Overlay 「 Overlay」スコープは、「 Parade」スコープと同じ情報を表示しますが、赤、緑、青のチャンネ ルを表すそれぞれの波形が互いに重なって表示されます。

昼白色、グレイ、黒など、同じように見える 3 つのカラーチャンネルが重なっている領域で、相 対的な相違または類似を簡単に見分けることができます。

また、この表示では、ビデオスコープがカラー表示に設定されている場合(「 Monochrome Scopes」パラメータをオフにします)、赤、緑、青の波形が正確に重なっている目盛りの領域が 白く表示されます。これは、3 つすべてのチャンネルを均衡化してシャドウとハイライトに見ら れるカラーキャストを取り除けば簡単に分かります。

「 Red」/「 Green」/「 Blue」チャンネル これらのスコープは、各カラーチャンネルの個別の波形を表示します。1 つのチャンネルの値を 詳しく見たい場合に便利です。

第 8 章 ビデオスコープ 149 Luma 「 Luma」スコープは、イメージ内のブライトネスの相対的なレベルを表示します。波形に表示さ れるスパイクやドロップで、ピクチャ内のホットスポットや暗い領域が簡単に分かります。

「 Luma」スコープの目盛りの最も高いピークと最も低いディップの差異はショットの全体的なコ ントラスト比を示し、波形の平均的な厚みは平均的な露光を示します。波形で下がりすぎている ところはイメージの暗い部分を示し、上がりすぎている所は露光過剰の可能性を示します。

露光不足の波形 適切な露光の波形

露光過剰の波形

プログラムの QC パスを「 Broadcast Safe」設定をオフにして実行している場合、このスケール を使えば、推奨される制限値を超えているかまたは下回っているビデオレベルを簡単に見つけら れます。

150 第 8 章 ビデオスコープ Chroma

このスコープは、イメージの C B と C R を組み合わせた色差成分を示します。これは、全体的なク ロマが高すぎるかどうかや、「 Broadcast Safe」設定が有効であるために「Chroma Limit」設定 が適用されて過度な制限が行われていないかどうかを確認するのに便利です。

たとえば、次のグラフはイメージ内の過度な飽和状態に達したクロマを示します:

「 Chroma Limit」値をデフォルトの 50 にして「Broadcast Safe」をオンにすると、クロマのス パイクが最高 50 に制限されていることが分かります。

Y´CBCR

このスコープでは、 Y´C BCR の符号化された信号の各成分がパレード表示で示されます。一番左 の波形は、ルミナンス(Y´ )成分、中央の波形は C B 色差成分、一番右の波形は C R 色差成分です。

第 8 章 ビデオスコープ 151 ベクトルスコープ ベクトルスコープは、イメージにおける全体的な色の配分を円形スケールで表します。ビデオイ メージは、このスケールのほぼ中央に収まっているすべての点をつなげてできるグラフで表され ます。分析したグラフ内の各点について、スケールの周囲の角度はヒュー(指定したカラーター ゲットと比較できます)を示し、スケールの中央からの距離は表示されている色のサチュレー ションを示します。ベクトルスコープの中央はサチュレーションゼロを表し、中央から離れるほ どサチュレーションが高くなります。

「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブにある「Monochrome Scopes」オプションをオフにして いる場合、ベクトルスコープでプロットされるグラフの点は、ソースイメージの該当部分の色で 描画されます。これは、イメージの領域に対応するグラフの領域を見れば簡単に分かります。

152 第 8 章 ビデオスコープ ベクトルスコープは、イメージにおけるさまざまな色のヒューと輝度を一目で見られて便利で す。ベクトルスコープのグラフでショットの色を見分けることができれば、異なる 2 つのイメー ジをできるだけ正確にマッチできるようになります。たとえば、イメージのサチュレーションが 別のイメージよりも高い場合は、ベクトルスコープのグラフが大きくなります。

サチュレーションが低いイメージ サチュレーションが高いイメージ

また、ベクトルスコープを使えば、ピクチャで中間調にする(つまりサチュレーションを低下さ せる)部分に影響を与えているカラーキャストがないかどうかが分かります。ピクチャのサチュ レーションが低下した領域は完全に中央にくるようにする必要があるため、白、グレイ、黒の部 分があるイメージを表すベクトルスコープグラフが中央から外れている場合、色が不均衡である ことを示します。

カラーターゲット ベクトルスコープのスケールのカラーターゲットは、「Final Cut Pro」の色補正フィルタのカラー バランスコントロールにある色と一致しています。一致させようとしている 2 つのショットの ヒューが一致しない場合、これを補正するために、ベクトルスコープのスケールのオフセットの 方向と距離によって、バランスコントロールのインジケータをどちらの方向に移動するかを指定 できます。

第 8 章 ビデオスコープ 153 ベクトルスコープのカラーターゲットとベクトルスコープグラフのサチュレーションの関係は、 ベクトルスコープのスケールの設定によって決まります:

 ベクトルスコープのスケールが 75 %に設定されている場合、75 %カラーバーがターゲットに なります。  ベクトルスコープのスケールが 100 %に設定されている場合、100 %カラーバーがターゲット になります。

参考:「 Color」では、分析前にすべての色を Rec.709 標準を使って RGB に変換します。結果と して、NTSC と PAL ソースビデオのカラーバーは同じターゲットになります。

「 I」バー 「 –I」バーは、カラーバーを表示したテストパターンの暗い青色ボックスのヒューが表示される 適正な角度を示します。この暗い青色ボックスは、100 %白のリファレンス・スクエアの左側に あり、Inphase 信号または単に「I 」と呼ばれています。

ベクトルスコープの「I 」バー(プラスの「 I」バー)オーバーレイは、「Final Cut Pro」の肌色の ラインと同じになります。これは、ショットに映し出されている俳優の肌色を特定して補正する のに役立ちます。肌の色に関係なく、ビデオテープに記録されベクトルスコープで測定されると きの人間の肌色のヒューは、非常に狭い範囲に収まります(ただし、サチュレーションとブライ トネスには違いが出ます)。ショットの中に俳優がいるときは、「I 」バーの周辺におおまかにまと まっている色の領域があるかどうかを確かめることで、肌色が正確に再現されているかどうかが 分かります。

俳優の肌色が目立っておかしいときは、ベクトルスコープで最も可能性の高い周辺領域と肌色の ターゲット間のオフセットによって、どのような補正を実行すればよいかが分かります。

154 第 8 章 ビデオスコープ 「 Q」バー 「 Q」バーは、カラーバーを表示したテストパターンの紫色ボックスのヒューが表示される適正な 角度を示します。この紫色ボックスは、 100 %白のリファレンス・スクエアの右側にあり、 +Quadrature 信号、または単に「Q 」と呼ばれています。

ビデオ信号のトラブルシューティングを行う際、カラーバー信号の Inphase および +Quadrature 成分と、「 -I」バーおよび「 Q」バーの位置を対応させることによって、ビデオ信号の成分が正し く復調されているかどうかが分かります。

ヒストグラム ヒストグラムからは、波形形式のスコープよりも豊富な種類の分析が得られます。波形では、分 析イメージの水平位置と波形グラフの水平位置の間に一定の対応付けが組み込まれていますが、 ヒストグラムではイメージの統計的な分析が得られます。

ヒストグラムでは、イメージの各色またはルミナンスレベルのピクセルの総数を計算し、割合ご とのピクセルの数を示すグラフがプロットされます。実際には、左から右にスケールが増加し、 ルミナンスや色の割合を表すある種の棒グラフですが、ヒストグラムグラフの各セグメントの高 さは、その割合に対応するピクセルの数を示します。

RGB 「 RGB」ヒストグラム表示は、カラーチャンネルごとのヒストグラム分析を別々に表示します。こ のため、イメージの色調に見られる各カラーチャンネルの相対的な分布を比較できます。

第 8 章 ビデオスコープ 155 たとえば、赤のカラーキャストを持つイメージは、極端に赤が強く、緑と青が弱いヒストグラム になります。次の例では、ハイライト部分の赤のカラーキャストがはっきり分かります。

「 R」、「 G」、および「 B」 「 R」、「G 」、および「B 」ヒストグラムは、各チャンネルのヒストグラムグラフを単に個別に表示 したものです。 Luma 「 Luma」ヒストグラムは、ビデオフレームの黒からスーパーホワイトのすべてのルミナンス値の 相対的な強度を示します。スケール上の各段階のグラフの高さは、イメージ内のピクセル数を、 その他のすべての値と比較したルミナンスの割合ごとに示しています。たとえば、ハイライトが ほとんどないイメージの場合、ヒストグラム表示では中間色調の周りに値が集中しているはず です。

156 第 8 章 ビデオスコープ 「 Luma」ヒストグラムは、2 つのショットのルミナンスをすばやく比較して、それらのシャドウ、 中間調、およびハイライトを調整してさらに正確にマッチさせることができるため大変便利で す。たとえば、前述のショットに場面転換のショットをマッチングさせるとします。以下のイ メージは見ただけで露光不足であることが分かりますが、ヒストグラムを見れば、どの程度不足 しているのかが分かります。

ヒストグラムの形状もイメージのコントラストの量を決定するのに便利な目安になります。上記 のショットのように、コントラストが低いイメージはグラフの中央付近に値が集中します。対照 的に、コントラストの大きなイメージでは、ヒストグラムの全域にわたって数値が幅広く分布し ます。

3D 色空間スコープ このスコープは、3D 領域内で投影されるイメージの色の分析を表示します。色データを表す色 空間は 4 種類から選択できます。

RGB 「 RGB」色空間は、表示可能な色の全域を表す立方体の空間に色が分布しています: Â 純黒と純白はそれぞれ、立方体の互いに向かい合う対角線上のコーナーに位置し、その対角線 の中心部はサチュレーションが低下した黒から白へのグレイスケールになります。 Â 三原色の赤、緑、青は、黒とつながっている 3 つのコーナーに位置します。 Â 3 つの二次色である黄、シアン、マゼンタは白とつながっている 3 つのコーナーに位置します。

第 8 章 ビデオスコープ 157 このように、「Color 」で表現できるすべての色は、空間の各軸をヒュー、サチュレーション、明 度に定義した 3 次元で表す点に割り当てられます。

立方体の各面は、サチュレーションが 100 %の色を表し、黒のコーナーから白のコーナーまでの 中央の対角線はサチュレーションが 0 %になります。暗い色ほど立方体の黒のコーナーに近くな り、明るい色ほど真向かいにある白のコーナーに近くなります。

HSL 「 HSL」(ヒュー、サチュレーション、ルミナンス)色空間は、表示できる色の範囲を頂点が 2 つ ある円錐内に分布した点で表します。 Â 純黒と純白は、 2 つの円錐の頂点を上と下にして重ねたそれぞれの頂点になります。 Â 原色と二次色は、一般的なカラーホイールに沿って分布し、サチュレーションは円錐の一番外 側で 100 %、中心で 0 %になります。

158 第 8 章 ビデオスコープ このように、暗い色ほど内部の下側になり、明るい色ほど上側になります。また、サチュレー ションの高い色ほど形状の外側に近くなり、サチュレーションの低い色ほど内部の中心に近くな ります。

Y´CBCR

「 Y´C BCR」 色空間は、「HSL 」色空間とほぼ同じですが、サチュレーションを表す形状が特別な六 角形になっている点が異なります。この六角錐構造でブロードキャストビデオの色の一般的な境 界を表します。

この形状内に収まっているからと言って、必ずしもブロードキャストビデオの規制値に適合して いるとは限りませんが、使用できる一般的な色の範囲は分かります。たとえば、次のイメージは サチュレーションとブライトネスが適合していません。

「 Broadcast Safe」設定をオンにすると、「 Y´C BCR」 色空間内の色の分布は収縮されます。

第 8 章 ビデオスコープ 159 IPT 「 IPT」色空間は、知覚による重み付けを行った色空間です。これは、イメージのヒューをより正 確に示すために、人の目にリニアで滑らかに感じられるスケールでその分布を表します。

「 RGB」、「HSL 」、および「 Y´C BCR」色空間は、イメージを数学的に正確に分析して 3 次元で示す ため、イメージの色がある色域から別の色域にどのように変換されるのかが分かります。これら は、人の目で知覚される通りに色の分布を示す必要はありません。これは、よく使われている計 算済みのヒューホイールを考えると分かりやすいでしょう。以下のヒューホイールの緑色の部分 が、黄色や赤の部分よりどの程度大きく見えるのかに注意してください。

色を感じる人間の目の円錐体は、各原色(赤、緑、青)に対する感度がそれぞれ異なります。こ のため、分析カラーの数学的にリニアな分布は、私たちが実際に見ているものを最も正確に表現 する方法である必要はありません。「IPT 」色空間は、色空間のヒューの分布をやり直してこの点 を修正しています。つまり、ある色から別の色に滑らかに変化するようにヒューを選択または並 べ替えるテストを行い、人にとって「正しく見える」スペクトラムを定義し、それに合わせて訂 正します。

「 IPT」色空間で、「 I」は色空間の中心から伸びる明度の縦の軸(サチュレーションの低い黒から 白)に対応します。水平面は、赤から緑の分布を示す P 軸と、黄色から青の分布を示す T 軸で定 義されます。

以下に、この色空間内のテストイメージの分析を示します。

160 第 8 章 ビデオスコープ カラーをサンプリングする 3D ビデオスコープには、現在表示しているイメージの色のサンプリングと分析を行うコント ロールが備えられています。ビデオスコープの一番下にある 3 つの色見本を使って、3 種類の色 をサンプリングして分析できます。

参考:これらのコントロールは、「Scopes 」ウインドウの領域に 3D スコープが表示されている 場合のみ表示されます。

色をサンプリングして分析するには: 1 3D スコープの一番下にある、色見本の 3 つのボタンのいずれかをクリックします。

2 イメージのプレビュー領域内で、分析する領域にカラーターゲットをドラッグして移動し、マウ スボタンを放します。

イメージのプレビュー領域にカラーターゲットをドラッグすると、次の 3つのことが行われます: Â 色見本がその色で更新されます。 Â 現在分析しているピクセルの「 H」、「S 」、および「L 」の値が現在選択している色見本の右に 表示されます。

第 8 章 ビデオスコープ 161 Â 十字型が表示され、3D スコープ内にその色の値の位置が 3 次元表示で示されます。

各カラーターゲットには、対応する色見本を示す番号が付きます。

162 第 8 章 ビデオスコープ 9 Primary In 9

「Primary In」ルームには、各ショットの色補正の主要なインターフェ イスが用意されています。あらゆるショットの作業の開始点として、 必要とされる操作のほとんどすべてがそろっています。

簡単に言えば、「プライマリ補正」とは、イメージ全体に同時に影響を与える色補正のことです。 「 Primary In」ルームには、イメージ編集や色補正のためのほかのプラグインやアプリケーショ ンで使われるのと同じような、さまざまなコントロールがあります。これらのコントロールは、 それぞれ異なる方法でイメージのコントラストや色を操作します。

参考:「Primary In」ルームにあるコントロールの多くは、「 Secondaries」および「 Primary Out」 の各ルームにもあり、どのルームでも機能はまったく同じです。

この章では以下について記載します: Â 「 Primary In」ルームの用途(163 ページ) Â プライマリのコントラストコントロールを使う( 166 ページ) Â シャドウ、中間色調、ハイライトのコントラストを調整する(168 ページ) Â カラーバランスのコントロールを使う(179 ページ) Â シャドウ、中間色調、ハイライトの調整について理解する(183 ページ) Â カーブコントロール( 189 ページ) Â 「 Basic」タブ( 201 ページ) Â 「 Advanced」タブ(204 ページ) Â Auto Balance( 206 ページ)

「Primary In」ルームの用途 一般に、「 Primary In」ルームでは以下のようなタスクを実行します: Â イメージのコントラストを調整して、シャドウの暗さやハイライトの明るさを適正なレベルに し、イメージの全体的な明度をシーンにふさわしいレベルにします。

163 Â ハイライトと中間色調の色を調整して、ビデオカメラの不正なホワイトバランス設定による不 必要なカラーキャストや、使用したフィルムストックのタイプに不適切な照明を補正します。 Â イメージの全体的な色やコントラストを変更し、見かけの時間を変更します。たとえば、夕方 撮影したショットを、正午ごろ撮影したかのように変更することができます。 Â あるショットから次のショットへの露光や色が滑らかに変化するように、あるシーンのすべて のショットの色とコントラストを調整します。

「 Primary In」ルームに用意されているツールを使えば、前述のタスクのほかにも、さまざまな タスクを実行できます。実際、比較的簡単な補正で済むショーの作業をしている場合は、ここで すべての補正を正しく実行できます。たとえば、単なる芸術的な目的でイメージの温暖感や清涼 感を微妙に調整する場合などです。

一方、体系化する目的で、これら必要な補正のさまざまな段階をほかのルームで実行することも できます。さまざまな方法で補正を分割および体系化する方法の詳細については、281 ページの 「「 Primary In」/「 Primary Out」、「Secondaries 」、および「 Color FX」の各ルームを一緒に使っ て各ショットの補正を管理する」を参照してください。

「 Primary In」ルームで実行できる特定の調整 「 Primary In」ルームで行った補正はイメージ全体に適用されますが、だからといって、ピクチャ に対して部分的に適用することができないと言うわけではありません。「Primary In」ルームに あるコントロールの多くは、色調の特定の領域を調整できるようになっています。つまり、ピク チャの明るい部分の色を調整するコントロールや、暗い領域の色にのみ影響するコントロールが あります。

また、赤や青のチャンネルに影響を及ぼさずに緑のチャンネルのみを上下させるなど、特定のカ ラーチャンネルにのみ影響するタイプのコントロールもあります。

どこから始めるのか この章では、「Primary In」ルームにあるイメージ調整のすべてのコントロールについて説明し ます。カラリストの多くは、これらのツールを特定の順番で使います。使いかたについて説明す る各セクションは、この順番で編成されています。一般に、ほとんどのイメージは次のステップ で作業します。

164 第 9 章 Primary In 手順 1 :イメージのコントラストの調整 ほとんどのカラリストは、イメージの色を調整する前に、まずコントラストを補正します。この 調整は、プライマリのコントラストのコントロール、「 Luma」カーブコントロール、「Basic 」タ ブの「Master Lift」、「 Master Gain」、「 Master 」の各コントロールで実行できます。

手順 2 :イメージのカラーバランスの調整 まず、イメージのブラックポイントとホワイトポイントを決めてから、カラーバランスを調整し ます。シャドウ、中間色調、ハイライトのカラーバランスは、プライマリのカラーバランスのコ ントロールを使えば簡単に調整できます。細かい調整には、赤、緑、青のカーブコントロールを 使います。数値を使った調整には、「Advanced 」タブにある、赤、緑、青それぞれの「Lift 」、 「 Gamma」、および「 Gain」コントロールを使います。

手順 3 :イメージのサチュレーションの調整 満足できる色に調整できたら、イメージの色のサチュレーション、つまり強度を上下に調整でき ます。「 Basic」タブの「 Saturation」、「Highlight Sat.」、「Shadow Sat.」の各コントロールでは、 全体的なサチュレーションのほか、特定の色調領域内のサチュレーションも調整できます。

第 9 章 Primary In 165 手順 4 :的を絞った調整 ステップ 1 ~ 3 を実行した後に、イメージの特定の部分についてさらに調整する必要があると感 じる場合は、カーブコントロールを使って、色調の特定の範囲を指定してイメージの色やコント ラストに的を絞った調整を行うことができます。ただし、一定の段階まで調整を行うと、209 ペー ジの第 10 章「Secondaries 」で説明する「 Secondaries」ルームに進んだ方が作業が簡単です。

プライマリのコントラストコントロールを使う イメージの色を剥ぎ取ると(これを実行するには「Saturation 」コントロールを 0 に設定しま す)、残りのグレイスケールイメージは、イメージのルミナンス成分を表します。これは、イメー

ジの明度を制御する部分です。 24 ページの「Y´C BCR カラーモデル」で説明しているように、イ メージのルミナンスは、イメージの赤、緑、青のチャンネルの割合が人間の眼の各色に対する感 度に従って重み付けされて決まります。

ルミナンスは、本来、ビデオに関する概念ですが、「 Color」のコントラストコントロールを使え ば、元のフォーマットに関係なく、イメージのルミナンス成分を操作できます。これらのコント ロールでは、イメージの明度を事実上その色に関係なく調整できます。

参考:イメージのコントラストを過度に調整すると、イメージのサチュレーションに影響する場 合があります。

166 第 9 章 Primary In コントラスト比 イメージに対する最も重大な調整の 1 つに、コントラスト比の変更があります。イメージのコン トラスト比は、シャドウの最も暗いピクセル(ブラックポイント)とハイライトの最も明るいピ クセル(ホワイトポイント)の差異です。イメージのコントラスト比は、波形モニタやヒストグ ラムをルミナンスに設定すれば簡単に定量化できます。コントラストが高いイメージは、ブラッ クポイントからホワイトポイントまでの値分布が広くなります。

一方、コントラストが低いイメージは、ブラックポイントからホワイトポイントまでの値分布が 狭くなります。

「 Shadow」、「Midtone 」、「Highlight 」のコントラストスライダを使うと、コントラストについ て定義されている 3 つの特性を個別に調整できます。

参考:プライマリのコントラストスライダで実行されたコントラスト調整は、イメージのサチュ レーションに影響します。大幅にルミナンスを上げるとサチュレーションが下がり、ルミナンス を下げるとイメージのサチュレーションが上がります。これは、「 Final Cut Pro」の「色補正( 3 ウェイ)」フィルタの動作と異なります。このフィルタでは、コントラストを変更してもイメー ジのサチュレーションには影響しません。

コントロールサーフェスでコントラストスライダを使う 通常、「 Primary In」、「Secondaries 」、「Primary Out」の各ルームの 3 つのコントラストスライ ダは、互換性のあるコントロールサーフェスの 3 つのコントラストリング、ホイール、またはノ ブに対応しています。画面上のコントロールを使ってマウスで一度に調整できるのは 1 つのコン トラストスライダのみですが、ハードウェアのコントロールサーフェスを使えば、同時に 3 つす べてのコントラストコントロールを調整できます。

第 9 章 Primary In 167 コントロールサーフェスを使う場合、「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブにある「Encoder Sensitivity」パラメータで、これらのコントロールを調整する速さをカスタマイズできます。詳 細については、 103 ページの「コントロールサーフェスの設定」を参照してください。

シャドウ、中間色調、ハイライトのコントラストを調整する プライマリのコントラストスライダは、3 つの縦方向のスライダで構成されています。これらを 使って、イメージのブラックポイント、中間色調の分布、ホワイトポイントを調整します。

Shadow Midtone Highlight

Output: 0.00h 0.00s 0.001 Output: 0.00h 0.00s 0.501 Output: 0.00h 0.00s 1.001

ブラックポイントを調整 中間色調の分布を調整 ホワイトポイントを調整

各スライダは縦方向に動きます。下にドラッグすると値が下がり、上にドラッグすると値が上が ります。青のバーは、各スライダが設定されている現在のレベルを示し、各色のコントロールの 下にある出力ディスプレイ(ラベル「 L」)の 3 番目の数字はそのスライダの数値を示します。

「 Shadow」スライダでブラックポイントを調整する シャドウのコントラストスライダの動作は、「Limit Shadow Adjustments」環境設定が選択され ているかどうかによって異なります(詳細については、104 ページの「ユーザインターフェイス の設定」を参照してください)。

168 第 9 章 Primary In  「Limit Shadow Adjustments」が選択されていない場合: シャドウのスライダによるコント ラスト調整は、単純な増減操作です。この操作による補正はイメージ全体を一様に明るく、ま たは暗くします。つまり、シャドウ、中間色調、ハイライトは同じ量だけ変化します。この様 子が最もよく分かるのは、直線状の黒から白へのグラデーションのブラックポイントを調整す るときです。このようなグラデーションは、波形モニタにはまっすぐな斜線のスロープとして 表示されます。波形モニタのグラデーションのスロープ全体がどの程度上がるかに注目してく ださい。

 「Limit Shadow Adjustments」が選択されている場合: ブラックポイントのコントラストは 上がりますが、ホワイトポイントは 100% のままです。つまり、「Shadow 」コントラストス ライダを使って調整すると、イメージのすべての中間色調は新しいブラックポイントと 100% の間で調整されます。ブラックポイントが変化しても、波形モニタのスロープの最上部が同じ 位置にあることに注意してください。

第 9 章 Primary In 169 ほとんどのプロジェクトでは、おそらく「 Limit Shadow Adjustments」コントロールを選択し た状態で使用することになります。こうしておくと、プログラムのイメージのコントラスト(お よび後で説明するように色も)を大きく制御できるからです。

シャドウに対するコントラスト調整は、よく使う操作の 1 つです。最も暗いシャドウが 0% にな るくらいまで(ルミナンスに設定されている、波形モニタのグラフの一番下、またはヒストグラ ムのグラフの左側)黒を下げると、イメージのシャドウは深くなります。シャドウを深くすると イメージを濃厚にできるため、それまで少し色あせたように見えた細部を目立たせることができ ます。

さらに黒のコントラストを下げると(ピクセルを 0% より暗くすることはできないため黒を潰す と言います)、さらにコントラストが高い外観にすることができます。黒を潰すと、イメージの 0% 広い部分が一様に の黒になるため、シャドウの細部が失われてしまいます。この様子は、イ メージ下部のグラデーションの黒い部分を見るとよく分かります。

参考:「 Limit Shadow Adjustments」を選択している場合でも、「Basic 」タブの「 Master Lift」 パラメータを使ってイメージへの増減調整を実行できます。204 ページの「マスター・コントラ スト・コントロール」を参照してください。

170 第 9 章 Primary In 中間色調を調整する 「 Midtone」コントラストスライダでは、イメージの中間色調の分布をノンリニアに調整できま す(一般的には、ガンマ調整と呼ばれています)。これを使うと、イメージのシャドウの暗さや ハイライトの明るさを変更せずに中間色調を調整できます。

ここで、「Midtone 」コントラストスライダの使用例を 2 つ示します。次に示すイメージでは、 中間色調のコントラストが下がっています。ピクチャでシャドウに表示される部分が多くなり、 全体的なイメージは暗くなっていますが、ハイライトは明るいままで、シャドウの細部は失われ ていません。波形モニタのグラデーションのスロープの最上部と最下部は、ほぼ同じ位置のまま です。スロープ自体は下にカーブしており、ノンリニアな調整であることが分かります。

第 9 章 Primary In 171 次に、「 Midtone」スライダを上げます。イメージは明らかに明るくなっており、ピクチャでハ イライトに表示される部分が増えています。ただし、最も深いシャドウは濃く暗いままです。ハ イライトは元のレベルのままであるため、ハイライトの細部は失われていません。このときも、 波形モニタのグラデーションの最上部と最下部はほぼ同じ位置のままですが、スロープは上に カーブしています。

指定されたショットに設定するコントラスト比が何であれ、中間色調のスライダは全体的なイ メージの明度を調整する主要なツールの 1 つです。たとえば、画面の雰囲気を作る、見かけの時 間を調整する、さらには単に観客が題目をはっきりと読み取れるようにするなどの作業で使うこ とができます。

参考:中間色調の調整でブラックポイントとホワイトポイントをそれぞれ 0% と 100% のままに している場合でも、中間色調を極端に調整すると、黒が潰れて白が飛ぶため、コントラストが高 い外観になる代わりに細部が失われます。

「 Highlight」スライダでホワイトポイントを調整する 「 Highlight」スライダは、「Shadows 」スライダと反対の働きをします。このコントロールを使 えば、イメージのホワイトポイントを上げたり下げたりしながらブラックポイントはそのままの 状態を維持できます。イメージのすべての中間色調は、新しいホワイトポイントと 0% の間で調 整されます。

172 第 9 章 Primary In イメージが暗すぎてハイライトの精彩を欠いている場合、「 Highlight」スライダを上げれば、シャ ドウのレベルはそのままにしてハイライトだけを明るくできます。波形モニタのグラデーション のスロープのブラックポイントが調整後も 0% のままである点に注意してください。

参考:この例では、「Broadcast Safe」がオフに設定されているので、グラデーションのホワイ トレベルが最大 109% のところで切り取られています。

また、ハイライトが明るすぎる場合は、「 Highlight」スライダを下げれば、黒を潰すことなくハ イライトだけを暗くできます。

第 9 章 Primary In 173 ソースメディアに、放送規制の 100% を超過したスーパーホワイトレベルが頻繁に見られるビデ オのイメージショットでは、多くの場合ハイライトが明るすぎます(前の例を参照)。「 Broadcast Safe」の設定を有効にしている場合、 100% を超えるハイライトは、未補正のままにしておくと 切り取られてしまいます。つまり、100% を超えるすべてのピクセルが 100% になるように設定 されていると、ハイライトの細部が失われます。

ホワイトポイントを下げれば、切り取られた細部をイメージに戻すことができます。

参考:「 Color」で切り取った値や制限した値は内部に保存されているので、それ以降の調整で復 元することができます。これは、ソースメディアで過度な露光により失われた値と異なります。 録画時に切り取られた場合は復元できません。

174 第 9 章 Primary In 「 Highlight」スライダで適度な調整を行ってもブラックポイントには影響しませんが、調整量に 応じて中間色調は影響を受けます。「Highlight 」スライダの影響はシャドウに近付くほど減少し ます。正確に言えば、ハイライトのスライダで行った調整は、イメージの最も明るい約 80% に 対する影響を徐々に減少していきます。

このため、ハイライトのスライダを使った調整では、「Midtones 」スライダを使った反対の調整 を少し実行し、イメージの中間色調に対するその影響を補償している場合があります。

あるイメージにとって適切なホワイトポイントの判断は、非常に主観的なものです。具体的に言 えば、白だからといって、最高の 100% であることを意味するわけではないためです。反射する ハイライトや輝き、露光ソースなどの自然光の特徴はすべて、100% ルミナンスの候補になりま す(これらの領域はすでにスーパーホワイトレベルになっている場合があるため、放送規制の問 題があればブライトネスを下げます)。

一方、先に述べたような特徴のない室内のシーンで作業している場合、シーンで最も明るい対象 は部屋の壁や人物の顔のハイライトなどです。これらを 100% に上げると、不自然な明るさに なってしまいます。このような場合、ハイライトに設定したブライトネスは、使っている照明の 種類によって大きく変わります。照明が弱い場合、照明を意図的に明るくするためにハイライト を低くします。

イメージのコントラストを上げる/下げる さまざまな理由により、イメージのコントラスト比を広げることで、不必要なノイズを生じさせ ない最も広い範囲の値を使うようにしたい場合があります(大きなコントラスト調整を必要とす る露光不足のイメージでよくあります)。

第 9 章 Primary In 175 ほとんどのイメージで、それらで可能な最も高いコントラスト比が最初から使われていることは ありません。たとえば、適切に露光されたショットでも、ビデオカメラは黒を 0% で記録しませ ん。代わりに、約 3 ~ 4% で記録します。このため、わずかな調整でブラックポイントを下げる ことができるため、それほど労力を必要としません。また、わずかに露光過剰、または露光不足 のイメージが色あせてぼやけて見える場合、イメージの最も暗いピクセルを下げ、イメージの最 も明るいピクセルを上げてコントラスト比を広げるだけで、「よどんだレイヤーをイメージから 取り去る」のと同様の効果が得られるため、この方法はショットを簡単に最適化する最初のス テップとしてよく使われます。

ほかにも、コントラスト比を意図的に広げることで、イメージのコントラストを大きく変えるこ とができます。たとえば、イメージの露光がかなり不足している場合、単に対象がよく見えるよ うに、「Highlight 」と「 Midtone」の各スライダを調整する必要があります。また、露光が適正 なショットのコントラスト比を広げてわざと露光過剰にすると、シャドウが潰れてハイライトが 飛ぶため、コントラストが過度に高い外観にすることができます。

176 第 9 章 Primary In 重要:露光不足のショットのコントラストを上げるような、過度なコントラスト調整を行うと、 イメージのフィルム粒子やビデオノイズが目立つようになることがあります。 これは特に、補正対象のプログラムで使われているビデオフォーマットのクロマサブサンプリン グ比率が低い場合に問題になります。詳細については、25 ページの「クロマのサブサンプリン グ」を参照してください。

もちろん、イメージのコントラスト比を下げることもできます。これは、見かけの時間を変える ための調整(明るいハイライトはそのままで、シャドウのみを和らげて正午の状態にする)や単 にスタイリスティックな方法(柔らかい印象にするためにシャドウを明るく、ハイライトを暗く する)として実行できます。

第 9 章 Primary In 177 正確なイメージの細部 イメージの細部は、この章やほかの章でもよく取り上げられていますが、主に、細部を見やす くする操作や、結果としてイメージの細部が失われてしまうような操作に関係してこの言葉が 使われています。簡単に言えば、イメージの細部とは隣り合うピクセル間の色調、色、コント ラストの自然な変化のことです。

これらはビデオ信号の外側の境界に生じるため、コントラストの調整時にイメージの細部が最 も失われやすいのはイメージのシャドウとハイライトです。このため、ピクチャのより大きな

ピクセルグループが同じ値に設定されていれば(シャドウでは 0、ハイライトでは 100)、シャ ドウやハイライトの領域が「単調化」されます。

イメージを自然に見せるには、イメージの細部をある程度維持しておくことが重要です。一方、 イメージの細部を少しも破棄できないわけではありません。たとえば、黒を少し潰すことがで きるほか、コントラストを広げるために黒を潰して白を飛ばし、「コントラストが高いイメー ジ」を作ることができます。このような種類の調整を行う場合は、イメージに何が生じている のかを正確に把握してください。

カラーバランスのコントロールの操作に影響するイメージのコントラスト ほかの色補正を実行する前に、イメージのコントラスト比を広げたり、調整したりする理由はほ かにもあります。イメージのコントラストを調整するたびに、カラーバランスのコントロールが 影響する、オーバーラップしている 3 つの色調ゾーンに該当するイメージの個所が変わります (次のセクションで説明します)。たとえば、シャドウがほとんどない低コントラストのイメージ に、シャドウのカラーバランスのコントロールを使って調整を加えるときは、次のグラデーショ ンで分かるように、補正による影響はそれほど大きくありません。

178 第 9 章 Primary In その後で、「 Shadow」または「Midtone 」のコントラストスライダを調整してシャドウを暗く すると、同じ色補正で影響を受けるイメージの領域が、カラーコントロールに変更を加えていな くても大きくなっていることが分かります。

ほかの色補正を行ってからコントラストの再調整をしてはいけないと言うわけではありません が、このような相互作用があることを忘れないようにしてください。

カラーバランスのコントロールを使う カラーキャストとは、撮影時の照明条件により、照明、ビデオカメラのホワイトバランス、使用 するフィルムストックのタイプなどによって生じる余計な色合いのことです。カラーキャスト は、1 つまたは複数のカラーチャンネルの強さや弱さが不適切であるために生じます。 また、通 常、カラーキャストはイメージ全体で均一に見られることはありません。多くの場合、イメージ のある部分では強く見られ(ハイライトなど)、ほかの部分では弱いかまったく見られません(た とえば、シャドウ)。

波形モニタを「 Parade」に設定してイメージのカラーキャストについて調べると、波形の一番上 (ハイライトを示す)と一番下(シャドウを示す)から、各チャンネルのレベルが不均衡である ためにカラーキャストが生じていることがよくあります。

参考:分かりやすくするために、「 Parade」スコープの波形は赤、緑、青の色付きで示していま す。これは、「 User Prefs」タブの「Monochrome Scopes」をオフにしたときの状態です。

第 9 章 Primary In 179 カラーバランスのコントロール(ヒューホイールとも呼ばれます)は、画面上の仮想トラック ボールとして機能しますが、実際には 3 つの独立したコントロールで構成されています。

サチュレーション スライダ

ヒュースライダ

リセット 出力ディスプレイ ボタン

 カラーバランスのホイール: イメージの赤、緑、青のチャンネルの互いのバランスを調整する ために使う補正のヒュー(ハンドルの中心角で設定)とサチュレーション(ハンドルの中心か らの距離で設定)を調整できる仮想トラックボールです。ホイール内の十字型の中央にあるハ ンドルが現在の補正を示します。ハンドルを中央にすると、変更は行われません。  ヒュースライダ: このスライダで、サチュレーションに影響せずにヒューの調整を変更でき ます。  サチュレーションスライダ: このスライダで、ヒューに影響せずにサチュレーションの調整を 変更できます。上にドラッグするとサチュレーションが上がり、下にドラッグすると下がり ます。  リセットボタン: リセットボタンをクリックすると、その色調のゾーンのカラーバランスのコ ントロールとコントラストスライダの両方がリセットされます。コントロールサーフェスを 使っている場合、各ゾーンの色とコントラストの調整をリセットするコントロールがコント ロールサーフェス自体にも別にあります。  出力ディスプレイ: 各カラーコントロールの下にある出力ディスプレイには、そのゾーンのカ ラーバランスのコントロールのヒューとサチュレーションの現在の値とコントラストスライ ダの明度の値が示されます。 参考:カラーバランスのコントロールは、 Option キーを押しながらドラッグすれば、通常の 速度の最高 10 倍まで速くできます。

カラーバランスのコントロールのハンドルをドラッグし、イメージの赤、緑、青のチャンネルの 強度のバランスを整えて、光の状態を調整してカラーキャストを補正できるほか、創作的な目的 で意図的にそれらを作り出すことができます。カラーバランスのコントロールは、常に 3 つすべ てのカラーチャンネルを同時に調整します。

180 第 9 章 Primary In 前の例では、イメージのハイライトに赤のカラーキャストがあります。これは、「Parade 」スコー プの赤チャンネルの一番高いところの高さで確認できます。

このカラーキャストを補正するには、赤チャンネルを下げながら同時に青チャンネルを上げる必 要があります。これは、ハイライトのカラーバランスのコントロールをドラッグすれば実行でき ます。この補正を自然に仕上げる簡単な方法として、カラーバランスのコントロールのハンドル を強すぎる色の第二色に向かってドラッグします。この場合、カラーキャストは赤茶系/オレン ジであるため、カラーコントロールを反対にある青系/シアンに向かってドラッグすると、カ ラーチャンネルのバランスを適正に調整することができます。「Midtone 」のカラーバランスの コントロールを使うのは、調整されるイメージの大部分が 80 ~ 20% の間にあるからです。

変更しながら「 Parade」スコープを見ている場合、放送用ディスプレイでイメージに対する補正 を確認しながら、スコープでカラーチャンネルのバランスが調整されていることを確認できます。

第 9 章 Primary In 181 「 Primary In」、「Secondaries 」、「 Primary Out」の各ルームには、 3 つのカラーバランスのコン トロールがあります。各コントロールを使って、イメージの特定の色調領域を調整することがで きます。

カラーキャストが創造的に見える場合 カラーキャストは、必ずしも悪い面ばかりではありません。実際に、照明に対して独特の感性 を持つ映画監督であれば、イメージの色調全体にカラーキャストが見られる場合があります。 重要なのは、偶然に生じたカラーキャストや撮影時の状況が原因で生じたカラーキャストと、 各シーンの照明時にスタイルとして作られたカラーキャストとを区別することです。どのよう な場合でも、映画監督とカラリストの間で明確なコミュニケーションが取れていることが大切 です。

コントロールサーフェスのカラーバランスのコントロールを使う 3 つのカラーバランスのコントロールは、互換性のあるコントロールサーフェスの 3 つのトラッ クボールやジョイボールに対応しています。画面上のコントロールを使って、マウスで一度に調 整できるカラーバランスのコントロールは 1 つだけですが、ハードウェアのコントロールサー フェスを使えば、3 つすべてのカラーバランスのコントロールを同時に調整できます。

コントロールサーフェスを使う場合、「 Setup」ルームの「 User Prefs」タブにある「 Hue Wheel Angle」パラメータと「 Joyball Sensitivity」パラメータで、これらのコントロールの操作をカス タマイズできます。これらのパラメータの調整の詳細については、103 ページの「コントロール サーフェスの設定」を参照してください。

182 第 9 章 Primary In シャドウ、中間色調、ハイライトの調整について理解する ほかの多くの色補正環境と同様に、「Color 」に も 3 つのカラーバランスのコントロールが用意さ れています。これを使って、イメージの色調でオーバラップする 3 つの各ゾーンの色を個別に調 整できます。これらの色調ゾーンは、イメージのシャドウ、中間色調、ハイライトのことで、コ ントラストに関する前のセクションで説明しています。イメージの色調をこれら 3 つのゾーンに 限定した場合、次の図のようになります。

オリジナルのカラーイメージ シミュレートした色調ゾーン、シャドウ、中間色調、 ハイライト

シャドウのカラーバランスのコントロールの影響が 中間色調のカラーバランスのコントロールの影響が 最も大きい領域 最も大きい領域

ハイライトのカラーバランスのコントロールの影響が最も大きい領域

3 つのゾーンのコントロールを使って、シャドウの色には影響を与えずに、イメージのハイライ トにあたる色に意図した調整を加えることができます。同様に、イメージの明るさが異なる部分 に別々の調整を加えて、補正したり、外観に統一感を持たせたりすることもできます。

第 9 章 Primary In 183 明らかなバンディングやその他のアーチファクトを避けるために、3 つの色調ゾーンに対する調 整は広い範囲でオーバーラップしており、イメージに対する各カラーバランスのコントロールの 影響は各ゾーンのエッジでは徐々になくなります。次のグラフにこのオーバーラップを示します。

シャドウコントロールの影響

中間色調の影響

ハイライトコントロールの影響

これらのゾーンがオーバーラップする方法は、OpenCDL 標準に基づいており、それぞれの動作 について以下で説明します。

重要:「Final Cut Pro」の「色補正(3 ウェイ)」フィルタに慣れている場合、「 Primary In」ルー ムのコントロールは動きが多少異なるため、使いこなせるようになるまでにしばらく時間がかか るでしょう。また、「 Final Cut Pro 」の「色補正( 3 ウェイ)」フィルタを使った調整と異なり、 カラーバランスのコントロールを使った調整はイメージのルミナンスに影響し、そのコントラス ト比を変えてしまいます。

シャドウのカラー調整 「 Shadow」のカラーバランスのコントロールの動作は、「 Limit Shadow Adjustments」環境設 定が選択されているかどうかによって異なります(詳細については、104 ページの「ユーザイン ターフェイスの設定」を参照してください)。

184 第 9 章 Primary In  「Limit Shadow Adjustments」が選択されていない場合: シャドウコントロールを使ったカ ラー調整は、単純な加算演算で実行されます(「 Shadow」のカラーコントロールで選択した 色がイメージのすべてのピクセルの色に単純に加算されます)。補正はイメージ全体に影響し (イメージ下部のグラデーションにはっきりと現れます)、色合いと同じような効果が得られ ます。

 「Limit Shadow Adjustments」が選択されている場合:「 Shadow」コントロールで行ったカ ラー調整は、黒には調整の 100%、白には調整の 0% が加えられるようにリニアに減少します。 この方法は、ハイライトはそのままにして、選択的にシャドウを補正できるようにしたい場合 に使います。

第 9 章 Primary In 185 参考:「 Shadow」のカラーコントロールの影響を分かりやすくするために、前の例では 「 Broadcast Safe」の設定をオフにして 0% 未満のイメージ値が切り取られないようにしています。

中間色調のカラー調整 「 Midtone」のカラーバランスのコントロールで行う調整では、累乗演算を使った補正が適用さ れます(新しいピクセル値=古いピクセル値 ^ 調整)。このため、中間色調の調整の効果は、50% の明度の色の値で最も大きく、 0% と 100% の明度に近い色の値ほど小さくなります。

これを使って、イメージのシャドウとハイライト以外のカラー調整を実行できます。たとえば、 シャドウとハイライトの色合いや濃さは変えずに、中間色調に青を少し足して俳優の肌色に冷た さを加えます。

186 第 9 章 Primary In ハイライトのカラー調整 「 Highlight」のカラーバランスのコントロールで行う調整では、乗算演算がイメージに適用され ます(「Highlight 」のカラーコントロールで選択された色がイメージのすべてのピクセルの色に 単純に掛け合わされます)。必然的に、乗算による色補正操作はイメージの暗い部分では減少し、 0% の黒の領域ではまったく効果がありません。

「 Highlight」のカラーコントロールは、ハイライトを作り出す主要な光源によって生じたカラー バランスの問題をシャドウに不注意で色付けしないようにして補正する場合に非常に便利です。 次の例では、ハイライトに青をわずかに加えて、タングステン照明によるオレンジを中和してい ます。

カラーバランスのコントロールのオーバーラップ 3 つのカラーバランスのコントロールで行った色補正の調整は広い範囲でオーバーラップしてい るため、バンディングやその他のアーチファクトを避けるために、ある色調のゾーンで行った調 整から別のゾーンで行った調整へのトランジションが滑らかに見えるようにする必要がありま す。通常、ある色調のゾーンで行った調整は、次のようにほかの色調のゾーンにも影響を及ぼし ます: Â 「 Shadow」のカラーコントロールに対する調整は、中間色調とハイライトの暗い部分でオー バーラップしますが、最もハイライトの割合が高いイメージの領域は対象になりません。

第 9 章 Primary In 187 Â 中間色調に対する調整は、イメージの最も広い範囲に影響しますが、シャドウの割合が最も低 い部分やハイライトの割合が最も高い部分には影響しません。 Â ハイライトに対する調整は、中間色調にも影響しますが、シャドウの割合が最も低い部分には 影響しません。

カラーバランスのコントロールのオーバーラップを制御する 3 つのカラーバランスのコントロールの影響を受ける色調ゾーンは、コントロールが実行する数 学的な演算であらかじめ決まりますが、特定のカラーバランスのコントロールで補正するイメー ジの領域はある程度制御することができます。これは、ほかのカラーバランスのコントロールで 逆の補正を適用すれば可能です。

次の例では実際にこの点について示します。「Highlight 」のカラーバランスのコントロールを調 整して、直線状のグラデーションに青を加えると、プレビューは次のようになります。

このように、この変更は白と中間色調の両方に影響しています。白の上部に対する補正はそのま まにして、中間色調に対する補正を制限したい場合は、前述の補色を混ぜ合わせる方法を使い、 「 Midtone」のカラーバランスのコントロールでそれほど極端ではない逆の調整を適用します。

188 第 9 章 Primary In このようにすれば、中間色調に影響していたハイライト補正が中間色調の低い部分では打ち消さ れます。

複数のカラーバランスのコントロールに互いに逆の調整を行うことは矛盾しているように見え るかもしれませんが、効果的な方法です。練習すれば、隣り合う色調ゾーンへの補正の影響を制 限するために、常にこのような調整を無意識に行うようになるでしょう。

カーブコントロール 「 Primary In」ルームのカラーコントロールの下にあるカーブコントロールを使う方法でも、イ メージの色とコントラストを調整できます。「 Photoshop」などのイメージ編集アプリケーショ ンに慣れている場合は、おそらくカーブコントロールにも馴染みがあるでしょう。

カーブコントロールとカラーバランスのコントロールの大きな違いは次の 2 点です: Â カーブコントロールでは、調整を適用する特定の色調範囲を選択していくつでも定義できるの に対して、カラーバランスのコントロールではあらかじめ定義されている 3 つの色調範囲しか 調整できません。 Â 各カーブコントロールは 1 つのカラーチャンネルのみを調整しますが、カラーバランスのコン トロールは 3 つすべてのカラーチャンネルをすぐに同時に調整できます。 Â キーフレームを使ってカーブをアニメーション表示することはできませんが、「 Primary In」 ルームおよび「 Primary Out」ルームの他のすべてのパラメータは、キーフレームを使ったア ニメーション表示が可能です。

第 9 章 Primary In 189 通常、カラーバランスのコントロールは、イメージのシャドウ、中間色調、ハイライトを大まか に調整する場合に簡単に使えます。一方、カーブは調整に時間がかかりますが、イメージの狭い ゾーンの色調の微妙で細かい調整、たとえば、通常であればセカンダリー色補正を使って実行す る操作などが可能です。

重要:カーブの機能はすばらしいものですが、カーブコントロールを使ったショットの操作にあ まり時間をかけすぎないように注意してください。特に、クライアントにとってはまさに、「時 は金なり」であるからです。たった 1 つのショットの些細な部分に時間を忘れて没頭してしまう ことはよくあります。しかし、ほかのツールを使えばもっと簡単に仕上げられるかもしれません。

カーブによるイメージへの影響 カーブは、単にカーブの高さを変えることで色とルミナンスの元の値を選択する新しい値に再 マップします。グラフの X 軸はソースの値です。元のイメージの色調全体を黒(左)から白(右) で表します。グラフの Y 軸は、調整に使用できる色調の範囲を黒(一番下)から白(一番上)で 表します。

まったく調整を行わない場合、各カーブコントロールはまっすぐの対角線になります。つまり、 各ソースの値は調整値と等しくなるため変更はありません。 調整値

ソースの値

190 第 9 章 Primary In カーブの一部が 1 つまたは複数のコントロールポイントで上昇している場合、カーブのソース値 に対応しているイメージの色調領域は高い値に調整されています。つまり、イメージのその部分 は明るくなっています。

「Luma」カーブを使って中間色調を上げるエフェクト

カーブの一部が 1 つまたは複数のコントロールポイントで下降している場合、カーブのソース値 に対応しているイメージの色調領域は低い値に調整されています。つまり、イメージのその部分 は暗くなっています。

「Luma」カーブを使って中間色調を下げるエフェクト

コントロールポイントと B スプラインを編集する デフォルトで、各カーブには 2 つのコントロールポイントがあります。一番下左のコントロール ポイントはそのチャンネルのブラックポイント、一番上右のコントロールポイントはホワイトポ イントです。これら 2 つのコントロールポイントは、各カーブの最下部と最上部のアンカーにな ります。

第 9 章 Primary In 191 「 Color」のカーブは、 B スプラインを使って編集します。B スプラインは、実際にはカーブコン トロールに属していないコントロールポイントを使い、細いワイヤを強力な磁石で引き寄せるよ うにカーブを「引っ張って」別の形に変えます。たとえば、次に示すカーブでは、コントロール ポイントによってハイライトが引き上げられており、中間色調との不釣り合いが生じています:

カーブの上に位置しているコントロールポイントは、カーブ全体を上に引き上げ、カーブの両端 は一定の位置に固定されています。

カーブの複雑さは、カーブに影響を与えるコントロールポイントの数によって決まります。いず れかの側に 2 つのコントロールポイントを追加して、下に移動すると、曲線を以下のように変更 できます。

鋭いカーブにするには、コントロールポイントどうしを近付けるようにします。緩やかなカーブ にするには、コントロールポイントどうしを離すようにします。

次に、曲線のコントロールを編集するコントロールポイントを作成、削除、および調整する方法 について説明します。

カーブにコントロールポイントを追加するには: m カーブの任意の場所をクリックします。

コントロールポイントを調整するには: m コントロールポイントをカーブコントロールの領域内の任意の場所でドラッグします。

192 第 9 章 Primary In カーブからコントロールポイントを削除するには: m コントロールポイントを上または下にドラッグし、カーブコントロールの領域の外に出します。

カーブからすべてのコントロールポイントを削除するには: m コントロールポイントを削除したいカーブのリセットボタン(各カーブグラフの上部左側にあり ます)をクリックします。

コントラストの調整にカーブを使う 最も分かりやすいカーブの使いかたの 1 つに、「Luma 」カーブによるコントラストの調整があり ます。「 Luma」カーブは、実際には、イメージの赤、緑、青のチャンネルを同時に調整します (「 Luma」カーブを調整しながら「 Parade」スコープを確認してみると分かります)。つまり、イ メージの明度を全体的に調整します。

参考:「 Luma」カーブに行われた調整は、サチュレーションにも影響する場合があります。ルミ ナンスを大幅に上げると、サチュレーションが下がることがあります。

「プライマリのコントラストコントロールを使う」で説明したコントロールと「 Luma」カーブの ブラックポイント、中間色調、ホワイトポイントの間には、一定の関係があります。たとえば、 カーブのブラックポイントを上に移動すると、ブラックポイントが上がります。

カーブのホワイトポイントを下に移動すると、イメージのホワイトポイントが下がります。

第 9 章 Primary In 193 これら 2 つのコントロールポイントは、シャドウとハイライトのコントラストコントロールに大 まかに対応しています。ルミナンスカーブの中央のどこかに 3 番目のコントロールポイントを追 加すると、ブラックポイントとホワイトポイントの間にある中間色調の分布を調整できます。こ の調整は、中間色調のコントラストコントロールを使った場合と同様です。この真ん中のコント ロールポイントを上に移動すると、ホワイトポイントとブラックポイントの位置はそのままで、 中間色調の分布が上がり、イメージが明るくなります。

この真ん中のコントロールポイントを下に移動すると、ホワイトポイントとブラックポイントの 位置はそのままで、中間色調の分布が下がり、イメージが暗くなります。

これら 3 つのコントロールポイントは「Shadow 」、「 Midtone」、「Highlight 」のコントラスト コントロールの機能に似ていますが、カーブの本当の強みは、複数のコントロールポイントを追 加して、イメージの特定の色調領域の明度に意図した調整を加えることができる点です。

194 第 9 章 Primary In 「 Luma」カーブの使用例 以下の例では、イメージのコントラストに「 Luma」カーブを使って限定的な変更を加えます。 次のイメージの波形を見ると、空がイメージのほかの部分よりもかなり明るいことが分かりま す。見る人の注意が机の上にある対象に即座に向かうように、イメージのほかの部分の明るさは そのままで窓の外の空のみ暗くします。

1 実際に調整する前に、カーブにコントロールポイントを追加し、上にも下にも動かさずにイメー ジの中間色調とシャドウを固定します。

調整したくない部分のカーブにコントロールポイントを追加し、中央に置いたままにする方法 は、イメージの特定の領域に対して行うほかの調整の影響を最小化することができて便利です。 コントロールポイントをさらに追加してカーブを調整する場合、編集しないコントロールポイン トを配置しておけば補正を制限できます。

第 9 章 Primary In 195 ∏ ヒント:複数のコントロールポイントをカーブに追加する場合、グリッドを使えば、元の中間 状態のイメージでポイントを配置したいカーブ上の位置を明確にできます。未補正の状態のと きは、各カーブは背景のグリッドの対角線の交点を通ります。

2 実際に調整の調整を加えるには、右上のホワイトポイントを下にドラッグして空を暗くします。

カーブを使うと、不自然に見える調整や露光が多すぎる調整も簡単に作れるので(特にカーブの 一部が反転している場合など)、新しいコントロールポイントを下にドラッグしすぎないように する必要があります。

思った通りの調整であっても、さらに調整することができます。空の明るさは抑制されています が、人物の顔のハイライトをイメージのその部分のコントラストを上げることで明るくすること ができます。

196 第 9 章 Primary In 3 最初に作成したコントロールポイントの下にコントロールポイントを追加し、人物の顔が明るく なるまで上にドラッグします。

人物の顔は明るくなりましたが、今度はシャドウの色がややさめてしまっています。 4 最後に作成したコントロールポイントの下にもう 1 つコントロールポイントを追加し、イメージ の明るい部分は変えずに、シャドウの色が濃くなるように下に少しドラッグします。

このように、「 Luma」カーブは、きわめて限定的な変更ができる強力なツールです。

プライマリのコントラストスライダの範囲を制限する「Luma 」カーブ カーブコントロールの重要な点の 1 つに、それ以降に同じルームのプライマリのコントラスト スライダで行う調整の範囲を制限できるというものがあります。これは、「 Luma」カーブを 使ってイメージのホワイトポイントを下げる調整を行うとはっきり分かります。「 Luma」カー ブの設定を行った後では、その設定されているレベルより上に、「 Highlight」のコントラスト スライダを使ってイメージのブライトネスを上げようとしてもできません。ほかのルームであ れば、さらにコントラストを調整することができます。

色の調整にカーブを使う 3 つすべてのカラーチャンネルを同時に調整するカラーバランスのコントロールと異なり、カ ラーカーブのコントロールはそれぞれ 1 つのカラーチャンネルにのみ影響します。さらに、赤、 緑、青のカラーカーブでは、カーブに追加するコントロールポイントで定義される色調の特定の 領域に調整を加えることができます。つまり、色調整を行うイメージの領域を狭くまたは広く定 義して非常に細かく適用することができます。

第 9 章 Primary In 197 カラーカーブの使用例 以下の例では、イメージの低めの中間色調、シャドウ、極端なハイライトからカラーキャストを 排除する補正を行う方法を示しています。この処理では、実際に、低めのハイライトにある同じ カラーキャストが強められています。

次のイメージには、シャドウからハイライトに明らかな赤のカラーキャストが見られます。これ は、「Parade 」スコープで赤の波形が上昇していることからも分かります。

参考:分かりやすくするために、「Broadcast Safe」はオフに設定して、「Parade 」スコープで波 形の下部がよく見えるようにしています。

このショットでは、女性の顔にかかる赤の補助光は、シーンの外観として意図的に作ったもので あるためそのまま残します。ただし、シーンのシャドウを濃くし、対象が背景からもう少し目立 つようにするには、シャドウから赤をいくらか削除するとよいでしょう。 1 カーブの最下部付近にある赤のカーブにコントロールポイントを追加し、赤のカラーキャストが 抑制されるまで下に引っ張ります。

これは同時に、「 Parade」スコープの赤の波形の最下部が緑と青の波形と並ぶようにする必要が

あります。

198 第 9 章 Primary In この操作によって確かにシャドウの赤は消えますが、この 1 つのコントロールポイントはカーブ 全体に影響するため、残念ながらこの補正では中間色調からも元の赤が多く取り除かれてしまい ます。

∏ ヒント:イメージの特定の領域を変更するコントロールポイントをカーブのどこに配置すれば よいのか分からない場合、「 Parade」(色を調整している場合)または「 Luma」(ルミナンス カーブを調整している場合)のいずれかに設定された波形モニタで対応するグラフの高さを使 います。たとえば、イメージのハイライトを調整したい場合、波形グラフでハイライトが表示 されているのとだいたい同じ高さのカーブにコントロールポイントを配置します。

2 赤のカーブの最上部付近に別のコントロールポイントを追加し、女性の顔の側面に赤の「補助光」 が再度現れるまで上にドラッグします。

これで女性の顔に再度赤が加わりますが、主光源のハイライトにも赤が加わっています。

第 9 章 Primary In 199 このショットの主光源は窓から入ってくる太陽の光であるため、このままでは不自然で、何らか の補正が必要です。

3 顔の最も明るいハイライトの赤が消え、照明がシアンに変わらない程度まで、赤のカーブコント ロールのホワイトポイントのコントロールポイントを下にドラッグします。

これで補正は終了です。女性の顔にかかる補助光には赤の光が見られ、太陽を光源としたシャド ウと非常に明るいハイライトは無色で美しく、イメージのカラーコントラストも強調されてい ます。

補正前と補正後を比較して、違いを確認してください。

200 第 9 章 Primary In カラーコントラストとは このマニュアルで説明するコントラストとは、イメージの明るいトーンと暗いトーンの差異で す。コントラストの説明としては、そのほかにイメージの異なる色の対比のことを言う場合も あります。カラーコントラストは、ヒュー、カラー温度、明度、サチュレーションなどに関連 していて複雑です。この複雑なトピックを分かりやすくするため、カラーコントラストはイ メージの異なる領域に存在する色の相違と考えることができます。

前の例のイメージには最初、あちこちにカラーキャストがありました。つまり、シャドウ、中 間色調、ハイライトのそれぞれに赤が見られたため、イメージの領域ごとのカラーコントラス トがあまりはっきりしていませんでした。そこで、このカラーキャストをイメージの一部から は削除しながら、ほかの部分はそのままにして対象と背景のカラーコントラストを強めまし た。カラーコントラストを適切に加えれば、元は平坦であったイメージを美しく凝ったものに することができます。

「Basic 」タブ 「 Basic」タブには、サチュレーションのコントロールのほか、イメージのコントラストに調整を 追加できる「Master Lift」、「Master Gamma」、「Master Gain」の各パラメータがあります。

サチュレーションのコントロール サチュレーションは、イメージの色の強度のことです。イメージのサチュレーションは、「Primary In」ルームのほかのコントロールと同様に 3 つのパラメータを使って制御します。これらのパラ メータでは、イメージの異なる色調ゾーンに個別の調整が可能です。コントラストやカラーコン トロールのように、色調ごとのサチュレーションの調整は各補正のエッジでは徐々になくなるた め、色調のトランジションは滑らかに見えます。

第 9 章 Primary In 201 Â Saturation: このパラメータはイメージ全体のサチュレーションを制御します。デフォルト値 1 は、イメージのサチュレーションをまったく変更しません。この値を下げると、イメージの すべてのピクセルの色の強度が下がります。0 のとき、イメージはルミナンスのみを示すグレ イスケールのモノクロイメージになります。サチュレーションを上げると色の強度が上がりま す。最大値は 4 です。

オリジナルのイメージ

半分以上サチュレーションを減らした場合

イメージのサチュレーションが上がりすぎないように注意してください。上がりすぎると、色 が別の色に「にじむ」場合があるほか、放送規制に適合しない信号になることがあります。

サチュレーションが過度に上がりすぎたイメージ

「 Broadcast Safe」設定を選択するとイメージの適合性は保護されますが、イメージのクロマ が指定された値に制限されてしまうため、イメージの色彩に富んだ部分には特に、ある程度の 単調化が見られる場合があります。このことは、ベクトルスコープにグラフの端付近のかたま りとして現れます。ビデオ用のプロジェクトで作業していない場合でも、サチュレーションが 過度に高すぎる色は問題の原因になるほか、素人っぽく見えます。

202 第 9 章 Primary In  Highlight Sat.: このパラメータは、イメージのハイライトのサチュレーションを制御します。 イメージのハイライトのサチュレーションを選択的に調整することができます。これによっ て、問題になっているクリップを規制に適合できるほか、イメージの最も明るいハイライトに いくらか白を戻すことができます。

ハイライトのサチュレーションを上げた状態

ハイライトのサチュレーションを完全に下げた状態

第 9 章 Primary In 203 Â Shadow Sat.: このパラメータは、イメージのシャドウのサチュレーションを制御します。イ メージのシャドウのサチュレーションを選択的に調整することができます。これによって、黒 をより濃く見せたり、イメージのシャドウの不適切な色を排除したりして、映画のような質感 を高めることができます。

オリジナルのイメージ

シャドウのサチュレーションを完全に下げた状態

マスター・コントラスト・コントロール イメージのコントラストを調整できる 3 つのパラメータがあります。コントラスト調整の詳細に ついては、166 ページの「プライマリのコントラストコントロールを使う」を参照してください。 Â Master Lift: プライマリの「 Shadow」コントラストスライダと異なり、「Master Lift」パラ メータは加算または減算演算子としてのみ機能するため、「 Limit Shadow Adjustments」コ ントロールの設定に関係なく、イメージ全体に全体的なルミナンス調整を実行します。リフト 調整の詳細については、168 ページの「「 Shadow」スライダでブラックポイントを調整する」 を参照してください。 Â Master Gain: このパラメータは、プライマリの「Highlight 」コントラストスライダとまっ たく同じように機能します。ブラックポイントは現在のレベルのままでホワイトポイントのみ を調整し、その間の中間色調はこれらに合わせてすべて調整されます。 Â Master Gamma: このパラメータは、プライマリの「 Midtone」コントラストスライダとまっ たく同じように機能します。中間色調の分布は 0 ~ 100% の間で調整されます。

「Advanced 」タブ このタブには、3 つの色調ゾーンのそれぞれに含まれる三原色チャンネルのそれぞれを調整でき るパラメータの別のセットが含まれています。さらに、フィルムのオプティカル・カラー・グ レーディングに慣れているカラリスト向けに、一連の「 Printer Points」コントロールもあります。

204 第 9 章 Primary In RGB コントロール これらのパラメータでは、コントラストと色をチャンネルごとに制御できます。これらは、 「 Primary In」ルームのほかのコントロールを数値で表したものではありません。「 Basic」タブに あるパラメータのように、追加のコントロールセットとして使うことができます。

通常、これらのパラメータは「Auto Balance」ボタンを使ってショットを自動的に調整する場合 に調整されます(詳細については、 206 ページの「 Auto Balance」を参照してください)。ただ し、様子を見ながら使うことができます。

 「Red Lift」、「Green Lift」、「Blue Lift」: これらのパラメータは、「 Master Lift」パラメータ とまったく同じように機能しますが、カラーチャンネルに個別に影響します。  「Red Gain」、「Green Gain」、「Blue Gain」: これらのパラメータは、「Master Gain」パラ メータとまったく同じように機能しますが、カラーチャンネルに個別に影響します。  「Red Gamma」、「Green Gamma」、「Blue Gamma」: これらのパラメータは、「 Master Gamma」パラメータとまったく同じように機能しますが、カラーチャンネルに個別に影響し ます。

「 Printer Points」コントロール これらのパラメータは、プリンタ・ポイント・システムを使ったカラー・タイミング・フィルム の作業に慣れているカラリスト向けに用意されています。プリンタ・ポイント・システムをフィ ルム印刷機に導入すれば、オプティカルに色補正を実行できます。つまり、色補正プリントの フィルム 1 巻を作成する処理で、適合するカメラネガを通してフィルタリングした光を照射し て、インターメディエイトポジプリントを作成します。

各ショットのカラー制御とシーン間の色補正は、3 つのコントロールを使うだけで実行できます。 これらのコントロールはそれぞれ、一連のオプティカルフィルタとシャッターを使ってフィルム に露光する赤、緑、青の光の量を個別に調整します。この調整方法は、「 Printer Points」のパラ メータを使えばデジタルに再現できます。

∏ ヒント:これらのパラメータは、互換性のあるほとんどのコントロールサーフェスのノブで制御 できます。

プリンタポイントとは 赤、緑、青の各パラメータは、プリンタポイントと呼ばれる離散的なインクリメントで調整され ます(各ポイントは、フィルムの露光の測定で使うスケール、ƒ ストップの分数です)。「Color 」 は各チャンネルが合計 50 ポイントの標準システムを実装しています。この場合、25 ポイントで そのカラーチャンネルの元の中間状態になります。技術的に言えば、各ポイントは露光を表す ƒ ストップの 1/4 になります( 1ƒ ストップで光が倍になります)。露光のフルストップは、12 プリ ンタポイントに等しくなります。

プリンタポイントを使って調整する 事実上、「 Primary In」ルームのほかのすべてのコントロールと異なり、「Printer Points Red」、 「 Printer Points Green」、「Printer Points Blue」の各パラメータは、イメージの色調に関係なく、 カラーチャンネル全体を一様に調整します。

第 9 章 Primary In 205 また、調整を行う方法も独特です。これらの種類のマシンで使われているフィルタの特性をエ ミュレートするため、「 Printer Points Red」などのパラメータの値を大きくしても、実際には赤 は増えません。むしろ、赤が削除され、イメージの色調がシアン(青と緑の第二色)に移動しま す。赤を増やす実際の操作としては、「Printer Points Red」パラメータの値を減らす必要があり ます。

3 つすべてのプリンタポイントのパラメータを同時に増やしたり、減らしたりすると、イメージ が暗くなったり(3 つすべてのパラメータを上げる)、明るくなったり(3 つすべてのパラメータ を下げる)します。3 つのチャンネルに不均衡な調整を行うと、調整に応じてイメージのカラー バランスが変わります。イメージの色が変更され、カラーキャストを補正または挿入できます。

プリンタポイントのパラメータ Â Printer Points Calibration: この値は、使用したいフィルムガンマ標準に従ってプリンタ・ ポイント・システムを補正します。デフォルト値の 7. 8 は、値 12(ƒ ストップ当たりのポイン ト)に 0.65(使用するデフォルトのフィルムガンマ標準)を掛けたものです。つまり、0.65 × 12 = 7. 8 となります。異なるフィルムガンマ値で補正するには、使用するガンマ値をこの 式に代入してください。 Â Printer Points Red: この値で、赤チャンネルを上げたり下げたりします。 Â Printer Points Green: この値で、緑チャンネルを上げたり下げたりします。 Â Printer Points Blue: この値で、青チャンネルを上げたり下げたりします。

参考:「 Color FX」ルームでは、プリンタポイントのノードも使用できます。これは、このセク ションで説明したパラメータと同じように機能します。

Auto Balance 「 Auto Balance」ボタンは、再生ヘッドの位置にあるフレームに基づいて、現在のショットを自 動的に分析します。これは、色補正を進める前に、不明瞭なカラーキャストが見られる問題のあ るショットを簡単に中間状態にするのに便利です。

このボタンがクリックされると、「Color 」はイメージの最も暗い部分と最も明るい部分の 5%、 およびこれらの間にある最も無彩色に近い中間色調のピクセルを自動的にサンプリングし、これ に基づいて、イメージのカラーキャストを消すためにシャドウ、中間色調、ハイライトをどのよ うに調整すればよいのかを判断します。さらに、イメージのコントラストは使用できる最も広い 範囲が 0 ~ 100 になるように最大化されます。

参考:「 Final Cut Pro」の「色補正(3 ウェイ)」フィルタの自動バランスコントロールと異なり、 「 Color」の「 Auto Balance」コマンドは完全に自動化されており、分析するイメージの領域を ユーザが個別に選択する必要はありません。

206 第 9 章 Primary In 「 Auto Balance」ボタンを使うには: 1 自動的にカラーバランスを取りたいショットの対応フレームに「 Timeline」の再生ヘッドを移動 します。 2 「 Auto Balance」をクリックします。

分析が実行されると、「Primary In」ルームの「 Advanced」タブにある「 Red Lift」、「 Green Lift」、「Blue Lift」、および「 Red Gain」、「 Green Gain」、「Blue Gain」の各パラメータは、これ ら調整結果を含むように自動的に設定されます。この結果、イメージの白、グレイ、黒は完全に 無彩色になるようにレンダリングされるはずです。

「 Advanced」タブの「Lift 」と「Gain 」の各パラメータで必要な調整が行われるため、メインの 「 Shadow」、「Midtone 」、「Highlight 」、およびカーブコントロールは使用しませんが、イメージ にさらに調整を加える場合に使用してもかまいません。

グレードのコピー、保存、管理に関する情報 代替グレードを切り替える方法、「 Copy to」コントロールを使う方法、設定を保存し、プロ ジェクトのほかのクリップに適用するために補正ビンおよび「 Grades」のビンを利用する方法 の詳細については、263 ページの第 13 章「補正とグレードを管理する」を参照してください。

第 9 章 Primary In 207

10 Secondaries 10

セカンダリー色補正コントロールでは、イメージの一部を選択して分 離し、ピクチャの残りの部分に影響を与えずに調整することができ ます。

まず、「 Primary In」ルームで最初の補正を行います。次に、「Secondaries 」ルームに移動して さらに細かい調整をショットに対して行います。

この章では以下について記載します: Â 「 Secondaries」ルームの用途( 209 ページ) Â どこから始めるのか( 211 ページ) Â HSL 限定子を使って補正する領域を選択する( 212 ページ) Â 「 Previews」タブ( 219 ページ) Â ビネットコントロールを使って領域を分離する( 221 ページ) Â 選択部分の内側と外側を調整する( 228 ページ) Â セカンダリーカーブを使う( 229 ページ) Â リセットコントロール(234 ページ)

「Secondaries 」ルームの用途 「 Secondaries」ルームは、さまざまな使いかたができるようになっています。このルームの一番 の目的は、イメージの特定の部分に対して意図した通りの補正を簡単に実行できるようにするこ とですが、そのほかにもさまざまな作業に使えます。

209 Â 補正対象とする領域を分離する: これが「 Secondaries」ルームの主要な用途です。さまざま な技法を使って、イメージのハイライトを分離して光の質を変更するなどの機能を実行できる ほか、明るすぎるセーターの色に限って、イメージのほかの部分には影響せずにサチュレー ションを下げたり、俳優の顔を選択してポストプロダクションで日焼けしたように見せたりす ることができます。イメージを部分的に選んで調整できるようになれば、可能性は無限に広が ります。

補正前 補正後

 ビネットエフェクトを作成する: イメージの縁を暗くするビネットは独創性を出すために使 われますが、従来、これはマットやレンズフィルタを使って作成されていました。プリセット やカスタム図形を使えば、イメージの領域をぼかす、または薄くするなど、どのようなタイプ のビネットでも必要に合わせて作ることができます。ビネットは、前景にある対象をハイライ トしたり、目立たせたくない背景を暗くしたりして見る人の注意を引きたいときに使用するこ とができます。

補正前 補正後

210 第 10 章 Secondaries  イメージの領域をデジタル処理で明るくする: イメージの領域を分離してカスタム図形を描画 し、以前は何もなかったところに光線や日だまりを追加して、同じ外観を違ったように見せる ことができます。これは、照明が平坦に思われる場合やシーンの外観に面白味を加えたい場合 に役立ちます。

補正前 補正後

 「Primary In」での補正を変更する修正を行う:「 Secondaries」ルームの少し変わった使いか たに、「 Primary In」ルームで行った最初の補正に加えて、イメージ全体にさらに補正を適用 するというものがあります。セカンダリー限定子をいずれも使わずに、カラーバランス、コン トラスト、サチュレーションコントロールで行った調整は、「 Primary In」ルームの場合と同じ ようにイメージ全体に影響します。これを使えば、「 Primary In」ルームで行うベースライン補 正からスタイライズエフェクトの調整を分離した状態にできます。このタイプのワークフロー の詳細については、281 ページの「「 Primary In」/ 「 Primary Out」、「Secondaries 」、および 「 Color FX」の各ルームを一緒に使って各ショットの補正を管理する」を参照してください。

どこから始めるのか セカンダリー色補正のプロセスは、非常に簡単で分かりやすく、次のステップで構成されてい ます。

手順 1 :調整する必要があるイメージの領域を分離する 「 Secondaries」ルームでイメージの外観や領域を分離、つまり限定する方法には、基本的に次の 3 つがあります: Â 色、サチュレーション、ブライトネスの範囲で指定する。 Â マスクとして図形を使う。 Â セカンダリーカーブのいずれかを使ってスペクトルの一部を選択的に調整する。 以上のすべての方法について、この章で説明します。作業するイメージの領域を選択してから、 「 Control」ポップアップメニューを使って選択範囲内、および範囲外に別々の操作を適用でき ます。

第 10 章 Secondaries 211 手順 2 :カラーバランス、コントラスト、サチュレーションの調整を行う 補正する領域を限定してから、「 Primary In」ルームの「 Basic」タブと同じカラーバランスの コントロール、プライマリのコントラストスライダ、サチュレーションと「Master Lift」/ 「 Master Gain」/「Master Gamma」の各パラメータ、および「 Primary In」ルームの 「 Advanced」タブと同じ RGB のパラメータを使うことができます。これらのコントロールの 詳細については、 163 ページの第 9 章「 Primary In」を参照してください。

参考:「 Secondaries」ルームには、「Primary In」と「 Primary Out」の各ルームにはない「 Global Hue」パラメータと呼ばれる補正パラメータがあります。「 Global Hue」を使えば、イメージの すべての単色のヒューを一度に変更することができます。「Secondaries 」タブのほかのパラメー タと異なり、「Global Hue」はイメージのすべてのピクセルに影響します。HSL 限定子やビネッ トコントロールに制限されません。

手順 3 :使用できる 8 つのタブに次々と移動してさらに補正を行う

1 つの補正を完了したら、次のセカンダリー操作の実行に進むことができます。「Secondaries 」 ルームは、最大 8 つの個別のセカンダリー操作をサポートしています(ただし、シングルディス プレイモードの場合は 7 つになります)。

以降のセクションでは、イメージの領域を分離するさまざまな方法について説明します。

HSL 限定子を使って補正する領域を選択する 補正対象の部分を分離する際によく使われる方法の 1 つに、HSL 限定子(補正するイメージの部 分を限定するためこのように呼ばれています)を使って色補正を行う部分を指定する方法があり ます。HSL は、Hue (ヒュー)、 Saturation(サチュレーション)、Lightness (明度)の頭文字 をとったもので、これら 3 つの色のプロパティによって、デジタルで表現できる色の範囲全体が 定義されます。

HSL による限定は、不規則な形状の対象やフレーム内を移動する対象を簡単に分離できる方法の 1 つです。ただし、クロマキーやルミナンスキーと同様に、分離しようとする対象は周囲のイ メージと明確に区別できる色や明るさのレベルを持っている必要があります。都合の良いこと に、普通は区別できる状態になっています。赤っぽい肌色、青い空、鮮やかな服や対象、ハイラ イトやシャドウのまとまりなどは、たいていセカンダリー補正の対象となります。

「 Final Cut Pro」の「色補正( 3 ウェイ)」フィルタのエフェクト制限コントロールに慣れている 場合は、「 Secondaries」ルームの HSL コントロールの機能がほぼ同じであることが分かります。

212 第 10 章 Secondaries HSL コントロールは、クロマキーの働きをします。ヒュー、サチュレーション、明度の範囲を選 択してマットを作成し、このマットを使って、補正を適用する領域を定義します。マットの外部 は一切影響を受けません(ただし、マットの内部と外部のどちらを調整するかを指定することも できます)。

オリジナルのイメージ HSL 限定子の設定

マット 補正後のイメージ

HSL 限定子のコントロールは、必ず補正前の元のイメージからイメージデータをサンプリングし ます。つまり、「Primary In」ルームでどのような調整を行っていても、実際には元のイメージ の値を使ってキーが抽出されます。たとえば、「Primary In」ルームでイメージのサチュレーショ ンをゼロにした場合でも、「Secondaries 」ルームではクロマキーを抽出することができます。

∏ ヒント: イメージの領域にキーを設定する場合、必ずしも 3 つすべての限定子を使う必要はあり ません。各限定子にはチェックボックスがあり、個別に選択/選択解除を切り替えることがで きます。たとえば、H (ヒュー)と S(サチュレーション)のコントロールを選択解除すると、 L(明度)コントロールだけをルミナンスキーとして使うことができます。これは強力な技法 で、イメージの明るさだけに基づいてイメージの領域を分離できるということです。

HSL のスポイトツールを使って簡単にセカンダリーキーを作成する 「 Basic」タブの左上にあるスポイトツールを使えば、補正しているイメージからすばやく簡単に 色の値をサンプリングできます。

第 10 章 Secondaries 213 セカンダリーキーを抽出するためにスポイトツールを使うには: 1 スポイトツールをクリックします。

スポイトツールがハイライトされ、「 Preview」と「Broadcast 」モニタのイメージの上に十字型 が表示されます。この十字型を使って、イメージのピクセルの集合から HSL 値をサンプリング します。 2 マウスを動かして、キーに設定したい色のピクセルまで十字型を移動し、1 回クリックして 1 つの ピクセルから色をサンプリングします。

十字型が消え、キーマットを作成するために HSL コントロールがサンプル値を考慮して調整さ れます。また、「Enabled 」ボタンが自動的に選択されます(該当するタブのセカンダリー操作 のエフェクトが選択されます)。「Secondaries 」ルームの中央にある「 Previews」タブが選択さ れ、キーマットが表示されます。これは、HSL 限定子で作成されます(詳細については、219 ペー ジの「「 Previews」タブ」を参照してください)。

キーマットが作成されたら、「Secondaries 」ルームの一番上にある色補正コントロールを使って 実際に補正を行います。詳細については、163 ページの第 9 章「Primary In」を参照してください。

214 第 10 章 Secondaries 各色の値のサンプリングだけでなく、スポイトツールを使ってある範囲全体の値をサンプリング することもできます。

スポイトツールを使ってある範囲の値をサンプリングするには: m スポイトツールをクリックしてから、サンプリングするピクセルの範囲を十字型を使ってドラッ グします。

HSL コントロールの範囲が拡大されて、サンプリングしたピクセルのヒュー、サチュレーショ ン、明度の範囲全体が含まれるようになります。この結果、「 Previews」タブのキーマットはさ らに包含的になります。

また、スポイトツールを使って HSL 値の既存の範囲を拡大することもできます。

スポイトツールを使って HSL の選択を拡大するには: m スポイトツールをクリックしてから、Shift キーを押しながら 1 つのピクセルをクリックするか、 十字型を使ってある範囲のピクセルを含むようにドラッグします。

十字型が消えると、ドラッグしたサンプル値の範囲が含まれるように HSL コントロールが拡大 されて、「 Previews」タブのキーマットが拡大されます。

参考:複数の HSL 値の範囲を選択する場合、連続している範囲の値でのみ選択できます。たと えば、赤と緑の両方を選択している場合、黄のみ除外することはできません(以下のスクリーン ショットにあるように、青も除外する必要があるとした場合)。連続していない HSL 範囲を選択 する必要がある場合、セカンダリー操作を分けて複数回実行する必要があります。

HSL コントロール スポイトツールを使わなくても、ある範囲の HSL 値を選択できます。「 Basic」タブの上方にある HSL コントロールを使って、ヒュー、サチュレーション、明度の特定の範囲を直接選択すること もできます。

これらの各限定子は、個別に選択/選択解除することができます。選択されている各限定子は、 キーマットで使われます。限定子を選択解除すると、色のその部分が使われないことになります。

第 10 章 Secondaries 215 各限定子には、ハンドルが 3 セット用意されています。それぞれ、互換性のあるコントロール サーフェスの 3 つのノブに対応しています。これらのハンドルは、マウスを使って画面上で直接 操作することもできます。ハンドルは次の通りです:

中心

範囲

許容度

 中心: 値の選択範囲の中央を定義する 1 つのハンドルです。  範囲: 中央ハンドルの左右にある内側のハンドルペアで、キーマットに使われる最初の値範囲 を定義します。これらは、マットでは無地の白のピクセルとして表示されます。  許容度: 外側のハンドルペアで、キーマットの縁が柔らかくなるように減少させる値範囲を囲 む値の幅(範囲)を定義します。これらは、マットでは明るいグレイのピクセルとして表示さ れます。

限定子の中心点を調整するには: m 2 つの範囲のハンドルの中央の任意の位置にドラッグします。

216 第 10 章 Secondaries 範囲のハンドルを対称的に調整するには: m 範囲のハンドルを直接ドラッグするか、範囲と許容度のハンドル間の任意の場所(許容度が十分 に広い場合)でドラッグして範囲を広げたり、狭めたりします。

範囲のハンドルを非対称的に調整するには: m Shiftキーを押したまま調整するハンドルをドラッグします。反対のハンドルの位置は固定された ままです。

非対称的な調整を行う場合、中心点も新しい範囲に合わせて再調整されます。

参考:コントロールサーフェスのノブを使って非対称的な調整を行うことはできません。

許容度のハンドルを調整するには: m 中央、範囲、許容度のハンドルの外側の任意の場所でドラッグし、許容度を広げたり、狭めたり します。

Shift キーを押しながらドラッグする方法でも、許容度を非対称的に調整できます。

第 10 章 Secondaries 217 各限定子の説明 Â H(ヒュー): キーに使う色の範囲を定義します。ヒューのみを使ってキーマットを定義する と、ヒュー、サチュレーション、ルミナンスのセカンダリーカーブを使った場合と同様の結果 になります。可視スペクトルは全体がグラデーションで表現されますが、このコントロールの 端から端までを表すのは H(ヒュー)ハンドルのみであるため、必要であれば青から緑のすべ ての範囲を選択できます。 Â S(サチュレーション): キーに使うサチュレーションの範囲を定義します。サチュレーショ ンのみを使ってキーマットを定義すると、サチュレーションが高すぎる色を手動で制限するの に効果的です。サチュレーションとヒューを使い、明度を除外すると、イメージ全体で特定の 色を手動で制限できます。 Â L(明度): キーに使う明度の範囲を定義します。明度のみを使ってキーマットを定義する方 法は、ハイライト、中間色調、シャドウの領域を簡単に分離できる強力な方法です。シャドウ の特定の明度を上下させる特定の調整を実行できるほか、ハイライトされている色も操作でき ます。 Â リセットボタン: 3 つの限定子をすべてルトの状態にリセットします。デフォルトは、すべて が含まれるように選択されています。

色見本 HSL 限定子の下にある 6 つの色見本セットは、三原色の赤、緑、青のいずれか、および第二色の シアン、マゼンタ、黄色のいずれかが中央になるようにヒュー限定子を自動的に狭い範囲に設定 します。

色見本は、イメージの中でこれらの色のいずれかに対応している部分について簡単にヒューを選 択する必要がある場合に便利です。これらの色見本のいずれかを選択すると、サチュレーション と明度のコントロールはまったく影響を受けなくなります。

色見本のいずれかを使ってヒュー限定子を調整するには: m Shift キーを押しながら、色見本のいずれかをクリックします。 ヒュー限定子は、対応する色の範囲を選択するためにリセットされます。 Key Blur 「 Key Blur」パラメータでは、キーマットにブラーを一様に適用して柔らかさを加えることがで きます。これは、そのままだとノイズにしかならなかったり、抽出しにくかったりするキーを使 えるようにするために非常に役立ちます。このパラメータのデフォルトは 0 で、最大値は 8 です。

218 第 10 章 Secondaries 参考:キーブラーは、「 Key Blur」フィールドに直接入力すればさらに高い値に手動で設定でき ます。

キーブラーなし キーブラーあり

色補正でキーを設定する利点の 1 つは、ビジュアルエフェクトの作成でキーを設定する場合と異 なり、エッジがはっきりして内側が完全な無地になるキーマットを必ずしも作成する必要がない ことです。多くの場合、ほかであればたいして機能しないキーでも、特にわずかな調整を加えた 場合など、それ自身に注意を引かせるようなエフェクトでなければ十分に機能します。

また、キーマットに気になる穴がある場合、それが補正の対象にしないように分離している対象 の影に対応している場合があることを覚えておいてください。

再生時のセカンダリーキーの確認 再生時に、抽出するセカンダリーキーがどのように見えるのかを二重チェックするとよいで しょう。補正時には完璧に見えたセカンダリー操作で、エッジの揺らぎや「チャター」が見ら れる場合があります。これらは、ノイズや選択した範囲のちょうどエッジにあたる境界の値が 含まれることによるものです(これは、イメージに「キーを抽出しにくい」部分がある場合に よく起こります)。このような場合、問題を解消するためにさらに調整が必要になることがあ ります。

また、ショットの一部で正しく機能するセカンダリーキーが、照明の変化で 2 ~ 3 秒経過しな いと正しく機能しないことがあります。先に進む前に、ショットの継続時間全体でセカンダ リー操作がどのように見えるのかを常に確認するようにするとよいでしょう。

「Previews 」タブ 「 Previews」タブのディスプレイは 2 分割されており、この章で説明した HSL 限定子やビネット コントロールを使った調整を簡単に行うことができるようになっています。2 つのイメージが解 像度を落として表示されるので、実行中の操作を異なる表示で確認することができます。

第 10 章 Secondaries 219 参考:「Matte Preview Mode」と「 Vignette Outline」は 、「Secondaries 」ルームの「 Previews」 タブが選択されている場合にのみ、「 Scopes」ウインドウの「Preview 」ディスプレイに表示さ れます。

「 Matte Preview Mode」ボタン

ビネットの アウトライン ビネットプレビュー HSL 限定子マットプレビュー

 ビネットプレビュー: これが有効な場合、左側のイメージには現在選択しているビネット図形 の位置とサイズが表示されます。四角形や円形のビネットを使う場合、このウインドウにはビ ネットの移動、サイズ変更、および柔らかさの追加に使える画面コントロールも表示されま す。「Geometry 」ルームで「 User Shape」を選択している場合は、その図形の編集不可能な アウトラインが表示されます。ビネットの詳細については、次のセクションで説明します。  HSL 限定子プレビュー: 右側のイメージには、HSL 限定子で生成されているマットが表示され ます。このウインドウには、ビネットコントロールで生成されたマスクは含まれません。ま た、「Key Blur」パラメータを使用している場合に表示される HSL マットも表示されません。 (ビネットとキーブラーの両方で修正された最終的な HSL マットは、「 Matte Preview Mode」 が「Matte Only」に設定されている場合のみ「Preview 」ディスプレイに表示されます。) マスクの白い領域は、現在の限定子の設定で選択されているイメージの部分を示します。この 部分は、調整の影響を受けます。イメージの黒の領域は、ピクチャで影響を受けない部分です。  「Matte Preview Mode」ボタン: これらのボタンは、「 Scopes」ウインドウの「Preview 」 ディスプレイで表示される内容を制御します。これには次の 3 つのモードがあります:  Final Image: 最終的にエフェクトがどのように見えるのかをプレビューします。 これは、「Scopes 」ウインドウに表示される通常のプレビューと同じですが、ビネットが有 効になっている場合に、ビネットのアウトラインも表示する点が異なります。  Desaturated Preview: 現在の限定子の設定で選択されているイメージの領域がカラー表 示されます。影響を受けないイメージの領域のサチュレーションはゼロになり、モノクロで 表示されます。

220 第 10 章 Secondaries  Matte Only: エフェクトを制限するのに使用されている実際のマットを表示します。これ は、HSL 限定子のプレビューディスプレイに表示されるイメージと同じですが、ビネットマ スクと HSL マスクを足し合わせたものである点と、「Key Blur」パラメータで修正されるマ スクの結果が表示される点が異なります。

Final Image Desaturated Preview

Matte Only

 Vignette outline:「 Vignette 」ボタンを選択すると、このボタンで「 Preview」ウインドウに 表示されるビネットアウトラインの選択/選択解除を切り替えられます。

ビネットコントロールを使って領域を分離する ビネットコントロールは、人物の顔のクローズアップや背景の窓など、イメージの領域を幾何学 的な円形や長方形に分離できる非常に簡単な方法です。また、ビネットは、HSL 限定子を使って キーを設定するのが困難な対象を分離する場合にも便利です。

一方、ビネットを設定している対象が移動する場合は、それに合わせて移動する図形にキーフ レームを設定するか( 285 ページの第 14 章「 キーフレーム」を参照)、モーショントラッキング を使って図形が移動する軌道を自動的に作成する必要があります(306 ページの「「 Tracking」タ ブ」を参照)。

第 10 章 Secondaries 221 ビネットを使ってフレームの大きな領域を選択し、その部分を明るくしたり暗くしたりすること もできます。このような使いかたの一例として、見る人の注意を引きたいイメージの領域を図形 を使って囲み、コントロールのポップアップメニューを「Outside 」に切り替え、コントラスト スライダでこの図形の外側の背景を暗くして、対象が視覚的にさらに「目立つ」ようにする方法 があります。

補正前 ビネット調整後

また、四角形や円形のビネットでは不規則な形の対象を分離しきれない場合、「Geometry 」ル ー ムの「 Shapes」タブでカスタムのユーザ図形を作成し、それを使って補正を制限することがで きます。HSL 限定子を使って分離するのも困難な高度で詳細な調整を作成するために、複雑な対 象をロトスコープすること(フレームごとに何かをトレースする処理)もできます。

ユーザ図形を編集およびアニメーション表示できるのは、「Geometry 」ルームのみです。しか し、作成されるマットは、 8 つの「Secondaries 」タブのいずれでも調整を分離するために使う ことができます。

ビネットコントロール ビネットコントロールは、「Previews 」タブの下にあります。これらのコントロールの一部は、 前述の「 Previews」タブにある画面上のコントロールを使って操作することもできます。

222 第 10 章 Secondaries 参考:互換性のあるコントロールサーフェスがある場合、そのコントロールを使ってビネットを カスタマイズすることもできます。

 「Vignette」ボタン: このボタンで各タブのビネットの選択/選択解除を切り替えます。  Use Tracker: 現在のプロジェクトでモーショントラッカーを分析済みの場合は、ビネットの 位置を自動的にアニメーション表示するのに使うトラッカーを番号で指定できます。ビネット がトラッカーの影響を受けないようにするには、この値を 0 に設定します。 参考:「 Use Tracker」をプロジェクトのトラッカーに割り当てている場合、ビネットの位置 (中央ハンドル)はキーフレームの位置に合うようにそのトラッカーのモーションパスに沿っ て自動的に移動します。これによってビネットがすぐに変形されるので、場合によってはビ ネットを正しい位置に移動するために位置調整を別に行う必要があります。これは、ビネット を設定している対象がトラックした対象と異なる場合に生じます。

 「Shape」ポップアップメニュー: ビネットに使用する図形を選択できます。  Square: ユーザがカスタマイズ可能な長方形です。「 Previews」タブの画面上のコントロー ル、または以下の一覧にあるその他のビネットパラメータを使って、その位置と図形を修正 できます。  Circle: ユーザがカスタマイズ可能な楕円です。「Previews 」タブの画面上のコントロール、 または以下の一覧にあるその他のビネットパラメータを使って、その位置と図形を修正でき ます。  User Shape:「 Shape 」ポップアップメニューから「User Shape」を選択すると、自動的 に「Geometry 」ルームの「Shapes 」タブが表示されます。ここで、クリックしてポイン トを追加し、ビネットに使うカスタム図形を描画することができます。作業が終了してか ら、「 Attach」ボタンをクリックすると、「 Secondaries」ルームに戻り、ここでさらに調整 を追加することができます。「User Shape」をビネットとして使用すると、残りのビネット パラメータは設定できなくなります。その図形を修正およびアニメーション表示できるの は、「Geometry 」ルームの「 Shapes」タブからのみです。詳細については、298 ページの 「「 Shapes」タブ」を参照してください。

次のパラメータは、「 Shape」ポップアップメニューの「 Square」または「Circle 」オプション を使っている場合のみ使用できます。

 Angle: 表示されている図形を回転させます。このパラメータの場合、画面上のコントロール はありません。  x Center: 図形の水平方向の位置を調整します。  y Center: 図形の垂直方向の位置を調整します。  Softness: 図形のエッジをぼかします。  Size: 図形を拡大または縮小します。  Aspect: 図形の幅と高さの比を調整します。

第 10 章 Secondaries 223 画面上のコントロールを使ってビネット図形を調整する 「 x Center」、「 y Center」、「Softness 」、「 Size」、「Aspect 」の各パラメータはすべて、「Preview 」 タブの左側にあるイメージの画面上のコントロールを使って調整できます。

参考:「 Vignette Outline」ボタンが選択されている場合、「Scopes 」ウインドウの「Preview 」 ディスプレイにこれら画面上のコントロールに対応するアウトラインを表示できますが、このア ウトラインに操作可能な画面上のコントロールはありません。これらの調整は、「Previews 」タ ブでのみ使うことができます。

ビネットを移動するには: m 「 Previews」タブで図形の内側または外側の任意の場所でドラッグし、その方向にビネットを移 動します。 「 x Center」と「y Center」パラメータは同時に調整できます。「Color 」は、「Final Cut Pro」と 同じ座標を使って位置を定義します。

ビネットをサイズ変更するには: m ビネットの四隅のいずれかをドラッグし、対角の隅を固定したまま、そこを基準にしてビネット のサイズを変更します。 m Option キーを押しながらドラッグし、緑の十字型が表示されている中心を基準にしてビネット のサイズを変更します。 m Shift キーを押しながらビネットをドラッグし、アスペクト比を固定したまま、ビネットのサイズ を変更します。つまり、幅と高さの比は変更せずに、図形を拡大または縮小します。

実行する操作によっては、「x Center」、「 y Center」、「Size 」、「Aspect 」の各パラメータがすべ て調整される場合があります。

224 第 10 章 Secondaries ビネットの柔らかさを調整するには: m 中央ボタンをクリックしながらドラッグし、ビネットのエッジをぼかします。

これは、「Softness 」パラメータを調整します。柔らかさの度合いは、「Previews 」タブに表示さ れる 2 つの同心円で確認することができます。内側の円は図形に沿ってエッジのぼかしの開始点 を示し、外側の円はエッジのぼかしの終了点を示します。

ビネットをアニメーション表示する よく使われる操作の 1 つに、人物の顔に長円形を配置し、人物を明るくするか、その他すべて を暗くして対象の顔に注意を引き付ける処理があります。対象が静止している場合は簡単です が、対象が入れ替わったり移動したりする場合、キーフレームを使ってビネットをアニメー ション表示し、照明エフェクトが対象に追随するようにする必要があります。キーフレーム設 定の詳細については、285 ページの第 14 章「キーフレーム」を参照してください。

移動する対象を自動的に追跡するモーショントラッカーを使用し、ビネットに分析したモー ションを適用する別の方法もあります。詳細については、306 ページの「「 Tracking」タ ブ 」を 参照してください。

ビネットにユーザ図形を使う 次の手順では、ビネットコントロールの「Shape 」ポップアップ設定にある「User Shape」オ プションの使いかたについて説明します。 1 「 Secondaries」ルームを表示し、8 つのセカンダリータブのいずれかをクリックして作業するセ カンダリー操作を選択します。次に、「 Enabled」と「 Vignette」の各チェックボックスを選択 してビネットコントロールを有効にします。 2 「 Shape」ポップアップメニューから「 User Shape」を選択します。

すぐに、「Geometry 」ルームの「 Shapes」タブが開きます。右側の図形リストに新しい図形が 表示され、編集することができます。

第 10 章 Secondaries 225 3 「 Geometry」プレビュー領域をクリックして分離する部分の輪郭に沿ってコントロールポイント を追加し、作成した最初のコントロールポイントをクリックして図形を閉じてポイントの追加を 終了します。

「 Geometry」ルームで描画する図形は、デフォルトで B スプライン図形になります。これは、図 形に接触していないコントロールポイントを使って図形を引き出したり、突き出したりして位置 を整えます(「 Primary In」と「Primary Out」の各ルームのカーブコントロールで使われる B ス プラインと同様です)。また、これらの図形にカーブではなく角度を付ける必要がある場合は、 「 Shape」タブの「Polygon 」ボタンをクリックすれば図形を単純なポリゴンに変えることがで きます。

参考:目的の図形を作成するのにいくつコントロールポイントを追加すればよいのか分からない 場合は、必要だと思われる数よりも少し多めに作成してみてください。作成してから編集するの は簡単ですが、図形を作成した後でコントロールポイントを追加したり、削除したりすることは できません。 4 必要であれば、分離しようとする部分に合うようにコントロールポイントをドラッグして図形を 操作することができます。

226 第 10 章 Secondaries 5 図形のエッジをぼかすには、「 Softness」パラメータの値を大きくします。

追加編集可能な 2 つの図形が、描画した図形の内側と外側に表示されます。内側の図形はぼかし が開始される位置を示し、外側の図形はぼかしの形状全体の境界を示します。必要に応じて、内 側と外側の境界を個別に調整することができます。 6 オプションの手順として、「Shape Name」フィールドに識別する名前を入力し、Enter キーを押 せば名前を変更できるので、分かりやすく整理できます。 7 「 Shape」タブの一番上にある「Attach 」をクリックし、作成した図形を「Secondaries 」ルーム の該当するタブに関連付けます(セカンダリータブの番号が「Shapes 」タブの一番上にある 「 Current Secondary」フィールドに表示されます)。

8 必要であれば、キーフレームやモーショントラッキングを追加し、カメラや対象の動きに合うよ うに図形をアニメーション表示できます。このようにすることで、作成した図形はショットの動 作に一致するようになります。 9 図形の作業を終了したら、「 Secondaries」ルームを開きます。

第 10 章 Secondaries 227 「 Previews」タブのビネット領域内に作成した図形が表示されます。この時点で、図形で作成さ れたマットは、ほかのセカンダリーマットと同じように作成する補正を制限できます。

「 User Shape」を使う場合、割り当てられているセカンダリータブのビネットコントロールは無 効になります。いずれかの時点で図形を編集する必要が生じた場合は、「Geometry 」ルームで実 行する必要があります。その図形を使うセカンダリー補正は、自動的に更新されて変更が反映さ れます。

セカンダリーキー設定とビネットを一緒に使う セカンダリーキーを作成する HSL 限定子を使いながらビネットコントロールをオンにすると、ビ ネットはキーが作成するマットを制限します。これは、フレームのある部分を分離するために キーマットを優れた品質で作成できるが、そのマットで選択されている背景の不必要な部分を マットの品質を下げずに除外できない場合にきわめて有効です。この場合、ビネットをガベージ マットとして使い、ビネット図形に収まらないキーマットの部分を除外できます。

選択部分の内側と外側を調整する 分離した部分の内側または外側に色、コントラスト、サチュレーションのコントロールが影響す るかどうか、「 Control」ポップアップメニューから選択できます。「 Secondaries」ルームで最も 強力な機能の 1 つに、同じタブでセカンダリーマットの内側と外側に別々の補正を適用できる機 能があります。つまり、8 つのセカンダリータブのそれぞれで、2 つの別々の補正を実行できます。

作業する別の領域を選択するたびに、コントロールはそれらの設定を反映するように更新され ます。

「 Control」ポップアップメニューには、これらの設定を修正するその他のコマンドもあります。

228 第 10 章 Secondaries  Inside: デフォルトの設定です。「Inside 」に設定すると、作成したすべての調整はセカンダ リーマットの内側に影響します(マスクを見た場合、白の領域)。

内側を調整する前 調整後

 Outside:「 Outside」に設定すると、そのタブで行ったすべての調整は、セカンダリーマット の外側に影響します(黒の領域)。フレーム全体を囲んでいる柔らかいぼかしの入った円形の マットの外側を暗くなるように調整する方法は、よく使われているビネットエフェクトを作成 する 1 つの方法です。

外側を調整する前 調整後

 Copy Inside to Outside: 現在、マットの内側に適用されている補正を外側にもコピーしま す。これは、内側と外側に適用される補正の相違があまり大きくならないように、小さな変更 を行う準備として外側にも同じ補正をコピーしたい場合に便利な方法です。  Copy Outside to Inside: 外側に適用されている補正を内側にコピーします。  Swap: セカンダリーマットの内側と外側に適用する補正を切り替えて逆になるようにします。

セカンダリーカーブを使う セカンダリーカーブは、カーブのコントロールポイントを使って指定するヒューの領域のみに基 づいて、イメージのヒュー、サチュレーション、ルミナンスに特定の調整を加えることができる、 一見強力そうですが誤って使いやすいコントロールセットです。

第 10 章 Secondaries 229 重要:キーフレームを使ってカーブをアニメーション表示することはできませんが、 「 Secondaries」ルームの他のすべてのパラメータは、キーフレームを使ったアニメーション表示 が可能です。

これらのカーブは、「Primary In」ルームのカーブコントロールとはかなり異なります。デフォ ルトのセカンダリー・カーブ・コントロールは、グラフ領域の途中まであるまっすぐな横線です。

可視スペクトルは、カーブの表面に沿って全体がグラデーションで表現されます。スペクトルの 端から端は、カーブの端から端に対応しています。このカーブの左右にあるコントロールポイン トはリンクされているため、たとえば、赤に調整すれば、トランジションが滑らかになるように、 一方を移動すればもう一方も移動します。

このカーブの表面にポイントを追加すれば、調整するヒューの領域を定義できます。この領域の カーブを上げると、特定のカーブで修正される色の特定部分の値が上がり、カーブを下げると値 が下がります。

230 第 10 章 Secondaries たとえば、サチュレーションカーブに 4 つのコントロールポイントを追加してカーブの緑から青 の範囲を下げる場合は、フレーム全体のすべての青と緑のサチュレーションが滑らかに下がり、 それ以外の色はそのままになります。

補正前 補正後

「Sat Curve」の調整

これらのコントロールの優れた点の 1 つは、非常に細かい調整を行って、色の領域を狭めたり、 広げたりして、イメージの補正済み領域から未補正領域へのトランジションを滑らかにできるこ とです。多くの場合、 HSL 限定子を使った場合よりも滑らかになります。

これらのコントロールが HSL 限定子よりも優れているもう 1 つの利点は、ヒューの連続してい ない範囲を同時に調整できることです。つまり、イメージの赤、緑、青の領域の値を強めたり、 弱めたりしながら、イメージの黄色、シアン、マゼンタの部分に対するこの調整の影響を最小限 にできます。

第 10 章 Secondaries 231 セカンダリーカーブは、プライマリのカーブコントロールと同じように B スプラインを使いま す。実際、まったく同じ方法でセカンダリーカーブにコントロールポイントを追加および編集で きます。詳細については、191 ページの「コントロールポイントと B スプラインを編集する」を 参照してください。

重要:セカンダリーカーブを使って加えた調整は、常に、フレーム全体を通してキーフレームが 設定されたヒューに影響します。また、ビネットや HSL コントロールの制限を受けません。

「 Hue Curve」タブ セカンダリーのヒューカーブの一部を上下する場合、「 Global Hue」コントロールを使った場合 と同じようにヒューが調整されます。ただし、ヒュー値を変更できるのは、カーブで指定した ヒューの選択範囲のみになります。カーブを上げると、値は赤寄りとなり、カーブを下げると青 寄りとなります。

補正前 補正後

「Hue Curve」の調整

このコントロールは、肌色に影響するスペクトルの赤味/オレンジの部分に幅の狭い、浅い調整 を行い、簡単かつ滑らかに温かみを加えたり、取り除いたりする場合に便利です。

232 第 10 章 Secondaries 「 Sat Curve」タブ サチュレーションカーブを上げると、スペクトルのその部分のサチュレーションが高くなり、下 げると低くなります。これは、フレーム全体を通して特定の色を強めたり、弱めたりして、統一 感のある外観を作ることができる強力なツールです。

補正前 補正後

「Sat Curve」の調整

第 10 章 Secondaries 233 「 Lum Curve」タブ ルミナンスカーブを上げると、スペクトルのその部分の色が明るくなり、下げると暗くなります。 このツールは、色の特定の領域のコントラストを調整する必要がある場合に便利です。

補正前 補正後

「Lum Curve」の調整

リセットコントロール 「 Secondaries」にはリセットボタンが 2 つあります。 Â 「Reset Secondary」ボタン: 現在開いているセカンダリータブのみをリセットします。 Â 「Reset All Secondaries」ボタン:「 Secondaries」ルームのすべてのセカンダリータブをリ セットします。このボタンは注意して使ってください。

234 第 10 章 Secondaries 11 Color FX 11

プライマリの色補正とセカンダリーの色補正のコントロールでは十 分な補正ができない場合は、「 Color FX」のノードベースのインター フェイスを使って高度なエフェクトを作成することができます。

「 Color FX」ルームはノードベースのエフェクト環境です。オープンエンドのツールキットとし て設計されている「 Color FX」では、ノード形式の操作を組み合わせてイメージに適用し、独自 の外観を作り出すことができます。各ノードが 1 つのイメージ処理操作になっており、これらの ノードを結合することでノードツリーと呼ばれる組み合わせを作成し、非常に複雑で高度なエ フェクトを作り出すことができます。

この章では以下について記載します: Â 「 Color FX」のインターフェイス(235 ページ) Â 「 Color FX」の作成方法(236 ページ) Â ノードを作成する/結合する( 238 ページ) Â ノードパラメータを調整する( 239 ページ) Â ノードを無効にする( 241 ページ) Â 「 Color FX」ルームでエフェクトを作成する(242 ページ) Â 「 Color FX」をインターレースされたショットと一緒に使う(247 ページ) Â よく使うエフェクトを「Color FX Bin」に保存する(248 ページ) Â ノード・リファレンス・ガイド(249 ページ)

「Color FX」のインターフェイス 「 Color FX」ルームは、次の 4 つの主な領域に分かれています: Â ノードリスト:「 Color FX」ルームの左側にあるリストには、あらゆる種類のイメージ処理操 作が含まれており、これらの操作をイメージに追加していくことができます。単一入力のノー ドの場合は、ノードに入力されたイメージに対して決まった操作が実行されます。複数入力の ノードの場合は、複数のバージョンのイメージを取得してそれらをさまざまな方法で組み合わ せていきます。すべてのノードはアルファベット順に整理されています。

235 Â ノードビュー:「 Color FX」ルームの中央にあるノードビューには、作成したノードが表示さ れます。ノードを結合してノードツリーにして配置することでエフェクトが作成されます。 Â 「Parameters」タブ: ノードビューでノードを選択すると、このタブにノードのパラメータ が表示され、ここでパラメータを調整したりカスタマイズしたりできます。 Â Color FX Bin: このビンは、補正ビンおよび「 Grades」のビンと同じように機能します。作 成したエフェクトはここで保存して後で使うことができます。

「Color FX」の作成方法 「 Color FX」ルームは、複数のイメージを合成するための環境ではありません。このルームで処 理することができるのは現在のショットのイメージだけです。

ノードツリーの機能 「 Color」の一連のイメージ処理では、「Primary In」ルームと「 Secondaries」ルームで補正した 後に表示されるイメージが「Color FX」ルームで処理されます。 「 Primary In」ルームと「 Secondaries」ルームで処理されたイメージの状態に、未結合のノード 入力が自動的に結合されます。このようにして、各ノードツリーの作成は、補正されたイメージ に自動的に結合される空の入力で開始されます。

参考:「Color 」ノードだけは例外で、塗りつぶしのフレームが生成されて、これに対して複数入 力の数学的ノードを使ってさまざまな方法でイメージに色合いを適用することができます。

イメージに対してさらに操作を適用するには、ノードを追加してから、すでに追加されている ノードの出力を、ヌードルを使って新しいノードの入力に結合します。

236 第 11 章 Color FX ノードツリーはイメージ処理データの滝に例えることができます。上流で開始されたイメージ処 理操作は、ノードからノードへと滝のように下流に流れていきます。上位のノードから出力され たイメージに各ノードのエフェクトが適用され、一番下に達してイメージが最終的な状態になる まで処理が実行されます。

ノードツリーの一番最後のノードは必ず「Output 」ノードになります。このノードによって、 「 Color FX」ルームで処理されたイメージが「 Color」の一連のイメージ処理に戻されます。 「 Output」ノードがない場合や「 Output」ノードが結合されていない場合は、ショットにノー ドツリーのエフェクトが適用されず、エフェクトは「Render Queue」に表示されません。

参考:CFX バーが表示されるのは、接続された「 Output」ノードがあるクリップのグレードト ラックだけです。

ノードの入力と出力 単一入力ノードの場合はイメージを取得し、そのイメージに対して操作を実行します。単一入力 ノードでは 1 度に 1 つのイメージしか処理されないので、1 つの入力に対して 1 つのヌードルし か結合できません。

複数入力ノードでは複数のバージョンのイメージをさまざまな方法で組み合わせて、1 つに結合 したエフェクトを作成することができます。これらのノードには複数の入力があるので、複数の ヌードルを結合することができます。

第 11 章 Color FX 237 これに対してノードの出力は、いずれの場合も複数のノードに結合され、複製のバージョンのイ メージを送って、ツリーの特定の位置に表示されるイメージに複数の操作を適用することができ ます。

ノードを作成する/結合する このセクションでは、エフェクトを作成するためにツリーに対してノードを追加、削除、および 配置する方法について説明します。

ノードビューにノードを追加するには、以下のいずれかの操作を行います: m ノードリストのノードをダブルクリックします。

m ノードリストからノードを選択して、「Add 」をクリックします。

m ノードリストのノードをノードビューにドラッグします。

新しいノードは常に結合されていない状態でノードビューに表示されます。

ノードビューからノードを削除するには: m ノードビューからノードを選択して、 Delete または Forward Delete キーを押します。 ノードが消えて、ノードに結合されていたヌードルはすべて切り離されます。

1 つのノードの出力を別のノードの入力に結合するには: m 1 つのノードの出力から別のノードの入力にヌードルをドラッグします。

ヌードルは作成中は緑ですが、結合されるとグレイになります。

238 第 11 章 Color FX 参考:ノードの入力にポインタを合わせると、小さなツールヒントが表示されて、ノードの名前 が示されます。

ノードのエフェクトを無効にしたい場合は、「 Parameters」タブの上部の「Bypass 」ボタンをク リックして切り替えます。

ノードを上位のノードから切り離すには: m 切り離すノードの入力から、ヌードルをノードビューの空の領域にドラッグします。

大きなノードツリーを使って作業している場合は、操作がやりやすくなるようにツリーを整理す ることをお勧めします。

ノードビューのノードを再配置するには、以下のいずれかの操作を行います: m 1 つのノードを任意の方向にドラッグします。 m ノードのグループ上に選択ボックスをドラッグし、選択されたノードを任意の方向にドラッグし て、すべてのノードを移動します。

ノードパラメータを調整する ほとんどのノードの操作はパラメータを使ってカスタマイズすることができます。パラメータは ノードの機能によってさまざまです。すべてのノードパラメータが「Color FX」ルームの右側の 「 Parameters」タブに表示されます。

「 Parameters」タブにノードのパラメータを表示するには: m 編集するノードを 1 回クリックします。

第 11 章 Color FX 239 選択したノードが青でハイライトされます。ノードにパラメータがある場合は右側に表示され、 編集できる状態になります。ノードパラメータは、ほかのルームのパラメータと同じ方法で編集 できます。

ノードツリーのイメージを表示したいポイントを選択することもできます。

ノードビューのノードで処理中のイメージを表示するには: m 表示したいノードをダブルクリックします。

現在表示されているノードが黄色でハイライトされ、ツリーのそのノードに表示されたイメージ が「Preview 」および「 Broadcast」ディスプレイに表示されます。

参考:ノードをダブルクリックするとイメージが読み込まれ、「Parameters 」タブにそのパラメー タが開くため、青のアウトラインも表示されます。

複数ノードのエフェクトを作成している場合は、ノードツリーの一番下のノードを見ながら、ツ リーの上方のノードを調整すると便利です。このようにすると、ツリー全体の操作についてのエ フェクトを確認しながら、パラメータを調整することができます。 次の例では、高コントラストで紗をかけたようなエフェクトを作成します。左側では「 B&W」 ノード、「Curve 」ノード、「Blur 」ノードを結合して紗のオーバーレイを作成し、右側では「Bleach Bypass」を使用してコントラストを高くします。両側を「Multiply 」ノードに結合すると、紗の 組み合わせエフェクトが得られます。

240 第 11 章 Color FX このエフェクトを微調整する際には、白黒イメージによる最終的なエフェクトへの影響を調整す るために「Curve 」ノードを調整しますが、調整する量を決定するには「Multiply 」ノードの出 力を確認する必要があります。そのためには、「 Multiply」ノードをクリックして表示ノード(黄 色でハイライトされたノード)にします。

次に、「 Curve」ノードを 1 回クリックして、パラメータを「Parameters 」タブに読み込みます (ノードがシアンでハイライトされます)。

ノードを無効にする 各ノードに「 Bypass」ボタンがあり、パラメータリストの一番上に表示されています。「Bypass 」 をクリックすると、ノードビューからノードを削除せずに、特定のノードがツリーに対して適用 しているエフェクトを無効にすることができます。

第 11 章 Color FX 241 無効にされたノードはオレンジの点線で囲まれます。

ツリーを削除せずにノードツリー全体のエフェクトを一時的に無効にする場合や、各ノードの 「 Bypass」ボタンを個別に有効にする場合は、「 Output」ノードを完全に切り離す必要があります。

「Color FX」ルームでエフェクトを作成する このセクションでは「 Color FX」ルームでよく使う操作について簡単に説明します。

単一入力ノードを使う このルームの最も簡単な使いかたは、1 つか 2 つの単一入力ノードを適用してスタイライズエ フェクトを作成する方法です。この場合、使いたいノードを追加して、エフェクトを適用する順 に結合し、最後に「Output 」ノードを追加するだけです。

242 第 11 章 Color FX 以下の例では、「 Bleach Bypass」ノード(イメージのサチュレーションとコントラストを変更し てフィルムの薬品処理をシミュレートする)、次に「Curve 」ノード(さらにイメージのコントラ ストを変更する)を使って、すべてのノードツリーの最後に必ず必要な「 Output」ノードを追 加しています。

レイヤー化ノードを使う ノードの高度な使いかたとして、複数入力ノードを使って、個別に処理する複数のバージョンの イメージを組み合わせてエフェクトを作成する方法があります。

簡単な例を取り上げます。イメージに色合いを適用するには、「 Color」ノード(ユーザが定義可 能な色を生成)を「Multiply 」レイヤー化ノードの 1 つの入力に結合します。

第 11 章 Color FX 243 補正されたイメージによって色が乗算されます(結合されていない入力は常に補正されたイメー ジデータにリンクされます)。イメージの乗算の結果、イメージの明るい部分には多くの色合い が適用され、暗くなるに従って適用される色合いが少なくなり、黒の領域は黒のままになります。

もう少し複雑な例を取り上げましょう。3 つのノードを使ってイメージを処理します: 使うのは、 「 Duotone」ノード(イメージのサチュレーションを下げて黒と白をカスタマイズ可能な 2 色に 割り当てる)、「 Curve」ノード(中間色調を暗くする)、および「Blur 」ノードです。結果が 「 Add」ノード(両方の Bias パラメータを 1 に設定)の 1 つの入力に結合されます。

「 Duotone」、「Curve 」、および「 Blur」ノードによって色合い、暗さ、およびぼかしが適用され たイメージは、補正されたイメージ(入力 2 経由)に追加され、その結果、燃え立つようなハイ ライトの拡散エフェクトが作成されます。

244 第 11 章 Color FX 数学レイヤー化ノードについて 前の例で取り上げたレイヤー化ノードは、簡単な数学を使って異なる変更を加えた 2 つのバー ジョンのイメージを結合します。こうした数学演算では、以下のようにイメージの 3 つのカラー チャンネルの色合いがそれぞれ数値で表現されます: Â 黒 = 0(したがって黒は RGB = 0, 0, 0) Â 各チャンネルの中間色調は .00001 ~ .999999 の小数 Â 白 = 1(したがって、白は RGB = 1, 1, 1)

これらの値を念頭において、以下のセクションをお読みください。

Add 各入力イメージのピクセルが加算されます。黒のピクセル値は 0 であるため、黒をほかの色に加 算してもイメージは変化しません。その他の値はすべて両方の値が加算されて大きくなります。 入力の結合順序は関係ありません。

加算の場合、入力イメージによってはレベルが急激に上がる傾向があるため、強い燃えるような エフェクトを作成する場合に最適です。加算を使うときに、イメージのどの領域に影響するかを 制御する最適な方法は、1 つの入力イメージのコントラストを極端に制御してみることです。領 域が暗くなるに従って、適用されるエフェクトも小さくなります。

参考:「 Add」ノードの「 Bias」パラメータは、デフォルトでは、各入力イメージの値を 2 分の 1 にしてから加算を実行します。思ったほど鮮明にならない場合は、Source 1 と Source 2 の 「 Bias」パラメータを 1 に変更してください。 Difference Source 1 に結合したイメージのピクセルが Source 2 に結合したイメージのピクセルから減算さ れます。黒のピクセル値は 0 であるため、ほかの色から黒を引いても Source 1 のイメージは変 化しません。入力の結合順序に注意する必要があります。

このノードは、 Source 2 のイメージのブライトネスを基準にして、Source 1 のイメージを暗く する場合に役立ちます。 Multiply 各入力イメージのピクセルが乗算されます。白のピクセル値は 1 であるため、白をほかの色で乗 算してもイメージは変化しません。ただし、黒(0 )にほかの色を乗算すると、結果は黒になります。

2 つのイメージを乗算すると、イメージの最も暗い部分には影響せず、イメージの最も明るい部 分に大きく影響します。これは前述のように色合いを適用する場合や、2 つのイメージの最も暗 い部分を結合する場合に役立ちます。

第 11 章 Color FX 245 イメージの一部を分離する レイヤー化エフェクトを作成するもう 1 つの一般的な方法は、グレイスケールマットを使ってイ メージの 2 つの入力を加算する個所を制御する方法です。「Alpha Blend」ノードの 3 つの入力 を組み合わせてこのエフェクトを作成することができます。

このノードは、 Source 3 の「 Alpha」入力イメージが白であるすべての領域で、Source 2 の入 力を Source 1 の入力にブレンドします。「Alpha 」入力イメージが黒の部分では、Source 1 の入 力だけが表示されます。

グレイスケールイメージを使ってマットを作成し、「 Alpha」入力に結合してさまざまなエフェク トを作成することができます。以下の例では、はじめに「 Curve」ノードを使ってイメージのコ ントラストを操作します。これは、「Edge Detector」ノードでエッジを分離しやすくするため です。「 Edge Detector」ノードで作成されたグレイスケールマットを「 Blur」ノードで柔らかく して、「 Invert」ノードでマットの黒と白の領域を反転します。その結果、顔の輪郭が透明なマッ トの領域、つまり調整されない領域になります。

246 第 11 章 Color FX このマットを「 Alpha Blend」ノードの「Alpha 」入力に結合します(第 3 の入力)。次に「 blur」 ノードを Source 2 の入力に結合します。

「 Blur」ノードは、補正されたイメージをぼかします。ただし、「Alpha 」の入力にマットイメー ジが結合されているため、このエフェクトが適用されるのは、イメージのうち、「 Edge Detector」 ノードを使って分離したエッジの周囲を除いた領域のみになります。

このように、「 Alpha Blend」ノードの「 Alpha」入力に結合されたイメージによって、Source 1 と Source 2 の入力を結合する方法が制限されます。これは「 Alpha Blend」ノードの機能のほ んの一例です。このノードを使ってさまざまなエフェクトを制限することができます。

「Color FX」をインターレースされたショットと一緒に使う 「 Color FX」ルームの制限の 1 つは、インターレースされたビデオを使って作業する場合には、 特にたくさんのエフェクトを組み合わせる必要があるということです。

インターレースされたショットに使うエフェクトを作成するときは、ノードツリーの先頭で 2 つ の「Deinterlace 」ノードを使って各フィールドを分離する必要があります。1 つのノードを 「 Even」に、もう 1 つのノードを「 Odd」に設定します。これが完了したら、2 つの同様のノー ドツリーを使ってそれぞれのフィールドを処理する必要があります。

第 11 章 Color FX 247 エフェクトが完成したら、「Interlace 」ノードを使ってフィールドをフレームに再結合する必要 があります。ノードツリーの「Even 」ブランチを左側の「 Even」入力に結合し、「Odd 」ブラン チを右側の「 Odd」入力に結合します。「 Output」ノードを「 Interlace」ノードに結合すれば、 作業は完了です。

フィールドを個別に処理しないと、イメージに予期しないノイズが発生することがあります。特 に、「Blur 」、「Sharpen 」、「Stretch 」、「 Translate」などのフィルタリングおよび変形ノードを使 う場合には注意が必要です。

よく使うエフェクトを「 Color FX Bin」に保存する 気に入った Color FX エフェクトが作成できたら、「 Color FX Bin」に保存して後で使うことがで きます。このビンは、ほかのすべてのルームの補正ビンと同じように機能します。

「 Color FX」ルームのエフェクトを保存するには: 1 保存したいノードツリーのあるショットに再生ヘッドを移動します。 2 ビンの下部の「 File」フィールドにエフェクトの名前を入力します(これはオプションですが、 入力することをお勧めします)。

3 「 Save」をクリックします。

248 第 11 章 Color FX 保存元のショットから取得したサムネールと一緒にエフェクトが保存されます。カスタムの名前 の入力はオプションですが、すべての補正を追跡できるように入力しておくことをお勧めしま す。名前を入力しない場合は、保存された補正(およびグレード)に以下の方法で自動的に名前 が付けられます。

保存したエフェクトまたはグレードを 1 つのショットに適用するには: 1 エフェクトを適用するショットに再生ヘッドを移動します。

2 以下のいずれかの操作を行います:

 適用するエフェクトをダブルクリックします。  エフェクトを選択し、ビンの下部の「 Load」ボタンをクリックします。  エフェクトを適用したいショットにドラッグします。

再生ヘッドの位置にあるショットに選択したエフェクトが適用されます。保存した補正を複数の ショットに適用することもできます。

保存したエフェクトを複数のショットに適用するには: 1 補正を適用するショットをすべて「 Timeline」で選択します。

2 以下のいずれかの操作を行います:

 ビンのエフェクトをダブルクリックします。  保存したエフェクトを選択して、ビンの下部の「 Load」ボタンをクリックします。

「 Timeline」で選択したすべてのショットにエフェクトが適用されます。 補正の保存と管理の詳細については、263 ページの第 13 章「補正とグレードを管理する」を参 照してください。

ノード・リファレンス・ガイド このセクションでは、ノードリストに表示されている各ノードについて簡単に説明します。

レイヤー化ノード 以下のノードには複数の入力があり、補正したイメージの異なる方法で処理された複数のバー ジョンをさまざまな方法で組み合わせることができます。 Add 2 つの入力イメージの各ピクセルを数学的に加算します。加算の場合、入力イメージによっては レベルが急激に上がる傾向があるため、強い燃えるようなエフェクトを作成する場合に最適で す。加算を使うときに、イメージのどの領域に影響するかを制御する最適な方法は、1 つの入力 イメージのコントラストを極端に制御してみることです。領域が暗くなるに従って、適用される エフェクトも小さくなります。

第 11 章 Color FX 249 入力の結合順序は関係ありません。「 Add」には次の 2 つのパラメータがあります。 Â Source 1 Bias: 各チャンネルの値に指定された値を乗算して、Source 1 のイメージをどの程 度加算して最終的な結果を作成するかを制御します。デフォルトは 0.5 です。 Â Source 2 Bias: 各チャンネルの値に指定された値を乗算して、Source 2 のイメージをどの程 度加算して最終的な結果を作成するかを制御します。デフォルトは 0.5 です。

Alpha Blend このノードは、(「 Blend」ノードと同様に)Source 3 の「Alpha 」入力イメージが白であるすべ ての領域で、Source 2 の入力を Source 1 の入力にブレンドします。「 Alpha」入力イメージが黒 の領域では、Source 1 の入力だけが表示されます。入力の結合順序が出力に関係します。

Blend 「 Blend」パラメータに基づいて 2 つの入力を混合します。入力の結合順序は関係ありません。 「 Blend」には次の 1 つのパラメータがあります: Â Blend: 0 に設定すると、Input 1 のみが出力されます。.5 に設定すると、Input 1 と Input 2 が 等しくブレンドされて出力されます。 1 に設定すると、Input 2 のみが出力されます。 Darken 各入力の最も暗い部分を強調します。各イメージの重なり合ったピクセルを比較して、最も暗い ピクセルを保持します。いずれの入力でも白の領域は結果に影響しません。入力の結合順序は関 係ありません。 Difference Source 1 に結合したイメージのピクセルが Source 2 に結合したイメージのピクセルから減算さ れます。黒のピクセル値は 0 なので、ほかの色から黒を引いても Source 1 のイメージは変化し ません。これは減算であるため、入力の結合順序が関係します。 Interlace 各入力に結合したイメージにインターレースを適用します。左の入力が「Even 」フィールド、右 の入力が「 Odd」フィールドになります。「Deinterlace 」ノードで始まるノードツリーの最後で このノードを使って、インターレースされたメディアによりプロジェクトのエフェクトを処理し ます。 Lighten 「 Lighten」は各入力の最も明るい部分を強調します。各イメージの重なり合ったピクセルを比較 して、最も明るいピクセルを保持します。入力の結合順序は関係ありません。 Multiply 各入力イメージのピクセルが乗算されます。白のピクセル値は 1 であるため、白をほかの色で乗 算してもイメージは変化しません。ただし、黒(0 )にほかの色を乗算すると、結果は黒になります。

250 第 11 章 Color FX 2 つのイメージを乗算すると、イメージの最も暗い部分には影響せず、イメージの最も明るい部 分に大きく影響します。これは前述のように色合いを適用する場合や、2 つのイメージの最も暗 い部分を結合する場合に役立ちます。

RGB Merge 3 つの入力を使って、個々のチャンネルを赤、緑、青のカラーチャンネルに挿入します。 「 RGB Split」ノードを使って 3 つのカラーチャンネルを分割し、グレイスケールチャンネルを個 別に処理してから、このノードでカラーイメージに再結合することができます。

エフェクトノード 以下のノードは単一入力で、イメージに 1 つの補正やエフェクトを適用するために使います。

B&W イメージのサチュレーションを下げて、Luma コンポーネントだけを含むグレイスケールのモノ クロームイメージを作成します。 Bleach Bypass イメージのコントラストを上げ、サチュレーションを下げます。現像所でフィルム現像のブリー チ段階を省略してフィルムイメージのコントラストを上げるために使われる銀残し処理をシ ミュレートします。露光された銀の粒子をネガに残して、コントラストを強調し、粒子を目立た せ、サチュレーションを下げます。 Blur イメージをぼかします。「Blur 」には次の 1 つのパラメータがあります: Â Spread: ぼかしの量を指定します。0 (ぼかしなし)から 40(最大のぼかし)の値を設定で きます。 Clamp 2 つのパラメータでイメージの最小値と最大値をクリッピングします。「Clamp 」には次の 2 つ のパラメータがあります: Â Min: イメージの最小レベルです。この値未満のレベルはすべてこの値に設定されます。 Â Max: イメージの最大レベルです。この値を超えるレベルはすべてこの値に設定されます。 Curve イメージのコントラストに影響するカーブで、「Primary In」ルームの「Luma 」カーブに似てい ます。このノードを選択すると、「Parameters 」タブにカーブコントロールが表示されます。こ れは「Primary In」のコントロールと同じように機能します。

第 11 章 Color FX 251 Duotone イメージのサチュレーションを下げ、イメージの黒とホワイトポイントをユーザがカスタマイズ 可能な 2 色に割り当て、白黒から 2 色の色合いのイメージを作成します。「Duotone 」には次の 2 つのパラメータがあります: Â Light Color: この色にホワイトポイントを割り当てます。 Â Dark Color: この色にブラックポイントを割り当てます。

Edge Detector 回旋フィルタでイメージのコントラストを上げて、イメージの最も暗い輪郭を強調します。 「 Edge Detector」には次の 2 つのパラメータがあります: Â B&W: イメージのサチュレーションを下げます。このノードを使ってマットを作成する場合 に役立ちます。 Â Scale: ホワイトポイントを調整します。「Scale 」を小さくするとコントラストが上がり、中 間色調がつぶれて輪郭が強調されます。 Â Bias: 全体のコントラストを調整します。「 Bias」を小さくするとコントラストが上がり、大 きくするとコントラストが下がります。 「 Exposure」パラメータを大きくするとハイライトが強調され、下げるとシャドウがつぶれます。 このノードには次の 1 つのパラメータがあります: Â Exposure: このパラメータを大きくするとハイライトが強調され、ブラックポイントが固定 されます。このパラメータを 0 に設定すると、結果に変化はありません。このパラメータを小 さくするとイメージのレベルが低下し、シャドウがつぶれ、ハイライトが適度に低下します。 Film Grain イメージの暗い部分にノイズを加え、露光不足によって発生するフィルムの粒子やビデオノイズ をシミュレートします。イメージのハイライトには影響しません。このノードは、鮮明で露光が 十分なショットを、露光不足のためノイズが多いシーンに合わせて挿入する場合に利用できま す。古い映画のようなエフェクトを作り出すこともできます。このノードには次の 3 つのパラ メータがあります: Â Grain Intensity: ノイズのコントラスト比を大きくし(明るいピクセルと暗いピクセルのノイ ズを挿入する)、ノイズのサチュレーションも上げてノイズを目立たせます。 Â Grain Size: 追加されるノイズの「粒子」のサイズを大きくします。フィルムの粒子サイズは プロジェクトの解像度に応じたサイズになっています。特定のサイズのフィルム粒子を標準解 像度のショットに適用すると、同じサイズの粒子を高解像度のショットに適用した場合よりも 粒子が目立ちます。 Â Monochrome: このボタンを調整して、モノクローム、またはグレイスケール、色のないノ イズを作成します。

252 第 11 章 Color FX Film Look フィルムの外観を調整する「オールインワン」のノードです。前述の「 Film Grain」操作と「 S カーブ」露光調節を組み合わせて、シャドウを少しつぶし、ハイライトを強調します。中間色調 のコントラストが拡大されますが、中間色調は中央に分布されたままなので、全体的な明るさや 暗さは変化しません。このノードには次の 3 つのパラメータがあります: Â Grain Intensity: ノイズのコントラスト比を大きくし(明るいピクセルと暗いピクセルのノイ ズを挿入する)、ノイズのサチュレーションも上げてノイズを目立たせます。 Â Grain Size: 追加されるノイズの「粒子」のサイズを大きくします。フィルムの粒子サイズは プロジェクトの解像度に応じたサイズになっています。特定のサイズのフィルム粒子を標準解 像度のショットに適用すると、同じサイズの粒子を高解像度のショットに適用した場合よりも 粒子が目立ちます。 Â Contrast: コントラストを「S カーブ」によって調整します。シャドウがつぶれ、ハイライト が強調されますが、中間色調は中央に分布したままになります。値を 0 にすると補正したイ メージの元のコントラストが保持され、1 にするとコントラストがこのノードの最大まで拡大 されます。 Gain イメージのホワイトポイントを上下してコントラストを調整しますが、ブラックポイントは固定 されたままです。中間色調は新しいホワイトポイントとブラックポイントの間で調整されます。 このノードには次の 4 つのパラメータがあります: Â Gain: 赤、緑、青のチャンネルを同時に調整して、イメージのハイライトと中間色調を全体 的に変更します。 Â Red Gain: 赤のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのホワイトポイントの調整に基づ いて色補正を行います。 Â Green Gain: 緑のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのホワイトポイントの調整に基 づいて色補正を行います。 Â Blue Gain: 青のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのホワイトポイントの調整に基づ いて色補正を行います。 Gamma 標準的なガンマ調整を行います。つまり、非線形調整によってイメージの中間色調の分布を調整 します。ブラックポイントとホワイトポイントは固定されます。これはべき関数( f(x) = xa)で 表現されます。このノードには次の 4 つのパラメータがあります: Â Gamma: 赤、緑、青のチャンネルを同時に調整して、イメージの中間色調を全体的に変更し ます。 Â Red Gamma: 赤のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのガンマ調整に基づいて色補正 を行います。

第 11 章 Color FX 253 Â Green Gamma: 緑のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのガンマ調整に基づいて色補 正を行います。 Â Blue Gamma: 青のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのガンマ調整に基づいて色補正 を行います。

Grain Reduction 「 Master Scale」、「 Red Scale」、「 Green Scale」、および「 Blue Scale」パラメータで指定した値 に従って、特定のフレームの隣接したピクセルを平均化して、イメージの粒子とノイズを減らし ます。エッジ検出を使って「 Edge Retention」パラメータによって高コントラストの細部を含 む領域の鮮明さを保持し、粒子を減らした後でシャープネス操作を適用して、全体的に細部を鮮 明にすることができます。特定のカラーチャンネルのノイズが目立つショットもあるため、各 チャンネルを個別に調整することができます。このノードには次の 6つのパラメータがあります: Â Master Scale: イメージ内の各カラーチャンネルの隣接ピクセルを平均化して、粒子とノイ ズを減らします。イメージの柔らかさはいくらか失われます。 Â Red Scale: 赤のチャンネルのピクセルだけを平均化します。 Â Green Scale: 緑のチャンネルのピクセルだけを平均化します。 Â Blue Scale: 青のチャンネルのピクセルだけを平均化します。 Â Edge Retention: エッジ検出を使って高コントラストの細部を含む領域(俳優のクローズアッ プの髪、目、くちびるなど)を識別して、粒子を減らす操作の対象からこの領域を除外し、イ メージの大切な細部の柔らかさを保持します。値を大きくすると、対象領域の元のイメージは さらに細部まで保持されます。 Â Post Sharpening: 粒子を減らした後でシャープネス回旋フィルタを適用して、粒子をソフト にしたときに失われた細部をできる限り復元します。値を大きくしすぎると、減らそうとして いる粒子が増えてしまうことがあるのでこのパラメータは注意して使ってください。 Hue イメージ全体のすべてのピクセルのヒューを変更します。このノードには次の 1 つのパラメータ があります: Â Shift: ヒューを移動する量を指定します。これは「 Vectorscope」と異なり、度数で指定す るのではありません。–1 から 1 までの値で指定します。–1 、0 、1 の場合はヒューが元の値に なります。 Invert イメージを反転します。イメージのネガから「ポジ」を作成する場合に便利です。また、「Alpha Blend」ノードでマットとして使うグレイスケールイメージを反転して、マットの不透明部分と 透明部分を逆にする場合にも便利です。

254 第 11 章 Color FX Lift 「 Lift」はイメージ全体を一様に明るくするか暗くして、シャドウ、中間色調、ハイライトを同じ 量だけ変更します。このノードには次の 4 つのパラメータがあります: Â Lift: 赤、緑、青のチャンネルを同時に調整して、イメージの明るさを全体的に変更します。 Â Red Lift: 赤のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのリフト調整に基づいて色補正を行 います。 Â Green Lift: 緑のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのリフト調整に基づいて色補正を 行います。 Â Blue Lift: 青のチャンネルだけを調整し、このチャンネルのリフト調整に基づいて色補正を 行います。 Maximum 隣接したピクセルを平均化して(ピクセルの数は「 Brush Size」パラメータで指定)、ピクセル グループの最も明るい値に基づいて 1 つの大きなピクセルを生成します。値を大きくすると、平 坦な水彩画のようなイメージになります。このノードは白の領域を拡大して、マットとして使う グレイスケールイメージをなめらかにする場合にも役立ちます。このノードには次の 1 つのパラ メータがあります: Â Brush Size: 1 つの大きなピクセルに平均化するピクセルの数を指定します。極端に大きい値 を指定すると、単一色の大きな四角いピクセルが重なり合って、イメージの明るいパステル調 の色調が強調されます。 Minimum 隣接したピクセルを平均化して(ピクセルの数は「 Brush Size」パラメータで指定)、ピクセル グループの最も暗い値に基づいて 1 つの大きなピクセルを生成します。値を大きくすると、平坦 な暗いイメージになります。このノードは黒の領域を拡大して、マットとして使うグレイスケー ルイメージをなめらかにする場合にも役立ちます。このノードには次の 1 つのパラメータがあり ます: Â Brush Size: 1 つの大きなピクセルに平均化するピクセルの数を指定します。極端に大きい値 を指定すると、単一色の大きな四角いピクセルが重なり合って、イメージの暗いにごった色調 が強調されます。 Printer Lights 「 Red」、「 Green」、および「Blue 」パラメータを使って色補正を行うことができます。これは 「 Primary In」ルームの「Advanced 」タブの「Printer Points」コントロールの機能と同様です。 詳細については、205 ページの「「 Printer Points」コントロール」を参照してください。 Saturation イメージ全体のサチュレーションを調整して、イメージの鮮やかさを変更します。このノードに は次の 1 つのパラメータがあります: Â Saturation: デフォルト値の 1 ではイメージは変更されません。0 ではサチュレーションが最 低になり、最高値の 10 では極端にサチュレーションが高い、非常に統一感のあるイメージに なります。

第 11 章 Color FX 255 Scale RGB ショットの全体的コントラスト比をブラックポイントからホワイトポイントへ増加または減少 し、イメージの色調の比率を指定して、この操作の中間点とします。このノードには次の 2 つの パラメータがあります: Â Scale: ショットの全体的コントラスト比の増減量を指定します。これは乗算であるため、値 が 1 の場合は変化しません。大きい値を指定するとコントラスト比が大きくなり、小さい値を 指定するとコントラスト比が小さくなります。 Â Center: 増加または減少の中心となるイメージの色調の比率を指定して、元のイメージのこ のパーセント値が変化しないようにします。デフォルト値が 0.5 の場合は、ホワイトポイント とブラックポイントが両方向に等しく調整されます(ホワイトポイントが上がり、ブラックポ イントが下がり、50 パーセントの値はすべて 50 パーセントのまま変化しません)。値が 0 の 場合は、ブラックポイントが固定され、調整全体がホワイトポイントに適用されます。値が 1 の場合は、ホワイトポイントが固定され、調整全体がブラックポイントに適用されます。 Sharpen シャープネス回旋フィルタを適用して、イメージの細部を含む領域のみコントラストを強調し、 イメージが鮮明になったように見せます。この操作を適用すると、フィルムの粒子やビデオノイ ズも鮮明になるため、注意して使う必要があります。このノードには次の 1 つのパラメータがあ ります: Â Sharpen: 値を大きくすると、イメージの細部のコントラストが強調されます。値が 0 の場合 はシャープネスは適用されません。 Smooth Step 調整できない「 S カーブ」調整を適用して、黒を少しつぶし白を強調し、ブラックポイントとホ ワイトポイントを 0 パーセントと 100 パーセントに固定します。イメージの「つま先」と「肩」 のフィルムの露光傾向をシミュレートするようになっています。「 Film Look」ノードに似たコン トラスト調整を行うことができます。 Stretch 縦方向と横方向のサイズ調整を個別に行い、イメージを縮めたり引き伸ばしたりします。この増 減を実行する中心ピクセルを変更することができます。このノードには次の 4 つのパラメータが あります: Â Horizontal Center: 横方向のサイズ調整の中心となるピクセルを指定します。中心ピクセル は移動しません。この位置を基準にしてイメージのサイズ調整が行われます。 Â Vertical Center: 縦方向のサイズ調整の中心となるピクセルを指定します。中心ピクセルは 移動しません。この位置を基準にしてイメージのサイズ調整が行われます。

256 第 11 章 Color FX Â Holozontal Scale: 横方向にイメージを引き伸ばす量を指定します。値を大きくするとイメー ジが外側に引き伸ばされ、小さくするとイメージが内側に縮みます。デフォルト値は 1 で、こ の場合、イメージが変化しません。 Â Vertical Scale: 縦方向にイメージを引き伸ばす量を指定します。値を大きくするとイメージ が外側に引き伸ばされ、小さくするとイメージが内側に縮みます。デフォルト値は 1 で、この 場合、イメージが変化しません。

Translate 右上隅を基準にしてイメージを移動します。このノードには次の 2 つのパラメータがあります: Â Horizontal Offset: イメージを左に移動します。 Â Vertical Offset: イメージを下に移動します。

ユーティリティノード 以下のノードは、単独でイメージを結合したり、エフェクトを作成したりすることはできません。 これらはカラーチャンネル情報を出力したり、マットイメージをさまざまな方法で抽出したりす るのに使います。これらのノードはすべて、より複雑な操作を行うために他のレイヤー化ノード やエフェクトノードと組み合わせて使います。 Color ベタ塗りのフレームを生成します。各種レイヤー化ノードと組み合わせて、さまざまな操作に色 を追加します。このノードには次の 1 つのコントロールがあります: Â Color: 標準カラーコントロールで、生成される色のヒュー、サチュレーションおよび明度を 選択します。 Deinterlace 3 つのボタンを使って、3 種類のいずれかの方法でショットのインターレースを除去することが できます。このノードを使ってフィールドをブレンドしてインターレースを除去する方法、また は 2 つの「Deinterlace 」ノードを使ってインターレース化されたショットの偶数フィールドと 奇数フィールドを分離してからフィールドを個別に処理し、「 Interlace」ノードを使ってフィー ルドを再結合する方法があります。このノードには次の 3 つのボタンがあります: Â Merge: 両方のフィールドをブレンドしたものを出力します。 Â Even: 偶数フィールドだけを出力し、現在の解像度を維持するためにラインを 2 倍にします。 Â Odd: 奇数フィールドだけを出力し、現在の解像度を維持するためにラインを 2 倍にします。 HSL Key グレイスケールマットを出力する HSL キーです。これを使って、「Alpha Blend」モードによっ てエフェクトを分離したり、さまざまな方法で他のレイヤー化ノードと組み合わせたりすること ができます。このキーは、「 Secondaries」ルームのキーと同じように機能します。詳細について は、212 ページの「 HSL 限定子を使って補正する領域を選択する」を参照してください。

第 11 章 Color FX 257 Output これは、ノードツリーの最後に配置する必要があります。このノードは「 Color FX」ルーム内で 作成したエフェクトを、レンダリングするために「Color 」の一連のメインイメージ処理に出力 します。「Output 」ノードがノードツリーに結合されていない場合は、エフェクトを「Render Queue」でレンダリングすることができません。

RGB Split クリックしたボタンに応じて、赤、緑、青のカラーチャンネルを個別に出力します。別のノード ツリーのブランチでグレイスケールの各カラーチャンネルを個別に操作してから、「RGB Merge」ノードを使って再結合することができます。このノードには次の 3 つのボタンがありま す: Â 赤: 赤のチャンネルを出力します。 Â 緑: 緑のチャンネルを出力します。 Â 青: 青のチャンネルを出力します。 Vignette シンプルな正方形または円形のビネットを作成します。「 Vignette」ノードを直接表示する場合 は、ビネットがグレイスケールプレビュー上にカラーで表示されます。出力を処理する別のノー ドを表示して「下流」で結果を表示した場合は、真のグレイスケールイメージが表示されます。 このノードには次の 9 つのパラメータがあります: Â Use Tracker: 現在のプロジェクトでモーショントラッカーを分析済みの場合は、ビネットの 位置を自動的にアニメーション表示するのに使うトラッカーを番号で指定できます。ビネット がトラッカーの影響を受けないようにするには、この値を 0 に設定します。 Â 「Type」フィールド: ビネットに使う図形を選択します。 1 は円形、2 は正方形です。 Â Invert: このボタンをクリックすると、白の領域は黒になり、黒の領域は白になります。 Â x Center: 図形の水平方向の位置を調整します。 Â y Center: 図形の垂直方向の位置を調整します。 Â Size: 図形を拡大または縮小します。 Â Aspect: 図形の幅と高さの比を調整します。 Â Angle: 図形を回転させます。このパラメータの場合、画面上のコントロールはありません。 Â Softness: 図形のエッジをぼかします。

258 第 11 章 Color FX 12 Primary Out 12

「Primary Out」ルームには全体的な色補正を行うための追加のコン トロールがありますが、これをツールとして使い、選択した複数の ショットに適用したグレードを調整することもできます。

この章では「 Primary Out」ルームのさまざまな使いかたについて説明します。このルームでは 「 Primary In」ルームと同じコントロールを共有しています。「 Primary In」の色補正コントロー ルの詳細については、 163 ページの第 9 章「 Primary In」を参照してください。

この章では以下について記載します: Â 「 Primary Out」ルームを使う( 259 ページ) Â 「 Primary In」ルームでさらに補正する( 260 ページ) Â 一連のイメージ処理について理解する(260 ページ) Â 「 Ceiling」コントロールを使う(261 ページ)

「Primary Out」ルームを使う 「 Primary Out」ルームの機能とコントロールは「Primary In」ルームと同様です。保存した補正 を共有する機能もその 1 つです(「Primary In」および「 Primary Out」の各ルームからそれぞれ のビンに保存された同じ補正を使用することができます)。

「 Primary Out」ルームは次の 3 つの主な理由から非常に重要です:

 「 Primary In」ルームの元のグレードを変更しなくても、このルームを使ってショットのグレー ドをさらに変更することができます。  一連のイメージ処理では「Primary Out」ルームは、「 Primary In」、「 Secondaries」および 「 Color FX」の各ルームの後にくるので、ここでは、ほかのルームで補正やエフェクトの追加 を行った後で全体的なイメージの調整をすることができます。  「 Primary Out」ルームには、「Primary In」ルームにはないコントロールが 3 つあります。 「 Ceiling Red」、「 Ceiling Green」、「Ceiling Blue」のパラメータを使えば、色の値を制限して ショットをリーガライズしたりスタイライズしたりすることができます。

259 「Primary In」ルームでさらに補正する 「 Color」のインターフェイスは柔軟に設計されています。各ルームには最適化された特定の種類 の操作が用意されていますが、各補正ルームの機能は重複している部分も多いので、好みのコン トロールを使って補正することができます。

色補正を専門とする人たちは、一般に、色補正の各処理段階を個々のルームに分けて行うこと を好みます。詳細については、281 ページの「「 Primary In」/「 Primary Out」、「 Secondaries」、 および「Color FX」の各ルームを一緒に使って各ショットの補正を管理する」を参照してくださ い。

この方法では、ショットの主な補正を「Primary In」ルームで行い、「Secondaries 」ルームを使っ て統一感のある「外観」の調整を行い、以前に保存した「秘蔵」の「Color FX」ルームのエフェ クトを適用して、ショットを最終的なグレードに仕上げます。

クライアントがプログラムを審査する機会があると、おそらく作品に対するコメントやフィード バックが戻されます。このようなときに、「 Primary Out」ルームが大いに役立ちます。

これまで使わなかった「Primary Out」ルームを使って、簡単に最後の仕上げを行うことができ ます。仕上げの補正をまったく別のルームで行うことができるので、クライアントの意見が変更 になった場合でも、簡単に補正を取り消すことができます。

さらに、「 Primary Out」ルームではシーン全体に影響する変更を 1 度に複数のクリップに対して 簡単に適用できます(ほかのグレードの調整ともいいます)。

「 Primary Out」ルームを使って選択したグレードをトリミングするには: 1 調整したいショットに再生ヘッドを移動し、「Primary Out」ルームをクリックします。 2 色とコントラストのコントロールを使って必要な調整を行います。 3 調整を適用するショットをすべて「 Timeline」で選択します。 4 「 Copy To Selected」をクリックします。 「 Primary Out」ルームで現在のショットに加えた調整が、選択したすべてのショットに適用され ます。

参考:「 Copy To Selected」コマンドを使うと「 Primary Out」ルームの前の設定が上書きされ ます。別の調整を行う必要がある場合は、前述の手順を繰り返すだけで選択した各ショットに再 適用することができます。

一連のイメージ処理について理解する 「 Primary Out」ルームのもう 1 つの使いかたは、前の各ルームで補正を適用した後でクリップに 補正を適用することです。

260 第 12 章 Primary Out 処理対象のイメージが「Primary In」から「Secondaries 」、「 Color FX」ルームへと移動する間 に、前のルームから送られてきたイメージに対して各ルームでの補正が適用されていきます。 「 Color FX」ルームが各グレードの最後の補正ルームであるため、「 Color FX」ルームから出力さ れたイメージが「Primary Out」で処理されます。これを利用して、後処理が行われたイメージ に全体的な補正を適用することができます。

以下の例では、各ルームでサチュレーションを上げる調整が行われていますが、「 Primary Out」 ルームでは最終的なイメージのサチュレーションを下げ、ほかのすべてのルームでの補正が集約 された出力に対する修正が行われています。

「Ceiling 」コントロールを使う 「 Primary Out」ルームには「 Primary In」ルームにはないコントロールのグループがあります。 「 Primary Out」ルームの「Basic 」タブの「 Enable Clipping」ボタンを使って、現在のショット の赤、緑、青の個々のカラーチャンネルのシーリング値を有効にすることができます。

これによって、「 Primary」、「 Secondaries」、または「 Color FX」で極端な補正を適用している 場合に、ショットで放送用に不適切な値が使われることを防止します。これは、プログラム全体 に対して「Broadcast Safe」を有効にしたくない場合に便利です。

参考:「Enable Clipping」と「Broadcast Safe」の両方を有効にすると、最も低い基準が適用さ れます。 Â 「Enable Clipping」ボタン:「 Ceiling Red」、「 Ceiling Green」、「Ceiling Blue」のコントロー ルを有効にします。 Â Ceiling Red: 赤のチャンネルの最大許容クロマを設定します。これを超えるすべての値がこ のレベルに設定されます。 Â Ceiling Green: 緑のチャンネルの最大許容クロマを設定します。これを超えるすべての値が このレベルに設定されます。 Â Ceiling Blue: 青のチャンネルの最大許容クロマを設定します。これを超えるすべての値がこ のレベルに設定されます。

第 12 章 Primary Out 261

13 補正とグレードを管理する 13

「Color 」には、適用した補正とグレードを管理するための多数のツー ルが用意されています。作成済みの補正とグレードを保存およびコ ピーしたり、1 度に複数のショットに適用したりして、作業を効率化 することができます。

「 Color」のインターフェイスには、補正とグレードの保存、整理、コピー、適用、その他の管理 を行うための 3 つの領域があります:各ルームの補正ビン、「Setup 」ルームの「 Grades」ビン と「 Shots 」ブラウザ、および「Timeline 」のグレードトラックです。この章では、インターフェ イスのこれらすべての領域の使いかたについて詳しく説明します。

この章では以下について記載します: Â 補正とグレードの差異(263 ページ) Â 補正とグレードを保存する/使う( 264 ページ) Â 保存した補正とグレードをショットに適用する( 268 ページ) Â 「 Timeline」でグレードを管理する(269 ページ) Â 「 Primary In」/「Primary Out」ルームの「 Copy To Selected」/「Copy To All」ボタンを 使う(272 ページ) Â 「 Copy Grade」および「 Paste Grade」のメモリバンクを使う(273 ページ) Â 「 Timeline」で Beauty Grade を設定する( 274 ページ) Â すべてのグレードを無効にする(274 ページ) Â 「 Shots」ブラウザでグレードを管理する( 274 ページ) Â 「 Primary In」/「 Primary Out」、「 Secondaries」、および「Color FX」の各ルームを一緒に 使って各ショットの補正を管理する( 281 ページ)

補正とグレードの差異 「 Color」の補正とグレードには明確な差異があります。調整を正しく管理する方法を習得するた めには、この差異を理解していることが大切です。

263 補正は 1 つのルーム内で行う調整です。「 Primary In」、「 Primary Out」、「Secondaries 」、「 Color FX」の各ルームにあるビンに個々の補正を保存することもできます。補正を保存しておけば、ほ かのルームの設定を変更しなくても、補正をプロジェクトのショットに適用することができま す。たとえば、あるシーンの 5 つのショットに前に保存したセカンダリー補正を適用したい場合 は、これらのショットにすでに適用したプライマリ補正に影響を与えずにセカンダリー補正を適 用することができます。各ルームに独自の補正ビンがあり、個々の補正を保存したり適用したり することができますが、「 Primary In」と「 Primary Out」の各ルームでは保存された同一の補正 を共有します。

これに対して、グレードは複数のルームの複数の補正を包含しており、プライマリ、セカンダ リー、および Color FX の補正が 1 つの単位にまとめられて保存されます。補正のグループをグ レードとして保存すると、すべてをまとめて 1 つのプリセットとして適用することができます。 保存しているグレードを適用すると、対象のショットにすでに適用されている補正が上書きされ ます。保存したグレードは「 Setup」ルームの「 Grades」のビンを使って管理します。

補正とグレードを保存する/使う 補正とグレードを保存して、1 つのショットの設定を後でほかのショットに適用することができ ます。保存した補正とグレードの使いかたの例を以下に示します: Â プログラムのショットの完成したグレードを保存しておいて、同じカバレッジアングルのほか のショットに適用します。 Â 特定の問題があるテープリール(たとえば、ホワイトバランスが全体的に不適切なリール)の ショットに対する補正を保存しておいて、同じリールのほかのすべてのショットに適用します。 Â 「 Primary In」/「 Primary Out」、「 Secondaries」、または「Color FX」の各ルームのスタイ リスティックな「外観」の補正を保存しておいて、ほかのシーンやプログラムに適用します。

補正を補正ビンに保存する 「 Primary In」、「 Secondaries」、「Color FX」、および「 Primary Out」の各ルームには補正ビンが あり、ルームに固有の補正を保存して後で使うことができます。ルームで補正を保存しておけば、 「 Color」で開くすべてのプロジェクトに使うことができます。

個々の補正をルームのビンに保存するには: 1 保存したい補正のあるショットに再生ヘッドを移動します。 2 保存する補正の名前を補正ビンの下部の「File 」フィールドに入力します(この手順はオプショ ンです)。

264 第 13 章 補正とグレードを管理する 3 「 Save」をクリックします。

保存元のショットのサムネールが付いて、補正が現在のルームのビンに保存されます。

カスタムの名前の入力はオプションですが、すべての補正を追跡できるように入力しておくこと をお勧めします。名前を入力しない場合は、保存する補正(およびグレード)に以下の形式で自 動的に名前が付きます:

補正タイプ . 日月年時 . 分 . 秒 . タイムゾーン . 拡張子

使われる日付と時刻は補正が保存された正確な時間(秒単位まで)です。たとえば、セカンダ リー補正が保存される場合は、自動的に以下のような名前が付きます: Secondary.01 May 2007 10.31.47EST.scc

各ルームの補正は、「 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color」ディレクトリ の下の対応するディレクトリに保存されます。詳細については、 68 ページの「グレードおよび 補正の保存方法」を参照してください。

グレードを「 Grades」のビンに保存する 保存したグレードには「Primary In」、「 Secondaries」、「Color FX」および「 Primary Out」の 各 ルームに適用した補正が一度に保存されるので、もう 1 つ操作を行う必要があります。

グレードを保存するには: 1 「 Setup」ルームで「 Grades」タブをクリックします。 2 保存したいグレードのあるショットに再生ヘッドを移動します。

第 13 章 補正とグレードを管理する 265 3 保存したいグレードを、ショットの現在選択されているグレードにします。

4 補正ビンの下部の「 File」フィールドに保存する補正の名前を入力します(これはオプションで す)。 5 「 Save」ボタン(「 Grades」のビンの右下隅)をクリックします。

グレードが「Grades 」のビンに保存されます。

グレードは、保存元のショットのサムネールが付いて保存されます。グレードを保存したら、前 述の保存した補正と同様にグレードを削除、整理、および適用することができます。

グレードは、「 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/Grades」ディレクト リに保存されます。

保存した補正とグレードを削除する 保存した補正が不要になった場合は削除することができます。

保存した補正またはグレードを削除するには: 1 ビンの補正を選択します。 2 Delete キーまたは Forward Delete キーを押します。 3 警告ダイアログが表示されたら「Yes 」をクリックします。 選択した補正が「Color 」とディスクの両方から削除されます。この操作を取り消すことはでき ません。

266 第 13 章 補正とグレードを管理する 保存した補正とグレードを「 Color」のフォルダに整理する 保存した補正はすべてのプロジェクトに使うことができます。このため、補正を各ルーム内のビ ンのフォルダに保存しておくと便利です。以下のような方法で、フォルダを使って保存した補正 を整理することができます: Â 作業対象となる新しいプロジェクトごとにフォルダを作成して、特定のプロジェクトに固有の すべての補正を対応するフォルダに保存します。 Â グレード用のフォルダも作成して、任意のプロジェクトで使うために保存したグレードを整理 して入れることができます。たとえば、独自のスタイリスティックな「外観」のライブラリを 作成して、これを適用し、さまざまなオプションをすぐにクライアントに提示することができ ます。

参考:補正をフォルダに保存するには、まず、フォルダを作成する必要があります。

ビン内に新しいフォルダを作成するには: 1 「 New Folder」をクリックします。

2 新しいフォルダの名前を「New Folder」ダイアログに入力して「Create 」をクリックします。

入力した名前の新しいフォルダが、該当するルームの補正ビンの中に作成されます。

ビン内にフォルダを作成するたびに、「/Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/ Color」ディレクトリ内に、ルームで保存した補正のディレクトリのサブディレクトリも作成さ れます。

第 13 章 補正とグレードを管理する 267 補正またはグレードをフォルダに保存するには: 1 保存したい補正またはグレードのあるショットに再生ヘッドを移動します。 2 補正ビンまたは「Grades 」のビンのフォルダをダブルクリックして開きます。 「 Directory」ポップアップメニューが更新されて、現在開いているフォルダの Finder のディレ クトリパスが表示されます。 3 保存する補正またはグレードの名前を、補正ビンの下部の「 File」フィールドに入力します。(こ の手順はオプションです)。 4 「 Save」をクリックします。

補正またはグレードが該当するフォルダに保存されます。

重要:「 Color」のインターフェイスを使って保存した場合、保存した補正をフォルダに移動する ことはできません。

保存した補正とグレードを Finder で再編成する 各補正ビンには「 /Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color」ディレクトリの 下の対応するサブディレクトリの内容がそのまま反映されているので、保存した補正とグレー ドを Finder を使って再編成することもできます。詳細については、 69 ページの「保存した補 正およびグレードを Finder で整理し直す」を参照してください。

保存した補正とグレードをショットに適用する 補正またはグレードを保存しておくと、簡単にプロジェクトのショットに適用することができ ます。

保存した補正またはグレードを 1 つのショットに適用するには: 1 補正を適用するショットに再生ヘッドを移動します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â 適用する補正またはグレードをダブルクリックします。 Â 適用する補正またはグレードを選択して、ビンの下部の「 Load」ボタンをクリックします。 Â 補正またはグレードを適用したいショット上にドラッグします。

再生ヘッドの位置にあるショットに選択したグレードが適用されます。保存した補正を複数の ショットに適用することもできます。

保存した補正またはグレードを複数のショットに適用するには: 1 「 Timeline」で、補正を適用するショットをすべて選択します。 2 以下のいずれかの操作を行います: Â ビンの補正またはグレードをダブルクリックします。 Â 保存した補正またはグレードを選択して、ビンの下部の「 Load」ボタンをクリックします。

補正またはグレードが「Timeline 」で選択したすべてのショットに適用されます。

268 第 13 章 補正とグレードを管理する 「Timeline 」でグレードを管理する 各ショットには最大で 4 つの代替グレードがあります。ビデオトラックの下部にあるグレードト ラックにこれらが色分けされて表示されます。各ショットの現在選択されているグレードは青で 表示され、選択されていないグレードはグレイで表示されます。現在選択されているグレードに 対して調整されたルームの個々の補正を示すバーは、各ショットのグレードバーの下部に別の色 で表示されます。

グレードトラックのグレードバーと補正バーを使って、「 Timeline」で直接グレードを追加、切 り替え、およびコピーすることができます。

複数のグレードの中からグレードを追加する/選択する 「 Timeline」内の各ショットに、最大 4 つの代替グレードのいずれかを使うように設定すること ができます。ショットに実際に影響するのは、現在選択されているグレードだけです。その他の 使わないグレードに代替の補正や外観を保存して、元の状態を失わずに別の設定を使って試して みることができます。

デフォルトでは、プロジェクトの各ショットに 1 つのプライマリグレードが適用されますが、い つでもグレードを追加することができます。

新しいグレードをショットに追加するには、以下のいずれかの操作を行います: m 新しいグレードを追加するショットに再生ヘッドを移動して、Control + 1 ~ 4 キーを押します。 m Control キーを押しながらグレードをクリックするか、右クリックして、ショートカットメニュー から「Add New Grade」を選択します。

入力した番号に対応するグレードがない場合は、対応するグレードが作成されます。新しいグ レードが追加されるとグレードトラックが拡張され、新しいグレードが選択されたグレードにな ります。新しいグレードは白紙の状態で、未補正ショットのオリジナルの状態から作業を開始す ることができます。

第 13 章 補正とグレードを管理する 269 選択したグレードを変更するには: 1 グレードを変更したいショットに再生ヘッドを移動します。

2 以下のいずれかの操作を行います:

 切り替え先のグレードをクリックします。  Control + 1 ~ 4 キーを押します。  グレードを Control キーを押しながらクリックするか、右クリックして、ショートカットメ ニューから「Select Grade X」を選択します。ここで、 X は選択するグレードの番号です。 ショットが更新され、新しく選択したグレードが使われます。

「 Timeline」でグレードをリセットする 必要に応じて、ショットの 4 つのグレードのいずれかをリセットすることができます。

「 Timeline」でグレードをリセットするには: 1 グレードを切り替えたいショットに再生ヘッドを移動します。 2 「 Timeline」のグレードトラックで、リセットするグレードを control キーを押しながらクリック するか、右クリックして、ショートカットメニューから「 Reset Grade X」を選択します(ここ で、X はグレードの番号です)。

グレードをリセットすると、「Primary In」、「Secondaries 」、「Color FX」、および「 Primary Out」 の各ルームからすべての設定が消去され、ショットが元の状態に戻ります。「 Geometry」ルーム の「Pan & Scan」の設定は変わりません。

「 Timeline」で補正およびグレードをコピーする 「 Timeline」で個々の補正またはグレード全体を 1 つのショットから別のショットにコピーする ことができます。

1 つのショットから別のショットに補正をコピーするには: m 「 Timeline」のグレードトラックの補正バーの 1 つをコピー先のショットにドラッグします。

補正のドラッグ先のショットがハイライトされ、補正をドロップすると、そのショットの現在の グレードが同じグレードバーとともに表示されます。

270 第 13 章 補正とグレードを管理する 参考:個々の補正をコピーすると、セカンダリー補正によって、同じ番号の他のセカンダリー補 正が上書きされます。

1 つのショットから別のショットにグレードをコピーするには: m 「 Timeline」のグレードトラックのショットのグレードバーをコピー先の 2 番目のショットにド ラッグします。

補正のドラッグ先のショットがハイライトされ、補正をドロップすると、そのショットの現在の グレードの各補正が、コピーしたグレードの補正によって上書きされます。

グレードを同じクリップのほかのグレードにコピーすることもできます。

グレードを同じクリップの別のグレードにコピーするには: m 「 Timeline」のグレードトラックのグレードバーを、同じショットの別のグレードバーにドラッ グします。

グレードをコピーすると、前の補正はすべて上書きされます。

∏ ヒント:これはショットのグレードを良い状態で保存してから、グレードに変更を加えて実験 してみるのに最適な方法です。変更が気に入らない場合は、簡単に複製したグレードに戻すこ とができます。

第 13 章 補正とグレードを管理する 271 「Primary In」/「 Primary Out」ルームの「 Copy To Selected」/ 「Copy To All」ボタンを使う 「 Primary In」ルームと「 Primary Out」ルームの「Copy to Selected」ボタンと「Copy to All」 ボタンは、「 Primary In」または「Primary Out」の各ルームの補正をプロジェクトのほかのショッ トに適用するために役立つ強力なツールです。

プライマリ補正を「Timeline 」で現在選択されているすべてのショットにコピーするには: 1 プログラムのほかのショットにコピーしたいグレードのあるショットに再生ヘッドを移動し ます。 2 ショットで使われているグレードをコピー対象として設定します。 3 「 Timeline」で現在のグレードのコピー先のショットをすべて選択します。再生ヘッドが別の ショットに移動しないように注意してください。

4 「 Copy to Selected」をクリックします。

再生ヘッドの位置にあるグレードが選択したすべてのショットにコピーされます。

現在選択されているグレードをプログラムのすべてのショットにコピーすることもできます。

272 第 13 章 補正とグレードを管理する プライマリ補正を「Timeline 」のすべてのショットにコピーするには: 1 プログラムのほかのショットにコピーしたいグレードのあるショットに再生ヘッドを移動し ます。 2 ショットで使われているグレードをコピー対象として設定します。 3 「 Copy To All」をクリックします。

再生ヘッドの位置にあるグレードがプログラムのすべてのショットにコピーされます。

参考:「 Secondaries」ルームおよび「Color FX」ルームには「Copy to Selected」ボタンも「Copy to All」ボタンもありません。ただし、同様の作業を行うことはできます。「Secondaries 」また は「Color FX」の補正を「Secondaries 」ルームのビンに保存して、その補正を適用するショッ トを選択し、選択したショットのいずれかに補正をドラッグします。詳細については、268 ペー ジの「保存した補正とグレードをショットに適用する」を参照してください。

「Copy Grade」および「 Paste Grade」のメモリバンクを使う 「 Copy Grade」および「 Paste Grade」コマンドを使って、1 つのショットからグレードをコピー し、ほかのショットにペーストすることができます。グレードのコピーとペーストには、5 つの メモリバンクを使うことができます。つまり、異なるグレードを 5 つまでメモリバンクに 1 つず つコピーして、必要に応じて異なるグレードを異なるショットにペーストすることができます。

5 つのメモリバンクのいずれかにグレードをコピーするには: 1 グレードのコピー元のショットに再生ヘッドを移動します。 2 コピーするグレードを現在選択されているグレードにします。 3 「 Grade」>「 Copy Grade」>「Mem-Bank 1 ~ 5」と選択します( Shift + Control + Option + 1 ~ 5 キー)。

使用可能ないずれかのメモリバンクにグレードをコピーしたら、ペーストすることができます。

5 つのメモリバンクのいずれかからグレードをペーストするには: 1 グレードのコピー先のショットに再生ヘッドを移動します。 2 現在選択されているグレードをペーストするグレードに設定します。 3 「 Grade」>「Paste Grade」>「Mem-Bank 1 ~ 5」と選択します( Shift + Option + 1 ~ 5 キー)。 再生ヘッドの位置にあるショットに選択したグレードが適用されます。

第 13 章 補正とグレードを管理する 273 「Timeline 」で Beauty Grade を設定する 各ショットに複数のグレードがあるプロジェクトを設定している場合は、所定のショットに最適 なグレードを把握するのが難しくなる場合があります。特定のグレードを Beauty Grade にし ておけば、各ショットごとにその時点で優先すべきグレードを把握することができます。

Beauty Grade 設定は参照のためだけの視覚的なマーカーです。 Beauty Grade は現在選択され ているグレードでなくてもかまいません。

グレードに Beauty Grade のマークを付けるには: 1 Beauty Grade を設定するショットに再生ヘッドを移動します。 2 Beauty Grade として設定するグレードを選択します。 3 「 Grade」>「Set Beauty Grade」と選択します(Control + B キー)。 選択したグレードが Beauty Grade を示す赤に変化します。

Beauty Grade はいつでも変更することができます。

すべてのグレードを無効にする ショットに適用した補正をすべて無効にして、現在のグレードの前と後の状態を確認することが できます。

すべてのグレードを一時的に無効にするには: m Control + G キーを押します。 「 Primary In」、「 Secondaries」、「Color FX」、および「 Primary Out」の各ルームで行ったすべて の補正が無効になります。ただし、「Geometry 」ルームの「 Pan & Scan」の設定の状態はいず れも有効のままです。

「Shots 」ブラウザでグレードを管理する 「 Shots」ブラウザでは、「Timeline 」のような直線的ではない方法でプログラムのショット間を 移動したり、ショットを整理したりすることができます。たとえば、リスト表示の検索フィール ドを使って、共通の名前を持つショットのグループを検索することができます。

274 第 13 章 補正とグレードを管理する 整理のためにアイコン表示を使って、プログラム内の位置ではなく、カバレッジアングルや適用 するグレードの種類などに基づいて、プログラムのショットをグループに再編成することもでき ます。詳細については、92 ページの「「 Shots」ブラウザ」を参照してください。

アイコン表示でショットを選択する/「 Shots」ブラウザでショット間を移動 する アイコン表示の場合も、リスト表示の場合と同様に「 Timeline」でショットを選択することがで きます。さらに、ショットを展開してすべてのグレードを表示し、ショットで使うグレードを選 択することもできます。

アイコン表示で現在のショットを変更するには: m ショットの名前バーの右側の矢印をクリックします。

現在のショットの名前バーがグレイで表示され、再生ヘッドが「Timeline 」で該当するショット の先頭フレームに移動します。

ショットを選択するには: m アイコンの下のショットの名前バーをクリックします。

選択されたショットの名前バーが青でハイライト表示され、同時に「 Timeline」でも選択され ます。

複数のショットを選択するには: m 選択するすべてのショットの名前バーをコマンドキーを押しながらクリックします。

多くのショットがあるプロジェクトで作業している場合は、目的のショットを探すのに、ズーム アウトしてスクロールすると便利です。

第 13 章 補正とグレードを管理する 275 アイコン表示で「Shots 」ブラウザをズームインまたはズームアウトするには、以下のいずれか の操作を行います: m Control キーを押しながら左マウスボタンを押してドラッグします。

m 右マウスボタンでクリックして、上にドラッグするとズームアウトし、下にドラッグするとズー ムインします。

アイコン表示のときに「Shots 」ブラウザでスクロールするには: m 「 Shots」ブラウザ内の任意の位置を中央のボタンでクリックして、スクロールしたい方向へド ラッグします。

「 Shots」ブラウザがアイコン表示のときに、ショットを自由に並べ替えることができます。アイ コン表示でショットの順序を変えても、「Timeline 」のショットの順序には影響しません。

アイコン表示でショットを移動するには: m ショットの名前バーを「Shots 」ブラウザの別の場所にドラッグします。

アイコン表示でグレードを選択する ショットで使用可能なすべての代替グレードを表示して、現在使っているグレードを選択するこ とができます。

ショットで使用可能なすべてのグレードを表示するには: m ショットのアイコンの下の名前バーをダブルクリックします。

ショットで使用可能なすべてのグレードが下部にバーで表示され、青の結合ラインでショットに 結合されています。グレードを表示したら、選択を変更することができます。

276 第 13 章 補正とグレードを管理する ショットに使うグレードを選択するには: m 選択するグレードをダブルクリックします。

選択したグレードが青に変わり、選択していないグレードは濃いグレイのままになります。

参考:レンダリングされたグレードは緑になります。

ショットをグループ化する/グループ解除する グループは系統立った構造で、アイコン表示の「 Shots」ブラウザでのみ使うことができます。 グループの目的は非常にシンプルで、グループを使えばグレードを複数のショットに一度にコ ピーすることができます。

グループの使用例を以下に示します: Â 特定のシーンのすべてのショットを 1 つのグループにして、スタイライズ補正を該当するシー ンのすべてのショットに一度に簡単に適用して更新することができます。 Â シーンで同じカバレッジアングルの(同じ補正を共有できる可能性がある)ショットだけをグ ループにして、同じグレードをすべてのショットに一度に適用して更新することもできます。 Â 特定の種類のショット(たとえば、話し手の頭部のショット)だけをグループにして、補正や グレードをすべてのショットに同じように同時に適用できます。

グループの使いかたはその他にもたくさんあります。1 つの補正やグレードを複数のショットに 適用したいと思ったときには、グループを使うことをお勧めします。

参考:ショットは一度に 1 つのグループにだけ属することができます。

グループを作成するには: 1 「 Setup」ルームで「 Shots」ブラウザを開きます。 2 「 Shots」ブラウザをアイコン表示に設定します。

第 13 章 補正とグレードを管理する 277 3 グループにするショットを「 Shot」s ブラウザ領域で並べ替えます(この手順はオプションです)。

この手順は必須ではありませんが、グループにするショットのアイコンを空間的に並べるとわか りやすくなります。

4 コマンドキーを押しながら、ショットの名前バーをクリックして、グループにするショットをす べて選択します。

5 G キーを押します。

グループが作成され、青の結合ラインがあるグループノードにグループに属するすべてのショッ トが表示されます。

278 第 13 章 補正とグレードを管理する 既存のグループにショットを追加するには: m ショットの名前バーの任意の位置を右クリックして、追加したいグループのノードに結合ライン をドラッグします。

グループを作成したら、いつでもグループを解除することができます。

グループにしたクリップのグループを解除するには: m 削除するグループノードを選択して、 Delete キーまたは Forward Delete キーを押します。

ノードと結合ラインが消えて、ショットのグループが解除されます。

グループから 1 つのショットを取り除くには: m ショットの名前バーの任意の位置を右クリックして、「 Shots」ブラウザの空の領域へ結合ライン をドラッグします。

マウスボタンを放すと、ショットがグループから切り離されます。

グループを使って作業する ショットのグループを作成したら、グループノードを使ってグループに結合されたショットを表 示したり、隠したり、グレードや補正をグループにされたすべてのショットにコピーしたりする ことができます。

第 13 章 補正とグレードを管理する 279 グループをたたむ/展開するには: m グループのノードをダブルクリックします。

グループをたたむと、グループに結合されたショットは非表示になります。

たたんだグループをダブルクリックすると、非表示のすべてのショットが再表示されます。

グループを作成すれば、補正やグレードを簡単にグループにコピーすることができます。

グレードをグループにコピーするには: m グレードバーを「Timeline 」からグループのノードにドラッグします。

グループのすべてのショットの現在選択されているグレードに、ドラッグしたグレードが上書き されます。選択していないグレードには上書きされません。

特定のルームの補正を、同じルームのグループのほかのショットにコピーすることもできます。

280 第 13 章 補正とグレードを管理する 個々の補正をグループにコピーするには: m コピー元のルームの補正バーを「Timeline 」から任意のグループノードにドラッグします。

同じルームのグループの各ショットの設定に、ドラッグした補正が上書きされます。

重要:補正とグレードを「 Timeline」からコピーできるのは、「Shots 」ブラウザ内のグループに 対してだけです。

「Primary In」/「 Primary Out」、「Secondaries 」、および「Color FX」の各ルームを一緒に使って各ショットの補正を管理する ショットの色の補正や操作を行うための「 Color」のインターフェイスは非常に柔軟です。各ルー ムには特定の種類の操作のために最適化されたコントロールがありますが、重複している機能も あるので、「 Primary In」、「 Secondaries」、「Color FX」、および「Primary Out」の各ルームが集 合的に機能して作品の最終的な外観が決定されます。これらのルームは自由に使うことができ ます。

少なくとも、プロジェクトのグレーディングには以下の手順が必要です:

手順 1 :各ショットの露光と色を最適化する

手順 2 :シーンの各ショットが同様のコントラストとカラーバランスになるように調整する

手順 3 :シーンに独創的な外観を適用します。

手順 4 :クライアントのフィードバックに従って修正を加えます。

これらの手順をすべて 1つのルームで行うことも、複数のルームに分割して行うこともできます。

すべての操作を 1 つのルームで行う セカンダリー色補正や Color FXなどの特殊な操作を除けば、グレーディングの各手順を「Primary In」ルームの調整だけを使って行うことも可能です。実際、大幅な補正を必要としない簡単なプ ログラムの場合はこのルームを使うだけで十分です。

第 13 章 補正とグレードを管理する 281 特に撮影監督とクルーが協力して撮影中に最適な映像を作り上げるようなプロジェクトの場合 には、必要な作業は各シーンのショットのバランスの調整とコントラストと色を仕上げる細かい 調整だけです。

複数のルームを使ってグレーディングを行う もちろん、前述の手順を複数のルームに分散することもできます。これによって、色補正処理の 各段階の作業に集中できるだけでなく、調整作業をわかりやすく整理して、各ルームでの変更を 後で調整するのが簡単になります。

プロジェクトに必要なグレーディングのために「 Color」のルームをさまざまな方法で使うこと ができますが、このセクションではそのうちの 1 つだけを取り上げます。

手順 1 :各ショットの露光と色を最適化する まず、「 Primary In」ルームで各ショットの露光と色が最適になるように調整します。クライア ントの指示で作業を行う前にプロジェクトの準備段階として調整を行う場合は、大幅な調整は行 わないでしょう。後でどのような作業を行うにしても、各ショットの見栄えができるだけ良くな るように、露光とカラーバランスを最適な状態に調整しておけば十分です。

手順 2 :シーンの各ショットが同様のコントラストとカラーバランスになるように調整する 各クリップを最適な状態に調整したら、「Secondaries 」ルームの 1 番目のタブを使って、各 ショットのコントラストとカラーのバランスをシーンのほかのショットに合わせて調整します。 HSL 限定子のデフォルト設定を制限せずに、「 Secondaries」ルームの「 Enable」ボタンを選択 すると、「Primary In」または「Primary Out」のいずれかのルームで加えた調整と同じような調 整が行われます。

重要:2 番目のタブを使ってイメージ全体を調整する場合は、作業中に「Previews 」タブが選択 されていないことを確認してください。「 Previews」タブが選択されていると、モニタされるイ メージが選択した「 Matte Preview Mode」によって修正され、その結果、「Secondaries 」タブ が選択されているときにわずかに色が変化することがあります。「 Hue Curve」、「Sat Curve」、ま たは「 Lum Curve」タブを使わない場合でも、これらをクリックすると、イメージを正しくモニ タすることができます。

手順 3 :シーンに独創的な外観を適用します。 ショットを最適な状態に調整し、シーンのバランスを調整したら、「Secondaries 」ルームの 2 ~ 8 のタブを使って創造的な作業に集中することができます。これらのタブを使って独創的な外観 を適用したり、さらにデジタルで照明を調整したりすることができます。この時点で「Color FX」 ルームを使って、さらに独創的な効果を加えることもできます。

282 第 13 章 補正とグレードを管理する 手順 4 :クライアントのフィードバックに従って修正を加えます。 クライアントが完成間近のグレードのプログラムを審査する機会があると、おそらく作品に対す るコメントやフィードバックが戻されます。これまで使わなかった「Primary Out」ルームを使っ て、簡単に最後の仕上げを行うことができます。

さらに、カラーグレーディングの各手順を「 Color」のインターフェイスの特定のルームで行っ ているため、クライアントのコメントに応じて、どの調整で補正が必要なのかを簡単に特定する ことができます。

ここで大まかに説明した手順は、一例にすぎません。作業を進めるうちに、「Color 」のグレー ディングプログラムに含まれるさまざまなプロセスを独自に管理する方法が見つかるでしょう。

第 13 章 補正とグレードを管理する 283

14 キーフレーム 14

「Timeline 」でキーフレームを使って、アニメーション表示されたグ レードやその他のエフェクトを作成することができます。

「 Color」のキーフレームのメカニズムはシンプルですが、効果的です。色補正、ビネット、「 Color FX」のノード、「 Pan & Scan」のエフェクト、およびユーザが作成した図形を簡単な手順ですぐ にアニメーション表示することができます。

この章では以下について記載します: Â エフェクトにキーフレームを使う理由(285 ページ) Â 各ルームでのキーフレームの動作( 286 ページ) Â 「 Timeline」でキーフレームを使って作業する( 288 ページ) Â キーフレーム補間(290 ページ)

エフェクトにキーフレームを使う理由 キーフレームが必要な補正が、プロジェクトに含まれていることはあまりありません。しかし、 キーフレームを設定したプライマリ補正を使うと、そのままでは使えないショットの露光や動的 な変更を補うことができます。また、キーフレームを使って、アニメーション表示された照明や カラーエフェクトを作成し、シーンの本来の照明を強くすることもできます。

ここでは、アニメーション表示されたキーフレームの使いかたの一般的な例をいくつか取り上げ ます: Â ショットの途中の偶発的な露光の変化を補正する。 Â 照明が点灯したり消えたりするなど、アニメーション表示された照明効果を作成する。 Â ショットの途中の偶発的なホワイトバランスの調整を補正する。 Â 対象の動きに従ってビネットを移動する。 Â ユーザが作成した図形をアニメーション表示して対象をロトスコープし、集中的な補正を行う。

285 各ルームでのキーフレームの動作 「 Primary In」、「Secondaries 」、「Color FX」、「 Primary Out」、および「Geometry 」の各ルーム でエフェクトにキーフレームを設定できます。各ルームに異なるキーフレームがあり、 「 Timeline」のキーフレームグラフの個々のトラックに保存されます。これらのトラックは通常 は隠されており、特定のルームでキーフレームを追加するとルームのキーフレームトラックが表 示されるようになっています。

各ルームで作成したキーフレームは「Timeline 」に一度にすべて表示されますが、現在開いてい るルームのキーフレームだけを編集および削除することができます。ほかのキーフレームはすべ て、関連したルームを開くまでロックされています。

キーフレームの作成、編集、および削除方法はすべてのルームで同じですが、キーフレームの効 果はルームによって異なります。

「 Primary In」と「Primary Out」の各ルームの補正にキーフレームを設定する 「 Primary In」と「Primary Out」の各ルームのすべてのコントロールとパラメータにキーフレー ムを設定することができます。これによって、自動カメラ設定によって発生した不適切な照明や 色の変化を補正したり、独自のアニメーションエフェクトを作成したりすることができます。 「 Primary In」ルームおよび「Primary Out」ルームの補正にキーフレームを設定する際には、以 下の点に注意してください。 Â 「 Primary In」と「 Primary Out」の各ルームのキーフレームにはすべてのコントロールの状態 が一度に記録されます。個々のパラメータにキーフレームを設定することはできません。 Â キーフレームを使ってカーブをアニメーション表示することはできませんが、「 Primary In」 ルームおよび「 Primary Out」ルームの他のすべてのパラメータは、キーフレームを使ったア ニメーション表示が可能です。

参考:色補正がどのようにアニメーション表示されるのかは、「Setup 」ルームの「 User Prefs」 タブの「Radial HSL Interpolation」の設定によって異なります。通常は、このオプションを無 効にすると最適な結果を得られます。詳細については、 102 ページの「「User Preferences」タ ブ」を参照してください。

セカンダリー補正にキーフレームを設定する 「 Primary In」ルームおよび「Primary Out」ルームのパラメータやコントロールと同様に、 「 Secondaries」ルームのほとんどの色補正パラメータとコントロールもアニメーション表示する ことができます。8 つのセカンダリータブのそれぞれにキーフレームトラックがあります。さら に、各セカンダリータブの「Inside 」および「 Outside」設定に個別にキーフレームを設定する ことができます。 286 第 14 章 キーフレーム 色とコントラストのコントロールに加えて、以下のセカンダリーコントロールもキーフレームを 使ってアニメーション表示することができます: Â セカンダリー補正の適用/適用解除を切り替える「 Enable」ボタン Â セカンダリーキーの限定子 Â ビネットの選択/選択解除を切り替える「 Vignette」ボタン Â ビネット形状のすべてのパラメータ

参考:セカンダリーカーブは、キーフレームを使用してアニメーション表示することはできま せん。

これらのすべてのコントロールにキーフレームを設定できるので、セカンダリー色補正の操作を 非常に効果的な方法で自動化することができます。たとえば、セカンダリーキーの限定子を調整 して、本来のショットの露光の変化を補正し、分離した領域の不要な変化を防止することができ ます。

ビネット形状のパラメータにキーフレームを設定して、動く対象を追うようにビネットをアニ メーション表示したり、アニメーション表示されたスポットライトのエフェクトを作成したりす ることもできます。

「 Color FX」にキーフレームを設定する 「 Color FX」ルームのノードパラメータにキーフレームを設定して多彩なエフェクトを作り出す ことができます。「Color FX」ルームには 1 つのキーフレームトラックしかありませんが、ノー ドツリーのノードにそれぞれのキーフレームがあります。1 組のキーフレームを使ってノードの すべてのパラメータの状態を記録できますが、ノードのパラメータに個別にキーフレームを設定 することはできません。

「 Color FX」ルームのキーフレームトラックには、編集するために選択しているノードのキーフ レームだけが表示されます。ほかのノードのキーフレームは表示されません。編集中のノードに 応じて「 Timeline」でキーフレームが表示されたり非表示になったりするため、最初は少し紛ら わしいかもしれません。

「 Pan & Scan」のエフェクトにキーフレームを設定する 「 Geometry」ルームの「Pan & Scan」のパラメータと画面上のコントロールを使って行ったす べての調整にキーフレームを設定して、アニメーション表示された「 Pan & Scan」のエフェクト や幾何学的な変形を作成することができます。すべてのパラメータにまとめてキーフレームを設 定することができます。

ユーザが作成した図形にキーフレームを設定する 「 Geometry」ルームの「Shapes 」タブでユーザが作成した図形にキーフレームを設定して、動 く対象およびフレームの領域をロトスコープ(フレームごとにトレースして分離)して、 「 Secondaries」ルームで細かい補正を行うことができます。

参考:図形にキーフレームを設定する前に「Secondaries 」ルームで図形をタブに割り当てる必 要があります。

第 14 章 キーフレーム 287 「Timeline 」でキーフレームを使って作業する 種類に関係なくエフェクトをアニメーション表示するには最低でも 2つのキーフレームが必要で す。作成した各キーフレームに、現在使っているルームの特定のフレームの状態が保存されます。 2 つの異なる補正の 2 つのキーフレームをルームに追加すると、「 Color」によってイメージに適 用された補正が、第 1 のキーフレームの補正から最後の補正へと自動的にアニメーション表示さ れます。

特定のルームのショットにキーフレームを追加したら、再生ヘッドをキーフレームの真上に配置 しなければ、そのルームでコントロールとパラメータを編集することはできません。キーフレー ムを設定したショットをさらに調整する場合は、調整するフレームに再生ヘッドを移動して、別 のキーフレームを追加する必要があります。新しいキーフレーム上に再生ヘッドが配置されてい る間に、必要な調整を行うことができます。

現在開いているルームにキーフレームを追加するには: m 「 Timeline」>「 Add Keyframe」と選択します( Control + 9 キー)。 キーフレームを追加したら、一対のコマンド使って再生ヘッドを左右に移動し、次のキーフレー ムにすばやく移動することができます。

現在開いているルームで再生ヘッドを 1 つのキーフレームから次のキーフレームに移動するに は、以下のいずれかの操作を行います: m Option +←キーを押して、左隣のキーフレームに移動します。 m Option +→キーを押して、右隣のキーフレームに移動します。 m Control キーを押しながら「 Timeline」のキーフレームグラフをクリックして、ショートカット メニューから「 Next Keyframe」または「Previous Keyframe」を選択します。 再生ヘッドの現在位置にあるキーフレームがハイライトされます。

不要なキーフレームを削除することができます。

288 第 14 章 キーフレーム 1 つのキーフレームを削除するには: 1 削除するキーフレームがあるフレームへ再生ヘッドを移動します。 2 「 Timeline」>「 Remove Keyframe」と選択します( Control + 0 キー)。

特定のルームのショットに適用したすべてのキーフレームを一度に削除することもできます。

1 つのルームのすべてのキーフレームを削除するには: 1 削除するキーフレームがあるルームのタブをクリックします。

2 ルームの補正またはエフェクトが、ショット全体に適用したい状態であるフレームへ再生ヘッド を移動します。 3 Control キーを押しながら「 Timeline」で削除するキーフレームをクリックして、ショートカッ トメニューから「Remove All Keyframes」を選択します。

特定のルームまたはセカンダリータブに適用されているすべてのキーフレームが削除され、ルー ムのキーフレームグラフが「 Timeline」から消えます。ショットのすべてのキーフレームを一度 に削除した場合、再生ヘッドの位置のフレームの補正設定またはエフェクト設定がショット全体 の設定になります。

重要:「 Remove All Keyframes」コマンドによって、現在選択されているルームのすべてのキー フレームが削除されます。Control キーを押しながら「Timeline 」のキーフレームグラフのどこ をクリックしてもかまいません。

すでに作成したキーフレームのタイミングを簡単に調整することができます。

キーフレームを移動してタイミングを変更するには: m キーフレームを左または右にドラッグします。< 移動先のフレームをプレビューしているときに、キーフレームのタイミングを調整することもで きます。

プレビューイメージの更新中にキーフレームを移動するには: m Option キーを押しながらキーフレームを左または右にドラッグします。 必要に応じて、見やすいように「Timeline 」のキーフレームグラフの高さを大きくしてくださ い。詳細については、 123 ページの「「 Timeline」のインターフェイスをカスタマイズする」を 参照してください。

キーフレームグラフを使って、キーフレームを設定したエフェクトのあるルームに移動すること もできます。

キーフレームトラックに対応するルームを開くには: m 「 Timeline」でキーフレームトラックをダブルクリックします。

第 14 章 キーフレーム 289 キーフレーム補間 キーフレームに設定した補間方法によって、 1 つのキーフレームから次のキーフレームへ設定を アニメーション表示する方法が決定されます。補間には以下の 3 種類の方法があります: Â Smooth: キーフレームが設定された次の状態へのトランジションがゆっくりと開始し、トラ ンジションの中間で最も速くなり、また、次第にゆっくりとなって次のキーフレームで停止し ます。このように 1 つのキーフレームから次のキーフレームへイーズイン/イーズアウトする ことによって、色補正、アニメーション表示された「 Color FX」のノードパラメータ、「Pan & Scan」の設定、およびユーザが作成した図形のアニメーションが、なめらかで自然に変化 していくように見えるトランジションを作成することができます。ただし、3 つ以上のキーフ レームがある場合は、再生ヘッドがキーフレームを通過するときにエフェクトが 1 つのフレー ムで一時停止するように見えるため、それでは望ましくない場合もあるかもしれません。

 Linear: キーフレームが設定された 1つの状態から次の状態へと速度を変えず一様に変化して いくトランジションが作成されます。この直線状キーフレームを使って、ショットの途中にあ るエフェクトをアニメーション表示すると、エフェクトが突然開始し突然終了するように見え ることがあります。一方、ショットの先頭のフレームから開始し最後のフレームで終了するア ニメーションエフェクトにこのキーフレームを設定すると、外観が一定速度で変化します。

 Constant: このキーフレームでは補間は適用されません。再生ヘッドが次のキーフレームに 移るときに、すべてのエフェクトが次のキーフレーム設定の状態に突然変化します。このキー フレームは、窓から突然差し込む強い光をシミュレートしてコントラストを変化させるなど、 別の状態に急に変化するエフェクトが必要な場合に便利です。

290 第 14 章 キーフレーム 新しく作成するキーフレームは、デフォルトではすべて「 Smooth」になりますが、キーフレー ムの補間方法はいつでも変更することができます。キーフレームの補間の変更は、変更したキー フレームから右隣のキーフレームにアニメーション表示される値の変化に対してのみ適用され ます。

キーフレームの補間を変更するには: 1 再生ヘッドを変更するキーフレームへ移動します。 2 「 Timeline」>「 Change Keyframe」と選択します(Control + 0 キー)。

第 14 章 キーフレーム 291

15 Geometry 15

「Geometry 」ルームを使って、ショットのズームイン、パン&スキャ ンエフェクトの作成、ビネットを適用したセカンダリー操作へのカス タムマットの描画、ビネットと図形のアニメーションのための動く対 象のトラックを行うことができます。

「 Geometry」ルームはイメージプレビュー(このルームのすべての機能に対応する画面上のコン トロールを含む)と右側の 3 つのタブから構成されています。各タブには特定の機能を実行する それぞれのツールがあります。「 Pan & Scan」タブでは、必要に応じてショットのサイズ変更、 回転、左右反転、上下反転などを行うことができます。「Shapes 」タブでは、セカンダリー補正 に使うカスタムマスクを作成することができます。最後の「Tracking 」タブは、プロジェクトの ビネットとカスタム図形に使うモーショントラッカーを作成して適用するためのインターフェ イスを提供します。

この章では以下について記載します: Â イメージプレビュー内を移動する( 293 ページ) Â 「 Pan & Scan」タブ(294 ページ) Â 「 Shapes」タブ(298 ページ) Â 「 Tracking」タブ(306 ページ)

イメージプレビュー内を移動する 「 Geometry」ルームの各タブでは、左側のイメージプレビュー領域にある画面上のコントロール を利用します。この領域をズームイン/アウトしたりスクロールしたりして、作業中にイメージ を見やすくするだけでなく、図形の描画中にズームとパンを実行することもできます。

イメージプレビューをズームイン/アウトするには: m イメージプレビューで右クリックして、上にドラッグするとズームアウトし、下にドラッグする とズームインします。

イメージプレビューでパンするには: m 中央のボタンをクリックして、イメージプレビューを任意の方向にドラッグします。

画面の現在のサイズに合わせてイメージプレビューのフレームを変更するには: m F キーを押します。

293 「Pan & Scan」タブ 「 Pan & Scan」タブでプロジェクトのショットに基本的な変形を適用することができます。これ らの変形を使って、イメージを引き伸ばしたり、位置を変更してフレームの不要な領域をクロッ プしたり、ショットを回転させて傾斜したアングルを作成したりすることができます。これらの エフェクトにキーフレームを設定して、高解像度のワイドスクリーンプロジェクトを標準解像度 の 4:3 フレームにダウンコンバートする際に、アニメーション表示されたパン&スキャンエフェ クトを作成することもできます。

「 Final Cut Pro 」で「 Geometry」の設定を読み込む/書き出す 「 Final Cut Pro」から「 Color」へシーケンスを送ると、「モーション」タブの以下のパラメータ が「Color 」の同等のパラメータに変換されます。

「Final Cut Pro」の 「モーション」タブのパラメータ 「Color 」の「Pan & Scan」パラメータ Scale Scale Rotation Rotation

中心 「Position X」、「Position Y」 Aspect Ratio Aspect Ratio

プログラムにグレードを適用するときに、これらの変形が各ショットに与える効果をプレビュー して、必要に応じてさらに調整を加えることができます。

「 Color」でのプロジェクトの作業が完了した後で、「 Color」の「Render Queue」で各ショット をレンダリングするときに「Pan & Scan」の調整が処理されるかどうかは、プロジェクトを読み 込む方法によって決まります: Â プロジェクトを「Final Cut Pro」から「Color 」へ送るとき、または XML ファイルを介して読 み込むときに、「 Color」でショットに適用したジオメトリの変形はすべて、プロジェクトが 「 Final Cut Pro」に戻されるときに「Final Cut Pro」の「モーション」の同等の設定に再度変 換されます。次に、「 Final Cut Pro 」でこれらのエフェクトをさらにカスタマイズしてから、 レンダリングして出力することもできます。 Â Cineon および DPX イメージシーケンスを使う 2K DI( Digital Intermediate)の場合は、出力 メディアをレンダリングする際に「 Pan & Scan」の変形が「 Color」内で色補正と共に処理さ れます。

294 第 15 章 Geometry 「 Pan & Scan」タブを使って作業する 2 組のコントロールを使ってプログラムのショットを変形することができます。左側のイメージ プレビュー領域に画面上のコントロールが表示され、右側にはこれらの調整に対応する数値パラ メータが表示されます。

画面上のコントロールを使う 「 Pan & Scan」タブの画面上のコントロールには、四隅にハンドルがある外側の境界ボックスが あり、縮小/拡大された出力が表示されます。さらに、その中にアクションセーフおよびタイト ルセーフを示す一対の白いインジケータがあります。デフォルトでは、画面上のコントロールは プロジェクトの解像度と同じサイズです。

第 15 章 Geometry 295 画面上のコントロールは「 Preview」および「Broadcast 」ディスプレイに表示されるイメージ と連携して機能します。つまり、画面上のコントロールを使ってイメージの出力したい部分を分 離すると、「Preview 」および「 Broadcast」ディスプレイには実際の変形が表示されます。

ショットのサイズを変更するには: m 画面上のコントロールの四隅のいずれかをドラッグし、ショットの中心を基準としてサイズを変 更します。

画面上のコントロールが縮小または拡大されて、内部に含まれるイメージの領域が増減し、 「 Preview」および「 Broadcast」ディスプレイにその結果が表示されます。これによって「Scale 」 パラメータも調整されます。

ショットを回転させるには: m 四隅のハンドルのすぐ外側をドラッグします。右にドラッグすると左に回転し、左にドラッグす ると右に回転します。

画面上のコントロールは静的なソースイメージの一部を選択して機能するため、エフェクトとは 逆方向に回転しますが、「Preview 」および「Broadcast 」ディスプレイには正しい結果が表示さ れます。

296 第 15 章 Geometry ショットの位置を変更するには: m 赤の境界ボックスの任意の位置をドラッグします。

画面上のコントロールが移動してショットの別の部分が選択され、「 Preview」および 「 Broadcast」ディスプレイに結果が表示されます。

参考:「 Aspect Ratio」、「Flip 」、および「Flop 」コントロールには画面上のコントロールはあり ません。

「 Pan & Scan」のパラメータを使う 画面上のコントロールを使って行った調整が、右側の「Pan & Scan」タブのパラメータに数値で 反映されて記録されます。必要に応じて、パラメータを直接操作することもできます。フィール ドに新しい値を入力するか、中央のボタンを押しながらフィールド内でバーチャルスライダをド ラッグして調整します。 Â 「Position X」および「Position Y」: 画面上のコントロールの位置を変更したときに、表示さ れるイメージの部分を制御します。これらのパラメータは、「 Final Cut Pro」の「中心」パラ メータでは 2 次元に変換されます。 Â Scale: イメージのサイズを制御します。 Â Aspect Ratio: ショットの幅と高さの比を変更して、縮小または拡大します。このパラメー タには画面上のコントロールはありません。 Â Rotation: 画面上のコントロールの中心回りにショットを回転させます。 Â Flip Image: イメージを左右に反転します。右と左が逆になります。 Â Flop Image: イメージを上下に反転します。上と下が逆になります。

重要:「 Flip」および「Flop 」パラメータは、「Final Cut Pro」の XML プロジェクトを使って作 業するときには無効になります。「モーション」設定タブに同等のパラメータがないためです。

「 Pan & Scan」の設定をキーフレームとトラッカーでアニメーション表示する 必要に応じて、「 Pan & Scan」のエフェクトを以下のいずれかの方法でアニメーション表示する ことができます: Â キーフレームを使う:「 Pan & Scan」のすべての変形コントロールにキーフレームを設定する ことができます。「Color 」のキーフレーム設定の詳細については、285 ページの第 14 章「キー フレーム」を参照してください。

第 15 章 Geometry 297 Â トラッカーを使う: モーショントラッカーを使って「 Pan & Scan」のエフェクトを自動的に アニメーション表示することもできます。たとえば、画面を横切って歩く人物に従って移動す るエフェクトを作成できます。 (「 Tracking」タブで)トラッカーを作成してショットを分析したら、「 Use Tracker」フィール ドで使用するトラッカーの番号を指定します。「Position X」および「Position Y」パラメータ が自動的にアニメートされます。「 Use Tracker」が 0 に設定されている場合は、トラッカーは 適用されません。詳細については、 306 ページの「「Tracking 」タブ」を参照してください。

「 Pan & Scan」の設定をコピーする/リセットする 「 Pan & Scan」タブの下部の 3 つのボタンを使って、これらのコントロールで行った調整をコ ピーおよびリセットできます。 Â 「Copy to Selected」ボタン:「 Timeline 」でショットを選択してこのボタンをクリックする と、現在の「Pan & Scan」の設定が選択したすべてのショットにコピーされます。 Â 「Copy to All」ボタン:「 Pan & Scan」の設定がプログラムのすべてのショットにコピーされ ます。これは、プログラムのフォーマットを変更したときに全体的な調整を行う場合に便利 です。 Â 「Reset Geometry」ボタン:「 Pan & Scan」のすべてのパラメータをプロジェクトのデフォ ルトの縮小/拡大にリセットします。

「Shapes 」タブ 「 Shapes」タブでカスタム図形を描画して、「Secondaries 」ルームのビネットとして使って形状 を分離したり、ビネットを作成したり、デジタル照明にしたりすることができます。「Shapes 」 タブは単独で使用されるものではなく、またここから操作が開始されることもありません。図形 は、最初に、「 Secondaries」ルームにある「 Vignette」コントロールの「Shape 」ポップアップ メニューから「 User Shape」オプションを選択して作成します。

このオプションを選択すると、すぐに「Geometry 」ルームの「 Shapes」タブに移動します。こ こでカスタム図形を描画および編集するためのコントロールを使うことができます。このワーク フローの詳細については、225 ページの「ビネットにユーザ図形を使う」を参照してください。

参考:「User Shapes」は「Secondaries 」ルームのセカンダリー操作でのみ使うことができます。 「 Color FX」ルームでは使うことができません。

298 第 15 章 Geometry 「 Shapes」タブのコントロール 「 Shapes」タブには以下のコントロールがあります:  Current Secondary:「 Secondaries 」ルームの 8 つのタブのうち、現在選択されているセカン ダリー操作が示されます。「 Attach」ボタンをクリックすると、現在選択されている図形がこ のセカンダリータブに添付されます。  Attached Shape: ショットのセカンダリータブに添付した図形を選択すると、このフィール ドに、選択した図形の名前および図形が添付されているグレードが以下の形式で表示されま す: shapeName.gradeNumber  「Attach」ボタン: セカンダリー操作を制限するために使用する図形を描画したら、「Attach 」 をクリックして「Secondaries 」ルームの現在開いているセカンダリータブ(「 Current Secondary」フィールドに表示されるもの)にその図形を添付します。  「Detach」ボタン:「 Detach 」をクリックすると、セカンダリータブに割り当てた図形とタブ の関係が切り離されます。切り離すと、図形にはセカンダリー操作のエフェクト制限がなくな ります。  図形リスト: このリストに、プロジェクトに使うことができる図形のうち添付されていないも のすべて、および現在のショットに割り当てられた図形が表示されます。このリストについて は以下で詳しく説明します。  Hide Shape Handles:「 Hide Shape Handles」をクリックすると、イメージプレビューの図 形のコントロールポイントは非表示になります。図形の輪郭は表示されたままになります。  Reverse Normals:「 Softness」パラメータを使って図形のエッジをぼかした場合は、このボ タンを選択して、ぼかしの内側エッジと外側エッジを定義する図形を逆にすることができます。  Use Tracker: 現在のプロジェクトでモーショントラッカーを分析した場合は、現在の図形の 位置を自動的にアニメーション表示するために使うトラッカーを数字で指定することができ ます。図形がトラッカーの影響を受けないようにするには、この値を 0 に設定します。  Softness: 図形全体のエッジをぼかします。0 に設定すると、エッジにぼかしは適用されませ ん(ただしアンチエイリアスは適用されます)。0 より大きい値に設定すると、内側と外側の ぼかし図形がそれぞれのコントロールポイントと共に表示されます。内側の図形はぼかしが開 始される位置を示し、外側の図形はぼかしの形状全体の境界を示します。必要に応じて、内側 と外側の境界を個別に調整することができます。  Shape Name: このフィールドはデフォルトでは「untitled 」ですが、ショットリストを分か りやすく整理するために、現在選択されている図形のカスタムの名前を入力することができ ます。  New: 割り当てられていない新しい図形を作成する場合は、「New 」をクリックします。  Remove: 図形リストから図形を削除する場合は、図形を選択して「 Remove」をクリックし ます。  「Close Shape」/「Open Shape」: このボタンで、現在選択されている図形の閉じた状態と 開いた状態を切り替えます。  「Save」ボタン: 現在選択されている図形をよく使う図形のディレクトリに保存します。  「Load」ボタン: よく使う図形のディレクトリに保存されているすべての図形を、現在の ショットの図形リストに読み込みます。

第 15 章 Geometry 299 Â 「B-spline」/「Polygon」ボタン: 現在選択されている図形の B- スプラインモード(曲線図 形が可能)とポリゴンモード(角のあるコーナーのみの図形)を切り替えます。 Â 「main」/「inner」/「outer」ボタン: これらのボタンで、イメージプレビューで選択ボッ クスをドラッグする際に選択したいポイントを選択します。このとき、その他のコントロール ポイントはロックされていません。どのボタンが選択されていても、常に任意のコントロール ポイントを編集できます。

図形リスト 図形リストには、現在のプロジェクトの添付されていない図形がすべて含まれています。また、 再生ヘッドの現在の位置にあるショットで使用されている添付図形も含まれます。このリストの 図形をクリックすると図形がイメージプレビュー領域に表示され、「 Shapes」タブのすべてのパ ラメータが、選択した図形の設定に更新されます。 Â 「Name」列: 図形の名前。「 Shape Name」フィールドで編集できます。 Â 「ID」列: 図形の ID 番号。ID 番号は先頭の図形が 0 になり、新しい図形を作成するたびに番号 が 1 つずつ大きくなります。 Â 「Grade」列: 図形を添付すると、図形に添付されたグレードがこの列に表示されます。 Â 「Sec」列: 図形を添付すると、この列に 8 つのセカンダリータブのうち、図形が添付されてい るものが表示されます。

よく使う図形を保存する/読み込む 「Save 」および「 Load」ボタンを使って、カスタム図形のコレクションを作成し、その他のプ ロジェクトで使うことができます。図形リストで添付されていない図形を選択して「 Save」を クリックすると、以下のディレクトリに保存されます:

/Users/ <ユーザ名> /Library/Application Support/Color/BShapes/

「Load 」をクリックすると、このディレクトリに保存されているすべての図形が現在のショッ トの図形リストに読み込まれます。使う図形が決まったら、それ以外の図形を削除することが できます。

図形を描画する 図形の描画と編集はその他の合成アプリケーションとほぼ同様です。「 Color」では B- スプライ ンを使って曲線図形を描画します。これを使って描画と編集をすばやく行うことができます。こ のスプラインの機能は、「Primary In」/「Primary Out」および「 Secondaries」の各ルームの 曲線に使用されるものと同様です。

300 第 15 章 Geometry B- スプラインの場合は、実際は図形の表面に結合されていないコントロールポイントを使って、 強力な磁石が細い針金を引き寄せるように、図形をさまざまな方向に引っ張ります。たとえば、 以下のような 1 つのコントロールポイントを持つカーブがあります:

図形上にあるコントロールポイントが図形全体をコントロールポイントの方向に引っ張り、その 周囲のコントロールポイントは図形のその他の部分を所定の位置に固定します。

図形の複雑さは、図形に影響を与えるコントロールポイントの数で定義されます。いずれかの側 に 2 つのコントロールポイントを追加して、下に移動すると、曲線を以下のように変更できます。

図形の曲線をシャープにするには、コントロールポイントどうしを近づけます。緩やかなカーブ にするには、コントロールポイントどうしを離します。

次に、曲線のコントロールを編集するコントロールポイントを作成、削除、および調整する方法 について説明します。

図形を描画するには: 1 「 Secondaries」ルームの 8 つのタブのうちのいずれかをクリックしてセカンダリー補正を行い、 「 Enable」および「Vignette 」ボタンを有効にして、「Shape 」ポップアップメニューから「 User Shape」を選択します。

「 Geometry」ルームの「Shapes 」タブが自動的に開いて、図形を描画することができます。 2 イメージプレビュー領域内の任意の位置をクリックして最初のコントロールポイントを追加し ます。 3 イメージプレビュー領域内をさらにクリックして、ポイントを追加します。

第 15 章 Geometry 301 4 最後に、最初に作成したコントロールポイントをクリックして図形を閉じます。 5 「 Shape Name」フィールドに名前を入力して、Enter キーを押します(この手順はオプションで す)。 6 セカンダリータブで図形を使うために、「Attach 」ボタンをクリックします。

図形の複製がリストに追加されます。リストには、グレードの番号と、図形が添付されたセカン ダリータブの名前が表示されます(描画したオリジナルの図形はリストの上部に残っているの で、後で再利用することができます)。これで、図形を添付したセカンダリータブで図形を使う ことができます。

図形を調整するには: m いずれかのコントロールポイントを任意の方向にドラッグします。

ベジェスプラインと異なり、B- スプラインには調整のための接線はありません。相互のコント ロールポイントの数と位置を使って調整することのみ可能です。

図形の位置を変更するには: m 緑の中央ハンドルを任意の方向にドラッグします。

中央ハンドルを中心にして、キーフレームとモーショントラッカーによる変形が行われます。

図形のサイズを変更するには: 1 「 Shapes」タブの「Main 」ボタンを選択してください。 2 サイズを変更するコントロールポイントの周囲に選択ボックスを描画します。

302 第 15 章 Geometry 選択されたコントロールポイントが緑に変わります。

図形のすべてのコントロールポイントを選択する必要はありません。一部を選択して、図形全体 のその部分だけをサイズ変更することができます。選択したすべてのコントロールポイントの中 心に小さな緑の+記号が表示されます。これは、選択したコントロールポイントの中央ハンドル に対する位置を示します。 3 以下のいずれかの操作を行います: Â 選択ボックスの四隅のいずれかをドラッグして、反対側の隅に対して選択ボックスのサイズを 変更します。反対側の隅の位置はロックされています。 Â Option キーを押しながら選択ボックスをドラッグして、中心からの図形のサイズを変更しま す。中心は緑の十字型で示されます。 Â Shiftキーを押しながら選択ボックスをドラッグして、アスペクト比を固定したまま図形のサイ ズを変更します。幅と高さの比を変更せずに図形を拡大または縮小することができます。

図形を曲線の B- スプラインと角のあるポリゴンの間で切り替えるには: m 「 Shapes」タブで「 B-Spline」または「 Polygon」をクリックして、図形を該当するレンダリン グタイプに変更します。

第 15 章 Geometry 303 図形のエッジにぼかしを入れるには: 1 「 Softness」の値を大きくします。 「 Softness」パラメータによって、図形全体のエッジに一様なぼかしが適用されます。図形に適 用されるぼかし効果の内側と外側の境界を示す内側の図形と外側の図形も表示されます。

2 必要に応じて、図形の内側と外側を調整して、図形の周囲に最適なぼかしの輪郭を作成します。

不均一にぼかした輪郭を作成するには、形状を分離して、 1 つのエッジにはぼかしを適用せず、 別のエッジには適用します。

304 第 15 章 Geometry 既存の図形にコントロールポイントを追加するには: 1 図形リストで編集する図形を選択します。 2 「 Open Shape」をクリックします。

3 イメージプレビュー領域内をクリックして、選択した図形の最後にコントロールポイントを追加 します。

4 コントロールポイントの追加が終了したら、図形の最初のコントロールポイントをクリックし ます。

キーフレームとトラッカーを使って図形をアニメーション表示する 必要に応じて、以下のいずれかの方法で図形をアニメーション表示できます: Â キーフレームを使う: 図形にキーフレームを設定することができます。「 Color」のキーフレー ム設定の詳細については、285 ページの第 14 章「キーフレーム」を参照してください。 Â トラッカーを使う: モーショントラッカーを使って図形を自動的にアニメーション表示する こともできます。たとえば、カメラがパンによって動いている形状に従って移動させます。 (「 Tracking」タブで)トラッカーを作成してショットを分析したら、図形リストから図形を選 択して、「Use Tracker」フィールドに利用するトラッカーの番号を入力すれば、その図形は自 動的にアニメーション表示されます。「Use Tracker」が 0 に設定されている場合は、トラッ カーは適用されません。詳細については、次のセクションを参照してください。

第 15 章 Geometry 305 「Tracking 」タブ モーショントラッカーは、イメージの特定の形状の動きに従うようにモーションパスを作成する ために、ショットを自動的に分析します。分析が完了したら、モーショントラッカーのカメラパ スを使って、ビネット、「 Pan & Scan」の操作、ユーザが作成した図形、さらに「Color FX」ノ ー ドをモーションパスに従ってアニメーション表示することができます。このように、適用した補 正が動く対象、つまりカメラの動きに従って表示されます。

参考:「 Color」では、 1 ポイントのモーショントラッキングのみを使うことができます。2 およ び 4 ポイントトラッカーには対応していません。

モーショントラックを行うには、「Geometry 」ルームの「Tracking 」タブでトラッカーを作成し ます。「 Tracker List」に特定のショット用に作成および分析したすべてのトラッカーが表示され ます。各トラッカーには ID 番号があります(番号は作成順に付けられます)。

各トラッカーに 1 つの画面上のコントロールがあり、中心に十字型がある 1 組のボックスが表示 されます。

トラッカーを処理すると、「Color 」によって、画面上のコントロールの外側の「 Search Region」 ボックスで指定した領域のピクセルが、「 Mark In」と「Mark Out」ボタンで指定したフレーム の範囲内で分析されます。トラッカーは、フレームを横切って動く(画面上のコントロールの内 側の基準パターンボックスを使って)固有の形状に従って移動しようとします。

∏ ヒント: 角のある高コントラストの形状が基準パターンとして最適です。

306 第 15 章 Geometry モーショントラッカーを使う トラッカーを処理したら、トラッカーの分析を使って、「 Vignette」、「User Shape」、または 「 Pan&Scan」の設定をアニメーション表示することができます。「 Vignette」または「 User Shape」 に適用する場合は、モーショントラッカーのアニメーションが図形の元の位置に追加されます。 たとえば、トラッカーを使って、特定の人物の目の動きをトラックし、その人物の顔をハイライ トするビネットにその動きを適用する場合は、ショットの先頭のフレームで円形ビネットの中 心、角度、柔らかさを人物の顔の上に配置し、「 Use Tracker」フィールドからトラッカーの番号 を選択します。これによって、ビネットが正しい位置から開始し、トラッカーによって作成され たパスに従って移動します。トラッカーでは追加の変形が利用されるため、「x Center」および 「 y Center」パラメータまたは「Previews 」タブの画面上のコントロールを使って、ビネットの 位置を変更することもできます。

ショットの長さより短いイン点とアウト点をトラッカーに設定して、ショットの継続時間全体の 一部の範囲のみをトラックする場合は、再生ヘッドがトラッカーのイン点に達するまでは、ビ ネットは最初にドラッグされた位置にとどまります。再生ヘッドがイン点に達すると、ビネット がトラッカーのモーションパスに沿って動き始めます。再生ヘッドがアウト点に達すると、ビ ネットが停止し、ショットの最後までその位置にとどまります。

モーショントラッカーで解決できる問題 明確に識別できる対象(できれば、高コントラストで角のあるもの)が含まれるショットの場 合は、ショットの動きに従ってエフェクトをアニメーション表示する最も簡単な方法がモー ショントラッカーですが、常にこの方法が簡単であるとは限りません。

トラック対象の形状の前を俳優や物体が通過する場合や、ショットの動きが非常に速くモー ションブラーが発生している場合、ノイズが非常に多い場合、またはトラックしたい対象の形 状を明確に識別できない場合は、「 Manual Tracker」を使用するよりもキーフレームを作成す る方が適切でしょう。キーフレーム設定の詳細については、285 ページの第 14 章「 キーフレー ム」を参照してください。

「 Tracking」タブのコントロール 「 Tracking」タブには以下のコントロールがあります:  Tracker List: 再生ヘッドがある位置のショットに対して作成したトラッカーがすべて表示さ れます。このリストには 3 つの列があります:  Name: トラッカーの名前。すべてのトラッカーに以下の形式で名前が付きます: tracker.idNumber  ID: 特定のトラッカーの ID 番号。「 Use Tracker」にこの番号を入力して、調整をアニメー ション表示するために使うトラッカーを指定することができます。  Status: トラッカーの処理状況を示す進行状況バー。赤は未処理、緑は処理済みを示します。

第 15 章 Geometry 307 Â Manual Tracker: クリックすると手動トラックモードになります。プレビュー領域でトラッ クする形状をポインタでクリックします。クリックするたびに、画面上にトラッカーコント ロールが手動配置されてトラック用キーフレームが作成され、再生ヘッドが 1 フレーム進みま す。ショットの最後に達するまでこれが繰り返されます。この機能を使って、自動トラックを 実行できない形状を手動ですばやくトラックすることができます。 Â Tracking Curve Smoothness: トラックデータをなめらかにして、むらのある不規則な動き を取り除きます。値を大きくすると、トラックされるモーションパスがよりなめらかになりま す。手動と自動のどちらのトラックデータも、なめらかにすることができます。

参考:パスをなめらかにしても、モーショントラッカーの元のデータは変更されずに保持され ます。

 Process: 画面上のコントロールを調整して基準パターンと検索領域を特定したら、 「 Process」をクリックして分析を実行します。  New:「 Tracker List」に新しいトラッカーが作成されます。  Remove: 選択したトラッカーを「Tracker List」から削除します。  Mark In: 処理を開始するイン点をショットに設定します。イン点を設定しない場合は、ショッ トの先頭のフレームが使われます。  Mark Out: 処理を終了するアウト点をショットに設定します。アウト点を設定しない場合は、 ショットの最後のフレームが使われます。

「 Tracking」タブを使って作業する このセクションではモーショントラックの方法について説明します。

形状を自動的にトラックするには: 1 トラックするショットに再生ヘッドを移動します。 2 「 Geometry」ルームの「Tracker 」タブを開いて、「New 」をクリックします。 未処理の新しいトラッカーが「 Tracker List」に表示され、画面上のコントロールがイメージプ レビュー領域に表示されます。 3 トラックしたい範囲の最初のフレームへ再生ヘッドを移動し、「 Mark In」をクリックします。 「 Timeline」の新しいトラックに緑のイン点が表示されます。

多くの場合、これはショットの先頭のフレームです。ただし、ショットの数フレーム目にくるま で、形状が見えない場合や形状が動かない場合は、トラックしたい形状が見える最初のフレーム または動き始める直前のフレームにイン点を設定するといいでしょう。

308 第 15 章 Geometry 4 再生ヘッドがこの最初のフレームにある状態で、画面上のコントロールの中央ボックス内をド ラッグして、トラックする形状の中心に十字型を合わせます。内側のボックス(基準パターン ボックス)のハンドルを調整して、この形状の周囲に合わせます。

5 外側のボックスを調整して、ショットを分析するために必要だと思われる周囲のショットの大部 分がボックス内に含まれるようにします。

∏ ヒント:うまくトラックするためには、ショットが 1 つのフレームから次へ移動する間、基準パ ターンボックスを使って特定した形状が、定義した検索領域から外に出ないように注意する必 要があります。ショットの動きが速い場合は、外側のボックスを大きくするといいでしょう。 ただし、大きくすると分析に時間がかかります。ショットの動きが遅い場合は、検索領域の ボックスを小さくして分析時間を短くするといいでしょう。 6 トラックしたい範囲の最後のフレームへ再生ヘッドを移動し、「 Mark Out」をクリックします。 「 Timeline」に緑のアウト点が表示されます。

第 15 章 Geometry 309 多くの場合、これはショットの最後のフレームです。ただし、トラックしている形状がはっきり しない場合は、形状がはっきり見える最後のフレームにアウト点を設定するといいでしょう。 7 「 Process」をクリックします。 「 Color」でイン点からショットの分析が開始され、緑の進行状況バーがイン点からアウト点へ移 動して、クリップの分析の完了状況が示されます。

処理が完了すると、トラッカーに緑のバーが付いて、「 Tracker List」の「Status 」列に表示され ます。これで、トラッカーをプロジェクトで使うことができます。トラッカーを選択すると、イ メージプレビュー領域にそのトラッカーのモーションパスが表示されます。

動きを自動的にトラックすることが難しいショットがある場合は、形状を手動でトラックするこ ともできます。

形状を手動でトラックするには: 1 トラックするショットに再生ヘッドを移動します。 2 「 Geometry」ルームの「Tracker 」タブを開いて、「New 」をクリックします。 未処理の新しいトラッカーが「 Tracker List」に表示され、画面上のコントロールがイメージプ レビュー領域に表示されます。 3 トラックする範囲の最初のフレームへ再生ヘッドを移動します。 参考:「 Manual Tracker」モードでは、イン点とアウト点をマークする必要はありません。

310 第 15 章 Geometry 4 「 Manual Tracker」をクリックして手動トラックモードを開始します。

手動トラックを有効にすると、トラッカーの画面上のコントロールが消えます。 5 プレビュー領域で、トラックする形状をクリックします。 たとえば、後でビネットを追加するために人物の顔をトラックする場合は、鼻をクリックします。

クリックするたびにトラッカーの画面上のコントロールが配置され、再生ヘッドが 1 フレーム進 みます。

6 1 フレームずつ進めながら、前のフレームでクリックした形状と同じものをクリックします。ト ラックする動きの継続時間の最後またはショットの最後に到達するまで、この作業を繰り返し ます。

手動でトラックポイントを追加していくと、トラックする形状の動きの軌跡に沿ってモーション パスがゆっくりと作成されるようになります。

7 手動トラックが完了したら、クリックを終了します。

このトラッカーは、プロジェクトの他のパラメータに割り当てることのできる状態になってい ます。

重要:手動でトラックしたキーフレームすべてを削除する場合以外は、「 Manual Tracker」ボタ ンを無効にしないでください。

第 15 章 Geometry 311 モーショントラックが正常に終了しても、生成されたモーションパスの質が粗く、そのままの状 態では使えないことがあります。不規則な動きによって、表示したくないアニメーションエフェ クトが表示されることもよくあります。これらは、ぎざぎざのモーションパスで表示されます。

このような場合は、「 Tracking Curve Smoothness」スライダを使って、トラッカーによって作 成されたモーションパスをなめらかにすることができます。

トラックをなめらかにするには: 1 「 Tracker List」でトラッカーを選択します。 2 モーショントラックのパスが十分なめらかになるまで、「 Tracking Curve Smoothness」スライ ダを調整します。

「 Tracking Curve Smoothness」スライダは非破壊的です。したがって、元のトラックデータは 保持されます。さらに調整を加えたい場合は、いつでも元のデータに適用するなめらかさを増減 することができます。「Tracking Curve Smoothness」を 0 に設定すると、トラックデータが分 析された元の状態に復元されます。

312 第 15 章 Geometry 「 Secondaries」、「 Color FX」、および「Geometry 」の各ルームでトラッカー を使う どのルームでも、トラッカーでアニメーション表示することができる調整には「 Use Tracker」 フィールドがあります。トラッカーを処理したら、このフィールドに ID 番号を入力して、トラッ カーのモーションパスに従って調整を自動的にアニメーション表示することができます。「 Use Tracker」フィールドを 0 に設定すると、この調整がリセットされて、トラッカーは使用されな くなります。

第 15 章 Geometry 313

16 Still Store 16

「Still Store」のインターフェイスを使うと、シーン間の色補正を行う ときにショットを相互に比較することができます。

「 Still Store」のインターフェイスで、プロジェクトのさまざまなショットのイメージを保存し、 基準静止画として利用し、同様の補正を適用するショットと比較することができます。これは シーン間の色補正に共通の作業です。シーンのすべてのショットを適切に調整し、露光と色が相 互に一致するようにして、すべてが同じ場所で同じ時刻に撮影されたように見せます。

「 Still Store」を使って、プロジェクトの任意のショットを基準静止画として保存し、その他の ショットと比較することができます。これによって、プログラム全体に特定のスタイルの顔写真 が使われるドキュメンタリーを制作している場合は、グレードを適用したマスターの顔写真を基 準静止画として保存し、これを呼び出してプログラムのその他の顔写真と比較することができ ます。

この章では以下について記載します: Â 「 Still Store」にイメージを保存する( 315 ページ) Â 「 Still Store」のイメージをサブディレクトリに保存する( 317 ページ) Â 「 Still Store」からイメージを削除する( 317 ページ) Â 「 Still Store」からイメージを呼び出す( 318 ページ) Â 「 Still Store」の表示をカスタマイズする(318 ページ) Â 「 Still Store」のビンのコントロール( 319 ページ)

「Still Store」にイメージを保存する 「 Still Store」を使うには、まず、イメージを保存して後で呼び出せるようにする必要があります。

「 Still Store」にイメージを追加するには: 1 「 Still Store」に保存したいフレームへ再生ヘッドを移動します。 比較する対象を含むグレードを適用したイメージで、照明と色を補正するための基準となるイ メージを選択する必要があります。

315 2 「 Still Store」が有効になっている場合は無効にして、現在表示されている分割画面の静止画が 誤って保存されないようにします。 3 静止画にカスタムの名前を付けて保存したい場合は、「Still Store」タブをクリックして、「Still Store」のビンの下部の「 File」フィールドに名前を入力することもできます。

カスタムの名前を入力しない場合は、保存する静止画に以下の形式の名前が自動的に付きます: Still.Day_Month_Year_Hour_Minute_SecondTimezone.sri

日付と時刻は静止画を保存した正確な時刻です。

参考:別の静止画を保存する直前に、静止画を「Still Store」に読み込むと、新しく保存される 静止画が読み込んだ静止画と同じ名前になり、前に保存した静止画が上書きされます。 4 静止画を保存するには、以下のいずれかの操作を行います: Â いずれかのルームで、「 Still Store」>「 Store」と選択します(Control + I キー)。 Â 「 Still Store」タブをクリックし、「Save 」をクリックします。

再生ヘッドがある位置のフレームの静止画が圧縮なしの DPX ファイルとして、プロジェクトバ ンドル内の /StillStore/ サブディレクトリに保存されます。また、「Color 」にも「 Still Store」の ビンの項目として表示されます。「 Still Store」をアイコン表示に設定すると、保存されている静 止画がサムネールで表示されます。

「 Still Store」のイメージは、取得元のソースメディアのネイティブ解像度で保存されますが、現 在適用されている LUT の補正は保存されません。したがって、イメージを「Still Store」に保存 したときにプロジェクトで LUT が使用されており、後でプロジェクトから LUT を消去した場合 でも、保存した静止画が取得元のショットと一致します。

316 第 16 章 Still Store 重要:取得元のショットに再度グレードを適用しても、「 Still Store」のイメージは更新されませ ん。したがって、ショットから「Still Store」のイメージを保存し、後でショットに別の外観の グレードを適用した場合、保存された「Still Store」のイメージは取得元のショットを表わすイ メージではなくなるため、削除する必要があります。静止画がショットの現在のグレードを正し く反映しているかどうかわからない場合は、静止画が保存された日付と時刻が手がかりになり ます。

プロジェクトのサイズが大きくなる理由 すべての静止画がプロジェクトバンドル内の StillStore サブディレクトリに保存されるため、多 数の静止画を保存すると、プロジェクトのバックアップにさらに時間がかかるようになりま す。プロジェクトファイルのサイズを小さくする必要がある場合は、「 Still Store」のイメージ のうち使わないものをできるだけ削除してください。

「Still Store」のイメージをサブディレクトリに保存する デフォルトでは、静止画を保存するとプロジェクト内部の StillStore サブディレクトリに保存さ れ、保存したその他のすべての静止画と一緒に「 Still Store」のビンに表示されます。「Still Store」 のビンのすべての静止画が作成順に表示され、最新の静止画が一番最後に表示されます。

サブディレクトリに保存した静止画を整理することもできます。作業日、静止画の保存元のシー ンなど独自の基準に基づいて、個別のサブディレクトリを作成することができます。

「 Still Store」のビンにカスタムのサブディレクトリを作成するには: 1 「 Still Store」タブをクリックします。 2 「 New Folder」をクリックします。 3 「 New Folder」ダイアログが表示されたら、「Name of new folder」フィールドに名前を入力し て、「Create 」をクリックします。 プロジェクトバンドル内の StillStore ディレクトリに新しいサブディレクトリが表示され、これ が現在開いているディレクトリになり、ここに新しい静止画がすべて保存されます。

重要:サブディレクトリを作成してから、静止画をサブディレクトリに移動することはできませ ん。新しい静止画をサブディレクトリに保存するには、新しい静止画を保存する前に「Still Store」 のビンをそのディレクトリに移動する必要があります。

「Still Store」からイメージを削除する 「 Still Store」にいつのまにか多くのイメージが保存されていることがあります。不要な静止画は すべて定期的に削除することをお勧めします。

第 16 章 Still Store 317 「 Still Store」からイメージを削除するには: 1 「 Still Store」タブをクリックします。 2 削除する静止画を選択します。 3 Delete キーまたは Forward Delete キーを押します。 4 警告ダイアログが表示されたら「Yes 」をクリックして、選択した静止画を削除することを確認 します。

静止画を「Still Store」から削除する操作を取り消すことはできません。

「Still Store」からイメージを呼び出す イメージを「 Still Store」に追加したら、いつでも呼び出すことができます。保存した静止画を 表示するには、イメージを「 Still Store」に読み込んで、「Still Store」でイメージを表示できる ようにする必要があります。

「 Still Store」にイメージを読み込むには: 1 「 Still Store」タブをクリックします。

2 以下のいずれかの操作を行います:

 読み込む静止画を選択して、「 Load」をクリックします。  読み込む静止画をダブルクリックします。

静止画を読み込んだら、イメージを表示するために「 Display Loaded Still」を有効にしておく必 要があります。

「 Still Store」に読み込んだイメージを表示するには、以下のいずれかの操作を行います: m 「 Still Store」>「 Display Loaded Still」と選択します(Control + U キー)。 m 「 Still Store」タブをクリックして、「 Display Loaded Still」を選択します。

現在読み込まれている静止画がプレビュー表示と放送用モニタの両方に表示されます。デフォル トでは、比較用の左右分割画面に静止画が表示されますが、これはカスタマイズが可能です。

「Still Store」の表示をカスタマイズする 色補正作業を行う人によって、「Still Store」の使いかたはさまざまです。 2 つのフルスクリーン イメージを切り替えて比較する人もいれば、分割画面を作成して「Still Store」とグレーディン グ中のショットを並べて比較する方法を好む人もいます。「Color 」ではどちらの方法でも作業す ることができます。

318 第 16 章 Still Store それぞれの静止画に、呼び出したイメージの表示方法の設定があります。これらの設定は「Still Store」ルームの右側にあります。

 Enable: 現在読み込まれている「 Still Store」のイメージをプレビューおよびビデオ出力モニ タに表示します。「Still Store」>「Enable 」(Control + U キー)と選択した場合と同様です。  Transition: 読み込んだ静止画を画面上にどの程度表示するかをこのパラメータで決定しま す。0 に設定すると、読み込んだ静止画はまったく表示されません。1 に設定すると、読み込 んだ静止画が画面全体に表示されます。その間の値に設定すると、分割画面表示になります。  Angle: 分割画面の境界の角度を変更します。以下に示す方向ボタンで自動的に「 Angle」パ ラメータが変更されますが、斜めの分割画面を作成するには、このパラメータを手動で調整す る必要があります。  Left to Right:「 Angle」パラメータを 180 度に変更して縦方向の分割画面を作成し、左側に 静止画を表示します。  Right to Left:「 Angle」パラメータを 0 度に変更して縦方向の分割画面を作成し、右側に静 止画を表示します。  Top to Bottom:「 Angle」パラメータを- 90 度に変更して横方向の分割画面を作成し、上部 に静止画を表示します。  Bottom to Top:「 Angle」パラメータを 90 度に変更して横方向の分割画面を作成し、下部に 静止画を表示します。

「Still Store」のビンのコントロール 「 Still Store」のビンには以下のコントロールがあります:

 Up Directory: このボタンをクリックすると、現在のパスの 1 つ上のディレクトリに移動しま す。プロジェクトバンドルの外部に移動することはできません。プロジェクトを整理しておく ために、すべての静止画をプロジェクトバンドルの /StillStore/ ディレクトリ内に保存してく ださい。  Home Directory: ディレクトリパスをプロジェクトバンドル内の StillStore ディレクトリに 変更します。  Icon View:「 Still Store」のビンをアイコン表示に変更します。保存された静止画がサムネー ルで表示され、一番古い静止画を先頭に(左から右へ)保存された日付と時刻に従ってすべて のイメージが整理されて表示されます。

第 16 章 Still Store 319 Â List View: リスト表示では、すべての静止画とディレクトリが 2 列に表示されます。静止画の ファイル名が左側に、作成日が右側に表示されます。保存された日付と時刻に従ってすべての 静止画が整理され、一番古いものが最上部に、一番新しいものが最下部に表示されます。 Â 「Icon Size」スライダ:「 Still Store」のビンがアイコン表示のときに、このスライダで各静止 画のサムネールのサイズを調整することができます。

 「File」フィールド: このフィールドには 2 つの役割があります。静止画を読み込むと、この フィールドに静止画の名前が表示されます。ただし、カスタムの名前を入力して別の名前で静 止画を保存すると、入力した名前の新しい静止画が作成されます。  「Directory」ポップアップメニュー: このポップアップメニューに現在のディレクトリパスが 表示され、必要に応じて、ディレクトリ構造内を上に移動することができます。  「New Folder」ボタン: プロジェクトバンドルの StillStore ディレクトリ内に新しいサブディ レクトリを作成します。  「Save」ボタン: 再生ヘッドの現在の位置にあるフレームを、静止画として保存して後で呼び 出せるようにします。  「Load」ボタン: 静止画を読み込みます。読み込まれた静止画を比較に利用するには、「 Enable」 ボタン、または「 Still Store」メニューの「 Enable」コマンド( Control + U キー)を使います。

320 第 16 章 Still Store 17 Render Queue 17

プログラムの色補正が終了したら、「Render Queue」のコントロー ルを使って最終出力のために適切なメディアファイルのセットをレ ンダリングし、「 Final Cut Pro」またはその他の互換性のあるシステ ムへ送ることができます。

この章では以下について記載します: Â 「 Color」のレンダリングについて( 321 ページ) Â 「 Color」でレンダリングできるエフェクト(322 ページ) Â 「 Render Queue」のインターフェイス(323 ページ) Â プロジェクトのショットをレンダリングする方法( 324 ページ) Â 1 つのショットの複数のグレードをレンダリングする(326 ページ) Â Gather Rendered Media( 328 ページ)

「Color 」のレンダリングについて 「 Color」でレンダリングを行う目的は、「 Final Cut Pro 」などのアプリケーションの場合と異な ります。「Color 」では再生のためのエフェクト処理がすべて即時に行われます。必要に応じてコ マ落ちでまたは速度を落として再生され、色補正後の出力を評価するために高画質で表示されま す。「Color 」による再生は RAM にキャッシュされないため、作業中に再生のためにプロジェク トを「プレレンダリング」することはできません。

「 Color」では、レンダリングは、新しいメディアファイルのセットを生成して補正をディスクに 記録する最後の手順として扱われます。「 Color」で補正を行ったら、「Render Queue」でプロ ジェクトの一部またはすべてのショットをレンダリングすることができます。

「 Render Queue」ではプロジェクトを増分処理または一括処理でレンダリングすることができ ます。たとえば、数日または数週間のスケジュールで高解像度のプロジェクトの作業をしている 場合は、各シーンのショットが承認されるたびにこれらを「Render Queue」に追加して、1 日 のセッション終了後の夜間にレンダリングできるように準備しておくこともできます。このよう に作業負荷を数日間に分散すれば、1 回の長時間のレンダリングセッションで一度にプログラム 全体を出力する必要がなくなります。

321 逆に、プログラム全体をレンダリングしたい場合もあるでしょう。たとえば、別の形式でメディ アを生成する必要がある場合や、プロジェクトが短いためにレンダリングを分割する必要がない 場合などです。

グラフィックカードとレンダリング出力の関係 「Color 」では、お使いのコンピュータに搭載されたグラフィックカードの GPU を使って、プ ログラムのショットに適用した色補正とジオメトリの調整がレンダリングされます。ビデオ カードによって GPU プロセッサの処理能力が異なるため、異なるグラフィックカードを搭載 したコンピュータでレンダリングすると、同じ Color プロジェクトがわずかに違って見える場 合があります。色の精度を保つために、プロジェクトをレンダリングする際には、プログラム の色補正を行ったグラフィックカードと同じカードを搭載したコンピュータを利用すること をお勧めします。

「Color 」でレンダリングできるエフェクト XML および EDL プロジェクトファイルから読み込んだプロジェクトには、「 Color」で処理でき ない多数のエフェクトが含まれている可能性があります。たとえば、トランジション、ジオメト リ変形、スーパーインポーズ、速度エフェクト、静止画などです。終了したプログラムをレンダ リングするときに、読み込み/書き出しワークフローによって「 Color」でレンダリングされる エフェクトが決まります。

特に、EDL を読み込んでグレードを適用し、2K DPX イメージシーケンスとして書き出して、フィ ルムにプリントする場合は、「Color 」でのプロジェクトのショットのレンダリングが、XML ファ イルを読み込んで、QuickTime ファイルをレンダリングして再度「 Final Cut Pro」に読み込む場 合と大幅に異なります。

いずれの場合でも、「 Primary In」、「 Secondaies」、「Color FX」および「Primary Out」の各ルー ムで行った補正は常にレンダリングされます。

2K 出力用にレンダリングされたエフェクト EDL を読み込んで 2K DPX イメージシーケンスを出力する場合は、「Geometry 」ルームの「Pan & Scan」タブで行った変換がすべてレンダリングされます。

プロジェクトを完成させるために必要なエフェクトのうち、「Color 」でレンダリングされないも のには、ビデオトランジション、速度エフェクト、合成、およびタイトルがあります。これらは、 「 Shake」などのほかのアプリケーションで作成する必要があります。

「 Final Cut Pro 」に送るときにレンダリングされないエフェクト XML ベースで「 Final Cut Pro」と「 Color」間でプロジェクトを往復させる場合、元の Final Cut Pro プロジェクトのトランジション、フィルタ、静止画、ジェネレータ、速度エフェクト、スーパー インポーズ設定、および「 Color」と互換性のないその他のエフェクトは、これらのエフェクト が表示されない場合であってもすべて Color プロジェクト内に保持されます。

322 第 17 章 Render Queue 「 Color」を使ったプログラムのグレーディングが完了した後で、そのプロジェクトを 「 Final Cut Pro」に戻すために QuickTime ムービーとしてレンダリングするときに、上述の保持 されているけれども表示されないエフェクトはレンダリングされません。完成した Color プロ ジェクトを「Final Cut Pro」に戻すと、これらのエフェクトは、生成される Final Cut Pro シー ケンスに再表示されます。ここで、さらに調整を加えて、Final Cut Pro プロジェクトをレンダリ ングしてから、テープまたは QuickTime マスター・ムービー・ファイルに出力することもでき ます。

「モーション」設定および「 Pan & Scan」調整の詳細 「 Final Cut Pro」のモーション設定のサブセットは、プロジェクトを最初に「Color 」に読み込む ときに、同等の「Pan & Scan」の設定に変換されます。これらの設定は Color プロジェクトにエ フェクトとして表示され、プログラムにさらに微調整を加えるときに調整することができます。 ただし、これらのエフェクトは「 Color」ではレンダリングされません。これらは「 Color」から 「 Final Cut Pro」に戻されて、こちらでレンダリングされます。詳細については、294 ページの 「「 Final Cut Pro」で「 Geometry」の設定を読み込む/書き出す」を参照してください。

「Render Queue」のインターフェイス 「 Render Queue」リストを使ってプログラム内のレンダリングしたいショットを選択します。こ のリストにショットを追加すると、ショット番号によって整理されます。この列に表示される ショットの順序は、ショットがレンダリングされる順序です。リストの一番上にあるレンダリン グされていないショットが最初にレンダリングされ、それ以下のレンダリングされていない ショットが順にリストの最後までレンダリングされます。 Â 「Number」列:「 Timeline」のショットの位置が数値で示されます。「 Render Queue」のす べてのショットが ID 番号に基づいて降順にリスト表示されます。 Â 「Shot Name」列: ショットのサムネールと名前が表示されます。 Â 「In」列: レンダリングするショットのメディアの先頭のフレーム。このタイムコードは、 「 Project In」点に現在の「Handles 」値(「 Setup」ルームの「 Project Settings」タブで指定) を加えた値です。 Â 「Out」列: レンダリングするショットのメディアの最後のフレーム。このタイムコードは、 「 Project Out」点に現在の「 Handles」値(「 Setup」ルームの「 Project Settings」タブで指 定)を加えた値です。

参考:ショットの先頭または最後ののりしろとして使うことができる余分なメディアがディス クにない場合、のりしろは追加されません。

 「Grade ID」列: ショットに現在選択されているグレードが表示されます。異なるグレードを 有効にして同じショットを最大 4 回までキューに入れ、ショットに関連付けた各グレードのメ ディアをレンダリングすることができます。  「Progress」列: レンダリングバーが表示され、ショットのレンダリング時間を確認すること ができます。現在ショットをレンダリングしていない場合は、ショットのレンダリング状況 (キューに追加済み、レンダリング中、またはレンダリング済み)が表示されます。

第 17 章 Render Queue 323 「 Render Queue」のコントロール 「 Render Queue」リストの下部にある以下のボタンで、ショットをキューに追加したり、キュー から削除したり、レンダリングを開始したりすることができます。

 Add Selected: 現在選択されているすべてのショットを「Render Queue」に追加します。  Add All:「 Timeline 」のすべてのショットを「Render Queue」に追加します。レンダリング 済みのショットもキューに置かれ、キューから削除しない限りレンダリングされます。レンダ リングされるショットによって、前にレンダリングしたショットが上書きされます。  Clear Queue: すべてのショットを「 Render Queue」から削除します。  Remove Selected: 選択したショットだけを「 Render Queue」から削除します。  Start Render:「 Render Queue」に置かれたすべてのショットのレンダリングを開始します。 このボタンの機能は、「 Render」>「 Start Render」コマンドと選択した場合と同様です。

重要:レンダリングを開始した後で一時停止するには、Esc キーを押すか、 Control +ピリオド キーを押します。

プロジェクトのショットをレンダリングする方法 「 Render Queue」は、プロジェクトのレンダリングを柔軟に管理できるようになっています。プ ログラムのすべてのショットをレンダリングキューに追加してすべてを一度にレンダリングし たり、その日に完成したショットだけを追加してプロジェクトを増分処理でレンダリングしたり することもできます。

プロジェクトのメディアをどのような方法でレンダリングする場合でも、処理はほぼ同様です。 プロジェクトとショットの設定を確認し、ショットをレンダリングキューに追加して、「 Start Render」コマンドを使います。

プログラムのショットをレンダリングするには: 1 「 Timeline」を使って、レンダリング対象の各ショットのレンダリングしたいグレードを選択し ます。 2 以下のいずれかの操作を行って、ショットを「Render Queue」リストに追加します: Â 「 Add All」をクリックします。 Â 「 Render」>「 Add All」と選択します(Control + Shift + Option + A キー)。 Â ショットを選択して、「Add Selected」をクリックするか、「Render 」>「 Add Selected」と 選択して(Command + Shift + A キー)選択したショットを追加します。

324 第 17 章 Render Queue ショットを「Render Queue」リストに追加すると、「 Shots」ブラウザでは追加した各ショット の状況が「 Queued」に変わります。「 Timeline」では、キューに追加したショットで現在使わ れているグレードの上に黄色のステータスバーが表示され、どのグレードがレンダリングされる か示されます。

参考:1 つのグレードを有効にしてショットを「Render Queue」に追加し、同じショットに別 のグレードを選択し、再度「Render Queue」に追加して、両方のグレードをレンダリングする ことができます。 3 レンダリングする前にプロジェクトの設定を二重チェックして、使用するレンダリングディレク トリ、インターレース設定、書き出しコーデック、および「 Broadcast Safe」設定が正しいこと を確認します。 4 Cineon または DPX メディアをレンダリングする場合は、「User Prefs」タブの「Render Proxy」 ポップアップメニューを二重チェックして、必要な解像度でレンダリングされることを確認し ます。 5 以下のいずれかの操作を行います: Â 「 Render Queue」タブの「Start Render」ボタンをクリックします。 Â 「 Render」>「 Start Render」と選択します。

「 Render Queue」のショットのレンダリングが開始されます。リストのレンダリングされてい ない最初のショットの「Progress 」列に表示される緑の進行状況バーで、ショットのレンダリン グ時間を確認することができます。

第 17 章 Render Queue 325 同時に、レンダリング中のショットの「 Timeline」ルーラ上部に表示されるレンダリングバー が、「Render Queue」の進行状況バーを反映して更新されます。

「 Render Queue」の最初のショットのレンダリングが終了すると、次のショットのレンダリン グが開始し、リストの上から下へ最後のショットまでレンダリングが続行されます。「Timeline 」 では、レンダリングされたすべてのショットに対して、「 Timeline」ルーラ上部に緑のレンダリ ングバーが表示され、レンダリングされたグレードの上には緑の進行状況バーが表示されます。

重要:レンダリングを一時停止するには、 Esc キーを押します。レンダリングを再開するには、 もう一度「Start Render」をクリックします。

レンダリングされたすべてのメディアがプロジェクトのレンダリングディレクトリに書き込ま れます。このディレクトリは「 Setup」ルームの「 Project Settings」タブで指定します。レンダ リングディレクトリには番号が付いたサブディレクトリがあり、1 つのサブディレクトリがプロ ジェクトの「 Timeline」の各ショットに対応します。サブディレクトリの番号は、「Render Queue」の「 Number」列にある各ショットの番号に対応しています。各サブディレクトリに は、レンダリング済みの各グレードに対応する最大 4 つまでのレンダリング済みメディアのセッ トが含まれます。

1 つのショットの複数のグレードをレンダリングする Color プロジェクトの各ショットには、最大 4 つのグレードのうちのいずれかが使われます。作 業中に、ショットに使うグレードを自由に変更して、必要に応じてさまざまな外観を切り替えて、 質の高いプロジェクトに仕上げることができます。

326 第 17 章 Render Queue ショットのグレードを個別にまたは一緒にレンダリングすることもできます。クライアントが 4 種類の外観のうちのいずれかを承認するだろうと思われるシーンでは、すべてのグレードをレン ダリングしておけば、別の外観が承認された場合でも安心です。

「 Color」では、プロジェクトを「 Final Cut Pro」に戻す場合や「 Gather Rendered Media」コ マンドを使う場合に、現在どのグレードが選択されているかを把握できるため、適切なレンダリ ングファイルが使われることを確認できます。

レンダリングされたグレードには番号が付きます。たとえば、QuickTime ベースのプロジェクト で、ショット番号 1 の 2 種類のグレードをレンダリングした場合は、そのショットのサブディレ クトリには 1_g1.MOV および 1_g2.MOV という名前の 2 つのショットが保存されます。g の直 後の数字はそのファイルが対応するグレードを示しています。

1 つのショットの複数のグレードをレンダリングするには: 1 レンダリングするショットへ再生ヘッドを移動し、最初にレンダリングしたいグレードを選択し ます。 2 ショットを選択して「 Render Queue」タブをクリックし、「 Add Selected」をクリックして ショットを「Render Queue」に追加します。 3 ショットで使われているグレードを、レンダリングしたい次のグレードに変更します。 4 「 Add Selected」をクリックして、同じショットをもう一度「 Render Queue」に追加します。

キューに追加された各グレードには、「 Timeline」のグレードバーの上に黄色のレンダリングバー が表示されます。

「 Render Queue」の「 Grade ID」列には、各ショットに選択したレンダリング対象のグレード が表示されます。

第 17 章 Render Queue 327 Gather Rendered Media 「 Gather Rendered Media」コマンドは、EDL を使って読み込んだプロジェクトのイメージシー ケンスメディアをレンダリングした場合にのみ使うことができます。このコマンドを使って、 フィルムプリンタに送る準備として、レンダリングされたイメージシーケンスメディアを整理す ることができます。

レンダリングされたイメージシーケンスが 2 つの方法で整理されます: Â プロジェクト内のメディアの全フレームを 1 つのディレクトリに格納します。 Â プロジェクト内のメディアの全フレームの名前が変更され、レンダリングされるプロジェクト の先頭から最後までのイメージが 1 つの連続したフレームになります。

重要:XML を使って往復させたメディアを収集することはできません。

レンダリングされたメディアを収集するには: 1 「 File」>「Gather Rendered Media」と選択します。 2 プロジェクトのレンダリング済みメディアを収集する 3 つのオプションのいずれかを選択しま す:

 Copy Files: イメージシーケンスファイルの複製が作成されますが、レンダリング済みの元の ファイルはレンダリングディレクトリに置かれたままになります。  Move Files: イメージシーケンスファイルをコピーした後で、レンダリング済みの元のファ イルがレンダリングディレクトリから削除されます。  Link Files: レンダリングディレクトリにあるレンダリング済みの元のファイルのエイリアス が作成されます。これは、コンピュータ上のアプリケーションを使ってフレームを処理する場 合に、メディアを不要に複製したくないときに便利です。メディアを別の施設に移す場合には 使うことができません。エイリアスファイルはレンダリングディレクトリの元のメディアを指 示するためのもので、実際のイメージデータは含まれていません。 3 収集したメディアを新しいディレクトリに格納する場合は、「Create New Directory」をクリッ クします。 4 「 Gather」をクリックします。

プロジェクト内の各ショットのレンダリング済みの全フレームが、名前を変更され、再度番号が 付けられて、指定したディレクトリに格納されます。これをさらに処理したり、配信したりする ことができます。

328 第 17 章 Render Queue A モニタを調整する

A 付録

アナログ機器を使用するときは、ビデオの色補正を正確に行えるよう に、ブライトネスとカラーが正確に調整されていることを確認してく ださい。

カラーバーについて カラーバーとは、厳密な仕様を満たした電子的に生成されたビデオ信号です。ルミナンスとクロ ミナンスのレベルが標準化されているので、ビデオシステムの異なるコンポーネントを通したカ ラーバーを使用して、各デバイスが信号にどのように影響しているかを確認することができます。

NTSC と PAL にはそれぞれ独自の標準カラーバーがあり、さらには NTSC と PAL そのものにもい くつかの標準があります。ビデオスコープでカラーバーを評価するときに重要なのは、測定対象 のカラーバー標準を認識していることです。そうでないと、誤った調整をしてしまうことがあり ます。一般的に使用される標準は「 SMPTE バー」です。

カラーバーを使う状況 アナログ機器は、たとえ 1 分程度であっても、必ずキャリブレートと調整が必要です。熱、劣 化、ノイズ、ケーブルの長さ、その他にも多くの要因が微妙にアナログの電子ビデオ信号の電 圧に影響し、ビデオイメージのブライトネスとカラーに影響するからです。カラーバーには、 アナログ機器の出力レベルの調整に使用できる参照信号があります。

カラーバーを使ってビデオモニタを調整する

編集者と放送デザイナは、プログラムの色とブライトネスを厳密に調整する場合、未調整のモニ タを信頼しないようにする必要があります。そうしないで、調整済み放送用モニタを使用し、露 出と色の品質に行った調整が正確であることを確認することが重要です。

329 放送用モニタを調整する モニタは、SMPTE 標準カラーバーを使用して調整します。ブライトネスとコントラストは、ス クリーン上のカラーバーを使用して目で調整します。クロマとフェーズの調整には、業務用ビデ オモニタにある「青のみ」ボタンが関連します。この調整は、現場にいるか編集室にいるかに関 係なく、使用中のすべてのモニタで行う必要があります。

モニタを調整するには: 1 カラーバーまたはテストパターンのジェネレータを使用中のモニタに接続するか、 「 Final Cut Pro」で内蔵カラーバーのジェネレータのいずれかを出力します。

重要:ただし、カラーバーの静止画グラフィックスは使わないようにしてください。詳細につい

ては、332 ページの「Y´C BCR レンダリングとカラーバー」を参照してください。 2 モニタの電源を入れ、モニタが「ウォーミングアップ」して、安定した運転温度に達するまで 30 分ほど待ちます。

3 カラーバーが画面に表示されるように、ビデオモニタで適切な入力を選択します。

カラーバーの右下付近には、色合いが異なる、3 つの黒いバーがあります。各バーは、異なるブ ライトネス値(IRE 測定)に対応しています。( IRE は元は Institute of Radio Engineers の略で したが、この機関は後に現在の IEEE 機関と統合しました。測定値はビデオ専用の電圧の単位と なります。) これは PLUGE(Picture Lineup Generating Equipment)バーです。PLUGE バーに 基づいて基本となる純黒を確立し、ビデオモニタのブライトネスとコントラストを調整できます。 4 モニタのクロミナンスレベルを最低まで落とします。

これは、より正確なルミナンス調整を行うことができるようにするための、一時的な調整です。 クロマコントロールは「色」または「サチュレーション」という名前になっていることがあります。 5 モニタの輝度調節を行い、左にある 2つの PLUGEバーと隣の黒い四角形の区別がつかなくなるよ うにします。 この時点で、一番明るいバー( 11. 5 IRE)はかろうじて見える程度で、左の 2 本の PLUGE バー ( 5 IRE および 7. 5 IRE)は同じレベルの黒に見えるはずです。 6 コントラストを最大にしてこのバーを明るくし、次に最低に戻します。

330 付録 A モニタを調整する このバーがはっきりと表示されなくなる点が、モニタの正しいコントラスト設定です。(下図の 例は、デモのために誇張してあります。)

モニタのブライトネスとコントラストが 適切に調整されていると、この部分は 黒地の上にかろうじて見える程度になります。

コントラスト調整の際には、左下の白い正方形にも注目してください。コントラストが高すぎる と、白い正方形はまわりの正方形に「あふれ出す」ように見えます。白い正方形のルミナンスが、 まわりの正方形に「あふれ出す」状態が解消されるまで、コントラストを調整します。

重要:コントラストは、必ずブライトネスの後で調整してください。 7 ルミナンス設定の調整が終わったら、クロマコントロールを中央(戻り止めの位置)に戻します。 参考:一部のノブはデフォルト位置で微妙に止まります。ここがノブの戻り止め位置です。 PAL モニタを調整する場合は、これで終了です。次の手順は、NTSC モニタの場合にだけ必要な カラー調整です。 8 モニタの前面の「青のみ」ボタンを押して、「 Chroma」および「Phase 」コントロールを調整す る準備をします。 参考:このボタンは、通常は業務用モニタでのみ使用できます。 9 モニタしているビデオ信号の種類に基づいて、以下の調整を行います: Â SDI 信号またはコンポーネント Y´C BCR 信号をモニタしている場合は、交互のグレイのバーの最 上部と最下部が一致するように「 Chroma」コントロールを調整します。「Phase 」コントロー ルは SDI 信号またはコンポーネント信号には影響しないため、必要な調整はこれだけです。 Â Y/C( S-Video とも呼ばれる)をモニタしている場合は、モニタ内蔵の RGB デコーダを通過し ます。この場合は、「 Chroma」および「 Phase」コントロールの両方を調整します。クロマは 外側の 2 本のグレイのバーのバランスに影響し、フェーズは内側の 2 本のグレイのバーのバラ ンスに影響します。いずれか一方のコントロールを調整するともう一方にも反映されます。す べてのグレイのバーの明るさが最上部と最下部で等しくなるまで両方のバーを調整します。

付録 A モニタを調整する 331 参考:前述の 2 番目の手順はコンポジット信号のモニタにも適用されますが、色補正を行ってい る場合は、絶対にコンポジット信号をモニタしないでください。

モニタを正しく調整すると、すべてのグレイのバーが均一なグレイになり、すべての黒のバーが 均一な黒になります。

モニタのフェーズ(ヒューに類似) を正しく調整すると、グレイと黒の 交互のバーがこの図のように表示 されます。

Y´CBCR レンダリングとカラーバー Y´CBCR レンダリングが、シーケンスで使われているコーデックでサポートされていない場合 は、「 Final Cut Pro」で調整用にスーパーブラック(NTSC の場合は 4 IRE、PAL の場合は 2 IRE) 信号を含む PLUGE(Picture Lineup Generation Equipment)領域のあるカラーバーをレンダ リングすることはできません。テスト信号の PLUGE 部分は RGB ベースのコーデックを使って レンダリングすることはできません。

332 付録 A モニタを調整する B キーボードショートカット

B 付録

「Color 」のキーボードショートカット

以下の表は「 Color」で作業するときに利用できるさまざまなキーボードショートカットを示し ています。

プロジェクトのショートカット 以下のキーボードショートカットは、多くのアプリケーションに共通のものです。「Color 」では、 プロジェクトを管理するときに使います。

コマンド 説明 コマンド+ N 新規プロジェクト コマンド+ O プロジェクトを開く コマンド+ R 現在のプロジェクトを、最後に保存されたときの状態に戻す コマンド+ S プロジェクトを保存する Option +コマンド+ S アーカイブを別名で保存 Option +コマンド+ A アーカイブされたプロジェクトを開く コマンド+ I クリップを読み込む(「Setup 」ルームのファイルブラウザが開く) Option +コマンド+ G レンダリングしたメディアを収集する(Cineon または DPX プロジェクト のみ) コマンド+ Z 取り消し(元に戻すにはもう一度コマンド+ Z キーを押す) コマンド+ X カット コマンド+ C コピー コマンド+ V ペースト コマンド+ A すべて選択 コマンド+ ? ユーザーズマニュアルを開く

333 ルームおよびウインドウを切り替える 以下のキーボードショートカットは、「Color 」のインターフェイス内を移動したり、ルームおよ びウインドウを切り替えたりするためのものです。

コマンド 説明 コマンド+ 1 「Setup 」ルームを開く コマンド+ 2 「Primary In」ルームを開く コマンド+ 3 「Secondaries 」ルームを開く コマンド+ 4 「Color FX」ルームを開く コマンド+ 5 「Primary Out」ルームを開く コマンド+ 6 「Geometry 」ルームを開く コマンド+ 7 「Still Store」を開く コマンド+ 8 Render Queue コマンド+ 9 「Setup 」ルームの「 Project Settings」タブを開く コマンド+ 0 「Setup 」ルームの「 Shots」ブラウザを開く Shift + 1 「Color 」ウインドウを選択する Shift + 2 「Scopes 」ウインドウを選択する Shift + 0 次回「 Color」を開いたときに 1 画面モードにするか 2 画面モードにするか を切り替える

再生とナビゲーション 以下のキーボードショートカットは、プロジェクトを再生したりプロジェクト内を移動したりす るために「Timeline 」で再生ヘッドを移動するときに使います。

コマンド 説明 スペースバー 再生と停止を切り替える J 逆方向に再生する K 停止する L 順方向に再生する ↓ 再生ヘッドを次のショットへ移動する ↑ 再生ヘッドを前のショットへ移動する ← 再生ヘッドを 1 フレーム分戻す → 再生ヘッドを 1 フレーム分進める Home 「Timeline 」の先頭へ移動する End 「Timeline 」の最後へ移動する Shift + Control + M 再生モードを切り替える I 再生のために「Timeline 」にイン点を設定する O 再生のために「Timeline 」にアウト点を設定する

334 付録 B キーボードショートカット グレードのショートカット 以下のキーボードショートカットは、再生ヘッドの位置にあるショットのグレードを作成、切り 替え、コピー、およびペーストするときに使います。

コマンド 説明 Control + 1 新しいグレードを作成する/グレード 1 に切り替える Control + 2 新しいグレードを作成する/グレード 2 に切り替える Control + 3 新しいグレードを作成する/グレード 3 に切り替える Control + 4 新しいグレードを作成する/グレード 4 に切り替える Control + G グレードのオン/オフを切り替える Control + Option + Shift + 1 現在のグレードをメモリバンク 1 ~ 5 にコピーする (1 ~ 5) Option + Shift + 1( 1 ~ 5) メモリバンク 1 ~ 5 からグレードをペーストする Control + B 現在のグレードを Beauty Grade として設定する

「Timeline 」専用のショートカット 以下のキーボードショートカットは、「 Timeline」の表示を変更するときに使います。ポインタ がインターフェイスの「Timeline 」領域内にあるときだけ使うことができます。

コマンド 説明 コマンド+マイナス記号(– ) ズームアウト テンキーのマイナス記号キー(– ) ズームアウト コマンド+プラス記号(+ ) ズームイン テンキーのプラス記号キー(+ ) ズームイン F 「Timeline 」のルーラの単位をフレームに設定する S 「Timeline 」のルーラの単位を秒に設定する M 「Timeline 」のルーラの単位を分に設定する H 「Timeline 」のルーラの単位を時間に設定する Tab 「Timeline 」のルーラの単位(フレーム/秒/分/時間)を切り替える

編集のショートカット 以下のキーボードショートカットは、ロックされていないビデオトラックのあるプロジェクトの 作業をしているときに編集ツールを選択するために使います。

コマンド 説明 Control + S 選択ツールを選択する Control + R ロールツールを選択する Control + T リップルツールを選択する

付録 B キーボードショートカット 335 コマンド 説明 Control + Y スリップツールを選択する Control + X 分割ツールを選択する Control + Z 結合ツールを選択する Control + V 再生ヘッドの位置に編集点を作成する Control + B 再生ヘッドの位置で編集点を結合する

キーフレームのショートカット 以下のショートカットは、各ルームでキーフレームによるエフェクトを作成するときに使います。

コマンド 説明 Control + 8 再生ヘッドの位置のキーフレーム補間の種類を変更する Control + 9 再生ヘッドの位置にキーフレームを追加する Control + 0 再生ヘッドの位置のキーフレームを削除する Option +← 現在のルームの現在のショットの前のキーフレームへ再生ヘッドを 移動する Option +→ 現在のルームの現在のショットの次のキーフレームへ再生ヘッドを 移動する

「Shots 」ブラウザのショートカット 以下のキーボードショートカットは、ポインタが「Setup 」ルームの「Shots 」ブラウザ内にあ るときだけ機能します。

コマンド 説明 G 選択したショットをグループに割り当てる F 「Shots 」ブラウザを中央に表示する

「Geometry 」ルームのショートカット 以下のキーボードショートカットは、ポインタが「Geometry 」ルーム内にあるときだけ機能し ます。

コマンド 説明 F 「Geometry 」ルームのプレビューイメージのフレームを変更する

336 付録 B キーボードショートカット 「Still Store」のショートカット 以下のキーボードショートカットを使うと、「Still Store」を開かずに静止画フレームを保存した り有効にしたりすることができます。

コマンド 説明 Control + U 現在読み込まれている静止画を有効にする Control + I 再生ヘッドの位置のフレームを「Still Store」に保存する

「Render Queue」のショートカット 以下のキーボードショートカットを使うと、「Render Queue」を開かずにショットを「Render Queue」に追加したりレンダリングを開始したりすることができます。

コマンド 説明 Shift +コマンド+ A 選択したショットを「Render Queue」に追加する Option + Shift +コマンド+ A 「Timeline 」のすべてのショットを「Render Queue」に追加する コマンド+ P レンダリングを開始する

付録 B キーボードショートカット 337

C コントロールサーフェスを設定する

C 付録

「Color 」は、JLCooper 社および Tangent Devices 社の コントロールサーフェスに対応しています。

コントロールサーフェスを使うと、作業中に複数のパラメータを同時に調整することができま す。作業が速くなるだけでなく、複雑な色の調整を対話形式で行ってイメージの複数の領域に一 度に適用することができます。この付録では、「Color 」と共に使うためにコントロールサーフェ

スをコンピュータに接続して設定する方法を説明します。以下のトピックから構成されます: Â JLCooper MCS-3000、MCS-Spectrum 、MCS-3400 、および MCS-3800 コントロールサーフェ ス(339 ページ) Â Tangent Devices CP100 コントロールサーフェス( 344 ページ) Â Tangent Devices CP200 シリーズのコントロールサーフェス(346 ページ) Â コントロールサーフェスの感度をカスタマイズする(351 ページ)

JLCooper MCS-3000、MCS-Spectrum 、MCS-3400 、および MCS- 3800 コントロールサーフェス JLCooper 社は、「Color 」と「Final Cut Pro」の両方に対応するコントロールサーフェスを製造 しています。 MCS ファミリーのコントロールサーフェスは、ナビゲーション用と色補正専用の 両方のコントロールを装備しており、さまざまな構成が用意されています。

PAGE

PAGE 1 PAGE 5 12345678 BANK 1

PAGE 2 PAGE 6 BANK 2

PAGE 3 PAGE 7 BANK 4

PAGE 4 PAGE 8 BANK 4

ASSIGN UTILITY

R1 B1 R3 B3 HOURS MINUTES SECONDS FRAMES F1

TIME CODE DISPLAY F2 M1 M2 M3 M4 M5

F3 R2 B2 F4 W4 W3 W5 F5

F6 W2 W6

F7

F8 W1 W7

JOG SHUTTLE

339 JLCooper MCS コントロールサーフェスを「Color 」と共に使うには、以下のものが必要です:  MCS-3000、 MCS-3400、または MCS-3800 と、 MCS-Spectrum  コントローラのスロット #1 に Ethernet ボードが装着されていること  マルチポートハブ、ルーター、またはスイッチ  Cat-5 Ethernet ケーブル

MCS-Spectrum の Ethernet 接続は、拡張ケーブルを使って MCS-3000 にブリッジします。MCS- 3000 を、Ethernet を介してコンピュータに接続します。

重要:JLCooper 製のコントロールサーフェスを Mac Pro の 2 番目の Ethernet ポートに接続す ることはできません。コンピュータの第 1 の Ethernet ポートに接続する必要があります。ポー トをインターネット接続と共有する場合は、ハブまたはスイッチを介して接続してください。

MCS-3000 および MCS-Spectrum コントロールサーフェスを設定する これらのコントロールサーフェスを設定して「Color 」と共に使う手順を説明します。

「 Color」と共に使うために MCS-3000 と MCS-Spectrum を設定するには: 1 MCS-3000 の電源を入れて、作動するまで待ちます。

MCS-3000 はネットワークに接続されたコンピュータと同様に動作するので、MCS-3000 をコン ピュータにネットワーク接続するには、デバイス自体に Ethernet の IP 設定を入力する必要があ ります。 2 「 SHIFT」ボタンと「 ASSIGN/UTILITY」ボタンを同時に押します。

ユニット最上部のディスプレイに現在の IP アドレス設定が表示されます。 3 MCS-3000 のテンキーを使って、以下の値を入力します: a IP アドレスを入力し、「 ENTER」を押して確定し、続行します。 たとえば、192.168.001.010 と入力します。 参考:IP アドレスのピリオドで区切られた数字のうち先頭の 3 つの部分が、このネットワーク で使われるアドレスの先頭の 3 つの部分と同じである必要があります。どの値を使うかが分か らない場合は、コンピュータで使われている IP アドレスを確認してください(コンピュータの IP アドレスは「システム環境設定」の「ネットワーク」の設定で確認します)。これに基づいて MCS-3000 の IP アドレスを決定します。このアドレスがネットワーク上の他のデバイスで使わ れることがないように、必ず最後の 3 桁の数字を変更してください。 b ゲートウェイアドレスを入力し、「ENTER 」を押して確定し、続行します。 参考:ゲートウェイアドレスのピリオドで区切られた数字のうち、先頭の 3 つの部分が IP ア ドレスと同じである必要があります。 c サブネットマスクの数字を入力し、「 ENTER」を押して確定し、続行します。 たとえば、255.255.255.000 と入力します。

340 付録 C コントロールサーフェスを設定する d ポート番号を入力し、「 ENTER」を押して確定し、続行します。 たとえば、49153 と入力します。 参考:安全のため、「ダイナミック/プライベートポート」用の 49152 ~ 65535 の範囲の値を 使用してください。 4 MCS-3000 と MCS-Spectrum の両方の電源をオフにします。

これで、コントロールサーフェスの設定が完了しました。次に、「 Color」の中で設定を行う必要 があります。

MCS-3000 および MCS-Spectrum を「 Color」と共に使うには: 1 MCS-Spectrum の電源を入れてから、 MCS-3000 の電源を入れます。 2 「 Color」を開きます。 「 Color」を開くのがはじめての場合は、「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されます。 すでに「 Color」を開いたことがあり、このダイアログを表示するオプションを無効にした場合 は、「Setup 」ルームの「 User Prefs」タブの「 Show Control Surface Dialog」ボタンをクリッ クする必要があります。

3 「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されたら、以下の操作を行います: a「 Control Surface」ポップアップメニューから「JLCooper - MCS3000/Spectrum」を選択し ます。 b MCS-3000 に入力した IP アドレスを「 IP Address」フィールドに入力して、Enter キーを押し ます。 c MCS-3000 に入力したポート番号を「Port 」フィールドに入力して、Enter キーを押します。 4 「 Yes」をクリックします。

これで、 MCS-3000 と MCS-Spectrum は「 Color」と共に使用できるようになりました。

付録 C コントロールサーフェスを設定する 341 MCS-3000 と MCS-Spectrum のコントロール MCS-3000 と MCS-Spectrum のコントロールの多くは、各パネルの最上部に表示されるテキス トによって識別できます。以下のセクションでは、少し分かりにくいコントロールと機能につい て説明します。

MCS-3000

PAGE

12345678 BANK 1

BANK 2

BANK 4

BANK 4

ASSIGN UTILITY

HOURS MINUTES SECONDS FRAMES

F1

TIME CODE DISPLAY F2 M1 M2 M3 M4 M5

F3

F4 W4 W3 W5 F5

F6 W2 W6

F7

F8 W1 W7

JOG SHUTTLE

 Page 1 ~ 8:「 Color 」の 8 つの主要ルームのうち 1 つを選択する  F1: キーフレームを取り除く  F2: キーフレームを追加する  F3: キーフレーム補間を変更する  Rewind: ショットの先頭または次のショットにジャンプする  Forward: ショットの最後または次のショットにジャンプする  Stop: 再生を停止する  Play: 再生を開始する  Jog: 再生ヘッドを制御する  テンキー: ナビゲーションを制御する  Locate: タイムコードまたはショット ID を指定して移動する  Mode: タイムコードとショット ID のどちらを指定するかを切り替える  Last: 直前の指定位置に戻る  Enter: ナビゲーションを実行する  M1: スピードを制御する  M2: インチ再生  Bank1: グレードバンク 1 の切り替え/コピー/ペーストを行う  Bank2: グレードバンク 2 の切り替え/コピー/ペーストを行う

342 付録 C コントロールサーフェスを設定する Â Bank3: グレードバンク 3 の切り替え/コピー/ペーストを行う Â Bank4: グレードバンク 4 の切り替え/コピー/ペーストを行う Â Assign: グレードの切り替え/コピー/ペーストを切り替える(現在の状態が LCD ディスプレ イに表示される)

ナビゲーション用のコントロールを使う MCS-3000 のキーパッドを使って「 Timeline」内を移動するには、2 通りの方法があります。

タイムコードでの移動とショット番号での移動を切り替えるには: 1 MCS-3000 の「Mode Locate」または「 Set Locate」を押します。 2 「 Shift」(「 F1」~「 F8」ボタンの下の青いボタン)を押してから、「Mode Locate」を押します。 MCS-3000 のインジケータが 00 00 00 00(タイムコード)または 0(ショット ID)に切り替わ り、現在いずれのモードであるかを示します。

タイムコードを使って「Timeline 」の特定の位置に移動するには(タイムコードモード): 1 MCS-3000 の「Mode Locate」または「 Set Locate」を押します。 2 移動する位置のタイムコードを入力して、「 Enter」を押します。

指定したタイムコードの位置に再生ヘッドが移動します。

ショット番号を使って「Timeline 」の特定の位置に移動するには(ショット番号モード): 1 MCS-3000 の「Mode Locate」または「 Set Locate」を押します。 2 移動する位置のショット ID を入力して、「 Enter」を押します。 「 Timeline」上の指定の ID と関連付けられたショットに再生ヘッドが移動します。

MCS-Spectrum のコントロール

PAGE 1 PAGE 5

PAGE 2 PAGE 6

PAGE 3 PAGE 7

PAGE 4 PAGE 8

R1 B1 R3 B3

R2 B2

付録 C コントロールサーフェスを設定する 343 Â R1:「 Shadow」のコントラストスライダをリセットする Â B1:「 Shadow」のカラーコントロールをリセットする Â 左のジョイボール:「 Shadow 」のカラーコントロールを調整する Â 左のホイール:「 Shadow」のコントラストスライダを調整する(ブラックポイント)。 Â R2:「 Midtone」のコントラストスライダをリセットする Â B2:「 Midtone」のカラーコントロールをリセットする Â 中央のジョイボール:「 Midtone」のカラーコントロールを調整する Â 中央のホイール:「 Midtone」のコントラストスライダを調整する(ガンマ) Â R3:「 Highlight」のコントラストスライダをリセットする Â B3:「 Highlight」のカラーコントロールをリセットする Â 右のジョイボール:「 Highlight 」のカラーコントロールを調整する Â 右のホイール:「 Highlight」のコントラストスライダを調整する(ホワイトポイント)

Tangent Devices CP100 コントロールサーフェス Tangent Devices CP100 は、すべての機能を 1 つのデバイスに集約した大型のコントロールサー フェスです。

CP100 コントロールサーフェスを設定する このコントロールサーフェスを設定して「 Color」と共に使う手順を説明します。

参考:Tangent Devices CP100 を設定するには、管理者としてログインする必要があります。

CP100 を設定して「 Color」と共に使うには:

1 Ethernet ケーブルを使って CP100 をコンピュータに接続します。 重要:CP100 を Mac Pro の 2 番目の Ethernet ポートに接続することはできません。コンピュー タの第 1 の Ethernet ポートに接続する必要があります。 ポートをインターネット接続と共有す る場合は、ルーターまたはスイッチを介して接続してください。 2 CP100 の電源を入れて、作動するまで待ちます。 3 「 Color」を開きます。

344 付録 C コントロールサーフェスを設定する 「 Color」を開くのがはじめての場合は、「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されます。 すでに「 Color」を開いたことがあり、このダイアログを表示するオプションを無効にした場合 は、「Setup 」ルームの「 User Prefs」タブの「 Show Control Surface Dialog」ボタンをクリッ クする必要があります。

4 「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されたら、以下の操作を行います: a「 Control Surface」ポップアップメニューから「Tangent Devices - CP100」を選択します。 b 管理者パスワードの入力を求めるメッセージが表示されたら、フィールドに入力して「OK 」を クリックします。

これで、 CP100 は「 Color」と共に使用できるようになりました。

CP100 のコントロール Â Do: グレードをコピーする(メモリバンク 1) Â Undo: グレードをペーストする(メモリバンク 1) Â Redo:「 Timeline」上の直前の編集点からグレードをコピーする Â Cue: ナビゲーションをキューアップする(モードはタイムコードまたはショット ID) Â Mark: 静止画を作成する Â In: インの再生マーカーを設定する Â Out: アウトの再生マーカーを設定する Â Select: 再生モードを切り替える Â Mix: 静止画の表示を切り替える Â Grade: グレードの表示を切り替える Â Delete: グレードを identity または base-mem に戻す Â |<: 前のイベントへ Â >| -: 次のイベントへ Â <: 逆方向に再生する Â []: 再生を停止する

付録 C コントロールサーフェスを設定する 345 Â >: 順方向に再生する Â ジョグ/シャトルの横のボタン: 10 倍速度制御を切り替える

左の「Alt 」が押されているとき: Â |<: 前のキーフレーム Â >| -: 次のキーフレーム Â <: 1 フレーム分戻る Â >: 1 フレーム分進む

F キー Â F1: キーフレーム補間を切り替える Â F2: キーフレームを作成する Â F3: キーフレームを削除する

Tangent Devices CP200 シリーズのコントロールサーフェス Tangent Devices CP200 は、モジュラー型コントローラのシリーズです。モジュールどうしが 連携して動作するように設計されています。

MORE

F1 F2 F3 F7 F8 F9

DO UNDO REDO 7 8 9 CLEAR

4 56 + F4 F5 F6 CUE PREV NEXT

1 23 - MARK IN OUT

00 0 MODE MEM GRACE DELETE

ALT

CP200 シリーズのコントロールサーフェスを「 Color」と共に使うには、以下のものが必要です: Â CP200-BK トラックボール/ノブパネル、CP200-TS トランスポート/選択パネル、CP200-K ノ ブパネル、CP200-S 選択パネルのいずれかまたはこれらの組み合わせ Â マルチポートハブまたはスイッチ Â Cat-5 Ethernet ケーブル

重要:CP200 シリーズのコントロールサーフェスを Mac Pro の 2 番目の Ethernet ポートに接続 することはできません。コンピュータの第 1 の Ethernet ポートに接続する必要があります。ポー トをインターネット接続と共有する場合は、ハブまたはスイッチを介して接続してください。

346 付録 C コントロールサーフェスを設定する CP200 シリーズのコントロールサーフェスを設定する これらのコントロールサーフェスを設定して「Color 」と共に使う手順を説明します。

CP200 シリーズのコントローラを設定して「 Color」と共に使うには: 1 それぞれの CP200 デバイスを、コンピュータに接続されたルーター、ハブ、またはスイッチに接 続します。 2 「 Color」を開く前に、それぞれの CP200 デバイスの電源を入れ、ディスプレイに表示される 2 文 字または 3 文字の ID 番号を書き留めます。 この ID 番号は、「Color 」とこれらのデバイスとが通信できるように設定するときに使います。 参考:「Color 」を CP200 コントロールサーフェスに接続するために使う ID 番号は、CP200 パネ ルの背面または底面に記載されているシリアル番号とは異なります。 3 「 Color」を開きます。

「 Color」を開くのがはじめての場合は、「 Control Surface Startup」ダイアログが表示されます。 すでに「 Color」を開いたことがあり、このダイアログを表示するオプションを無効にした場合 は、「Setup 」ルームの「 User Prefs」タブの「 Show Control Surface Dialog」ボタンをクリッ クする必要があります。

4 「 Control Surface」ポップアップメニューから「Tangent Devices - CP200」を選択します。 「 Color」対応の CP200 デバイスが、「Enabled 」チェックボックスおよび 2 つのフィールドと共 に一覧表示されます。 1 つは先ほど書き留めた ID 番号を入力するためのフィールド、もう 1 つ は IP アドレスのフィールドです。 5 所有しているそれぞれの CP200 デバイスについて、以下の操作を行います: a チェックボックスを選択します。 b 該当するフィールドに ID 番号を入力し、 Enter キーを押して続行します。 c 該当するフィールドに ID アドレスを入力し、Enter キーを押して続行します。

付録 C コントロールサーフェスを設定する 347 参考:IP アドレスのピリオドで区切られた数字のうち、先頭の 3 つの部分は、このネットワー クで使われるアドレスの先頭の 3 つの部分と同じである必要があります。どの値を使うかが分 からない場合は、コンピュータで使われている IP アドレスを確認し、そのアドレスに基づい て CP200 デバイスの IP アドレスを決定します。このアドレスが一意のアドレスになるように、 必ず最後の 3 桁の数字を変更してください。 6 「 Yes」をクリックします。

「 Yes」をクリックすると、「Color 」がネットワーク上のコントロールサーフェスに接続されま す。接続に成功すると、各パネルのディスプレイが空白になります。

これで、 CP200 シリーズのコントロールサーフェスを「 Color」と共に使用できるようになりま した。

CP200 シリーズのコントローラのコントロール CP200 には以下のコントロールがあります。

CP200-BK(トラックボール/ノブパネル)

F1 F2 F3 F7 F8 F9

F4 F5 F6

「 Primary In」ルームと「 Primary Out」ルーム内: Â ホイールの上の左(ドット)ボタン: そのゾーンのコントラストスライダをリセットする Â ホイールの上の右(円)ボタン: そのゾーンのカラーコントロールをリセットする Â 左のジョイボール:「 Shadow 」のカラーコントロールを調整する Â 左のホイール:「 Shadow」のコントラストスライダを調整する(ブラックポイント) Â 中央のジョイボール:「 Midtone」のカラーコントロールを調整する Â 中央のホイール:「 Midtone」のコントラストスライダを調整する(ガンマ) Â 右のジョイボール:「 Highlight 」のカラーコントロールを調整する Â 右のホイール:「 Highlight」のコントラストスライダを調整する(ホワイトポイント) Â F1: キーフレーム補間を切り替える Â F2: キーフレームを追加する

348 付録 C コントロールサーフェスを設定する Â F3: キーフレームを削除する Â F4: パネルエンコーダを切り替える

「 Secondaries」ルーム内: Â F1: キーフレーム補間を切り替える Â F2: キーフレームを追加する Â F3: キーフレームを削除する Â F4: パネルエンコーダを切り替える Â F5: セカンダリーを切り替える Â F6: セカンダリーのイン/アウトコントロールを切り替える Â F7: セカンダリーのビネットを切り替える Â F8: 前のセカンダリーへ Â F9: 次のセカンダリーへ

参考:セカンダリーでプレビューモードに切り替えると、「Vignette 」のコントロールが優先さ れます。

「 Geometry」ルーム内: Â F1: キーフレームを変更する Â F2: キーフレームを追加する Â F3: キーフレームを削除する Â F4: パネルエンコーダを切り替える

CP200-TS(トランスポート/選択パネル)

MORE

DO UNDO REDO 7 8 9 CLEAR

4 56 + CUE PREV NEXT

1 23 - MARK IN OUT

00 0 MODE MEM GRACE DELETE

ALT

 Do: グレードをコピーする(メモリバンク 1)  Undo: グレードをペーストする(メモリバンク 1)  Redo:「 Timeline」上の直前の編集点からグレードをコピーする  Cue: ナビゲーションをキューアップする(モードはタイムコードまたはショット ID)  Mark: 静止画を作成する  In: インの再生マーカーを設定する

付録 C コントロールサーフェスを設定する 349 Â Out: アウトの再生マーカーを設定する Â Mem: 静止画の表示を切り替える Â Grade: グレードの表示を切り替える Â Delete: グレードを identity または base-mem に戻す Â |<: 前のイベントへ Â >| -: 次のイベントへ Â <: 逆方向に再生する Â []-: 再生を停止する Â >: 順方向に再生する Â ジョグ/シャトルの横のボタン: 10 倍速度制御を切り替える

左の「Alt 」が押されているとき: Â |<: 前のキーフレーム Â >| -: 次のキーフレーム Â <: 1 フレーム分戻る Â >: 1 フレーム分進む

CP200-K(ノブパネル)

 RGB チャンネルのコントロール

参考:「 Secondaries」ルームで「Previews 」タブを開くと、HSL 限定子のコントロールが RBG チャンネルのコントロールよりも優先されます。

350 付録 C コントロールサーフェスを設定する コントロールサーフェスの感度をカスタマイズする 「 Setup」ルームの「User Prefs」タブにある設定を使って、ジョイボール、ノブ、コントラスト ホイールの感度と、ジョイボールで色を調整する際の角度をカスタマイズすることができます。

詳細については、103 ページの「コントロールサーフェスの設定」を参照してください。

付録 C コントロールサーフェスを設定する 351

索引 索引

.lsi ファイル 74 「 Chroma」スコープ 151 .pdl ファイル 74 Cinema Tools 21 2K 出力 ~のデータベース 54 ~とレンダリングされたエフェクト 322 Cineon シーケンス 2 台のモニタ 70 ~を QuickTime に変換する 88 3D 色空間スコープ 157 Cineon ファイル 87 HSL 158 「 Clamp」ノード 251 IPT 160 Color RGB 157 アプリケーションでの制約 37 Y´CbCr 159 その他の Web ベースの情報 10 カラーをサンプリングする 161 Color FX 235–258 3D ビデオスコープ ~でよく使うエフェクトを保存する 248 ~の位置を変える 144 ~とインターレースされたショット 247 ~にキーフレームを設定する 287 A ~のインターフェイス 235 「 Add」ノード 245, 249 ~の作成方法 236 「 Alpha Blend」ノード 250 ~のヌードル 236 Amplitude 100 ~のノードビュー 236 Apple ProRes 422 41, 51, 84 ~のビン 236 Apple ProRes 422 (HQ) 41, 51, 84 「 Color FX」ルーム 36 Apple プロトレーニング 10 「 Colorist」フィールド 98 Auto Balance 206 「 Color」アプリケーションのマニュアル 10 Color 設定ガイド 10 B 「 Color」と互換性があるフォーマット 23 「 B&W」ノード 251 「 Color」のインターフェイス 「 Basic」タブ 201 最適なモニタリングのために~を調整する 115 Beauty Grade 274 「 Color」ノード 257 「 Bleach Bypass」ノード 251 「 Color へ送信」コマンド 76 「 Blend」ノード 250 「 Color」へのラウンドトリップ 47 「 Blur」ノード 251 Composite Limit 101 Broadcast Safe 「 Constant」キーフレーム補間 290 ~について 102 「 Copy To Selected」/「 Copy To All」ボタン 272 ~をオンにする 101 CP100 344 「 Broadcast Safe」設定 100 ~のコントロール 345 ~とスーパーホワイトレベル 30 ~を設定する 344 B スプライン CP200 346 ~を編集する 191 ~のコントロール 348 ~のトラックボール 348 C ~のトランスポートパネル 349 Ceiling IRE 100 ~のノブパネル 350 347 「 Ceiling」コントロール 261 ~を設定する Chroma Limit 101 「 Curve」ノード 251

353 D カラーモデル 33 「 Darken」ノード 250 限定子プレビュー 220 Deinterlace 133 コントロール 215 「 Deinterlace」ノード 257 すばやくキーを作成するためにスポイトツールを使 「 Difference」ノード 245, 250 う 213 Display LUT 98 調整する領域の~限定子 212 DPX イメージシーケンス 51, 87 「 HSL Key」ノード 257 Hue 31 ~を QuickTime に変換する 51 DPX シーケンス 「 Hue Curve」タブ 232 ~を QuickTime に変換する 88 「 Hue」ノード 254 「 Duotone」ノード 252 I E 「 Icon Size」スライダ 67 「 Edge Detector」ノード 252 「 Interlace」ノード 250 EDL 「 Invert」ノード 254 ~の読み込み設定 81 IPT(3D 色空間スコープ) 160 ~を解析する 56 「 I」バー(ベクトルスコープ) 154 ~を書き出す 82 ~を読み込む 47, 80 J EDL ファイル 23 JKL 再生コントロール 127 EDL フォーマット 80 JLCooper 社のコントロールサーフェス 339 Enable Clipping 101 JPEG ファイル 87 「 Exposure」ノード 252 ~を書き出す 89 F K 「 Film Grain」ノード 252 Key Blur 218 「 Film Look」ノード 253 Final Cut Pro L 「 Color へ送信」コマンド 76 「 Lift」ノード 255 書き出しに関するヒント 75 「 Lighten」ノード 250 「 Final Cut Pro」のジェネレータ Limit Shadow Adjustments 169, 185 ~の制約 38 「 Linear」キーフレーム補間 290 「 Final Cut Pro」の「メディアマネージャ」 41 LiveType FLEx ファイル 54 ~を独立再生形式 QuickTime ファイルとして書き出 Floor IRE 100 す 75 Look Up Table →「LUT 」を参照 115 G Luma 30 「 Gain」ノード 253 ~カーブの例 195 Gamma 31 「 Luma」スコープ 150 「 Gamma」ノード 253 Luma(ヒストグラムスコープ) 156 「 Gather Rendered Media」コマンド 53 「 Lum Curve」タブ 234 Geometry 293–313 LUT 98, 115–120 ~のショートカット 336 ~が必要な場合 118 ~の設定を読み込む/書き出す 294 説明 116 「 Geometry」ルーム 37 ~の保存場所 119 「 Goto Shot」フィールド 93 ~を「Color 」アプリケーションで作成する 119 「 Grades」ビン 66, 97 ~を消去する 120 「 Grain Reduction」ノード 254 ~を生成する 118 ~を使う 119 H Handles 102 M 「 Highlight」スライダ 172 Matte Preview Mode 220 HSL 「 Maximum」ノード 255 3D 色空間スコープの~ 158 MCS-3000 342 「 Secondaries」ルームの~コントロール 213 MCS-Spectrum 343

354 索引 「 Messages」タブ 102 ~のショートカット 337 「 Minimum」ノード 255 「 Render Queue」ルーム 37 Monochrome Scopes 105 「 RGB Merge」ノード 251 「 Multiply」ノード 245, 250 「 RGB Split」ノード 258 RGB 加法カラーモデル 24 N RGB コントロール 205 NTSC 方式 RGB( 3D 色空間スコープ) 157 標準カラーバー 329 RGB(ヒストグラムスコープ) 155 O S Offset 101 「 Sat Curve」タブ 233 「 Output」ノード 258 Saturation 32, 165 「 Overlay」スコープ 149 「 Saturation」ノード 255 「 Scale RGB」ノード 256 P 「 Scopes」ウインドウ 111 PAL 方式 「 Secondaries」ルーム 36, 209–234 標準カラーバー 329 リセットコントロール 234 Pan & Scan ~を使う理由 209 ~のパラメータ 297 「 Send to Final Cut Pro」コマンド 78 「 Pan & Scan」タブ 294 Setup 91–109 ~を使って作業する 295 「 Setup」ルーム 36, 91 「 Pan & Scan」の設定 「 Grades」ビン 66 ~をコピーする/リセットする 298 「 Shots」ブラウザ 92 「 Pan & Scan」の設定をアニメーション表示する 297 ファイルブラウザ 64, 91 「 Parade」スコープ 146–148 「 Shadow」スライダ 168 Phase 101 「 Shapes」タブ 298 PLUGE バー 330 ~のコントロール 299 「 Previews」タブ 219 「 Sharpen」ノード 256 Primary In 「 Shots」ブラウザ 65, 92 カラーバランス 165 ~でグレードを管理する 274 コントラスト 165 ~でソートする 95 サチュレーション 165 ~のショートカット 336 説明 163 列のヘッダ 94 一般的な処理 165 ~をカスタマイズする 95 「 Primary In」ルーム 36, 163–207 ~をズームする 276 「 Primary Out」ルーム 36, 259–261 ~を使って「 Timeline」を移動する 96 ~でグレードをトリミングする 260 「 Smooth Step」ノード 256 「 Printer Lights」ノード 255 「 Smooth」補間 290

「 Printer Points」コントロール 204, 205 Snapping 139 Still Store 67, 315–320 Q ~からイメージを削除する 317 QuickTime ~からイメージを呼び出す 318 書き出しコーデック 100 ~にイメージを保存する 315 独立再生形式ファイル 75 ~のコントロール 319 ~と互換性があるコーデック 84 ~のショートカット 337 ファイル 23 ~の表示をカスタマイズする 318 ~メディアを再リンクする 82 ~をサブディレクトリを使って整理する 317 QuickTime メディアを再リンクする 82 ~をモニタリングする 120 「 StillStore」ディレクトリ 74 「 Q」バー(ベクトルスコープ) 155 「 Still Store」ルーム 37 R 「 Stretch」ノード 256 「 Red」/「 Green」/「Blue 」チャンネルスコープ 149 Render Queue 321–328 T ~のインターフェイス 323 Tangent Devices 社のコントロールサーフェス 339 ~のコントロール 324 TIFF ファイル 87

索引 355 Timeline 121–139 あ 「 Shots」ブラウザを使って~を移動する 96 アーカイブ キーフレームグラフ 123 ディレクトリ 74 グレードトラック 122 ~を開く 73 ~で Beauty Grade を設定する 274 ~を保存する 72 ~でキーフレームを設定する 288 アイコン表示 65, 67 ~でグレードを使って作業する 131 青のみボタン 330, 331 ~でグレードをリセットする 270 アナログビデオ ~でショットの位置を変える 134 機器を調整する 329 ~でショットを選択する 129 あらかじめ編集されたプログラムマスター 48 ~でのショットの表示をカスタマイズする 124 ~でのナビゲーション 128 い ~で補正およびグレードをコピーする 270 位置を変更する トラックのサイズ変更ハンドル 122 図形の~ 302 ~にメディアを読み込む 83 移動 ~のインターフェイス要素 122 イメージプレビュー内の~ 293 ~のインターフェイスをカスタマイズする 123 イメージ ~の再生 126 特定のノードの~を表示する 240 ~のショートカット 335 ~の領域をノードを使って分離する 246 ~のトラッカー領域 123 ~を「Still Store」から削除する 317 ~のルーラ 122 ~を「Still Store」から呼び出す 318 ~のルーラの単位を変更する 123 ~を「Still Store」に保存する 315 ~のレンダリングバー 122 イメージシーケンス 23 ビデオトラック 122 DPX 51 ロックアイコン 122 適合に使うファイルの命名 57 ~をズームする 128 イメージの細部 ~をスクロールする 129 説明 178 ~を使ってグレードを管理する 269 イメージフォーマット 87 「 Timeline」でトラックを隠す 125 イメージプレビュー 「 Timeline」でトラックを表示する 125 ~内を移動する 293 「 Timeline」でのショットの移動 134 ~をズームする 293 「 Timeline」のスクロール 129 色 「 Tracking」タブ 306 カラーバー 332 ~のコントロール 307 ブロードキャストセーフ 332 ~を使って作業する 308 見本 218 「 Translate」ノード 257 色域 U 定義 116 色度 User Preferences 102 定義 116 色の調整 V 放送用モニタ 330–332 「 Vignette」ノード 258 色補正 シーン間の~ 14 X 従来の方法 18 XML ファイル 23 テープ間の~ 18, 20 ~を「Final Cut Pro」で使うために書き出す 78 テレシネ 22 ~を書き出す 42 テレシネの再処理による~ 20 ~を読み込む 77 特定のエレメント 15 ~の基本 13 Y ~の目的 13 Y´CbCr カラーモデル 24 フィルム転送時の~ 17 「 Y´CbCr」スコープ 151 フィルムとビデオ 18 Y´CbCr( 3D 色空間スコープ) 159 フィルムに撮影されたプロジェクト 17, 22 ~を別のプロジェクトから読み込む 89 色補正をアニメーション表示する 285–291

356 索引 インターレース 創造的な外観 182 ~と「Color FX」 247 定義 179 インターレース除去 カラーグレーディング 18 ~について 99 カラーコントラスト イン点とアウト点 定義 201 ~を設定する 127, 128 カラーコントロール 63 ~をカスタマイズする 63 え カラーターゲット 153 エフェクト カラータイミング 18 キーフレームを使う 285 フィルムの~ 19 よく使う~を「 Color FX Bin」に保存する 248 カラーバー 332 エフェクトを作成する 242 説明 329 エラーメッセージ 102 ~と Y´CbCr レンダリング 332 ~について 329 お カラーバランス 14, 165 オプティカル・カラー・タイミング 19 オーバーラップ 187 オフライン解像度 40 シャドウ、中間色調、ハイライトの調整 183 オンライン解像度 41 ~のコントロール 179–182 カラーバランスのコントロール か ~とコントロールサーフェス 182 カーブ ~のオーバーラップを制御する 188 「 Luma」~の例 195 カラーバランスのホイール 180 イメージへの影響 190 カラーをサンプリングする(3D 色空間スコープ) 161 ~からコントロールポイントを削除する 193 コントロール 189 き コントロールポイントと B スプラインの編集 191 キーフレーム 285–291 セカンダリー 229 ~間を移動する 288 ~にコントロールポイントを追加する 192 各ルームの~ 286 ~を使って色を調整する 197 ~で「Pan & Scan」の設定をアニメーション表示す ~を使ってコントラストを調整する 193 る 297 解像度 ~のショートカット 336 設定 98 ~のタイミングを変更する 289 プロジェクトの~ 81 ~の補間 290–291 ~を表示する 113 ~を削除する 289 解像度非依存 ~を追加する 288 「 Color」アプリケーションの~ 22 ~を使って図形をアニメーション表示する 305 外部のビデオモニタリング 113 キーフレームグラフ 123 書き出し キーフレームを設定する EDL の~ 82 「 Color FX」に~ 287 「 Final Cut Pro」で使う XML ファイルの~ 78 「 Pan & Scan」エフェクトに~ 287 JPEG ファイルの~ 89 「 Timeline」で~ 288 XML ファイルの~ 42 ユーザが作成した図形に~ 287 コーデックのヒント 87 許容度 216 互換性があるコーデック 86 許容度のハンドル 独立再生形式 QuickTime ファイルの~ 75 ~を調整する 217 ~に使用するコーデック 100 プロジェクトの~ 23 く カスタマイズ グラフィックカード 「 Shots」ブラウザ 95 ~とレンダリングの関係 322 カットリスト 19 グループ ガベージマット 228 ~からショットを取り除く 279 カメラネガ 19 ~に補正をコピーする 281 カラー ~をたたむ/展開する 280 カーブを使って~を調整する 197 ~を使って作業する 279 カラーキャスト グレーディング 18

索引 357 グレード コピー 「 Timeline」の~ 131 「 Pan & Scan」の設定の~ 298 現在の~を選択する 131 グレードの~ 273 ショットの~を変更する 270 コントラスト 28–29, 165, 330 ~と補正 67 「 Shadow」スライダ 168 ~と補正の差異 263 カーブを使って~を調整する 193 ~のショートカット 335 カラーバランスに影響する様子 178 ~の定義 264 コントロール 166 ~の保存場所 68 シャドウ、中間色調、ハイライト 168 ~を Finder で再編成する 268 スライダとコントロールサーフェス 167 ~を Finder で整理し直す 69 ~のマスターコントロール 204 ~を「Grades 」のビンに保存する 265 比 167 ~を「Primary Out」ルームでトリミングする 260 ~を上げる/下げる 175 ~を「Shots 」ブラウザで管理する 274 コントロール ~を「Shots 」ブラウザで選択する 276 カラーホイール 63 ~を「Timeline 」で管理する 269 ショートカットメニュー 62 ~を「Timeline 」でコピーする 270 スクロールホイール 62 ~を「Timeline 」でリセットする 270 タイムコードフィールド 62 ~を管理する 263–283 ディレクトリナビゲーション 67 ~をコピーする/ペーストする 273 テキストフィールド 61 ~を削除する 266 ~の速度を 10 倍に上げる 61 ~をショットに追加する 131 バーチャルスライダ 61 ~をショットに適用する 268 表示 67 ~をフォルダに整理する 267 ファイル 68 ~をほかのコンピュータに移動する 70 ブラウザとビンの~ 67 ~を保存する/使う 264 マウスを使う 61 ~を無効にする 274 コントロールサーフェス ~をリセットする 132 ~とカラーバランスのコントロール 182 グレードトラック 122 ~とコントラストスライダ 167 黒 ~の感度を設定する 351 純粋 330 ~の設定 103 ~を潰す 170 ~を設定する 60, 339–351 クロマのサブサンプリング 25 コントロールサーフェスを設定する 339–351 フィルムとビデオ 26 コントロールの加速 61 クロマ(クロミナンス) 31 コントロールポイント クロミナンスレベル 330 ~を削除する 193 黒レベル(デジタルビデオ) 30 ~を図形に追加する 305 黒を潰す 170 ~を調整する 192 ~を追加する 192 け ~を編集する 191 警告 102 結合ツール 137 さ 現在のショット 93, 126 サービスとサポート 11 検索フィールド 93 サイズを変更する 原色 32 図形の~ 302 限定子 再生 説明 218 「 Timeline」の~ 126 設定 106 こ ~の継続時間を設定する 128 コーデック モード 127 「 Color」と互換性がある~ 84 ループ 104, 128 書き出しについて互換性がある~ 86 ~を開始する/停止する 126 書き出す際の~のヒント 87 再生のショートカット 334 互換性がある他社製~ 85 再生ヘッド 122 設定 98 ~をショットからショットに移動する 129 ~をフレームからフレームに移動する 129

358 索引 再適合 ~の選択をすべて解除する 130 EDL ベースのプロジェクトの~ 79 保存した補正とグレードを~に適用する 268 XML ベースのプロジェクトの~ 79 連続する~を選択する 130 オンラインメディア 43, 45 ~を「Shots 」ブラウザで選択する 96, 275 プロジェクトの~ 79 ~を「Timeline 」で選択する 129 削除 ~を回転させる 296 キーフレームの~ 289 ~を既存のグループに追加する 279 ノードの~ 238 ~をグループ化する/グループ解除する 277 補正とグレードの~ 266 ~をグループから取り除く 279 サチュレーション ~を結合する 138 ~のコントロール 201 ~を検索する 93 サポート ~を削除する 134 Web 上 11 ~を分割する 137 ~をレンダリングする方法 324 し ショットに補正をコピーする 272–273 シーン間の色補正 14 ショットの位置を変更する 297 ジェネレータ( Motion) ショットのグループを解除する 277 ~を独立再生形式 QuickTime ファイルとして書き出 ショットの分割 137 す 75 ショットモード 127 自動保存の設定 109 ショットを回転させる 296 シャドウ ショットをグループ化する 277 ~のカラー調整 184 ショットを結合する 138 シャドウの調整 168–170 ショットを選択する 130 出力 処理 最終的なビデオマスター 43 設定 106 ノードの~ 237 新規プロジェクトを作成する 72 出力密度 99 シングル・ディスプレイ・モード 111 手動トラック 310 純黒 330 す ショートカット 数学レイヤー化ノード 245 「 Geometry」の~ 336 スーパーインポーズ 「 Render Queue」の~ 337 ~の制約 38 「 Shots」ブラウザの~ 336 スーパーホワイトレベル 30 「 Still Store」の~ 337 ズーム 「 Timeline」の~ 335 「 Shots」ブラウザでの~ 276 キーフレームの~ 336 「 Timeline」の~ 128 グレードの~ 335 イメージプレビューの~ 293 再生とナビゲーションの~ 334 ビデオスコープの~ 144 プロジェクトの~ 333 スクロールホイール 62 編集の~ 335 図形 ルームとウインドウの~ 334 キーフレームとトラッカーを使って~をアニメーショ ショートカットメニュー 62 ン表示する 305 ショット ~にコントロールポイントを追加する 305 「 Timeline」で~の位置を変える 134 ~の位置を変更する 302 「 Timeline」での~の表示をカスタマイズする 124 ~のエッジにぼかしを入れる 304 ~から注釈を削除する 96 ~のサイズを変更する 302 現在の~を選択する 126 よく使う~を保存する/読み込む 300 検索後に~を表示する 94 ~を B- スプラインと角のあるポリゴンの間で切り替え 選択状態の~ 93 る 303 ディレクトリ 74 ~を調整する 302 ~にグレードを追加する 131 ~を描画する 300 ~に注釈を追加する 95 図形のエッジにぼかしを入れる 304 ~に補正をコピーする 272–273 図形リスト 300 ~の位置を変更する 297 図形を描画する 300 ~のサイズを「 Pan & Scan」タブで変更する 296 スコープ ~の設定 132 使用可能な種類 141

索引 359 ~のオプション 144 中間色調 ~の精度 143 カラー調整 186 スポイトツール ~を調整する 171 ~でキーを抽出する 213 注釈 ~を使って値の範囲をサンプリングする 215 ~をショットから削除する 96 ~を使って選択を拡大する 215 ~をショットに追加する 95 スリップツール 136 チュートリアル 10 スリップ編集 137 調整 説明 329 せ 放送用モニタの~ 330 静止画ファイル 調整する領域を限定する 211 ~の制約 39 セカンダリーカーブ 229 つ セカンダリーキー 追加 ~とビネット 228 ノードの~ 238 ~を再生時に確認する 219 ~を作成する 213 て 設定 ディスプレイモード 70 「 Broadcast Safe」 100 ディレクトリ・ナビゲーション・コントロール 67 Color 設定ガイド 10 データシネ 17 Geometry 294 ネガから DPX に転送する 55 解像度の~ 98 テープ間の色補正 18, 20 コーデックの~ 98 テープベースのワークフロー 40 コントロールサーフェスの~ 103 テープレスのデジタルワークフロー 43 再生 106 適合 自動保存 109 EDL を解析する 56 ショットの~ 132 プロジェクトを~ 56 処理 106 テキストフィールド 61 プロジェクトの~ 98 デジタルインターメディエイト 49 ユーザインターフェイスの~ 104 EDL を解析する 56 レンダリングの~ 102 テレシネ処理されたオフライン/オンラインワークフ 選択状態のショット 93 ロー 53 選択ツール 134 デジタル複製 50 デジタル・インターメディエイト・ワークフロー 22, 49 そ デュアルモニタ 70 ソースメディア デュアル・ディスプレイ・モード 111 ~を取り込む 40, 46 テレシネ 17 ~をバックアップする 44 ~の再処理 20 ソースメディアの取り込み 40 編集用の下見フィルム 45 速度エフェクト テレシネ転送 22 ~の制約 38 ~の利点 22

た と タイムコード トラッカー 307–313 ~を使って移動する 62 ~で「Pan & Scan」の設定をアニメーション表示す タイムコードフィールド 62 る 297 他社製コーデック 85 ~のトラックをなめらかにする 312 タブ ~を使って図形をアニメーション表示する 305 ~でルームに移動する 61 トラッカー領域 123 単位 トラック 「 Timeline」のルーラの~ 123 ~のサイズ変更ハンドル 122 ~のサイズを変更する 124 ち ~を削除する 125 チャンネルデータ ~を追加する 125 ~とビット深度 109 ~を使って作業する 125

360 索引 ~を表示する/隠す 125 Difference 245, 250 ~をロックする/ロック解除する 125 Duotone 252 トラックする Edge Detector 252 手動で~ 310 Exposure 252 トラックのサイズを変更する 124 Film Grain 252 トラックのロックを解除する 125 Film Look 253 トラックを削除する 125 Gain 253 トラックを追加する 125 Gamma 253 トラックをロックする 125 Grain Reduction 254 トランジション HSL Key 257 ~の制約 38 Hue 254 トレーニングプログラム 10 Interlace 250 Invert 254 な Lift 255 ナビゲーション Lighten 250 「 Timeline」での~ 128 Maximum 255 Minimum 255 に Multiply 245, 250 二次色 32 Output 258 入力 Printer Lights 255 ノードの~ 237 RGB Merge 251 RGB Split 258 ぬ Saturation 255 Scale RGB 256 ヌードル 236 Sharpen 256 ね Smooth Step 256 Stretch 256 ネガの適合 19 Translate 257 Vignette 258 の ノードツリー ノード ~の説明 236 数学レイヤー化 245 ノードビュー 236 単一入力 242 ノードを結合する 238–239 ~の入力と出力 237 ノードを無効にする 241 ~のパラメータを調整する 239 ノード・リファレンス・ガイド 249 複数入力 237, 243 レイヤー化 243 ~を切り離す 239 は バーチャルスライダ 61 ~を結合する 238–239 ハイライト ~を再配置する 239 ~のカラー調整 187 ~を削除する 238 波形スコープ 145 ~を作成する 238–239 肌の色合い 14 ~を追加する 238 パラメータ ~を無効にする 241 「 Pan & Scan」タブの~ 297 ノードタイプ Add 245, 249 範囲のハンドル Alpha Blend 250 対称的調整 217 B&W 251 範囲のハンドルの対称的調整 217 Bleach Bypass 251 バンドル Blend 250 プロジェクトの保存方法 74 Blur 251 Clamp 251 ひ Color 257 ヒストグラムスコープ 155 Curve 251 Luma 156 Darken 250 RGB 155 Deinterlace 257 ビット深度 26

索引 361 ~とチャンネルデータ 109 ~を隠す 65 ~とモニタリング 113 ~を展開する 65 ビデオ ファイルブラウザを隠す 65 カラーバー 329 フィルタ 調整 329 ~の制約 38 ~とクロマのサブサンプリング 26 フィルム ビデオスコープ 112, 141–162 ~とクロマのサブサンプリング 26 3D 色空間 157 ~のカラータイミング 19 Chroma 151 フォーマット Luma 150 QuickTime 互換の~ 84 Overlay 149 互換性があるイメージタイプ 87 Parade 146–148 ピクセル 108 「 Red」/「 Green」/「Blue 」チャンネル 149 フォルダ Y´CbCr 151 ~を使って補正とグレードを整理する 267 ~の 3D スコープの位置を変える 144 ~をビン内に作成する 267 ~のオプション 144 複数入力ノード 237 ~のカラー表示のオンとオフを切り替える 145 ブライトネス 330 ~の精度 143 ブラウザ 64 ~のモードを選択する 144 ブラックポイント 波形 145 ~を「Shadow 」スライダで調整する 168 ヒストグラム 155 フリーズフレーム ベクトルスコープ 152–155 ~を独立再生形式 QuickTime ファイルとして書き出 ~を再生時に更新する 144 す 75 ~をズームする 144 フリーズ・フレーム・クリップ ~をリセットする 145 ~の制約 39 ビデオスコープのリセット 145 プリレンダリング ビデオトラック 122 静止画とエフェクト 42 ビデオモニタの調整 329 プリンタポイント 19 ビデオモニタを調整する 329 定義 205 ビネット ~を使って調整する 205 エフェクト 210 プルリスト 19, 54 ガベージマットとして 228 フレーム 画面上のコントロール 224 ~の最初または最後に移動する 129 コントロール 221–223 ~を EDL にリンクし直す 56 図形 224 フレームレート ~とセカンダリーキー 228 プロジェクトと EDL 81 ~の内側と外側を調整する 228 ~を維持する 128 ~の柔らかさを調整する 225 フレームレートの維持 128 プレビュー 220 プレビュー ユーザ図形 225 インターレース除去 99 ~をアニメーション化する 225 フルスクリーンと 4 分割スクリーン 112 ~を移動する 224 プレビューディスプレイ 112 ~をサイズ変更する 224 ~を評価用モニタとして使う 112 ビネットをアニメーション化する 225 ブロードキャストビデオ 評価用モニタ 112 ~をモニタリングする 113 表示コントロール 67 プロキシ 105 開く ~を削除する 106 アーカイブを~ 73 ~を生成する 106 プロジェクトを~ 72 プログラム ビン 64 ~の解像度のミキシングとマッチング 113 ~内にフォルダを作成する 267 プログラムマスター ~を取り込む 48 ふ プログラムを再生する 126 ファイルコントロール 68 プロジェクト ファイルブラウザ 64, 91 設定 98 ~を折りたたむ 64 説明 74

362 索引 ~のサイズが大きくなる理由 317 ~にキーフレームを設定する 286 ~のショットをレンダリングする方法 324 ~の定義 264 ~の内容 74 ~の保存場所 68 フレームレート 81 ~を Finder で再編成する 268 ~を「Color 」に読み込む 23 ~を Finder で整理し直す 69 ~を「Final Cut Pro」に戻す 78 ~を「Timeline 」でコピーする 270 ~を「Final Cut Pro」と「Color 」の間で移動する 75 ~を管理する 263–283 ~を書き出す 23 ~をグループにコピーする 281 ~を再適合する 79 ~を削除する 266 ~を作成する 72 ~をショットに適用する 268 ~を適合する 56 ~をビンに保存する 264 ~を開く 72 ~をフォルダに整理する 267 ~をほかのアプリケーションから読み込む 47 ~をほかのコンピュータに移動する 70 ~を保存する 72 ~を保存する/使う 264 ~を読み込む/管理する 71–89 補正とグレードを管理する 263–283 ~をリールに分割する 75 補正ビン 66 プロジェクトの解像度 81 ~の内容を更新する 69 プロジェクトの自動保存 73 保存 プロジェクトを管理する 71–89 アーカイブの~ 72 分割画面 37 グレードと補正の~ 68 分割ツール 137 自動 73 プロジェクトの~ 72 へ 補正とグレードの~ 264 ペースト よく使う図形の~ 300 グレードの~ 273 保存したエフェクト ベクトルスコープ 152–155 ~を適用する 249 「 I」バー 154 ホワイトポイント 「 Q」バー 155 ~を「Highlight 」スライダで調整する 172 カラーターゲット 153 変換 ま Cineon から QuickTime への~ 88 マウス DPX から QuickTime への~ 88 ~を使う 61 編集 マスター・コントラスト・コントロール 204 B スプラインの~ 191 コントロールポイントの~ 191 み ~の制約 37 見本 218 ~を結合する 138 ~を作成する 138 む 編集コントロールと手順 133 ムービーモード 127 編集のショートカット 335 無効にする 編集用の下見フィルム グレードを~ 274 ~をテレシネ処理する 45, 54 編集を結合する 138 め メディア ほ QuickTime ~を再リンクする 82 ポインタ 134 互換性があるフォーマット 84 放送用モニタ 330–332 ~にノッチを設定する 48 ~を調整する 330 ~を「Timeline 」に読み込む 83 ホームディレクトリ 92 ~を再適合する 45 補間 ~を収集する 328 キーフレームの~ 290–291 ~を読み込む/管理する 71–89 補色 33 メディアにノッチを設定する 48 補正 メディア~を「 Color」に読み込む 23 ~とグレード 67 メモリバンク 273 ~とグレードの差異 263

索引 363 も リップル編集 136 モーショントラッカー 307–313 領域 モニタ ~を「Secondaries 」ルームで選択する 212 ~をシングルまたはデュアルで使用する 70 ~を選択する 114 る ~を調整する 329–332 ループ再生 104, 128 ~を定期的に補正する 115 ルーム モニタリング 111–120 Geometry 293 「 Still Store」の~ 120 ~について 35 ~とビット深度 113 ルーラ 122 ビデオ出力のオンとオフを切り替える 113 単位 123 ブロードキャストビデオ出力 113 ルミナンス 30 モニタを調整する 329–332 ~を調整する 330

ゆ れ ユーザインターフェイス レイヤー化ノード 243 ~の設定 104 レンダリング 最適なモニタリングのために~を調整する 115 1 つのショットの複数のグレードの~ 326 ユーザが作成した図形 2K 出力用のエフェクトの~ 322 ~にキーフレームを設定する 287 「 Final Cut Pro」に送るときの~ 322 ユーザ定義可能なマスキング 16 設定 102 ~とグラフィックカード 322 よ ~のインターレース除去 99 読み込み レンダリングしたメディアを収集する 328 EDL の~ 47, 80 レンダリングディレクトリの設定 98 「 Timeline」へのメディアの~ 83 レンダリングのインターレース除去 99 XML ファイルの~ 77 レンダリングバー 122 と互換性があるコーデック 84 プロジェクトとメディアの~ 23 ろ 別のプロジェクトからの色補正の~ 89 ロールツール 135 ほかのアプリケーションのプロジェクトの~ 47 ロール編集 135 メディアの~ 71–89 録画 ~の制約 37 ら ロックアイコン 122 ラウンドトリップ 47 わ り ワークフロー 35–57 リール FCP でのビデオ仕上げ 39 ~にプロジェクトを分割する 75 テープベース 40 リスト表示 65, 67 テープレス DI 50 リセットコントロール 234 ~の概要 35 リップルツール 135 フィルムからテープ 45

364 索引